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オーストラリアの地球温暖化対策

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(1)

オーストラリアの地球温暖化対策

著者

木船 久雄

雑誌名

名古屋学院大学論集 社会科学篇

38

1

ページ

81-99

発行年

2001-07-31

URL

http://doi.org/10.15012/00000804

(2)

オース トラ リアの地球温暖化対策

目次

1.は

じめ に

2.京

都議 定書 を巡 る混乱

3.温

室効果 ガス排 出量

4.地

球温暖化対策

5.お

わ りに

1

は じ め に 米 国が京都議 定書か らの離脱 を公式 に表明 し たの は

,2001年

3月 末のことである。確かに京 都議 定書は米国力寸旨摘す るとお り未だ発効要件 を満 た していないため

,正

式 な国際条約ではな い。京都議定書がその まま国際条約 になるか ど うかは極 めて不透明な状況 にあるが

,そ

こに盛 られ た枠組 みの 中で各国 は温暖化対策 を策定 し

,そ

の一部 は既 に実行 されて きていることも 事実である。 本稿 で取 り上 げるオース トラ リアの温暖化対 策 も同様 で あ る。京都議 定書 を交わ した 1997 年 の

COP3を

契機 として

,地

球温暖化 防止 の ための政策が体系化 され具体化 されて きた。 オース トラ リアに とって

,

日本は化石燃料資源 や 農産物 貿易 にお け る最大 のパー トナーで あ る。 こうした財 は

,そ

の生産 。消費を通 じて温 室効果ガス排出 と深 く結びついている。そのた め

,地

球大の温暖イb寸 策が どの ような進展 を見 るかは, まさにオース トラ リア経済の死活問題 ともいえる。 しか し一方 で

,広

大 な土地 と森林 を擁 す る オース トラ リアに とって

,温

暖化問題 は

,二

酸 化炭素の吸収源 とな る森林 を活用 した国際ビジ ネス を展開す るチャンスで もある。既 に幾つか の企業 は

,オ

ース トラ リアにおいて植林事業 を 展 開 して い る。 また

,シ

ドニー先物取 引所 と

NSW州

,世

界 に先駆 けて炭素取 引市場の創 設 を発表す るな ど

,グ

リー ン・ ビジネスヘの野 心的な取 り組み も見 られ る。 本稿 は

,オ

ース トラ リアの温暖イb寸 策の骨格 とその背景 にある狙 いを明 らかにす ることを目 的 としてい る。 ここで取 り上 げている資料の多 くは,1米国の京都議定書離脱が明 らかにされ る 以前の ものである。 しか し

,米

国の京都議定書 離脱の表 明後 にオース トラ リア政府の立場が大 き く変わった とい うことは

,少

な くて も公式見 解か らは,伺われない。これ までの ところ,オ ー ス トラ リア政府の基本的な立場 は変更 されてい ない し

,政

策の背景 にある思想 を踏 まえれば, 揺れ る京都議定書問題への対応 も想像がつ くと 判断 している。 なお

,本

稿の構成 は

,最

初 に米国の京都議定 書離脱問題 を扱い

,続

いてオース トラ リアの温 室効果ガス排出状況 を確認す る。 それ を踏 まえ て,具 体的な温暖イb寸策の中身 を検討 してゆ く。

(3)

-81-名古屋学院大学論集

2

京都議定書 を巡 る混乱

2.1米

国の離脱宣言

2.1.1

米国の も くろみ 米 国が 京都議 定書の離脱 を表 明 したの は, 2001年3月 末の ことである

R京

都議 定書 は, 先進 諸国(地域

,条

約付属書I諸国(2))別に温室 効果 ガスの排出抑制量 を定め

,実

効 ある地球温 暖イb寸 策 を行お うという国際条約である(3)。 球温 暖化 は文字通 り地球 規模 の問題 で あ るた め

,そ

の対策 を図 る国際条約 には

,世

界最大 の 温室効果ガス排出国である米国は言 うまで もな く

,で

きるだ け多数の国の参加がなければ意味 を持 たない。 しか し

,米

国が現在 の京都議定書に復帰 して くる可能性 は

,極

めて少ない。それは

,大

統領 府 のみな らず議会の対応 をみれば

,容

易 に想像 がっ く(4)。 そ もそ も

,1997年

12月 に京都議定書 を採択 す る折 に も

,米

国は

,温

暖イb寸 策 を途上国 と共 同実施す るプ ロジェク トや 国際的 なC02排出 権取 引の利用 といった「柔軟性措置(5)」 を対策 メ ニ ューに組み込みことと引 き換えに

,京

都議 定 書 に署名 した。 それ以降の締約国会議 において も

,柔

軟性措 置の適用範囲に制限を加えないこ とは

,米

国の基本的な主張である。 それ に対 し て

,EUは

自国内での対策 を中心 に行 うべ きで あ り

,柔

軟性措置の適用 には制限 をかけるべ き だ と主張 し続 けて きた。その結果,2000年11月 にオランダ・ハーグで行われた第6回締約国会 議

(COP6)は

合意形成がで きず

,物

別れ となっ た。

2.1.2

各国の反応 米国の京都議定書離脱表明に対 して

,世

界各 国はこぞって米国を批判するとともに

,米

国を 交渉のテーブルに引き戻す努力を続けている。 3月末に米国を訪問 した ドイツのシュレイダー 首相は

,EUの

立場を代表 して,ブッシュ大統領 に再考を求めた し

,翌

月には

EUが

特使 を派遣 した。 日本の川 口環境相 も「京都議定書の放棄は10 年の努力を大 きく後退 させ る。前向きに取 り組 むよう働 き掛けてい く」 と述べ

,米

政府を説得 する考えを示 した(6)。 5月 に発足 した小泉新内 閣で も, 日本のこの基本的な立場は変わってい ない。 京都議定書の国際条約化に関 して

,米

国抜 き で も発効 を図ろうとする

EUに

対 し

,ア

ンブレ ラ諸国 と言われる日本・ カナダ 。オース トラリ アは

,米

国参加が大前提である。 うがった見方 をすれば

,ア

ンブレラ諸国は米国の態度に心で は同意 しなが ら

,表

面上はこれまでのシガラミ か ら

EU主

導の京都議定書案 を支持せ ざるを えない状況 とも言える。彼 らにとって望 ましい ことは

,京

都議定書の運用細則ができるだけ米 国案に近いものになることである。しか し

,EU

と米国の対立が厳 しくなれば

,議

定書をまとめ た議長国 日本は

,一

方的にいずれの側 にも立て ないだけに,苦渋の選択 を迫 られることになる。 言 うまで も無 く

,議

定書のような国際的な枠 組みが設定されない限 り

,地

球大で実効ある温 暖イb寸策は立ち行かない。米国は京都議定書に 代わる新たな枠組みを提案すると表明 している ため

,今

後は

EU主

導の京都議定書の枠組み と 米国提案 とが対峙 して

,そ

の間で妥協案を模索 することになる。 おそらく議論の焦点は

,米

国が求めて くるで あろう「柔軟性措置」の無制限な導入 と

,途

上 国における削減 目標の設定であろう。それ らは, 過去数度にわたる締約国会議で議論 されてきた ことの蒸 し返 しに過 ぎない。実効ある国際的な

(4)

