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自閉症児の初期言語発達の障害と発達神経心理学的アプローチ : 自閉症研究とルリヤの神経心理学的理論

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Academic year: 2021

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滋 賀 大 学 教 育 学 部 紀 要   教 育 科 学 No.51,  PP.9-24,2001 9

自閉症 児 の初 期 言 語 発 達 の障 害 と発 達 神経 心 理 学 的

       ア プ ロー チ

自閉症研究 とル リヤの神経心理学理論

黒  田 吉

The  Study  of  Developme!ital  Neuropsychological  Approach  for

        Early:Language  Developmental  Autistic  Children

Yoshitaka  KURODA   最近 の 自閉症 研究 の特 徴 の一 つ は、 診 断 や定 義 とむ す びつ い た症 状 論 的研 究 か ら、 原 因 を解 明 した り、 他 の 発達 障害 と の関 連 を検 討 し障 害 の 性 格 を 明 らか に す る原 因 ・本 質 論 的 研 究 へ と 確 実 に 歩 み 出 して い る所 に あ る(黒 田、1995、 2000;谷 口 、1998)。 カナ ー(カ ナ ー 、1976)の 時 代 か ら 自閉症 の本 質 を探 る研 究 は、 もち ろん み られ た が 、今 日の議 論 は、 医 学 や 心 理 学 等 の 科 学 的 な デー タの蓄 積 を踏 ま え なが らとい う も の で あ り、 半世 紀前 と は様 相 が異 な って い る。 ・ 確 か に、 自閉症 の研 究 は、 着実 に前 進 して お り、 心 理 学 の 分 野 で も、 例 え ば、 自閉 症 の 発現 に関 す る基 礎 研 究 の 発展 が障 害 の 早 期 発 見 や 治 療 と い った臨 床 研究 の発 展 を導 いて きて い る。今後 、 自 閉症 研 究 が原 因 。本 質 論 的 研 究 へ と更 に 発展 して い くた あ に は、 障 害 モ デ ルの 構 築 が心 理 学 の分 野 に お い て も、 医 学 の分 野 にお い て もよ り 一 層 進 め られ る 必 要 が あ る と考 え る(黒 田 、 1995)。   こ の点 に関 し、 ここで は、 心理 学 の 障害 モ デ ル の研 究 が 医学 の障 害 モ デル の研 究 に寄 与 す る こ とが 可 能 で あ る ことを 強調 した い。 例 え ば、 心 理 学 の分 野 に お いて 、 さ ま ざま な議 論 が あ り なが らも、 こ こ数 年 来 、 「心 の 理 論 」 の障 害 論 (バ ロ ン ・コ ーヘ ン、1997)が 自閉 症 研 究 に お いて 注 目 され て きて お り、 医学 の分 野 に お いて も、 この 理 論 に依 拠 し、PETを 用 い 自閉 症 の 脳 的 基 盤 を 明 らか に しょ う とす る研 究(ハ ッペ、 1998)が み られ るよ うに な って きて い る。 この よ うな事 実 は、 医学 にお け る 自閉 症 の 脳 機 能 研 究 の発 展 が、 心 理 学 サ イ ドか らの 障害 研 究 の 発 展 と連 動 す る こ とを物 語 って い る。 神 経 心 理 学 は、 この よ うな視 点 に立 と う とす る心 理 学 で あ る。   自閉 症 に関 す る心 理 学 にお い て は、 「心 の 理 一論 」 の 障害 の他 に、 神 経心 理 学 的 障害 論 と して 「実 行(プ ラ ンニ ング)機 能 」(Ozonoff  et al, 1991)の 障 害 論 が あ るが 、 これ らの論 は、 発 達 レベ ル が比 較 的 高 い 自閉 症 を対 象 に展 開 して い る。 したが って 、 これ らの論 は、 養 護 学 校 等 に 在 籍 す る よ うな重 度 の 発達 障 害 を もつ 自閉 症 の 障 害 研 究 に は な じみ に くい もので あ る。 そ れ ゆ え、 本 論 で は、 重 度 の発 達 障 害 を もつ 自閉 症 の 神 経 心 理 学 的 な障 害研 究 の方 法 、 と りわ け、 言 語 の障 害 に対 す る研 究 方 法 を取 り上 げ、 そ の 方 法 の内 容 、 体 系 等 に つ い て検 討 して み る。 具 体 的 に は、 自閉 症 児 の初 期 言 語 発 達 の 障 害 に 対 す る発 達 神 経 心 理 学 的 ア プ ロー チ と し、 これ らの 児 童 の 言 語 の 障 害 を ど の よ う に検 討 す るか、 そ の ア プ ロー チ に つ い て論 述 す る。 1.発 達 障 害 児 と神 経 心理 学   わ れ わ れ は、 自閉 症 児 を 含 め 、発 達 障 害 児 の 多 くに対 し、 これ らの子 ど もの心 理 機 能 の障 害 が脳 機 能 の 障害 と関 連 して い る こ とが推 測 さ れ

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ユ0 黒  田 吉 孝 て も、 脳 損 傷 や脳 機 能 の 障 害 を 直 接 的 に知 る こ と はで き な い。 しか しな が ら、前 述 した よ うに、 医 学 的 な方 法 を使 わ な くと 転 心 理 学 の分 野 か ら も 自閉 症 の脳 の機 能 障 害 研 究 に参 加 す る こ と は可 能 で あ る。 自閉 症 と して の基 本 的 な障 害 を 心 理 学 サ イ ドか ら同 定 し、 そ の 特 徴 や 構 造 を明 らか にす る こ とで 、 そ の背 景 に あ る脳 機 能 の障 害 を 議 論 す る こ と は可 能 で あ る。 例 え ば、 心 理 学 サ イ ドか らの 障 害 モ デ ル の代 表 で あ る、 自閉 症 の 左 半 球 障 害 モ デ ル(Dawson,G.1992)が 提 示 さ れ る こ と に よ り、 医 学 的 サ イ ドか らこ の モ デ ル へ の 検 討 が お こ な われ 、 自閉 症 の脳 機 能 障 害 の研 究 を 発 展 させ る こ とが で き た。 こ の場 合 、 自 閉 症 と して の 基 本 的障 害 の同 定 、 そ の特 徴 や構 造 の解 明 が 肝 要 に な っ て くる。   本 論 で は、 障 害 研 究 に お け る 自閉 症 児 を 含 む 発 達 障 害 児 に 対 す る こ の よ うな方 法 を 発 達 神 経 心 理 学 的 ア プ ロ ー チ と称 す る が、 児 童 の心 理 機 能 の障 害 等 の 分 析 に あ た っ て は、 ル リヤ(1976) の高 次 心 理 機 能 の 「シ ス テ ム的 力 動 的 局 在 論 」 と そ の考 え に 基 づ く神 経 心 理 学 の2っ の分 析 方 法 に注 目 した い。 そ の理 由 は、 心 理 機 能 の障 害 に対 す る質 的 分 析 の 視 点 を提 供 して い るこ とと、 そ の視 点 が 脳 機 能 の研 究 と結 びつ いて い る か ら で あ る。 さ ら に、 自閉 症 の障 害 モ デ ル をル リヤ の論 を も と に検 討 して い る研 究 が み られ る か ら で あ る(太 田 、 他 、1978;Paluszny、1981;熊 谷 、1986)。   た だ し、本 論 で は、 初 期 言 語 発 達 期 の 自閉 症 児 を対 象 に して い る た め に ル リヤ の神 経 心 理 学 a 的 な分 析 方 法 や診 断 テ ス トを そ の ま ま使 用 す る こと は で きな い。 ま た、 後 述 す るよ うに 、 ル リ ヤ の理 論 を 基 に して 開 発 さ れ たK-ABCテ ス ト 等 も、 対 象 とす る児 童 の年 齢 が比 較 的 高 いた め に、 本 論 で対 象 とす る児 童 に は適 用 す る こ とが で き な い。 そ れ故 、 本 論 で は 、 ル リヤ の 理 論 と 方 法 に 依拠 しな が ら も、 初 期 言語 発 達 期 に あ る 自閉 症 児 に適 した ア プ ロ ー チ を検 討 す る必 要 が あ る。   本 章 で は、 始 め に、 ル リヤ の この方 法 の特 徴 や脳 機 能 障 害研 究 に お け る意 義 を 述 べ 、 次 に、 児 童 の 障害 研 究 と ル リヤ の神 経心 理学 の 方 法 と の関 係 に つ い て 自閉 症 の障 害 研究 と も関 連 させ な が ら述 べ て み る。 初 期 言 語 発達 期 の 自閉 症 児 に対 す る発 達 神 経 心 理 学 的 ア プ ロー チ に つ いて は、 最 終章 で検 討 して み る。   1.ル リヤ の神 経心 理学 (1)高 次心理 機 能の 「システム的力動 的局 在 論」   ル リヤ の高 次 心 理 機 能 の 「シ ステ ム的 力 動 的 局 在 論 」 は、 人 間 の心 理 機 能 と脳 機 能 との 関 係 に関 す る論 であ るが、 この論 は、セ チ ノブや ヴ ィ ゴッ キ ー を は じめ とす る 旧 ソ ビエ トの心 理 学 的 な理 論 に基 づ く もの で あ る。 この 論 の 特 徴 は、 例 え ば、 機 能 の変 化 に応 じて構造 も変 化 す る等、 機 能 と構 造 の力 動 的 関 係 を主 張 し、新 し い機 能 が古 い機 能 の上 に後 者 を従 属 す る形 で 階 層 的 に 作 り上 げ られ て い く こ とを主 張 し、機 能 シ ス テ ム は多 環 性 、 ヒエ ラル キ ー的 機 構 、可 変性(機 能 シス テ ムを構 成 す る、 あ る環 を 他 の 構 成 環 に e b f d     C 心 理 機 能 シ ス テ ムA 9 心 理 機能 シ ステ ムB       図1  ル リ ヤ の 心 理 機 能 シ ス テ ム の モ デ ル (心理 機 能 シ ス テ ムAとBは 異 な る機 能 を 持 つ が 、 構 成 単 位(環)dが 共 通 して い るた   d66 の 障 害 はAとBの シ ス テ ム に影 響 を 及 ぼす こ と に な る)

