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水系コロイドプロセスによる炭化ケイ素の成形と焼成に関する研究

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Title

水系コロイドプロセスによる炭化ケイ素の成形と焼成に関

する研究( 本文(Fulltext) )

Author(s)

尾畑, 成造

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 甲第281号

Issue Date

2006-03-25

Type

博士論文

Version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2978

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

水系コロイドプロセスによる炭化ケイ素の

成形と焼成に関する研究・

StudiesonShaplngandSintenngofSiliconCatbide

● ●

viaAqueousCo1loidalProcessing

学位論文:博土は学)甲ンg

2006

(3)

第1章 緒言 1.1 はじめに 1.2 SiCの結晶構造 1.3 SiCの合成方法 1.4 SiCの焼結 1.5 SiC製造プロセス 1.6 水系溶媒中での粒子の分散・凝集 1.7 スラリーの流動性評価 1.8 SiC焼成用のスラリー 1.9 本研究の目的 参考文献 第2章 実験 2.1 はじめに 2.2 実験方法 2.2.1 使用原料及び試薬 2.2.2 スラリー調製 2.2.3 成形及び焼成 2.2.4 評価方法 2.3 分散性の評価 2.3.1 沈降試験 2.3.2 ゼータ電位測定 2.4 流動性の評価 2.4.1 流動点・湿潤点の測定 2.4.2 レオロジー測定 参考文献 1 2 2 4 6 9 14 16 17 20 25 26 26 27 27 29 29 29 31 34 34 35 38

(4)

第3幸水系SiC-C-B.C混合スラリーの分散・流動性に対する分散剤の影響 3.1 はじめに 3.2 実験方法 3.2.1 使用原料及び試薬 3.2.2 鋳込み成形及び成形体の焼成 3.2.3 評価方法 3.3 結果及び考察 3.3.1 SiCスラリーの分散・流動性に対する分散剤の影響 3.3.2 カーボンスラリーの流動性に対する分散剤の影響 3.3.3 SiC-C混合スラリーの流動性に対する分散剤の影響 3.3.4 SiC-C-B4C混合スラリーの調製 3.3.5 SiC-C-B4C系焼結体 3.4 結論 参考文献 第4章カーボンスラリーの分散■流動性に対する種々分散剤の影響 4.1 はじめに 4.2 実験方法 4.2.1 使用原料及び試薬 4.2.2 スラリー調製 4.2.3 スラリーの評価 4.3 結果及び考察 4.3.1 水系溶媒中のカーボン粉末の特性 4.3.2 各種分散剤の添加効果 41 43 43 43 44 44 44 49 52 54 55 60 61 63 64 64 64 65 66 66 68 4.3.3 pHが各種分散剤を含むスラリーの分散・流動性に与える影響 72 4.4 結論 参考文献

(5)

第5章遊離カーボンを多く含有するSiC原料を用いた製造プロセスの検討 5.1 はじめに 5.2 実験方法 5.2.1 使用原料及び試薬 5.2.2 鋳込み成形及び成形体の焼成 5.2.3 評価方法 5.3 結果及び考察 5.3.1 加熱処理したSiC粉末を使用したスラリーの分散・流動性 5.3.2 遊離カーボンがSiC-C-B4Cスラリーの流動性に及ぼす影響 5.3.3 SiCの焼結に対するカーボン量の影響 5.4 結論 参考文献 第6章窒化ホウ素を用いた水系SiCスラリーによるその場成形 6.1 はじめに 6.2 実験方法 6.2.1 使用原料及び試薬 6.2.2 成形及び成形体の焼成 6.2.3 評価方法 6.3 結果及び考察 6.3.1 SiC-C-B4Cスラリーの濃厚化 6.3.2 SiC-C-B4Cスラリーの固化挙動 6.3.3 DCC法から得た成形体、焼成体 6.4 結論 参考文献 第7章 総括 原著論文リスト 参考論文リスト 77 78 78 78 79 80 80 84 86 91 92 93 94 94 94 95 96 96 98 103 107 108

(6)

第1章緒言

1.1はじめに 炭化ケイ素(SiC)セラミックスは物理的、化学的に安定であり高強度、高 硬度(モース硬度9.5以上)で、耐熱性、耐食性を有するなど優れた性質の材 料である。さらに高い熱伝導率を示し、熱膨張係数が低く、耐熱衝撃性に優 れており軽量であることから様々な用途が期待される優れた高温構造材料 である1)。このため金属や超硬合金、酸化物セラミックスを使用できないよ り過酷な環境下で使用可能なセラミックスとして注目されている。特に高温 でも強度低下が起こらず、耐酸化性、酸、アルカリなどへの耐化学性が優れ ていることから、窯炉焼成用部品(窯道具)、メカニカルシール、熱交換器伝 熱管、触媒担体などに利用され、最近はシリコン半導体の熱処理工程におけ る支持部材などに用いられている2-4)。また、特殊用途として原子炉粒子燃 料用被覆材などがある。耐火物分野ではゴミ焼却炉の内張材として重要視さ れている。電子材料分野では古くから発熱体として用いられている。半導体 分野ではバンドギャップが大きいことから300℃以上の温度で使用される 半導体や、宇宙などの放射線に耐えうる環境下で使用可能な半導体として期 待されている。このようにSiCは広い分野で応用されている材料である。 SiCは1891年E.G.Achesonがダイヤモンド合成実験中に偶然見出したと 言われている5)。発見当時は実験に使用したカーボン(Carbon,C)と粘土中に 含まれるアルミナ(Corundum,Al203)の化合物と考えられ、カーボランダム (Carb。rundum)と名付けられた6)。SiCは天然には希にしか存在しないため siC原料はすべて工業的に合成されており、この原料の量産方法を最初に開 発したのもAchesonである。このようにSiCは古くから工業的に生産された 材料であり、その性質から研磨、研削材として利用されてきた6,7)。しかし、 後述するように難焼結性物質であるため、構造材料としてはほとんど利用さ れておらず、緻密なSiCの焼結体を得るために様々な研究がなされてきた7)。 構造材料としてSiC粉体から焼結させた初めての報告は、R・A・Alliegro ら8)のホットプレスによる焼結であり、助剤の必要性を述べるとともにFe、

(7)

Al、Cr、Ca、Li、Ni、B、Al-Fe、Zr-Bなどの金属添加が焼結に有効である と報告された。その後、1975年S.Prochazka9)が常圧焼結により緻密化し たSiC焼結体を得ることに成功した。これは高純度の焼結用微粉末である β-SiC微粉末に微量のホウ素(B)とカーボンを添加して焼結させるものであ る。これにより常圧焼結で固相拡散による緻密化が可能となり、急速に広く 研究開発されるようになった。この時、高純度の焼結用粉末であるβ-SiCの みであったが、その後、主にコークスとケイ石を電気抵抗炉で還元炭化する Acheson法で合成されるα-SiClO)微粉末においても焼結可能となり、現在に 至るまで盛んに研究されている。 1.2