取 り決めが成立するには

,さ

らに時間を必要 と することになろうが

,そ

れまで各国は

,独

自の 削減 目標 と温暖化対策を自主的に進めてゆ くこ とになる。

2.2

オ…ス トラ リアの反応

2.2.1

オース トラ リアの立場 本稿 で とりあげるオース トラ リアは

,先

に も 述べ た ように地球温暖イb寸策 に関 しては

,

日本 と同様

,米

国追従型のア ンブ レラ国である。 こ の理 由は

,同

国が化石燃料資源 を国内に豊富 に 抱 えているこ とに由来す る。国内で消費 され る 中心的なエネル ギー源 は

,燃

焼時 に大量の

C02

を排出す る石炭であるし

,エ

ネル ギー多消費型 産業の国際競争力の源泉は安価 な国内資源 を基 礎 に している。 さらに

,石

炭 をは じめ とした化 石燃料資源は

,オ

ース トラ リア最大の輸 出品 目 である(7)。 京都議 定書で設定 されたオース トラ リアの温 室効果ガス排出削減 目標 は

,他

の先進国に比べ れ ば際だ って緩や かで あ る。つ ま り

,2008∼

2012年における温室効果ガス削減 目標 は,付属 書I諸国全体 で1990年比 マ イナ ス

5.2%で

あ るの に対 し

,オ

ース トラ リアはプ ラス

8%で

あ る。将来の排 出抑制 目標値 を1990年比プ ラス で示 した国は極めて例外であ り

,オ

ース トラ リ アの他には,アイス ラン ド

(+8%),カ

ナ ダ

(+

8%),ノ

ル ウェー

(+0%)の

3カ国 しかない。 日本 は

-6%,米

-7%,欧

州 は

EU全

体 で

-8%で

ある。 これ らの 目標設定は国情の違 いが反映 されっ いわば自己申告ベースで値が決 まった。それゆえ

,逆

にその遵守には相 当な覚 悟 と努力が必要 になる(8)。 世界的に温暖イb寸 策が進め られ

,石

炭 を中心 とした化石燃料消費の削減が行われれば

,オ

ー ス トラ リア経済 に重大な影響 を及ぼす可能性が ある。これを懸念 して

,京

都議定書が採択 され る第二回締約国会議

(9)(COP3)に

臨む直前の 1997年11月 ,オース トラリア政府は,採用され る国際的な協約はあ くまでもオース トラリア経 済や国益 を損なわないものであるべ きだ, とい う基本方針 を開示 した。これは,「未来 を守る: オース トラ リアの気候変動対策 (Safeguard‐ ing ()ur iFuture: Australia's Response to CHmate Change)」 とい うタイ トルの下 に

,ハ

ワー ド首相声明 として出された(10)。

2.2.2

ハワー ド首相声明 ハワー ド首相の声明は

,オ

ース トラリアが採 用する地球温暖イb寸策の概要を公表 したものだ が

,そ

の前文に次のようなオース トラリアの基 本的立場が提示 された。それ らは

,国

際的な温 暖イび寸策の取 り組みにおいて

,①

不公平な負担 は拒否すること

,②

従来か ら強制的で統一的な 目標は拒否 してきた し

,今

後 も受け入れないこ と

,③

就業機会や産業, とりわけ資源産業が犠 牲 にならないこと

,④

途上国の参加が不可欠で あること

,⑤

EUの

アプローチは不公平で

,日

標達成は不可能であること

,そ

して⑥オース ト ラリアの国益

,オ

ース トラリア人の雇用

,オ

ー ス トラリアの産業を守ること

,な

どである。 米国が京都議定書を離脱するという報道に対 して

,オ

ース トラリア政府は米国を支持すると いった公式な態度表明はしていない。 しかし, 上のような経緯か らすれば

,オ

ース トラリアの 立場は明らかに米国よりであることは論を待た ない。オース トラリア政府の立場 を代弁 してい るの は

,同

国 を代 表 す る 日刊 紙 T力ι 4%― ′z′グα

2の

論説記事であろう。 同誌は,4月 3日 に「京都議定書の廃棄はオー ス トラリアにとって最良である」 と題する論説 を掲載 した(H)。 その論 旨は

,京

都議定書は実効

83

(5)

-名古屋学院大学論集 の無 い

,EUの

利益 を反映 させ た条約である, オース トラ リアは米国 を支持すべ きである

,

と い う主張である。そ して

,当

面 は温暖イb寸 策 を 先送 りし

,温

暖イb寸 策 に技術的経済的な能力を 備 えるため に経済成長 を優先 させ るべ きだ, と 結んでいる。 確 か に

EU案

が付属 書I諸国 にお いて遵 守 可能か どうか

,実

際問題 として

,履

行不能な 目 標 を設定 して意味があるのか, といった点は常 に疑 問視 されて きた。 しか し

,某

かの国際的な 枠組みが設定 されない限 り

,地

球大での温暖化 対策が容易に進展 しないだろうということも疑 いの余地 は無い。

2.3

議定書発効の遅れ と国内対策 米国の京都議 定書離脱 は,1990年代 か ら地球 規模 で精 力的 に進 め られて きた温暖イb寸 策の議 論 を後退 させ

,時

計 の針 を戻すことになる可能 性 が高い。少 な くて も

,国

際的な枠組 み を基本 と した温暖イb寸 策 を実行段階に至 らせ るまでに は, さらに多 くの時間を要す ることになろう。 しか し

,だ

か らと言 って

,国

内の温暖イb寸 策 を疎 かに して良い というもので もない。道義的 責任 と倫理感だけで地球温暖化問題が解決す る とは考 え難 いが

,既

に各国で策定 した温暖イb寸 策 を着実 に実施 してゆ くことが期待 され る。 そ れは

,京

都議定書が条約化 されない として も, 1992年に リオデ ジャネイ ロで開催 され た地球 サ ミッ トで署名 し

,1994年

に発効 した「国連気 候 変動枠組み条約(12)」 の 目的その ものである。 オース トラ リアにおいて も

,枠

組み条約の批 准や京都議 定書の署名 と軌 を一 に して

,温

暖化 対 策 は政 府 の重要政策課題 の一 つ となって い る。 そ して

,体

系的で野心的な政策が実施 され つつ ある。以下では

,オ

ース トラ リアの温室効 果 ガス排出の実態 を概観 したのち

,政

策 体系 を 具体的に検討 してゆ くことに しよう。

3

温 室効果 ガ ス排 出量

3.1

オース トラ リアの国際的な位置づけ オース トラ リアが排 出す る温室効果 ガス量 は,世 界全体の1.4%を占め る。世界合計 に占め るオース トラ リアの シェアは

,GDPで

1.3%, 人 口は

0.3%で

あ るか ら

,国

の経済規模 に比べ た ら

,オ

ース トラ リアは相対的に大 きな温室効 果ガス排 出国 と言 える。 同様 なこ とは

,エ

ネル ギー消費 を起源 とした

C02排

出量 につ いて も言 える。世界全体のエネ ル ギー消費量 に占め る同国の シェアは

1.2%で

あるの に対 して

,C02排

出量 の シェアは

1.4%

である(13)。 後者の値 が前者 を大 き く上 回ってい るのは

,オ

ース トラ リアのエネルギー消費構造 が

,相

対的 に

C02合

有率の高 い化石燃料,と り わけ石炭 に大 きく依存 しているか らである。 一 人 当た りの

C02排

出量 は 4.62ト ンー

Cで

あ り

,付

属書I諸国の3番目に高い値である。 この値がオース トラ リア のそれ を上回っている 国は

,米

,ロ

シアの 2カ 国である。ちなみに 日本は 2.47ト ンー

Cで

ある。

3.2

温室効果ガスの構成 オース トラリアカ溺卜出 している温室効果ガス を

,ガ

スの種類別

,発

生セタター別 という視点 か ら詳細 に検討 してみよう。ここでは

,オ

ース

トラリア政府の「温暖イ

b寸

策室」が発行してい

る『年次温室効果ガス排出 。吸収目録

(イ

ンベ

ントリ

)』 (14)を

用いてそれを確認する。

3.2.1

排 出量の推移 1998年の オース トラ リアの ネ ッ ト温室効果 ガス排出量 は

,二

酸化炭素換算(15)(ト ンーC02)

(6)

で4億 5,590万 トンである(表3-1参照)。 その 内訳は

,C02が

全体の

69%,メ

タン

(CH4)が

25%,亜

酸化窒素

6%と

なっている。オース ト ラリアの一つの特徴は

,C02以

外の温室効果ガ スの割合が

,他

国 と比較 して相対的に多いこと である。例えば日本では

,C02が

温室効果ガス排 出量全体の95%を占めている(16)。この理由は , オース トラリアが抱 える広大な土地 とそれに根 ざした大規模農業に由来する。牧畜を中心 とし た農業は

,牛

,羊

や家畜などのはんすうや糞 尿等によって大量のメタンを発生 させ る。また, 窒素肥料の利用は亜酸化窒素の排出につながっ 表

3-1

温室効果 ガ スの排 出量 (単位 :二 酸化炭 素換算

Mt,%)

1990 1998 温室効果ガス

Mt C02換

算 構成比

% Mt C02換

算 構成比

% Mt

変化 98/90

%

C02

CH4

N20

PFCs他(a) 合計(C02換 算) 250.0 112.9 22.1 4.8 389.8 64.1 29.0 5.7 1.2 100.0 312.1 114.9 27.5 1.4 455.9 68.5 25.2 6.0 0.3 100.0 62.1 2.0 5.4 -3.4 66.1 24.8 1.8 24.3 -70.6 16.9 (注