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自閉 症 児 の初 期 言 語 発 達 の障 害 と発 達 神 経 心 理 学 的 ア プ ロ ー チ 11 よ って 置 換 す る)と い う性 格 を も って い る と主 張 し、 そ して 、 複 雑 な 機 能 シ ス テ ムで 構成 され て い る人 間 の 心 理 諸 機 能 は、 この 機 能 シ ステ ム の構 成 に おい て 、 それ ぞ れ の 固 有 の 役割 を も っ た環 と これ らの環 が 協 調 的 して 働 く脳 の 機能 シ ス テ ム に よ って実 現 され る と主 張 す る所 に あ る (図1)。   更 に、 機 能 シ ス テ ム の発 達 に よ って、 機 能 シ ス テ ムを 構 成 す る諸 環 の関 係 に変 化 が生 じる こ と も強調 され て い る。 この よ うな例 と して、 書 字 行 為 が あ げ られ る こ とが 多 い。 児 童 は書 字 行 為 の 発 達 に伴 い、 語 音 分 析 を 徐 々 に必 要 と しな くな るが 、 この 事 実 は、書 字 行 為 の 初 期段 階 で 不 可 欠 で あ っ た聴 覚 分 析 の 環(脳 の責 任 部 位 は 左 側 頭 部)と 言 語 運 動 感 覚 分 析 の環(脳 の責 任 部 位 は左 中 心 後 回)の 役 割 が 後方 に退 く こ とを 意 味 して い る。 ま た、 書字 行 為 の発 達 に伴 い、 児 童 は、 書 字 行 為 の際 の条 件 が変 化 して も、 そ の 条 件 に 応 じて 書 字 行 為 を 遂 行 す る こ とが で き るよ うに な る。 例 え ば 、 児 童 は、 目 を 閉 じて も 文字 を書 け'るよ う に な り、 暗 闇 で も文 字 が書 け るよ うに な る。 こ の例 は、 視空 間情 報 の分 析 に 代 わ って 運 動 感 覚 情 報 の分 析 の環 を通 して書 字 行 為 が コ ン トロ ー ル され る ことを意味 して いる。 書字 行為 にみ られ る この よ うな事 実 は、 心 理 機 能 の 脳機 構 が 児 童 の発 達 に伴 って変 化 す るこ と を示 して い る。 (2)ル リヤ の神 経 心 理学 の2っ の分 析 方 法   上 記 の 心 理 機 能 と脳 機 能 に 関 す る 「シス テ ム 的力 動 的 局 在 論 」 に基 づ い て、 ル リヤ は成 人 の 脳機 能 障 害 者 の心 理 機 能 障 害 の研 究 ・分 析 方 法 を 開 発 して い る。 この 方 法 は、2つ の ア プ ロ ー チ か ら成 り、 それ ぞれ 、 「症 候(シ ンプ ト ン) 構造 」 分 析 と 「症 候 群(シ ン ドロー ム)」 分 析 と呼 ば れ て い る。   前 者 の 分 析 は、 あ る心理 機 能 の内 的 構 造 を 明 らか に し ょ う とす る もの で あ る。 書 字 行 為 の 例 か ら も明 らか な よ うに、人 間 の心 理 機 能 は、 内 的構 造 と して 多 くの 環 を含 み、 それ ぞれ 固 有 の 役 割 を もつ脳 の い くつか の部位 の協 同活動 によ っ て実 現 さ れ る とい う論 を基 に、 障 害 の質 的 分 析 を通 して 心 理 機 能 の 内 的構 造 を明 らか に しょ う とす る も ので あ る。書 字 行 為 の内 的 構 造 の 解 明 もそ の成 果 の 一 つ で あ る。   ル リヤ は、 この方 法 を 通 して 人 間 の心 理 機 能 の 内 的構 造 を明 らか に しょ う と したが 、 彼 の 研 究 は、 基 礎 的 な心 理 学 へ の 寄 与 の み な らず 、 臨 床 的 な心 理 学 へ の 寄 与 とい う点 にお いて も重要 で あ った。 後 者 に対 す る寄 与 と して は、 心 理 機 能 の 内的 構 造 の研 究 成 果 に 基 づ く患 者 の 障 害理 解 と障害 特 性 に応 じた りハ ビ リテー シ ョ ンの 開 発 を あ げ る こ とが で き る。   ま た、 後 者 の分 析 は、 脳 機 能 障 害 の 研 究 を通 して心 理 諸 機 能 の 関 連 を 分 析 し、 特 定 の 心理 機 能 間 の結 びつ きを 可 能 に して い る脳 機 能 を 明 ら か に しょ うとす る もの で あ る。 「継 時 総 合 」 と 「同 時 総 合」 の2種 類 の脳 機 能 と心 理 機 能 に関 す る研 究 は有 名 で あ り、 児童 用 神 経心 理学 的 テ ス ト(例 えば 、K-ABCテ ス ト,1993)の 理 論 的 基 盤 に もな って い る。   後 者 の分 析 の 場 合 、脳 損傷 患 者 を対 象 に した 臨床 研 究 で は 「二 重 解離 の原 理 」 が適 用 され て い る。 ル リヤ は この 原理 を脳 損傷 研究 に適 用 し、 あ る心 理 機 能 の 障 害 は、 そ れ を構 成 して い る特 定 の環 の 損 傷 によ って起 こ る、 そ して、 この環 を構 成 単 位 と して い る他 の心 理 機 能 も障害 を受 け る、 しか し、 この環 を構 成 単 位 と して含 ま な い心 理 機 能 は影 響 を受 け な い と い う事 実 を明 ら か に した 。   こ の方 法 に よ って、 例 え ば 、 脳 の 頭 頂 一後 頭 部 の損 傷 によ り、 空 間定 位 と 同時 的 な空 間 図 式 の認 識 の 心 理 機能 の 障害 が生 じ、 そ の結 果 、 数 概 念 や 論 理 一文 法 的 概 念 の 操 作 に お い て 障 害 が 生 じるが 、 一方 、 空 間定 位 を構 成 単 位 と して 直 接 含 ん で い な い音 楽 聴 覚 や リズ ム メ ロ デ ィ ーの 遂 行 は影 響 を受 けず 保 持 され る こ とが 明 らか に され た 。 ル リヤ に したが え ば 、 こ の方 法 に よ っ て 、 新 しい や り方 で、 か つ 、興 味深 い や り方 で、 心 理 諸 機能 の根 底 に あ る因 子 を 明 らか に す る研 究 が可 能 に な る。   心理 機能 の内 的 構 造 や 心理 諸機 能 間 の関 連 を 解 明 しよ うと した ル リヤ の 神経心 理学 の方 法 は、 成 人 の 「限 局 性 」 脳 損 傷 患者 を対 象 に した もの で あ り、 児 童 を対 象 に した もの で は なか った こ とを認 識 して お く必 要 が あ ろ う。 表1は 、 成 人 と児童 の脳 機 能 障 害 研究 に求 め られ る課 題 を 比 較 した もので あ る。 これ らの課 題 に対 し、 どの よ うな ア プ ロ ーチ を取 るか が問 われ る。

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12 黒  田 吉  孝 表1  成 人 と児童(自 閉 症)の 障 害 研 究 に求 め られ る もの 成 人  児童(自 閉症) ①現 在の状態 を知 る ②機能崩壊過 程 と再編過程の特徴を知 る ③発達 メカニ ズムの特徴を知 る ○ ○ × ○ △ ○ *自 閉症 の 「折 れ 線 」 タ イ プ   発 達 メ カ ニ ズ ムの 研 究 例 と して 、 例 え ば、 松 野(1991)が 紹 介 して い る、 成 人 と児 童 の左 右 半 球 損 傷 と両 耳 分離 能 の 比 較 研 究 を あ げ る こと が で きる。 児 童 の場 合 、 左 右 の 半 球 間 結 合 だ け で な く半 球 内結 合 も未 発 達 で あ る たあ 、 半 球 損 傷 効 果 は局 所 に と ど ま り、 障 害 の起 こ る頻 度 も 成 人 に比 べ少 な くな って い る。 松 野 は、 こ の よ うな研 究 例 を 踏 まえ 、 児 童 の 脳 は未 分 化 で あ る #あ 代 償 可 能 性 が 大 きい の で はな く、 分 化 して い るが結 合 が 進 ん で いな いた め に損 傷 効 果 の波 及 が少 な く、 健 全 な脳 領 域 が 残 って い るた め に 代 償可 能 性 が 大 き い と指 摘 して い る。 松 野 の例 は、言 語 習 得 後 の児 童 の脳 損 傷 の研 究 で あ る。 自閉症 の よ う に、 生 まれ つ き脳 機 能 に障 害 を も ち 、乳 児 期 か ら既 に コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンに障 害 を も って い る児 童 の場 合 、 機 能 分 化 は進 ん で い る、 しか し、 機 能 間 の結 合 に問 題 が あ る と理 解 す る こ とが 可 能 で あ ろ うか 。発 達 神経 心理 学 は、 この よ うな 問 い に心 理 機 能 の 障 害 研 究 研 究 を通 して答 え て い くこ と を も課 題 と して い る。   2.児 童 の 障 害 研 究 と ル リヤ の神 経 心 理 学   ル リヤ の 時 代 、 自閉 症 は1日ソ ビエ トにお いて 、 発 達 障 害 、 す な わ ち、・脳 機 能 に障 害 を もつ 児 童 と して 注 目 され る こ とは殆 ど なか った。 ま して や 、 神経 心 理 学 の対 象 に は な っ て い なか った と       アウ トプッ ト

