Title
しごき加工におけるオイルピットの潤滑効果に関する研究(
内容の要旨(Summary) )
Author(s)
鄭, 永勲
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 甲第197号
Issue Date
2003-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/1918
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位記号番号 学位授与年月日 専 攻 学位論文題目 鄭 永 勲 (大韓民国) 博 士(工学) 甲 第 197 号 平成15年 3月25日 生産開発システム工学専攻 しごき加エにおけるオイルピットの潤滑効果に関する研究 (Effect ofKicro-Pit$皿Ⅰ町rOVenent Of Ld)ricdioninIroningProces$) 学位論文書査委員 (主査) 教 授 堂 田 邦 明 (副査)教 授 戸 梶 恵 郎 教 授 野 方 文 雄 助教授 王 志 剛
論文内容の要旨
塑性加工のように工具と材料とが高面圧で接触し,滑り合っているような厳しい摩擦条 件では工具と材料との間の直接接触によらて凝着が生じる.凝着は摩耗や焼付きの原因と なる.したがって,滑り合う工具と材料間の摩擦を減らすには,あるいは摩耗や焼付きを防ぐには,2面間に生じるこれらの凝着を減少させることが何よりも重要となる.凝着を
防ぐ,あるいは減少させるためめ最も有力な手段として潤滑剤が用いられる.滴滑剤は工
具と材料間の接触界面に介在し,-摩擦の低減,焼付き防止,型摩耗の抑制,および製品表 面品位の向上などに大きく貢献する.しかし,塑性加工において,潤滑剤は加工中の工具 と材料間の接触界面に直接に与えられることはなく,殆どの場合は接触界面の入口近傍に 供給されるか,あるいは加工の前の段階で2面間に与えられるのが一般的である.したが って,工具と材料間の接触界面に導入あるいは封入された潤滑油の量とその界面での油の 挙動の二因子の把握が重要となる.接触界面への油の導入機構に関しては吸着分子層,機 械的捕捉,流体力学的効果などの観点から検討され,少なくとも定性的には理解できる状 態となっている.-一方,材料表面の凹部(オイルピット)に掃捉されている潤滑油の挙動 についての不明なところが多く,これまでに数多くの研究が行われている.オイルピット内の潤滑油の流出機構に関しては現在,微視塑性流体潤滑機構と静圧浸透
流出機構と称する二つの考え方が提案されている.両機構における影響因子の効果および 流出挙動には相反する部分が多く,両機構は補完関係にあるとは考え難い.しかし,両機 構の基礎となる実験事実は,引抜き加工またはしごき加工によるものがほとんどであり, 観察している現象そのものは同一メカニズムに基づく可能性がある.成立条件・適用範囲 を含め,どちらが有効な理論であるのか更なる検討が必要である. このような現状を踏まえて,本論文ではピット内にトラップされた潤滑油がどのようなメカニズムでピット周辺に流出し,潤滑効果を高めているのかを実験的・理論的検討によ って究明することであり,さらにオイルピット潤滑機構を環境負荷低減の潤滑技術の一つ として捉え,その積極的な活用により拝発性潤滑油の各種塑性加工法への適用をも目的と する. 第l章は,現在提案されているオイルピット内の潤滑油の流出機構について詳細に調査 した結果を報告した. 第2章では,しごき加工におけるオイルピットの潤滑効果に及ぼす工具材質,工具表面 性状の影響を定量的に検討した.被加工材はアルミニウム硬質板と軟鋼板の2種類を,工 具には合金工具銅(SKDll)と超硬合金(V40)の2種類を用いた.試験には帯板しごき 形摩擦試験機を用い,潤滑状況を広範囲に変化させるために加工速度,潤滑油粘度を変え ながら実験を行った.摩擦係数と加工後の試料表面性状から,工具材質,工具表面性状が オイルピット内の油の流出挙動,流出機構およびその減摩効果に及ぼす影響を検討した. 第3章では,前章で得られた実験結果を理論的に解明した.解析に当たってはピット内 に潤滑油のない場合とある場合に分けてFEM解析を行った.ピット内に潤滑油のない場
合は,主に加工中の材料表面層の変形過程を重点的にみるため,比較的に把握が琴易なし
ごき裏面に着目した.影響因子として,しごき率,ダイス角とパンチ側の摩擦係数を取り 上げた.一方,潤滑油のある場合については,しごき面を検討対象とし,潤滑油定数,ひ ずみ速度敏感係数などといった潤滑油自体に関連する諸因子と滑り速度,各摩擦界面での せん断摩擦係数を変更して解析を行った. 第4章,第5章では,近年の環境負荷低減の対策方法の一つとして考えられている拝発 性潤滑油の潤滑性能について調べた.揮発性潤滑油は,一般の塑性加工用潤滑油に比べて 粘度が非常に低いため,高面圧・大変形を伴う塑性加工のような厳しい加工条件下ではそ の使用が難しいとされている.そのため,粘度の低さをカバーし得る何らかの対策が必要 となる.そこで,第2章,第3章で検討してきたオイルピット潤滑機構を積極的に応用し, その適用の可能性について検討した. 最後に第6章では,全体の検討結果をまとめた.論文審査結果の要旨
オイルピット内の潤滑油の流出機構に関しては現在,微視塑性流体潤滑機構(Micro Plasto-HidrodynamicLubrication,MPHL)と静圧浸透流出機構(ChannelJackingMechanism, CJM)と称する二つの考え方が提案されている.両機構における影響因子の効果および流 出挙動には相反する部分が多く,両機構は補完関係にあるとは考え難い.しかし,両機構 の基礎となる実験事実は,引抜き加工またはしごき加工によるものがほとんどであり,観 察している現象そのものは同一メカニズムに基づく可能性がある.成立条件・適用範囲を 含め,どちらが有効な理論であるのか更なる検討が必要である. 本論文の目的は,ピット内にトラップされた潤滑油がどのようなメカニズムでピット周 辺に流出し,潤滑効果を高めているのかを実験的・理論的検討によって究明することであり,さらにオイルビット潤滑機構を環境負荷低減の潤滑技術の一つとして捉え,その積極 的な活用により拝発性潤滑油の各種塑性加工法への適用の可能性についても検討してい る. 本論文の第1章では,現在提案されているオイルピット内の潤滑油の流出機構について 詳細に調査した結果を報告している. 第2章では,帯板しごき形摩擦試験機により工具材質,工具表面性状の二つの因子がオ イルピット内の潤滑油の流出挙動,流出機構およびその減摩効果に及ぼす影響について定