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病弱・身体虚弱児への復学支援の現状 利用統計を見る

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(1)山梨障害児教育学研究紀要 第4号(平成22年2月1日). 病弱・身体虚弱児への復学支援の現状 中 澤. 幸 子. *. Ⅰ.はじめに. 病弱・身体虚弱の子どもたちの教育の場として,病状や生活の規制の程度により,特別 支援学校,近隣の小・中学校から病院内に設置された学級(院内学級)や小・中学校内に 設置された特別支援学級,通級指導教室などがある。 病弱特別支援学校数,病弱・身体虚弱特別支援学級数の経年変化をみると,特別支援学 校数はなだらかに増加,小・中学校以外の特別支援学級数は明らかな増加傾向が見られる。 それにもかかわらず病弱特別支援学校在籍者数及び病弱・身体虚弱特別支援学級在籍者数 は減少傾向を示している。しかし他の障害種の児童生徒に比べて,病弱・身体虚弱数児の 数が減っているとは一概に言うことはできない。病弱・身体虚弱児の在籍する特別支援学 校や特別支援学級,通級指導教室では,年度途中の転出入が多く,年間を通して在籍者数 の変動がかなりある。その傾向としては,年度当初はその数は少なく,次第に増加し12月 にピークになるのである。また治療方法の変化により,入院等をせず在宅で通常学級に在 籍したままで治療を続行している子どもたちもいる。その他病気を理由として長期欠席を している児童生徒数も46,594人(平成19年度)という報告が文部科学省の学校基本調査に おいてなされており,そのような児童生徒への対応も今後の課題である。平成19年5月現 在,全国に病弱特別支援学校は106校で小・中・高等部の合計在籍者数は18,919人,院内 学級も含めた小・中学校の病弱特別支援学級数は1,008学級で在籍児童生徒数は1,826人, 小・中学校の病弱通級指導教室において指導を受けている児童生徒数は24名である。 そして,近年は医療の進歩と共に,以前は治癒することが第一の目標であった,小児が んを含めた多くの子どもの病気の寛解状態もしくは治癒,又は通院による治療が可能とな り,復学することが普通に望めるようになってきている。とはいえ,その生活には諸々の 配慮が必要であるが,社会一般的には,退院=治癒で普通の生活が可能,というイメージ が残っており,復学した先でもスムーズに対応してもらえない例も聞かれる。このような ことから特別支援学校における復学支援はその必要性・重要性が高まってきていると考え られる。 以上のことから,当事者からの聞き取りを行うと共に,病弱特別支援学校における復学 支援の現状をアンケート等によって調査し,実際の病弱特別支援学校・患児・家族が抱え. * 神奈川県立平塚盲学校 - 161 -.

(2) ている復学支援の問題や課題等を明らかにして,今後の病弱特別支援学校における復学支 援のあり方について考えていくことを目的とする。. Ⅱ.復学支援の現状. 1.患児及び家族等からみた復学支援の現状 「小児腫瘍性患児とともに歩む会」のホームページ( http://www. kagayakumirai21) に,復学に関する調査の一つとして,2008年に実施した「退院後の復学について」のアン ケートの報告が記載されている。その質問項目の一つである「学校へはスムーズに戻れま したか?」という「小児がん経験者本人」の回答結果によると, 「はい」は69%, 「いいえ」 が31%であった。また同年に「小児脳腫瘍の会」が行った「小児脳腫瘍 QOL アンケート」 内の「復学はスムーズでしたか?」という質問に対する「小児がん経験者保護者」回答の 結果では, 「はい」が75%, 「いいえ」が25%であった。いずれのアンケートからも,スムー ズに復学できた割合は70~75%と比較的高い数値を示しているように見えるが,20~25% の患児はスムーズにできなかったこと,つまり4~5人に一人はスムーズに復学できなかっ たことを考えると,決して良い結果ということはできないのである。 そしてスムーズに復学できず苦労した点については,小児がん経験者本人からは, ・友だちとの関係や付き合い ・体力の低下 ・勉強の遅れ ・学校先生の無理解 などがあげられ,また保護者アンケートからも, ・学力の低下 ・長期欠席したことによる心の不安 ・付き添いの必要性 ・病気の説明,学校生活での注意点,対応などの話し合いの必要性 ・設備整備の困難さ ・前籍校への話しづらさ ・学校の無理解 ・友だちからのからかい などについてあげられていた。復学する際には本人・保護者とも友だち関係,病気の理解, 学習面・心理面・体力面の不安などに苦労していること,特に保護者は人的な配慮や設備 等も含めた実際の対応方法や整備などについても苦労している様子が伺われた。 そして,実際に小児がん経験者の保護者3名に半構造化面接方法を用いて,病気の発症 から現在に至るまでのインタビューを行った。その中から「復学時」の様子について述べ られた内容について筆者がまとめたものを次に記す。. - 162 -.