灘 鞘合

思 わ れ る(Ae6eAHHcKaH,1987,1988、 黒 田 、1988)。   ル リヤ の 神 経 心 理 学 理 論 の 発 達 障 害 児 へ の 適 用 は 、 む し ろ 、 ア メ リ カ や カ ナ ダ 等 の 北 米 圏 を 中 心 に 神 経 心 理 学 的 テ ス ト と し て 広 が っ て き て い る (Golden,1981;Kaufman  et al,1983;Das eta1,1994)。 こ れ ら の テ ス ト は 、 知 的 障 害 児 や 学 習 障 害 児 を 主 な 対 象 に し て お り、 自 閉 症 児 の 場 合 、 そ の 基 本 的 障 害 が 対 人 社 会 的 障 害 に あ る所 か ら、 障 害 理 解 と し て ど の 程 度 有 効 か 、 課 題 が 残 さ れ て い る(黒 田 、1994ノ 」淋(久)、1995)。   こ こ で は 、 児 童 の 障 害 研 究 と ル リ ヤ の 神 経 心 理 学 の 障 害 分 析 と の 関 係 に つ い て 、 「症 候 群 」 分 析 と して は 、 心 理 学 的 な テ ス トを 用 い た 心 理 機 能 間 の 関 係 分 析 に 基 づ く障 害 研 究 と し て 、 「症 候 」 分 析 と して は 、 個 々 の 心 理 機 能 の 分 析 に 基 づ く障 害 研 究 と し て 考 え る。 (1)「 症 候 群 」 分 析 と し て の 児 童 用 神 経 心 理     学 テ ス トに つ い て ① ル リや 理 論 の 発 展 と し て の 児 童 用 神 経 心 理 学   的 テ ス トに つ い て   ル リヤ の 神 経 心 理 学 の 発 展 と し て の 児 童 用 神 経 心 理 学 的 テ ス トと して 、K-ABCテ ス ト(1993)、 Luria-Nebraskaテ ス ト(1981)、  PASSモ デ ル (1994)が あ る。   K-ABCテ ス ト は 、 ル リ や 理 論(図2)の 第3機 能系 (活動の プO グ ラミング) 覚 懸 頭 頂 部 運      )       部 蹴 倒 頭 部 輔 槻 後 頭 部 蠣   { (   ン   ン   ン   一   一   一   ノ ノ ゾ   次 次 次   一    ワ ︼   3   窮 策 第 ト

伽最

第2機 能 系 (情報の受容, 加工,貯 蔵) 第1機 能系 (覚醒) 図2  ル リヤ の脳 機 能 モ デ ル(大 井,1981)

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自閉 症 児 の初 期言 語 発達 の 障害 と発 達 神 経 心 理 学 的 ア プ ロー チ 13 「第2機 能 系」 を基 本 に して お り、 情 報 の 処 理 様 式 が 問 題 に され る。 しか しな が ら、 人 間 の脳 機 能 は、 「第2機 能 系 」 だ け が 独 立 して い るわ けで は な く、 「第1機 能 系 」 と 「第3機 能 系 」 と の相 互 関 連 で 機 能 して い る(図3)。 こ の よ うに考 え る な らば 、K-ABCテ ス トの 「第2機 能 系 」 に関 す る結 果 の 解 釈 は、 本 来 な らば、 他 の機 能 系 との 関 係 で お こな わ れ な けれ ば な ら な い もので あ る。   Luria-Nebraskaテ ス トは 、 ル リヤ の 成 人 テ ス トバ ッテ リーの 児 童 版 で あ るが 、 発 達 障 害 児 に適 用 す る た めの 方 法 論 が まだ 、 十 分 に確 立 さ れ て い な い。   PASSモ デ ル(図4)は 、 臨 床 テ ス トと して まだ 活 用 さ れ て い な い が 、'K-ABCテ ス トが 扱 え なか っ た、 ル リヤの 「第1機 能 系 」 と 「第3 機 能 系 」 を包 含 す る テ ス トを 目 ざ して い る。 PASSモ デ ル に は、 各 機 能 系 の 相 互 関 連 性 を 含 む 、 児 童 の障 害 診 断 に関 す る総 合 的 な テ ス トと して の役 割 が 期 待 され て い る。 自閉 症 の 障 害 研 究 と の関 連 で 言 え ば、 そ の 基 本 的 障 害 で あ る対 人 社 会 的 障 害 を理 解 す る上 でPASSモ デ ル が ど の程 度 有 効 か が 問 われ る。 ② 自閉 症 研 究 か らみ た現 在 の テ ス トの 問 題 と課   題   K-ABCテ ス トを用 い て の 自 閉 症 の 障 害 研 究 と して 、 自閉 症 児 が 受 容 性言 語 障 害 と類 似 した 情 報 処 理 様 式 の特 徴 を しあ し、継 時処 理 が 同 時 処 理 に比 べ劣 って い る こ とを 報告 して い る もの が あ る(表2)。 しか しな が ら、 こ の よ う な結 果 は、 す べ て の 自閉 症 児 にお い て み られ るわ け で は な い こ と(Freeman  et a1,1985)か ら、 随 伴 障 害 と して、 自閉 症 児 の 中 に、 受 容性 言 語 障 害 と類 似 の情 報 処 理 様 式 を もつ子 ど もが み ら λカ 畢覚畳縁 奥方 符号化 職 租 継次無理 中枢 処 壇 ユ ニ ッ ト 覚駅 注 意, 7,ン 昌ング 図3  知 的 活 動 のル リヤ ー ダス モデ ル(前 川,1993) 入  力 継次的   同時 的 カ 出

短 織 ベ ー ス 窮1機 能 単位 覚 醒 ・注 意 知 覚 的 概 念 的 紀   憧 脳 幹 十4L.

窮3機 能 単位 プ ラ ン ニ ン グ 知 覚 的 概 念 的 紀   憶 前頭 葉 ・レ 李 後 頭粟 ・頭 頂 葉 ・側 頭 葉 第 2 機 能 単 位 記 憶   概念的    知覚的   岡持込理 と縫家塾理 知 識 ベ ー ス 図4  PASS(プ ラ ン ニ ン グ ・注 意 ・同 時 処 理 ・     継 次 処 理)モ デ ル(Das  et al,1994)     *小 林(1995)か らに よ る

表2  自 閉 症 児 童 に お け るK-ABCテ ス ト成 績(Allen  et al,1991)

Measure Autistic Dysphasic

M SD M SD一 K-ABC  Sequential K-ABC  Aimultaneous WISC-R-P  Sequential WISC-R-P  Aimultaneous 80.63      8.46     75.42      8.42 95.93     11.40     89.22     11.14 5.92      2.39      6.36      1.94 10.62      2.17      9.47      1.42 *WISC-Rで 経 時 性 処 理 課 題 は ,数 唱問題 と符号問題であ り、 同時性処理課題 は,絵 画完成,積 木問題,そ して, 組 合 せ 問 題 で あ っ た。K・ABCの 継 時 処 理 検 査 と同 時 処 理 検査 は,平 均100, SD15で 標 準 化 さ れて い る。

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14 黒 田 吉 孝 れ る と解 釈 され る。   自閉症 児 の 障 害 研 究 を進 あ る場 合、 自閉 症 は 乳 児 期 の ご く初 期 か ら知 覚 障 害 や社 会 的 障 害等 を み せ る こ とが あ る こ と(小 林(重)、1975)に 留 意 す る必 要 が あ ろ う。 また 、 「実 行 機 能 障 害 」 等 の前 頭 葉 機 能 障害 論 を も勘 案 す れ ば 、 「第2 機 能 系 」 の み な らず 、 「第1機 能 系 」 と 「第3 機 能 系 」 を含 み 、 か っ 、 各 機 能 系 の相 互 関 連 の 検 討 も可 能 な テ ス ト.が求 あ られ る。 この点 で は、 前 述 した よ う に、PASSモ デ ル が期 待 さ れ る が、 自閉 症 の 障 害 研 究 と して 有 効 性 を発 揮 す るた あ に は、 自閉 症 の対 人 社 会 的 障害研 究 と連動 させ、 テ ス トの 開 発 が お こな わ れ る必 要 が あ ろ う。   自閉 症 の 対 人 社 会 的 障 害 に 関 して は、 「情 動 調 律 」(シ ュ テル ン、1991)障 害 や 知覚 障 害 等 に 関 す る皮 質 下 機 能 や 右半 球 機 能障 害(ド ー ソン、 他 、1994b;フ ェ イ ン、1999)、 あ る い は 、 左 右 半 球 機 能 の相 互 関 係 の 障 害(東 條 、1993)等 の 論 が あ る。 い ず れ の 論 が 正 しいか 、 確 定 で き な い が 、議 論 の 第 一 歩 は、 自閉 症 児 の対 人 社 会 的 障 害 の 質 的 分 析 か ら始 め られ る必 要 が あ ろ う。   「第3機 能 系 」 に関 して も同 様 で あ る。 「第 3機 能 系 」 と して の前 頭 葉 機 能 は、 脳 機 能 の 中 で も最 も未 知 の領 域 で あ り、 他 の機 能 系 と密 接 に関 連 して い る(鹿 島、 他 、1993)。   プ ラ ンニ ン グは、 「第3機 能 系 」 の 重 要 な機 能 で あ るが 、 この機 能 は、 「問 題 を解 決 し、 目 標 に到 達 す る た あ に用 い、 修 正 す る一 連 の決 定 あ る い は方 略 」 と して 定義 づ け られ る。 しか し な が ら、 自閉 症 の場 合 、 これ が 対 人 関 係 に適 用 され る場 合 と物理 的環 境 に適 用 され る場 合 で は 障害 様相 が全 く異 な って い る。 高 機 能 自閉 症 で あ るテ ンプ ル ・グ ラ ンデ ン(1994)は 、 この 問 題 を 考 え る場 合 に最 もふ さわ しい例 で あ る。 彼 女 の 場合 、 自然 科 学 者 と して 有 能 で あ るが 、 文 学 小 説 を理 解 す る こ と は困 難 で あ り、 人 間 関 係 を理 解 す る こ と も困 難 で あ る。 ま た、 ル リヤが 「第3機 能 系 」 で重 視 す る言 語 の 行 動 調 節 機 能 ・ は、 言語 能 力 が 高 い 自閉 症 児 で は問 題 が な い と 予 測 され る(視 覚 的 な図 形 に よ る 自閉 症 児 の運 動 調 整 は、 黒 田(1986))。   こ れ らの 事 実 は、 自 閉症 児 は、 「第3機 能系 」 全 て に障 害 を も って い る とは い え な い こ とを し め して い る。 自閉 症 児 の 「心 の 理 論 」 課 題 と 「実 行 機 能 」 課 題 遂 行 につ い て 、 一 致 した 結 果 が え られ て い な い が(内 藤 、1997)、 こ れ は、 これ らの 問 題 と関 係 して い る よ う に思 わ れ る。 「第3機 能 系」 の 診 断 の 精 度 を高 め る こ と が求 あ られ るが 、 そ の た め に は、 今 日の 、 成 人 や児 童 の前 頭 葉 等 の 限 局 性 損 傷 研 究 か らの成 果 を 自 閉 症 の研 究 に ど の よ う に いか して い くか 、 方 法 論 も含 め議 論 の必 要 が あ ろ う。 こ の よ う な 研究