SiCの結晶構造

SiC結晶はシリコン(Si)とカーボン(C)からなる正四面体構造であり、この 構造の並び方で2H、3C、4H、6H、15Rなど(H:六方晶、C:立方晶、R:菱 面体晶)の多形が確認されており、各多形によって物性値が多少異なるほか、 結晶成長や変形に関与する11,12)。これら多形のうち3Cをβ-SiC、その他を α-SiC(主に6H)と呼んでいる。その原子間の結合についてはPaulingの電気 陰性度からイオン結合性が約13%と計算されるように、典型的な共有結合 性化合物であり、ダイヤモンド、窒化ケイ素などと同様に難焼結性物質であ る。β一SiCを焼結させる場合、2000℃以上で6H、15Rなどβ-SiC→α-SiCへ と転移しやすく、焼成温度の設定を厳密に行う必要がある。α-SiC粉末から 得たα-SiC焼結体の微細構造は等軸的な粒子形状となるのに対して、β-SiC 粉末から得た焼結体は板状及び柱状に伸びた粒子となりアスペクト比が大 きくなることで、α型と比べてβ型の曲げ強度、破壊靭性がやや大きくなり、 β型がやや優れた機械的性質を示す13)。 1.3

SiCの合成方法

常圧焼結用SiC粉末の合成方法は(1)Acheson法10)、(2)シリカ還元炭化法14, 15)、(3)金属シリコン直接炭化法16)、(4)気相反応法17)、(5)熱分解法17)などが 知られている。製法(1)以外はすべてβ-SiC粉末の製法である。Acheson法は

(8)

Aches。nがコークスとケイ石(シリカ:SiO2)からSiCを安価に量産する方法 として開発したものであり、広く一般に使用されている電気抵抗炉法である 10)。Fig.1に炉の模式図を示す18)。一定の距離で相対する固定電極間にコー クスとケイ石の混合原料を敷き詰め、電極間を黒鉛粉でつなぐ。更に混合原 料で覆った後、これに通電させ、黒鉛粉のコア部に発生するジュール熱で反 応させる。この時、炉内温度は2000∼2300℃となるように調節する。この 製造における化学反応は式(1)で示される。 式(1)からわかるように大量のCOガスが発生することから通気性をもたせ SiO2+3C→SiC+2CO(g) ……(1) ガスの排出を容易にさせている。また、この方法は合成温度が2200℃以上 となるため主に高温型であるα-SiCが合成される。合成されたSiCのインゴ ットは粉砕され焼結用微粉末としてもちいられる。一方、β-SiCの合成は主 にシリカ還元炭化法が用いられる。Fig.2にシリカ還元炭化法の製造工程を 示す14,15)。これはシリカとカーボンの微粉末を均一に混合し、1500∼ 1800℃で反応させる方法である。この時、式(2)、(3)に示されるように反応

SiO2+C→SiO(g)+CO(∂

……(2) SiO+2C→SiC+CO(g) ……(3) ∋et ヒure ater 1C ふ・▲・フ::▲こ・: rOuS trapplng Electrode furnacebed Fig・1・SchematicdiagramofAchesonfurnaceforproduction ofα-SiCpowder.

(9)

Fig・2・Schematic diagram

ofβ-SiC

powder synthesized by Carbothermalreductionofsilica. 過程でCOガス以外にSiOガスの飛散も起こるため、非酸化性雰囲気下で行 う。この方法はシリカとカーボンを直接炭化させる方法であるため合成時に 未反応の遊離シリカや遊離カーボンが残存する。残存する遊離シリカや遊離 カーボンは焼結過程に大きく影響する14,15,19)ためFig.2に示すように合成 後に大気中で加熱して脱炭処理し、HFを用いて残存シリカの洗浄を行う。 しかしながら工業的にSiCの酸化を抑えながら残存する遊離カーボンを取 り除くのは現在でも課題となっており、Tablelに示されるように市販され るSiC微粉末には遊離カーボンや遊離シリカが不純物として残存する20)。 1.4

SiCの焼結

酸化物系の焼結助剤としては、創20321),22)、創203-Y20323),24)、

Al203-Y203-CaO25)、Y3Al5012(Yttrium Aluminum Garnet,YAG)26)、

Al203-AIN27)、BeO28)、Al203-Gd20329)などが、非酸化物系の焼結助剤とし ては多くの金属8)のほかB-C系(Bとしてホウ素や炭化ホウ素)、山一C、 Al-B-C30)などが報告されている。 酸化物系焼結助剤を添加したSiCは添加された酸化物とSiC粒子表面に存 在するSiO2とが高温で反応して液相を形成する液相焼結である31,32)。原料 としてβ一SiCをもちいた場合の焼結挙動を例にすると、この液相を介して微 細なβ-SiCの溶解とα-SiC(6H、4H相)粒子の生成及び成長を伴った溶解一析 出機構によって緻密化及び粒成長が進行する21)。この時、β(3C)→α(4H)と いった相転移が起こり、板状粒子を生成、成長させることで微細構造を制御 し、アスペクト比を大きくすることで破壊靭性を向上することができると報

(10)

Tablel.CharacteristicsofseveralcommercialSiCpowders

Productname(Crystal) A(α)B(β) C(β)D(α)E(α)F(β)

SiC Freecarbon SiO2 FreeSilicon Impurities Al Fe Tbtal Meanparticlesize(pm) Speci丘csurfacearea(m2/g) 97 95 0.8 1.9 0.7 0.1 0.02 0.02 0.01 0.04 0.04 0.02 0.11 0.11 0.4 0.6 15 15 95 97 95 >99 1.4 0.5 0.8 <0.3 0.2 0.4 1.9 <0.2 0.10 0.07 0.05 <0.03 0.04 0.02 0.08 <0.02 0.21 0.15 0.07 0.6 0.6 0.6 0.4 16 10 14 15 告されている。しかし、酸化物系焼結助剤を添加した場合、比較的低温(∼ 2000℃)で緻密化が可能であるメリットがあるが、高温時に生成した掛目成 分や助剤が揮発しやすく、緻密なSiC焼結体を得ることは難しい。また、液 相焼結である酸化物系助剤を添加したSiCでは高温下での強度低下や耐酸 化性の低下が起こるといった問題も報告されている13)。 一方、B-C系に代表される非酸化物添加によるSiC粉末の焼結では酸化物 系焼結助剤よりも高温(∼2200℃)で焼成する必要があるが、SiCと反応して 揮発することがないため、焼成雰囲気を完全に不活性にすることで容易に緻 密化することが可能である9,33)。また、固相反応による焼結であるため、B C 系添加によるSiC焼結体は、高温での強度、クリープ変形、耐酸化性などの 高温特性で極めて優れている。現在工業的に生産されているSiC焼結体はこ の系(ホウ素、あるいは炭化ホウ素とカーボンの添加)が多い。しかし、この 系における常圧焼結機構はいまだ解明されたとはいえない。Prochazka9)は ホウ素の添加量が固溶限界(0.2wt%)を超えて必要であったことからホウ素 はSiC粒界に存在し、粒界エネルギー(γGB)を減少させると考えた。緻密化 を焼結体中の気孔の消滅と考え、気孔が消滅する条件として気孔が凸のふく らみをもつには表面張力のつりあいの条件から、

賢>2cos言,β=‡(刀-2)………(4)

(11)

