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子ども一人ひとりが考え,意見をもつことのできる授業の手立て

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Academic year: 2021

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子ども一人ひとりが考え,意見をもつことのできる授業の手立て

高度学校教育実践専攻 教 員 養 成 特 別 コ ー ス 細 略 亜 矢 1 課題設定の理由 筆者は,子どもたちが意見を交流することで, 学びを深めていくことのできる授業を目指し, 実践を進めた。具体的には,子ども一人ひとり が課題について考え,意見を周りの子どもと意 見を比べたり交わしたりする授業の在り方につ いて研究した。 筆者がそう考えるきっかけになったのが,大 学院 1年次の実習でさせていただいた.

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大造じ いさんとガンJ(光村図書5 銀 河 全9時間) の授業実践である。 授業実践の計画は, l時間目.教材との出逢い 2 時間目 ~6 時間目・各場面の内容理解 7 時間目 ~8 時間目.朗読練習 9時間目 朗読発表会 であり 2 時間目 ~6 時間目に行った内容理解 において,各場面での大造じいさんの気持ちに 焦点を当て,それらを読み取っていくことで, 大造じいさんの気持ちの変化を考えることをね らいとする授業を行った。その中で子どもたち がこのねらいを達成するために,文中にある「大 造じいさんの気持ちが分かる所

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に線を引かせ, その時の「大造じいさんの気持ちJを考える活 動を行った。 最初の 2時間は,ほとんどの子どもが「大造 じいさんの気持ちが分かる所」に線を引くこと ができていた。加えて「大造じいさんの気持ち

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を一つでも考えることができていた子どもが, 実 習 責 任 教 員 葛 上 秀 文 実 習 指 導 教 員 江 川 克 弘 専 任 教 員 端 村 達 也 半数以上見られた。しかし,単元後半になると, 次第に教科書に線を号│かない,気持ちを考えよ うとしない子どもが増えてくるようになった。 その原因として,学習課題に対して考える 意味を,子どもが明確にもつことができてい なかったと分析した。この学習では最終的に 朗読を行う計画であり,主人公の気持ちを深 く理解させることで,朗読に対する関心を高 めることがねらいであった。しかし,その説 明が不十分であり,内容理解の学習で大造じ いさんの気持ちを考え,その考えを表現する 揚が最後の朗読発表会であることを子どもに 十分に理解させることができなかった。その ため,子どもが大造じいさんの気持ちを考え る活動の意味を十分理解できず,次第に課題 に対して考えなくなったのではないかと考え る。また,最後に行う朗読発表会がどのよう なものなのかの説明も不十分であり,子ども に朗読発表会のイメージをもたせることがで きなかった。学習の見通しがもてないために, 子どもたちの学習意欲が下がり,考えなくな ってしまったと筆者は考えた。 このことから,子どもが自分の考えをもつよ うになるには,子どもが学習のめあてを十分理 解し,学習意欲が湧くような工夫をする必要が あると実感した。子ども一人ひとりが「考えた い」と思、えるような手立てを含んだ授業をした いと考え,本主題を設定した。

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2 研究の目的と方法 (1)研究の目的 本研究では,子ども一人ひとりが考えをも つことができる授業を実践するために,子ど もの学習意欲が湧き,それを深めていく手立 てについて考えることを目的とする。 ( 2 )方法 上記の目標を達成するために,以下の4つ の観点を重視して授業を行い,実践考察を行 ワ。 ① 授業を通して子どもに学ばせたい内容 (価値)は何なのか,ねらいを明確にし, 子どもがねらいに迫れるような活動や手立 てを考え,授業を組み立てる。 ② 授業のねらいに沿った資料を使い,子ど もに学習意欲をもたせたり,学習を効果的 に進めたりすることができるようにする。 [ねらいに沿った資料の工夫

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③ 子どもの意見に問い返しを行うことで, よりねらいに迫った発言を引き出すことが できるようにする。 [授業のねらいに沿った問い返し] ④ ワークシートを用い,授業の終わりに今 回の学習のまとめをする時間を設ける。 [授業のねらいに沿った振り返り] 3. 授業実践の分析と考察 2年次の実習で行った実践を対象とし,分析 と考察を行った。 (1) 6年生国語科「学級討論会をしよう」 (20 1 3年6月 2 5日) 「学級討論会をしよう」の 1時間目,導入 の授業である。この授業でのねらいは,

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討論 会の流れと討論会での話し方・聞き方につい て理解することができる。」である。実際に討 論会の映像を見せ,討論会の進め方と役割に ついて確認し,その後もう一度映像を見せ, 討論会の話し方・聞き方について気づいたこ とをまとめさせるようにした。子どもの発表 から話し方・聞き方のポイントをまとめ,本 時のまとめを行った。 < 手 立 て > 4つの視点に沿って,本授業では以下の4 つの手立てを考えた。 ①ねらいを「討論会の流れと討論会での話し 方・聞き方について理解する。」に設定し, 子どもがねらいに迫れるような活動や手立 てを考える。また,細案を作成することで 子どもの気づきを予想し,その気づきから 討論会での話し方・聞き方のポイントを引 き出せるような問い返しを考える。 ②討論会の映像を用意し,学習意欲をもたせ る。また討論会での話し方・聞き方の特徴 について気づくことができるようにする。 ③授業のねらいである「話し方・聞き方につ いて理解する

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に沿うように,映像資料か らの気づきに対して問い返しを行う。 ④ワークシートを用いて,子どもたちが授業 のねらいについてどのようなことを学んだ のか,まとめることができるようにする。 < 成 果 > ①授業のねらいを明確にし,子どもが最終的 に行う活動をイメージし,

