76 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(25) モチ ヅキ‘ タカ ヒロ望月隆弘(昭和3
医学博士 乙第1189号 平成3年5,月17日学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
慢性腎不全における代謝性アシドーシスのアミノ酸,ケト酸代謝へ及ぼす影響 (主査)教授 杉野 信博 (副査)教授 太田 和夫,橋本 葉子論 文 内 容 の 要 旨
目的 慢性腎不全(CRF)に合併する代謝性アシドーシス (MA)はCRFでの蛋白異化作用を促進することが報 告されている.本研究では,、CRFでのMAがアミノ 酸,ケト酸動態や蛋白代謝に及ぼす影響を,高窒素血 症を伴わない尿細管性アシドーシス(RTA)と比較す ることにより検討した. 対象および方法対象は14例の保存期CRF患者および5例の遠位型
RTA患者で,入院時に検査を施行した. 年齢はそれぞれ42.8±2.9歳(男9,女5例)および 37.8±3,4歳(女5例),24時間クレアチニンクリアラ ンスは12.3±1.7m1/minおよび63.6±6.5ml/minで あった.摂取エネルギー,蛋白量はCRF患者で35~40 kca1/kgBW,0.6~0.8g/kgBW, RTA患者で35kca1/ kgBW,1.2~1.4g/kgBWであった.代謝性アシドーシス状態(MA(+)),および10日間のNaHCO3
(2.0~3.Og/日)投与により代謝性アシドーシスを補 正した状態(MA(一))とで対比検討した. MA(+), MA(一)の条件下で窒素・ミランス,血 漿アミノ酸,ケト酸,インスリン,グルカゴンを測定 した.また経口的にケト酸Ca塩(α一ketoisocaproic acid,α一ketoisovaleic acid各0.1g/kgBW)を投与後, 経時的にその血中濃度を測定し,代謝状態の動向を観 察した. 結果 1)MA補正により窒素・ミランスが改善’した. 2)MA(+)では血漿分枝鎖アミノ酸(BCAA),ケ ト酸(BCKA)およびグルタミン,アラニン濃度が低 下し,MA補正により改善した. 3)MAによりインスリン,グルカゴン濃度は影響 を受けなかった. ・ 4)MA(+)ではMA(一)に比較してケト酸投与後のBCKAおよびBCAA濃度の上昇は低く抑えら
れた, 考察 CRF, RTA患者とも’にMAの補正により異化が改 善され,MA自体に異化充進作用のあることが示唆さ れた.またMA(+)ではBCKA, BCAA濃度が低値 を示し,これらが有する蛋白分解抑制,合成充進作用 が抑制されていると思われる.またケト酸負荷の結果, MA(十)では血漿BCKA, BCAA濃度の上昇は抑制 され,BCKA分解の充進が示唆された. 結論 MAはそれ自体蛋白異化作用を有し,特にMAを伴うCRF患者においては容易に蛋白異化が助長され
る.MA補正により異化改善が得られるが,高度腎機 能障害例では無効のため,早期からのMA補正が必要 のように思われた. 一680一77