を満たす必要がある。このためホウ素は粒界に存在し、粒界エネルギーを低 め、カーボンはSiC粒子表面に存在するSiO2を還元除去することで表面エネ ルギー(γsB)を増大させると考えた。また、焼結を動力学的にとらえた解釈 としてGreskovich34)は無添加のSiCは高温に加熱しても焼結初期段階に粒 子の粗大化が起こり緻密化しないと考え、添加したホウ素はSiC表面で表面 拡散を遅らせ、粒成長を抑制し、カーボンはSiO2を除去するほかSiCに固溶 して体積拡散を促すと考えた。Suzuki、Hase35,36)はこの理論とほぼ同様の 結論を得るとともにこの理論を補正した。それによるとホウ素,カーボンは 約1500℃まで表面拡散による粒成長の抑制に寄与し、その後表面と粒界に 素早く拡散し36)、1900℃までにB-C系化合物からなる粒界相を形成する。こ の粒界相を経由した拡散によって1950℃まで焼結が進む。それ以上の温度 でこの粒界相は消失し、ホウ素の固溶による拡散促進効果でさらに焼結が進 行する機構が提案された。田中33,37,38)は焼結の自由エネルギー理論より、 焼結は表面が界面に転じ、系の余剰エネルギーを緩和する過程であり、この 余剰エネルギーが緻密化に関する物質移動を駆動するとし、焼結の速度式を 用いてその焼結収縮速度にて検討を行った。焼結収縮速度において収縮率を γG,の†sBに対する比(α=†GB/γsB)をパラメーターとして、SiCの焼結 を評価している。その結果、SiC粉体のみでは焼結は進まず、B-C系の添加 によってカーボンがSiC表面に存在するSiO2を還元し、ホウ素(あるいはカ ーボンも)は粒界に存在し、†GBを減少させることで焼結が進行し、緻密化 すると論じている。 これら報告されているいずれの焼結機構においても、助剤として用いるホ ウ素、カーボンをいかにしてSiC粉末及び成形体中に均一に分散させるか が緻密な焼結体を得る重要な要素であることがわかる。 1.5

SiC製造プロセス

セラミックス製造プロセスは、製品を作製するまでに粉体合成、混合、成 形、焼成、加工などの様々な工程をともなう。Fig.3にSiC製品の製造工程 の模式図を示す6)。SiCセラミックスとジルコニア、アルミナなどの酸化物

(12)

セラミックスと大きく異なるのはアルゴンなどの不活性雰囲気下で2000℃ を超える温度で焼成することである。これら工程の中で成形に着目した場合、 成形時にクラックの混入や密度勾配などの不均質な状態を含むと、焼成時に 材料変形や亀裂を生じ、これが強度低下など材料特性の変動や低下の原因と なり、信頼性、再現性のよいセラミックスの製造が困難になる。このため破 壊源の形成を抑制し、均質な成形体構造を有するセラミックスを得る成形法 を確立することが必要不可欠といえる39)。また、セラミックスの多くは硬く て脆いという性質をもつことから、一般に加熱焼結後の加工が困難なため、 プレス成形法などの後加工を要する成形方法よりも、目的とする形状に近い 形で成形体にする成形法(ニアネット成形法)が望ましい。 Fig.3・SchematicdiagramofmanufacturingprocessforSiC PrOduct.

(13)

一般にセラミックスの成形法はコロイドプロセス40,41)とドライプロセス の二つに類別される。ドライプロセスは、あらかじめ造粒した粉体(頼粒)を 加圧するなどの方法により直接的に成形体を作製する乾式成形法である。こ れに対してコロイドプロセスは、原料粉末を溶媒中に分散させスラリーの調 製を行ない、成形体を作製する湿式成形法である。コロイドプロセスの特徴 としてドライプロセスに比べて微構造の制御に優れ、均質で高密度な成形体 が比較的容易に作製することが可能であることがあげられる。 コロイドプロセスの一つである鋳込み成形法は広く用いられている方法 である41-43)。この方法は、多孔質な型(主に石膏型)に原料粉末を均一に分散 したスラリーを流し込み、毛細管吸引力によって溶媒を型に吸収させること によって型に着肉、固化させて成形体を作製する。その特徴として、比較的 複雑な形状が作製可能であり、特別な装置など必要がなく、比較的安価に成 形体を作製することができる。その反面、プレス成形などと比較すると大量 生産には不向きであり、少量で多品種の生産に適している。また、この鋳込 み成形法には、スラリーを型に流し込む際に加圧することで強制的に着肉さ せる加圧鋳込み成形法44)とスラリーを型に流し込み、一定時間放置して着肉 固化させた後、型からスラリーを流し出し、離型する排泥鋳込み成形法45)が ある。この成形法以外にも、コロイドプロセスの成形法としてスラリーをド クターブレードから均一に流してシート状に膜を成形するテープキャステ ィング法46)や溶媒中で帯電した粒子に外部電場をかけることによって粒子 の荷電と逆の電極側に粒子を泳動させて電極上に堆積させる電気泳動堆積 法47)などの様々な方法がある。このようなコロイドプロセスにおいて成形の 成否を支配する最も重要な因子として、スラリーの分散及び流動性があげら れる。ドライプロセスについてもプレス成形用にスプレードライした頼粒や、 押出成形用のフィルタープレスしたケーキなどといった原料調製時にスラ リー調製をしており、コロイドプロセスだけでなくセラミックスの成形、焼 成プロセスにおいて、スラリーの分散・流動性は重要な因子となる。

(14)

1.6

水系溶媒中での粒子の分散・凝集

スラリーの分散及び流動性を支配する因子として粉体の表面状態と粒子 間相互作用があげられ48,49)、スラリー調製においてこれらを理解すること が必要不可欠である。一般に酸化物粒子を水系溶媒に添加した時、水和反応 によって表面に水酸基が形成され、この水酸基の解離によって、酸化物粒子 表面は正または負に帯電する50,51)。Fig.4に水系溶媒における酸化物粒子表 面の帯電状態を示す。粒子表面はpHが酸性側ではプロトンの付加によって 正に帯電する。一方pHが塩基性側ではプロトンが溶媒中に引き抜かれ、負 に帯電する。見かけ上粒子表面の電荷が正にも負にも帯電していない時の pHを等電点(isoelectricpoint,iep)という。この等電点は、原料の種類や同 一原料でも分散剤等の添加によって変化する。したがって、使用する原料や 条件での等電点を把握することはコロイドプロセスにおいて重要である。 また、1つの粒子に着目した時、溶媒中の粒子表面付近には表面電荷と反 対の符号の電荷をもつ電解質イオン(対イオン)が同符号のイオン(副イオン) に比べて圧倒的に多く存在する52-54)。これは対イオンが粒子の表面電荷から クーロン引力を受けて引きつけられ、副イオンがクーロン斥力によって表面 から遠ざかろうとするためである。ここで対イオンが粒子表面に集まってき てその電荷を中和しようとする。しかし、イオンの熱運動によって妨げられ るため、対イオン側が広がりをもったイオン雲を形成している。これを拡散

⑳2鴫⑳2

1.血1・や1巾1

0-MlO

Acid 1ep -- > く Fig・4・Mechanismofsurfacepotentialofoxideparticleinaqueous media.

