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鶏内臓型淋巴腫症に関する研究(1) : 主として発病機構,診断法及び予防と治療について(創刊10周年記念号)

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113

鶏内臓型淋巴腫症に関する研究(1)

主として発病機構,診断法及び予防と治療について

高  橋

尋  匡

Studies on the Visceral Lymphomatosis of Fowls. (1) M:tZinlN on Causes of Falling sick,伽4 Diagnosis Met加d a〃d Preventive and Medical Treatment of ViseraZ Lymphomatosis, Hiromasa Takahasi 目  次  緒 言 第1章 内臓淋巴腫症の発病機構について  1.発病と性別の関係  II.発病に及ぼす飼料(生魚層)の影響  皿.腫瘍の投与及び接種が発病に及ぼす影響  IV.腫瘍組織の卵臼培養液接種による伝達試   験 第2章 内臓淋巴腫症の診断について  1.Needle Biopsyによる診断法  9.内臓淋巴腫症血清の特異反応について 第3章,予防及び治療試験  エ.Ba. Subtilis培養物による予防試験  亜.若雌に対するズブチリス菌培養物投与試   験  皿.雌雛に対するズブチリス菌培養物投与試   験  IV.内臓淋巴腫症耐過血清による予防試験  V.ズブチリス培養物による治療試験 緒 言  内臓型淋巴腫症は,内臓器に発生する淋巴系 の致死的腫瘍で,内臓型白血病とも称せられ, また養鶏家の間では肝臓肥大症の名で知られて いる。ニワトリ白血症群の中で最も多発し,養 鶏経営上鶏の死亡による損害の中で最大のもの といわれておる。

 本病に関する研究は,初めPappenheimer

  ユの (1926)は内臓に発生する淋巴腫瘍は鶏の麻痺        病の中の病型と考えていたが,Johnson(1932) が内臓に多発する淋巴腫瘍を内臓淋巴睡症Vi・ sceral Lymphomatosisと呼び,淋巴腫症の名 のもとに神経型と内臓型に区分することを提案 した。本病が伝達性であることはDavis and      ユリ Dogle(1947)によって明らかにされ,病原体が       ラウイルスであることはPentimalli及びOlson    42)      7) (1955)が証明している。Beard(1955)は内 臓淋巴腫症ウイルスの分離に成功し,3種のウ イルスが確実に証明されている。また病原ウイ ルスが卵を通して,ヒナに伝達することもCo・       わttral, Burmester and Waters(1954)及び         ちラ Burmester(1955)が立証しており,免疫血清        む        エの 学的研究はBurmester(1955),(1956)が免 疫抗体や母野免疫の成立及びin vitroで免疫 血清がウイルスを中和することを立証し,内臓 淋巴腫症も他のウイルス伝染病と同じように免 疫の可能性が推測されるに至った。  内臓淋巴腫症ウイルスの感染と発病に関し重 要な要素として,遺伝的感受性と抵抗性につい        42)       39) て,Olson(1941)やHutt and Cole(1953)   40)      47) (1957)及びWaters(1954)等が立証してお り,また感染し易い時期は艀化後1∼2週間で日 令の経過とともにかかりにくくなることも明ら       う かとなった。       ラ  日本においては松原(1928)が仮性白血病の

(2)

114

滋大紀要

第  10 号 1960 品目病理学的記載をしており,伝達に関し石黒    ラ      の (1954),堀内,石谷(1955),井上,千葉(  る ノ 1955)の報告があるが,自然発生の内臓淋巴腫 症の伝達率は低く,特に継代は全て失敗に終っ ている。Regional}oultry Research Labora・

tory(RPL)ではRPL12と称せられる伝達系

      ユの ウイルスが継代されている。  その他多数の業績が報告されておるが,なお 不明な分野も多く,自然発生における発病機構 の解明も不十分であり,発病鶏の診断において も未だ有効な方法は発見されていない。また本 病の予防並びに治療に関しては,遺伝的に抵抗 性ある系統の飼養と感染防止の消極的対策以外 に有効的予防治療法は皆無である。日本ではい まだ抵抗性の系統は見出されておらず本病に対 する対策は講じられていない。  筆者は1957∼1960年の間において,自然発生 の内臓淋巴腫症の伝達と発病,診断法及び予防 と治療に関する諸試験を行い,腫瘍培養物によ る伝達,生体診断法,予防及び治療法について 知見を得たので,その概要を報告する。 三二乳剤を投与し,その後150日令まで観察し た結果は第1表の如くで,雄においてはロック ホr・一ンに2羽発病したのみであったが雌では白 レグ2羽,ロヅクホーン5羽が発病した。    第1表 淋巴腫症の性別発生数(1) 区 分 供  試  鶏

早智猟

「雄区

Il

 白  レ グ ・1・ックホーン 50 100 試験 期間

駆1・白・グ

    ロックホー’一ン   皿 2’l iool ヵ月 5 淋巴腫症発生数

撃齢騨計

o 1 3一ノ4 o 2 2 4 o o o 1 o 3 5 9 第1章 内臓淋巴腫症の発病機構について  本病の病原体がウイルスであって伝達性であ ることは明らかであるが,感受性に甚だしい相 違があり,伝達には強い悪性のものと,弱いも       る う ののあることも知られている。また長い潜伏期 と,病原体がニワトリに不活性または潜伏性に 存在するなどの特徴も知られている。そのほか 年令や性別によっても発病に相違あることが報      ヨコ 告されている。  筆者は自然発生の内臓淋巴腫症の発病機構に ついて特に発病と性別の関係,飼料並びに腫瘍 の投与及び接種が発病に及ぼす影響についての 試験及び腫瘍組織の卵臼培養液の接種による伝 達試験を実施した。 1.発病と性別の関係 註本試験は昭和35年4月14日より5ケ月閻実施  また別at uヅクホーン雄197羽,雌198羽につ いて観察した結果においても第2表の如く雌は 7羽の発病に対して雄は2羽で,明らかに雌は 雄にくらべて発病率の高いにとが認められた。 第2表 淋巴腫症の性別発生数(2) 区 分