と して、Rumsey  et al(1990)とOzonoff  et al

(1996)の 、 成 人 右 半 球 損 傷患 者 と高 機 能 自閉 症 との コ ミュニ ケ ー シ ョ ン障害 の比 較 研 究 を あ げ る こ とが で き る。 (2)「 症 候」 分 析 と して の心 理 機 能 障 害 の 研     究 につ い て ① 「症 候 」 分 析 と 自閉 症 の 障 害理 解 につ いて   ル リヤの 「症 候 」 分 析 の 意 義 は、 障 害 を質 的 に と らえ 障 害 理 解 を 深 め る所 に あ る。 こ の 「症 候 」 分 析 の理 念 を 踏 まえ 、 子 ど もの 障 害 研 究 に 発 展 させ る必 要 が あ ろ う。   石 坂(1998)は 、 最 近 の 自閉 症 の障 害 理 論 を 検 討 し、 「自閉症 の認 知 障 害 は 、 あ る モ ジ ュ ー ル の 障害 と考 え る よ り もさ ま ざ ま な情 報 の統 合 レベ ル の 問題 、 あ るい は統 合 さ れ た情 報 の実 行 レベ ル の 問題 と考 え た方 が実 態 に即 して い る」 と述 べ て い る。 この指 摘 と、 ル リヤ の心 理 機 能 の シ ステ ム論 に基 づ く障害 論 に は共 通 す る考 え が み られ る。 た だ し、 知 的 障害 児 や学 習 障 害 児 にお いて も この よ うな 障害 はみ られ るが ゆ え 、 自閉 症 に特 徴 的 な 障 害 が 明 らか に され な けれ ば な らな い。 す な わ ち、 自閉 症 に お け る言 語 や 記 憶 等 の心 理 機 能 や 心理 過 程 の 障 害 特 徴 が 具 体 的 に しめ され 、 心理 機 能 障 害 の 構 造 が 追 求 され る 必 要 が あ る と考 え る。   こ の よ うな研 究 と して 、 神 尾 、 十 一(1998)の 自閉 症 の表 情 理 解 に関 す る研 究 を あ げ る こ と が で き る。 彼 らは、 顔 写 真 を使 って 感 情 を 言 語 で 回 答 す る条 件 と、 感 情 語 を印 刷 した カ ー ドを選 ばせ る条 件 を設 定 し、 前 者 の条 件 で 感 情 以 外 の 「 外 見 や態 度 等 の反 応 を しあす 者 で も、 後 者 の条 件 で は正 しい カ ー ドを選 ぶ こと が で きる こ とを 報 告 して い る。 この よ うな結 果 を踏 ま え、 自閉 症 の感 情 の認 知 過 程 モ デ ル に関 す る 障害 モ デ ル を提 出 して い る。   ま た 、 ア ン と サ リー の人 形 を 使 った 有 名 な

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自 閉症 児 の初 期 言 語 発 達 の 障 害 と発 達 神 経 心 理学 的 ア プ ロ ー チ 15

「心 の理 論」 課 題(Baron-Cohen  et al,1985)

に お け る 自閉 症 児 の特 徴 は、 個 々 の 場面 に 関 す る事 実 は記 憶 に と ど あ なが ら も、 これ らの事 実 を統 合 し正 しい答 え を導 きだ せ な い所 に あ る。 「心 の理 論」 に関 す る認 知 過 程 の モ デ ル は、 議 論 され て い な いが 、 ル リヤの 心 理 機 能 の シス テ ム論 に基 づ いて 議 論 す る こ と は可 能 で あ る と思 われ る。 次 に紹 介 す るハ ッペ の研 究(1998)は 、 こ の よ う な文 脈 で 理 解 す る こ とが で き る。 ② 「症 候 」 分 析 に よ る障 害 研 究 と 自閉症 の脳 機   能 研 究   ハ ッペ(1998)は 、 成 人 アスペ ルガ ー症 候群 、 健 常 成 人 、 成 人 脳 損 傷 を 対 象 に、 「心 の 理 論 」 課 題 遂 行 時 の脳 血 流 パ タ ー ンをPETを 用 い て解 析 し、 心 理 機 能 と脳 機 能 の障害 を検討 してい る。   成 人 ア ス ペ ル ガ ー症 候 群 は この課 題 を達 成 す るが 、 健 常 者 と異 な り左 前 前 頭 葉 領 が よ「り賦 活 され る。 一 方 、 健 常 者 は左 中 前前 頭 葉 領 が 賦 活 され る。 ハ ッペ は、 成 人 ア スペ ル ガ ー症 候 群 が 健 常 成 人 と は異 な った脳 の領 域(前 前 頭 葉 領) を 使 って い る こ とか ら、 ア スペ ル ガ ー症 候 群 の 認 知 処 理 様 式 は通 常 と は異 な って い る こと、 そ して 、 論 理 計 算 的 処 理 に依拠 した課 題 遂 行 を お こな って い る ので は ない か と指摘 して い る。 ま た 、成 人 の脳 損 傷 患 者 の 結果 か ら、 右 半 球 機 能 と前頭 葉 機 能 が この 課 題 遂行 に関 わ って お り、 脳 の これ らの領 域 は、 独 自の役 割 を持 ちな が ら この課 題 に参 与 して い るの で はな いか と述 べ て い る。   ハ ッペ の これ らの 結論 を ル リヤ の理 論 とむ す び つ け れ ば 、(a)「 心 の理 論 」 を右 半 球 や 左 前 頭 葉 等 を 含 む脳 の機 能 シス テ ム と して理 解 す る こ とが で き、 この シ ステ ム に関 係 す る どの 領野 が 障 害 を受 けて も心 理 機 能 の障害 が生 じ、 また、 ど の領 野 が 障 害 を受 け る かで 心 理 機能 の障 害 様 相 は異 な って く る、(b)ア ス ペ ル ガ ー 症 候 群 の 成 人 で は、 発達 過 程 に お いて 脳機 能 の再 編 が起 り、 特 徴 的 な認 知 機 構 が 形 成 さ れ て い る、(c) ア スペ ル ガ ー症 候 群 の成 人 で は、  「心 の理 論 」 課 題 を 達 成 す る こ とはで き るが、 この課 題 に お い て、 真 の意 味 で の 「心 」 の理 解 が生 じて い る 'か 検討 を 要 す る、 と新 た に解 釈す る こ とが で き る。(c)に つ い て は、 例 え ば、、探 す 場 所 を あ て る とい う 「心 の理 論 」課 題 に正解 したと して も、 な ぜ 、 子 ど もが 驚 い て い る の か 、 あ る い は 、 探 して い る物 が な い 時 の 子 ど も の 感 情 に 共 感 で き る の か 等 、 真 の 意 味 で の 「心 」 の 理 解 が 可 能 な の か 、 検 討 さ れ る 必 要 が あ ろ う。 な お 、 「心 の 理 論 」 課 題 に つ い て は 、 聴 覚 障 害 児 も 困 難 で あ る こ と が 報 告(Peterson  et al, 1995)さ れ て お り 、 こ の 点 で も、 こ の 課 題 に お け る 障 害 の 質 的 分 析 が 求 め ら れ る。 H.自 閉 症 児 の 初 期言 語 発 達 の障 害 に 関 す る研   究 課 題 「   自閉 症 の 障 害 は、 通 常 、3歳 前 後 に診 断 さ れ る こ とが多 い。 しか しな が ら、 自閉 症 の早 期 発 見 と治 療 の 分野 で は、1歳 前 後 か らの発 見 と そ の後 の2歳 、3歳 ま で の対 応 が重 要 で あ る こと が 明 らか に され て きて い る(山 上 、1999,別 府 、 2000)。 ま た、 自閉 症 児 は、 言 語 獲 得 が 困 難 で あ り、 言 語 発達 も良 好 で な い こ とが 報 告 され て い る(Rutter  et a1,1967,西 村 、 他 、1980、 Prizant,1983)。 自 閉 症 研 究 で は発 達 初 期 に 関 す る研 究 が 重要 な の で あ る。 しか しな が ら、 自 閉 症 児 の発 達初 期 に関 す る神 経 心 理 学 の 研 究 は 少 な く、 この期 に お け る神 経 心 理 学 の 研 究 を い か に進 あ るか が課 題 に な って い る。   自閉 症 の発 達 神 経 心 理 学 の方 法 を 検 討 す るた あ に は、対 象 と な る 自閉 症 児 の 初 期言 語 発達 の 障 害 につ い て、 研 究 と して 何 が 求 あ られ て い る の か 整理 し、 そ して 、 これ らの課 題 に対 し、 発 達 神経 心 理 学 と して の ア プ ロー チ を ど う立 て る の か検 討 され る必 要 が あ ろ う。   そ こで、 本 論 で は、 は じめ に、 自閉 症 児 の初 期 言 語 発 達 の 障 害 に 関 す る研 究 課 題 を整 理 して み る。 なお 、 本論 で の初 期 言 語 発 達 と は、 通 常 発 達 で言 え ば 、言 語 獲 得 期 の1歳 前 後 か ら 「心 の理 論 」 が 獲 得 され る まで の3歳 頃 まで と した いo   1.自 閉 症 と して の 障害 発 生 時 期 につ い て   自閉 症 と して の障 害 の発生 時 期 に関 して は、 乳 児 期 初期 か らそ の徴 候 が み られ る とす る見 解 と乳 児期 をす ぎ る まで み られ な い と い う見 解 が あ る。   わ れ われ(黒 田、1989)は 、 か っ て この 問 題