(15)

電気二重層という。ここで、対イオン、副イオンの種類や拡散の度合いは溶 媒の種類や分散剤の解離の程度や添加量、pH調整に使用した酸や塩基など の電解質に起因する。 対イオン、副イオンといった電解質イオンの拡散の度合いを示す量は、拡 散電気二重層の厚さ(Debye長さ)1/Kで表される。この厚さは表面電荷と対 イオンとの間の引力がそれをかき乱そうとする熱運動と釣り合う距離であ る。KはDebye-Hdckelのパラメーターと呼ばれ、価数uの対称型電解質の 場合、

∬=(2月U2e2/どrど。丘r)1′2

………(5)

で与えられる。ここでiはBoltzmann定数、C。は真空の誘電率、Crは溶媒の

比誘電率、邪ま絶対温度、eは単位電荷であり、刀は電解質の数密度で単位は m●3である。この電気二重層の厚み1/だは後で述べるように溶媒中の粒子の 分散・凝集に大きく影響を及ぼす。 Fig.5に粒子表面近くに表面電荷とは逆の対イオンが強く引き寄せられ て固定(吸着)された層と対イオンと副イオンを含んだイオン雲の層が存在 Fig・5Electricaldoublelayermodelforparticlecharglnglna

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する電気二重層のモデルを示す55,56)。固定された層はStern層と呼ばれ、 Stern層から先のイオン雲で形成される層は拡散層と呼ばれる。粒子はある 場の中で運動する際、Stern層と拡散層の内側の一部を伴って移動する。こ の移動が起こる面をすべり面(ずり面、ShearPlane)と呼ばれ、粒子から離 れて電気的に中性である領域(Bulksolution)の電位を0とした時、すべり面 の電位をら(ゼータ)電位と呼ぶ。財はStern層外側の面(Stern面)の電位であ るが、多くの場合すべり面の電位である(電位で近似して扱われる。この( 電位の大きさが水系溶媒中における粒子分散の安定性に大きく影響する。 次にスラリー中での相互作用として2つの粒子が接近して電気二重層が 重なりあう場合について、1つの粒子表面を原点にとり、もう一方の粒子を 無限遠方より近づけた時に粒子間に働く相互作用の関係をFig・6に示す。粒 子間には粒子の表面電荷にもとづく静電反発力や粒子表面に吸着した高分 子の吸着層に基づく立体反発力など斥力(俺)のほかにvanderⅥhals引力 (仏)、重力、浮力が働く。ここでおもに粒子間における相互作用として分 散もしくは凝集を決定する大きな要因は略と払である。粒子間における全 相互作用のエネルギー(顆)は反発力とvanderWaals引力の和(顆=略+ 払)で決定される49-54)。このような電荷をもつ粒子の分散、凝集については、 Derjaguin-Landauらの理論とV6rway-Overbeekらの理論によって確立さ れ、それらを合わせたDLVO理論で説明される56)。ここでスラリーの分散・ 凝集はFig.6に示す顆のポテンシャル曲線における一次極小、極大部分で ある陀ax、二次極小により議論される。2つの粒子は、極小部分で凝集し、 逆に極大部分では分散する。二次極小部分は普通極めて浅く、凝集の理論で は無視されることもある。ただし粒子の形状が板状、棒状など異方性が増し てくるとこの極小が深くなり、この二次極小においても安定となる。ここで スラリーの分散安定化を議論する時に大きく問題となるのが軋axである。 払は物質に依存する値であることから軋axを左右するのは陥である。この 略は粒子表面に形成される電気二重層による斥力が影響し、VanderWaals 引力が働く粒子間距離と電気二重層斥力が働く距離によって分散・凝集が決 定する57)。この電気二重層斥力は電気二重層の厚み

(17)

0

訟h讐虚〓適当ぢ葛h

Fig・6・Potentialenergybetweentwoparticlesinaliquid resultingfromtheeffbctsofvanderⅥhalsattraction andelectrostaticrepulsion. 1/だが影響し、式(5)からわかるように温度ア電解質濃度(刀)や電解質の価数 u、溶媒の比誘電率どrなど溶媒の特性や溶媒中の電解質の種類が電気二重層 の厚みを左右する。f'ig.7に2粒子間におけるポテンシャル曲線と分散・ 凝集の関係図を示す。(a)に示すように粒子の電気二重層が厚く、ポテンシ ャル障壁であるlもaxが高い場合、2つの粒子はある一定の距離よりも接近す ることができなくなり、反発し合うため分散安定化する。しかし、(b)、(c) のように電気二重層が圧縮され、lもaxが低い場合ではこの障壁を越え、粒 子は自由なブラウン運動を行い、粒子は急速に凝集する。この陀axの障壁 を大きくする、すなわち粒子表面の静電反発力を増大させることで分散安定 化を制御することができる。

(18)

Fig.7・Schematicillustrationofrelationshipbetweenthetotal

interparticle potentialenergy and the resulting

SuSPenSionstructure・ 一般的なスラリー調製において前述した理由から泥衆のpHを等電点から 正または負にシフトさせ、その表面電荷の絶対値を大きくすることによって 静電反発効果を大きくし、静電安定化する方法が用いられている57)。また、 分散安定化させるのに静電反発効果以外にも方法がある。これは高分子を粒 子表面に吸着させ、立体反発効果をねらうものである54,57,58)。Fig・8に高 分子濃度変化に対する粒子の分散・凝集の模式図を示す。高分子が粒子表面 に吸着する際、ある厚さをもって粒子を被覆し、吸着した高分子は吸着 (a)Bridgingflocculation(b)Electrostaticstabilization (c)Flocculation Low Polyerconcentration Fig・8・SusPenSionstructureasafunctionofpolymerconcentration inaqueousmedia・

(19)

層を形成する。溶媒中の高分子濃度が低いと吸着量も少なく、粒子表面の吸 着層は疎となる。吸着層の疎な粒子同士が接近すると、一方に吸着している 高分子が他方の粒子にも吸着し橋掛け構造を形成し、凝集する。高分子濃度 が高くなると粒子への被覆率は高くなり、橋掛け構造が起こりにくくなる。 そして高分子が吸着した2つの粒子が接近し、高分子が接触するようにな ると、①接触界面付近の高分子濃度が高くなり、②高分子鎖の広がりがひず む。①は接触部分への溶媒の侵入を促し浸透圧効果による反発力を生み出す。 ②は変形した高分子鎖の状態を元の状態に戻そうとして反発力が起こる。こ

れは高分子鎖の配置のエントロピーを最大にしようとして発生する弾性で

あり、エントロピー反発と呼ばれることもある。さらに高分子濃度が高くな ると立体障害が起こり再び凝集する。 セラミック粉体の分散では静電反発効果と立体反発効果の相乗効果によ る分散安定化(静電立体安定化)が一般的に行われている。例えば、ポリアク リル酸アンモニウムのような高分子電解質を粒子表面に吸着させ、静電的に 安定させるとともに吸着した高分子電解質によって立体的安定化させたス ラリー調製方法が検討されている59-61)。 1.7

スラリーの流動性評価

コロイドプロセスにおいて、高い粉体濃度のスラリーが用いられることが 多い。しかしながら粒子濃度の高い濃厚なスラリーではその分散状態を評価 しにくいことから、その系の分散状態がよく反映するレオロジー挙動が良い 手がかりとして用いられる62)。流動性の評価は、せん断速度(Shearrate:†) を変化させて、その時のせん断応力(Shearstress‥T)を測定して得られるせ ん断速度-せん断応力曲線(流動曲線:Flowcurve)を用いて評価される。こ の流動曲線はFig.9に示す4種類の代表的なタイプに大きく分類される。タ イプAはニュートン流動(NewtonianFlow)と呼ばれ、せん断応力はせん断速 度に比例する。せん断速度とせん断応力の比(T/†)は粘度(ヮ)と呼ばれ、せ ん断速度が変化しても一定の値を示す。これに対してそのほかの3つのタ イプは非ニュートン流動と呼ばれ、せん断速度が変化すると粘度は変わるた

(20)