供試鶏

羅圏

観察期間 整  死  数

圏離繕蟹

2 一 日 0 11 ∼ 50 48 クン ッー ロホ 0 〃 7 4 〃

♀舎

1 豆 計 ♀下. !1 f! 150 0∼120日令 150 1! 5 o 198 197 7 o

 313

一一一G一1

 1f2

11 3 1 4 5 12 8 14  臼レグ雌雄各50羽,ロヅクホーン雌雄各100 羽を20日令まで晶群として育雛し,21日令から 区分してバタリーに収容して同一鶏舎内で同じ 条件で飼育した。また内臓淋巴腫症に対する感 染の条件を同じくするために餌付より3日間腫 第1試験は昭和34年11月12日より2ヵ月実施 第互試験は昭和35年4月14日より4ヵ月間実施  また腫瘍の投与及び接種試験においても,雌 雄各26羽の初生雛に腫瘍を接種した場合,雌に は3羽の発病をみたが,雄には1羽の発生もみ られなかった。  本試験の観察期間が短かかったために結論を 得ることは困難であるが,Rosen(1941), Bur・ mester(1945)も性ホルモンと発病の関係につ いて報告しており,Burmester及びNelson( 1945)は雄性ホルモンは淋巴腫症に対して抵抗 性を増加すると云っている。雌における発病が 雄にくらべて多いことは性ホルモンと関係のあ

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鶏内臓型淋巴腫症に関する研究(1)(高橋) 115          う ることが理解される。その理由について論じた 報告は見当らないが,発病が初回開始前後の 150日令頃から多くなることや,次に述べる飼 料の影響などから考察し,脂肪酸などの特殊条 件によって,不活性に存在している病原ウイル スの活性化が促されることも考えられる。 H.発病に及ぼす飼料(生魚屑)投与の影響  本病の病原体が明らかにされる以前において は発病の原因として栄養説が信じられていた。 今日でも養鶏家の間では生魚屑を投与すると肝 臓肥大症(内臓淋巴腫症を意味する)の発病を 促進することを主張する者が少くない。生魚屑 には魚油性肝臓肥大因子が含まれることは確か    ろの であるので,これと混同しておることも考えら れるが,内臓淋巴腫症と魚油性肝臓肥大の関係 を明らかにした報告はないので,筆者は生魚屑 投与が内臓淋巴腫症の発生に及ぼす影響につい て試験を行なった。  試験方法は140日令の白レグ雌80羽を40羽宛 対照区,試験区に2区分し,試験区に対して生 魚屑1羽当日置型609を投与し,1958年8月25 日より1959年2月末まで飼養した。基礎飼料の 配合割合は第3表の通りである。     第3表  飼*斗酉白田害[J合

区分騨諮鱗,1闇㍊牙1黒鯛

肪肝の発生は認められなかったのに対し,試験 区では内臓淋巴腫症の発生は,対照区は6羽( 15%)の腫症肝と4羽(10%)脂肪肝が発生し, 生魚屑の投与は脂肪肝ばかりでなく,内臓淋巴 腫症の発病も促進することは明らかである。そ の原因は明らかでないが魚油が重要な因子であ るならば,生体内に不活性または潜伏性に存在 する病原ウイルスが酸化脂肪酸によって活性化 し発病を促進することも考えられる。不活性ウ イルスが有機酸化物によって活性化することは       エの Gruber(1937)も認めている。

聯邦1453… 681・

皿.腫瘍の投与及び接種が発病に及ぼす影響 謙区・・ 1・・i・・1・

・i職日

 約5ヵ月間の観察期間における内臓淋巴腫症 及び脂肪肝の発生状況は第4表の如くである。  第4表 生魚暦投与が内臓淋巴腫症の発生に      及ぼす影響 区分 対照区 試験区 供試羽数 40

雛死及び淘汰

 腫瘍乳剤の投与と接種が発病にいかに影響す るかについて試験した。試験は1959年10月より 1969年2月末までと,1960年4月14日より10月 10日までの第1及び第皿の2回に分けて行い, 投与,接種ともに発病を促進することが認めら れた。投与において対照区の発生が3%に対し 試験区では白レグ16%,ロックホーンは26%で あり,接種区では11%で,投与区は接種区より も発病率が高かった。  腫瘍肝を投与すると共にその乳剤を鼻腔及び 気管内に接種し,4ヵ月聞観察した。第1試験 の10カ月令の白レグでは1羽の発病もみられず 成鶏にあっては発病(感染)の少いことが理解 される。  以上の結果,腫瘍の投与によっても初生雛に 対しては接種による以上の発病(伝達)するこ とが判明した。伝達については従来行われた多 くの報告と同様であって,発病するものと,発 病しないものがあり,個体によって相異のある ことは感受性,抵抗性の遺伝的な系統の外に感 染(伝達)に対して不顕性は自働及び受働免疫 (抗体)によるものではないかと考えられる。

紀圃脂肪肝一その他計

2 (5. 0)

   6

40  i (is. o)  4ao. e)

i  ち

(7.5) i (12.5)  4 1 14 (10. 0) 1 (35. 0) 註1.昭和33年8月25日より34年2月末まで実施  2.括弧内は%を示す 対照区では内臓淋巴腫症が2羽発生したが脂 W.腫瘍組織の卵白培養液接種による伝達量  験  Regional Poultry Reserch Laboratryでは RPL12と称せられる伝達系のウイルスは感受 性系統の鶏に対しては50%以上の伝達性が認め られているが,日本における自然発生の腫瘍に よる伝達試験では石黒(1954)が9例の腫瘍に

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116

滋大紀要

第  10  号 1960 第5表 腫瘍乳剤の投与及び接種試験成績 区  分 1 11 対照区 試験区 対照区 試 験 区 1 2 3 4 供 試 三

品劇性別年到羽数

白  レ グ 1! ロックホーン ロソクホーン 白  レ グ ロックホーン fl !1 !! l1 1! 舎 10ヵ月 11 初生雛 !/ !/ !1 40日令 20 1! 100 25 50 50 4 験間 試期 4ヵ月 !! 6ヵ月 6ヵ月 !! 11 2ヵ月 投与及び接種法 淋巴腫肝乳剤粘膜接 種及び2ヵ月投与 淋巴腫肝乳剤腹腔 内0.2m1接種 淋巴腫肝乳剤  14日令まで投与 淋巴腫肝乳剤  肝臓内接種 淋巴腫症発生数 浸潤型 結節型 o o 2 3 6 10 1 o o 1 2 3 1 凹ヨロ o o