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16 黒  田 吉 孝 に 関 す るホ ブ ソ ン とバ ロ ンーコ ー ヘ ン の議 論 を 紹 介 した。 こ こ で は、 は じめ に、 小 林(重) (1975)の デ ー タ を紹 介 して み る。 小 林 の デ ー タ は、 前 者 の見 解 を 支 持 す る もの とな って い る。 小 林 の 研 究 で は、生 後3∼4ケ 月、5∼6ケ 月、 7∼12ケ 月 の3つ の時 期 に お け る 自閉 症 の泣 きにつ いて 、 泣 か ず に お と な しか った、 普 通 に 泣 い た、 よ く泣 く子 で あ った の3っ に分類 され、 コ ミュニ ケ ー シ ョ ンの発 達 と障害 とい う観 点 か ら検討 が お こ な わ れ て い る。 そ の 結 果 、 自閉症' で はす で に生 後3∼4ケ 月 か ら泣 か な い子 ど も が み られ 、 満1歳 に 近 づ くに した が って ほ とん ど の子 ど もが 泣 か な くな って しま う こ とが 明 ら か に され た。   ブ リス(1991)は 小 林 と異 な る デ ー タを 提 示 して い る。 プ リス は、 保 健 機 関 に お け る生 後6 ケ 月 か ら18ケ 月 まで の発 達 に関 す る ス ク リー ニ ン グ結 果 を 検 討 して い る。 最 終 的 に 自閉 症 と 診 断 され た 子 ど も12名 の生 後12ケ 月 前 後 の 発 達 を 検討 した結果 、8名 につ いて は異常 が ま っ た くみ られ ず 、 ま た、 人 へ の反 応 や 発声 も観 察 され て い た。 残 り4名 の生 後12ケ 月前 後 の 発 達 に関 して は、 自閉 症 と して の 障 害 で はな く知 的 な遅 れ と して の 障 害 が 観 察 され た だ けで あ っ た。 しか しな が ら、2歳 を す ぎて 診 断 が お こな わ れ た場 合 、 状 況 は異 な って くる。2蔵 す ぎの 診 断 で 自閉 症 の疑 いが もた れ た6名 の うち最 終 的 に 自閉 症 と診 断 され た子 ど もは5名 で あ った。 ブ リス は これ らの デ ー タに も とず き、 自閉 症 と して の 障 害 は、 乳 児 期 を す ぎ るま で発 生 しな い こ とを 強 調 して い る。   この よ う に、 自閉症 の 障 害 発 生 時 期 に つ い て 異 な』つた 見 解 が み られ る。 そ して 、 自閉症 の 障 害 発 生 時 期 に 関 す る見 解 の 相 違 は、 自閉 症 を ど うと らえ る か とい う障 害 理 解 に対 して も影響 を あ た え る。   例 え ば、 ホ ブ ソ ン(1994)は 、 人 間 は生 まれ た時 か ら他者 の情動 を知 覚 し交 流す る能 力を もっ て お り、 この よ うな能 力 を基 盤 に して シ ンボ リッ クな能 力 が誕 生 す る と考 え る。 自閉 症 で は こ の よ うな能 力 が 欠 け て い る た あ に乳 児 期 の ご く初 期 か ら コ ミュ ニ ケ ー シ ョンの 障 害 が 発生 し、 言 語 の 発 達 に も影 響 を及 ぼ す よ うに な る とボ ブ ソ ンは考 え る。   また 、 ホ ブ ソ ンと は立 場 が異 な るが 、 自閉 症 を 情 報 の入 力 過 程 の障 害 と して と らえ 、 この よ うな障 害 が 乳 児 期 の ご く初 期 か らみ られ る と す る考 え が あ る。 ドー ソ ン(1994a)は この 立 場 に た ち、 神 経 心 理 学 的観 点 か らこの よ うな障 害 の 検 討 を お こな って い る(ド ー ソ ンの研 究 に つ い て は黒 田(1995)参 照)。 先 の小 林(重)も こ の 立 場 に た って い る と思 わ れ る。 小 林(重)は 自 閉 症 を 知 覚 過 敏 な子 ど も と と らえ、 自閉 症 で 観 察 され る泣 きの 欠 如 は人 に対 す る回避 反 応 の ひ とつ で あ る と と らえ て い る。   しか しなが ら、 バ ロ ンーコー ヘ ン(1988)の 自閉 症 に関 す る障 害 理 解 は、 これ ら と は明 らか に異 な る もので あ る。 バ ロ ンー コー ヘ ン は、 自 閉 症 と して の障 害 は、 メ タ表 象 能 力 が 発 生 す る 1蔵 す ぎ ま で観 察 す る こ と は困 難 で あ る と考 え る。 メ タ表 象 能 力 は、 一 般 的 に は 自分 の心 的 状 態 とは異 な る他 者 の心 的 状 態 を 理 解 した り、 ふ り遊 び を遂 行 す るた あ に必 要 な能 力 と考 え られ て い る。 バ ロ ンー コー ヘ ンは、 メ タ表 象 能 力 の 障害 こそ が 自閉 症 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョン障 害 の 基本 で あ る と考 え て い る。 バ ロ ンー コー ヘ ンに した が え ば、 早 くと も生 後10ケ 月 頃 の 他 者 の 意 図 を 感 知 す る と い う3項 的 コ ミュ ニケ ー シ ョ ンが 発 生 す る まで 、 自閉 症 と して の 徴 候 は観 察 され な い こと に な る。   自閉 症 の初 期 発 達 に関 して は、 こ の よ うに、 障 害 の発 生 時 期 と障害 理 解 につ いて 錯 綜 して い る所 が あ る。 こ こで は、 議 論 が 錯 綜 して い る理 由 と して 、 自閉症 の生 物 一心 理 学 的 原 因 と障 害 発 現 に い た る過 程(プ ロセ ス)に 関 す る 問 題 が 存在 して い る こ とを 指摘 して お きた い。前 者 は、 自閉 症 の 原 因 と して の 多様 性 に 関 す る問 題 で あ り、 後 者 は、 自閉 症 の 原 因 の多 様 性 と関 連 して い るが 、 自閉 症 が 発 現 す る過程 の経 路 に 関 連 す る問 題 で あ る。 後 者 の経 路 につ いて 言 え ば、 自 閉 症 と して の障 害 徴 候 を 乳 児 期 の ご く初 期 か ら しめす 子 ど もの経 路 と、 乳 児 期 をす ぎて は じめ て 自閉 症 の障 害 徴 候 を しめす 子 ど もの経 路 で あ る。 乳 児 期 を す ぎて 自閉 症 の障 害 徴 候 を しめ す 子 ど もに つ いて は、言 葉 や身ぶ り等 の消 失 とい っ た発 達 退 行 を しあ す 「折 れ線 型 」 自 閉症 と重 な る所 が あ るが 、 バ ロ ンー コー ヘ ン等 が指 摘 す る 自閉 症 は この 「折 れ 線 型」 を意 味 す る もの な の