(3) 山梨障害児教育学研究紀要 第4号(平成22年2月1日). <事例A> 退院時,かなりの麻痺が残っていて,病状もあまり思わしくなく,ほとんど寝ている姿 勢のままでの生活であったので,特別支援学校の訪問級に転籍して週1~2回の訪問指導を 受けていた。 数年後,体調が回復,麻痺もだいぶよくなり,ある程度歩行して生活することが可能と なったので,発病以前に在籍していた近隣の小学校への交流学習や復学の依頼を行った。 しかし,小学校側からの回答は,来ることはかまわないが全て保護者がフォローアップす ることといった条件の提示や,階段の手すりやトイレなど学校内の設備の改善の難しさ, 教室の場所の配慮も難しいなどといったことが伝えられ,全く理解を示してはくれなかっ た。そのため,特別支援学校の在籍を継続したまま,同じ学校内の訪問級から通学級に変 更することとなった。. <事例B> 一回目の退院時,病気や治療の影響で学力の低下・記憶力の低下,また容姿の変容等を 残したまま前籍校の通常級に復学した。復学の前には,医師,看護師,特別支援学校のコー ディネーター及び担任,前籍校の学校長,担任,コーディネーター,養護教諭,そして保 護者も含めて復学支援会議を開催した。しかし実際に復学してみると学校側の学習や日常 生活の配慮は適切でなく,本人は疲れ果て,また周囲の同級生からの無神経な言葉に傷つ き不登校となった。翌年,担任が変わり,以前よりも配慮してくれるようになったことか ら,遅刻しながらではあるが,通学できるようになってきた。 その後,病気が再発し再度入院したが,再び退院,以前よりも学力の低下・記憶力の低 下が著しく,歩行面等についても困難さがあっため,個別支援級に転籍しての復学となっ た。しかし,精神的な成長は他の同年代の子どもと変わりなかったため,個別支援級の子 どもたちと同じ空間で学習することに精神的な負担を抱えていた。また,保護者も常に同 行,個別支援級の他の子どもたちを気遣い,その中に居る自分の子どもの精神的な面のつ らさを目の当たりにし,疲弊していた。そして,常に将来を見ている学校教育の中で,い つ病気が再発し,命がなくなるか分からない子どもへの教育的配慮のなさ,理解のなさに も傷ついていた。理解してもらいたいという気持ちから,小学校全教員の研修会にて病状 説明も行ったが,学校側の対応は変わらなかった。 三度目の再発により,再び入院し,退院にまでたどり着いたが,それまでの状況から, 保護者と本人より「退院して前籍校に学籍を戻したとしても,学校へは通うつもりはない。」 との意思表示がなされた。 (補足) この小学校の対応は,実際には決して無理解ではなく,どちらかといえば名簿や座席を残しておいて くれたり,手紙を送ってくれたりなど模範的なかかわりであったと考えられる。手紙は届いたが,名簿 や座席の件などは保護者にはっきりとは伝えられていなかった。何かのきっかけで初期にすれ違いが生 じ,支援や誠意が保護者や本人は伝わらず,修復がなかなか難しくなってしまったのである。. - 163 -.

