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下部直腸癌に対する超低位直腸前方切除術施行例の術後排便機能について -- 直腸肛門内圧所見と臨床スコアーからの検討 --

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Academic year: 2021

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(1)

Title

下部直腸癌に対する超低位直腸前方切除術施行例の術後排

便機能について -- 直腸肛門内圧所見と臨床スコアーからの

検討 --( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

日比, 俊也

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)乙 第1116号

Issue Date

1997-04-16

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/15157

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 日 比 俊 也(愛知県) 博 士(医学) 乙第1116 号 平成 9 年 4 月16 日 学位規則第4粂第2項該当

下部直腸癌に対する趨低位直腸前方切除術施行例の術後排便機能について

一直腸肛門内圧所見と臨床スコアーからの検討一

(主査)教授 佐 治 重 量 (副査)教授 恵 良 聖 一 教授 星

昭 輪 文 内 容 の 旨 下部直腸癌は,従来から早期癌では貫通術式か重責法が.進行癌では腹会陰式直腸切断術(Miles手術)が標 準術式であったが,近年手術成績の向上に伴い自然肛門温存に対する患者側の強い熱望と器械吻合器の導入や手 術手技の改良 さらには下部直腸での癌進展様式の特徴から,限局性の高・申分化型腺癌でt 腫瘍の占居部位が 歯状線から2cm以上離れていれば肛門括約筋温存手術が安全に施行可能となった。いわゆる超低位直腸前方切除 術であるが,本術式は癌の根治性や生命予後ではMiles手術に比べ遜色なく,下部直腸癌患者を人工肛門造設に よる肉体的・精神的負担から開放した点で優れている。また,術後排便機能に関しても早期には排便回数過多, 残便感.soilingなどの煩わしい症状が多いが,遠隔期には通常の低位前方切除術に比べ遜色がない程度に回復 すると考えられている。しかし,未だ本術式の歴史は浅く,症例数も少ないため十分な検討がなされていないの が現状である。そこで申請者らは,超低位直腸前方切除術施行例を対象に術後経時的に直腸肛門内圧検査(以下 内圧検査と略す)を行い,排便機能の回復の推移と患者愁訴を詳細に検索し,本術式の有用性を評価せんと試み た。 研究対象と研究方法 1985年から10年間の教室軌及び1991年から4年間の県立岐阜病院例,計279例の直腸痛手術症例中,吻合部が 歯状線近傍となった肛門括約筋温存例は36例,12.9%である。この内,検査時に生存中で,内圧検査に対し患者 の了解が得られた23例(男17例,女6例)を研究対象とした。なお,腫瘍の占居部位は全例が腹膜反転部以下の Rb,術式は経肛門的結腸肛門吻合術が8凧器械吻合による超低位直腸前方切除術が15例で,術前,術乱1,3, 6,12.18,24か月および25か月以上の各時点で内圧検査と面接法による術後愁訴の聴取を行い,その回復パター ンを分帆評価した。対照群は同期間に入院した早期胃癌症例などで直腸肛門に器質的な異常がなく,排便機能 が正常で,患者の了解が得られた7例である。内圧検査は.前処置後覚醒下に左側臥位で,教室で開発した岐阜 大学式open-tip式内圧測定器具を用い,受圧チューブをトランスデューサーP-601Gに接続し,卑Oml/時で持続 注入しながらRJG-4124で内圧曲線を自動記録した。術後排便機能は,三重大学第2外科の20点満点法を一部改変 し面接法によりアンケート調査した。なお,合計を臨床スコアとし,12点以下をpoor,18点以上をgoodとする3 群に分類した。また.術後24カ月以上経過した18例に対しては排便状況の推移を同様に調査t検討した。 研究結果 1.組織学的病期はstageOが2軌Ⅰ8例,Ⅱ7例」ⅡhとⅡb各3例,肉眼的分類は0型3例.1型4例,2型15例, 3型1軌リンパ節郭清度はDlが3例,D2が6例,D3が14軌手術根治度は全例curA.術後に軽度の縫合不全を3 例にみた。 2.内圧検査で静止最大肛門圧と肛門菅最大随意収縮圧は,術後1カ月目に有意に低下後18カ月日頃までに漸増 傾向を示した。肛門管律動波は,術後1カ月目に有意に低下後漸次回復したが18カ月目でも対照群に比べ有意に 低値で.遠隔期も低値のままであった。便貯留能(便意発現急 便意最大耐容量および直腸compliance)では 術後1カ月目に有意に低下後18カ月目頃まで漸次回復傾向を示したが,以降横道い状態で対照群より低値のまま であった。

(3)

