マグロ延縄漁具の構造による漁獲性能に関する研究
III : 釣鈎2 5本付漁具の比較試験結果について
著者
盛田 友弌, 肥後 伸夫
雑誌名
鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of
Fisheries Kagoshima University
巻
11
号
1
ページ
8-13
別言語のタイトル
Studies on the Catch Efficiency Derived from
the Difference in the Construction of Tuna
Long-Line Gear III : On the Results of the
Test Operations by the Long-Line Gear with 2 5
Hooks
8
マ グ ロ 延 縄 漁 具 の 構 造 に よ る 漁 獲 性 能
に 関 す る 研 究 一 Ⅲ
釣鈎2∼5本付延細漁具の比較試験結果について*
盛 田 友 弐 ・ 肥 後 伸 夫StudiesontheCatchE伍ciencyDerivedh・omthe
DiHerenceintheConstructionofTunaLong-LineGear-III
OntheResultsoftheTestOperationsbythe Long−LineGearwith2∼5Hooks TomokazuMoRITAandNobuoHIGo AhRlract Testoperationsoftunalong-linegearwithdiHerentnumbersofhooks(2∼5)pera basketwereperfbrmedundertheunifbrmconditionsinthelndianOceaninl961bythe trainingshipKagoshimaMaru.Itmaybeconcludedthattheanglinge田ciencydepends uponthenumberof,baitfishespel、onebasketanduponthepositionsof、thehooksonthe mainlineforonebasket,becausethepositionshaveaimportantinHuenceonthefeed-ingreactionoftuna、Whenfburhooksareconnectedtoeachbasket,thesuperpositionof theeHEctsofthetwofactorsbringsthebeste伍ciency. え が き ま マグロ延縄漁具は,現在釣鈎4本付, マグロ延縄漁具は,現在釣鈎4本付,5本付漁具が最も多く使用されている.しかし,釣 鈎の何本付延細漁具が最も漁獲効率のよいものであるか,現在ほとんど検討されていないよ うである. そこで,1961年の1月と8月とに本学練習船かごしま丸が印度洋の中央部並びに東部海 域でマグロ延細の操業実習を行った際に,釣鈎2本付,3本付・’4本付・’5本付の各種漁具 に つ い て 比 較 試 験 を 実 施 し た . そ の 結 果 に つ い て 2 , 3 の 知 見 を 得 た の で 次 の よ う に 報 告 す る. 試 験 漁 具マグロ延細漁具は,盛田ら(1955)')の報告のように海水中では一応catenary形状をなすも
のと考えられている.また,盛田ら(1956)2),3)は,1鉢分の各釣鈎に対する総体的な平均釣獲 *本報の一部は昭和36年10月の日本水産学会秋季大会にて発表した.盛 田 。 肥 後 : マ グ ロ 延 細 漁 具 の 漁 独 性 能 一 m 9 率が紐端の浮標に近い釣鈎ほど低下しており,この現象は釣鈎4本付,5本付,6本付のい ずれの漁具も同様な傾向であると考え,なお,このことはマグロ類の鉛直的な分布密度の濃 淡に起因するものでなく,水中における幹縄の形状に伴なう釣鈎の結着位置によって起るも のであると考えた.しかして,このように釣鈎の配置によって各鈎に対・する漁獲差が生ずる ならば,余り漁獲のよくない釣鈎を除いて,それに相当するだけの鉢数を増加する方が効果 的であると考える.よって,今回の操業試験に用いた漁具は釣鈎2本付,3本付,4本付, 5本付の各種延細漁具である.その内4本付,5本付漁具は,かごしま丸が常用しているも のであり,2本付,3本付漁具は前記両漁具の浮標に隣接する枝細,釣鈎をそれぞれはずし て改造したものである.また,これらの漁具の浮細は13尋枝細は14尋,枝間は25∼30尋で ある.各漁具の1鉢分の構造はFig.1に示すようである. これらの漁具は,その内の2∼4種を毎回同時に連結混用し,なるべく同一条件になるよ うにして比較試験を行ったのである. wate li (3) 5-HookGear F1ag 11, ( 2 ) ( 3 ) 4−HookGear (2) ( 1 ) ( 2 ) 3−HookGear 2−HookGcar Fig.’・Constructlonoftunalong-linegearwithinonebasket. 試 験 結 果 と 考 察 今回の試験操業で得られた釣獲資料は航海別にTablelとTable2とに示した.これら