 3一

(3. 0%)  3 (12. 0)  8 (16.6)  13 (26.0)  1 (2sro) 1 註1 試験は昭和34年10月1日より2月末まで  皿 試験は昭和35年4月14日より10月10日まで ついて,その細片乳剤を筋肉中に移植しその1 例が接種した5羽の初生雛中2羽に発病し,そ の他の8例では伝達試験は,陰性でその継代は 不成功に終っており,堀内,石谷(1955)が自 然発生の内臓淋巴腫症9例の腫瘍乳剤上清液を 雛の腹腔内に接種して244日まで観察したが, 伝達性を認める成績は得られず,井上・葉( 1955)の淋巴腫症の移植も陰性であった。その ほか自然発生の伝達試験は多くの研究者によっ て行われているが,伝達性は不良であり,継代 は全て失敗に終っている。  筆者は病原腫瘍の卵白培養したものを腹腔内, 筋肉及び静脈内注射によっていずれも発病を促 進することが認められた。  自然発生の内臓淋巴腫瘍組織を鶏卵に接種し 42。Cで14日間培養した卵白液を30分間3回遠 心し,その上清液を初生雛に対し雌雄各14羽に 夫々1羽当り0.2mlを1回腹腔内接種し,90日 令鶏に対しては,第1回0.5m1より逐次増加し

て2m1及び3mlまで4乃至6回筋肉及び静脈

注射して伝達性について観察した結果,初生雛 接種の場合は20日令までに雌16羽雄15羽が難死

し,生存の雌6羽中5羽,雄7羽中4羽が淋巴

腫症肝となり,90日令注射の場合は約2ヵ月後 屠殺して鏡検の結果,160日令までには静詠内接 種の1羽を除いては発病麗死に至らなかったが, 14羽中7羽が淋巴腫症肝であることを確め,伝 達の陽性が認められた。(附図5∼16参照) しかし初生雛の場合20日令までに驚死のものに ついては伝達性は認められなかった。また静脈 に注射した雌5羽中1羽は接種(注射)後2カ 月以内に発病し発死した。 第6表 腫瘍組織の卵白培養液接種試験日績 供 試 鶏

品種性別年到羽一

腹腔内注射 筋肉内注射 静脈内注射 ロヅクホーン f1 1! 初生雛 90日令 90日令 24 24 4 4 5 5 注射回数 1 1 6 6 6 6

発死数

18 17 1 2 1 伝  達  反  応 発症数 陽 性 陰 性 3 1 2 4 2 1 2 2 1 2 2 2 1 2

(5)

鶏内臓型淋巴腫症に関する研究(1)(高橋) 117 第2章内臓淋巴腫症の診断について  内臓淋巴腫症は外部にあらわれる病状が不明 瞭で白1血症群の申でも最も診断の困難な疾病で ある。緑色下痢便の排泄,食欲減退,肉冠の活 力減退と産卵の乱れや三下の状態などの徴候及 び肝臓が肥大すれば触診などによって大体の診 断はできるとしても,類症の判定に対する決め 手はない。また顯粒細胞の検出による方法も試 みられているが,病勢によって発現率に相違が あって決定的な決め手はなく,類症鑑別は病理 組織学的検査に待つほかない。生体診断につい ては未だ特異的有効な診断方法は発見されてい ない。  筆者は肝臓のNeedle Biopsyと血清学的反 応試験を試み一応の成果を得た。 LNeed互e Biopsyによる診断法  肝臓Biopsyの施行は鶏を保定台に仰けにし て保定してもよいが,助手が頭部を助手の方向 に仰けにし,左右いずれかの手で両脚を持ち一 方の手で穿刺側の翼を体部から離して保持する。 術者は胸骨のほぼ中央側面胸筋の梢外側部の穿 刺部を消毒し,穿刺部位をきめる。Biopsyに使 用する針は,Vim−Silverman型Needleと慶 応式カイバ組織採取針のいずれでもよい。この 針は三管針とマンドリン及び2枚の刃より成る 組織採取針の3部より成る。組織採取には針を 皮膚に大体直角に刺し入れ,針尖が肝臓に達し たならばマンドリンを抜き組織採取針を套管針 の尖端を越えて,肝臓内に刺入し,次いで針全体 を廻転せしめて組織を切りそのまま抜去する。 その部は血腫の発生を防ぐため数分間圧迫する。  この方法によって採取可能な組織は巾1mm 長さ20mmである。組織はフォルマリン固定後

第1図健康血清の血球凝集反応

1 (.fiL) 2 (・XN) 3 (T) 4 (一Ss) 5 (舎) 6 (舎) 7 (舎) 8 (一¥一) 9 (一?一) 10 (.s?一)

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生  血  清 10 20 40 80 16e 320 640 1280 一ト ± 一± 十十 冊什 廿 十 ± 耕 一H一 ± 十  ± ±± 非  働  化 10 20 40 80 160 320 640 1280 一十 ±升 +升 船団 十  一  一 斗十 什 ± 惜 十ト 十 註.1.Fはニワトリ血球、 Gはヤギ血球

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118

四大紀要

第  10 号 1960

第3図りンパ腫症血清の溶血反応

藁欝

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

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健  康  血  清 10 20 40 80 160 320 640 1280 リンパ腫症浸潤型肝血清 10 20 40 80 160 320 640 1280

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二世船出コ=二=

型型世世世二四二

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リンパ踵症結節型肝血清 10 20 40 80 160 320 640 1280

第5図血清の酵素消化血球に対する反応

一嵩蜷聯

健康血清 結節型肝血清 A. No.5 A. No.7 C. No.2 C. No.3 浸潤目凹血清 ︶血清 卵巣腫 ︵ガン B. 15 B. 6 B. 17 B. 18

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生 血 清 10 20 40 80 160

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非働化血清

10 20 40 80 160 トリプシン処理血球   (生血清) 10 20 40 80 160 320

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ヘマトキシリンエオジンにて染色した。  肝臓Biopsyの施行は簡単で,筆者が既に行 った例数は300以上に達しているが,失敗は僅 かに2例であっ7こQまた生体に及ぼす影響も少

(7)

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(8)

