平成3年度山梨県肺癌検診実施状況
飯富病院 外科 長田忠孝 山梨医科大学 病理 三俣昌子 山梨県立中央病院 外科 千葉成宏 甲府保健所 清水卓造 厚生省の保健事業第2次5ヵ年計画にもとづき実施されてきた肺癌検診 も、平成2年度には徐々に増加して山梨県下64市町村全てで実施される ようになった。 【表一1】今回も山梨県成人病管理指導協議会肺癌部会の 資料をもとに、5ヵ年計画の最終年である平成3年度に実施された県内に おける老人保健法下での肺癌検診につき報告する。 《レ線検診》平成3年度には121,878人の受診者があった。 【表一2】これは
前年度に比し、約1,500人の減少となった。昭和62年度より老健法
下に肺癌検診が始まってから減少する のは初めてである。これは主として甲 府市の低実施率によるものである。検 診実施率も当然のことながら減少した。 要精密検診者、率は共にこの3年間 【表一1】肺癌検診実施市町村数の変化S.61年度
S.62年度
S.63年度
H. 元年度 H. 2 年度 H. 3年度 20市町村 53市町村 59市町村 62市町村 64市町村 64市町村 でほとんど変化がない。精密検診受診率もほとんど変化がなく、74.5 %と低率だった。4人に1人が未受診ということは、単純に計算すると、 発見肺癌が27人あることから7、8人の肺癌患者が早期診断、治療の機 会を失ったことになり、重大な問題である。俵一2】平成3年度レ線検診実施状況
受診者数 検診実施率 要精検者数 要精検率 精検受診率 発見肺癌 3年度121,878
51.1% 2,011 1.7% 74.9% 10万:22Q7人 2年度123,342
51.6% 2,092 1.7% 72.1% 10万:30R7人 元年度118,857
50.4% 1,965 1.7% 75.3% 10万:27R2人 63年度99,231
44.4% 2,903 2.6% 60.1% 10万:33R2人 62年度73,412
60.8% 1,719 2.2% 80.3% 10万:30Q1人《喀疾検診》 喀疾細胞診による検診は年々確実に増加している。 【表一3】レ線検診 受診者の4.8%が受診し念願の5%にもう少しである。レ線検診が減少 したのにもかかわらず、わずかながらも受診者の増加をみたのは、竜王町、 玉穂町、勝沼町などの努力による結果である【表一4】。要精検率は低く、 要精検者数も少ないのでぜひとも100%受診を実現したいものである。 2人の癌が発見されたが1人はレ線検診でも発見された。
【表3】平成3年度山梨県喀疾検診実施状況
喀疲検鯵実施数 要精検者数 要精検率 精検受診率 発見肺癌 3年度 5,889
(4.8駕)* 9 o, 2% 88. 9% 2 10万: 34 2年度 5,348
(4.3%) 17 0. 3% 94. 1% 4 10万: 75 元年度 4,901
(4.IX) 24 O. 5% 71. 4% 3 10万: 61 63年度 3,890
(3.9累) 21 0. 5% 71. 4% 2 10万: 53 62年度 3,534
(4.8駕) 31 O. 9% 83. 9% 2 10万: 57 *対レ線検診比 《市町村における実施状況》 1.甲府、日下部保健所管内 【表一4】 甲府市の検診実施率が極めて低い。レ線検診がたった66人しかないの は昨年までの住民検診を利用した、標準型の肺癌検診を止めてしまったか ららしい。もちろん喀疾検診も少数である。 表一4】平成3 、 年 府 、 日 音β 健所 ● 内実 ; 状況 2 年 7,966 47 2 年 ,S,628 74 甲 府 市 元 年 8,520 62 塩 山 市 元 年 4,722 62 6 7 61 6 4 9 75 2 年 554 23 2 年 5:560 53 上九一色村 元 年 552 28 山 梨 市 元 年 5,839 211 6 546 ? 4 4 204 2 年 ●2,163 59 2 年 1:901 0 竜 王 町 元 年 2,178 74 春日居町 元 年 1,856 0 2 518 1 1 499 0 敷 島 町 ウ 年2 年 ●2,656 Q,665 17Q1 牧 丘 町 ウ 年2 年 11233 863 65 R4 6 2 71 57 3 1 080 42 2 年 ■1,264 28 2 年 465 32 玉 穂 町 元 年 1,201 24 三 富 村 元 年 395 17 3 1 2 2 1 6 OO 20 2 年 ,2,639 59 2 年 ■R,691 70(70) 昭 和 町 元 年 2,573 36 蹄 招 町 元 年 3,878 80 2 51 1 977 58 2 年 ■ 783 31 2 年 655 51 田 富 町 元 年 913 40 大 和 村 元 隼 707 59 V甲府市職員に対する職域の肺癌検診がスタートするという。そのような 進んだ健康管理の発想が出来る自治体が、どうして満足な肺癌検診が出来 ないのであろうか。 