)(a)1998年

値 は金属 製品製造のSF6を 含む (資料

)AGO,N″

,9πα′G%ιι″力ο%sι Gαs lηυ′πわり,2000 表

3-2

セ クター別温室効果 ガス排 出量 と吸収量 (単位 :二 酸化炭 素換算

Mt,%)

1990 1998 変化 98/90 温室効果 ガス Mt C02換算 構 成比

% Mt C02換

算 構 成比

% Mt

%

エ ネル ギー エ ネル ギー転換 発電等 他 産業部 門 輸 送部 門 民生部 門 非 エネル ギー 他 製造プ ロセス 農業 森林 他 廃 棄物 総排 出量 ネ ッ ト排 出量(a) 299.6 142.3 129.1 13.2 50.3 61.5 14.2 1.7 29.5 12.0 90.6 -27.2 14.9 417.1 389.8 76.9 36.5 33.1 3.4 12.9 15.8 3.6 0.4 7.6 3.1 23.2 -7.0 3.8 107.0 100.0 362.9 187.9 168.6 19.3 51.7 72.6 16.7 2.4 31.5 9.8 92.2 -24.5 15.5 480.4 455.9 79.6 41.2 37.0 4.2 11.3 15.9 3.7 0.5 6.9 2.1 20.2 -5.4 3.4 105.4 100.0 63.3 45.6 39.5 6.1 1.4 11.1 2.5 0.7 2.0 -2.2 1.6 2.7 0.6 63.3 66.1 21.1 32.1 30.6 46.2 2.7 18.1 17.7 41.2 6.8 -18.3 1.8 -9.9 4.0 15.2 17.0 (注

)(a)森

林他 に計上 した吸収源 を加算 した値 (資料

)AGO,Nα

ttπα′G%″ πλο客′Gzs I″υ″ の ,2000,から作成

85

(7)

-名古屋学院大学論集 ている。 1998年 と 1990年 とを上辟交すれば

,温

室効果 ガス合計はこの8年間に

16.9%(6,600万

トン C02)の増加をみた。排出ガス別では

,C02が

24.3%,メ

タン

1.8%,亜

酸化窒素24.8%とこ れ ら

3種

類のガス排出量が増加 したのに対 し て, perfluorocarbon(PFC)排 I量量は

70%以

上減少 している。この結果

,C02が

温室効果ガス 排出量合計に占める割合は,64.1%から

68.5%

に拡大 した。

3.2.2

分野別温室効果ガス排出量 一方,1998年の温室効果ガスを排出起源 とな る活動分野別でみれば

,最

大 はエネル ギー分 野 であ り

,全

体の80%を占め る(表3-2参照)。 そ の次は前述の農業(同

20%)で

あ り

,廃

棄物(同

3%),製

造プ ロセス (同

2%)と

続 く。C02吸 収源である「森林他」は

,ネ

ッ ト

5%強

のマ イ ナス効果 を持 っている。 エネルギー分野の中では

,発

電等の「エネル ギー転換」が当該分野の排出量の過半 を占めて い る。 これに続 くのが

,輸

,産

,民

生部門 である。 1990年の値 と上辟交すれば,エ ネルギー分野に おける増加ハ 増加量合計のほぼ全量 を占めて いる。 とりわけ

,発

電分野の拡大 は著 しい。 こ れは

,こ

の期間にクイー ンズラン ド州 において 褐炭 を燃料 とした石炭火力の発電量が大幅に増 加 したこ とに よる。褐炭 は

,熟

量 当た りの炭素 含有量が多い ものの

,安

価 である。1990年代半 ばに始 まった電気事業の規制緩和や 「全国電力 市場」の創設は

,褐

炭 を燃料 として発電 された 電力に

,新

しい市場 を提供 した(17ゝ 量 はそれほ ど多 くは無 いが

,製

造プ ロセスか らの排出量が減少 している。 この理由は

,ほ

と ん ど全量

,ア

ル ミニウム生産 による

PFC排

出 量の削減である。 また

,農

業分野では

,一

方で 生産量増加や「規定 した野焼 き:Prescribed Burning」による排出量の増加はあるものの,家 畜数減少による排出量の低下 もみ られる(18)。

3.2.3

単位 当た り温室効果ガス排出量 1998年の一 人 当た りの温室効果 ガス排 出量 は,1990年の 22.8ト ンーC02から

6.5%増

加 し て 24.4ト ンーC02と なった。 この理 由は

,先

に 示 したエネル ギー分 野の相対的な拡大 である。 つ ま り

,非

エネル ギーセクタのそれは

6.1%減

少 して,5.0ト ンとなった ものの,エ ネルギー分 野 の 原 単位 は10.4%増加 して 19.4ト ンに拡 大 したためだ。 さらに

,GDP lド

ル あた り排出量 をみれば, 1998年の値 は1990年のそれ よ りも

8.2%小

さ い。この間の

GDP成

長率は年率

3.1%で

,排出 量のそれは

2.0%で

あるため

,GDPあ

た り排出 原単位 は

,年

率1.1%ほど低下 して きた。

3.3

排 出量の評価 上述の ような排 出量実績 を公表 した2000年 7月 に

,温

室効果対策室のチーフエクゼクテ ィ プの

Gwen Andrews女

史 は

,こ

の数字に対 し て次の ようなコメ ン トを添 えている(19な 「オース トラ リア連邦政府 は

,京

都議定書の 目標 を達成す るよう努 めて きたが

,高

い経済成 長が排出量の拡大 をもた らした。 しか し

,地

球 温暖化が もた らす人類への影響 に関す る科学的 証拠 は一段 と明白になってお り

,政

府 は排出量 抑制のためにあ らゆる手段 を講 じる必要がある し

,挑

戦 してゆ く覚悟 である」 と。 京都議 定書 による2010年前後 の温室効果 ガ ス排出 目標 は

,1990年

+8%で

ある。多 くの 先進 諸国 も同様であるが

,す

でにオース トラ リ アの排出 レベルは

+17%に

達 している。 目標達

(8)

成のためには

,追

加的な施策が不可欠 となる。 そのため に

,こ

れ を発表 した2000年以 降 にお いて

,新

たな温暖イb寸 策の施策が講 じられ るこ とになる。

Andrews女

史が コメ ン トの 中で言 及 した追加策 は

,規

制 を設 けて発電分野に再生 可能エネル ギー を導入 しようというものであっ た。その内容は後述す るが

,そ

の前 にオース ト ラ リアにおいて懸念 され る温暖化の影響 を確認 してお こう。

3.4

温暖化の影響 温暖化が及ぼすオース トラリアヘの影響 とし ては

,次

の点力寸動商されている(20)。 気温は2030年までに0.3∼1.4℃,2070年ま でに0.6∼3.8°

C上

昇 し,その度合いは北の海岸 線 よりも内陸部のほうが大 きい。冬の降雨量は オース トラ リア大陸 においては減少す るもの の

,南

東部に位置するタスマニアのそれは増加 する。夏の降雨量の想定に関 しては

,か

なり不 確実である。例 え `よ い くつかのモデルでは東 部

,南

西部への影響は全体に比べて相対的に少 ないとしているが

,別

のモデルによればどの地 域 も全般的に増加するという結果 も示 されてい る。 また

,農

業生産に適 した土地が変化 してゆ く こと

,オ

ース トラリア固有の動植物や生物の多 様性が危機 に晒されること

,な

どが気候変動の リスクとしてあげられている。 最近の

IPCC報

告では

,オ

ース トラリアは全 体的に乾燥 し

,内

陸部を中心にさらに砂漠化が 著 しくなるとす罰商している(21)。 これを受けて , Hill環境相が温暖イけ寸策の必要性 を強調する 声明 も発表 している。

4

地球 温暖化対 策

4.1

主要 な資料 オース トラ リア連邦政府 が進めている温暖化 対策 を体系的に捕 らえるためには

,幾

つかの基 本的な資料が必要 になる。その主たる ドキュメ ン トは

,以

下の3本であろ う。

①ハワー ド首相声明「未来 を守る」

(Nov. 1997) ② 連 邦 政 府 『国 家 温 暖 化 戦 略

(NGS:

