幼児のための「ピアノ奏法」について
鎌 田 弘 子
昨今の様に,ピアノ音楽に親しむ人々が,ふえて来たことは,大変喜ばし い事である。我々ピアノを教える立場の者にとっては,いかに早く,たやす く上達させるか,当然研究されなければならないし,いろいろ研究されて来 たにちがいない。しかし,私は,現行の教授法に,いくつかの擬問を感じる のである。 例えば,まずバイエルから入門し,ドレミの位置と指使いを覚え,音符に したがって,音を出して行く方法,勿論これは,当然しなければならない事 であるが,こ・で発音体であるピァノとそれを発音せしむる直接の道具であ る身体(ピァノをひく者)の特に肩から指先までの部分についてどれ位の研 究がなされているだろうかと思うのである。 生徒に初めから,こんな難しい事を説明する必要はないかも知れない。し かし少なくとも教師は充分研究し,熟知した上で指導がなされるべきだと思う。 楽器の中でも,ピアノという楽器程,完全に機能を有する楽器もめずらし いと思う。例えば,キィを上からた・けば必ず音は出るCの音が欲しけれ ば,Cのキイをひけば良いし,Gの音が欲しければ,Gを押せば良いのであ る・その音色が,美しいか否かは別として,棒でた・いても,まちがえて, 何かを,キイの上に落としても,音は出るのである。 以上の様に,あまりにも,容易に,発音するために,いかにして,音を出 すべきかという大きな問題を見落しがちなのである。 こ・で声楽について考えてみよう。 「うたの基礎は発声であり,発声の基礎は呼吸法である」と言われる。これ は,うたをうたってみれば,すぐわかることで,まず呼吸法がしっかりのみ こめていないと,思う様に美しくうたはうたえないのである。 声楽のレッスンについて考えてみると,その呼吸法をマスターするために,一91一
腹筋をきたえ,足腰をきたえる。そのために,スポーツ選手顔負けのトレー ニングが必要なのである。 そして,完全に呼吸法をマスターした上で発声ということに移る。発声に ついては,まず,喉の奥を大きく開いて,お腹にすい込んだ息をどの部分に あて,どの部分に共鳴させるかによって,音高,音色が,うたいわけられる のである。 要するに,この段階では,音楽の勉強というより,あたかも,スポーッ選 手が,毎朝何Kもマラソンをする様に,発声器官をきたえるのである。 私はこ・で,発声について論じようとしたのではない。勿論,ピァノ音楽 と,声楽とは大きなちがいがある。声楽の場合は人間の身体そのものが,発 声体であるから,この楽器である身体をきたえることは当然であろう。 しかし,ピアノ音楽について,発音体であるピアノとそれに作用するとこ ろの身体,先にも述べたように,特に肩から,指先の部分について,あまり にも考えられていないことに気づくのである。 音楽というのは,自分の心の中の情感を,音の流れによって,又は,美し い声の流れによって表現するものである。一口にこう言えば,大変簡単なよう であるが,自分の持つ音楽を適確に表現するのは,非常に難しいことである。 そこに,いかに適確に表現するかという。テクニックが生れてくるのであ る。したがってこのテタニックを持たないものは,内的に表現したい音楽を 持っている人においても,言いかえれば,音楽性豊かな人にとっても,表現 出来ないことになり,これは,結果的には音楽を持っていないことと演奏面 からみて同等の価値しかなくなるのである。 美術や,その他の芸術に於ても同様のことが,いえると思うが,音楽に於 ては特に顕著である。 ピァノ音楽で言えば,いかに感受性豊かであり,それを表現したい気持が 大きくても,指が動かなければ,残念ながら話にならないのである。うたに しても同様に,その詩の内容に共感し,感動してうたわんとしても,その感 情を表現する,手だては,声なのであって,貧弱な,声しか持ち合わせない
一92一