甲府市の住民検診を一手に引き受けている甲府市医師会に問題があるの だろうか。他の県内の市が、けっこう喀疾検診では頑張っているのに問題 である。 国の保健事業第3次8ヵ年計画にあるような個別検診の導入をも含めて、 20万都市における独自の肺癌検診システムを作り出して欲しい。 この管内では竜王町、玉穂町、勝沼町の喀疾検診受診率の増加が目立っ。 この努力が県全体の検診受診者の増加につながった。竜王町では平成3年 より検診実施機関を健康管理事業団から厚生連に変更した。これが良い結 果を生んだようだ。 集団検診を効率良く実施するための条件の一つに、既存の組織を利用す ることが上げられている。JAの組織が利用されてこの様な実施数の上昇 をみたのだろうが、さすがである。今後の継続性を期待している。 春日居町の喀疾検診はどうした訳だろうか、頑張って下さい。 2.石和、身延保健所管内 【表一5】 甲府市周辺の町でも石和町は特に喀疾検診実施数が悪い。富士吉田市等 が実施している人間ドックなどを利用するのも良いと思いますが、いかが でしよう。 中道町はなんとか格好を付けてくださった。 身延保健所管内では北部と南部の町で明らかな格差がある。増穂町では 今年より検診機関を変えて喀疲検診を実施している。 3.小笠原、韮崎保健所管内 櫛形町の頑張りには敬服します。愛育班を利用した検診システムは他町 が多いに参考とすべきである。 須玉町の独自の検診システムはいただけない。厚生省の定める方法に戻 すべきである。従来から述べてきているように癌検診は専門家集団である、 その癌学会の認めたシステムを採用すべきである。ことに肺癌検診は進行 速度度早い、予後不良の癌を対象としているため、無用なトラブルを避け る点からも、厚生省のマニュアルに沿った検診体制をとる必要がある。 4.大月、吉田保健所管内 【表一7】
上野原町が本格的に検診を実施するようになった。今後、人口の急増が 予想されるが、推移を見守りたい。 この管内の3市の喀疾検診の実施数は見事である。いずれも人間ドック 市 町 村 年 ㌣轟鯵蘭施藺、晶診齎嬬 表一5】平成3 健市所町管村内年実施。繍検混実緻噸検診実緻 7 1 石 和 町 元 年 U3年 ■1,302 Q,834 R 6 18 P0 V2 三 珠 町 元 年 U3年 R ●1,362 P,359
@269
21 Q0 Q3 御 坂 町 元 年 U3年 R ,3,251 R,642Q 726 81W8X 市川大門町 元 年 U3年 R Iilllill1 4 7 1 35 一 宮 町 元 年63年 R ●2,693 Q,?35 Q 427 54 R7 六 郷 町 『・雛1 . i戟Fi劉1il
八 代 町 元 年 U3年 R ●2,505@ 0
P 1 3 36O9 下 部 町 元 年 U3年 R ●2,294 Q,758 S 054 141 P58@0
境 川 村 元 年 U3年 R ,1,468 P,537 P 555 26 R9 V 増 穂 町 元 年 U3年 R ●4,054 R,959 P 3310
@109
堰@ 4 中 道 町 元 年 U3年 . o o P,852 P,627@297
454 鰍 沢 町 元 年 U3年 R 1:431 p・1晶1 68
o、12
芦 川 村 元 年 U3年 278@291
P 156 71142 中 富 町 元 年 U3年 ●1,850 P,506 P 191106
P169
豊 富 村 元 年 U3年1 ■1,184@ 0
38O 早 川 町 元 年U3年 R , 1 @1 . 3 2 0 i 1 7 0P1・今1!1{81
身 砥 町 3 元年i2:708}1216 3年 1 2. 8 3 5 1 3 1 i 2 171 99 南 部 町 3 元年i 2: 0 7 4 1 1 3 16 3 年 1 2 , 0 7 5 i 1 0 0 1 694 159 富 沢 町 元 年 U3年 li;川 i6 | 表一6】平成3 、 年|小笠原、韮崎保健所
、 内実状況
2 年 ●1,062 23 2 年 T,287・ 0 182 八 田 村 元 年 1,051 43 菰 崎 市 元 年 4,930 117 6 1 4 4 4 29 102 、 2 年 ●4,293 79 2 年 1:429 135 白 根 町 元 年 4,239 101 明 野 村 元 年 1,527 100 6 15 1 ・ 3 1 204 1 2 年 141 2 2 年 ● o O 芦 安 村 元 年 131 1 須 玉 町 元 年 2,945 70 63 1 2 1 9 94 2 年 ●2,671 1?3 2 年 2:604 94 若 草 町 元 年 2,646 148 高 根 町 元 年 2,660 74 83 2 11 7 2 734 96 2 年 ●4,548 544 2 年21056
