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理科における言語活動を促す授業づくり : 活用する知識の習得とモデル図による支援

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(1)

理科における言語活動を促す授業づくり

一活用する知識の習得とモデル図による支援―

教 育実践高度化専攻

小学校教 員養成特別 コース

P12073H

林健吾

(2)

目次 第

1章

問題の所在 と研究の 目的・ 口・1 第

1節

理科における言語活動・・・1 第

2節

言語活動の困難性・・・2 第

3節

本研究の 目的 ロロ・3 第

2章

理論的背景・・・4 第

1節

言語活動 で活用す る知識の習得 ロロ・4 第

1項

教 えて考 えさせ る授業・・・4 第

2項

知識伝達一事例化モデル・・・7 第

3項

先行学習 ロロ・8 第

2節

思考 を可視化するモデル図 "口・9 第

1項

「見えないもの」 を見える化する「モデル化」・・・9 第

2項

描画法・・ ・10 第

3節

授業化の指針 ロロ・11 第

3章

「気体が溶 けた水溶液」における授業化・・・12 第

1節

単元の概要・ ロロ12 第

1項

対象 と実施時期 日■●12 第

2項

題材 と単元 目標 "口・12 第

3項

単元の指導過程・ ・・12 第

2節

本時における授業 口・・13 第

1項

教科書の比較 ロロ・13 第

2項

授業 における

2つ

の支援・・・15 第

3項

本 時の展 開 口・・15 第

4章

授業の分析 口・・17 第

1節

ワー クシー トに記載 されたモデル図の分析 ロロ・17 第

1項

目的・ ・・17 第

2項

方法・・ ・17 第

3項

結果 と考察・・ 口18 第

2節

机間指導 と発表の発話に関する分析・・・21 第

1項

目的 口・・21 第

2項

方法・ 口・21 第

3項

結果 と考察 ロロ・21

(1)D児

の事例・ “口21

(2)Y児

の事例・ 口・24

(3)S児

の事例・ 口・26

(3)

(4)C児

の事例・ 口・27 第

3節

アンケー ト結果に関する分析・ 第

1項

目的 口・・29 第

2項

方法・・・29 第

3項

結果 と考察・・・30 第

5章

総合考察と今後の課題 ロロ・32 引用 口参考文献 口・・34 謝辞・・・36 資料・ 口・38 学習指導案・・・39 ワークシー トロ0・ 45 アンケー ト・・・47 板書計画 口・・48 " ・ 29

(4)

1章

問題の所在 と目的 第

1節

理科 における言語活動 近年,各教科 において言語活動 を重視す るよ うになってきている。理科 も例外ではな く, 平成

20年

版小学校学習指導要領解説理科編 (以下

,学

習指導要領 とす る

)の

理科の改善 の基本方針では次のよ うに述べている0。 科学的な思考力・表現力の育成 を図る観点か ら

,学

年や発達の段階

,指

導内容 に応 じて, 例 えば

,観

察 。実験 の結果 を整理 し考察す る学習活動

,科

学的な概念 を使用 して考 えた り 説明 した りす る学習活動

,探

求的な学習活動 を充実す る方向で改善す る。 特に注 目すべき点は,「科学的な概念を使用 して考えた り説明 した りする学習活動」の部 分である。つま り

,理

科においては

,科

学的な知識を用いて自分の考えを相手に伝えるこ とで言語活動を育んでいくことを示唆 している。また

,こ

の基本方針を受けて小学校理科 の改善の具体的事項で言語活動に関連する部分 として次のように述べている力。 児童の科学的な見方や考え方が一層深まるように

,観

察 。実験の結果を整理 し考察 し表現 する学習活動を重視する。また

,各

学年で重点を置いて育成すべき問題解決の能力につい ては

,現

行の考え方を踏襲 しつつ

,中

学校 との接続 も踏まえて見直す。 特筆すべ き点は,「児童 の科学的な見方や考え方が一層深まるよ うに

,観

察 。実験 の結果 を整理 し考察 し表現す る学習活動 を重視す る」 とい う部分であ り

,観

察や実験で得 られた 結果 を表や グラフに整理 し

,予

想や仮説 と関係付 けなが ら考察 を言語化す るとい う言語活 動 についての事項が書かれている。 これ らのことか ら

,理

科 においての言語活動は

,得

ら れた知識 と実験や観察の結果であるグラフや表な どを使 つて整理 し

,言

葉 にす ることであ るこ とが分かる。 また

,角

屋 らは

,理

科 にお ける言語活動 を行 うために 「比較 。分類」「関連付 け」「仮説 をもとに した実験 とその結果 の評価」の

3つ

の技法があると述べている の。 この3つの技 法 を使 うことで角屋 らは,「論理 と思考 とい う言語活動の基盤である比較や分類,関連付 け, 帰納的な考 え方

,演

繹的な考 え方

,仮

説 を立てて観察 を行い

,そ

の結果 を評価 し

,ま

とめ 表現す る とい う技法や一連 の活動は

,問

題解決過程 とい う文脈 において成立す ると考え ら れ る。 したがって

,言

語力 は問題解決 の力 を支えるもの と考 えることができる」のと述ベ てい る。学習指導要領 は

,第

3学

年では,「・・…・を比較 しなが ら」第

4学

年 では,「・・…・を 関係付 けなが ら」のよ うに児童が対象に働 きかける視′点を示 してい る。理科では

,仮

説 を

(5)

立てて実験を行い

,そ

の結果から考察を行 う授業が主流 となっているので

,言

語活動を行 うための技法は十分に提示 されている。 しか し

,言

語活動を行 うための知識は十分に提示 されているのだろ うか。 第

2節

言語活動における困難性 現代の授業では

,児

童が問題を見つけ解決 していく「問題解決型」の授業が主流 となっ ている。 しか し

,詞

││は

,問

題解決型の授業を 「教えず考えさせ る授業」 と表現 し

,次

ような特徴を挙げた め。 。授業中に教科書を使わない (閉 じてお く

,も

しくは

,

しま うように教示 される)。 ・予習を促 さない (「 してこないでよい」あるいは

,よ

り強 く「してこないよ うに」 と教 示 される)6 。「○○のしかたを考えよう」 とい う呼びかけで始まる (教科書や教師の説明を理解する のではなく

,計

算の しかたや面積の公式などをすべて自力発見させ ようとする)。 ・新 しい概念については

,教

師か らは教えず

,具

体的操作活動を行わせて

,そ

こから帰納 的に導かせ ようとす る。 ・多様な考えを出すことを促す (「いろいろな意見を出 し合いましょう」 と呼びかける)。 そ して問題解決型授業には次のよ うな問題があると述べてい る0。 。既習内容 をもとに考えることを促 しても

,考

えあ ぐねて しま う子が多い。 ・討論 を通 じてわか らせたい と思っても

,ほ

かの子 どもの発言の意味が理解できず

,討

論 に参加 できる子が限定 され る。 。一方では

,塾

や予習な どで 「先取 り学習」を している子や

,す

ぐにわかって しま う子 も いて

,授

業の レベルや展 開の しかたに興味を失いがちになる。 ・授業のね らいや 目的か らはずれた 「多様な意見」が出すぎて

,わ

か らない子はますます 混乱 し

,教

師は扱いきれな くなって多 くの意見は切 り捨て られ る。 。自力解決や討論 に多大の時間を消費するために

,教

師がていねい に補足説明やま とめを す る時間がな くなる。 ・教科書 を使 わずに

,活

,板

,自

作 プ リン トで進 め られてい くため

,授

業後 に振 り返 つて じつ くり考 え直す手だてが乏 しい。

(6)