者にとっては,表現することは,とうてい不可能である。 故に,我々は,その媒介となる,音,声について,自分の思う様にコント ロールしうる様に訓練する事が,大きな仕事になる。 そしてこの訓練は,一見,音楽という情緒の世界とは全く別なところで行 われるものである。これは,一種の運動に通じるもので,スポーツ選手が, 日夜,身体をきたえるのと全く同様である。この様に言うと,いかにもテク ニック優先の感があるが,そういう事ではない。 音楽には,内容(音楽性)と,テクニックとの二っの要素があると思う。 どちらが大切で,どちらが大切でないということはなく,車の両輪のように, お互にがっちり組み合ってこそ,すぐれた音楽になりうるのである。高度の テクニックがなければ,音楽を表現しえないし,音楽性のない演奏は,唯単 に音の羅別にすぎなくなる。これ等は決して別々に考えられるものではない。 音楽性を養う事にっいては,いろいろな条件があり,大変重要な問題では あるが,これについては,次の機会にゆずるとして,今回は,音楽を表現す るテクニックについて,のべてみたいと思う。テクニックの中でも最も基礎 的な打鍵法にっいて,研究してみたいと思う。特に今回は,ピアノ学習をす る子供達にとって,わかりやすく,楽しみながら,知らず知らずに打鍵の 基礎を習得出来る様に考えてみた。打鍵は単に指先だけの問題ではなく,身 体全体の運動の一環として行われるべきで,その身体全体の運動を的確に理 解しなければ,正しい打鍵が出来ないのである。 正しい打鍵は,要するに,音楽を表現し得る音を発するということであり, 前に述べた,たまたま,ピァノのキイの上に何かが落ちて発した音とは,全 く意を異にするのである。 打鍵の練習方法を招介する前に,ピアノ演奏の際の基本的事項について, まず理解して頂くことにする。 ピアノの音を出すための力の源泉 ピアノの音を出すのに,力を要する事は,当然な事であるが,比の力は,
一93一
所謂物を持ったりするときに要する力とは全然違った種類のものである。即 ちピアノに作用する力の根源を追究すると次の二っが考えられる。 1.ピアノをひく時の経過を考えれば,明瞭である様に,手を鍵盤の上に, 力を全く抜いてのせておいて,音を出そうとする瞬間に,手及び腕の筋肉 を緊張させる,比の「緊張」なる運動が,所謂力と変化して鍵盤に作用す るのである。 2.指それ自体はごく僅かな重量しかなく,かりに指を一本切り離して鍵盤 にのせてみても,鍵盤は微動だにしないであろう。従って重さによって生 じる力は指だけから期待する事は出来ないが,之に手首の重量や腕の重量 等を加えるならば,之を矢張り一種の力として鍵盤に作用させる事が出来る。 比の二っの現象を適度に利用することによって,強音(フォルテ)も弱音(ピ アノ)も得られる。即ち筋肉の緊張の運動をす早くすればする程又手及び腕 の重量を指先に加えれば加える程,強い音が得られ,之と反対に,筋肉の緊 張を緩漫にすればする程,又手首や腕の重量を指先から取去れば去る程,弱 音が,得られる。比の二つの力の源泉を無視して,やたらに,鍵盤を叩いて も美的な強音は得られない。唯騒々しい音を立てるのみとなる。 手の形について 1。先ず親指を外側に出したま・握り挙をこしらえ,それを何か平らな板の 上に少しも力を入れない状態でのせてみる。 2.そして手の甲の平面の位置を変えずに指がある程度弧をかくまで開く。 3・先に指先を支えとして,手掌をのせている板の面から少しはなす。その 際指の付根の関節は,手首の関節より高くしなければならない。 (次の頁を参照すること) ピアノは叩いてはいけない ピアノをひく時,主として守らなければならないことに,叩いてはいけない 事がある。比の叩く方法は,今迄日本で多く行われていたのであって,一々
一94一
(1)手の各名称 第三関節 第二関節 ● ♂ 第一関節 ● 手首の関節
上臆部
下脾部
肘の関節 隻肩の関節(2)ハ長調
ど音から
そ音までの各指の
あたるところ ● ● ● ● ●右手1 2 3 4 5
(3)ひきよい
水平線 ひきにくい 一、 ’ ” 、 ’ , ’. ふ \ ! ’ 曜く二”’\監==:”’ナ””7””” 、、 嘱鵯』4 ’ 、 ノ 水平線一95一