(4) <事例C> 海外の学校在籍時に発症,帰国してきた日本には前籍校はない状態であった。そのため, 退院の予定は立たない早期の時期より,保護者は退院後転籍すると考えられる学校や教育 委員会にあらかじめ連絡をいれておいた。寛解状態にて退院時には病気の説明や注意して 欲しいことなどを転籍先の学校に担任や管理職,養護教諭などに話し,緊急な場合の対策 方法も検討したうえで通学を開始した。その後,特に問題なく通学できた。 再発により再び入院,院内学級に学籍を移す。そして再び退院後は,容姿の変容が著し く運動等や日常生活にかなりの制限があった。それを周りの友だちや教員に知らせるため, 保護者が病気についての公演を児童の授業の中で行った。今回の復学後も,特に問題はな くスムーズだった。 その後,再々発し体調の悪化により酸素マスクを装着し車椅子での移動になったが,再 び退院できた。この頃は中学校入学の時期と重なり,保護者が入院中の早期から教育委員 会や中学校に実際の様子を伝え,中学校内の設備面での整備等も依頼しておいた。それが 受け入れられ,中学校入学初日から地元の学校に通学,周囲の心配も気にせず運動系の部 活動に所属(学校側もまた顧問の教員,友人たちも受け入れてくれていた ),徐々に体調 も上向きになり,酸素マスクもはずれ,車椅子も不要となった。高校入学時にも,入試を 受ける前から事情説明に行き,受け入れ可能か否かについての打診は行った。その後,無 事,志望高校に合格し高校生活を送ることができた。. 以上の3ケースから,復学時の行政や学校側の対応にそれぞれに違いがみられ,また, 保護者のアプローチの仕方もそれぞれに異なっている。そして,復学を進めていくときの キーパーソンは保護者であり,そこに病弱特別支援学校や学級の支援の様子はあまり見え てこないのである。しかし,支援を行っていないわけではなく,実際の支援は伝えられて いないのかもしれないということが予測される。また,復学や入学がスムーズに進められ た事例Cからは,入院中からの教育委員会や学校への働きかけ,つながり,また児童や教 員への積極的な説明などが復学の成功のポイントであったのではないだろうか,というこ とが考えられる。実際には,対人関係や心理的不安,設備面など同じ問題を抱えていても, 解決方法一つでその後の対応が変わってくるのである。その道標を担うことも特別支援学 校にとっての大切な役割であると思われる。. 2.病弱特別支援学校・分教室の現状 各病弱特別支援学校や分教室においては転入時から在校時,転出時というそれぞれの状 況においての支援体制が整えられつつあり,その支援の一つとして復学支援も行われてい る。しかし各学校の実際の様子はあまり明らかな報告はされていない。そのようなことか ら,各学校の支援体制の現状を調査するため,平成20年度に関東甲信越地区の病弱特別支 援学校を対象に「地元の学校へ戻る時の支援体制について」という自由記述式のアンケー. - 164 -.

