第30回群馬脳腫瘍研究会
日 時:2003年 1月 31日 (金) 場 所:群馬ロイヤルホテル 代 表:斉藤 人 (群馬大院・医・脳脊髄病態外科学) 当番世話人:石内 勝吾 (群馬大・医・脳脊髄病態外科学)一般演題>
座長 石内 勝吾(群馬大・医・脳脊髄病態外科学) 1.胚細胞性腫瘍に対する,放射線療法,化学療法の最近 の変遷 堀口 桂志,石内 勝吾,齊藤 人 (群馬大・医・脳脊髄病態外科学) 胚細胞性腫瘍の治療としては, 従来, 全脳室系あるい は全脳脊髄などの放射線療法が治療の中軸をなしてき た. 近年は, まず組織診断を行い, それぞれの腫瘍の悪性 度に応じた手術や補助療法の選択がなされるのが一般的 である. 最近の胚細胞性腫瘍に対する, 放射線療法, 化学 療法の え方のトピックスを文献をもとに提示する. 2.術前鑑別診断に困難を要した germinomaの1例 柿澤 敏之,清水 庸夫 (関東脳神経外科病院 脳神経外科) 【症 例】 15歳, 女性. 【主 訴】 頭蓋内圧亢進症状, 視力低下, 尿崩症. 【現病歴】 2001年 10月 31日頭痛 および嘔気を訴え当院を受診した. 【現 症】 意識は 清明で神経脱落症状も認めなかったが, 3年来の進行性 視力低下と多尿が存在した. 【経 過】 画像上脳室拡 大 と 傍 鞍 部 か ら 第 3脳 室 に 及 ぶ abnormal enhanced massを認めたため, 11月 2日まず V-P shuntを行い, 頭 蓋内圧亢進症状の改善を見た. 眼科的には両耳側半盲と 右 0.1, 左 0.3程度の視力低下が存在した. ホルモン検査 では PRL の中等度の上昇と GH, FSH の低下を認めた. HCG-βsubunit, AFP値に異常を認めなかった. トルコ 鞍に拡大はなく, 軽度の脱灰, 変形が見られるのみで あった. 12月 5日, 腫瘍の可及的摘出および視神経の減 圧 を 目 的 に, 両 側 前 頭 開 頭 に よ る interhemispheric approach にて手術をを施行した.腫瘍は extra axial mass であり, 視神経を外側上方に圧排していた. 視 叉周辺 の腫瘍を中心に半 程摘出したところで germinomaの 術中診断が得られたため, 手術を終了した. 術後視力, 視野の改善を見, 尿崩症の進行に対しては DDAVPを 用 した. 2002年 1月 8日より, Etoposide 200mg×3days, Carboplatin 550mg×1dayで chemotherapyを行い, 腫瘍 の明らかな縮小を認めた.その後 3月と 4月に同 doseを 追加投与したが, MRI 上腫瘍の増大が疑われたため, 8 月第 3脳室を中心に 50Gyの局所照射を行った.現在,臨 床的には問題なく, 外来経過観察中である. 3.初診時に広範な脳室系浸潤を示した胚細胞腫の一例 楮本 清 ,早瀬 宣昭,卯木 次郎 (埼玉県立がんセンター 脳神経外科) 黒住 昌 (同 臨床病理部) 【症 例】 19 歳男性. 2001夏頃より 忘, 12月頃より歩 行障害,2002.2月某院 CT,MRI にて,脳室に って不規 則に連続発育する腫瘍. 5.27画像上著しい腫瘍増大あ り,5.28当院緊急入院.神経学的には記銘力低下,失調歩 行. 【頭部 MRI】 両側側脳室壁に って八頭状に連続 進展した腫瘍. 両側大脳基底核 (右<左), 脳梁体部, 左後 角では腫瘍塊を形成.周囲脳浮腫は比較的軽度.CT では, 腫瘍内には石灰化像なし. 【腫 瘍 マーカー】 β-HCG 91 Kitakanto Med J 2009;59:91∼93
(血清/髄液)13.8/114.1 mIU/ml.髄液中に,多数のリンパ 球を認めた. 6.4開頭腫瘍生検術. 腫瘍は赤褐色で柔らか く軽度出血性で, 境界は比較的明瞭であった. 【病理診 断】 胚細胞腫 (syncytio-trophoblastic giant cellsや chor-iocarcinomaの成 は標本内にはなし). 【術後放射線治 療】 全脳 50.4 (28fr), 全脊髄 30.6 (17fr) Gy.術後 5か月 後の現在, 再発徴候なし. 本例は, 初診時, 脳室上衣下に って広範に発育し特異な画像所見を呈する腫瘍であっ た. 術前診断が困難であり, 興味ある症例と え報告す る. 4.脊髄転移をきたした胚細胞腫瘍の1例 黒崎みのり,朝倉 ,田中 壮佶 ( 立藤岡 合病院 脳神経外科) 昨年の本研究会で報告した, mixed embryonal car-cinoma and immature teratomaと診断された 13歳男性 について, その後の経過を報告する. 