指を高くあげ,そしてそれを鍵盤に向って落下させて弾いたのである。 これが何故不合理であるかと言うと,それは次の様な理由による。筋肉の 緊張によって生じた力が,落下と同時に指先に伝わる。即ちこ・に,上から 下へと向う力が生れてくる。鍵盤はそれ自体として,下から上へ向う力を有 しているものであるから,今指を鍵盤から離れたところから落下させると, 指先が,鍵盤に着く瞬間に,二っの相反した力が一点に於て衝突し,その相 互の力が,その瞬間に抹殺されてしまう。之は物理学上の法則から言っても 当然な事である。 その上,指を常に高く鍵盤から離して,あげておかなければならないから, 五本の指の筋肉は常に緊張している状態におかれている。 音を出さない指をも四六時中緊張させておくという事は全く無駄な労力で ある。 又一度下げられた鍵盤を再び上げるために指を故意に緊張させて上げるこ とは,押えた指の力を唯単に抜くだけで鍵盤が上ってくるのと較べても,之 が無,駄な労力だと言う事がわかる。 比二っの欠点,即ち衝突の現象と,無駄な労力を省くためには,如何にし たらば良いだろうか,此は至極簡単である。即ち音を出す前に…身を抜いた 状態で指を必要な鍵盤の上にのせておき(1準備の状態)そして音を出す瞬 間にその指を動かす筋肉を緊張させ(2打鍵)音が出てしまつたらば,その 指の力を抜く,即ち緊張させる筋肉を弛緩させる(3力の解放〉この方法が 良いのである。 以上,打鍵における根本的な留意点について述べたが,この様な理想的な 打鍵を身にっけるための練習方法をあげてみたいと思う。 先にも述べた様に,これは,初心者特に子供のために考えたものである。 この種のトレーニングは,紙面で説明するのには,大変困難で,はたして どの程度,私の考えが,適確にお伝え出来るか,擬問であるが,なるべく細 かい注意をかきそえてみる事に努力する。 これ等のトレーニングの一番大切なことはあせらず,毎日々々行うことで
一96一
ある。大変やさしいので,はじめは,馬鹿にして,真地目にやらない生徒が いるが,あくまでも説明に忠実に,気長にやる事をのぞむ。 私は,すでに大勢の生徒に,これ等の練習を試みているが,早いもので, 一カ月,おそくとも半年には効果が現われ,今までよりずっと演奏が楽にな り,っかれなくなり,しかも,ずっと音楽的に演奏出来る様になった。この 様に少しでも効果が現われてくると,生徒は,こちらから何も言わなくても, 自分で自主的にこれ等の練習を行うようになるがそれまでは,教師が,徹底 的に指導しなければ,より良い効果は望めない。 力の解放のための全身運動 ピアノをひく場合,何といつても力を抜く事が大切である。指や手首に不 自然な力が入り,力の解放が上手に出来ない場合に,この全身運動を行うと 効果的である・(次の頁を参照すること) 練習1 母さんお肩をた・きましょう。 肩,肘,手首の力を抜いて,手を肩までふり上げ,自然に落とす運動
方法A
軽く手をにぎり,肩,肘,手首の力を完全に抜いて,机の上に落とす。ち ょうど肩た・きをする要領で行う。肩た・きの際,脱力してた・くと重みが のつて,非常に気持が良いが,力んでた・くと痛いだけで効果はない。生徒 の肩をた・いてやったり,た・かせたりして,肩,肘,手首の脱力を把握さ せる。方法B
Aと同様であるが,軽くにぎった指を,少し開いて,指先で立つ様な形に して行う。この際,完全に脱力をしていないと指先を痛める結果になるので 充分脱力をして行うこと。落下の際頁100図1・2・3の様に指先から落ちるの でなく,手首が先に落り,続いて指先が落ち,指先で立つという順序である。 打鍵の際手首から落ちる事は,非常に大切であり,やわらかい音色を出すに一97一
レ 識 話 、も ● ’
1
2 指の第一関節から先の力を解放する ’\㌧
4 肘の力の解放 一 〔4と5は下臆か疲れやすい場合に特に有効。〕 η 6 ﹃略 脇● 1 全身を緊張する 首を前後に やわらかく振る する〕 ビニ〉姥
8上半身の力の解放 6と7は肩が張る場合 ノー、 〆驚刈プ
ノ 、 し 98参舜
覧ーしーA︾ ■ 1 ▼ ,む㌧ 妙 3 手首から先の力の解放 5 上臆下脾をらくに前後に振る 7 肩から前後に振る置 、
職
背筋・まっすぐ(裳編鍮輸戴)
、 据’ ∼養ρイ鵜
鹸霧
訟 野辱 、 の ノ1 / ノ1
鼻慰で