できる子が限定 され る」の部分では

,知

識が定着 していないために 自分の考えをまとめた り

,話

し合 った りす ることができないことが分かる。つま り

,問

題解決型 の授業では言語 活動 をす るための基礎的・基本的な知識 をつけることが困難 なのである。 このことは

,著

者 が教育実習に行つた時にも見 られたことである。実際の理科授業で も

,児

童がグループ 学習 に よる討論 に参加 できなかった り

,説

明ができなかった りす る児童がいた。 これは, 討論や説 明をす るための知識や道具がないために上手 く表現できないか らと考 えられ る。 第

3節

本研究の 目的 そ こで本研究では

,理

科 の授業 において

,先

に知識 を与えてか ら課題 に取 り組ませ ると い う考 えのもとで開発 された授業や

,児

童の考えを描画によつて可視化す る授業か ら得 ら れた知見をもとに授業 を構成す る。そ して

,知

識 を先 に与 えることで児童が 自分の考えを 整理 し

,そ

の考 えを図 と言葉で表現 して説明す ることで言語活動 を促進す る支援の効果に ついて検証す ることを 目的 とす る。

(7)

2章

理論的背景 第

1節

言語活動 で活用す る知識の習得 第

1項

教 えて考 えさせ る授業 市川 は,「知識 があって こそ人間はものを考えることができること」「学習の過程 とは, 与 え られた情報 を理解 して取 り入れ ることと

,そ

れ をもとに 自ら推論 した り発見 した りし てい くことの両方か らなること」つを基本的な考 え方 とす ることを訴 えている。 これ らの ことか ら

,何

か物事 を考 え

,発

見す るためには

,基

礎 となる知識 が必要であることが分か る。 その市川 が提唱 した授業法が 「教 えて考えさせ る授業」である。教 えて考えさせ る授業 の理科にお ける基本的な展開は以下のよ うになる0。 ①新 しい学習内容を予習させる。 ②学習内容を教師から説明した り

,演

示実験で具体的に示 した りする。 ③教師からの説明を受けた り

,演

示実験で具体的な方法を示されたりしたことを元にして 子どもたち自身による実験 。観察

,説

明活動

,教

え合い活動等を通 して理解を確認 させ る。 ④応用 。発展的な課題に取 り組み

,理

解を深めさせる。 ⑤自分の理解状態を表現 し

,自

己評価させる。 市り││の方法は次の

5段

階に整理 される の。①の段階では

,②

の段階の補助 として授業で 行 う内容の予習をさせてお く。 しか し

,授

業内容によつては授業内で教えても良い し予習 を省略 しても構わない。②の段階では

,こ

れから学習する事柄についての情報を与える。 演示実験により具体的な事象を示すことも含まれる。③の段階では

,子

どもたち自身に実 験 させた り

,事

象を相互に説明させた りすることを通 して理解の確認をはかる。④の段階 では

,一

通 りわかっていてもうつか り誤解 しそ うな課題や

,学

習 したことを応用 。発展 さ せる課題に取 り組ませて理解を深める。⑤の段階では

,わ

かったこと

,わ

からないことを 自己評価 させ

,次

につなげる。 これが教えて考えさせ る授業の基本的な展開となる。 この 基本的な展開を表 したのが図2‐

1で

ある10。

(8)

※省略可。また

,

授業内で行つても構わない

BIか

らの説明

班実験盤

観察

相互説明

教え合い

応用“

発展的課題

予想

"討

理解状態の記述

学習感想

理 解 深 化

自 己 評 価

考 え さ せ る 図

2-1

教えて考えさせる授業の基本展開図 (市川の図を抜粋) 教えて考えさせ る授業では,「教える」段階 と 「考えさせ る」段階の

2つ

の段階に分け られる。「教える」段階では教師からの説明を聞いた り演示実験を見た りすることで

,知

識 を身につける。その知識が理解できたか確認するために実験や教え合いをする。 しかし, この段階のままでは「半わか り」

,つ

ま り「分かつたつもり」の児童が出てきて しま う可能 性がある。そこで,「半わか り」か ら「本わか り」にするために

,理

解深化 として

,応

用 。 発展課題に取 り組ませ,「教える」段階で身につけた知識を使つて理解を深めていく。最後 に自己評価 をすることで, 自分がしつか りと理解できたかを確認する。 この教えて考えさせ る授業を行 うときに市り││は

4つ

のポイン トがあると述べている。以 下は

,そ

のポイン トをまとめたものであるlD

(9)

「教える」の部分では

,教

,教

,操

作活動などを工夫 したわか りやすい教え方を心 がける。また

,教

師主導で説明するにしても

,子

どもたちと対話 した り

,と

きお り発言 や挙手を通 じて理解状態をモニター した りする姿勢をもつ。 。「考えさせる」の第 1ス テップとして,「教科書や教師の説明 したことが理解できている か」を確認する子 どもどうしの説明活動や

,教

え合い活動を入れる。これは

,問

題を解 いているわけではないが

,考

えないとできない活動 として重視する。 。「考えさせる」の第2ステ ップとして

,い

わゆる問題解決部分があるが

,こ

こは ,「理解 深化課題」 として

,多

くの子 どもが誤解 していそ うな問題や

,教

えられたことを使つて 考えさせる発展的な課題を用意する。小グループによる協同的問題解決の場面により, 参力日意識を高め

,コ

ミュニケーションを促 したい。 ◆「考えさせる」の第3ステ ップ として ,「授業でわかつたこと」「まだよくわか らないこ と」を記述 させた り,「質問カー ド」によつて

,疑

間を提出す ることを促す。 これは, 子 どものメタ認知を促す とともに

,教

師が授業をどう展開 していくかを考えるのに活用 できる。 このポイン トで特に注 目したい部分は,「考えさせる」の第2ステ ップにある「教えられ たことを使つて考えさせ る発展的な課題」 とい う部分

,つ

ま り理解深化課題である。市川 は

,こ

の部分を 「教えて考えさせる授業」のヤマとしてお り,「『考えさせ る』段階での急 所は

,理

解深化課題の問題解決活動です。 ここの課題設定のよしあしが

,授

業の成否を左 右 します」1カと述べている。市川は

,こ

の理解深化課題 を以下の

3つ

の方法を提案 してい る13)。

1つ

日の方法は

,子

どもが誤解 しがちな問題を用意することである。理解深化課題の問 題 として最 も適切なのは,子どもがいかにも誤解 しそ うなことを先生が課題 として用意 し, このときどうなると思 うか

,子

どもたちに考え方をいろいろ出させた うえで討論 させるこ とである。また

,子

どもたちが

,実

測 した り

,理

論的に考えた り

,討

論 した りして

,自

ら の誤解 を修正 していくような学習ができれば

,理

解深化 として

,非

常に意義ある活動にな る。 これ らのことか ら

,誤

解 しやすい課題に取 り組むことで誤概念をなくし

,わ

かつたつ もりか ら脱却す ることがね らいであることが分かる。

2つ

目の方法は

,習

ったことを応用 。発展 させ る問題を用意することである。それまで の時間で習ってすでに知っていることや

,こ

の時間に先生か ら習つたことを使つて発展的 な課題 を考えるとい うようなことが考えられる。既習内容を利用 して

,そ

の既習内容に関 する新たな知識をつけることができる。

3つ

目の方法は

,試

行錯誤による技能の習得である。「教えて考えさせ る授業」は

,決

(10)

