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JAIST Repository: 科学技術と医療 : 私見

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Academic year: 2021

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Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

科学技術と医療 : 私見

Author(s)

森, 亘

Citation

年次学術大会講演要旨集, 5: 5-6

Issue Date

1990-10-27

Type

Presentation

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/5266

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

(2)

1A2

技術

一 ""

技術

科森

医療の歴史は 科学技術の発達と 無禄ではあ り得ず、 というより以上に、

近代の医療はそ

の主たる部分が 科学技術の上に 成り立っていると 称しても過言ではない。

従って当然のこ

とながら、 最近における 科学技術の目覚ましい 進歩は医療にも 大きな影響をもたらした。

私自身が経検した 近々 4 0 年程の間ですら、 その変化は大きい。 例えば、 私が医学生であ った昭和 2 Q 年代前半の頃 、 その当時はまだ、 いわゆる名医な るものが存在していた。 勿論、 今日でも名医はたくさんおられるが、 それとはやや 異 った

意味においてであ

る。 経験と カン

に頼った方法でピタリと

診断を当てるなどはその 一例で、

有名な話としてあ る「名医」は、 患者が診察室に 入ってきて椅子に 座るまでの間に、

おお よその診断を 付けていたという 言い伝えがあ る。 ところが最近では、 こういった類いの 名 医は消失しっ っ あ る。 そのことの善し 悪しは別として、 とにかく 極く 初心者を徐いては、 できるだけ多くの 医師ができるだけ 同じような水準で 物事を取り扱えるように、 というの も

近代科学技術の 目指すところの 一つであ るらしい。 ところで、

こうしたいわゆる 名医の

有無などは枝葉末節の 問題で、 その他のより 大きな、 より大切な部分が

大きく変ったので あ る。 その大部分は「良い 方に向かって」であ ろう。 しかし一方、 このような科学技術の 発達、 その医療面への 応用は 、 いろいろな所に 、 い ろ

いろは種類の「

」や「垣根・ 隙間」を作ってしまった。

それらは、

例えば、 患者と家

族の間、 医師

( チーム ) と患者 ( 家族 )

との間、 理科的知識の 多い人と少

い 人との間、 富 める人と貧しい 人との間、 富める国と貧しい 国との間、 等々に見ることができる 0 そして、 そうした 差 、 垣根・隙間が 今後さらに拡大して 行くことを心配している 医療関係者も 少な くない。 ところで、 こうした問題は 、 必ずしも医学、 医療の場だけに 限ったことではない のかもしれない。 あ るいは、 科学技術全般についても 言い得ること、 存在する傾向なのか もしれないと 思う。 とすれば、 広く、 社会一般に問うてみたい。 この世の中のいろいろな 場において、 「 差

」とか「隔たり」があ る程度存在することは

やむをえない。 いや、 むしろあ ったほうがよい、 とさえ考えている。 専門家というものは、 素人にできないことができなくてはならない。 素人の知らないことを 知っていなければい けない。 いろいろの立場の 人々が 、 余りにも「なあ なあ 」で事を運んでしまってはならな い 。 相互の間には、 やはり、 あ る程度の冷たさ、 垣根がなくてはならない。 努力すれば、 こんなに良い 思いができる、 といった憧れ、 目標がなくてはならない。 よく働くものも、 怠、 けるものも、 その結果が同じであ ってはならない、 と思う。 一 5 一

(3)

しかし、 その様な「 差 」 「隔たり」が 、 余りにも大きくなってしまうことは、 これまた 良くないことではなかろうか。 それは、 個人個人の間の 事柄でも、 組織と組織との 間につ いても、 そしてまた、 地方と地方、 国と国の関係においても、 同様であ る。 科学技術の発 達は、 基本的には良いことであ り、 また、 必要なことでもあ る。 しかし、 それによって、 いろいろなところに、 限度を越えた「 差 」 「隔たり」が 生ずるとすれば、 これまた問題で あ ろう。 本学会々員の 方々は、 どちらかといえば、 先に医療に関連して 述べた 幾 っかの 柏 対するグループのうちでは、 いずれも優位に 立っておられる 人達であ ろう。 科学技術を与 える側と与えられる 側 、 という点からすれば 与える側であ る。 富める国、 貧しい国という 見方からすれば、 間違いなく富める 国に住んでおられる。 いや、 個人としても 富んでおら

れるであ ろう。 理科的知識の 多寡、 それはもちろん 優秀のほうに

属する。 そのような方々 0 集まりであ る学会でこうした 話を申し上げるのはややおこがましいように 思うが、 どう

か、 皆様とは何等かの 差をもって、

るいは皆様方との 間に何等かの

隙間を隔てて、 もう 一つの慎ましい、 しかしその数は 決して少なくはない、 他のグループが 存在している 事も 覚えておいていただきたいものであ る。 そして最後に 一言、 かっての「名医」は、 患者が診察室のドアから 入ってきて椅子に 腰

掛けるまでの 短い時間に、 その病状のみならず、 実に種々様々の 観察をしていたと

言われ ている。 一 6 一

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