?毎ザ ㌻ ず 肩・自然にしている。 らくにかける(㌶簿碧群麗驚)
椅子の高さの調節は大切(鷺鷲雄赫黎薦鶯≦⇒
一99一
は,か・せないテクニックである。
手
首
の 手関 首 肘
節
練習2 ピアノにおんぶしましょう。 打鍵の瞬間,指先に体重をかける運動 練習1のBで行った様に,まず手首を肩の高さ位上げ(その時,指先は,自然 に下にたれさがっている)落下は,手首より脱力して落とし,指先で立つ。 指先が打鍵する瞬間に,上体を前かがみにさせ,指先に,上半身の重みをか ける。キイから指が離れる反動で上半身は,前の姿勢にもどる。この作業を くり返し行う。上半身の体重が,うまく指先にか・る様,タイミングを研究 して何度も行う。 うまく体重がか・ると,深くしっかりした響きのある音が生れる。 練習3 ボヨヨーンと力を抜こう 徹底的に脱力させる運動 打鍵方法は練習1及び2と同様に行う。 1の指から1音ずつ行う。打鍵したとき完全に脱力がなされる様訓練する。 完全に脱力がなされれば,打鍵の際手首,肘が反動でボヨヨーンとゆれるは ずである。打鍵したま・手首肘が,静止するのは,どこかに力が入っている 証拠である。これは,やさしそうで非常に難しい作業である。しかしこれが マスター出来ると,非常に上達が早く,意図した音色を出せる様になる。だ から,ボヨヨーンとゆれる迄根気良く練習して欲しい。1音1音たしかめな がら行う。片手ずつ行う。 イコ†)ノ物口 一 吾 23
4
5
4
3
2
吾1厚
右手の場合1
2
1
一100一練習4 おすもうさんのしこふみ 指の第一関節を働かせる運動 練習3のボヨヨーン運動を経続的に行うのである。要するに音を切らないで つなげて行う。まず1の指で打鍵する。次に2つの指を打鍵の準備として高く 上がる。この指を上げる際,力を入れて上げると打鍵の際叩く事になり,甚 だ不合理な打鍵になる。あくまでも力を入れずに,第一関節のちょうっがい を働かせて上げる様にする。 (注 第一関節のちょうっがいは,非常に大切 な働きをもつ,この働きが確実に行われると,指がしっかりして来る。故に, このちょうつがいを働かせる運動を後程のべる事にする)2の指の打鍵の 次には,3の指を高く上げて準備の状態に入る。打鍵の際,打鍵する指だけ が,その瞬間のみ緊張し,すぐ力を解放する。常に力を抜くことを心がけて 頂きたい。 これは,あたかも,おすもうさんが,大きくしこをふむのと似ている。お すもうさんは片足をふみしめ,次の瞬間片足を高く上げるが,これは,決し て力を入れて上げているのではない。又ふみしめる足も,足が地についたと たんに力は解放されている。 練習5 にぎにぎポンポン 打鍵の際に働く第一関節をきたえる運動 まず全部の指をのばす,次に1の指をのぞいた四本の指を勢よく曲げて手 の平をポンとた・く。その際,第三関節を曲げてしまうとにぎりしめる様な 形になって,第一関節の働きが弱まってしまうので注意する。指先の関節を まげずに,勢いよく手の平を打つ練習を行う。これは,指を強くするのに大 変役立つ。 ピアノがなくても,どこでも出来る練習なので,習慣的に行う事をす・める。
練習6 手首まわし
どの指にも,重みがかかりやすくする為,手首は常にやわらかくしておか 一101一なければならない。 脱力して,手首から自然落下させ,234の三本の指で,並んだ三っのキ イをひく。その時充分に三本の指に重みをかける。次に,この三本の指を中 心に手首を大きくまわす。内廻り四回,外廻り四回,それを交互に繰返す。 これは手首を柔軟にして,各指に重心を移して行く際の助けになる様訓練す るのである。 練習7 仲良し音符のグループびき レガート奏法の基礎練習 今までの練習では,その音一つ一つに手首の上下運動が伴う故,或一定の 速度までしか応用することが出来ない。比の程度を越えると完全な手首の上 下運動が出来なくなる。それ故非常に速い音階,アルペジオ等を弾く時には, それに適した他の方法を考えなければならない。それは,根本原則を矢張り 鍵盤の上に指をのせておいて押下げる事におき,只手首の上下運動の経過を 少し変更することで目的は達せられる。即ち今迄音一つにっいて一回の手首 の上下運動があったが,今度は,音二っ三っ,或は,それ以上の数の音に対 して一回の手首の上下運動をする様にする。