鶏内臓型淋巴腫症に関する研究(1)(高橋) 119 く,1週間ごとに連続して行っても殆んど影響 は認められなかったQ  同様な方法で腎臓,脾臓などのBiopsyも不 可能ではないが,高度の技術と熟練を要し,一 般の臨床診断に応用することは困難と考えられ るQ  肝臓のNeedle Biopsyは肝臓の面一小部分 を採取するにすぎないから,肝臓の1部分に病 変の存するような場合には必ずしも該部を採取 し得るとは限らない故,かかる場合は正確な診 断は不可能であるが,内臓淋巴腫症の場合は肝 全体が殆んど一品目浸かされている。結節型肝 で病勢の初期に比較的大きな腫瘍結節が数個あ るのみで他の組織は肉眼的には正常の如く見え る場合であっても組織像は淋巴細胞の浸潤が見 られるから,淋巴腫症肝の診断は殆んど確実に 実施し得ると考えられる。 E.内臓淋巴腫症血清の特異反応について  ニワトリ血清の血球凝集反応は,同種血球に 対しては健康血清も内臓淋巴症血清ともに陰性 の場合が多く,両者の間に相違は認められない が,56。Cで30分加熱し非働化すると,内臓淋 巴腫症血清は浸潤型肝,結節型肝血清ともに殆 んど陽性化すなが,健康血清にあっては陽性化 はみられなかった。ただ健康血清において陽性 の場合に限り血温化血清においても陽性反応を 呈した。但しこの場合の健康血清は,外観上正 常に見える鶏の血清の意味で,血液学的又は血 清学的に正常という意味ではないので不顕性感 染も考えられる。内臓淋巴腫症の浸潤型肝と結 節型肝血清の間における相違はこれら血球凝集 反応では認められないが,ただ浸潤型肝血清で は15例中9例が同種血球に対して溶血反応が見 られたが,締節型肝血清では6例中1例も認め られなかった。        ロ ラ  その他ウシ血球吸収抗原による吸収試験及び トリプシン処理血球に対する反応も共に陰性で あったが,卵巣腫及卵管腫瘍血清(ガン腫瘍と 考えられる)のみはトリプシン処理血球に対し て顕著な陽性を示したことは興味あることであ る。  この試験において,内臓淋巴腫症のうち浸潤 型肝と結節型肝血清に相異の抗体の存在は証明 出来なかったが,内臓淋巴腫症血清には健康血 清に存在しない特異抗体の存在することはほぼ 確実で,内臓淋巴腫症の特異的診断の可能性も 考えられる。

第3章予防及び治療試験

 内臓淋巴腫症の予防法は遺伝的に抵抗性のあ る系統の飼養と感染阻止対策などの消極的手段 以外に未だ積極的予防法は発見されていない。 勿論治療に関する試験例は皆無である。  筆者はBa. Subtilisの培養物申に内臓淋巴 腫症の予防,治療に有効なる物質を生産するこ とを確認すると共に,菌培養物及びそのアルコ ール抽出物により内臓淋巴腫症肝鶏を治療し, その耐過血清による予防試験においても有効な 結果を得た。 1.Ba。 Subtilis培養物による予防試験  従来微生物二丁飼料の給与や青草下給が,肝 臓肥大防止に効果があると云われていた。筆者 は1955∼1957年の問において行った各種カビ, 放線菌及び細菌などの培養物投与試験において, ズブチリス菌培養物投与区が特に肝臓肥大症の 発生の少ないことを認めたので40令及び70日令 白レグ雌155羽に対して夫々ズブチリス菌培養 飼料を投与し,7ヵ月及び3ヵ月間観察した結 果,第7表の成績を得た。菌の培養は第1試験 では草類8+米ヌカ1. 5+大豆粕0.5の混合物に ズブチリス菌を38QCで12∼15時間培養したも のを,基礎飼料と等量混合して投与し,第皿試 験では米ヌカ8+大豆粕1.5+魚粉0.5の混合物 に12時間培養し乾燥後,基礎飼料に10%添加し て給与した。  肝臓肥大症の発生は第1試験では対照区5羽 に対し試験区にはなく,第9試験では,対照区 8羽に対し試験区に1羽の発生であり,顕著な 差が認められた。またこれらの肥大肝臓は淋巴 腫瘍であることが判明した。  以上の結果からズブチリス菌の培養物師に淋 巴腫症の発症阻止物質の存在が考えられたので, さらに淋巴腫症に対する予防効果の確認の目的 で,初生雛及び若雌に対する投与試験を実施し

(9)

120

滋大紀要

第  10 号 1960 第7表 ズブチリス菌の培養物投与の肝臓肥大防止効果 区  分 1 皿 計 対照区 試験区 対照区 試験区 対照区 試験二 面  試  鶏

供試剰供翻数

71日令 白レグ雌 % 41日令 白レグ雌i 1/ 30 30 47 48 試 験 期 間

投輔剛調査鞭

71−v 150日令 41−v 210日令 71・v 250日令 11 41−v 250日令 11 発  死  状  況

肝肥大副その副総計

 5

(10.7%)

 8

(17. 0%)  1 (2. 0%)  13 (16. 9%)  1 (1. 3%)  2 (O.7%)  2 (O. 7%)  3 (O. 6%)  2 (4. 2%)

 5

(6. 5%)  4 (5. 1%)

 7

(25. 0%o)  2 (9. 7%)  11 (23. 4%)  3 (6. 2%)  18 (23. 4%)  5 (6. 4%) た。なおズブチリス菌の培養法は,培養物中に ヵビ類放線菌などに対する殺菌作用(抗菌作 用)及びニワトリ血球に対する凝集反応の特異 反応物質が存在することを確かめ得たので,こ れらの反応を基準として培地及び培養時間など 培養i条件を改良し,第8表の如き培地で10時間 培養とした。 第8表 ズブチリス塩培地の配合

論意・カ1・ス・1短粕フ蝋引レ踊末齢

配合化…  i

2 1 150% 各試験に使用したズブチリス菌培養物は全て第 8表の培地である。  なお本試験とは別に培養物投与影響について 行っ7こロックホーン初生雛雄に対する投与試験 において,1∼20%(1,3,5,10,15,20%の 各添加量に対しての育成率及び生長が1%及び 3%区が最もすぐれていtので,予防試験にお ける投与量も1乃至3%を基準として行ったわ けである。 皿,若雌に対する投与試験 大津市及びその周辺養鶏場において,内臓淋巴 腫症の発生しておる10養鶏場を選んで,内臓淋 巴腫症発生群の若雌に対するズブチリス菌培養 物の投与試験を行った。実施しアこ養鶏場はいず れも飼養羽数300羽以上で1958年及び1959年の 三下において肝肥大症(主として内臓淋巴腫症 と考えられる)が10%以上43%発生し7養i附場 である。  試験方法は肝肥大発生群の若雌1047羽を各試 験場所毎に無作為に夫々対照区と試験区の2群 に分け,試験区には菌培養物を飼料に1%を添 加して1ヵ月乃至2ヵ月間投与し,約2ヵ月間 における二死(淘汰)鶏について調査した。飼養 管理は各試験場所においける対照区と試験区は 同じ条件であった。  試験結果は第9表の通りで対照区には76羽( 13.8%)の肝臓肥大症と9羽の脂肪肝(第5 試験場所)が発生し,試験区にも7羽の発生を みたが第5試験場における6羽は脂肪肝で淋巴 腫症肝は1羽(0.2%)であり,赤芽球症を含 めて僅かに5羽(1%)であった。第5試験場 所における脂肪肝は生魚屑の投与による魚油性 肝臓肥大症と考えられ,1月1日より生魚層の 給与を中止してその後2カ月間観察した結果, 対照区には10羽の肝臓肥大症が発生したが,試 験区には1羽の発生もみられなかった。  試験中に発生した対照区の肥大肝臓について 全部の組織学的検査が出来なかったため,肝臓 肥大症の内容は明らかでないが,組織検査を行 なった30一中第5試験場の脂肪肝を除き赤芽球 症3例の他は全て内臓淋巴腫症であった。  対照区と試験区における肝臓肥大症の発生に は顕著な相異が認められ,肝臓肥大症の大部分 が,淋巴腫症であった点などから,試験区の内

