54 (11) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ワ ダ チ ヅ和田千鶴(昭和3
博士(医学) 甲第242号平成6年2月18日
学位規則第4条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程修了者)
培養血管内皮細胞存在下でのcyclooxygenase阻害薬とthromboxane A、合
成酵素阻害薬の血小板凝集能に及ぼす影響 (主査)教授 丸山 勝一 (副査)教授 高倉 公朋,溝口 秀昭論 文 内 容 の 要 旨
目的 膀帯静脈培養血管内皮細胞(HUVEC)の存在下で血小板凝集能を測定する系を用い,cyclooxygenase
(COX)阻害薬アスピリンとd一インドブフェン,および throlnboxane A2(TXA2)合成酵素阻害薬オザグレル の血小板凝集に及ぼす影響を検討した. 対象および方法 健康成人から作製した多血小板血漿(PRP)をキュ ベットに注入し,37℃1,100回転で3分間インキュ ベート後,ADP刺激による血小板凝集能を測定した. 一方,HUVECは,ファイブロネクチンでコーティン グしたキュベットに播種後,斜めにして培養し細胞が 壁面に付着するようにした.PRPのみ, HUVECのみ,または,PRPとHUVECの両者をそれぞれ10-7から
10 4Mのアスピリン,d一インドブフェン,オザグレル単 独,または,アスピリンとオザグレルの併用により37℃ 30分前処理したのち血小板凝集能を測定した. 結果 1.PRPのみをアスピリン, d一インドブフェンで前 処理すると,ADPによる血小板凝集は両薬剤の用量依 存性に抑制された. 2.HUVECのみをアスピリン,d一インドブフェンで 前処理すると,HUVECによる血小板凝集抑制効果は 両薬剤の用量依存性に減弱した.3.HUVECとその存在下でのPRPを前処理する
場合,10-6M濃度のアスピリンで前処理した場合にの み血小板凝集能が有意に抑制され,d一インドブフェン では,どの濃度においても抑制されなかった. 4.オザグレルのみでは上記のいずれの実験系にお いても有意な変化を認めなかったが,アスピリンとオ ザグレルの両者でPRPのみを前処理した場合は, 各々の単独の前処理に比べ抑制効果の有意な増強がみ られた. 考察 COX阻害薬による,いわゆるアスピリンジレンマを 検討し,COX阻害は血小板と内皮の両者で用量依存性におこりうることを確認した.PRPとHUVECの両
者を前処理した場合は10 6Mのアスピリンで有意な 凝集抑制を認めたが,これは,低濃度のアスピリンでは内皮のCOX阻害によるPGI2産生を抑制する程度
が少ないため,血小板のCOX阻害によるTXA2産生
抑制と内皮から産生されるPGI、の協同的な抑制効果 によるものと考えられた.しかし,d一インドブフェンで 前処理した場合は10-7Mでむしろ凝集を促進した.こ れは,この濃度では血小板凝集抑制が充分でなく,か つ,HUVECによる凝集抑制を減弱してしまうためと 考えられた. 結論HUVEC存在下での血小板凝集能の測定は従来の
方法よりも生体内の条件をより反映すると考えられ, 抗血小板薬の評価に有用と考えられた. 一660一55