75 結果:28症例中7例(25%)に。−erb B・2の増幅が認 められた.この7症例は病期,リンパ節の転移の程度, 脈管侵襲などで進行した症例が多く,estrogen rece・ ptorも陰性例が多かった.増幅症例中1例に局所リン パ節,皮膚再発が見られた.今後も癌遺伝子が癌の悪 性度の指標となりうるか検討したい.
24.胃癌肝転移にUFT療法が著効を示した1例
島貫 洋子 今回我々は,UFT内服投与が,著効を示した胃癌肝 転移症例を経験したので報告する.症例:67歳女性. 平成2年6月,胃体中部後壁Borrman 2型の進行胃 癌と診断され,胃亜全摘術を施行.組織学的進行度は, p。h。sln、(+)でStage II, MMC 20mg投与後退院し た.外来通院中の同年10月,CEA値上昇(4.8ng/ml). CT・US等の画像診断にて,肝S8領域に径2.2×2.Ocm の転移巣を1つ認めた.同日よりUFT内服投与を開 始した.平成3年1月,肝転移巣に対する精査加療目 的に入院,各種画像診断を施行したが,いずれの検査にても転移巣は認められずCEA値も正常化してい
た. 25.稀な転移形式で再発した上行結腸癌の1例 須賀 弘泰 今回我々は,上行結腸癌治癒切除後に腹壁皮下に1 ヵ所とDouglas窩に限局した再発を経験し,これを治 癒切除し得たので報告する. 症例は55歳女性,1989年7月28日,上行結腸癌の診 断で右半結腸切除術(R3)を施行, ss, ly2, v。, aw(一), ow(一), ew(一), n3(+), h。, Po, stage IVであった.1年4ヵ月後,下腹部鈍痛が出現.膀左に腹壁腫 瘍を触知,注腸で直腸の圧排所見を認めた.画像診断 ではDouglas窩に腫瘍所見を認め,腹膜播種性転移が 疑われたため,腹腔鏡を施行したところ,Douglas窩 以外に播種性転移はなかった.この結果より手術に踏 み切り低位前方切除兼子宮卵巣合併切除で切除し得 た.なお同時に摘出した腹壁腫瘍が転移と診断された. この再発機序に関しては種々の見方があるが結腸癌に おいて皮下およびDouglas窩に限局する転移形式は 極めて稀であるので,若干の文献的考察を加え報告す る. 26.乳腺tubular carcinomaの1例 大重 賢治 乳腺管状癌は非常に分化した病理形態を示し,リン パ節転移も少なく予後が良好である.乳癌取扱い規約 では,特殊型浸潤癌として分類されているが,本邦で の報告例は稀であり,全乳癌の0.3∼1%である.今回 我々は,pure typeに近い管状癌を経験したので報告 する. 患者:68歳,女性.右C領域,12mm×13mmの弾性 硬な腫瘤.腋窩リンパ節は触知せず.マンモグラフィー 所見:スピキュラを伴い,内部に石灰化のある腫瘍像. US所見:辺縁不整で内部エコー不均一な腫瘤. Stage I(Tla N。M。)乳癌に対しAnchincloss法を施行した. リンパ節転移はn。で,術後3ヵ月の経過は順調であ る.病理組織学的には一部papillotubular Iesionを認 めるmixed typeの管状癌であった.以上乳腺管状癌 の1例について多少の文献的考察を加え報告する. 27.小児外傷性膵仮性嚢胞の1治験例 八木 美徳 今回我々は小児の長径約7cmの外傷性膵仮性嚢胞 に対し保存的にエコー下にて経皮的ドレナージを行い 治癒に至ったので,若干の文献的考察を加えて報告す る. 症例は,6歳女児.幼稚園のブランコにて腹部を打 僕,垂訓吐,腹痛を訴え近医にて様子をみるも症状治ま らず,受傷後9日目に当科緊急入院となる.腹部はブ ルンベルグ徴候,筋性防御あり。エコーでは膵体尾部 を中心に嚢胞性腫瘤を認めたが明らかな主膵管の断裂 像はなし。CTにて体尾部に長径7cm大の低吸収域を 認めた.血中尿中アミラーゼ共に高値を示した.受傷 後14日目エコー下にて嚢胞ドレナージ施行.嚢胞は縮 小し,血中尿中アミラーゼも正常化したため受傷後49 日目に退院となる. 近年小児の外傷性膵仮性嚢胞に対しては,合併症が なければ保存的にエコー下の経皮的ドレナージが有効 であるとの報告が多い. 28.穿孔をきたし微細回腸癌の1例 榊田 聖子 小腸の悪性腫瘍は希な疾患であるが,最近我々は, 微細な回腸癌の穿孔により限局性腹膜炎を呈した症例 を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 症例:79歳男性,右下腹部痛を主訴に来院.腹部所 見は板状硬,右下腹部に筋性防御を認め,限局性腹膜 炎,急性虫垂炎の診断にて緊急手術を施行した.開腹 所見では,回盲部より約20cm口回回腸に約1cmの微 細な潰瘍形成を認め同部が穿孔をきたしていた.病理 学的に潰瘍底に腺癌が存在することが確認された. 考察:小腸腫瘍の初発症状は腹痛,目区吐,腫瘤触知, イレウス,貧血,腹部膨満感等の不定愁訴である場合 一525一