(5) 山梨障害児教育学研究紀要 第4号(平成22年2月1日). トを,関係諸学校に研究等における使用許可を得た上で,関東甲信越地区病弱虚弱教育連 盟の学校・病院・家庭等連携研究部会と協働で行った。アンケートを依頼した学校は関東 甲信越地区の18校の病弱特別支援学校及び分教室であり,その回収率は100%であった。 具体的な項目は「転出入のシステム」「転出後のサポート 」「在学時のサポート 」「転出入 に関する問題・課題」などについてであった。そのアンケート結果をもとに病弱特別支援 学校における復学支援の現状をみていくこととする。. (1)転出入システム・転出後のサポート及び在校時のサポート体制 アンケートの結果から,転入時・転出時のシステム,転出後のサポート体制についてま とめたものを表1に記す。. 表1 関東甲信越地区 の病弱特別支援学校・分教室等 の転出入 システム・転出後 のサポート体制 平成20年度調査 学校. 転出入システム. 転出後のサポート. A養護学校. <出>4者による復学支援会議・試験通学 (必要に応じて) 。 アンケート(本人・学校)で聞きとり,病院へ伝達。必要に. B特別支援学校. <入>転入学を視野に入れた見学・相談→受診。. 前籍校とは電話等で密に連絡。外来時に聞きとり。追跡調査. <出>体験学習(必要に応じて) 。. を年に一度実施。. 応じ支援会議開催。. C特別支援学校 分教室 D養護学校. <入>転入希望連絡(病院・前籍校)→就学相談(保護 前籍校とは電話等で密に連絡。外来時に聞きとり。 者来校) 。 <入>相談→県教委連絡→転入。 <出>「転出入事務処理カード」 。. E養護学校. 転出後のサポートは実施せず。進学先の高校は必要によって フォロー。相談窓口のない場合継続相談。. F養護学校. <入>主治医が保護者・本人の意向確認し,就学申込書 アンケート依頼しているが,低い回収率。新しいシステム検 を提出。. 討中。必要に応じて担任が転出校訪問。. <出>四者面談(前籍校・主治医・保護者・本校)→試 験登校(面談・試験登校は必要に応じて) 。 G特別支援学校. <入>場合により転入前に体験入学あり。. 転出先とは蜜に連絡。必要によって訪問。外来時聞きとり。. H特別支援学校. <入>就学面談後,就学相談票→市町村教委→県教委→ 外来時聞きとり,電話連絡等。必要に応じてフォロー。在籍. 退院後の相談はいつでも可。. 就学通知(小・中学校の場合) 。 I特別支援学校. 経験者と保護者への支援として相談窓口設置。. <入>電話相談及び学校見学→主治医と相談→担任・学 支援会議などを通し,地域の関係機関(前籍校,保健所,子 校長と相談→区・市教委での相談→都の相談→面談→ ども家庭支援センター,児童相談所等)と連携し,フォロー 入学。. アップ体制を整備。. <出>体験登校,校内ケース会・地域支援会議→転学判 定会→決定。 J特別支援学校. <入>病院から依頼書が出た次の日から学習開始。. 分教室 K養護学校. 必要によって訪問。ケースによって教委・前籍校等との支援 会議コーディネート。外来時の聞きとり。. <入>入院→面接→オリエンテーション→体験入学→ケー 転出時の会議で使用した資料を送付。必要に応じて訪問,ケー ス会議→検討会議・関係者会議→転入(入院生の場合) 。 ス会。外来時聞きとり,フォローアップ。地域の特別支援学 校のコーディネーターに協力依頼。. L養護学校. <入>入院→主治医・保護者・本人の了解→転入相談→ 必要に応じて,前籍校へ巡回相談を実施。相談はいつでも対 転入手続き。. 応可。外来時に聞きとり。. <出>退院→転出。 <入・出>支援シート(県指定)作成。 M特別支援学校. <入>主治医の入級許可→相談。. 必要に応じて連絡。外来時聞きとり,支援。. - 165 -.