Nα′z・θπα′Gπ勿ヵθttι s′″α惚ァ)(22)』 (1998) ③ハワー ド首相声明「よりよい環境への施 策(23)」 (May,1999) 先述 したが

,①

は地球温暖化防止京都会議を 前にして

,国

際交渉に臨むオース トラリア政府 の決意と諸施策の概要を公表 したものである。 また

,②

は文字通 り

,連

邦政府の温暖イb寸策体 系を示 したバイブルである。この『戦略』は, 1992年にスター トした『国家温暖化への対応戦

略 (NGRS:National Greenhouse Response

Strategy)』 が拡張 されたものである。拡張の必 要性は

,①

のハワー ド声明および京都議定書の 署名によるものである。 さらに

,③

は税制改革 に合わせて

,上

記施策 を予算面か ら裏付けたも のである。 これ らが

,体

系的に温暖イけ寸策の枠組みを示 す ものである。政府はそこに盛 られた施策に5 年間で10億ドル以上 を支出することを決めて いる。以下では, まず『戦略』に従って地球温 暖イb寸策の骨格 を概観する。そ して

,HOward

首相の「未来を守 る」で提案された幾つかの施 策やその後に追加された施策の現状 を具体的に 見てゆこう。

(9)

-87-名古屋学 院大学論 集

4.2

国家温暖化戦略

4.2.1

目標 と対象分野 『国家温暖化戦略』は

,連

邦 と州の政府によ る共同作業 として作成された。『戦略』に盛 り込 まれる施策は

,1997年

11月のハワー ド声明で 示 された施策が含 まれ ることは言 うまで もな い。 また

,オ

ース トラリアの地域的な多様1生を 反映 させて,『戦略』は州や地方自治体政府がそ れぞれ異なった政策アプローチを進めることも 容認 している。そのため,『戦田例 は具体的な施 策 と言 うよりも

,連

邦大 としての政策ガイ ドラ インという位置づ けになる。 『戦略』では目標として次の3つ が示され, それに対応 した検討項 目が提示されている (表 4-1参照)。 ①温暖化問題への科学的知見 と理解の向上 ②温室効果ガス排出量の増加抑制と吸収源の 拡大 ③温暖化 した場合の適用策の検討 ①は

,温

室効果ガスの実態把握 と気候変動の 関係に対する研究

,お

よび温暖化がもたらす社 会 。経済への影響に関する研究を推 し進めるこ とである。また

,②

,後

段にも登場するが, 温暖化防止のための施策の検討である。 表

4-1

「国家温暖化戦略」の概要

(資料)Commonwealth of Australia,Nα ′2・οπα′(〕″´π力ο郷′

,効

gy,1998よ り作成

大 区分 項 目 内 容 I 科 学 的 知 見 の 向上 国内排出量の把握 ①土地利用に関する排出・吸収 ②炭素計算システム (土地

,吸

収源) 気候 変動 メカニズム ①メカニズムと影響の大きさ II 温 暖 化 ガ スの排 出抑 制 と吸収 源 の拡 大 政府・ 産業・ 地域 の パ ー トナー シ ップ ①政府業務における排出量抑制 ②地方自治体の協力 ③企業の自主抑制プログラム ④家庭の抑制プログラム 効率的で持続可能 な エネル ギー需給 ①エネルギー市場改革の促進 ②発電所の転換効率基準 ③再生可能エネルギーの戦略的開発 ④建物

,機

器のエネルギー効率基準 効率的 な輸 送 と持続可 能 な都 市計 画 ①輸送量管理 ② 自動車産業に関する環境管理 (自動車燃費 の15%向上) 吸収 源 と持続 可能 な 土地管理 ①2020年ビジョン:植林計画 ②原生林等の持続可能な管理原則 ③同上の原則に効力を与える 優 良 な対策事例 (製造 工程 と廃棄物管理) ①合成ガス

(HFCs,PFCs,SF6)の

環境管 理戦略 ②埋め立て地や排水からのメタン管理 III 温 暖 化 適 応 策 の検 討 気候 変動へ の適応 気候 変動が起 きた際の適応策のガ イ ドライ ン

,分

野別の適応策の検討

(10)

日本 と大 きく異なるのは

,③

の温暖化への適 用策を検討対象に合めていることである。広大 な土地を抱え

,農

業 と化石燃料資源の国である オース トラリアにとって

,果

た して温暖化が本 当に国益に反するのか

?

温暖化に適用するた めのコス トと温暖化を防 ぐコス トではどちらが 安いのか

?

そうした議論は未だに国内で燻っ ている。例えは 米国が京都議定書から離脱 を 表明 した折

,タ

スマニア大学の研究者Garth Paltridge氏 は次のように述べている。 「いつか気候変動が起 こるならば

,答

えるべ き基本的な問題は

,科

学的および経済的な不確 実性の視点 を踏 まえて

,気

候変動に適用するた めの費用はい くらか

,で

ある」「この問題は, 関係者の注意を温室効果ガス排出抑制 という目 標か ら逸 らさないようにするために

,故

意に国 内的。国際的な議論か ら除外 されてきた(24)」 と。 いずれにして も

,オ

ース トラリアが温暖化ヘ の適応策を『戦略』の一つの検討分野 としてい る点は

,注

目に値する。 また,『戦略』の実施や計画見直 しのための原 則 として

,次

の5つをあげている。 原則

1:オ

ース トラリアの国益や条件 を考慮 した総合的な温暖イb寸策 これは

, 1)排

出と吸収の両者

,温

室効果ガ スに関連する総ての分野などを総合的に勘案 した対策 を立案すること

, 2)気

候変動の抑 制 と変動への適応 とい う両者 を考慮す るこ と

, 3)国

内での地域特性や多様性を勘案す ること

,が

その趣 旨である。 原則

2:政

府の他の政策 との統合 これには

, 1)エ

コロジカルな持続可能な開 発原則 と整合的であること

, 2)経

済。環境。 社会政策 と温暖化対策を統合させ ること

,が

求め られる。施策の実施にあたって,『戦略』 が他の政策 と補完的であ り強化につながるよ うにし

,逆

,他

の政策は

,温

暖イb寸策の目 標や政策の必要性が強化されるような方向で 検討されることになる。 原則

3:公

平 と費用効果的

,多

面的便益 と整 合的な温暖イb寸策 この原則を満たすためには

,1)地

域の経済・ 社会・環境などの便益に焦点をあて

, 2)公

平性

, 3)費

用効果性 を考慮する。そ して,

4)国

民経済 にとって費用最小

,競

争力への 影響 も最小であるという方法 によって

,京

都 議定書の 目標 を達成 させ ることを狙ってい る。 原則

4:政

府・企業。地域 とのパー トナーシッ プ 『戦略』の遂行にあっては

, 1)政

府。企業・ 地域のパー トナーシップを重視 し

, 2)実

施 と見直 しにおいては

,広

範囲な関係者の参加 機会を提供する。 原則

5:研

究成果 を基 に実施 施策は

,あ

くまで も関係分野の科学・技術 。 社会経済の研究成果 を根拠に し

,革

新的技術 や行動を支援するものでな くてはならない。 こうした原則を基にした具体的な『戦田制 の 内容を次に見てみよう。

4.2.2

戦略の内容 『戦田側 に盛 られた 3つ の目標 には

,そ

れぞ れより具体的な対象範囲やモジュール と呼ばれ る施策が提示されている。それ らを要約すれは 以下のようになる。 ①温暖化問題への科学的知見 と理解への向上 温室効果ガス源および吸収に関する科学的知 見を深めるために

,継

続的な科学的研究を進め る。先進諸国の中では

,南

半球 に位置するオー ス トラリアは特異な立場にあるため

,温

暖化の メカニズムや影響 も独 自の調査が可能 となる。

89

(11)

-名古屋学 院大学論集 また

,こ

の分野に関する知見の理解を深めるた めの努力も行 う

,

としている。植物の生長や土 地利用変化に関するデータは

,不

確実性が多い ため に

,独

自の炭 素計算 システム を開発 す る(25)。 この分野で行 う施策には

,次

の 2つ のモ ジュールを挙げている。 モジュール

1:オ

ース トラリアの温暖化ガス 排出の輪郭を描 くこと モジュール

2:気

候変動 とその影響に関する 理解 と認識 ②温室効果ガス排出量の増加抑制 と吸収源の 拡大 『戦略』では

,費

用効果的な温室効果ガス抑 制策に焦点を当てている。中で も

,国

際競争力 や生活水準に深 く関係するエネルギー費用の低 減やエコロジカルで持続可能な農林 システムは 施策の中心的な対象分野である。 「エネルギー市場改革」はエネルギー需給に おける経済効率の改善を促 し