ことが本当に伝わつたかどうか

,素

振 りをさせて

,注

意する。これが理解確認 となる。 と ころが

,そ

れです ぐに うまくサーブが打てるかとい うと

,と

てもそ うい うわけにはいかな い。教わったことを頭に入れながら

,自

分でやつてみて,「なぜ うまくいかないのか」「ど うすれば うまくい くのか」 とい う試行錯誤を繰 り返 しながら

,身

に付けていく。 ここが, 理解深化にあたる。 市り││は,「『教わっただけでは うまくできない技能を

,考

えながら身に付けてい く』 とい う学習は

,国

語や英語の中でも数多 くあ ります。国語では

,発

表の しかた

,作

文の書き方 などが好例です。注意すべきポイン トを教師か らしつか りと教示 した うえで練習を重ねて いくことにな ります。英語では

,文

法事項や,さまざまな表現を習つたとしても,『頭の中 でわかつた状態』であって

,な

かなかスムーズに使えるようにはな りません。それを練習 して流ちょうなコミュニケーションができるようになっていくわけですから

,こ

れはスポ ーツの練習に非常によく似ているともいえます」1のと述べている。このことから ,「教えて 考えさせ る授業」は

,実

技にも使用することができ

,知

識を得るだけでなく

,技

能の習得 にも使えることが分かる。 第

2項

知識伝達一事例化モデル 知識伝達―事例化モデル とは

,単

元全体を

2つ

の段階に分けて構成 されている授業モデ ルである。

1つ

目の段階は教師が知識を教える 「知識伝達」の段階である。

2つ

日の段階 は児童が与えられた知識を使つて考える 「事例化」の段階である。 この

2つ

の段階を石田 らは次のように角峯説 している1め ① 「知識伝達」の段階 自然現象を見る際の科学の枠組みを教師が研究 し

,そ

れを子 ども達に

,分

か りやす く 教える学習を展開する。 ② 「事例化」の段階 子 どもが

,①

か ら生まれた疑間や興味 。関心を自分で追及する際に

,①

で教わつた科 学の枠組みを活用 して考える学習を展開する。更に

,こ

の段階は

,事

例化をより的確 に行 うために

,科

学の枠組みを再現 した り

,類

似事象に適用 した りする 「再現的事例 化」 と

,発

展的にそれを使つた り試 した りする「発展的事例化」の

2つ

の段階で構成 する。 また

,科

学の枠組 み と事例化 を表2‐1の よ うに定義 している10。

(11)

2-1

科学の枠組みと事例化の定義 (石田の定義をもとに著者が作成) 用 語 定義 科学の枠組み 内容知や方法知のことであ り

,知

識伝達 とは

,一

方的な教 え込みで はな く

,科

学の枠組みの活用 を意図 して

,子

どもの認知構造に関連づ くよ うに

,教

師が

,そ

の教 え方 を工夫す ることによつて

,子

どもにと って有意味に学ばれ るものである。 子 どもが,科学の枠組みを使 つて身の回 りの 自然事象 を解釈 した り, 応用的な観察・実験や ものづ くりに取 り組んだ りす ることであ り

,科

学の枠組 みが

,子

どもの中に生きて働 く知識 として獲得 され る学習で ある: 事例化 つま り,知識伝達―事例化モデルは,科学の枠組みを使 うことを前提 として児童に教え, そこで得 られた知識を事例化により活用 されることで

,子

どもの中に知識 として獲得 され るよ うにする授業である。特に

,事

例化することの重要性を石田らは

,次

のように示 して いる 1つ。「知識伝達」によって伝達 された知識の意味内容が

,完

全に伝達 されるとい うこ とはほとんどない。しか し,「知識伝達」が十分でなくとも子 どもは

,事

例化を繰 り返 しな が ら

,よ

り正確な意味づけを行つていくことを指摘 している。つま り

,た

とえ伝達 された 科学の枠組みの理解が不十分であつたとしても,事例化を通 してそれを理解 し,精緻化 し, 体制化することできるのである。このことか ら,知識は伝達 されるだけでは不十分であ り, その知識 を使 うことが重要であるととらえることができる。 第

3項

先行学習 先行学習 とは,「予習あるいは授業前半の教師か らの説明等を通 して

,授

業後半の考えさ せる場面で深い理解 と思考を保証 されるような予備知識を獲得する学習」lDのことである。 この先行学習での効果 として鏑木は,「予備知識を持たせ ることで焦点的・分析的な見方考 え方が促せると共に協同学習で積極的な発言や討論等を志向する構えが顕著 となる」10と 指摘 している。また

,先

行学習の利点 として鏑木は以下のようなことを示 した2の

1.見

通 しが もてる。

2.分

析 的・ 焦点的 に見 よ うとす る。 3。 思考が深 まる。

4.協

同学習が促進 され る。

5.知

ってい る子 どもも飽 きない。

(12)

るこ とがで きる。そのことか ら, 日標 を明確に持つ ことができ

,見

通 しをもつて学習す る ことができる。

2の

分析的・焦点的に見 る場面では,先行学習に よる予備知識 があるため, その知識 に関連す ることに焦点を当てなが ら物事に対 して分析す ることができる。

3の

思 考 を深 める場面では

,予

備知識 を使 うことで

,そ

の知識 を定着 させ ると共にその知識 に関 連す る事柄 について考 えることができる。

4の

協同学習 を促進す る場面では

,主

に先行学 習で与 え られた知識 を使 つて学習す るため

,そ

の場においての知識 の差はほとん どない。 よつて レベル の上下がなく

,お

互いの学び合いが促進 され る。

5の

知 っている子 どもに対 しての支援 については

,今

か ら学習す る内容を知っているか らといって学習意欲が低下す るこ とはないことを示 している。 特 に

,鏑

木 は

,理

科授業での先行学習の成果 を次の

3つ

にま とめた2D。

1っ

目は児童が 意欲的 に取 り組む ことである。実験の結果 を知っていた として も本 当にその結果のとお り にな るのか試 した くて ウズ ウズす る様子が見 られ,学習意欲 が高まつてい ると述べてい る。

2つ

日は

,実

験 。観察す るときの児童の視点が明 らかになったことである。予習で分か ら ない ことが分かつた り

,先

行学習で学んだ知識 を使 つてお互いに説明 した りして

,何

とな く授業 を受 けた り実験 を した りす る児童がいな くなった と指摘 してい る。

3つ

日は

,自

分 の生活に結びつけて考 えるよ うになった ことである。例えば,「て この原理な らばハサ ミで 切 る ときに本 当に支点に近いほ うが よく切れ るのか」「水溶液の性質な らば,炭酸入 りのジ ュースには二酸化炭素が溶 けている」な どのように自分の身近なもの と結びつけようとす る児童が増 えたことを例示 している。 これ らのことか ら

,先

行学習 を行 うことで

,学

習意 欲 を高めつつ

,明

確 な視点 を持 って学習 を行い

,授

業で学んだ ことを 自分の生活 に結びつ けて考 えることができるよ うになることが分かる。 第

2節

思考を可視化するモデル図 第

1項

「見えないもの」を見える化する「モデル化」 モデノ1/4ヒとは

,磁

石の力や空気など

,普

段は日で認識できないものを絵や図で表す こと をい う。モデル化す ることの利点を日置 らは,「モデル化することで

,モ

デルに表 した子 ど もにとっては自分のイメージや考えを明確にすることができるし

,子

ども同士でそのイメ ージのもととなっている考えを交流することもできる。モデルの交流は

,事

象の原因 。要 因を明らかにした り

,因

果関係に気づかせた りすることにつながる。 このことは

,最

近の 授業研究の課題 となっている『 思考を深める』ための有効な方法 ともなるだろう」2のと述 べている。例えば

,空

気鉄砲の仕組みを学ぶ ときに

,筒

の中の空気が圧縮 されていること を推測す るために空気鉄砲の筒の中の空気を図で表すことで

,何

故空気鉄砲の弾が飛ぶの かが考えやす くなる。つま り

,モ

デノイヒをすることで

,事

象に対 して自分のもつているイ メージを表現することができ

,そ

れを相手に伝えることができるようになる。 しか し

,モ

(13)