(6) <出>主治医に退院時配慮事項等の確認・支援計画書完 成。 N養護学校. <入>入院生:病院より入院連絡→カンファレンス・情報 外来時の聞きとり,支援。電話連絡等及び転出先に近況報告 提供→養護学校より前籍校へ転入連絡。. の文書を送付し,返信してもらっての現状把握。. 通学生:病院より通学提案→通学生検討委員会,情報提 供。 O養護学校. <入>相談→学部検討→試験通学等→通学生検討委員会 前籍校と連絡を取り合い,支援していく。外来時聞きとり。 →校長判断(通学生) 。 <出>前籍校との協議(学級担任等の派遣)。「教育カル テ」「個別の教育支援計画」等を引継資料として活用。. P支援学校. <入>体験通学希望→体験通学受け入れ検討会→医教連 絡会→前籍校へ受け入れ連絡。 転入希望→受け入れ検討会→医教連絡会→前籍校へ受 け入れ連絡。. Q養護学校. <入・出>就学相談委員会. R養護学校. <入>転入または教育委託の手順表あり。通学希望→教 転出先と密に連絡。必要に応じて訪問・フォロー。外来時聞. 担当職員が定期的に連絡。. 育相談→見学・相談→在籍校訪問(必要に応じて)→ きとり,支援。 受診→体験学習通知発送→体験学習→教育相談→就学 相談委員会→通学開始。. 一般的に多くの病弱特別支援学校・分教室より前籍校へ転出する際の復学支援の流れ は,以下のようであるといわれている。. 退院・退所. (必要に応じて) 復学支援会議. 決定. 試験登校. 図1. 退院・退所 ↓ 復学. 病弱特別支援学校における復学支援の流れ. しかし,図1のような復学支援の流れが100%実施されているわけではないことがアン ケートから読み取れる。たとえば,在校時のサポートも含めて必要に応じて支援会議を行っ ている学校はほぼ全学校に回答がみられたが,転出時の復学支援会議を転出システムの中 ではっきりと位置づけている学校・教室は4校であった。そして,必要に応じて試験登校 (あるいは,試験通学,体験学習,体験登校など)を実施している学校は6校に記されて いるのみであり,上記のような復学支援の流れに沿って行っている病弱特別支援学校・分 教室は,関東甲信越地域では比較的多くないことが明確となったのである。とはいえ,必 要に応じて支援会議や巡回相談,または積極的に電話連絡やアンケート等を行うなど,ほ ぼ全学校・分教室において転出後のフォローアップについては体制を整えてきていること も明らかとなった。 また,表2の在校時のサポート体制の状況をみると,定期的または必要に応じて連絡会・ カンファレンス・支援会議等を開催している学校が11校あり,前籍校との交流や何らかの かかわりをサポート体制の中で位置づけている学校は4校であった。在校時のサポート体. - 166 -.

(7) 山梨障害児教育学研究紀要 第4号(平成22年2月1日). 制の中には,在籍中の支援はもちろんのこと,転出後を視野に入れたサポートも行われて いるであろうことから,復学支援は退院・退所決定以降に実施すものではなく,在籍時も しくは,転入時から常に支援システムの流れの中に位置づける必要があると考えられる。. 表2. 関東甲信越地区の病弱特別支援学校・分教室等の在校時のサポート体制 平成20年度調査. 学校. 在校時のサポート. A養護学校. 学校病院連絡会。支援会議(必要に応じて) 。. B特別支援学校. 生活連絡会。重症児病棟連絡会。支援会議。. C特別支援学校分教室. カンファレンス。支援会議(必要によって) 。. D養護学校. 分校同士交流。前籍校との交流学習。テスト通学あり。. E養護学校. 定期カンファレンス。支援会議(必要に応じて) 。. F養護学校. 教育支援プラン。日々の連絡(養護教諭) 。定例会議(学校病棟連絡会,就学委員会,生活委員会等) 。カンファ レンス。. G特別支援学校. 定期連絡会議。. H特別支援学校. 定期カンファレンス(2週1回) 。学校生活管理指導表。支援会議(必要に応じて) 。. I特別支援学校. 主治医,前籍校(地域指定校) ,地域福祉と連携。. J特別支援学校分教室. 定期カンファレンス。支援会議。病院との連絡会。. K養護学校. 心身症等の不登校児童生徒について,初期・回復期・適応時期にわけた対応を設定。. L養護学校. 定期カンファレンス。支援会議(医療・福祉・教育等,必要によって招集) 。. M特別支援学校. 定期カンファレンス。支援会議(担任,所属学級教員,コーディネーター) 。. N養護学校. 前籍校との交流。支援会議。病院と保護者のペアレントトレーニング。病状相談会。. O養護学校. 学校病棟連絡会(月1) 。病棟主任が病棟へ行き情報交換→職員朝会で伝達(毎朝) 。計画策定・話し合いの場 の設定。. P支援学校. 段階別指導の実施。 (心身症等中学生の場合)初期・適応・通常にわけ,基本方針,運営方法を記述。. Q養護学校. 