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鶏内臓型淋巴腫症に関する研究(1)(高橋) 121

第9表若雌に対する肝臓肥大予防試験成績

供試一

品 種 艀化月  供試羽  数  試験開 試  始 験 期  投与期間  間  調査期  間 死︵淘汰︶羽数  I I 2 (滋大農場)(井上) 3 (木田) 対照群 試験群 対照群 試験黙 過晶群 白レク拒・ク ホーン 4. 21 4.17 試 験 群 24 23 10. 10 2ヵ月 2ヵ月 35 35 4 (横井) 試験群 対照群 クン ソー ロホ レ 白グ ツホン ロク一 4.66. 12 10.10 2ヵ月 2ヵ月 74 P 4s ll. 2! 2ヵ月 2ヵ月

膜臓肥・1・[・2

球  性 芽  経痺 赤症神麻

 艶死

l f一 コ 性シ 慢ク 卵ツィ その二 二 計 2 1 一一neLmlum一 7.6 4s[ 4s  ’ 12.1 2ヵ月. 2ヵ月 1

ii

ii

i12. s1 1 11 31.4  3 16 2!.6 ?一 1 1 13 一  ﹁   一 1 28.9 − 9り 4 2● 4 5 (津田) 6 (原田) 7 (山亭) 8 (杉橋) 試験群 対照群 試験群 対照群 試験群 対照群 試験群 対照群 Ptック ホーン 7. 25 56 56 12. 1 3ヵ月 3ヵ月 ⑨10 1 1 @ 1 ロック ホーン 7. 16 108 58 !. 19 ーヵ月 2ヵ月 14 クン ッ︻ ロホ 9. 14 54 54 1. 23 2ヵ月     乞ヵ月 1

一i

1 10 2 1 2 1 9U一− クン ソー ロホ 7. 3 9 耐試験群 峰対照群 クン ッー ロホ 1O. 11 30 30i 100 100 2. 3 1 2. 10 ーヵ月 一2ヵ月 5ヵ月 1。 渇ヵ月 1 3i [5[

10 (祖父江) 厨照群 試験群 名 白 9. 30 38 38 10.10 4ヵ月  !−⋮6ヵ月 合 計 対照区 564 試験区 483 i一 @ @ 13 23.2 @

 1 1.8 4 冒 10Q  1 1  2 1 3.4 1 16 29. 6    

}1

 ヌ 1 3 4. 1 9 ﹁0. 0 1 1 2 0.7 1 1 1 0 7。 7 1 2 2 2.0 1   鋤 ⑨67ε   σ E

L

1一一

 3

(O. 5) 1 5 1. 2 9 3﹁ 7

 5

1i (O.9)  6 (1. 1)  2 (O. 3) @ 10 (1. 8)  @102 i(18. 08) @  1 (O.2)  4 (O. 8)  3 (O. 7)  5 (L辺 @  2 (O. 2) @ 15 (3. 1) 註しO印は脂肪肝また括弧内は%を示す 臓淋巴腫症の発症阻止に対して菌培養物投与の 効果によることが,次に実施した雛に対する投 与試験結果とともに確認し得た。 皿.鶏雛に対する菌培養物投与試験  育雛飼料に菌培養物を添加し,内臓淋巴腫症 の感染度の最も高い幼令堂に投与した場合の淋 巴腫症発症阻止効果を検べる目的で30日韓のn ックホーン雌100羽と初生雛1155羽を使用して 4種の投与試験を行った。  即ち淋巴腫症発生中の鶏舎において30日令ま で育雛した100羽と初生雛100羽を夫々対照区と 試験区に分け,試験区には菌培養物を飼料に1 %を添加して,初生雛には42日令まで,30日令 雛に対しては90日令まで投与した。また初生雛 に対しては内臓淋巴腫症に対する感染の機会を 同じくするために,対照区試験区ともに腫瘍乳 剤を餌付から14日令まで投与し,180日令までの 間における淋巴腫症の発病数を調査した結果は 第10表の如くで,内臓淋巴腫症の発生は対照区 23羽(23%)に対して試験区はただ1羽(1%) であった。  別に大津市内2カ所の養鶏場において行った 第1[及び第豆試験において夫々50日及び90日令 まで投与し150日令までの観察期間中,試験区 には1羽の発生も認められなかった。

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122

滋大紀要

第  10  号 1960 第10表 鶏リンパ腫症予防に対する菌培養物投与試験成績(1) 区分

区区一区区

1 9臼  nO 4

対照区

供  試  三 品  種

試験区

白  レ グ ロックホーン 白  レ グ ロックホーン 計 1区 2区 3区 4生 白  レ グ ロックホーン 白  レ グ ロソクホーン 十 ニニロ 十日 フ月 3. 24 11 4.13 羽数 25 25 ii 1 25

添加物

 腫瘍肝投与 25  (10日令まで)     11 100 3.241 25 1! 4. 13 11  ズブチリス培  養物1%添加 25     1!  腫瘍肝投与25  (10日令まで)  二歩培養物1 25  %添加 100 死 40日 41∼  令迄  100 1 2 1 3  7 (7. 0) 1 1 1 1  4 (4, O) 101N  150 1 4  5 (5. 0) 2 3 6 4  15 (15. 0) 1 1 1 2  5 (5. 0) 1  1 (1. 0) 151日 令以上 2 3 1 5  11 (11.0) 1 1 1  3 (3. 0) 死 内 容 パマ ン性 り球ヒ 1 2 2  5 (5. 0) 1 1  2 (2. 0) その歩 脚弱 1 1 1  3 (3. 0) 1 1 1  3 (3. 0) 浸潤型 肝 2 6 3 5 16 (1. 0) 結節型 肝 1 1 3  5 (5. 0) 1  1 (L O) その他 計 2 2 2 4  10 (10. 0) 2 2 4  8 (s. e) 6 10 9 14  37 (37. 0) 4 3 1 6  14 (14. 0) 註1.菌培養物投与期間は1.2区は90日令まで3.4区は42日令まで  2.括弧内は%を示す 第11表 鶏リンパ腫症予防に対する菌培養物投与試験成績(2} 区  分 1 皿 対照区一試験区 対照区一試験区 1群 2!1 311 4!1 1群 2/1 3!! 供  試  雛 品 種 羽 数 合 計 ロックホーン 1/ 11

白レグ

名白F、 1! !/ 4!1 1!