デル化をするときに注意点もある。日置 らは,「観察図だけきちん とかければよい とい うこ とではない。実際のところ

,絵

図は苦手で言葉の方が言いたいことを伝えることができる とい う子 どももいるだろ う」2のと述べている。絵図ばか りにとらわれずに

,言

葉による説 明も加 えることで

,絵

図だけでは表現 しにくいことを表現できるようにすることが大事で ある。 第

2項

描画法 描画法 とは

,事

象についてめ自分の考えを

,絵

に描いて表現す る方法である。 この描画 法で中山は,「『何 も見ずにバ ッタの絵を描いてみる』『 お腹の中の赤ちゃんの様子を想像 し て描 く』『 導線の中を流れる電流の様子を考えて描 く』などのように,自 分の知識や考えを 表に出す ことが大切である」2のと述べている。つま り

,ス

ケッチのように何かを見なが ら 模写す ることに限 らず

,自

分の中にある知識やイメージを描き出す ことが描画法である。 描画法 とモデル図は

,ど

ちらも絵を描 くことで自分のイメージを可視化 し

,表

現すること ができるとい う共通点がある。また

,モ

デル図は描画法の一つであ り

,現

象を粒

,矢

印や 比喩を用いてモデル化するとい う特徴を待つ。 中山によると

,描

画法には表2‐

2の

ような特徴がある2め。

表2-2 描画法の特徴

(中

山をもとに描画法の特徴を著者が作成

) 導線 内の電流 とか

,植

物 の根や茎 の中の水の通 り道 のよ うな, 日に見 えない部分を描 いてい くことで

,自

然 の仕組み について考えさせ ることができる。 科学的な問題解決 には

,日

に見 えない 自然のシステムについて 自分の考えを明解 に表 現 し

,他

人 と共有 して対話す るための道具が必要である。 これ には

,描

画法が特に適 してい る。 何 か を描かなけれ ばな らないので

,具

体的な存在物 に見立て る発想 を誘導 しやすい。 た とえば

,電

流 回路 の描画では,「中を通 る何 かがある」 とい う考 えを引き出 しやす υヽ。 明解な考えが持てない場合 も

,絵

を描きなが ら自分 自身の考えを作つてい くことがで きる。 第 1に

,見

えない ものを予想 して描 くことで

,自

然 の仕組みが どうなつているのか考 え させ るこ とができ

,思

考 を働 かせ る手助 けとなる。第

2に

, 日に見 えない ものを相手に説 明す る時 に

,描

画法で描いた絵 を使 うことで説明が しやす くなることを示 している。第 3

,何

もない とい うことはな く

,何

かがそ こにはあるとい うことが分か り

,そ

の何かを見 つけて考 え られ るよ うに している。第

4に

,考

えなが ら描 くことで

,自

分 の考 えをま とめ てい くことができる。 1. 2. 3. 4.

(14)

さらに

,中

山は,「描画法では

,単

に自紙に描かせ るのではな く

,絵

を描 く場面をどう設 定す るかが大切である。た とえば

,植

物 の茎 と根 を太 く描いた用紙 を配布 して

,根

や茎の 中を水が ど う通 つてい くかを描かせ るとか

,電

流回路の導線 を太 く描いておいて

,そ

の中 を流れ る電気 の様子 を描かせ るとい うよ うにす るのである」20と述べてい る。つま り

,何

で もいいので描かせ るのではな く

,児

童が考えてほ しい

,イ

メー ジ してほ しい 自然の仕組 みの部分 について描かせ るために教師側がある程度方向づけす ることが大切であることを 示 してい る。

・ 本研究では

,表

2‐

2に

示 され た第

2の

特徴 である他人 と共有 して対話す るための道具 と い う視点を重視す る。描画法を対話の道具 として使 うことについて 日高は,「描画法 は

,見

えない ものや 日の前にない ものを描いた絵である。言い換 えればイ メージを描 き出す こと になる。絵 を描 くことで, 自分が何 をどう考えているかを確認 し

,他

人の描いた絵 を見 る ことで

,そ

の人が何 を どう考 えているかを知 ることができる。描画 を見比べ ることで, ど こが同 じで,ど こが違 うのか視覚的に とらえ られ る。そ して,この違いが対話の基 にな り, 論点 となってい く」2つと述べている。つま り

,自

分 の考 え と相手の考 えを視覚的 に比較す ることができ

,共

通点や相違′点を見つけやす くし

,対

話 の機会が増 えることとなる。描画 法 は

,相

手 に伝 える

,対

話す るための道具 として非常に有効である。 第

3節

授業化の指針 ここまで

,言

語活動 をす るための知識 を先 に与えること

,自

分のイ メー ジをモデル化す ることで考 えを伝 えやす くなることを述べてきた。 これ らの ことか ら

,授

業の構想 にあた つて

2つ

の指針 を定める。

1つ

目の指針 は

,基

礎知識 を先 に教 えることで

,考

えるための 材料 を与 えることである (以下

,指

Aと

す る)。 第

2章

第1節の先行研究では

,授

業の 前 も しくは最初 に知識 を与 えてお くことで

,授

業 に見通 しを持 つて臨む ことができ

,学

ん だ ことを使 つて理解 を深 めることができることを述べてきた。また

,そ

の知識 を学ぶだけ でな く

,そ

の知識 を活用す ることで 自分の中に修 めることができる。 このことか ら

,先

に 学んだ ことを活用 して考 えることで理解 を深めることに繋がる。

2つ

目の指針 は

,見

えな い ものを見えるよ うにモデル化す ることで 自分の考えを表現 しやす くし

,説

明 しやす くさ せ ることである (以下

,指

Bと

す る)。 第

2章

2節

の先行研究では

,普

段見えない も のを見えるよ うにモデノL/fヒす ることで

,自

分 の考 えを表現 し

,イ

メー ジを持 ちやす くす る ことができることを述べてきた。 また

,モ

デル化 した ものを活用す ることで

,自

分の考 え をよ り分か りやす く相手に伝 えることができる。つま り

,モ

デル化す ることによつて 自分 の考 えをよ り鮮明に表現でき

,相

手に伝 えやす くなることが考え られ る。 この

2つ

の指針 を持 って

,授

業 を構成 してい く。

(15)

3章

「気体が溶 けた水溶液」における授業化 第

1節

単元の概要 第

1項

対象 と実施時期

S市

A小

学校 の第

6学

年 1学級 18名 (男子 10名

,女

子8名

)を

対象 とし

,2014年

11月 21日 の

5校

時 に実施 した。

2項

題材 と単元 目標 題材 は

,小

学校

6学

年理科 の内容

A(2)「

水溶液の性質」であった。単元 目標 は

,い

ろ いろな水溶液が金属 と反応す るようすを調べた り

,

リ トマス紙な どを使 つて物質 を

3つ

の 性質にまとめた り

,水

溶液 に溶 けているものを調べた りす る活動 を通 して

,水

溶液の性質 について推論す る能力 を育む とともに

,そ

の性質やはた らきについての考 えをもつことが できるよ うにす ることであった。

・ 第

3項

単元の指導過程 単元 の指導過程 は表3‐1のよ うになる。 表

3-1

単元の指導過程 時 限 児童 の活動 1

2∼

3

4∼

5

6∼

7

8(本

時) 9 金属 に うすい塩酸 を加 えた ら

,金

属は どの よ うに変化す るか調べ る。 塩酸 に溶 けた鉄やアル ミニ ウムが どうなったか調べ る。 塩酸以外 にも金属 を変化 させ る水溶液があるか調べ る。 水溶液 には どんな仲間に分 け られ るか調べ る。 二酸化炭素 と水 を使 つて炭酸水ができるか調べる。 水溶液 の性質 をま とめる。 この単元は

,全

9時

間で構成 された。第

1時

では

,水

溶液やガラス器具などを使つて, 金属が変化する様子を調べることを目標 とした。授業の流れ として

,腐

食 した金属像など の画像 を見せ

,そ

の原因などを話 し合わせ ることで

,酸

性雨などの金属を変化 させる水溶 液に興味をもたせた。そこか ら,金属を変化 させる性質をもつ水溶液 として塩酸を紹介 し, 身近にある金属を うすい塩酸に入れて金属が変化するようすを調べた。 第

