2
びわこ地域の伝統産業は、平成の時代になって沈滞気味である。びわこ地域には日本有数の地域ブランドが存在
するが十分に活かしきれていない。地域中小企業の第二創業を支援することを目的に、文理融合型の産学官連携で
「大学の知」、「地域の知」を集結させ、これらの伝統ある地域資源の再活用で「平成の地域ブランドを創出」し、「地域
を活性化させよう!」というプロジェクトを社会科学系大学(滋賀大学)が中心として呼びかけ、「失われた地域伝統技
術の復活」による事業再構築の第一歩を踏み出しはじめた。
1. はじめに
びわ湖地域ではこれまで歴史に残る多くの近江商人を生み
出し活性化していたが、近年は地域産業の低迷により沈滞気
味である。平成 10 年代になって、びわこ地域の 8 つの伝統産
業は、そのうち 7 つの業種が衰退の傾向にあり、特に「ちりめ
ん」、「綿織物」、「麻織物」の繊維産業はその傾向が顕著とな
ってきている。
そこで平成 15 年から滋賀大学産業共同研究センターが中心
となって取り組んでいる、地域の社会科学系大学(滋賀大学)
と自然科学系大学(滋賀県立大学)が文理融合の「学・学連
携」での「地域活性化を目的に地域中小企業の第二創業のた
めの MOT」を展開させ、そのケーススタディとして地域伝統産
業である「綿織物」をテーマに取り上げることになり、新たに「地域資源の再活用による平成の地域ブランドの創出
(事業構築)プロジェクト」を文理融合型産学官連携で組織しキックオフした。
滋賀大学 産業共同研究センター
特任教授 宇佐美 照夫
滋賀県の地場産業
綿織物産地(高島)品種別生産額の推移
3
2. 活動の現状
プロジェクトのメンバーは滋賀大学(産業共同研究センター)、滋賀県立大学、地域伝統産業の企業経営者、滋賀
工業技術センター、滋賀県庁、滋賀県産業支援プラザ、地域金融機関で構成している。
また、プロジェクトの核となる基本コンセプトの構築への議論は、中心となる大学の文理各分野の研究者、地域伝
統産業の企業経営者およびコーディネーターの合計 4 名のメンバーでワーキンググループを組織し、現在議論を深
めている。活動に必要な外部資金獲得法などに関しては、関連官庁に事業計画の説明と指導を受ける場を設定し、
積極的に情報等収集活動も行った。
これらの 19 年度の活動の結果、「失われた地域伝統技術の復活」に向けて、①「素材と技術のコラボレーション」
②「作り手と消費者のコラボレーション」という課題を設定し、「平成の地域ブランド創出」を目指した活動を行ってい
る。
3. これからの活動
文理融合型プロジェクトの構成による異分野・多業種のメンバーで、新鮮で斬新なアイディアを生み出していく。す
なわち「平成の地域ブランド創出」、「失われた地域伝統技術の復活のための新しい事業・商品コンセプトの構築」と
いう目的と手法を明確にして、地域伝統事業再構築の第一歩を踏み出せるように活動を行っていく。
4. おわりに
製品企画・事業化のフェーズで、社会科学系の「知」が不可欠である。自然科学の「知」のみでは事業化すべてに
対応できない。事業化成功には社会科学系の「知」との融合が、業界の幅広いニーズ対応には必要である。地域の
中小企業経営者が「技術開発した製品ができても事業の見通しがたたない」ということにならないために、「地域中小
企業の活性化・第二創業」には、大学の社会科学系分野と自然科学系分野の両分野の「知」の連携・ネットワークが
必要である。すなわち「失われた地域伝統技術の復活」による「平成の地域ブランド創出」での地域の活性化には、
文理融合型の産学官連携が必要である。
本プロジェクトを成し遂げ、文理融合「地域の知」結集の産学官金連携モデルとなることを期待していきたい。