養護教諭が病棟と連絡→職員朝会で報告,病棟師長との連絡会(月1回) 。医教カンファレンス(必要に応じて,. R養護学校. 生活指導会議。病棟連絡会等。行政(福祉担当者,保健師,ワーカー等)と連携。. 教育相談担当) 。前籍校職員を招き学校間連絡会(年1回) 。. (2)転出入に関する問題・課題 前アンケート結果同様,転出入の問題・課題点についてのアンケートで得られた回答は 表3の通りである。. 表3. 関東甲信越地区病弱特別支援学校・分教室等の転出に関する問題・課題 平成20年度調査. 学校. 転出に関する問題・課題. A養護学校. 私学の転入,ケースによっては復学難しい。. B特別支援学校. 前籍校の受け入れ態勢と意識の構築化,多重構造的な保護者支援の在り方,隣接病院との連携及び転院に伴い. C特別支援学校分教室. 遠隔地の児童生徒の対応。高等部生徒は前籍校へもどれない。. D養護学校. 転出に関して,配慮事項や子どもの心理面,保護者の不安等の解消や前籍校への確実な伝達が課題。短期在籍. 他県との連携。. 児童生徒が増加,手続きの簡略化が必要。 E養護学校. 措置入院の児童生徒が多いので保護者との連携がとりにくい。. F養護学校. 私立学校との学籍異動が難しい。訪問部では,適応指導教室等との連携も必要。. H特別支援学校. 転出時に支援会議を設定し,安心して復帰できるようにしているが,病弱教育や病気があるということに対し. J特別支援学校分教室. 私学の転入が難しい。高等部がなかったため昨年高校進学ができずに現在高校浪人の生徒がいる。. K養護学校. 入院生は,入院と同時に転入になるが,通学生の転入についての判断が難しい。特に発達障害を併せ持つ子ど. ての理解については,学校での格差がある。. - 167 -.

(8) もが急増している。転出時は退院→転出になることが少なく,退院→本校への通学生としての切り替えが多く なっている(在校生の約80%は不登校を抱えている) 。 L養護学校. 転出入が多く全国から入院している等の状況から,地元へ戻るときの支援がまだ充分ではない。家庭に戻れな い子どもの問題は医療・福祉・教育が連携しても難しい。. N養護学校. 年度途中の転入が多く,定数のある高等部では特に対応に苦慮している。. O養護学校. 入院生が減少傾向(一般慢性・筋疾患) 。発達障害等の児童生徒が通学生として希望するケースが増える傾向が. P支援学校. 試験登校開始の見極めや,医療方針と教育方針のずれのすりあわせ,前籍校の受け入れ態勢と意識の構築化,. ある。. 多重構想的な保護者支援の在り方が課題。 Q養護学校. 不登校生の受け入れが増えている。不登校生の受け入れ先として特別支援学校が適切なのだろうか。. 以上をまとめると主に次のような問題・課題がある。 ・私立学校・高等学校への学籍移動の難しさ(4校) ・保護者との連携の難しさ・保護者支援の在り方(4校) ・前籍校の受け入れ体制の構築・学校による体制の格差(3校) ・他病院・他県・多機関(適応指導教室等)との連携(3校) その他,一般疾患入院児の減少傾向,不登校・発達障害児の増加,多様な障害種への対 応,通学生の転入の見極め,復学支援体制の不十分さ,などが問題・課題として挙げられ ている。 このように各学校においてその課題・問題等は様々であり,はっきりとした明言はされ てはいないが,いずれの学校にも基本的には共通する課題・問題であると考えられる。. Ⅲ.まとめ. 医療の進歩により,近年では入院治療を受けている子どもたちの多くは治癒又は寛解状 態,維持療法を受ける等をしながらも退院し,地域の学校へ戻るようになってきた。しか しながら,そのような児童生徒の入学・復学に際しての十分なシステムはまだ整えられて おらず,それぞれの学校がそれぞれに似通ってはいるものの,独自の支援システムで進め ていることが明らかとなった。また復学がスムーズに行かないケースの現状,そして復学 後においても多くの困難にぶつかっている様子,支援する側と支援を受ける側とでその内 容や対応方法の考え方にズレが生じている場合のあることなどから,復学時の支援が必要 性の高いものであることが再認識された。 そして保護者への聞き取りや特別支援学校へのアンケートなどから,スムーズな復学の ために必要なこととして以下のようなことが考えられる。 ○患児・保護者と前籍校とのつながりの保持 前籍校へのスムーズな復学の重要なポイントとして,保護者・前籍校間とのコミュニ ケーションの相違が生じないようにすることが大切である。そのためには,病弱特別支援 学校の役割として,保護者・前籍校間とのすれ違いが生じないように,患児・保護者が前 籍校に伝えられない想いを代弁すること,また保護者や患児本人には,見えない支援につ. - 168 -.