62 櫛 形 町 元 年 4,536 672 長 坂 町 元 年 2,247 81 3 4 674 5 6 O o 2 年 ●2,998 52 2 年 1:507 110 甲 西 町 元 年 3,055 56 大 泉 村 元 年 717 47 ?69 50 2 隼 1:453 53 小洲沢町 元 年 267 67 63 2 6 2 年 1:552 o 白 州 町 元 年 1,512 61 1 32 69 2 年 941 59 武 川 村 元 年 914 60 945 87 2 年 1:837 40 双 葉 町 元 年 0 0などの施設検診や、従来あるミニドックを利用した結果であり、人口の多 い市町村の検診のあり方の一っを示している。甲府市も試みるべき検診形 態と思われる。 【痴7】平成3 、 年 大 田 健所 、 内 、 況 都 留 市 ウ 年2 年 ,2, 109 P,853 §61{器1: 富士吉田市 ウ 年2 年 2:5552,792 473 R97 63 2 627 150 63 2 806 258 2 年 ,1,845 407(272) 2 年 316 57 大 月 市 元 年 1,375 159 道 志 村 元 年 35 35 63 1 529 156 63 20 7 2 年 256 29 2 年 727 61 秋 山 村 元 年 259 40 西 桂 町 元 年 213 81 3 17 32 63 108 75 2 年 440 32 2 年 944 35 小 菅 村 元 年 365 27 忍 野 村 元 年 929 55 63 95 2 63 819 24 2 年 502 2 2 年 1:038 101 丹波山村 元 年 518 10 山中湖村 元 年 61 28 6 5 2 25 6 0 41 2 年 ●726 48 2 年 ■595 116 上野原町 元 年 0 0 河ロ湖町 元 年 608 105 63 158 11 2 年 187 19 *施設検診 勝 山 村 元 年 134 5 6 177 22 2 年 298 22 足和田村 元 年 351 26 6 445 6 2 年 460 58 鳴 沢 村 元 年 473 20
【表一8】平成3年度肺癌検診発見肺癌
年令、性 発見検診 組織型 臨床病期 手術 検診機関 塩山市 79 ♂ レ線 小細胞 1期 (+) 健康管理事粟団 春日居町 68 ♀ レ線 1期 (+) 「一’.一一一一}一R梨厚生病院 牧丘町 74 ♂ レ線 w期 (一) 健康管理事業団 勝沼町 ♀ レ線 大和村 83 ♂ レ線 (一) A 「 − 1 − 一一 一一 注N管理¶莫団 八代町 83 ♂ レ線 (一) 一一‥^「 c−一注N管理事業団 豊富村 76 ♂ レ線 1期 (+) 健康管理事業団 中富町 79 ♀ U4 ♀ V9 ♂ レ線 倹? 線 癌腺 @癌 V期1 冾P 一)( {) 富 病 院飯 @富 病 院飯 @富 病 院 延町 9 ♂7 T ♂ 線レ 富 病 院飯 @富 病 院 部町 3 ♂6 R ♀ 練レ 期1 一)( 黶j 康管理¶某団健 N管理事某団 一一r−〔一___ 根町 6 ♂ 線 +) 康管理事業団 一一h.←←一 草町 0 ♂ 痕 康特理事業団 形町 8 ♀ 線 +) …ρ「.「一「一一^一一健N管理¶某団 崎市帆 4 ♀8 O ♀ 線レ 癌 期 一)( 黶j 康管理¶栗団健 N管理弔粟団 葉町 6 ♂ 線 一) 野村 0 ♀「一.Lラ’・ガ8 Q ♂ レ線,≡←一一一一一,倹
←1▼」.」_ 一 一 一 一 一 一 …m +)一閲’( 黶f) ←Lllr_^^〕・_健N管理ヲ‘某団 AL厚 @ ’{三 連厚 @ 生 連A・一「一__ 坂町 2 ♂6 W ♂ 線喀疲 倹 上 期1 +)( 黶j 康管理弔業団健 N管理¶業団 淵沢町 0 ♀7 W ♀ 線レ 上 期 +) 一}一、厚@ 生 連健 N管理弔業団 野村 9 ♂ 線 士吉田医師会 −L,」^.−r−−_一_^ 野原町 6 ♂ 線 肩上 期 +) 康管理¶業団44一
《平成3年度肺癌検診発見肺癌》 【表一8】 県厚生部の作成した発見肺癌のリストは既往歴、症状、精密検診内容な どを含む、より多項目のものとなっている。各項目につき前年に増し、情 報収集の努力の後がうかがえる結果となったが、評価はNOである。 【表一8】の空白部分は組織型と臨床病期である。この欄と検査、治療 内容にっいては、どうしても医師の存在と、届けられた検診結果にっいて の再調査が必要となる。 現在行われている、市町村保健婦の調査を情報源としている以上、この 表が全て埋まることはない。 27人の肺癌患者を発見したからよし、とする安易な考えを持っ人はい ないだろうが、厚生省の第3次保健事業がスタートした年に、癌検診と癌 登録を含めた総合的なセンター構想を県としても、医師会としても持っべ きではないだろうか。 山梨肺癌研究会がグローバルな視点より、癌死因第2位の肺癌の疫学的 側面にも積極的に貢献していくことがそのようなセンター構想の実現にっ ながり、予想される肺癌死の増加を食い止めることになると、確信してい る。