,エ

ネルギー価格 の低下 と産業の国際競争力の向上 を目指す。 ま た

,家

庭や産業で利用されるエネルギー消費機 器

,住

宅や ビル構 造物 な どのエ ネル ギーパ フォーマ ンスの規則や基準の改善を進める。① 化石燃料発電のエネルギー効率基準の開発

,②

発電市場における再生可能エネルギーの利用促 進 も

,当

該範疇に合められている。 交通用エネルギー部門では

,土

地利用

,交

通 計画

,需

要管理

,公

共交通機関の利用促進, 自 転車や徒歩の利用

,車

の燃費改善など

,総

合的 な対策が粥た討 される。また,「自動車産業」の「環 境戦略」開発が最重要課題 ともなってい る。 2010年までに15%の燃費改善が具体的技術的 な目標である。 農業は

,オ

ース トラリアの温室効果ガス排出 量の20%を占めているが

,一

方で

,林

業・森林 管理・砂漠の緑化などはC02を吸収する。それ が国の排出量の約

5%に

相当するため

,吸

収源 としての持続的な森林や植物の管理

,農

業生産 による排出量の削減などが検 討課題 とされる。 さらに

,廃

棄物による温室効果ガス排出量削減 も政策課題 となる。 温暖イb寸策におけるモジュール としては

,以

下が言十上 されている。 モジュール

3:政

府 。産業・地域 とのパー ト ナーシップ モジュール

4:効

率的で持続可能なエネル ギー利用 と供給 モジュール

5:効

率的な交通 システムと持続 可能な都市計画 モジュール

6:温

暖化ガスの吸収 と持続可能 な土地管理 モジュール

7:製

造過程 と廃棄物管理おける 温暖イけ寸策の優良事例 ③温暖化 した場合への適応策の検討 世界的に温室効果ガスの濃度が上昇 し

,温

暖 化が進むのは間違いない という認識か ら

,P戦

略』は

,そ

れに対応するための将来計画や制度 的な基礎作 りを検討する。以下のモジュールが それである。 モジュール

8:気

候変動への適応

4.2.3

『戦略』の報告 とレビュウ 『戦略』に関する報告書は隔年で作成され, 最初のそれは2000年末に議会に提出された。 その報告書で盛 られる要件は

, 1)京

都議定書 の目標に対する進捗

, 2)実

行 されている施策 の進捗

, 3)効

果的な施策やパフォーマンス指 標

,な

どである。 温暖イb寸策の進捗や国際的な議論の行方を踏 まえて,『戦略』は

,定

期的に更新 されることに なっている。第 1回 の見直 しは 2002年 に予定 されてお り

,そ

れは次の観点で行われる。

(12)

1)温暖化ガス ロ録 と予測 によって,排 出量 ト レン ドの分析 2)国連枠組 み条約 と京都議 定書 に関す る進 展 3)『戦略』実施の進捗や効力に関する隔年評 イ面 4)温暖イb寸策に関する機会 と制約に関す る 研究成果 5)温暖イ断斗学の進展 6)審議会からの助言 7)地域の見解 こうした見直 しを踏 まえて

,High Level

Groupは

『戦略』の改定に関 してオース トラリ ア政府協議会

(COAG)に

提言する。

4.3

具体的な国内対策 「未来を守 る」 というハワー ド首相声明は, 国内向けの対策および国際協力を踏 まえた国際 的な対策 と,内外両面にわたる施策を提示 した。 そこでは

,次

の8点が味斤たな温暖イb寸策 として 提示 された。 それらは,①再生可能エネルギーの導入促進,

②エネルギー市場改革

,③

自動車関連対策

,④

4-2

各州 の電源構 成 (1997-98年) 規制 と基準の設定

,⑤

植林 と森林保護の促進, ⑥温室効果ガス挑戦プログラムの新設

,⑦

連邦 政府内に「温暖イb寸策室(AGO)」 の新設

,③

そ の他の方策である。以下では

,こ

の順番に従い 『国家温暖化戦田制 やその後に展開された施設 をふまえて

,見

体的にその内容をみてゆこう。

4.3.1

再生可能エネルギー 再生可能エネルギーの導入促進に関 しては, 次のような資金援助を通 じた施策が言十画され, 順次実行に移されてきた。連邦政府は「再生可 能エネルギー革新投資資金」を設立 し

,再

生可 能エネルギーを扱 う政府機関や民間ベ ンチャー に対 してこの資金 を投 じてきた。再生可能エネ ルギー産業の発展 と商業化のためには

,公

的な 資金貸付けや補助金プ ログラムが不可欠である ためだ。これに加えて

,再

生可能エネルギー『陳 列ケース』プロジェク トヘの資金投入 も行った。 この領域には潮力発電

,太

陽熱発電

,お

よび光 電池の技術などが含 まれる。 さらに

,連

邦政府は州や地方自治体 と協力 し なが ら,電力会社に対する「再生可能エネルギー

2%ル

ール」目標の導入を行った(26ヽ これは , 州 単位 型式

/

合 計 発電量 構成

GWh %

15,494 9 160,676 90 450 0 1,538 1 931 1 7 0 水カ ,気力 内燃力 ガスタービン コンバインド 風力 発電量計

(注

)1.数

字 はWestern Power Corporationの値 のみ

2. Snowヽ4ountain iIIydrO IElectric Auth01ity

(資本斗

)ESAA,E′

″・σグ″4αs′η′グα1999

-91-NSW VIC QLD SA WAl TAS NT SMHEA2

発電量 構成

GWh %

発電量 構成

GWh %

発電量 構成

GWh %

発電量 構成

GWh %

発電量 構成

GWh %

発電量 構成G・

Wh %

発電量 構成

CWh %

発電量 構成

GWh %

146 0 57,388 100 1,152 2 46,942 98 0 0 7,266 100 0 0 19 0 0 0 0 0 75 0 ︲6 0 0 1 57,535100 48,110100 39.168100 7,285 100 11,810100 9,692 100 1,576 100 3,920 100 179.096100

(13)

名古屋学院大学論集 電力会社 に対 し,2010年までに追加的な電力供 給量 の

2%分

を再生可能エネルギーにより発電 された電力で賄 うよう強制す るものである。 い わ ゆ る

,電

力供 給 に お け る再 生 可 能 エ ネ ル ギー・ クウ ォー タの導入である。 1997-98年度 において

,オ

ース トラ リア全体 の電力発電量 に占め る再生可能エネル ギーの割 合 は

, 9%程

度 である。 しか し

,州

別 にみれば Northern Territory(北部準り││)のほぼゼ ロ(27) か らタスマニア州の99%(28)を超 える もの まで, 大 きな差異が ある (表4-2参照)。

ABAREで

,こ

の「再生可能エネル ギー

2%ル

ール」の効果について

,次

のような推計 を行っている(29)。 2010年の 目標 に合致する再 生可能エネルギーによる追加的な発電量は

,約

1000万

kWhで

あ り,これは 1996-97年 の値 を

55%ほ

ど上回る水準である。現在

,計

画が特 定 できて尚かつ導入可能性の高い再生可能エネル ギー資源 (バイオマスや埋め立てガスを合む) を積み上げて も

,こ

2%目

標 には到底達成で きない。そのため

,新

たに相当量の再生可能エ ネルギー資源が発電分野に導入される必要があ るというのだ。 上 で述べて きた資金援助の枠組み と「

2%

ルール」の他に

,2000年

7月か ら開始 された次 の ような再生可能エネルギー導入支援策があ る。それ らは,①遠隔地での再生可能エネルギー 発電利用の支援

,②

太陽光発電 リベー トプログ ラム

,③

再生可能エネルギーの開発 と商業化ヘ の支援などである。①は離島や内陸部の遠隔地 における太陽光や風力発電装置などの導入を支 援するもので,資 本費の最大50%を政府が補助 するプログラム。② は家庭 (住宅