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自閉 症 児 の 初 期言 語 発 達 の障 害 と発 達 神 経 心 理 学 的 ア プ ロー チ 17 か、 検 討 を要 す る。 ま た、 乳 児 期 の ご く初 期 か ら障害 徴 候 を しあす 子 ど も につ い て も、 知 的 障 害 の初 期 発 達 の徴 候 と区 別 さ れ る必 要 が あ る。   自閉 症 の原 因 と発 現 の経 路 に関 す る問 題 は、 自閉症 の発 達 や障 害 に もとつ く類 型 論 の研 究 と も関係 して くる。   2.言 語 獲 得 の障 害 と言 語 障 害 の タイ プ につ    い て   自閉症 児 の言 語 獲 得 は、 知 的障 害 児 に比 べ て も、 よ り困 難 な 状 態 を 呈 して い る。 若 林 、 他 (1988)に よれ ば 、言 語 を 持 た ない 者 の 割 合 は、 自閉 症児 で は30%か ら50%で あ り、 知 的障 害 児 で は20%か ら40%で あ る。   コ ミュニ ケ ー シ ョンに お い て有 用 な言 語 を獲 得 す る こ と、 これ が 自閉症 児 の 臨床 上 で の重 要 な 課 題 に な って い るが、 自 閉 症児 の言 語 獲 得 困 難 の 原 因 につ い て、 若 林 、 他(1988)は 、2っ の 基 本 的 な 問 題 を考 え て い る。 第1は 、 音 声 を 記 号 と して 用 い る能 力 障害 で あ り、 象 徴 機 能 獲 得 にか か わ る認 知 障 害 と、 対 人 的 伝達 行 動 の未 熟 さの 問 題 で あ る。 第2は 、 音声 を体 制 化 す る 能 力 障 害 で あ り、 母 音 フ ォル マ ン トの欠 如 や構 音 失 行様 の 音 声 出 力 に 直接 関係 す る問 題で あ る。 彼 らは、 この よ うな 自閉 症児 に特 徴 的 な問 題 の たあ に、 自閉 症 児 の 多 くが言 語獲 得 の た あ の最 適 期 を の が して しま うの で はな い か と推 測 して い る。   自閉 症 児 の 言 語 獲 得 困 難 に は乱 学 習 して い る 言 語 を コ ミュ ニケ ー シ ョンに お い て適 切 に使 え な い問 題 もあ る。 そ の 中 に は、代 名詞 の置 換 や 反 響 言語 の問 題 も含 まれ る。 これ らは、 自閉 症 児 の 言語 訓 練 の難 しさを しあ す 問題 で あ るが 、 自閉 症 児 が 有 用 な 言 語 を 獲得 す る こ とがで き な い背景 に は、 象 徴 機 能 や対 人 認識 、 あ る い は、 状 況 認 識 等 の 認 知 に関 す る障 害 と、 音 声 の入 力 と出 力 に 関 す る脳 機 能 の 障害 が関 与 して い る と 考 え られ る。   自閉症 児 の これ らの言 語 障 害 は、 知 的障 害 の 程 度 に影 響 を 受 け るが、`それ だ け に は解 消 され ない 問 題 を有 して い る。 この 問題 を検 討 す るた め に 、 自閉 症 児 の 言 語 障害 を その特徴 によ って、 い くつ か の タ イ プ に分類 し、 タイ プ間 の関 係 や タイ プの 特 質 を 明 らか に す る研究 が お こ なわ れ わた しが お か ね ほ 坑 尤 物. も ち な ら あの vま》ま酬 まう糺 に ん ぎ ょ うを か っ て や るんだ が な あ 。

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図5  PFス タ デ ィ(図 版5)に 対 す る反 応 の     自閉 症 児 の 例(渡 辺 、 他   1996)  . て きて い る(栗 田、1987)。 例 え ば 、 自閉 症 児 の 言 語 発 達 の状 況 を もと に発 達 良 好 群 と発 達 不 良 群 に分 類 す る研究(西 村 、1978)や 言 語 発 達 と障 害 の 程 度 に よ って い くつ か の タ イ プ に分 類 す る研 究(丸 井 、 他 、1982)を あ げ る こ とが で き る。 自閉 症児 の初 期 言 語 発 達 の 障害 につ いて も、 そ の 特 徴 と障害 原 因 を明 らか にす る たあ に、 類 型 論 的 研 究 の可 能 性 が 検 討 され るべ きで あ ろ う。   3.コ ミュニ ケ ー シ ョ ン障 害 の 特徴 につ いて   知 的 に高 い 自閉症 者 の コ ミュニ ケ ー シ ョ ン障 害 につ いて 、最 後 に残 る のが 共感 性 に 関 す る問 題 で あ る と言 わ れ る ことが 多 い。 そ れ ゆ え 、 自 閉 症 の コ ミュニ ケ ー シ ョ ンと言 語 の障 害 は、 共 感 性 の 問題 を抜 きに して 考 え る ことはで きない。   共 感 性 を、 こ こで は野 村(1992)に した が っ て、 他 人 の立 場 に立 って み て、 そ の人 が何 を感 じて い るか、 あ るい は、 どの様 に見 て い るか を 自分 の心 の あ りよ うと は別 に察 知 す る こ と と考 え た い。 共 感 性 に必 要 と され る能 力 は、 そ の時 の 自分 の心 の状 態 と は異 な って いて も相 手 が何 を感 じて い るの か、 何 を 欲 して い る のか 感 じ取 る能 力 で あ る とと らえ る こ とがで き る。   共 感 性 の障 害 と して、 わ れ われ(渡 部 、 他 、 1996)が 報 告 した ケ ー スのPFス タ デ ィに対 す る反 応 を あ げ る こ とが で きる。 図5は 、PFス

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18 黒 田 吉 孝 タ デ ィの図 版5に 対 す る反 応 で あ る。 こ の反 応 の 問 題 は、 話 し手 の 言 葉 に込 め られ て い る意 図 を汲 み と る こ とが で きな い所 に あ る。 字 義 通 り の理 解 は可 能 で あ っ たが 、 言 語 外 の情 報 を も考 慮 に入 れ て言 葉 を理 解 す る と い う こ とが 困難 で あ った 。 図 版5に 対 す る知 的 障 害 児 の反 応 が 「い い よ、 気 持 ち だ けで」 で あ った こ と を 考 え れ ば 、 わ れ わ れ の ケ ー ス の反 応 の 特 徴 が 明 らか にな る。   自閉 症 の コ ミュニ ケ ー シ ョン障 害 と して 共 感 性 の障 害 が 強 調 さ れ る場 合、 社 会 的 障 害 全 般 に つ いて 言 及 さ れ て い るわ け で な い こ と に注 意 す る必 要 が あ ろ う。 自閉 症 に お い て も、 人 に対 す る関 心 や か か わ り はみ られ 、 特 定 の人 に対 す る 愛 着 も観 察 さ れ る。 ブ リス も共 感 性 と同 情 と を 区 別 し、 同 情 に関 して は 自閉 症 で も観 察 され る こ とを 指 摘 して い る。 自閉 症 に お い て も、 自分 の 経験 の 範 囲 にお いて 、 自分 が 以 前 に苦 しん だ 時 と同 じ状 態 に あ る人 々 に対 して は 同情 を感 じ る こ とが で き る。   こ こで は、 比 較 的知 的 機 能 が 高 い 自閉症 児 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンの障 害 を取 り上 げ た が、 こ こで の 資 料 は、 自 閉症 児 の コ ミュニ ケ ー シ ョン 障 害 は全 体 的 な もの で は な く、 そ の 機能 の偏 り と して 理 解 す る こ とが で き る こ とを しあ して い る。 ど の よ うな コ ミュニ ケ ー シ ョン機 能 の偏 り が み られ る の か、 治療 教 育 に よ って どの 程度 改 善 可 能 な のか 、 そ の原 因 は ど こか ら きて い るの か等 、 検 討 さ れ る必要 が あ ろ う。   4.言 語 障 害 の 原 因 につ い て   バ ロ ンー コ ーヘ ン等 の 「こ こ ろの 理 論 」 に代 表 さ れ るメ タ表 象 論 の 意 義 は、 自閉 症 の共 感 性 障害 の背 景 に あ る心 理 学 的 な 問 題 を明 らか に し た所 に あ る。 しか しな が ら、 自閉 症 の言 語 と コ ミュニ ケ ー シ ョ ンの障 害 は、 そ の範 囲 に と ど ま らず、 も っ と広 範 囲 にわ た って い る。 こ の よ う な例 を コー エ ン(1989)か ら紹 介 してみ よ う。   コー エ ン は、3歳 や4歳 の健 常 児 が達 成 して い る言 語 能力 を知 的 に高 い 自閉 症 者 が獲 得 で き ず、 コ ミュニ ケ ー シ ョ ン要 求 が あ りな が らそれ が実 現 され な い た あ に悩 ん で い る こ とを指 摘 し て い る。 知 的 に高 い 自閉 症 者 が か か え る言 語 能 力 の 問 題 と して 、 会 話 の ポ イ ン トが っ か め な い こ とや 不 確 定 疑 問 が理 解 で きな い こと等が あ る。 ・会 話 の難 しさ は、会話 の流 れか らテーマをつ か み、 テ ー マ との関 係 で個 々 の話 しを関 連 づ け る こ とが で きな い所 に あ る。 知 的 に高 い 自閉 症 者 で あ って も話 しを要 約 す る こ とは難 しい。 要 約 す る こ とが で きな い代 わ りに話 しの す べ て を そ の まま記 憶 して しま う。   また 、 自閉 症 者 に と って 不 確 定 疑 問 の 難 しさ は、 質 問 され る対 象 が 限 定 され て い な い こ と に あ る。 例 え ば 、 「きの うテ レ ビで サ ッカ ーを 見 た」 と言 った こ と に対 す る 「な にを 見 た の」 と い っ た質 問 に、 自閉 症 者 は 「テ レ ビで 」 と答 え て しま う。 こ の よ うな 問 いか け に よ る意 図 の理 解 は、 自閉 症 者 に と って 困 難 で あ るこ とが 多 い。 意 図 を理 解 す る こ とが で き な い ため に、 「見 る」 との結 合 が 強 い 「テ レ ビ」 が選 択 され て しま う。 しか し、 問 い を 「テ レ ビで な に を見 たの 」 に代 え、 問 わ れ る対 象 を限 定 す る こ とで 意 図 の理 解 を は か る こと が可 能 に な って くる。   この よ うに、 自 閉症 の コ ミュニ ケ ー シ ョン と 言 語 の障 害 は広 範 囲 に わ た って お り、 メ タ表 象 の 障害 だ け が 強調 され るな らば、 そ れが 獲 得 で きな い知 的障 害児 と 自閉症 児 の言 語 と コ ミュ ニ ケ ー シ ョンの 障害 を どの よ うに考 え るか、 問 題 に な るで あ ろ う。 この点 に お い て も、 「心 の 理 論 」 獲得 以 前 の 自閉症 児 の 初期 発達 の研 究 が 重 要 に な って く る。 皿.自 閉症 児 の 初 期 言 語 発達 の 障 害 に 対 す る   発 達神 経 心理 学 的 ア プ ロー チ   こ こ まで、 ル リヤの 神 経 心 理 学 理 論 とそ の 方 法 、 ル リや後 の発 達 障 害 研 究 へ の発 展 、 な らび に、 自閉 症 研 究 と ル リや理 論 との関係 、そ して 、 自閉 症 児 の初 期 言 語 発 達 の障 害 の研 究 課 題 等 、 検 討 して きた 。 本 章 で は、 これ らを 踏 ま え、 自 閉 症 児 の初 期 言 語 発 達 の障 害 に対 す る発 達 神 経 心 理 学 的 ア プ ロー チ につ いて 検 討 す る。 1.発 達 神 経 心 理 学 の ア プ ロー チ の基 本 的枠 組   み   通 常 、 児 童 の神 経 心 理 学 、 す な わ ち、 発 達 神 経 心 理 学 で は、 成 人 の神 経 心 理 学 と異 な り≦ 脳 の損 傷 部 位 を始 め か ら特 定 しうる こと は少 ない。