2時

,第

3時

では

,

うすい塩酸に入れた金属の変化か ら推論 して

,

うすい塩酸が金属 を質的に変化 させたと考え

,

自分の考えを表現することと

,蒸

発皿に残つたものの性質を

(16)

調べ

,結

果 を記録す ることを 目標 とした。授業の流れ として

,溶

けた金属が どうなったか 予想 して

,確

かめる方法を考 えた。鉄 を溶か した水溶液 を蒸発 させ て

,磁

石 を近づけてみ た りうすい塩酸に入れてみた りして

,鉄

の性質が変化 したことを理解 して

,そ

の結果 を記 録 した。 第

4時

,第

5時

では

,水

溶液 と金属の反応 を調べることで金属を変化 させ る水溶液があ ることを理解 し

,結

果 を記録す ることを 目標 とした。授業の流れ として

,

うすい塩酸以外 に うすい水酸化ナ トリウム水溶液 と食塩水 を用意 し

,そ

れぞれ の水溶液 に鉄やアル ミニウ ムを入れ

,

どの よ うに変化 したかを調べ

,

うすい塩酸以外 にも金属 を変化 させ る水溶液が あることに気づかせた。 第

6時

,第

7時

では

,

リ トマス紙な どを使 つて

,水

溶液 の性質 を調べ

,酸

,中

,ア

ル カ リ性の

3つ

の仲間に分 け られ ることを理解す ることを目標 とした。授業の流れ として , うすい塩酸

,

うす い水酸化ナ トリウム水溶液

,食

塩水

,炭

酸水

,石

灰水 を用意 し

,そ

れぞ れ に赤色の リ トマス紙 と青色の リ トマス紙 を入れて変化 を調べた。その結果か ら

,そ

れぞ れ の水溶液は

,酸

,中

,ア

ルカ リ性 に分 けられ ることを理解 させた。 第

8時

では

,二

酸化炭素が水 に溶 けるとい うことを

,炭

酸水か ら二酸化炭素が取 り出せ るとい う既習事項 とモデル図を使いなが ら自分の言葉で 自分の考 えを説明できることを目 標 とした。授業の流れ として

,炭

酸水 には二酸化炭素が溶 けていることを教 えて確認 の実 験 を した。その実験 を通 して

,炭

酸水 に二酸化炭素が溶 けていることが確認できた ら

,二

酸化炭素 と水 を使 つて炭酸水 を作れ るかを予想 させ

,水

と二酸化炭素 を混ぜ合わせた。そ の結果 をモデル図で表 し

,既

習事項である炭酸水 には二酸化炭素が溶 けていることとモデ ル図を使 つて

,二

酸化炭素が水 に溶 けたことを説明 させた。

9時

では

,水

溶液 には

,金

属 を変化 させ るものがあること

,酸

,中

,ア

ルカ リ性 があること気体が溶 けているものがあることを確認す ることを目標 とした。授業の流れ と しては

,今

まで学習 してきたことを振 り返 させ なが ら水溶液の性質 をま とめた。

2節

本時における授業 第

1項

教科書の比較 水溶液の性質につい て教科書会社

6社

A社,B社,C社

,D社

,E社 ,F社

を比較 した。 次の表3‐

2は

水溶液 に溶 けている気体 を調べ る際

,二

酸化炭素に関す る記述 を教科書会社 別 に比較 した ものである20203031)3の30。 13

(17)

3-2

水溶液に溶けている気体に関す る記述 会社名 記述内容

A社

B社

C社

D社

E社

F社

炭酸水 は

,二

酸化炭素が とけた水溶液です。炭酸水か ら出てい るあわは

,二

酸 化炭素なのか

,調

べてみま しょう。 炭酸水 か ら出ている気体が

,二

酸化炭素なのか調べ よ う。 炭酸水 には

,何

が とけているのだろ うか。 炭酸水 か ら出るあわを調べ る 石灰水 は二酸化炭素が水に とけてできる炭酸水 と混 ざつて も,自 くにごります。 炭酸水 の中か ら出て くる気体 を

,調

べ よ う。

A社

,炭

酸水が二酸化炭素に溶 けていることをはつき りと明言 してい る。

B社

,炭

酸水 か ら出て くる気体が 「何か」 とは間わず,「二酸化炭素なのか調べ よ う」 としている。 これは

,炭

酸水 に溶 けてい るものが二酸化炭素であることを児童が教 えられたことにより 知 ってい るため

,複

数 を示す 「何か」ではな く 「二酸化炭素を調べ よ う」 と限定 している と考 え られ る。

E社

,炭

酸水 か ら二酸化炭素を取 り出す実験は していないが

,二

酸化炭 素が水 に溶 けるかの実験 は行 つている。 この ときに

,表

3‐

2の

「石灰水は二酸化炭素が水 に とけてできる炭酸水 と混 ざっても,自 くにご ります」とい う文言を入れている。これは, 実験前 に提示 しているわけではないが

,結

果 を予想す る上で

,考

えるための材料の1つと して提示 してい ると考 えられ る。残 りの

C社

,D社

,F社

には水溶液 に溶 けている気体 を 調べ るときに

,炭

酸水 には二酸化炭素が溶 けているとい うことは教 えていない。 つま り

,教

科書 によっては

,炭

酸水 に二酸化炭素が溶 けていることを事前に教 えてか ら 二酸化炭素が水 に溶 けるのかを考えさせていることが分かる。また

,水

溶液 には気体が溶 けてい るものがあることを学ぶ場面では

,教

科書 ご とに記載 されている実験が異なってい る。表3‐

3は

各教科書会社の実験 をま とめた ものである。 表

3-3

水溶液 に気体が溶 けていることを確かめる実験の有無 会社名 炭酸水 か ら二酸化炭素 を取 り出す 二酸化炭素 と水 を振 り混ぜ る実験 実験

A社

B社

C社

D社

E社

F社

記載 あ り 記載 あ り 記載 あ り 記載 あ り 記載 な し 記載 あ り 記載 あ り 記載 な し 記載 あ り 記載 あ り 記載 あ り 記載 あ り

(18)