の釣獲資料は毎回各漁具の同鉢数に対する釣獲尾数を採用した.各鈎に対する摂餌反応は魚
種によって異なるものと考えられるので,釣獲魚をマグロ類,カジキ類,サメ類に大別して 釣鈎別に表示した. 各漁具の比較:釣鈎4本付,5本付延縄漁具は1月と8月とに比較試験を行っており,そ の総釣獲尾数に対する釣獲率は,両漁具とも時季的な差は余りないようであるが,漁具別の10 鹿児島大学水産学部紀要第11巻第1号(1962)
釣獲率はう両季とも4本付漁具が非常に高率となっている.なお〉4本付漁具は両季を通じ
14回の内12回まで5本付漁具よりも好漁となっている.これは決して特異な一時的現象によるものでなく,釣鈎の配置に伴なう漁具の構造によるものと考えられる.すなわち,両季とも
5本付漁具は,1番,5番の鈎の漁獲が中央の鈎の漁獲より少なく,釣鈎別漁獲差は比較的大 きくなるが,4本付漁具は,釣鈎別漁獲差が概して少なく,総体的に好漁となったものと考 える.また,釣鈎2本付,3本付漁具は前述のように4本付,5本付漁具の最も効率の悪い両端
の釣鈎を除いた構造のものである.ゆえに,理論的にはこれら両漁具の釣獲率は4本付.'5
本付漁具より高率となるべきである.しかし,今回の試験の結果では,両漁具の釣獲率は余 り悪くないようであるが,4本付漁具のそれより低率となっている.このことは,魚類の摂 餌反応の誘発が,餌料魚の多少にある程度影響するものと考えられる.ゆえに,2本付.’3本付漁具のように釣鈎に掛けた餌料魚の数が余り減少すると,マグロ類の摂餌反応は総体的
に悪くなるものと考える.すなわち,1鉢分の釣鈎数を3本,2本と極度に減ずることは, 釣鈎の結着柵位置に関係なく,その漁具の総体的な釣獲率を鋤低下せしめるようになるものと思 考する. 釣鈎別漁獲差:釣鈎4本付,5本付漁具は,いずれも両端の釣鈎の漁獲が悪くなっており, これは前述のように釣鈎の結着位置に関係するものと考えられている.しかし,3本付漁具 ではそのような傾向はみられなく,むしろ,渡辺(1961)4)がキハダについて指摘しているよ うに前部の釣鈎(揚細時に先に揚げられる釣鈎をいう>鈎番号は1番,2番……の順で示さ れる)の漁獲が好漁となっている.なお,2本付漁具の場合も3本付漁具と同様な傾向と なっている.このような両漁具の釣鈎別漁獲差は,枝細,釣鈎の結着位置には関係がないよ うであり,むしろ,揚縄時における水中の細成りの状態がマグロ類の摂餌反応に影響するも ののように考えられる. また,釣鈎4本付,5本付漁具の釣鈎別漁獲差は魚種によって異なっており,その漁獲差 は,マグロ類では極めて明らかであるが,カジキ類,サメ類にはほとんど認められないよう である.すなわち,両漁具の構造上配置の異なる各鈎の餌料魚に対する摂餌の選択性は,マ グロ類では極めて明瞭であるが,カジキ類,サメ類では余り明らかでないものと思考する. 適正漁具構造:今回の各種漁具の比較試験結果よりみて,マグロ類を主要な対・象魚とする 延縄漁具は,一応4本付漁具が最も好適であると考える. なお,釣鈎4本付,5本付漁具における両端の釣鈎の漁獲効率が比較的悪いことは〉水中 において幹細及び浮標に隣接する枝柵,釣鈎が互に近接しすぎていることに起因するものと 考えられる.ゆえに,現在’使用されている延縄漁具のように,その枝間をすべて等間隔に構 成することは必ずしも通誉切であると考えられないのである.このような点を考慮するなら ば,釣鈎4本付の延細漁具は,更に浮標からそれに隣接する両端の枝細までの間隔を中央部 の枝間より長くし,なお,後端は前端より長く構成するようにした方が適切であると思考す る.しかして,このような構造の延細漁具については,今後漁場現場において実際の使用面 から充分試験;検討・をなす必要がある.たとえば,枝間の不同は漁具を仕立てるのに多少困難 であると思うが,このようなことについて実用上支障があるかどうか充分検討すべきであろ う.こO司引 11 一− 国唖.︷C、.○[国 回○・十﹃@.○国、 寺m・銅、ト.画⑦C C O O , 。
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