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自閉症児 の初期言語発達 の障害 と発達神 経心理学 的アプローチ 19 成 人 で は、 特 定 しう る脳 の 病 理 を も と に、 脳 と 心 理 機 能 との 関 係 を明 らか に して い くこ とが で き る。 成 人 に お け る こ の よ うな 研 究 方 法 は、 「脳 一行 動 」 連 関 ア プ ロ ーチ と呼 ぶ こ とが で き る (白 糖 、1987)。 一 方 、 児 童 で は、 「脳一行動 」 連 関 の 追求 が不 可 能 で あ って も、 脳 機 能 と心 理 機 能 に関 す る知 識 を参 考 に しな が ら、 症 状 を分 析 した り、症 状 同士 の関 連 を分 析 し、 心 理 機 能 障 害 の 特 徴 を検 討 す る こ とで、 脳 機 能 障害 につ い て 推 測 す る こ とが で き る。 児童 の神経 心理学 は、 こ う した 一連 の分 析 を 通 して 、心 理 機 能 障害 の モ デル や 脳機 能 障 害 の モ デ ル を構 成 して い く。 児 童 にお け る この よ う な研 究 方 法 は、 「行 動 一 行 動 」 連 関 ア プ ロ ー チ と呼 ぶ こ とが で き る(白 清旨、 1987)o   実 際、 児 童 の 神 経 心 理 学 の臨 床 で は、 対 象 と な る児 童 の障 害 を 理 解 す る た あ に、 この 障 害 を ど の よ うに分 析 す るか 、 障 害 に対 す る一 定 の 仮 説 の も とに テ ス トや実 験 が実 施 され る。 検 査 に よ って障 害 特 徴 が 明 らか に され 、 成 人 の 脳 機 能 障害 と比 較 さ れ、 児 童 の障 害 が よ り深 く珪 解 さ れ 、脳 の機 能 障害 が提 起 さ れ る こ とが 多 い。 ま や、 これ らの結 果 を踏 ま え、 治 療 の 内 容 や 方 法 が 検 討 され る。   ル リヤ の神 経 心 理 学 と上 記 の方 法 を結 びつ け れ ば 、 図6の よ うに 表 す こ とが で き る。2っ の ア プ ロー チ は相 互 に 関連 し、 知 識 を 高 めて い く こ とに な る。 図6で は、 児童 と成 人 の神 経 心 理 学 にお け る基 本 的 な違 い を 明示 す る こ と はで き な いが 、 重 要 な こ と は、 ヴ ィ ゴ ツキ イ(1975) が 強 調 して い る よ う に、 脳 の 同一 の部 位 に あ る 病 巣 で あ って も、 成 人 と児 童 で は異 な った症 候 群 を 引 き起 こ し、 心 理 機 能 全 体 に あ た え る影 響 も異 な る と い う、 発 達 の視 点 を考 慮 す るこ とで あ ろ う。   また 、 発 達 神 経 心 理 学 は、 図7で しめ さ れ る 研 究 領 域 の 知 識 を 必 要 と して いる。発 達 の理論 、 テ ス ト等 に関 す る診 断 ・評 価 の理 論 、 一 般 神 経 心 理 学 の 理 論 で あ る。 発 達 神 経心 理 学 は こ れ ら の 基 礎 領 域 か ら構 成 され る臨 床 的性 格 が 強 い研 究 領 域 と して と らえ る こ とが で きる。 臨 床 的 性 格 の強 さ につ いて は、 心 理 機 能 や脳 機 能 に関 す る児 童 の 障 害 モ デル の構 築 と い う基 礎 的 な研 究 で あ って も、 治 療 ・教 育 とむ す びつ いて 、 は じ 「脳 一行 動 」 連 関 ア プ ロー チ 症状(機 能)分 析 症候群(機能 間)分析

「行 動 一行 動 」 連 関 ア プ ロ ー チ 症状(機 能)分 析 症候群(機能 間)分析 図6  発 達 神 経 心理 学 の ア プ ロー チ と分 析 方 法     の関 係

図7  発達神経心理学の学 問領域 あ て、 そ の モ デ ル の妥 当性 が 検 証 され る こ とか ら も理 解 す る こ とが で き よ う。 発達 神 経 心 理 学 の 治療 ・教 育 に対 す る寄 与 は、 基礎 的 な研 究 と 連動 して お こ な われ る ので あ る。 2.自 閉 症 児 の初 期 言 語 発 達 の 障害 に対 す る発   達 神経 心 理 学 的 ア プ ロー チ (1)自 閉症 児 の言 語 障 害 に対 す る神 経 心 理 学     的 研 究 に お け る実 験 ・臨 床研 究 の意 義 ①実 験 研 究 の方 法   自閉症 児 に対 す る発 達 神 経 心理 学 は、 これ ま で、 知 的機 能 が比 較 的 高 い児童 を 中心 に お こ な わ れ、 実 験 が 有 力 な武 器 とな った。 自閉 症 児 の 初期 言 語 発 達 の障 害 研 究 にお い て も、 実 験 研 究 は重 要 な位 置 を しめて い る と考 え る。   例 え ば、 自閉 症 児 の言 語 障害 と半 球 機 能 の一 側化 に関 係 す る研 究 は、 自閉症 児 の初 期 言 語 発 達 の 障害 の研 究 に お いて も、重 要 な示 唆 を あ た え て くれ る。 こ こで は、 自閉症 児 の言 語 障 害 に

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20 黒 田 吉 孝 関 す る個 人 差 に注 目 して み る。   林(1987)は 、 自閉症 児 、 健 常 児 、 そ して、 知 的障 害 を対 象 に、 利 き手 検 査 、 両 耳 分 離 能 検 査 、 頭 部CTス キ ャ ン検 査 を 実 施 し、3群 の結 果 を比 較 して い る。 林 は、 自閉 症 児 の利 き手 に つ い て、 未 分 化 な ケ ー スが 多 く、 病 理 的 要 因 に『 よ る可 能 性 が高 い こ とを 指 摘 して い る が、 発 達 テ ス トに お け る言 語 ・認 知 項 目 の成 績 は、 利 き 手 が 分 化 して い る群 と有 意 な差 が み られ な か っ た こ とを 報 告 して い る。 両 耳 分 離 能 検 査 に つ い て は、 自閉 症 児 群 で は他 の2群 よ り も左 耳 優位 が 多 くみ られ 、 右 耳 優 位 な 自閉 症 児 と左 耳 優 位 な 自閉 症 児 で はく 前 者 は数 概 念 と数 の復 唱 や比 較 判 断 等 の テ ス ト項 目 に優 れ て い た。 また 、頭 部CTス キ ャ ン等 の神 経 放 射 線 学 的検 討 の 結 果 、 これ ま で の研 究 で は、 自閉 症 児 の脳 室系 の拡 大、 特 に、 側 脳 室 の両 側 性 、 あ る い は、片 側性 拡 大、 そ して 、 半 球 幅 の左 右 差 の逆 転 等 の異 常 が 指 摘 され て きた が 、 この よ うな事 実 は、 自閉症 児一 般 に み られ る特 徴 で は な い と述 べ て い る。   林 の研 究 は、 自閉 症 児 の言 語 障害 の 多様 性 を しめ して い る が、 同時 に、 脳 機能 との関 係で は、 一 側 半 球 の機 能 障 害 の他 に、 両 側 半 球 の機 能分 化 障害 が み られ る こ とを しあ して い る。 これ ら は、 自閉 症 児 の言 語 障 害 の個 人 差 に関 す る問 題 で あ る が、 言 語 初 期 発 達 の障 害 の 研究 にお いて も留 意 す べ き点 で あ る。   自閉 症 児 の言 語 障 害 と右 半 球 機 能 との 関 係 に つ い て は、 最 近 、 成 人右 半 球 損 傷 患者 の 言 語 障 害 との比 較 で お こな わ れ て い るよ うに な って き

て い る(Rumsey  et al,1990;Ozonoff  et al,

1996)。 自閉 症 児 の大 脳 皮 質 と皮 質 下 の機 能 連 関 につ い て は、 ま だ十 分 な資 料 は蓄 積 され て い な い が、 臨 床 的 な症 状 を踏 ま え、 両者 の機 能連