め、せん断速度を固定した時の見かけ粘度(りap。)として流動性を評価する。 タイプBはせん断応力があるT。の値(降伏値)まで流動が起こらず、これを超 えて初めて流動し、その後の曲線が直線となる。これをビンガム流動または 塑性流動と呼ばれる。また、タイプCのように降伏値に達した後、上に凸の 曲線をもつ場合を擬塑性流動と呼んでいる。この擬塑性流動についてはせん 断速度の小さい範囲で見かけ粘度が急激に減少する。一般に粒子分散系のス ラリーでは擬塑性流動の場合が多く、せん断速度によって粘度も変化する。 成形法の種類によって成形時に必要となるせん断速度は異なり、最適な見か け粘度がある。そのほかに、タイプDとしてせん断速度増加にしたがってせ ん断応力が急激に増加し、下に凸の曲線となるものをダイラタント流動と呼 ぶ。 粒子濃度が同じ場合、流動性の良いスラリーほど粒子は良く分散している といえる。脱溶媒後(スラリー濃縮化、乾燥)に得られた成形体の見かけ密度 や均質性にスラリーの流動性が大きく影響することから、コロイドプロセス に適したスラリーは分散安定化し、流動性が良好なスラリーが要望される。

dd\P(ss巴}SJ忠一S

Shearrate,†/s.1

Fig.9.Typicalflow curves of

rheologicalbehavior

(21)

1.8

SiC焼成用のスラリー

SiCのコロイドプロセスでは、原料であるSiCのほか焼結助剤としてカ ーボン源にもちいられるカーボンブラックやホウ素源として主に用いられ る炭化ホウ素などすべて非酸化物粉末であることから、溶媒として有機溶剤 が使用されてきた。また、焼結助剤を均一に分散させる目的としてカーボン 源にフェノール樹脂やピッチタールなども用いられてきた。いずれも疎水性 のために水に分散させることは困難であった。しかし、環境保全やコスト、 人体への影響といった立場から、危険性の高い有機溶媒から安全な水系溶媒 に置き換えたコロイドプロセスの確立が望まれる。 一般的に酸化物粉体の分散・流動性の向上にはポリカルポン酸のような親 水基を含んだ高分子電解質(分散剤)が使用されているが、これら分散剤が非 酸化物粉体の水系溶媒における分散・流動性に有効であるとはいえない。佐 野ら63)はポリカルポン酸アンモニウムとスチレンマレイン酸共重合体を分 散剤として添加し、スチレンマレイン酸共重合体の有効性を述べた。さらに 牧野ら64)はスチレンマレイン酸共重合体を分散剤として使用し、スチレン基 とマレイン基の比率を変化させ、スチレン基のマレイン基に対する比が1:1 よりも3:1と高い比率の共重合体がSiCの分散・流動性に効果的であり、 親水基と疎水基を併せもつ構造を有する高分子電解質の使用が有効である ことを報告した。しかし、一方で田中ら65)やFerreiraら66)はスラリー調製に はpH調整が重要であり、塩基性側で調製することが重要であると述べた。 このようにSiCの水系スラリーの調製にはいくつかの報告があるが、SiCの 種類や合成方法、製造メーカーによって異なり、SiCスラリーの調製条件の 詳細が明らかにされたとは言い難い。 1.9

本研究の目的

これまで述べたように焼結助剤が共存するSiCのコロイドプロセスでは、 分散・流動性の良好なSiCスラリーを調製するのみならず、ホウ素源、カ ーボン源の分散・流動性の向上をはかり、それらを含むSiC-C-B系といっ

(22)

た多成分系セラミックスラリーの調製が必要不可欠である。さらにSiC-C-B 系スラリー中での互いの粒子の相互作用を考慮したスラリー調製における 最適条件を検討する必要がある。 先に述べたように原料SiCに焼結助剤を添加した水系SiCスラリーにつ いての報告はあるものの、これらそれぞれの粒子における最適なスラリー調 製条件や各粒子同士の相互作用を考慮してスラリーの分散安定化をはかっ ていない上、多成分系スラリーの分散・流動性が成形、焼成に与える影響ま で検討した研究はない。また、原料SiCの種類に左右されにくいスラリー 調製は検討されていない。 以上の観点から本論文ではコロイドプロセスとして鋳込み成形及び近年 着目されているその場成形を用い、これらの方法から得られた成形体を焼成 して緻密なSiC焼結体を得るプロセスの工程因子を明確にし、信頼性の高い SiC焼結体の作製方法を確立することを目的とした。特にSiCの水系スラリ ーの分散・流動性を制御するとともに助剤として使用するカーボン及び炭化 ホウ素の分散・流動性を安定化させる条件を検討した。また、焼結助剤の添 加がSiCスラリーに与える影響を検討し、SiC-C-B4C系スラリーの最適な調 製条件を提案した。 本研究では以下のように、コロイドプロセスによるSiCの成形について、 高分子電解質を添加した焼結助剤を含む多成分系(SiC-C-B4C)スラリーの最 適調製条件の検討とスラリー中の高分子電解質の役割、水系溶媒での助剤カ ーボンの分散安定化、SiC原料の主要不純物であるSiO2、遊離カーボンがス ラリーの分散・流動性に与える影響、そして分散・流動性を制御した高濃度 siC-C-B。C系スラリーを用いた新たな成形方法への応用という観点から検 討した結果を詳述する。 第2章 実験方法として使用した試薬及び原料とSiC-C-B4Cスラリーの調製方法、 成形及び焼成方法、測定について説明するとともに測定の中で特に検討した 水系SiCスラリーの分散性、流動性の評価として沈降試験、ゼータ電位測定、

(23)

流動点湿潤点測定、レオロジー測定についての説明を記載した。 第3章 分散剤として高分子電解質と塩基を使用し、SiC合成中に不純物として残 存する遊離カーボン量の少ないSiC原料をもちいて、助剤として添加するカ ーボン、炭化ホウ素を含む水系SiCスラリー中で高分子電解質と塩基がそれ ぞれの粒子に対してどのように影響を与えるか明確にするとともに、分散・ 流動性が向上したSiC-C-B4Cスラリーの調製条件を検討した。そして得られ た最適条件でスラリーを調製し、鋳込み成形により成形体を作製、焼成して 緻密なα-SiC及びβ-SiC焼結体を得ることを目的とした。また、粒径の異な る2種類のカーボンを用い、さらに緻密な焼結体を得ることを検討した。 第4章 コロイドプロセスによって緻密なSiC焼結体を得るには水系溶媒中にお けるナノカーボン粒子の分散・流動性が重要な要因であることから、水系カ ーボンスラリーの分散・流動性のさらなる向上を目的として構造の異なる3 種類の分散剤を用いて分散・流動性の良好な水系カーボンスラリーの調製条 件を検討した。 第5章 SiCの合成において遊離カーボンは合成する工程で残存し、製造メーカー ばかりでなく同一商品においてもロットが変わるとその量は異なる。そこで 遊離カーボン量が比較的多いSiCを原料として使用し、事前に加熱処理を 行って遊離カーボン量を減少させるとともにSiCの表面酸化状態を制御し た原料を用いて調製したスラリーについて分散・流動性を評価した。得られ た結果から遊離カーボン及び表面酸化の程度がスラリー調製にどのように 影響を及ぼすか検討した。さらに検討結果から表面酸化状態と遊離カーボン 量、助剤として添加するカーボン量を変化させることによって、緻密なSiC

(24)