(9) 山梨障害児教育学研究紀要 第4号(平成22年2月1日). いてもどういった支援が行われているか,はっきりと伝えることが必要である。また,支 援の内容についても,それが本当に望ましい支援か否かについては必ず確認し調整してい くことが大切である。 ○転入時から復学することを意識した支援システムの構築 病弱特別支援学校や特別支援学級における復学支援は,退院・退所決定以降に実施すも のではなく,在籍時もしくは,さらに遡って転入した時から常に復学を意識して,全体の 支援システムの中へ位置づけることが良策ではないかと考える。入院したときから,「復 学」ということを視野に入れ,その際に施設,設備面での協力も,あらかじめその必要性 が分かった時点において,関係者に依頼していくことが望まれる。 そして近年の復学支援の一つとして,まだそれほど多くはないが,特別支援学校の教員 が講師として研修会等での前籍校の全教員にむけた理解の推進,児童生徒への病気の理解 推進なども行われ始めているという報告も聞かれている。しかし,自校内の児童生徒の教 育や支援に追われている特別支援学校教員が外部へ出向いて研修会等を行うことには,賛 否両論の意見が聞かれる。 また児童期における学校教育・学校生活の大切さを理解し,入院時から病棟内の看護師 と児童生徒とが復学について一緒に考えていくシステムを整えたり,病院関係者が前籍校 の教員や在校生にむけて病気の理解の出張授業を行うなどして,患児をとりまく環境を整 える支援の試みも始められ,日本小児がん看護研究会(2008)においてもその有効性の事 例が報告されている。またオーストラリアにおいては,復学支援のプログラムを実施する 専属スタッフを配置し,看護師と連携して学校に出向き,教師や子どもたちにどのように 患児と接したらよいかを指導等がわれている「Back On Track」というシステムがある。 このようなことからも,よりよい復学支援を進めていくには,復学支援を学校だけが行 うものであるとは考えず,医療と教育が連携をとりながら進めていていけるような公的な 支援システムを構築していくことも,今後の検討課題の一つであると考えられる。そして 同時に,そのような公的なシステムが整うことによって,行政や学校間の理解の違いや体 制の格差などが縮小に向かうことも望まれるのである。. 文献 1)川瀬梓 ・堀口実穂 ・ 高瀬志織 ・中村香子・川本美佐子・小林恵美子 ・河俣あゆみ(2008) 小児がん患児における復学支援-看護師が友達の大切さの授業を行って-.第50回日 本小児血液学会・第24回日本小児がん学会・第6回日本小児がん看護研究会・第13回 がんの子どもと家族を支援する公開シンポジウム. プログラム・総会号,117.. 2)川田悌也・中村千代子・神田信子(2008)保護者の思いを受けとめながらの復学支援 -原籍校への復学を選択しなかった事例報告-.第50回日本小児血液学会・第24回日 本小児がん学会・第6回日本小児がん看護研究会・第13回がんの子どもと家族を支援 する公開シンポジウム. プログラム総会号,118.. - 169 -.

(10) 3)岡本光代・武田鉄郎(2008)小児がん患児の復学支援のための地域の連携-オースト ラリアの小児病院での面接調査より-.日本育療学会第13回学術集会抄録集,40.. - 170 -.

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