平成 13年 11月に 頭蓋内圧亢進症状を主訴に発症し, CT, MRI で右前頭葉 皮質下に長径 6cmの強く造影される mass lesionを認め た. 髄液所見は正常, 髄液細胞診は陰性であった. 肉眼的 全摘術を施行. その後の MRI では, 脊髄の異常はみられ なかった. 放射線治療, 化学療法を 6クール行い, 外来で 経過観察を行っていた. 平成 14年 11月下旬より, 両下 肢のしびれが出現. 運動麻痺も加わり, 受診. 頚髄 MRI を行い, Th1のレベルに mass lesionを確認. 伝い歩き可 能であったが, その日のうちに症状は進行し, 翌朝には 両下肢は MMT 1-2/5の強い麻痺となったため, 緊急腫 瘍摘出術施行. 現在, 全脊髄照射のため大学で治療中で ある. 5.初回照射にガンマナイフを施行した左基底核胚細胞 腫の1例 斎藤 太,長岐 智仁,渡辺 仁 河野 和幸 (佐久 合病院 脳神経外科) 6.胚細胞性腫瘍治療における神経内視鏡の有用性 小林 ,鶯塚 明能 (深谷赤十字病院 脳神経外科) 藤巻 広也,斉藤 人 (群馬大院・医・脳脊髄病態外科) 果体部腫瘍の生検と, これに伴う水頭症の治療に神 経内視鏡が有用である. 我々の経験した 4症例を提示す る. 【症例1】 16歳男性, MRI で脳室周囲に播種性病 変有り, 神経内視鏡にて側脳室前角より生検施行, ger-minomaであった. 【症例2】 14歳女性, MRI で 果 体部, 鞍上部に腫瘍を認めた. 化学療法, 放射線療法の縮 小効果が少ないため生検術施行, anaplastic astrocytoma であった. 【症例3】 53歳女性, 果体部に cystを有 する massを認め, 生検術と水頭症に対して第 3脳室底 開窓術を施行, cystic pineocytomaであった. 【症例4】 28歳女性, germinoma脳室内播種によりモンロー孔閉塞 し, 右側脳室の拡大をきたし, septostomy施行. 内視鏡的 生検術の問題点として, 播種や転移の危険性を高めるの ではないかという問題と, 出血性の腫瘍では止血は大 夫かという問題がある. これらの点について検討した. 7.neurohypophyseal germ cell tumorの治療転帰と間
脳下垂体形態学的異常
甲賀 英明,中村 光伸
(利根中央病院脳神経外科)
橋場 康弘,渡邊 孝,斉藤 人
(群馬大院・医・脳脊髄病態外科) neurohypophyseal germ cell tumorの治療上の問題点 は長期生命予後の問題とともに, 機能的予後 (内 泌学 的, 知的) が深刻な問題である. これに対し現在は化学療 法と放射線治療の併用により一定した再発予防効果と機 能的予後の改善が他施設共同研究で発表されつつある. これまでの群馬大学 20症例は (1967―) 男 12例, 女 8 例, 年齢 7∼49 歳 (平 16.7歳) 生検または細胞診での 確診例 12例で, 転帰は死亡確認 4例, 生存 12例, 不明 4 例である. うち 10例について, neurohypophyseal ger-minomaの初診時の画像診断と follow up 画像,特に内 泌機能と間脳下垂体の形態学的異常について述べる. 8. 果体部 germinoma放射線療法の長期予後 大谷 敏幸(原町赤十字病院 脳神経外科) 石内 勝吾,斉藤 人 (群馬大院・医・脳脊髄病態外科) 栗原 秀行 (桐生厚生病院 脳神経外科) 田村 勝 ( 立藤岡 合病院 康管理センター) 長谷川正俊 (群馬大学放射線科) 【背景・目的】 従来我々は 果体部 germinomaに対し約 50Gy放射線療法を主体とした治療を行ってきた. その 長期予後について検討する. 【対 象】 1980―1997年 までに 果体部 germinomaと診断し, 5年以上経過観察 しえた 10例 (8∼24歳, 男性 9 人, 女性 1人) を対象とし た. 【結 果】 20Gyの時点で全例腫瘍は著明に縮小し た. 50Gyの治療により再発はなく長期的な予後は良好 であった. 放射線治療によると思われる新たな内 泌学 的障害は認められなかった. Karnofsky performance scaleは 8例が 100で生活上問題はなかった. 2例で Kar-nofsky performance scaleが 80と 低 下 し て い た. 【結 語】 果体部 germinomaに対する放射線療法は 50Gy
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