)や

地方自治 体 (集会場

)な

どに取 り付ける太陽光発電に補 助金を提供 し

,③

も開発資金の援助である(30)。

4.3.2

エネルギー市場改革 と発電効率 温暖イb寸策の第二の施策にあげているのは, エネルギー市場改革である。規制緩和を通 じて エネルギー供給の効率改善を進め

,温

室効果ガ スの排出量を抑制 しようという計画である。エ ネルギー市場の再編は,2002年までに電力改革 を拡張 し

,電

力 とガスが統合 され互換的な枠組 みで配給 されるように展開することになってい る。 さらに

,連

邦政府は州政府や産業界 と協調 し なが ら,2000年までに化石燃料発電の効率基準 を改正 し

,新

たな基準を導入することを計画 し ていた。これは先の「再生可能エネルギー

2%

ルール」 とともに

,発

電分野における温室効果 ガス排出原単位 を低下させ る効果がある。 2年間の検討期間を経て,新 しい基準は2000 年7月か ら「発電効率基準プ ログラム (GES)」 として実施 されることになった(31)。 化石燃料発 電所に対する新たな転換効率基準は

,事

業用か 自家発用かを問わず, また

,新

規や改造の発電 プラン トだけでな く既存の発電所にも適用され る。ただ し

,対

象 となる発電所の技術的要件は ①3万

kW以

上の設備で,②年間発電量が5万 kW‐hを超 え

,③

過去3年間の平均で

5%の

稼 働率を示す ものである。新設プラン トの最良パ フォーマンスロ標 を熱効率 (発電端

,高

位発熱 量

)で

示 したものは

,以

下である。 黒炭プラン ト

42%

褐炭プラン ト

31%

天然ガスコンバイン ドサイクル

52%

発電効率のみならず

,温

室効果ガス排出量に 関す るパ フォーマ ンス も基準の対象 とな り,

MWh当

た りの

C02排

出量で測定される。発電 所の新設や改造時には

,こ

うした数値 に関する 計画を提出 し

,発

電事業所 と連邦政府 との間で 「協定書」を交わすことになる。

(14)

この協定書には

,①

仮に現在の発電所が目標

どおりの最良のパフォーマンスを示しているの

であれば

,さ

ららに良いパフォーマンスの域内 へ改善努力を行 うこと

,②

現在のパフォーマ ン スが基準以下であれば

,個

々のプラン トについ て最良パフォーマ ンスに達成させ ること

,そ

の ための実施計画を提出すること

,な

どが唱己され る。 事業所は効率値の改善に関する3年間の計画 書およびパフォーマンスに関する年次報告書の 提出が義務づ けられている。 この「発電効率基準プログラム」により, 1 年あた り約4百万 トンーC02の温室効果ガス削 減量が見込 まれている。

AGOに

よれば,対策費 用は

,わ

ずか 10ド ル/ト ンーC02程度であると いう。

4.3.3

自動車関連対策 温室効果ガス排出量の約10%は自動車 を起 源 とするため

,輸

送部門 も重要な対策対象 とな る。ここでは,「自動車産業環境戦略 :Automo‐

bile lndustry Environmental Strategy」 を採 用 し

,次

の ような項 目が粥た討される。 ・強制的なモデルの特定や燃費に関するラベ リング ・2006年までに

NOxの

排出基準 を国際基 準に合わせ る 。業界 と協議のうえ,2010年までに自動車燃 費を

15%改

善する 。有鉛ガソリンの前倒 し廃止 。大都市における

CNG車

のガスステーショ ン設置の促進 2000年から始 まった「代替燃料プログラム:

Alternative Fuels Program」 では

,ガ

ソリン や軽油 を

CNGや

LPGへ

代替することを目的 とした以下の 3つ のプログラムが実施されてい る(32)。 ・

CNGIP:CNGイ

ンフラ整備プログラム ・

AFCP:代

轡燃料への転換補助プログラム ・

DAFGS:軽

油 と代替燃料補助計画 例 えば

,AFCPの

プログラムでは

,1,240万

ドルかけてシ ドニー市内のバス 300台 を

CNG

車に転換する計画が進んでいる。同時に

,ア

デ レー ド・プ リスベ ン・パースで も248台 のバス を連邦政府の予算で

,CNGに

転換することが 決 まっている(33)。

4.3.4規

則 と基準 これは

,住

宅や ビル

,エ

ネルギー消費機器に ついて「エネルギー効率に関する規則 と基準」 を設定する施策である。対象機器に関 しては, 最低限のエネルギーパフォーマ ンス基準 を設定 すると同時に

,従

来のラベ リング制度を改良 し て実施する。 住宅や ビルなどの建築物については

,新

設お よび改築の商業 ビルを対象にしたエネルギー効 率基準 を強化する。これは「全国住宅エネルギー 格 付 け言十画

:Nationwide House Energy

Rating Scheme」 と呼ばれている。 また

,家

電機器や装置に関 しては

,①

強制的 なプログラムおよび

,②

自主的プロラムを用意 した。前者は

,最

低限のエネルギー消費効率を 規定 し

,機

器のパフォーマンスをラベ リングに よって表示することである。一方

,後

者は関係 者 とのパー トナーシップを通 じて

,ラ

ベ リング などを用いなが ら

,市

場に高いエネルギー消費 効率がツ受透 し,市場変革をもたらすことである。

4.3.5植

林 と森林保護の促進 植林や緑化は温室効果ガス吸収源 を拡大す る。連邦政府は,財酬木2020ビ ジョン:Planta‐ tion 2020 vision」 や「温室効果ガス対策の森林

93

(15)

-名古屋学院大学論集

フ°ロク`ラム

:Bush fOr Greenhouse Pro‐

gram」を通 じて

,商

業プランテーションや林業 の発展に対する阻害要因を取 り除き

,持

続可能 な土地利用 と林業を進める。 既に

,州

や地方政府 も将来の排出権取引を想 定 して

,植

林事業 を国際ビジネスとて展開 しつ つある。例 え `よ ニューサウスウェールズ州で は

,州

政府の森林局が管理する原生林 を「森林 証券」として販売 し

,1999年

以降

,東

京電力を は じめ とした幾つかの 日本企業 もそれ を購入 し,オ麟木を進めている。東京電力の事例では, 当初は10年間で植林面積10,000 haを 目標 と しているものの

,同

社は最大植林面積40,000

haの

オプションを有 している(34)。

4.3.6

温室効果ガス挑戦プログラム これは政府 と企業間のパー トナーシップに基 づ く

,企

業向けのプログラムである。企業は温 室効果ガス削減の自主行動計画をもとに

,そ

の 実現 を目指 して政府 と協定を結ぶ。協定を結ぶ 目的は

,政

府が企業の削減量を把握するためで ある。削減対策の多 くは

,エ

ネルギー利用や製 造工程の効率化が中心である。 1998年か らスター トしたこのプ ログラムは, 当初の見込みでは

,参

加企業 を2000年までに 500社

,2005年

までに 1,000社 とし,削減量 も 2000年までに 2,200万 トンーC02と している。 実際の参加企業数は

,1999年

央で224社であ り

,協

定上 の削減 量 は2,500万 トンーC02と なった。 この削減量は予定 よりも6年前倒 しで ある(35)。 中小企業を対象 とした同様なプログラ ムに,「温室効果ガス同盟プ ログラム:Green― house AHies PrOgram」 がある。

このプ ログラムが上騨交的 うまく機能 している のは

,オ

ース トラリア企業の競争力を強化 しな が ら

,無

理のない温暖イb寸策であるということ だろう。ただ し

,削

減量は協約上の数字である ため,どれほど実効力があるのかは不明である。

4.3.7

「温暖イb寸策室 (AGO)」 の新設 1997年 11月のハワー ド首相声明では「温暖 イb寸策閣僚会議 (環境 。遺産省

,産

業・科学 。 資源省

,水

産林業省)」の下に,「オース トラリア 温暖イb寸策室(AGO)」 という温暖イb寸策を専門 に扱 う部局を設置することを述べた。その結果, 1998年 に連邦政府の環境省内に