76 が多いが,本症例のように穿孔性腹膜炎を呈すること は希である.本疾患は,原因不明の小腸穿孔症例の鑑 別診断の際に念頭におくべき疾患の一つであると思わ れた. 29.膵外傷による膵仮性嚢胞2例の治療経験 (牛久愛和総合病院外科) 村瀬 茂・西浦 輝浩・釘宮 睦博・ 木戸 訓一・倉光 秀麿 近年,交通事故の増加により,膵外傷,またその後 の膵仮性嚢胞を経験する機会が増加してきたが,それ らの治療は現在なおcontroversia1である.今回我々 は2例の膵外傷を治療する経験があったので,文献的 考察とともに報告する. 症例1:52歳男性.乗用車運転中のハンドル外傷で 当院入院となった.膵損傷であったが種々の検査所見 より保存的に治療する方針とした.数日後より膵仮性 嚢胞が出現,嚢胞壁の強固となるのを待って手術予定 であった.予定日の2日前,ERP検査の翌日,嚢胞が 腹腔内に破裂,腹膜炎・ショック状態であったが緊急 手術で事無ぎを得た. 症例2:47歳男性.ハンドル外傷で十二指腸破裂を 伴った膵損傷.膵損傷に対しては保存的治療を選択し, 後に嚢胞を形成した.嚢胞は手術的治療が必要と思わ れたが,自然消失,再形成を繰り返し,結局消失した. これらを文献的考察を加えて報告する. 30.簡便な腸管一層吻合法 (朝霞台中央総合病院外科)村田 順 腸管吻合法は消化器手術における再建部分の主要な 技術であり,この成否が術後管理に大きな影響をおよ ぼす.腸管吻合法の種類,手順はいくつかあるが,一 番大事なことは『創傷治癒の法則に則った,その術者 にとって手慣れて確実な方法を行うこと』である.し たがって,習練期間中は一つの方法(例えば医局の標 準術式)に習熟することが大切であり,また技術が成 功する裏付けを考えることが重要である.しかるのち に必要とあれば,その変化を術者なりに試みれば良い. 私は創傷治癒についての幾つかの理由により,一層 吻合法を多用している.また,その技術の簡便化に幾 つかの工夫を行っている.今回は医局の若い先生にそ の方法,考え方について発表したい.しかし,この方 法は私の理由により展開してきたもので,若い先生方 に薦めるものではなく,若い先生方は医局の標準術式 に習熟すべきものであることを蛇足ながら末尾に記し ます. 31.受傷後3週間後にイレウスを呈したシートベル ト外傷の1例 (中野江古田病院外科) 斉藤 道顕・神崎 博・石井 裕子 シートベルトの着用により重篤な外傷は減少した が,逆にシートベルトによる外傷の報告も増加してい る.これらの外傷の大部分は受傷直後に緊急処置を要 するものが多い.今回受傷後3週間後にイレウス症状 を呈した症例を経験したので若干の考察を加えて報告 する. 症例は22歳男性,他医より経過観察を目的に受傷翌 日本院に転医となった.転医後もイレウス状態が持続 したが,徐々に軽快し,経口摂取可能となった.しか し3週間後に再度イレウスとなり,受傷後36日目に手 術を施行した.回腸末端より15cmと80cmの口側小腸 が強固に癒着し,2ヵ月で腸切除を施行,端々吻合に て再建した.組織学的には腸管全層の断裂を認めた. 術後31日目に軽快退院した. 32.第二外科内視鏡部門の現況 (東京女子医大第二外科) 西 純一・佐々木宏晃・朝比奈 完 第2外科では,平成2年の1年間に上部消化管内視 鏡検査1,200例,下部内視鏡検査485例を施行した.こ の内容について検討した.現在の第二外科の設備,使 用機材,等について述べ,将来像についても触れた. 次に大腸のポリープ例について,検討した.大腸の何 れかの部位に1つ以上のポリープを152例に認めた.こ の内63例にポリペクトミーを施行した.これにより, 得られた検体の病理組織検査の結果は,adenocar− cinoma 2例, carcinoma in adenoma 8例, tubular− adenoma 82例, hyperplastic polyp 39例,その他21例 であった.これらの比率はこれまでに報告されている 結果にほぼ一致している,これら悪性像を持ったポ リープ例の治療方針,経過観察スケジュールの確立の ための症例のデータベース化等にも触れた. 33.本院での6年間の大腸検診の変遷と結果 (中央林間病院外科)竹内 晴彦・木山 保・ 牧 適・東郷 實元 昭和60年より平成2年までの当院における大腸検診 の結果を分析し,並びにその間に経験した興味ある小 病変例を2例呈示する.当院開院後5年間は,内視鏡 に先立ち注腸検査を行い,有所旧例についてのみ内視 鏡を行っていた.昭和60年以降オリンパス製電子ス コープCFV・101型を導入以来,1日のうちに先ず全 一526一