対照区

試験区

300羽 200 300 200 30 45 35 45 575 580 40日令ま での驚死 数 4 10 5 5 2 3 2 1 19 13

150日令までの騎死数

騨響肝肥大1その一

計   78羽 (29. 39%)  41 (21. 58) o o  2 (2. 04) 3 o o  124 (22.32) o 0羽 2 1   3 (O, 9) 8羽 7 10 4 3 4 2 ・3 22 (3. 9)  19 (3. 35)   86羽 (40. 95%)  50 (26. 3) 10 (3. 4)  4 (2.0)   6 (21. 42)   7 (16.66)

 2

(6. 66)  3 (6. 81) 149 (25.0)  19 (3. 35) 摘  要 大津市Y養鶏場 における試験 大津市S養鶏場 における試験 註1.菌培養物の投与量は給与飼料に1%を添加し,餌付より1は90日間まで  2.括弧内は%を示す 皿は50日間まで投与  また試験区は育成率も高く,特に麻痺症(神 経型淋巴腫症と考えられる)は,対照区におい ては124羽(22%)が発生しているが,試験区}こ は1羽の発生もなかったことは,培養物の投与 は内臓淋巴腫症の発症阻止ばかりでなく,神経 型淋巴腫症の予防に対しても同様に有効である “

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鶏内臓型淋巴腫症に関する研究(1)(高橋) 123 ことが認められる。 W,内臓淋巴腫症耐過血清による予防試験  内臓淋巴腫症の免疫に関する研究は,Fritsch (19e8), Johnson(1945), Uhl(1938)等によ って,1938年頃から始められているが,免疫抗 体の存在と,母鶏免疫の成立は,Bur皿ester( 1955)によって始めて証明された。不顕性感染 の鶏にも,抗体が存在しこの抗体は卵を通して 雛に移行することを発見している。  これらの研究によって内臓淋巴腫症は,他の ウイルス伝染病と同じように免疫実施の可能性 が推測されているが未だ実用の段階には至って いない。  筆者は内臓淋巴腫症耐過血清による予防試験 を実施し,その予防効果を確認し得た。  内臓淋巴腫症耐過血清,即ち治療血清による 予防試験は第12表の如く,供試鶏は1試験では 40日令のロックホーン雌50羽,亜試験では白レ グ及びロックホーン初生面面各50羽,計150羽 を夫々25羽宛,対照区と血清注射の試験区とし, 試験区には血清を1の40日面のものには1羽当 0.2皿1宛,皿の初生雛には0.03m1宛胸筋叉は 皮下に注射した。  また全供試鶏に対し内臓淋巴腫症に対する感          第12表 染を同じくし,血清の効果の有無を明瞭にする 目的で,1の場合は淋巴腫症が発生している鶏 舎で,30日令まで育雛し,皿の初生雛に対して は腫瘍乳剤を餌:付から14日令まで投与した。使 用した血清は,若雌の自然発生の内臓淋巴腫症 鶏を菌培養物及びそのアルコール抽出物で治療 し,治癒可約1ヵ月を経過しt:・2丁目血清を使 用した。  なお診断及び治癒の判定は肝臓のBiopsyに より行った。  かくして180日令までの観察結果,淋巴腫症 の発生は,対照区には浸潤型肝が12羽と結節三 野5羽計17羽(22.7%)が発生したが試験区に も結節型のみ3羽(4%)が発病した。浸潤型 肝の発生が,対照区の12羽に対して,試験区に は1羽の発生も無かったわけであるから血清の 効果があったものと考えられるが,試験区に結 節型肝のみ3羽の発生をみたことは,使用した 血清が浸潤千旦治癒血清であって,浸潤肝と結 節血肝は異る病原体によって発生する別の病型 であることも考えられる。 V.ズブチリス菌培養物による治療試験

淋巴腫症耐過血清によ

 内臓淋巴腫症の治療法は,今日まで発見され ておらず治療手段はないとされている。

   る予防試験成績

1 合 十 一言口

対照区

試験区

対照区

試験区

1区 2 参口 3区 4区 割 出ニロ

対照区

試験区

供  試  鶏 品  種 ロヅクホーーン !1 白  レ グ ロックホーン 白  レ グ ロックホーン フ化月 1960  3. 24 11 1960  4. 13 !1 1960  4. 13 1! 羽数 25 25 25 25 50 25 25 50 75 75

繁死及び淘汰

O一一J40  日令 1 4 5 3 3 5 3 41一”  loO 2 1 1 1 2 1 1 4 3 101”一一・  150 3 1 3 2 5 −一3一4 150日 令以健 3 ! 3 3 6 −[−㎝9μ 8 1 8 5 1 3 麗  死 内 訳 パ浸肝 ン症猛 り二尊 5

3一4

リンパ 腫症結 節型肝 パマ ン症 リ腫ヒ 1 1 1 4

71 s

 12 (16.0)

 o

−一−一2  5 (9. 7)  3 (4. 0) 1 1 2 −一−  3 (4. 0)  1 (1. 3) 下痢 1 2 3 5 4 4  5 (6. 7)  5 (6. 7) その他 2 1 1 1 2 1 2 3  4 (5. 3)  4 (5.3) 計 8 3 8 13 21 2 8 10  29 (38. 7)  13 (17. 3) 註1.1蜷死鶏は昭和35年9月末までの集計  2.括弧内は%。を示す

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124

滋大紀要

第  10 号 1960  筆者は第2章に述べた如く,ズブチリス菌培 養物申に内臓淋巴腫症の発症阻止物質の存在が 確認できたので,さらに治療試験を試み菌培養 物中の予防物質は,また治療にも効果のあるこ とが認められた。  試験に供した内臓淋巴腫症鶏は,大津市及び 京都市周辺の一般養鶏場において,1960年1月 19日から同3月末までに発病したものを集めた 112羽の中から68羽について治療を行った。病 鶏の年令,発病日時,発病経過は夫々病鶏毎に 異り病勢も区々であったが,概して重症鶏が多 かった。本学鶏舎に搬入の途上で発死したもの も少くなかった。  病鶏の診断や治癒の判定は,症状及び肝臓の 触診によるほか,第2章に述べた肝臓のBiopsy によった。  治療法はズブチリス菌培養物3∼5%を飼料に 添加して投与すると共に,培養物のアルコール