つ
*
米 匠 へ } 一 薯 1 一研C ,三 3タ 12 3タ
房
*/234
↑
例えば,上の様な早い音階をひく時に,最初の*印の下向きの矢印のとこ ろで一度手首を下ろし,次に*印の場所で再び手首を下げる迄に,その間の 三つの音を階力でひいてしまう。手首を上げる時期は上向きの矢印のところ である。比の間の音を弾く指は,その指自身の力により鍵盤を押下げるので 一102一ある。勿論腕の重量が加わって力を強めてはいるが,比の*印の場所は力が 集中された場所であり,*印と*印の間の音は,前者に比較して力の集中が 少ない。 この弾き方によって,拍子感,フレージング感が出てくる。音楽の表現に は欠かせない大切なテクニックである。 尚こ・で注意しなければならないことは,階力によって弾かれる音に,初 めに手首の上下運動の際生じた重みを,なるたけそのま・移して行く事が望 ましい。 レガートで速いスケール等を弾くとき,どうしても音の大きさや,リズム が揃わないで苦心する。しかしこの原理を応用すれば,それは解決されると 思う。 指だけで弾こうとすると,どうしても,各々の指の条件が異るので,12 3の指は強く45はどうしても弱くなる。リズムも平均に行かなくなる。 故に,各々の指に同じ重みを移して行く奏法にすれば良いのである。た・“ しその重みを支えるだけのしっかりした指先を作らなければならない。要す るに,第一,第二,第三の各々の関節を打鍵の際緊張させて,重みをしっか りうけとめる体整にするのである。
練習8 和音つかみ
和音を弾くための練習 和音を弾く際には,まず,肩肘手首の力を抜いて,自然’二状態でまず,必 要なキイの上に指をのせる。その時あくまでも手をかたくしない様にする。 キイを押下げる瞬間,必要な指のみ緊張させる。この緊張度が高ければ高い (強音) 程,!が出る。この押下げる速度と緊張度が,緩慢な程やわらかい音色及び (弱音) Pが出る。 打鍵したら直ちに,力を解放し次に弾くべき準備として,次にひくべきキ イの上に指を用意する。この用意は,出来るだけ迅速に行う事が欲ましい。 迅速に用意をする事は次の音を間違えなくかつ,意図する音色,強弱で奏す 一103一るに欠くべからざる事である。迅速に行うには,完全に脱力をしていないと 思うにまかせない。打鍵の反動をうまく利用して次なる準備にかかるとよい。 準備体整に入ったら打鍵の前にもう一度脱力が,完全に出来ているかどうか 良くたしかめ,打鍵を行う。 下譜の様な和音練習をす・める。 1 9 1 ぞ し O 8 直 腰 1 tユ し 『 『 ζ ζ rJ舟 ㌧ ㌻ユ “ ﹃3 ; i じ ○ ‘ 139 屯 じ ー呈 ケ ー 3 壱 ﹃9 03 13 、 B 13 1 1 1 馳 £1
ζ
イ! σ 、 和音を弾く際,手をかたくして上から叩く事がよく行われるがrこれも, 前に述べた様に非常に不合理であるのみでなく,音が割れてかたい音色にな り,音楽的ではない。又コントロールも出来ず,音楽表現上はなはだ不都合 である。 練習9 ピノキオの手でひきましょう 二っ以上の音を同時に,経続的に奏する時の練習 これは今まで述べて来た奏法とは異なり,準備の状態の時に手首や指の関 節と節肉を緊張させて硬くしておく方法である,今まで述べて来た打鍵法は, 打鍵後直ちに力を解放する方法だったが,連続的に速く二っ以上の音を同時 にひく場合,脱力して準備をする時間的余裕がないために行われる。これは 鍵盤を押す指が垂直に,丁度棒の様な格構にしてひく。例えば,2と4の指 で三度の音階を強音でひくとか,1と5で六度或はオクターブの強音を弾く 一104一場合である。 藷垂グ 8”” 又下の譜の様な場合は,指と手の平を緊張させて,硬くして,一本一本の 指で打鍵を行うのではなく,硬くした指と手の平全体でひく形になる。この 際,手首をうまく使って,重みを次々に移しかえる事が大切である。 一 ”!” r9・ [ rf’か ’ ご!o ρか 練習10 各々の指を独立させる運動
方法A 指もぐり