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やってみたい」 と思えるようにすることで,子どもがねら いを達成するための活動や手立てを考えら れた。また,細案を作成し子どもの意見を 予想することで,取り上げたい意見と問い

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返しを考えることができ,子どもがよりね らいに迫っていくことができた。 ②映像など,ねらいに沿った資料を見せるこ とで,子どもが学習や活動のイメージを掴 むことができ,学習意欲をもたせることが できた。また,映像を用いたことで. C D では分からない動作面での気づきを含め, 討論会を進めていく上で必要なポイントを 子どもたちに見つけさせることができた。 ③発問に対する子どもの発言を予想し,問い 返しを考えておくことで,子どもからねら いに迫った発言を引き出すことができた。 く 課 題 > ②子どもが話し方・聞き方の気づきを発表し た時に,もう一度その場面の映像を流して 共通理解を図る必要があった。全員が発表 された話し方に気づいていたわけではなか ったため,その部分の映像を流して確認を してから,全員でそういった話し方をする 理由を考えさせるようにするとよかった。 ③子どもが学習と生活が結びついていること を意識することができるように,子ども自 身の生活経験から考えて発表できるような 問い返しを行うことができなかった。 ④今日の学びを自分の課題を解決するために どう活かすか,次からどのようなことに気 を付けていきたいかなどの観点でまとめさ せることができなかった。 (2) 6年生道徳「ぼくは後悔しない」 (20 1 3年 12月 5日) 「ぼくは後悔しなし、」という資料を使用し, 道徳的価値

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誰に対しても差別を することや偏見をもつことなく公正,公平に し,正義の実現に努める。]に関して,子ども に気づかせようと試みた授業である。資料か ら主人公の気持ちの揺れを考えさせ,役割演 技を通じて間違ったことをしている友達への 対応を考えられるようにし,本時のまとめを

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1'った。 < 手 立 て > (1)の実践をふまえ,以下の手立てを考 え,実践を行った。 ①ねらいを「自分の感情や友達関係にとらわ れず,誰に対しでも公平,公正に接しよう とする態度を養う。Jに設定し,子どもがね らいに迫れるような活動や手立てを考える。 ②事前にアンケートを取ることで,子どもが 課題に対して自分の生活を振り返ることが できるようにする。 ③授業のねらいである I自分の感情や友達関 係にとらわれず,誰に対しでも公平,公正 に接しようとする態度を養う。」に沿うよう に,子どもの意見に対して問い返しを行い, 間違ったことをしている友達への対応を考 えさせるようにする。 ④学習の振り返りをする時間を設けることで, 子どもが自分自身を見つめ直し,今回の授 業での学びを,これからの学習や生活の中 でどう活かしていくのかについて書かせる ようにする。 < 成 果 > ①ねらいについて考えることができるように 役割演技の活動を組むことで,子どもに間 違ったことをしている友達への対応につい て,子どもの意識を変えることができた。 ④「学習を.振り返って,これから友達にどう

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注意していくのか,自分の考えをまとめよ う。」という観点を設けてまとめを書かせる と,ほとんどの子どもがこれからの行動に ついてまとめられていた。学習のまとめを させることで,授業での学びをふまえて自 分の行動を見つめたり,次の授業に活かし たいことをまとめたりするきっかけを子ど もに{乍ることができた。 < 課 題 > ①ねらいを絞りきれず,細案を立てる際に子 どもがねらいに迫ることができるような発 聞を考えることができなかった。そのため, 実際の授業でも子どもの意見から経験を引 き出す問い返しを行うことができなかった。 ②事前アンケートを行い,子どもに学習内容 に関して自分の生活経験を振り返らせよう と試みたが,子どもの生活経験を引き出す ような質問を考えることができず,生活経 験の振り返りをさせることができなかった。 そのため,学習内容に関して子どもに課題 をもたせることができず,学習意欲をもた せることができなかった。 ③発問に対する子どもの意見を十分に考える ことができず,問い返しも考えることがで きなかった。そのため,ねらいに迫った発 言を引き出すことができず,学習が浅くな ってしまった。 ④教師側がまとめをしてしまったので,その まとめをそのまま書いてしまっている子ど もが多くいた。授業での学びをふまえて, 自分の行動を決定していくためには,活動 の中で問い返しを行い,子どもたちからね らいについてのまとめを出すようにしてい く必要があった。 4 研究のまとめ 本研究で得られた成果と課題から,子ども一 人ひとりが考え,意見をもつことができるよう にするために,以下の4点、が明らかになった。 ( 1 )授業のねらいを明確にすることで,子ど もがねらいを達成するための活動や手立て を考える。子どもの体験を学びと結びつけ ること,学びの過程をイメージしてねらい を明確にすることが重要である。また細案 を立て,子どもの意見を予想することで, 取り上げたい意見やその意見への問い返し を考えることができ,子どもがよりねらい に迫っていけるようにすることができる。 ( 2)映像やアンケートなど,資料を効果的に 使用することで,子どもに学習の見通しを もたせることができ,自分の考えをもたせ ることが可能となる。 ( 3)授業細案を作成し,子どもの発言を予想 して子どもの意見に問い返しを考えておく ことで,実際の授業において,子どもに新 たな気づきや考えをもたせることができる。 ( 4 )生活や次の学習でどう活かすかという観 点をもたせて学習のまとめをさせることで, 子どもたちが授業で学んだことを活かして 行動を変えようとするきっかけを作ること ができる。授業の中で考え,自分の意見を もつことで, 日常生活が変化する可能性が あることに子どもが気づくまとめが重要で あり,そのためには①ー③が保障されてい る必要がある。 今後も 2年間の研究で得られた学びを活かし, 子ども一人ひとりが考え,意見をもつことので きる授業を行っていきたいと考える。

参照

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