まず

,実

験 の内容 として

A社

,C社

,D社

,F社

は炭酸水か ら二酸化炭素を取 り出す実 験 と二酸化炭素 と水 を振 り混ぜ る実験 を行 つている。

B社

,炭

酸水か ら二酸化炭素を取 り出す実験は行 つているが

,二

酸化炭素 と水 を振 り混ぜ る実験は行 つていない。

E社

は, 炭酸水 か ら二酸化炭素を取 り出す実験は行 つていないが

,二

酸化炭素 と水 を振 り混ぜ る実 験 は行 つてい る。つま り

,炭

酸水 か ら二酸化炭素を取 り出す実験 を してか ら二酸化炭素 と 水 を振 り混ぜ る実験 を行つている教科書が多い ことがわかる。また

,指

導書で時間数 を比 較す る と

,A社

のみ

1時

間で扱 ってい るが

,他

の教科書では全て

2時

間で扱 つてい る。 こ の差 は

,炭

酸水 には二酸化炭素が溶 けていることを事前 に教 えてい ることで生まれたもの と考 え られ る。 そ こで

,事

前 に学習内容 を教 えることで実験 を複数行いつつ知識 を深 めることができる と考 え

,炭

酸水 に二酸化炭素が溶 けていることを事前に教えることとした。

2項

授業における

2つ

の支援 授業 をす る上で言語活動 を重視す るために指針

A,指

Bの

2つ

の指針 を立てた。その

2つ

の指針 をもとに

2つ

の支援 を本時の授業では行 つた。

1つ

日は炭酸水 に二酸化炭素が 溶 けてい ることを教 えることである (以下支援

Aと

す る)。

2つ

目は見えないものを可視 化す るよ うに助言す ることである (以下支援

Bと

す る)。 支援

Aで

,学

ぶべ きことを最 初 に教 えることで知識 を与 え

,そ

の知識 を使 って応用課題や発展課題 に取 り組みやす くさ せ る。 また

,話

し合いをす るときには

,話

し合いをす るための知識 が必要 になるので

,そ

の知識 を与 えることができる。支援

Bで

,ペ

ッ トボ トル を使 つて二酸化炭素 と水を混ぜ る実験 を行 つた ときに

,二

酸化炭素が どこに移動 したのかを粒子モデル を使つて表現 させ る。 このよ うに見えない ものを見えるよ うにす ることで

,児

童 に とつてペ ッ トボ トルの中 の二酸化炭素が水 に溶 けた ことが見えるようになって理解 しやす くな り

,ペ

ッ トボ トル に 二酸化炭素 と水 を入れて振 つた ときに,ペッ トボ トル がへ こむ現象の説明が しやす くなる。

3項

本時の展開 授業 にお ける

2つ

の指針 を取 り入れた本時の展開は表3‐

4の

よ うになる。 15

(19)

3-4 2つ

の指針を取 り入れた本時の展開 児童の活動

1.炭

酸水 に何が溶 けているか予想す る。・・・支援

A

2.溶

けている気体が二酸化炭素であることを調べ る方法 を確認す る。

3.炭

酸水 か ら二酸化炭素を取 り出す実験 をす る。

4.実

験で取 り出 した気体が二酸化炭素であるかを線香 と石灰水で確認す る。

5.分

かつたことを発表す る。

6.逆

に二酸化炭素 と水か ら炭酸水ができるのか予想す る。

7.二

酸イヒ炭素 と水 をペ ッ トボ トル に入れて振ってかき混ぜ る実験 をす る。

8.ペ

ッ トボ トル がへ こんだ理由を考え

,ワ

ー クシー トに 言葉や図で表す。・・ 。支援

A,支

B

9.考

えた ことをグループ内でモデル図を使 つて説明 しあ う。・・・支援 二

10.出

てきた意見を全体で発表す る。

11.授

業の感想 を書 く。 授業の最初 に炭酸水に二酸化炭素が溶 けていることを教 えた。児童がそのことを確認で きた ら実際に炭酸水か ら二酸化炭素 を取 り出す実験 を させ て

,本

当に炭酸水か ら二酸化炭 素が出て くるのか を確認 させ る。 この実験 を 「確かめる実験」 とした。 この確かめる実験 を した後 に

,逆

,水

に二酸化炭素が水 に溶 けるかを予想 させた。予想ができた らペ ッ ト ボ トル に水 と二酸化炭素を入れて混ぜ る実験を行つた。この実験を「深める実験」と呼ぶ。 深 める実験ではペ ッ トボ トルがべ こむので

,何

故ペ ッ トボ トルがへ こんだのかをモデル図 と確かめる実験で得た 「炭酸水には二酸化炭素が溶 けている」 とい う知識 を使 つてグルー プ内で説明 し合 うことで言語活動 を促 した。最後にグループで出た説明を全体で共有 し, 実験 を通 して気づいたことや話 し合いができたかを確認 させた。

(20)

4章

授業の分析 本研究の 目的である「知識を先に与えることで児童が自分の考えを整理 し

,そ

の考えを 図と言葉で表現 して説明することで言語活動を促進できる有効性」を検証す るために

,ワ

ークシー ト

,机

間指導中の児童の発話

,意

識調査のアンケー トの

3つ

を使つて分析を行っ た。 第

1節

ワークシー トに記載 されたモデル図の分析 第

1項

目的 ワークシー トに示 された二酸化炭素の粒子のモデル図から

,水

に二酸化炭素が溶けたと い う概念を児童が獲得できたのかを明らかにする。 第

2項

方法 表 3‐

4の 8の

「ペ ットボ トルがへこんだ理由を考え

,ワ

ークシー トに言葉や図で表す」 活動でペ ッ トボ トルの絵を用意 し

,ペ

ッ トボ トルを振 り混ぜ る前後を比較 して

,二

酸化炭 素の粒子が水中に移動 したことを描けているか検証 した。活動時間は約

10分

で図や言葉 を書 くときは個人で行わせた。図や言葉を書くときに

,二

酸化炭素の粒子はペ ッ トボ トル を振る前 とペ ッ トボ トルを振つた後の両方に描 くことを指示 した。図4・

1は

その時に使用 したワークシー トの一部である。 1華

醸議聯轟議

:ど

1準

iⅢ

0攀

建曇

:懇

熱躊轟

LIて

みよう。

1鐸

==ゴ

>.:

4-1

ペッ トボ トルの中の二酸化炭素の粒子をモデル図にするワークシー ト 17

(21)

この ワー クシー トでペ ッ トボ トル をふった後の絵 を事前に描いていないのは

,実

験前に ペ ッ トボ トルがへ こむ とい う情報を児童に与えないよ うにす るためである。つま り

,ペ

ッ トボ トルがへ こむ とい う現象 とへ こんだ理 由を児童が描 くために空 けている。 また

,二

酸 化炭素が水 の中に移動す ることを描 き

,言

葉で説 明す るよ うに してい る。表 の4‐1は

,児

童の描写を分析す るための評価基準である。 表

4-1

児童のワークシー トの評価基準 評価基準 評価 内容 二酸化炭素の粒子 を描 き

,言

葉 での説 明 も してい る 二酸化炭素の粒子は描かれているが

,言

葉 での説明がない 二酸化炭素の粒子は描かれていないが

,言

葉での説 明はある 二酸化炭素の粒子 も言葉での説明もない 評価基準は

4段

階 とした。

Aの

評価は二酸化炭素の粒子を描き

,言

葉でペ ッ トボ トルが へこんだ理由も書 くことができている児童を対象 とした。

Bの

評価は

,二

酸化炭素の粒子 を描いてはいるが

,ペ

ッ トボ トルがへこんだ理由を書いていない児童を対象 とした。

Cの

評価は

,二

酸化炭素の粒子は描けていないが

,ペ

ッ トボ トルがへこんだ理由を書いている 児童を対象 とした。

Dの

評価は

,二

酸化炭素の粒子 もペ ッ トボ トルがへ こんだ理由も書け ていない児童を対象 とした。 第

3項

結果と考察 次の表4‐

2は

児童のワークシー トを評価基準によつて分類 した結果である。 表

4-2

児童の ワークシー トを

4段

階に分類 した結果 評 価 人数 (名)

A(二

酸化炭素の粒子 も言葉の説明も書いている

) 13

B(二

酸化炭素の粒子のみ描いている

) 1

C(言

葉 のみ書いている

) 1

D(二

酸化炭素の粒子 も言葉の説明も書いていない

) 3

18名 の うち

Aの

評価 であった 13名 は二酸化炭素の粒子 を描 き

,二

酸化炭素の粒子が水 の中に移動 したことによ リペ ッ トボ トルがへ こんだこととその理 由を記述 していた。ペ ッ トボ トルがへ こんだ理 由として

,二

酸化炭素が水の中に溶 けて (または入 つて

)ペ

ッ トボ トルがへ こんだ と記述 していた。へ こんだ理 由を記述 していた 13名 の うち 5名 の児童が, 二酸化炭素が水 に溶 けたことによ り二酸化炭素のあった部分に何 もなくなつてペ ッ トボ ト A B C D

(22)