-97-3.直腸肛門反射は術後1,3カ月目には全例陰性で,6カ月日頃より回復傾向を示し,25カ月以降には80%が回 復した。また,反射陽性例の静止最大肛門圧と旺門管律動波および便貯留能は,陰性例に比べ何れも有意の高値 を示した。 4.臨床スコアーは,術前値(17.6)に比べ,術後1カ月目は9.1と有意に低下後漸増し,18カ月目には16.1と術 前値に回復した。各時期別では,早期群はpoorが93・3%,fairが6.7%,gOOdが0%であったが,遠隔期にはpoor が11.8%,fairが47.0%,gOOdが41.2%と明らかな回復傾向が観察された。 5.臨床所見と内圧検査所見との関連で,臨床スコアーpOOr群の最大静止肛門圧は対照群およびfair群に比べ, 最大随意収縮圧は対照群に比べ,POOr群,fair群およびgood群の便意発現皇と直腸complianceは対照群に比べ 共に有意の低値を示した。またt 肛門管最大随意収縮圧と便貯留能は排便回数の減少に伴い有意に高値で.残便 感持続例の肛門静止圧は消失例に比べ有意に低値で,肛門管律動波と便意耐容量は残便感消失例で有意の低値を 示した。放屁識別不能群の肛門管長,静止最大肛門圧および便貯留能は識別良好群に比べ有意の低値を示し,常 にsoilingを認める群の肛門静止圧と肛門管律動披は努責・下痢時にsoilingを認める群に比べ有意に低値で.努 責時・下痢時にsoilingを認める群の便貯留能はsoilingを全く認めない群に比べ有意に低値であった。 6.排便回数は術後1カ月目で10.9行,6カ月目で6.0行,12カ月目で,4.8行t18カ月目で3.1行,24カ月日で2.9 行と漸次減少し.排便回数定着までの期間は平均17.1カ月,24カ月では93%が日に5行以下に減少した。また, 術後24カ月以降には全例便意発現を認めたが,発現までの期間は最短が術後4日目,最長が9カ月目,平均1.4カ 月目t soilingの消失は術後10日から18カ月,平均9.7カ月,下痢便の失禁は平均7.7カ月で消失,便失禁は24カ月 目には全例消失した。 7.手術満足度で,不満は術後1カ月目で全例,12カ月目で62.5%.24カ月目で33.3%と漸減した。 以上の結果,下部直腸癌に対する肛門括約筋温存術,超低位直腸前方切除術は.術後18カ月以降の遠隔期には 通常の低位前方切除術に比べ遜色のない排便機能が回復し,安全かつ有用な術式であると推察された。 考察と結語 下部直腸癌に対する超低位直腸前方切除後の再建術式である結腸肛門吻合は.吻合部口側結腸が直腸膨大部に 相当し,同部での便貯留能改善のためには結腸牌靭帯を十分剥離して吻合部近傍にたるみを付ける工夫や口側結 腸の辺縁動脈神経を温存する方法などが考慮されるべきである。また,排便機能は静止最大肛門凪 肛門管律動 波.便意発現急 便意最大耐容量,直腸complianceの5項目に関与するので,これらの機能を障害しない術中操 作が直腸肛門反射の回復,術後排便機能の改善に関与する可能性が示唆された。一方.放屁の識別やsoilingに 関しては生理的な肛門機能の温存が重要で,術中からの肛門管に対する愛護的な扱いや骨盤内臓神経の温存など が重要で,結腸肛門吻合部の縫合不全や骨盤底近傍の膿瘍形成などの合併症は,術後排便機能に重大な障害を及 ぼすので,術中操作を含めた注意が肝要である。なお,下部直腸癌に対する肛門括約筋温存手術は,術後18カ月 以上を経過すればはぼ満足すべき排便機能が回復するので,患者への術前informed consentに当たっては,こ の点を十分に説明し了解を得ておくことが肝要である。

論文審査の結果の要旨

申請者日比俊也はt 下部直腸癌に対する肛門括約筋温存手術である超低位直腸前方切除術施行例での術後排便 機能を,直腸肛門内圧検査と面接法によるアンケート調査で術後愁訴の推移を詳細に観察し,18カ月以降にはほ ぼ満足できる排便機能が回復することを明らかにした。これらの研究結果は.下部直腸癌患者の術後排便機能に 関する肉体的・精神的負担を軽減でき,癌患者のQOL改善に稗益するところが大さいと推察され,腫瘍外科学 の向上に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌] 下部直腸癌に対する超低位直腸前方切除術施行例の術後排便機能について -直腸肛門内圧所見と臨床スコアーからの検討一 岐阜大学医紀45:147∼159,1997

参照

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