焼結体を作製する条件の確立を目的とした。 第6章 近年、コロイドプロセスの中で着目されている方法としてその場成形があ る。今回、水に徐々に溶出する粉体を鋳込む直前に添加し、ゆっくりとした 電解質の溶出により、徐々にスラリー中のp臥電解質濃度を変化させ固化 するその場成形(直接凝集鋳込み)法を検討した。本研究では焼結助剤のホウ 素源としての添加と粉体からの溶出による凝集効果を期待して窒化ホウ素( h-BN)をスラリーの固化剤として添加し、濃厚化したカーボンを含んだSiC スラリーの直接凝集成形を試みた。また、成形後、焼成し、BNの焼結助剤 としての有効性についても検討した。

(25)

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(30)

第2幸美験

2.1はじめに セラミックスの製造工程は粉体を成形、焼成する工程であり、成形時にク ラックの混入や密度勾配などの不均質な状態を含むと、焼成時に変形や亀裂 を生じ、強度低下など材料特性の変動や低下を引き起こし、信頼性、再現性 のよいセラミックスの製造が困難になることから成形プロセスはセラミッ ク製造工程において最も重要なプロセスといえる1,2)。 成形は原料粉体を所定の形状と充填構造をもつ粉体集合体にする操作で あり、主に鋳込み成形法、テープ成形法、・その場成形法などの原料粉末を溶 媒中に分散させたスラリーの調製を行ない、成形体を作製するコロイドプロ セス3,4)とあらかじめ調製した粉体集合体(顆粒)を圧力により押し固める一 軸加圧成形や静水圧等方加圧成形(coldisostaticpressing,CIP)などのドラ イプロセスに分けられる。コロイドプロセスにおいて、スラリー中での粉体 の分散凝集状態がスラリーの流動性に影響を及ぼし、成形体中の密度勾配、 クラックなどの原因となり、最終製品の物性に大きく関係することが知られ ている2,5)。また、ドライプロセスで用いる顆粒についても粉体充填時の流 動性改善のため、スプレードライ法などで造粒しており、この造粒の際に用 いられるスラリー中の粉体の分散凝集状態が頼粒の形状や硬さに影響し、成 形体構造の均質性を左右することが報告されている6)。このことからいずれ の成形プロセスにおいても均質で欠陥のない成形体を得るためには原料で ある粉末の分散凝集状態の制御したスラリー調製が必要不可欠である。しか し、この分散凝集の制御は原料粉末の特性に依存するだけでなく、制御に用 いる分散剤の種類、添加量などがノウハウであり公開されないことが多く、 経験的な側面が強い。その一方で粉体の分散凝集の評価については粒子の表 面状態、粒子間相互作用の測定・解析技術が発展しつつある7)。 このような点から本章では本研究で行った実験について使用試薬及び原 料、スラリーの調製方法を説明するとともに、鋳込み成形及びその場成形方 法及び焼成方法について述べる。また、スラリー中の粉体の分散凝集状態の

(31)

評価として行われる沈降試験、ゼータ電位測定、流動点湿潤点測定、レオロ ジー測定について述べる。 2.2

実験方法

2.2.1使用原料及び試薬

原料として使用したSiCは主にAcheson法で合成されたα-SiC、シリカ 還元炭化法で合成されたβ-SiCである。これらの合成方法については1.3. 節に記述した。β-SiCは焼結温度域で安定相ではなくα-SiCに転移しやすい ためα-SiCに比べて焼結させることが困難である8)。しかし、α-SiC粉末から

得たα-SiC焼結体の微細構造は等軸的な粒子形状となるのに対して、β-SiC

粉末から得た焼結体は板状及び柱状に伸びた粒子となり、粒子のアスペクト 比が大きくなるため、曲げ強度、破壊靭性はα型よりβ型でやや大きくなり、 機械的性質はβ型がやや優れている9)。このため本研究では主にβ-SiCを使用 した。また、SiCの合成において遊離カーボンは合成する工程で残存し、製 造メーカーや同一商品におけるロットによってその量は異なる。そこで遊離 カーボン量が異なる2種類のβ-SiCを原料として使用し、遊離カーボンがス

ラリーの分散・流動性や焼成たどのように影響するか検討した。

焼結助剤には1.4.節で酸化物系焼結助剤と非酸化物系の焼結助剤があり、 それぞれの助剤について報告されている種類と焼結機構の概略を述べた。本 研究では高温時にSiCと反応し揮発することがなく、焼成雰囲気を完全に不 活性にすることで焼結させることができる点、高温での強度、クリープ変形、 耐酸化性などの高温特性で極めて優れており、現在一般的に工業的に使用さ れている点から、焼結助剤として炭化ホウ素(B4C)とカーボン(C)を使用した。 また、カーボンについては成形体中の分散状態を検討するため、粒子径が異 なる2種類を使用した。 分散剤はAldrich製水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAOH)と3種類 の高分子電解質を使用した。高分子電解質には①無水スチレンマレイン酸に 水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAOH)を加えて溶解させた水溶液 (SM)、②ポリスチレンスルホン酸(HPSS)、③β-ナフタレンスルホン酸ホル

(32)

マリン縮合物のアンモニウム塩を溶解した水溶液(DEMOL-AS)である。ス ラリーのpH調整にはTMAOHと硝酸を使用した。 2.2.2

スラリー調製

Fig.1に本研究の実験に関するフローチャートを示す。水、分散剤、カー ボン、炭化ホウ素、SiC粉体の順に所定量をSiC製ポットに入れ、さらに SiC製ボールを所定量入れて、ボールミリング混合してスラリーを調製した。 特にボールミリング中に容器や混合するために入れるボールから不純物が 混入するのを防ぐために、SiC製ボール、SiC製ポットを使用した。カーボ ン、炭化ホウ素の添加量はSiCの焼結助剤として添加することから、とも にSiC固体量(dryweightbase,dwb)に対する相対量として添加した。また、 分散剤はSiC固体量またはカーボン固体量に対する相対量としてその有効 成分量を添加した。水は蒸留した後、ミリポア製Milli-Qシステムを用いて 純水化して使用した。 2.2.3

成形及び焼成

鋳込み成形では調製したスラリーを真空脱気した後、振動板上に固定した 石膏型(5.OcmX5.OcmxO.5cmの平板あるいは7.Ocmxl・OcmxO・5cm の矩形棒)に流し込み、振動を与えながら成形した。得られた成形体は室温 にて乾燥した後、さらに120℃で24時間乾燥させた。 その場成形では窒化ホウ素(BN)が水溶液中で徐々に溶解する特性に着目 し、高濃度SiCスラリーにBNを添加することで凝集固化させる直接凝集 鋳込み成形(directcoagulationcasting,DCC)法を考案した。調製したスラ リーに所定量のBNを徐々に添加し、遊星撹拝脱泡機を用いて撹拝した後、 真空脱気し、ポリプロピレン製のディスポトレーに流し込み、温度27℃、 湿度98%に調整した恒温恒湿器中に静置した。BNはSiC固体量に対する 相対量として添加した。固化した成形体(80×50×6mm)は脱型後、室温で 乾燥した。 得られた成形体は真空中で室温から1000℃まで5℃/min・で昇温し、1000

(33)

肋古γeβe乃砂 乃ヱ℃ep血古助軸 伽由・〟Cれば∂ノβムβerアa土豪Ⅶ

Fig・1・Schematicdiagramofexperimentalprocedure. ∼1500℃を3℃/min.で昇温した。さらに常圧Ar雰囲気で1500℃∼2150℃ を5℃/min.で昇温し、2150℃で1時間保持して焼成した。1500℃まで真空 中で焼成するのはSiC原料中に存在するSiO2を助剤カーボンによって還元 する際に発生するCOガスを系外へ排気するためであり、1500℃以上でAr