AGOが

設置 された。初代専務理事 (Chief Executive)は

Gwen Andrews女

史である。

4.3.8

その他の方策 その他の温暖イb寸策 として

, 1)都

市部にお ける削減対策

, 2)重

点産業の優秀事例, 3) エタノール実験プラントヘの資金援助

, 4)炭

素計算システムの開発

,5)『

国家温暖化戦略』 に関連 した施策への資金援助

, 6)途

上国にお ける

CDMの

追加的な資金援助

,な

どが上げら れる。

4.4

国際的な取 り組み これ まで述べて きたことは

,主

としてォース トラ リア国内における温暖イb寸 策である。国内 対策 と同様 に重要 なのは

,海

外諸国 と協調 しな が ら行 う国際的な取 り組みである。 自国の資金 を用いなが ら途上国で実施す る温暖イb寸 策は, 途上国援助 につなが ると同時 に

,両

国 に とって 費用効果的な対策である。 とりわけ

,そ

れが ク リー ン開発メカニズム

(CDM)や

共同実施 とし て, 自国の排出削減実績 に計上で きるのであれ ば

,そ

のプ ロジェク ト形成は重要 な政策課題 と な る。 また

,こ

れ らは将来的 に国際的な排出権 取 引 き市場 に提供で きる原資 となる可能性 も秘 めている。

(16)

多 くの先進諸国は

,既

CDMや

共同実施に つながるプロジェク ト候補の発掘に躍起になっ ている。オース トラリアも例外では無い。以下 では

,温

暖イb寸策 としての活動範囲を国際的舞 台に拡張 したオース トラリアの取 り組みを検討 してゆ く。・

4.4.l IGPの

役割 共同実施

,CDM,排

出権取引 といった国際的 な温暖化防止の取 り組みを管轄 している連邦政 府の部局は

,産

業・科学・資源省の中に 1998年 に設立 された「国際温暖化パー トナーシップ

(IGP: International Greenhouse Partner‐ Ships)プ ログラム」オフィスである。この組1哉 は

,3年

間に600万ドルを国際協力のプロジェ ク ト推進に拠出することを述べた先のハワー ド 首相声明を受けて発足 した。

IGPプ

ログラムの主たる目的は

,①

京都議定 書で盛 られたプロジェク トベースの柔軟性メカ ニズムの立ち上げを支援すること

,②

オース ト ラリアおよびオース トラリア産業が柔軟性メカ ニズムの実施経験を確保すること

,で

ある(36)。 そのため

,IGPオ

フィスは

,共

同実施 (JI)や

CDMの

受入国に対する政府の窓口となって, オース トラリア企業等が実施 しようとするプロ ジェク トを側面支援する。

IGPプ

ロジェク トの副次的な成果 として,

1)相

互にメ リットのある

CDMを

通 じて

,途

上国を温室効果ガス排出抑制の行動に巻 き込む こと

, 2)協

力国間で

,排

出量 を抑制する商品 とサービスに関連する貿易 と投資 リンクを強化 すること

,な

どもオ罰商されている。

4.4.2 AIJ,CDMの

実施状況 発足1年目の 1998-1999年 度に

IGPオ

フィ スが手がけ,ホス ト国政府によって

AIJで

ある と承認 を受 けたプ ロジェク トは

,次

4件

で あった。 ・ チ リ:天然 ガスパ イプ ライ ン修復 と天然ガ スヘの転換計画 。イン ドネシア :埋 立てガス捕獲 と利用計画 。モー リシャス:ディーゼル発電所の高効率 イ 『 十画 。モー リシャス :太 陽システムパ フォーマ ン ス監視プ ロジェク ト これ らプ ロジェク トの総投資額 は1億 2,000 万 ドル を超 え

, 1年

あた りの温室効果ガス削減 量 は約130万 トンーC02と見込 まれてい る(37)。 さらに,1998年以前か ら実施 されて きた既存の

AIJプ

ロジェク トは

,次

4件

である。 ・ フ ィジー :太 陽光発電の系統接続 ・ イン ドネシア :再生可能エネル ギー利用の 訓練・ デモ計画 。イン ドネシア :複合エネルギー計画 ・ ソロモン諸島 :エ アコン効率向上プ ログラ ム これ らを合計す ると

,IGPオ

フ ィスは発足初 年 度 に 5ヶ 国

8プ

ロジェク トの共 同実施 に携 わっていた。1999年央 において も,さ らに追加 的 な5つの計画がホス ト国の承認待 ちの段階で あ り

,別

の5つのプ ロジェク トはオース トラ リ ア企業 と彼 らの海外のパー トナー との間で事前 準備 に入 っているとされた。

IGPオ

フ ィスの年 次報告書 の付録 には共 同 実施の候補 となるプ ロジェク として,1lヶ 国 48 プ ロジェク トが リス トア ップ されている。ホス ト国は

,イ

ン ドネシアや中国

,バ

ングラデ ィッ シュな どアジア諸国が中心である。

4.4.3

炭素取引市場 1999年8月 ,オ ース トラ リアは他国に先駆 け て炭素取引市場の開設をアナウンス した。 これ

95

(17)

-は

,シ

ドニー先物取引所

(SFE)と

その子会社 であるニュージーランド先物取引所およびオプ ション交換所が

,NSW州

森林局 と覚え書 きを 交わ し

,州

政府の協力の もとに世界で最初の炭 素吸収源の市場 を創設す るとい うものであっ た(38)。 連邦政府の

AGOは

,排

出権取引市場に 関する調査研究は進めているものの

,こ

うした 市場形成プロセスには関与 していない。このア ナウンスを見 る限 り

,NSWと

いう州政府は連 邦に先ん じて独 自に環境 ビジネスに関与 してゆ こうという姿勢が伺われる。前述の東京電力が 植林契約 を交わ した相手 も,この

NSW州

の森 林局である。 炭素取引市場の開設にあた り

,SFE取

締役の Leslie Hosking氏は次のように述べている。 「

SFEは

,世

界的な流通ネットワークを用い て

,極

めてグローバルな炭素取引市場 を創造す ることがで きる。このような取引市場は潜在的 な排出 リスクを管理する方法であ り

,世

界的な 関心事である。京都議定書が発効する前に

,炭

素クレジットの取引市場 を設置することは

,こ

の分野における

SFEの

優位性 を確保すること になる」 と。 また

,NSW州

森林局

CEOで

あるボブ・ス ミ 名古屋学院大学論集 図

4-1

炭 素取 引市場 の概 念図 認証機 関

プ ール

SFE契

約要件 排 出権 市場 ス博士は

,炭

素取 引市場 に関 して次の ように述 べ ている(39)。「州の森林局は,森林 に関す る環境 商品 とサー ビスに関す る新 しい ビジネスの発展 機会 を確保 した。招来 における私達の役割 は, 森林 に投資 をす るサー ビス業者 になることであ り

,そ

れ は一連の環境製品を産出す ることであ り

,こ

れ には炭素 クレジッ トや グ リー ンエネル ギー も含 まれ ると考 えている。炭素クレジッ ト の売買市場 は

,21世

紀 の新 しいそれであ り

,森

林 が持つ環境 関連 の利益力将余々に

,大

きな商業 価値 を持つ ようにな るだろ う」。

NSW州

森林 局 と

SFEと

が構想す る炭素取 引市場 は

,図

4-1に概念的 に示 されてい る。森 林 の植生や大 きさに よ り吸収 され る炭素量 を第 三者機関で認証 し

,そ

れ を「炭素プール」 にま とめ る。市場参加資格 な ど要件 を満た した者が 取 引市場 で

,こ

れ を売買す るとい うものだ。 リ ス クヘ ッジや投機的な経済活動のために

,現

物 のみな らず先物や先渡 しといった商品開発 も視 野 にいれている。

SFEの

当初構想では,2000年半ばに,炭 素ク レジッ トの交換 が開始 され るこ とになって い た。しか し2001年初 の段階で も,未だそれは実 現 されていない。一方

,英

国では

,ロ

ン ドン先 栽 培者 ↑

↑ く機 関 に よる炭 素の認証 〉

く市場 の要件 〉 (出月斤

)NSⅥ

r Department of Forestry 州営森林 その他森林 州 営 森林 の 炭 素 プ ール シ ドニ ー 先物 市場

SFE

その他森林 その他 市場 その他森林 炭 素 の 認 証 その他 の 炭 素 プ ール 契 約

(18)

物市場で2002年か ら排出権取引を開始すると 発表 した。 また, 日本で も企業数社が集 まって 排出権の店頭市場 を運営する構想 も明らかにさ れている。こうした動 きによって