指は,ドレミファソのキイの上におき,手全体を丸くする。そして手首は 親指の延長線上の高さでかまえるようにする(図1) まず親指から,指で音を出す。その指を出来るだけ深くキイの下までおと す(図2) 指を休みの時の形に戻す。又指を出来るだけ高くもち上げる(図3)図1 図2 図3
ノ、、 方法B 指の独立に役立っ練習 1.ある指が,打鍵する時に,それ以外の指を動かさないことによって,1 本1本の指の独立をはかる。 一105一_一_
( ,一一一一=====二二一 ,,一一一一 ) ︸ ︶一 一
(一 ( (
) _ ノ .一’一一一一一一
、 一 一 一一
一 ( / 、 … 隻 ●o _
一
2.速く連続的に指を変えることによって,指で音を弾くことに,備える。 1 ヤ 3 ち 5 石 3 2 1 1 1 o 含 リヤ ー5 1 ち り 》 5 2 4 3 1 1 つ 畳 q o∼ 一 ¶ o∼ 3 4 5 4 一106一3.最初の指の横方向への移動 卿ゴ,, 伊’イ5 1 5齢 51 豊 1 11 1 塾 ∼ ・ 、 り∼ ∼ 1rl 13 艦 宴隻 會 1 5 , , o∼ 〃’ぐ∼ ∼ ∼ ∼ ∼ , 1包 ち ち 3 q q 2 ヤ 以上述べた練習法の他に,多くの練習方法があるが,今回は特に打鍵の基 礎に関するものだけをとり上げてみた。一っ一っの運動を文章で説明するの は極めて困難で,実際にピアノに向って指導しなければ,本質が仲々御理解 頂けないかと思う。こうした指導は本来文章で表すべきではなく,少なくと も絵とか,写真を数多く入れる事が欲ましいのであるが今回は,充分にこれ らを挿入出来なかった事が残念である。 ピアノ演奏には,まだまだ多くのテクニックを要する事は云うまでもない。 しかしこれ等も,今迄述べて来た事を良く理解し,これ等のパターンを応用 する事によって理解出来ると信じている。 最後に,今まで述べて来た奏法が,実際にどの様に生かされるか説明する。 一107一
A f; r 25 T i' ' ' -ib¥ 'j'lbJ'- '/J'I' ' " . La chevalereSque .!' ! h - "ft- - tcL< J
f )e ?4,' ' - -- '
*, ) ' l T t f z f* e ;1) " l js 1: v it :Ao l J i ic8'4 e ' " 4-JI hl f]'P v:- ( Allegro maraialo(J 152fV:h'4 h '( 'b;h'r' l: . (! c" ) '- ' t' ? t)1J tlt] le u<
: l( f z"'1L" ) 'r fe'if ' e ; z ' " < llr', 'b(¥a Ltl 5 4 J F ' " i:f ! ti ) (be t'r(;jl¥ ::"Z - 'h) (r :1" rt7S UP'V ' V[-T')r;" - ( ( I':epJ LfLl'( s () ( yf lq l: /'T* - rte'lp C! 5 f r; ;f "4 i: - ' ' : t ; :'-'ilfh *-Pz f ef L - 'rlrs50(,1p: L( tf( _ _ _I )
3 B * 'e' r:"I ft,f P'4 l U ri7- - :e' -e'%r 'S l' f;h3"I
:.. .
J ;.0' i'tL '; /!1;t L1"< b c ' 1'; rl:'1 i)e jC <r .1;LrLOlr'Z e) ib, e j 4t t /A1?'t3 {;p' ,(/t2' lLF -r f---Is '
t .; ;' ,' t " ;d'u' t' ;
Is 3 :r- J' p'L" & TI'l ; 4Llt tfb 7 l ; t 4 jtSOif
f pq 'Ji ' ' tf q f (c;p p・b・h "L '-'c =e.
J J
JJ==J
pf ': /': "'1 ; :h_ I 7 'fr
( _; t trl" ' r ' 1: '4k'( )
-:i rA- ; 711 j ( C / ' e ')