情報セキュリティと情報モラル
∼安心・便利なネットワークとは∼
滋賀大学経済学部 中川雅央 1. はじめに 滋賀大学では、情報セキュリティに関して積極 的な取り組みを実施している。ファイアウォール 等のセキュリティシステムを導入するだけでなく、 学内にある全てのパソコンにウイルス駆除プログ ラムを導入する指導や、講習会の開催やメール・ 掲示等にて啓発活動を続けている。 情報セキュリティは防御システム等を導入する だけでは意味がなく、その情報を取り扱うユーザ の意識改善に拠るところが大きいと言われている。 極論を言えば、全てのユーザが正しい知識と他 人に迷惑を掛けないというモラルを持っていれば、 セキュリティは万全に確保されるということにな る。 また、インターネットに代表される情報ネットワ ークでは、利用するのは人であり、データを作成 するもの人である。つまり、ネットワークは人のた めに人によって作られたものであるため、人の道 (モラル)に反する行為は、すなわちネットワーク 社会に対する反乱だと言える。 したがって、セキュリティはユーザ=人が重要 な要素であり、その改善がなければ、セキュリテ ィは無意味となる。利用者の各個人のモラルによ ってネット社会は成り立つのである。 2. エンドユーザによるセキュリティの確保 滋賀大学彦根キャンパスでは、学内にある全 てのパソコンにウイルス駆除プログラムを導入す るよう指導している。基幹ネットワークにセキュリ ティサーバを導入しただけでは不十分であること は容易に理解できるだろう。すなわち、セキュリテ ィサーバを経由しないデータは当然チェックされ ることなく各個のパソコンに直接届くため、最終 地点である各個のパソコンにセキュリティシステ ムを導入することが必須条件となる。 昨今はパソコン用のセキュリティシステムの高 機能化によって、アップデートなどの適切な処置 をしているパソコンであれば、十分な情報セキュ リティ環境を維持できるようになった。ただし、あく までも適切な処置をしているパソコンに当てはま る話であり、そのシステムをインストールしただけ で、継続的にアップデートを していないパソコン は保証できない。繰り返しになるが、エンドユー ザ自身が使用しているパソコンのセキュリティ環 境を維持しなければ、セキュリティの保証はでき ない。 3. PCセキュリティの基本 各個人がすべきセキュリティ対策をまとめ ると次の4点になる。 (1)OSのアップデート(修正パッチの適用) PCの動作において基本となるソフトウェ アがOS(オペレーティングシステム)であ る。例えば Linux、MacOS、Windows などはO Sの種類を示す名称である。各アプリケーシ ョンソフトウェアはこのOSというシステム 上で動作するものであり、そこにバグ(プロ グラム上の欠陥)がある場合には、当然各ア プリケーションソフトウェアの動作に影響を 及ぼす。OSもソフトウェアの一種である以 上はバグ(プログラム上の欠陥)を含むため, 特に情報セキュリティ上重大な欠陥である 場合は早急にアップデート(修正パッチの適 用)する必要がある。 OSのバグを解消しなければ,いくらウイ ルス対策ソフトを駆使しても,その基盤とな るOSに不具合があるままでは,その機能は 制限される。したがって,OSのアップデー トがセキュリティを守る第一の対策と言える。 (2)セキュリティシステムのアップデート(修 正パッチの適用) OSのアップデート(修正パッチの適用) がされているということを前提として、ウイ ルス対策ソフトや各種防御用ソフトなどの セキュリティシステムを継続的にアップデー トすることも重要である。これらのシステム は、近年高度化する不正アクセスに対応すべ く各メーカーが制作したもので、一般ユーザ の知識だけでは防ぎきれないウイルスや不正 アクセスを防御する役割をもつ。 継続的にアップデートして最新の状態を保 たなければ新たな攻撃に対処できないため、 セキュリティシステムはOSのアップデート よりも頻繁にする必要がある。新種ウイルス は1日1種以上のペースで発生しており、で きれば毎日アップデートするのがよいが、最 19低でも週一回はすべきである。 (3)その他のソフトウェアのアップデート(修 正パッチの適用) OSとセキュリティシステムのアップデー トをしたのち、パソコンにインストールされ ている各種のソフトウェアをアップデートす る。 ユーザが意識的に使用しないソフトウェア であっても、他のソフトウェアとの関連性が 高いもの(例えば Microsoft 社の Office 関連 ソフト等)はアップデートする必要がある。 (4)ユーザ自身で情報セキュリティを守る意 識をもつ 最後に重要なのが、ユーザ自身の意識である。 情報ネットワークのしくみを知り、自分が利用して いる情報がどのように処理されるのか,あるいは どんな情報が悪影響を及ぼすのかといった知識 を習得するとともに,他のユーザに迷惑とならな いよう,常に自分が利用するコンピュータやネット ワークの環境を 把握しておくことが大事である。 4. おわりに 人間である以上,ミスする可能性は否定できな いため,各ユーザはアップデートなど,できるだ けの処置をしなければ場合によっては大きなリス クを被る可能性もある。 各個人がセキュリティの意識をもつことの重要 性を述べたが,たった1人の油断が,多くのユー ザに多大な被害をもたらすこともある。情報ネット ワークという社会の中で気持ちよく過ごすために は,やはり,私たち自身の行動にかかっているの である。 さらなる高度情報化社会に前進するために, ぜひとも情報セキュリティについて,もう一度,視 点を変えて考えていただきたい。 20