,SFE力

玲」業 者利益iを得 ることができるかどうかは予断を許 さないれ 炭素吸収源 としての森林やそれを利 用 した取引市場など

,国

際的な炭素ビジネスを 通 じた温暖イb寸策は他の先進諸国に先ん じてい ると言ってよいだろう。

5

お わ り に オース トラリアは

,相

対的に多 くの温室効果 ガスの排出 している国である。これは

,石

炭を 中心 とした化石燃料や牧 畜を中心 とした農業 に

,国

の経済 を委ねていることと深い関係があ る。こうした国情 を踏 まえても

,オ

ース トラリ アの地球温暖化に対する取 り組みは極めて積極 的であるということができよう。 もちろん

,京

都議定書 という国際的な協約署名においては, 「国益力寸員なわれない」 という基本的な立場 を 明確 に している。 しか し

,そ

れが国内対策およ び国際的な取 り組みを消極的にしているわけで はない。 現段階では京都議定書の発効は

,極

めて不透 明な状況にある。そのため

,条

約を守るため と いった喫緊性は先延ば しされる可能性は高いも の

,オ

ース トラリアは温暖イb寸策を国の重要な 政策課題 として組み込み,着実に実施 している。 オース トラリアのみならず

,関

係各国は

,同

様 な対策メニューを用意 しているわけであるか ら

,そ

れを着実にこな してゆ くことが

,地

球市 民 として道義的に求め られていることなのであ ろう。 参考文献

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OECDに

加盟 していた国々お よび ロシアや東欧 な どの移行期経済諸国。 (3)正確 には「条約」 として成立 していない。そのた め,1米国は「条約」か らの離脱ではない し,現在は 草案検討の段階で しか過 ぎない, としている。示都 議定書が条約 として発効するための条件は,①議定 書を批准 した国が55ヶ国以上に達 し,②これらの国 のC02排出量が条約付属書I諸国のそれ (1990年) の55%を超 えること,で ある。2001年の3月末段階 で も条約に批准 した先進国はルーマニア1カ国に過 ぎない。

EUや

日本は2002年の条約発効 を目標 と していた。 (4)米国上院議会は,京都議定書が署名される以前の 1997年 12月に,パー ト・ヘーグル提案を95-0で決 議 している。その内容は,温暖イけ寸策 としての国際 条約が,①発展途上国について も同 じ遵守時期に温 室効果ガス削減が求められること

,C米

国経済に深 刻な被害 をもたらす内容でないこと,である。 この 決議があるため,京都議定書に署名 したクリン トン 大統領 も議会提案を行わなかった し,ブッシュ大統 領力編義会に批准提案をしたところで,可決 される見 込みは小 さい。 (5)「京都メカニズム」 とも呼ばれる。排出権 取引,

CDM(ク

リーン開発メカニズム),共同実施 といっ た3種類の対策。これ らは,自国内で温室効果ガス 削減 を行わないで も, 自国資金を使 って他国 。他地 域において削減すれは その量を自国の排出量にカ ウン トできる仕組み。 (6)『毎 日新聞』2001年3月 30日 (7)オース トラリアのエネルギー需給については,拙 稿 (2000)を 参照。 (8)日本の対応策や課題については,拙稿 (1999)を 参照。 (9)第二回国際連合気候変動枠組み条約締約国会議 地球温暖化防止京都会議 とも呼ばれる。1997年 12 月1日∼11日に京都国際会議場で開催 された。 (10 Haward,J"(1997) (11)τttι 4%s′%α′η多,Tue 3 April,2001,Page 13

(10 United Nations Flame work of Climate Change 圧 (1)ホワイ トハウスのAri Fleischer報 道官が「大統 領は京都議定書を支持 しない」 と語ったことから, それ までに同様な憶測はあったが,この時点で米 国 の京都議定書破棄の態度が明確 にされた。米国は京 都議 定書 とは別の枠組み を提案す るとしている。

1ヽTe、ァYOrk′riines,14arch 27.

(20)

01 EDMCノIEEJ(2001)1998今 イ斉.

01 AGO(2000,a)気

候変動枠組み条約 に基づ き,1996年 以臨 各国はヽ年インベントリを条綺事 務局に提出することが求められている。オース トラ 1'アの目録は,最新版の「温室効果″ス排出および 咽Л又に関するオース トラ1,7の方ヽ去論 (,″ 4埓・ ′″′,α

"″

グあ′り′リリ カ7ι″

`ム

ι,″α `,0"″ Cア ``И ′′o“マ6●s2,,"isl,"s´ "′ Si,メ

s,NGGIC

(19%))お よび 1996■ 1997年,そ して 1998年 に 公開されたr国家温 室効果″スロ録」とその方法議 を用いて準成される.方法崎は定期的に更新され 最新年の日録を計算すると同時に,●去の目録も再 計算される.ただし,原野の開墾に関連した排出量 は「森沐および」地 変換 “

F&CC):For“t md

CraЫand Conヽ er銀o■」サフ・セクタのリヤILttt'錦十

における大きな不確定要茉ガ存在するために,排出 量の合計値には,■■されていない。 01 排出■の単位は,出所データに従って表記してい るが,二酸イtJそ素換算(トンーCO,)と 炭素快算│(ト ンー

0の

値整調は,分子数を反映 して,前者は後者 の 44/12倍 となる。 01 コV鬼庁 (1990 00 この磁 事情峙 先の1断高(2000を 鬱熙. (1' 前傾ACO(2000.a).p.vl l

("ACO(2∞

0.b) の ' Commonvealth of Austraha(1997)p.6 10 UNEP/1PCC(2001)

│' Con■ nonwea]tb of Au“,alla(1998)

"│ これ喘 もともと2000年7月から導入 した一取 消費税(CST)の解説や使造を示すための首相声明 であつた。

CSTの

使途の‐Fとして「より良い興 発 のために」というサアタイトルをつけた環琴レま策費 が明示されている。Howard(1999) の 前褐 The Australian(2001) の 国主開発・ 開螢や森林の扱いなど,土地利用に関 す るCO,の 排 出 ■及収 に関 す る計 算 方式 は,

UNⅨ

℃ 編約国会議で も末だ統一されたものはな い。国によっては,こ の計算方式の差果が実効上の 京都議定書日凛を大きく左右するために,議論は紛 'り !している. 20 これは,2∞ 1年1月から実施されている.適用範 囲は10万 Vのグ リッドに接続 している①電力小 売業者(配電会社),②他の卸売 り電力購入業者,③ プールを通 して直接 。間接的に電力を購入する者, さらに④発電所から直接的に電力を購入する者であ る。対象となる:再生可能工不ルギー発電の形式は以 下の 12種類。①太陽,②風力,③海洋・波力・潮力 発電,④水力,⑤地熱 ⑥バイオ燃料 (埋立て地ガ ス,パイオガス,バイオマス),C特定の廃棄物(農 作物のパイオマス副産物,ただ し農業目的のための 大規模な土地浄化は除 く)や持続的に管理される森 林営によるパイオマス副産物 (食品加工業 と食品生 産業のバイオマス副産物)や下水処理によるもの(地 方自治体の混合廃棄物のバイオマス成分:規制当局 に承認された他のバイオマス廃棄物),③太陽温水 器,⑨揚水発電,⑩独立的再生可能エネルギー発電 システム,①再生可能エネルギーと化石燃料 との混 焼発電,さ らに⑫再生可能エネルギーを利用 した燃 料電池。適格発電所は「再生可能エネルギー電力証 書」を取得 し,規則の対象となる電力購入者は,「証 書」の受け渡 しによって, 自身が供給する電力が再 生可能エネルギーであることを証明する。 (2つ Northern Territoryの 電力供給は,専ら天然ガ ス火力に依存 している。 (28)Tasmania州 の電力は,一部小島に風力発電があ

るI以外は,IIydrO― Electric COrpOrationに よるフト

カ発電所からの電力供給に依存 している。

99)ABARE(1999)

(30)AGO(2000,c)

01)AGO(2000,d)

00 前掲AGO(2000,c) (33)Hill(2000) (34)NEDO(1999) (35)AGO(2000,e)p.II-4 (36)IGP Office(1998) (3つ IGP Office(1999) 00 SFE(1999) 09 前掲SFE(1999) 本研 究 は,1999年度 長期在 外研修 の研修 成果 の一部 で あ る。

99

参照

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