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マテリアルの性質を光で変える? 光誘起相転移の挑戦

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Academic year: 2021

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マテリアルの性質を光で変える? 光誘起相転移の挑戦

固体物質に入射した光子が多数の原子・分子の変化を生 み出し,巨視的な構造変化や電子状態変化が発生する現象 は,「光誘起相転移」とよばれている.この現象のおもし ろさは,光励起状態が原子や電子の間に働く相互作用を介 し,高い効率で多数の原子・分子の状態を変化させること にある.その結果,物質の色や構造から,誘電性や磁性, 伝導といったエレクトロニクス機能まで,劇的な相変化を 我々に見せてくれるのである.光による非接触なスイッチ ング現象は応用上も重要であるが,温度変化や化学ドーピ ングでは見られない新たな物質相を開拓するという,従来 とは大きく異なる物性研究のアプローチを可能にした. 近年,光誘起相転移の研究は,フェムト秒レーザーの出 現によって新たな局面を迎えている.フェムト秒レーザー とは,時間幅が 100 フェムト秒(1 フェムト秒は 10−15 秒) 程度の光パルスに多数の光子が集中した強力なレーザーで ある.このような短パルス光は,温度換算で実に 1 万度に も達するエネルギーを,原子や分子がひとゆれするより短 いわずかな間に集中して物質に与えることができる.この 利点を生かし,フェムト秒スケールで状態のオン・オフが できる究極の超高速スイッチ(ぺタヘルツ固体スイッチ) の探索も現在行われつつあ る. そのようなフェムト秒ス ケールでの電子相スイッチ の起源を調べる実験手法も, 研ぎ澄まされてきている. 測定の時間分解能は,フェムト秒からアト秒(10−18秒)に 高速化されつつある.光電子分光,X 線や電子線パルスに よる構造解析もフェムト秒スケールで行えるシステムが, 世界中で競うように建設されている.理論的な取り組みも 進んできており,光照射が系のハミルトニアンをどう実質 的に変えているのかを計算する試みも行われている.これ まで静的な性質を調べることで進化してきた固体物理学は, 「時間軸」という新しい座標を得たことで,面目を一新し ようとしている.レーザー分光技術の進展をベースに実験 と理論が一体となり,新現象の発見とその理論的理解とい う,現象論と知識の体系化の両面から,固体物理学の謎と して残っているダイナミックな側面を理解していく,新し い挑戦が進行している. 会誌編集委員会 ©2016  日本物理学会

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