(34)

雰囲気として焼成するはSiCの分解を抑制するためである10)。 2.2.4

評価方法

調製したスラリーについて分散性評価として沈降試験、ゼータ電位測定を、 流動性評価として湿潤点・流動点測定、レオロジー測定を行った。また、そ の場成形法の検討では重要となるBNを添加した後の固化凝集挙動につい て貯蔵弾性率(のによって評価した。このスラリーの分散性、流動性の評価 については次節で述べる。 作製した成形体は寸法、重量よりかさ密度を算出し、焼成体についてはア ルキメデス法で見かけ密度を算出した。この時、SiCの理論密度を3.21g/cm3 11)として相対密度で成形体及び焼成体の充填状態を評価した。また、焼成体 の微細構造は切断研磨した後、煮沸した村上試薬中に試料を所定時間浸漬し てエッチングし12)、走査型電子顕微鏡にて観察した。村上試薬はEOH: K3Fe(CN)6:H20=1:1:2(質量比)の混合比で混合した後、KOH、 E3Fe(CN)6が溶解するまで加熱して調製した。 2.3

分散性の評価

2.3.1沈降試験

スラリーの分散性を評価する方法として沈降試験が一般的に行われる13)。 これは希薄なスラリーをメスシリンダーや比色管などの容器に入れて静置 し、時間とともに沈降する粒子の沈降量を測定し、沈降する速度から分散性 を評価する方法である。沈降速度が粒子径に依存することから厳密に測定す ることで粒度分布測定法として利用することができる14)。溶媒中で分散する 粒子に作用する力は重力、浮力及び溶媒から受ける粘性抵抗(摩擦力)である。 これら粒子に作用する力以外の影響が受けにくい希薄領域で行った場合、球 状粒子の沈降速度はStokesの法則から次式(1)で示される。 〟=

2α2(β-β。)g

…‥(1) 9り ここでβ0、βは溶媒及び粒子の密度、g、〃は重力加速度と沈降速度であ

(35)

る。αは粒子の半径、りは溶媒の粘度である。この式から沈降速度は粒子半 径の2乗に比例することがわかる。粒子の分散凝集を評価する場合、単純 にこの式が当てはまる訳ではないが、定性的に一次粒子として分散している 場合は沈降速度が遅く、凝集して粒子サイズが大きくなるほど速く沈降する。 また、比色管を一定時間静置した後、スラリー中で沈降・堆積した層(沈 降体積)の体積を測定し、その沈降体積から定性的に分散凝集状態を評価す ることも可能である。Fig.2に分散及び凝集したスラリー中に沈降した沈降

体積の模式図を示す13)。分散したスラリーでは、粒子ざま一次粒子として存在

するため沈降速度が遅いうえ、沈降層は密に充填され、沈降体積は小さい。 一方凝集したスラリーでは、粒子は凝集し二次粒子を形成しているために沈 降速度が速く、沈降層には隙間が多く存在する。このため分散したスラリー に比べて沈降体積は大きくなる。この方法で比重や粒子形状、粒度分布が異 Flocculatedslurry Dispersedslurry r .--- - .--.-..[ Dense

[〓囲

Loose Sedimentation sedimentation Fig.2.Schematicillustrationofsettledpatternsfortwo typesofparticledispersion.

(36)

なる粉体のスラリーの分散凝集状態を比較することは困難であるが、同じ粉 体に対する分散剤の分散性評価や分散剤添加量に対する効果を評価する上 で有効な方法である。 本研究では沈降試験において一定時間静置した後の沈降体積を測定し、分 散剤添加量やpHによってスラリー中の粒子の分散・凝集挙動を評価した。 2.3.2

ゼータ電位測定

スラリーの分散性を評価する最も重要な因子は溶媒中の粒子の表面状態 と粒子間相互作用である2-5)。溶媒中で粒子表面は表面の解離基や吸着イオ ン、吸着した高分子電解質などにより帯電する。1.6.節及び1.7.節にて 述べたように粒子表面の帯電状態によって粒子間相互作用が決定し、粒子は 分散・凝集する。そして粒子の分散安定化に重要なのは粒子の帯電の程度(表 面電荷)を大きくし、粒子間の反発力を向上させることであると述べた。し かしながらこの表面電荷を直接測定することができないため、ゼータ電位や 電気泳動移動度が表面電荷の指標として利用される。このゼータ電位や電気 泳動移動度は溶媒中に電場を加えると、帯電した粒子が表面の帯電の程度に 応じて帯電と反対符号の電極側へ泳動する性質を利用して測定される。ここ で電気泳動移動度とはこの電場をかけた時に粒子が移動する速度であり、ゼ ータ電位と同様に粒子表面の帯電状態を推定できる指標である。 ゼータ電位測定方法は大きく電気泳動法と外力電位法の二つに分けられ る15)。電気泳動法はスラリーに電場を印加し粒子または溶媒の移動速度から ゼータ電位や泳動速度を求める方法である。一方、外力電位法はスラリーに 外力を加えることにより粒子または溶媒を移動させ、生じる電位、電流から ゼータ電位や移動速度を求める方法である。 本研究では外部電位法の一つで、近年開発された超音波振動電位法16)を用 いてゼータ電位測定を行った。この方法の利点は広範囲な粒子濃度と粒子径 のスラリーに適用できる点にある。Fig.3に測定原理の模式図を示す。スラ リーに超音波を照射すると音圧を受けて粒子は振動する。しかし、粒子と溶 媒の密度に差があるため、粒子とその周りを取り巻く電気二重層内の

(37)

Ultrasonic oscillator

6

Electrode Polarization Alternatingelectric丘eld

{′/二、、、‡プloidvibrationpotenti斗′/一一

-、、、、1

3MHz Electricdoublelayer 、--◆一一一 Particle Counterion ヽ---トーノ

Fig・3.Measuring mechanism ofcolloid vibration current by

ultrasoundvibrationpotentialmethod. イオン雲の振動にズレが生ずる。その結果、帯電した粒子と粒子を取り巻く 対イオンは分極し、コロイド振動電位(colloidvibrationpotential,CVP)と 呼ばれる電場を発生する。ここで溶液中に電極間距離を極端に狭くして電極 を設置すると電極表面の電位変化を生み、電流として検出できる。この電流 をコロイド振動電流(colloidvibrationcurrent,CVI)と呼ぶ。このCVIから ゼータ電位を算出する。

(38)

+

l書召βOd・け一

Fig・4・Zetapotentialandsurfacepotentialofsilicaparticle asafunctionofpH. 例としてFig.4に水系溶媒中のシリカ(SiO2)粒子のゼータ電位と表面電荷 状態を示す。水溶液中でSiO2は水和反応によって水酸基をもち、シラノー ル基(Si-OH)となる。低いpH領域では、Si-OHはプロトン付加によって Si-OH2+となり正に帯電する。一方pHが高くなるとSi-OHからのプロトン 引き抜きによってSi-0 となり負に帯電する。見かけ上電位が0となる点を 等電点(isoelectricpoint,iep)と呼ぶ。SiO2の等電点はpH2付近と報告され ている17)。 本研究ではFig.4に示すように溶媒のpHを変化させてゼータ電位を測定 し、溶媒中の粒子の表面電荷状態を評価した。