抽出物を1羽当1m1を1日1回,7∼10日間,

または隔日に5∼10回胸筋に注射した。  内臓腫瘍の治癒経過を観察するために,治療 開始前は勿論,治療開始後も10∼15日目氏に肝 臓のBiopsyを実施し,治癒し産卵をするよう になった後も1カ月後1回行った。治療開始時 において食欲の著しく不振のものでも,治療3∼ 7日で食欲が増進するようになった。体重は治    第6図 治癒過程における体重変化

   g

 −OOQ     ”P2 /fo o

体壷 orp/b AtPtl 療開始後も減少するが,第6図の如く治癒する ものは10∼15日目頃から増加し始める。  試験結果は第13表の如く治癒成績は必ずしも 良好とは云えない。供試鶏の殆んどが病勢の進 行した重症であったことと,治療法についての 不備も認められるが,早期に治療すればさらに 治療率の高い成績が得られたのではないかと考 えられる。 第13表 病鶏治療試験成績

治療法病状雛霧鑛%。

内臓淋巴腫症

鰐難合併症

神経淋巴腫症 神経,眼型合併 症 骨型淋巴腫症 赤芽球症

軽畷耀礎

麟併胆症

f! !1 経口投与軽 旧

穀併甫

1! 経口投与

鰐糊

重 症 !! 軽 症 重 症 11 27 黷R 2 18

u1

1 2 4 16 3 1 7 2  (63.6) 7 11 1一11 1 1 (40.7) reo/3

一\と

。 50 (66.6) (100) (100) o 肉       9 va S /0 /5 20 Z 5 30  治療経過における肝臓組織像は附図(17∼20 参照)の如く淋巴細胞のびまん性に浸潤し或は 肝細胞間に塊状に増殖していたものが,治療開 始後15∼20日目頃から著しく減少し,淋巴球の 増殖により破壊されていた肝実質の回復が認め られるようになり,30日頃では淋巴球は殆んど 消失し組織像は正常となるが,脂肪変性の傾向 がみられる。  本研究第3章の要旨は,昭和35年度日本畜産 学会及び日本畜産学会関西支部例会において口 演した。  本研究にあたり御教示賜った京都大学農学部 .ヒ坂章次教授,病理に関して御指導賜った医学 部天野重安教授に対し深甚の謝意を表する,ま た実験材料を提供して下さった東洋醸酵研究所, 実験に御協力下さった各養鶏場に対して感謝の 意を表する。 献 1)東:バーネット動物ウイルス学,1959. 2) Burmester, B. R. and N. F. Waters; The pre− sence of the virus of visceral lymphomatosis embryonated egg of normal appearing hens.

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鶏内臓型淋巴腫症に関する研究(1)(高橋) 125     Poultry Sei.; 34: 609, 1955. 3) Burmester, B, R.,: ln vitro and in vivo neu−   tralization of the visceral lymphomatosis. Proc.   Soc. Exp. Biol and Med. 90; 284, 1955.  4) Burmester, B. R., ; lmmunity to Visceral   lymphomatesis in chicks following injection of   virus into dams. Proc, Soc. Exp. Biol. and Med,   88; 153.ユ955.  5) Burmester, B.R.,: The shedding of the virus   of visceral lymphomatosis in the Saliva and   faces of individual Normal and lyrnphomatosis   chickens. Poultry Sci., 35 1089, 1956 6) Bead, D., G. S. Beaudrea., R. A. Bonar., D. G.   Sharp & J. W, Beard,: Virus of avian ergthro−   blastosis, III. Antigenic constitution and relation   to the agent of avian myeloblastosis, 」. Nat.   Cancer lnst, 18; 231, 1957 7) Beard, J. W., : Virus of avian myeloblastic   leukosis.; Poultry Sci. 35: 203, 1956. 8) Beakd, J. W.,:Eljology of avian leukosis,   Ann. N. Y. Acad. Sci. 68 (2): 473. 1957 9) Beard‘ J. W.,: Viruses as a cause of cancer.   American Scientist,46,227.ユ958. 10) Biester, H. E., and Schewarte, L. H., Diseases   of poultry 1959 11)千葉,:家鶏白血病の病理学的研究,主として仮   性白血病獣医畜産新報No.・24;5,1957。 12) Carr. J. G., Lack of transmision of turor vi−  rus from carrier hens to their off spring via  the egg. Proc. Roy. Coc. Edinbrugh Bull. 52,   194s. 13) Cottral, B. R.: Burmester, and N. F. Waters.:  Egg transmission of avian lymphomatosis. Pou−  try Sci. 37, 1174 1954. 24) Davls, O. S., and Doyl, 1. P.,: Studies jn avian  leukosis, 1: The transmissipility of visceral  lymphomatosis II: The use of biopsy technique  in the stud y of visceral lymphomatosis,: Am,  Jour. Vet Res, 8: 103, 1947. 15) Davis, O. S., and D. P. Gustafson: Tisstte cu!一  ture of avian Visceral lymphoid tumors and in  vitro seral Passage of the virus, Am. J. Vet.  Res. 20: 119, 1959. 16) Dmochowswi, L., C. E. Grey., B. R. Burmester  and M. A. Cross.: Submicroscopic morphology  of avian meoplasm, III : Studies on visceral   jymphomatosjs. Proc. Soc. Exptl. Med. 100: 504   1959. 17) Davis O. S., Andrews, F. N., and Doyle L. P.:   Studies in avian Leukosis V. An invertigation   of the possible relatioeship of sex hormones to   visceral lymphomatosis. Am. Jour. Vet. Res. 11:   428, 1950 18) Eckert, E, A., D. G. Sharp, 1. Gren & J. W,   Beard; virus of avian erythromyeloblastic leu−   kosis. IX. Antigenic constitution and immuno−   logical characterization, J. Natl, Camcer lnst,   16: 593, 1955. 19) Gruber, M. and Futaki, K. 1.: Deut, Med,   Wschr, (33) 158, 1937 20) Gross, A. D., B. R一. Burrnester and W. G. Wal−   ter: Pathogenicity of viral strain (RPL 12)   Cattsing avian visceral lymphomatosis and re−   1ated neop工asms.1. Nature of the lesions.」, Nat   Cancer lnst. 22: 83, 1959. 21) Hut, F. B., Cole, R. K. Ball, M. Bruckner, J.   H. and R.F. Ball.: A Relation between environ−   ment to two weeks of age and mortality from   lymphornatosis in adult fowls. Poultry Sci. 23:   396, 1944, 22) Hutt, F. B., and’ R. K. Cole: Genetic control   of lymphomatosis in the fowl: Science; 106:   379. 1947. 23)堀内,石谷1鶏白血病群に関する研究VI,伝達に   ついて,日本獣医学雑誌,17(学会号):31,1955. 24)堀内,石谷:日本国内各地における鶏白血病群の   分布について, 日本獣医学雑誌,10:535,1957 25)石黒:鶏の内臓淋巴腫症の病理学的所見皿, 日本   獣医学雑誌,15(学会号)ig53 26)石黒,角谷:鶏白血病群の伝達に関する実験的研   究,1,淋巴腫症の伝達試験, 日本獣医学雑誌16(   学会号〉:70,1954 27)石谷:鶏白血病群の病理学的研究, 皿鶏赤白血病   の病理学的研究特に細胞学的所見,日本獣医雑誌,   18 : 87, 1956 28)石谷他:鶏白血病群に関する研究,第1報,東京   都下における本病の発生状況について.農林省家畜   衛生試験場実験報告,29:1955 29) Johnson, E. P.: A study of lymphomatosis of  fowls. va, Agr. Exper. sta. Tech, Bul. 44, 1932. 30)勝見:本邦に発見せられたる可移植性家鶏ロイコ   ーゼについて, 日本獣医学会雑誌1二401,1937 31)守山:免疫及び免疫反応,1958