関 に関 す る議 論 が お こ な わ れ て い る(Ornitz,

1976;Paluszy,1981;Dawson  et al,1994;東 條 、

1993)。 ② 臨 床 研 究 の方 法   自閉 症 児 の言 語 障 害 の研 究 に お い て、 他 の発 達 障 害 児 に対 す る研 究 同様 、 心 理 テ ス トは、 言 語 障 害 の特 徴 を 明 らか に す る上 で重 要 な役 割 を は たす(黒 田、1995)。 太 田の 研 究(1987)は 、 そ の一 つ で あ る。   太 田 は、WISC知 能 テ ス トと彼 らの 独 自 の テ ス トで あ るLDT(言 語読 解 テ ス ト)とGIT(ジ ェ ス チ ャー模 倣 テ ス ト)を 知 能 年 齢 が6歳 以 上 の 自 閉症 児 に実 施 し、 図8の 自閉症 児 の認 知 障 害 の構 造 を しめ して い る。 自閉 症 の認 知 障害 は、 WISC知 能 テ ス トで は、 非 言 語 性 テ ス トが 良 好 で言 語 性 テ ス トが 劣 って い る ことが み られ るが、 GITの 非 言 語 性 テ ス トで は部 分 模 倣 等 の 特 異 的 障 害 が み られ る。 ま た 、LDTの 言 語 性 テ ス ト で は言 語 の 関係 概 念 に特 別 な 障害 を しめ し、 こ の 障害 がWISC知 能 テ ス トの 言 語 性 テ ス トに も 反 映 さ れ る。   太 田 が指 摘 して い る よ う に、年 齢 の 低 い 自閉 症 児 や言 語 機 能 が 低 い 自閉 症 児 に この モ デ ル を この ま ま適 用 す る こ と はで きな い が、 自閉 症 児 の 認知 障 害 は、 言 語 性 、 非 言 語 性 を 問 わ ず 、 す べ て の入 力 モ ダ リテ ィに 及 ぶ とい う指 摘 は言 語 初 期 発達 期 にあ る 自閉 症 児 の 研 究 に と って も重 要 で あ る。 (2)自 閉 症 児 の 初 期 言 語 発 達 の 障 害 に対 す る     発 達 神 経 心理 学 的 ア プ ロー チ の枠 組 み   図9は 、 自閉 症 児 の初 期 言 語 発 達 の 障 害 に対 す る発 達 神 経 心 理 学 的 ア プ ロ ーチ の基 本 的 枠 組 み で あ る。   図9は 、 図7の 発 達 神 経心 理 学 の 図式 を 自閉 WISC      薗   言 語 に関 す る課 題        劣悪

[

  言語 に関 しない課 題 一 良好 (障 害 の な い場 合 もあ る) LTD   言語によ る関 係の概念一 極あて劣悪 GIT   動作模倣 特異的障害(部 分模倣) 言語能力内不均衡 非言語性視覚性の  処理能力内不均衡 図8  自閉 症 の 言 語 と認 知 の 障害 構造(太 田1987)

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自閉 症 児 の 初 期 言 語 発 達 の 障 害 と発達 神 経 心 理 学 的 ア プ ロ ー チ 21 言 語 と コ ミュニ ケ ー シ ョ ンの 発 達 の 理 論 自閉 症 の 発 達 と 障 害 の理 論 舎 ↓

テ ス ト結 果 に対 す るル リヤ の 神 経 心 理学 の 分 折 方 法 の適 用 実 験 等 に よ る障 害 の 理 解   f  十 言語 と脳 に関す る理論(失 語症 理論、左右半球 の一側化や皮質 と皮質下の関係 等 の理論)

自閉 症 児 の 初 期 言 語 発 達 の 障 害 (話 し言 葉 獲 得 の 困 難 性 、言 語 障 害 の個 人 差 、 身 振 りと言 葉 の モ ダ リテ ィ問 の 関 係 等)に 対 す る発 達 神 経 心 理 学 的 ア プ ロー チ に よ る知 識 の 蓄 積 この期 の自閉症 児 の言語の障害 特 徴の理解の向 上 による自閉症 児 における言語 と脳 の関係の発 展 に対す る寄与

基礎研究 と むす びつ い た発達初期 にある自閉 症児の治療 教育 の発展 図9  自閉 症児 の初 期 言 語 発 達 の障 害 に対 す る発 達 神 経心 理 学     的 ア プ ロー チ の枠 組 み 縦断研究 と比較研究

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症 状 分 析 ↓ 心 理 テ ス トの項 目間 の 関 係 分析 に よ る障 害 の研 究 噸 身振 りと言 語等 の モダ リティ 間 の 関係 分 析 に よ る障 害 の 研究 話 し言葉等 の臨床的 に明 ら かにされて いる心理機能の 障害 の研究 症 候 群 分 析(テ ス トの 項 目 間関 係 分 析)に よ って 明 ら か に さ れ た心 理 機 能 の 障 害 の研 究 会 舎 縦断研究 と比較研究 図10  自 閉 症 児 の 初 期 言 語 発 達 障 害 の 研 究 と ル リヤ の 神 経 心 理     学 の 分 析 方 法 と の 関 係 *自 閉症児の初 期発達 における言語 と認知の基本 的障害 につ いて は不明な   ことが多いのでテス ト結果 を もとに明 らかにすることは重要で ある。

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22 黒 田 吉 孝 症 児 の 初 期 言 語 発 達 の障 害 研 究 に適 用 した もの で あ る。 発 達 の理 論 に つ い て は、 こ こで は、 通 常 発達 にお け る乳 児 期後 半 か ら3歳 頃 ま で の コ ミュニ ケ ー シ ョン と言 語 に 関 す る発 達 の 理 論 が ベ ー ス に な る。 ま た 、 発 達 の 理 論 に は子 ど もの 障 害 に関 す る 理 論 も含 まれ るが 、 こ こで は、 自 閉 症 の発 達 と障 害 に関 す る理 論 が 必 要 に な る。 テ ス ト等 に よ る診 断 と評 価 の理 論 につ い て は、 対 象 とな る児 童 の発 達 と障 害 を考 慮 した テ ス ト の 活 用 と、 テ ス ト結 果 に対 す る ル リヤ の神 経 心 理 学 の 症 状 分 析 と症 候 群 分 析 の児 童 へ の適 用 を 考 え る こ と に な る。 ま た、 障害 特 徴 を よ り深 く 理 解 す る た め に実 験 研 究 が テ ス ト結 果 と連 動 し お こ なわ れ る。 一 般神 経 心 理 学 の理 論 につ い て は、 こ こで は 、言 語 障 害 に関 す る神 経 心 理 学 の 理 論 が基 本 に な るが 、 失 語 症 理 論 や 左 右 半 球 の 一 側 化 等 の言 語 と脳 の 機 能 に関 す る論 が 含 ま れ る。   自 閉症 児 の 初 期 言 語 発 達 の障 害 に関 して 、 こ こで は、 話 し言 葉 獲 得 の困 難 性 、 対 人 ・社 会 的 障害 の 性 格 、 身 ぶ りの発 達 と言 語 発達 との関係 、 言 語 の 発 達 と 障害 の個 人 差 等 の 問題 が あ げ られ る。 発 達 の理 論 、 テ ス ト等 に よ る診 断 と評 価 の 理 論 、 そ して 、 一 般 神 経 心 理 学 の理 論 を駆 使 し なが ら、 自閉 症児 の初 期言 語 発達 の 障害 特徴 を 明 らか に し、 自閉 症児 の言 語 と脳 に 関 す る知 識 を蓄 積 し体 系 化 して い く こ とが 求 め られ るが 、 これ らの作 業 は、 治 療 教育 にか か わ りな が らお こな わ れ る。   図10は 、 自閉 症 児 の 初 期 言 語 発 達 の障 害 研 究 とル リヤ の神 経 心 理 学 の方 法 と の関 連 を 表 した もの で あ る。 こ こで は、 症 状 分 析 と して 、 話 し 言葉 等 の 個 々 の心 理 機 能 の障 害 に対 す る分 析 を、 また 、 症 候 群 分 析 と して、 心 理 テ ス トの項 目 間 の 関 係 分 析 や 、 身 ぶ りと言 語 等 の モ ダ リテ ィ間 の 関 係 分 析 を 考 え て い る。 さ らに、 両 分 析 方 法 を 相 互 に関 連 づ け な が ら 自閉症 児 の言 語 障害 の 研 究 を 進 め る こ とが肝 要 で あ る。 例 え ば、 テ ス ト項 目間 の関 係分 析 を通 して 自閉症 児 に特 徴 的 な言 語 障 害 を 明 らか に し、 さ らに、 これ らの 言 語 障 害 の特 徴 を分 析 し障 害理 解 を深 め る こ とが 重 要 で あ る。 ま た 、 児 童 を 対 象 に して い る こ と か ら、 両 分 析 の いず れ に お い て も、縦 断 研究 が、 そ して、 他 の 発 達 障 害 児 や 脳 損 傷 患 者 との 比 較 研 究 も重 要 で あ る こ とを 指 摘す る必 要 があ ろ う。 縦 断 研 究 につ いて は、 所 与 の 心 理 機 能 の 障 害 の 安 定 性 ・強 度 を知 る上 で 、 他 の 心 理 機 能 と所 与 の心 理 機 能 の障 害 と の関 係 の変 化 を 知 る上 で 、 さ らに は、 治 療 教 育 の効 果 を知 る上 で 重 要 で あ る。 』次 の課 題 は 、 今 回論 じて きた方 法 に基 づ き 自 閉症 児 の初 期 言 語 発 達 の障 害 を具 体 的 に分 析 、 検討 す る こ とで あ る。 文献

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