(39)

2.4

流動性の評価

2.4.1流動点・湿潤点

セラミックの成形に用いられる調合物は成形方法によって異なり、水分の 少ない粉体から水分の多いスラリーまで様々である。梅屋はこの粉体中の水 分量に着目し、成形に用いる調合物を固体/気体/液体分散系の充填状態で 分類している18)。押出成形などでもちいる可塑性調合物(粘土)は粒子間の空 隙に水が充填され、粒子が連続的な構造から不連続になる領域で粒子間に束 縛された水として存在する状態であり、スラリーとは粒子が連続な構造をと らず粒子間に水が連続的に存在し自由水として存在する状態であると説明 している。同様にDanielらは液体中の粒子分散状態を液体量で評価し、液 体が粉体をぬらし、ちょうど一塊になる時の液体濃度を湿潤点(Wetpoint)、 さらに粉体かきまぜながら液体を加え混合物がスパチュラから流れ落ちは じめる液体濃度を流動点(Flowpoint)と定義している19)。流動点、湿潤点測 定は液体と粉体を混合した時の分散、流動性の評価として有効であり、液体 が粒子間の空隙に充填された湿潤点から流動を開始する流動点に達するま でに添加した液体量が少ないほど粒子間に存在する自由な液体量が少なく 分散性が良好で固体濃度の高いスラリーが調製可能といえる。逆に湿潤点と 流動点の差が大きいほど流動するまでに必要な液体量が多く、分散不良であ り濃厚なスラリー調製はできない。この流動点、湿潤点測定がセラミックの スラリーの評価法の一つとして提案された20,21)。この測定により粉体に対 する分散剤の有効性の評価とスラリーの濃厚化限界に関する評価が可能と なる。Fig.5に本研究で行った流動点、湿潤点の測定方法を示す。ガラス板 上にとった一定量の粉体に分散剤を種々量添加し、へラで混練しながらビュ レットから徐々に水を滴下する。水を滴下する過程で、粉体が一塊になった ところを湿潤点、さらに水を滴下し、粉体がへラから流れ落ち始めたところ を流動点とする。 本研究では流動点、湿潤点を測定することによって、分散剤の有効性とス ラリーの濃厚化限界について定性的な評価を行った。

(40)

Dispersant

Flowpoint

露頭産

Amount of water at which

slurrybegantoflow

Initially added amount of

dispersant Fig・5・Measunngmethodofwetandflowpoints・ 2.4.2

レオロジー測定

流動点湿潤点が定性的な流動性評価であるのに対してレオロジー測定は 定量的な評価として用いられている。スラリー中で粒子間相互作用が働き、 構造を形成している系では、これに応力を加えるとその構造が変化し、流動 挙動に反映する。また、時間によっても得られる流動挙動は変化する。この ため流動挙動を評価することで粒子の分散・凝集によって形成される構造の 強さや構造が変化した後の再編成などの知見を得ることができる。一般に一

(41)

定のせん断速度(す)におけるせん断応力(て)から算出した見かけ粘度(りa。。)

からスラリーの流動性が評価される。また、周期的な応力を加え、系の弾性 率や粘性率を求める動的粘弾性測定では凝集状態の評価が可能である。Fig. 6に動的粘弾性測定におけるひずみと応力の関係を示す。周波数(f)の振動 をもつサインカーブにしたがってスラリーに応力(て0)を加える。この応力に より引き起こされたひずみ(†0)は、位相が(8)ずれたサインカーブを描く。 式(1)により複素弾性率(G☆)を求めることができる。

IG牒l=lγol/lてol

……(1) このG☆は弾性成分と粘性成分に分けることができ、弾性的な抵抗を示す貯 蔵弾性率(Gりは式(2)から、粘性的な抵抗を示す損失弾性率(Gりは式(3)か ら求めることができる。 G'=G☆sin8 G〃=G☆cos8 ……(2) ……(3) このGタが増大すればスラリーの弾性力が増大することを示し、スラリー中 で粉体が凝集し、構造を形成するために硬くなったと評価できる。 本研究では種々スラリーのレオロジー測定に応力制御型レオメーターを 使用し、せん断速度(Shearrate:†)-せん断応力(Shearstress:て)曲線(流動 曲線)を測定し、一定のせん断速度におけるせん断応力から算出した見かけ 粘度笹即を用いてスラリーの流動性を評価した。一方、高濃度スラリーを 型に鋳込んだ後、スラリー中で化学反応させ粒子間の反発力を弱めて凝集固 化するその場成形法22)では、良好な流動性を示す高濃度スラリー て0 ノ..・叫. γ三γp †0 L ●●■■●●

8

■●●-■■-■一

T=

・Sin(ot+8)

To・Sin(ot)

Fig・6・StresslnPutandstrainresponseofavisco-elasticfluid.

(42)

を一定時間経過した後で凝集固化させる必要がある。このためその場成形に おいては凝集固化挙動を評価することは必要不可欠である。そこでスラリー のせん断応力(て)を周波数(f)で周期的に変化させ、ひずみ(γ)と位相のずれ (8)を測定し、G′を算出することによってその場成形を行う際のスラリー

(43)

参考文献

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(45)
(46)

第3幸水系SiC・C・B4C混合スラリーの分散・流動性に対する分

散剤の影響

3.1 はじめに SiCは難焼結性であるため、その焼結には焼結助剤の添加が必要である。 常圧焼結でのSiC焼結体作製にはホウ素、炭化ホウ素(B4C)、カーボン(C)が 用いられる1)。より緻密な焼成体を得るには、予めこれら焼結助剤を均一に 分散させるとともに高い充填密度をもつ成形体を作製することが必要不可 欠である。 密度の高い成形体を得る有効な成形法の一つに鋳込み成形法がある。この 成形法では、高濃度で、分散及び流動性が良好なスラリーの調製が最も重要 な因子となる。原料であるSiCに加え、焼結助剤としてカーボン源に用い られるカーボンブラックやホウ素源として主にもちいられる炭化ホウ素な どすべて非酸化物粉末であることから、近年まではスラリー調製において、 主に溶媒として有機溶媒が使用されてきた。しかし、工業的に生産する場合、 価格、安全、環境負荷低減の面から分散媒として有機溶媒よりも水を使用す ることが望ましく、水系でSiCスラリーを調製することが期待されている。 一般に酸化物粉体の水系溶媒中での分散・流動性の向上にはポリアクリル 酸やポリメタクリル酸のような骨格に親水基としてカルポキシル基を有す る高分子電解質が使用される。添加された高分子電解質は粒子表面に吸着し、 粒子表面を改質することによって静電立体安定化させ、粒子の分散・流動性 が向上する。非酸化物であるSiC粉末についても高分子電解質添加による静 電立体安定化による分散・流動性の向上が報告されている。佐野らはポリカ ルポン酸アンモニウムとスチレンマレイン酸共重合体(SM)を分散剤として 添加し、SMの有効性を述べた2)。また、牧野らはSMがSiCスラリーの流動 性向上と濃厚化に大きく寄与していると報告した3)。さらにスチレン基とマ レイン酸基の比率を変化させた結果、スチレン基のマレイン酸基に対する比 が1:1よりも3:1と高い比率の共重合体がSiCの分散・流動性に効果的で あり、親水基と疎水基を併せもつ構造を有する高分子電解質の使用が有効で

参照

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