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滋大紀要

第 32)前田:嫌気性アノイリナーゼの免疫学的研究1ビ   タミン16:625,1959 33)清野,里見:免疫学及びその応用 1933 34)江上,八木:免疫化学,1951 35)松原,鶏の白血症について,日本獣医学会誌,1928 36)越智=家畜別診断法 1956 37)緒方,美甘他:免疫血液学その1,P.16,1958 38)緒方,美甘他:免疫血液学その2,P .126,1958 39) Hutt, F. B., and Cole, R. K.: Probrem corcer−        leucosis and its control, Tenth World’s        Papers, Edinburgh, P. 197,  ning  Poultry cong., Sect,   1954. 40)Hutt, F. B., and Cole, R. K.:Conarol of leu・   kosis in fowl:J. Am, Vet. Med. Assn,131;491   1957 41)01son, C., Jr.=AStudy of transmissible fowl   Ieukosis.:Jour. Am. Vet. Med. Assm.88:681,   1936. 42)Olson, J. C,:Atransmission lymphoid tumor   of the chicken, cancer Res,1:384,1947. 43)Pentimalli, F.:Trance plantable lymphosar−   coma Qf the chicken.(Abst.)Cancer Res.1:69,   1941. 44)高橋:照準の肝臓肥大症防止に対する細菌培養物   投与の効果について 日本畜産学会報,31(別.号):   17,1960 45)高橋,塩田,堀野:鶏淋巴腫症の予防に関する研   究,皿,育雛飼料にズブヂリス菌培養物を添加した   場合の林巴腫症の予防効果, 日本畜産学会関西支部   幸艮, 31, 1960 46)高橋,渡辺:鶏淋巴腫症の予防に関する研究,皿,   内臓淋巴腫症血清の特異反応について,日本畜産学   会関西支部報,31,1960 47)Waters, W. F.:Breeding for resistance and   susceptipility to avian lymphomotosis,:Poultry   Sci,24:259,1945. 48)Waters, N. F. and J. H. Bywaters:In且uence       ロ   of age of chickens at contact exposure on lncl−   dence of Iymphomatosis,: Poultry Sci.28:254, 10 号 1960  1949. 49)井上,牧田,加藤二家鶏白血病症候群の病理学的  研究,皿,雛,中雛所見,日本獣医学雑誌,16(学  会号):69,1954 50)小柳,見上,小野,吉田,ヒナの魚油性肝臓肥大   を防ぐ研究,日本畜産学会報,29:372,1959        R6sum6    This experiment was carried out in order to enlighten the causes of falling sick, diagnosis, pre− ventive and medical treatrnents about visceral Iymphomatosis of fowl.    My principal results are as follows:   1.As the result of the transmission examination by inoculating nourishment of the white(of an eg9)with tumor organization. positive response was found in all cases of the abdomen inoculative and muscles inoculative and vein inocuiative.   2,In case of feeding wasters with raw fish it hastened them falling sick into visceral lympho・      コmatOSIS.   3.The result of applicating Needle Biopsy as a means of diagnosis, I could almost perfectly diag・ nose visceral ly皿phomatosi$by the tissue丘gure of the Iiver.   4.As the result of serum diagnosis, respose of peculiar antibody was found in the serum of vis・ ceral lymphomatosis.   5,As a preventive method against visceral lym− phomatosis, it became clear that it could be pre・ vented by feeding of nourishment of Bacillus, and in case of inoculation of the endure sepum of visceral lymphomatosis, it could be almost per− fectly prevented too.   6.As the result of medical treatments under inoculation with alcohol solution of nourishment of Bacillus Subtilis, it could be cured 40%of the sick fowls.

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鶏内臓型淋巴腫症に関する研究〔1)(高橋) 127 桝寸「采11     ・’200 附図2, ×450 附図3, x150 附図4, ×600   正常肝及び内臓溺巴腫疹肝 附図1,2一正常肝附図    3. 附図5, ×600 4一腫瘍肝 附図6, ×600 腫瘍培養卵白腹腔内接種100日令の肝 附図5,6一♀    附図7.8 一’1>

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第  10  号 附図g、  ×600 附図10, ×600 附図11, ×600 附図12, ×600    腫瘍培養卵白筋肉内接種2ヵ月後の肝 附図9,10は1回接種    附図11,12は6回接種  附図13, ×600      附図14, ×600 附図15, ×600 附図16, ×600    腫瘍培養卵白静脈内接種2ヵ月後の肝 附図13,14は2回接種    附図15,16は6回蝶種 1960

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鶏内臓型淋巴腫症に関する研究〔1)(高橋) 129 附図17, ×450 附図18, ×450 附図19, ×600 附図20, ×600         治療前及び治療後1ヵ月の肝 附図17−NO28,治療前の肝   附図18−NO28,治療後1ヵ月の肝 附図19−NO52,治療前の肝   附図20−NO52,治療後1ヵ月の肝

参照

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