ルがへこんだとい う詳細な理由づけがされていた。図4‐

2は

Aの

評価の

A児

のワークシー トである。 二 酸 化 炭 素 は ど こ に 移 動 した の か 日 と言 葉 で 表 して み よ う。 ベ ッ トボ トル をふ る前

=薔

餐化農素

メモ

ヽ3感乞

轟 曇儀 ィじ鶏 驚 を ヽ 軟 t`

Γ絆 リトボ ト

│ヒ

しま へ

.こ

与 絆

,こ

Fひ

■よ繊げ汗ポト基童

:撃

it護

ン曾 ι

三二理庭

`餡

ガ索と氷が

'ま

3っ

て二要食イ

:薫

ざ亀

n参

群 がな

ペ ッ トポ トル をふ つた後 図4…

2 Aの

評価の

A児

の ワークシー ト

A児

,ペ

ッ トボ トル をふ る前の図では

,水

と二酸化炭素を しつか りと分 けていた。そ して,ペッ トボ トル をふ つた後の図では,水の中に二酸化炭素が入つていることがわかる。 このことか ら

,ペ

ッ トボ トル をふ つた ことによ り水 と二酸化炭素が混 ざ り合い

,水

の中に 二酸化炭素が溶 けたことが考 え られ る。更に

,A児

はメモの欄 に 「へつこんだのはペ ッ ト ボ トル をふった ときに二酸化炭素 と水がまざって二酸化炭素があった所が減 つたか ら」 と ペ ッ トボ トルのへ こんだ理由を書いていた。 このことか ら

,A児

はペ ッ トボ トルのへ こん だ部分が二酸化炭素 と関連 していると考えていることが推察できる。ペ ッ トボ トルのモデ ル図か ら水 に二酸化炭素が溶 けていることを表現 し

,メ

モの欄で

,ペ

ッ トボ トルがへ こん だ理 由を明確 に書いていることか ら

,A児

,水

に二酸化炭素が溶 けていることを理解 し ていることが考 え られ る。

Bの

評価 であった 1名 は,二酸化炭素の粒子は描 けていたが言葉による説明がなかった。 図4‐

3は

Bの

評価 の

B児

の ワー クシー トである。 19

(23)

二酸化炭素はどこに移動したのか園

'ど

言葉‐

で表してみよう。

ペ ッ トボ トルをふる前 ペ ッ トボ トル をふ つた後

寸ゴてハ

Lん

メ モ 図4…

3 Bの

評価の児童の ワークシー ト まず

,ペ

ッ トボ トル の図に着 目した。

B児

,二

酸化炭素の粒子 を水の中に描いている ことが分かる。 このことか ら

,二

酸化炭素が水に溶 けた とい う現象 は理解 していると考え られ る。 しか し

,メ

モの欄 を見ると

,言

葉 による説 明が書かれていなかった。 これは

,何

故,二酸化炭素が水 に溶 けたのか とい う理 由が分かつていないか らと考え られ る。つま り, 確かめる実験 で得 た 「炭酸水 には二酸化炭素が溶 けている」 とい う知識 を用いて逆の発想 である 「二酸化炭素は水に溶 けるのではないか」 とい う考 えまでた どり着 くことができな かつた と推察 され る。

B児

に対 して

,も

う一度確 かめる実験で得た知識 を確認 させ ること で

,そ

の知識 を使 つて考 え られ るよ うに促 し

,ペ

ッ トボ トル をへ こんだ理 由を考えさせ る 支援が さらに必要であつた。

Cの

評価 の児童 は 1名 いた。

C児

,へ

こんだペ ッ トボ トルの図は描いていたが二酸化 炭素の粒子 は描いていなかった。言葉の説明では 「二酸化炭素をいれてふった らへつこん だ」 と書いていた。ペ ッ トボ トルがへ こんだ理 由が明確 に分かつてお らず

,ペ

ッ トボ トル がへ こんだ とい う現象だけ理解 した と思われ る。

C児

に対 しても

,B児

と同様 に,「炭酸水 には二酸化炭素が溶 けている」 とい う知識 をもう一度確認 させてか ら二酸化炭素が どこに 移動 したのかを考 え させ ることによつて

,二

酸化炭素が水 に溶 けた こ とに気づかせ ること 0 ヽ 0

(24)

ができた と考 え られ る。

Dの

評価 の児童 は 3名 いた。

Dの

評価 の児童 に共通す ることは

,全

員ペ ッ トボ トルのヘ こんだ図は描いていたことである。 このことか らペ ッ トボ トルがへ こんだ現象は理解 して いることが分かる。一方で

,二

酸化炭素が水 に溶 けたことやその理 由については理解でき ず

,図

にも言葉 にも表す ことができなかった と考 えられ る。実際に黒板で二酸化炭素の粒 子 に模 したマグネ ッ トを移動 させ ることで

,図

を描 くためのイメー ジを持たせ ると二酸化 炭素の粒子 を描 けたのではないだろ うか。 第

2節

机間指導 中と発表の児童の発話に関す る分析 第

1項

目的 机 間指導中 と発表時の児童の発話か ら

,児

童がペ ッ トボ トルのへ こんだ理 由を理解 し, モデル図を描 こ うとしているかを検証す ることで支援

Aと

支援

Bの

有効性 を明 らかにす る。 第

2項

方法 机 間指導 中の発話記録か ら

,教

師 と児童のや りとりでペ ッ トボ トルがへ こんだ理由を明 らかに しつつ

,モ

デル図に描 こ うとしているかを検証す る。机間指導は 「ペ ッ トボ トルが へ こんだ理由を考え

,ワ

ー クシー トに言葉や図で表す」活動 (表 3‐

4の

8)で

行 つた。時 間は約 10分間 とり,「ペ ッ トボ トルがへ こんだ理 由を図 と言葉で表そ う」 とい う課題を与 えた。

D児

,Y児 ,S児 ,C児

4人

の児童の発話記録 を分析 し

,教

師が児童 ごとに どん な言葉がけを行い,その結果,児童 のモデル 図が どのよ うに描かれたかを検証す ることで, 支援

A,支

Bの

有効性 を明 らかに した。

3項

結果 と考察

(1)D児

の事例 机 間指導中の

D児

との発話記録 を以下に抽出 した。 9 “

(25)

Dl

Tl

D2

T2

D3

T3

D4

T4

多分 さあ

,水

の中に入つたん じゃないん

?だ

って空気の量減ってるもん。 二酸化炭素が ? 水の中に入つてそれで水 と二酸化炭素が一緒になって水が二酸化炭素を吸収 した。 だか ら (ペッ トボ トルが

)ち

っちゃくなった。 とい うことは

,最

初にあった二酸化炭素の粒が水の中に入つていつたわけか。 いや もともとあった 。・ 。あれ

?ど

うやろ? もともとこの中にあったのは水 と二酸化炭素だけやか らね。ほかは何も入つてへん。 ここのふたの中にあった二酸化炭素が減って混ぜ られた。んで

,二

酸化炭素が水に 溶けたか ら空気の量が減ってべっこんだ。 いい ところに気づいてる。 じゃあそれを

,あ

んな風に粒 を使つて図や言葉で表 して 説明できるようにしとき。

Dlの

発話か ら

,D児

は水の中に気体が溶 けていることに気づいていることが分かる。 しか し

,上

手 く言葉 にす ることができていなかったので

,支

Aと

して

,既

習事項である 「炭酸水に溶 けていた二酸化炭素」を引き出 しなが ら

,Tlで

何 が水の中に入 つたのか,

T2,T3で

児童 の説明 したい ことを言葉 に して少 しずつ整理 をさせ た。そ して支援

Bと

して 「あんな風 に」 と言つて黒板にあるモデル図を指 し示す ことで

,モ

デル図のイメージ を再確認 させた。その結果

,D児

のモデル図は図4‐

4の

よ うになった。

(26)

二酸化炭素はどこに移動したのか図と言葉で表してみよう。

8

ペットボトルをふつた後 メモ

■幽 厳 索色

入資てヾットボに

ん毛よると、

すぐ

[31傘

箭 臨 踏 重

4-4D児

のモデル図

D児

,水

の中に二酸化炭素が入つていることを示 してい る。

Dlの

発話 では空気 と言 つていたが

,モ

デル図で見 ると二酸化炭素であることが分かる。 このことか ら

,Tlの

発 話で

,水

の中に溶 けたのは空気ではな く二酸化炭素であることに気づいた と考えられ る。 また

,メ

モの欄 にも

,二

酸化炭素が水に溶 けたことを書いていた。 よって

,D児

,二

酸 化炭素が水 に溶 けた ことを理解 した ととらえることができる。 一方で

,Dl,D4の

発話 とモデル図に書かれていた 「空気 も少 しある」 とい う言葉か

,D児

の考 えではペ ッ トボ トルの中には

,二

酸化 炭素 と水 と空気 があることが推察でき る。 これは

,二

酸化炭素を直接ペ ッ トボ トルに入れたため

,ペ

ッ トボ トル の中身が完全に 二酸化炭素で満た されたか確認 できなかったことで このよ うな考えがでてきた と考えられ る。二酸化炭素の入れ方を変 えることで

,ペ

ッ トボ トル の中身は水 と二酸化炭素のみであ ることを確認すれ ば空気があるとい う考えが導かれ ることな く

,二

酸化炭素 は水 に溶 ける とい う理屈に辿 り着 きやす くなつた と考えられ る。 また

,D児

が 「出てきた意見を全体で発表す る」(表 3‐

4の

活動

10)で

発表 した ときの 発話 は以下の通 りであつた。

ヶしある

T 23

(27)

ペ ットボ トルをふる前は,こ の黄色いの (磁石)が二酸化炭素で、二酸化炭素はここ(ペ ッ トボ トル上部

)に

ふたが閉まつてあって

,こ

こ (水と混ざる前に二酸化炭素の粒子があ つた部分

)に

入つてる空気の中に二酸化炭素が含まれてるけど

,そ

の二酸化炭素が

,ふ

つ たことによって

,水

に溶けたと思います。なぜかとい うと

,ふ

つた時にペ ットボ トルがヘ こんだとい うことは

,空

気中の二酸化炭素が水に溶けて

,空

気の中の二酸化炭素の割合が 減って空気の量が減って

,ペ

ッ トボ トルのふたが閉まっていたので

,そ

れ以上外からの空 気が入つてこなかったから

,へ

こんだと思います。みなさんどうですか。 この発話で

D児

,二

酸化炭素が水に溶 けたこと

,二

酸化炭素が水 に溶 けた ことによつ てその部分がへ こんだ ことを明確 に して発表 したことが分かる。 このことか ら

,モ

デル図 と描いたことと言葉 によってモデル図の説明を補 ったことで

,発

表す るときに明確な理由 を述べ られた と推察できる。

(2)Y児

の事例 机 間指導 中にお ける教師 と

Y児

との発話 を以下に示す。

T5:(一

つの班で

)み

んなへ こんだ ところまでは描 けてるね。 じゃあ

,二

酸化炭素は ど こにいったの ?

Yl:水

の中。

T6:水

の中。水の中に入 つてると思 うな ら

,前

に描いてあるよ うに描いてみて。

Ylの

発話か ら

,Y児

は二酸化炭素が水 の中に入 つた と推論 したことが分かる。しか し, モデル図が上手 く描 けていなかったので

,支

Bに

よって黒板のモデル図を提示 し

,描

き かたのイメージをつかませた。図4‐

5は

,Y児

が記入 したワー クシー トである。

(28)

二酸化炭素‐

は どこに移動 したのか国 と言葉で表 してみ

.よ

う。

ベ ッ トボ トル をふ る前

ペ ッ トポ トル をふ った後

鋏磐

。。

5ゼ

‘ ′ ︰ 1 1 1 l J ブ イ ・ 。 9 0 「 ヽ ゾ 図

4-5Y児

のモデル図

Y児

のモデル図を見 ると

,ペ

ッ トボ トル をふ つた後の図では水の中に二酸化炭素の粒子 が入 つていることが分かる。へ こんだ部分は

,も

ともと二酸化炭素があった部分 を指 して お り

,二

酸化炭素が水の中に溶 けたことにより

,二

酸化炭素がな くな り

,そ

こに何 も存在 しな くなったためへ こんだことが考 えられ る。 また

,ペ

ッ トボ トル を振 る前 と後では

,二

酸化炭素の粒子 の数が違 う。 これは

,Y児

は二酸化炭素が全て水に溶 けたのではなく

,一

部分だけ溶 けた とい う考 えを持 っていた ととらえることができる。そのことを示すのが全 体発表の ときの

Y児

の発表である。以下の文は

,Y児

の全体での発表の発話である。 さつき

,D君

が言つて くれたみたいに

,空

気 中に二酸化炭素があつて

,ふ

ったことによ つて空気 中にあった二酸化炭素が水 に入 つて

,さ

つきの

D君

と同 じでここ (水と混 ぎる前 の二酸化炭素の粒子が存在す る部分

)に

ある空気の二酸化炭素が全部

,全

部 ってい うか大 体 ここ (水の中

)に

い って しまつたか らここ (二酸化炭素の粒子があつた部分

)自

体は, 空気 自体がな くなって しまつたか ら

,ふ

た も閉まつてるか ら外か らの空気が とれないか ら へ っこんだ と思います。

視た

Jttt£

檄ザ豊質戦 憑

i撃

ぼボ

LII二

ゼふ

喜 発覇

瞥壼鍾

)駐

鍵 へ貞じ織

25

(29)

Y児

はまず

,二

酸化炭素が水 に 「大体」溶 けた と発表 した。図 415で もペ ッ トボ トルを 振 る前 と後では二酸化炭素の粒子の数が違 うので

,Y児

は二酸化炭素が全ては溶 けきって いないのではないか と考えていたと推察できる。また

,ペ

ッ トボ トル がへ こんだ場所 につ いても

Y児

は発表 した。水の中ではなく

,二

酸化炭素の粒子があった部分 を指 してへ こん だ と説明 してお り

,二

酸化炭素の粒子があつた部分がへ こんでいることを明確 に した。三 酸化炭素が全てではな くほ とん ど溶 けた ことや どの部分がへこんだかは

,実

際にモデル図 に してみない と見えて こないことなので

,支

Bに

基づ き

,児

童 を支援 したことが有効で あつた と言 える。

(3)S児

の事例 机間指導 中の教師 と

S児

の発話は以下の通 りである。

S児

がモデル図を描けているかを教師が確認 したときの発話記録である。この時に

,モ

デル図も言葉での説明も書けていなかったので

,T9で

ペ ッ トボ トルがへこんだ理由を発 問 した。すると

, S2の

ように二酸化炭素が水の中に溶けたことは理解 していることが分 かる。次に

,そ

のことをモデル図として描 くために

Tloの

ような助言をした。

S児

は, イメージをした りそれを描きだ した りすることが苦手な子 どもなので

,擬

音を用いた りど こに二酸化炭素の粒子を描いた りするのかを具体的に示 した。図4‐

6は

,S児

が記入 した ワークシー トである。 T7 どう? 難 しい

,で

も・・・。 でも

,描

けた?

S君,こ

れ どうしてへっこんだ? ここに二酸化炭素あって

,水

の中に入つた。 :だ つた らそれを描いて。今ふる前の二酸化炭素があるやん力、 実際に振ったらグ チャグチャグチャ∼ってなって二酸化炭素が水の中に入つていったから

,こ

こら 辺に線引いて水の中に二酸化炭素をポンポンポンと描いてくれた らいいよ。 分かった。

Sl

T8

T9

S2

T10

S3:

参照

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