原 著 〔害女医蕪,錫64巻平灘甜骨〕
脾臓皮下固着ラットを用いた肝温阻血限界の再評価
東京女子医科大学 第三外科学教室 トウ ジン バラ 唐 仁 原 (主任:太田和夫教授) タモツ全
(受付 平成5年6月17日) Revaluation of Normothermic Ischemia Tolerance o.f the Liver Using in Situ Rat Model with Subcutaneous Transposition of the Spleen 7amotsu TOJIMBARA Department of Surgery III(Director:Prof. Kazuo OTA) Tokyo Women’s Medical College It is generally accepted that the liver is acutely sensitive to anoxic damage, although some reports suggest that the liver can tolerate substantial warm ischemia even for periods up to 60 minutes and rnore. The present study was undertaken to revalue the ability of the liver to tolerate prolonged warm ischemia. Subcutaneous transposition of the spleen(STS)was developed with the aim of creating portosystelnic anastomosis, The author used this method in order to exclude the influence of portal congestion. Experiment I;In a non−shunt group(group 1), no rats survived after 45 rninutes ischemia, while all rats survived in an STS group(group 2). In group 2, ATP recovery rates after 45 minutes ischemia were significantly higher than those of group 1.After the lschemic load, liver function. was significantly better in group 2 than in group 1. Experiment II:The survival rates 7days after various ischemic periods(60,90,120 minutes)were 100%,100%, and 87%, respective− 1y. Twenty four hours after reflow, theβATP/Pi ratio recovered to pre−ischem1c Ievels in each ischemic period. Electron micrographic findings revealed Inild edema of Disse’s sbaces as well as mitochondrial sweliing. However, such liver changes were not severe and seemed to be reversible. These data suggest that concomitant decolnpression of the splanchnic vein allows extension of the normothermic ischemic period for as long as two hours. 緒 言 肝腫瘍や肝外傷などに対する外科手術に際し て,門脈遮断による出血のコントロールはしばし ば用いられる手技であり1),また肝移植において は移植肝の完全な血流の遮断が不可避である. 肝は従来より低酸素状態あるいは無酸素状態に より傷害を受けやすいといわれ,その細胞傷害は 阻血中ばかりでなく阻血解除後にも進行すること が知られている2)3).しかしながら,阻血によって 生じる可逆的あるいは非可逆的な肝細胞傷害発生 のメカニズムについてはいまだ不明な点も少なくない.このため種々の肝阻血モデルが呈示さ
れ4)5),肝細胞レベルでの阻血傷害の観察や肝の viability判定についての研究がなされている6>. 肝の温阻血限界は20∼30分であるといわれ,一 般に温阻血により傷害を受けやすい臓器であると 考えられている.一方,門脈遮断により生じる腸 管循環の欝滞を回避すれば肝の温阻血限界は延長 するという報告もあるが5)η,実験モデル・麻酔方 法などによりその成績はまちまちであり,一定の 見解は得られていない.とくにin situにおける肝 温阻血モデルについては,部分肝阻血モデルや門脈一大静脈バイパス法を用いた全山二二モデルな どが広く用いられている.これらはいずれも肝門 部遮断時に生じる腸循環の欝滞を回避することを 意図したものであるが,肝の部分的な阻血である ことやバイパス流量の均一化が困難なことなどに より,必ずしも純粋な肝阻血モデルとはいいがた い. 今回筆者は,肝門部遮断時に生じる腸循環の欝 滞を回避する目的で脾臓皮下固着術8)9)を施した ラットを用いて肝温阻血中および阻血解除後の細 胞内エネルギー代謝の変動と超微細構造を経時的 に観察し,肝温心血モデルとしての有用性と肝温 阻血限界の再評価を試みたので報告する. 対象および方法 1.基礎実験:脾臓皮下固着ラットの作製およ び肝温阻血モデルとしての評価
体重150g前後のWistar系雄性ラットを用い
た.なお本実験は,東京女子医科大学の動物実験 に関する指針(規定)に準拠して実施した. 無処置群を1群,脾臓皮下固着術(subcutane− ous transposition of the spleen:STS)を施行し たものを2群とした.晶群ともに食餌・水分を自由に与える同じ条件下で飼育し,2群のSTS施
行4週後に下記の肝温阻血実験を行った.両群と もラットは阻血負荷12時間前から水分摂取のみと した.4週後の温阻血実験時の体重は280∼370g であった. 1.脾臓皮下固着ラットの作製(図1) エーテル浅麻酔下に左肋骨弓下に約1cmの皮 膚切開をおき,皮下を鈍的に剥離し皮下ポケット を造設した.ついで筋層を鈍的に分けて開腹し, 脾臓を腹腔外に脱出させ皮下ポケット内に固着し た(2群). 2.STS施行後から阻血実験までのラットの観 察 1)体重測定および生化学的検査 両群における温下血実験までの体重および血清 glutamate oxaloacetate transaminase(GOT) 値,glutamate pyruvate transaminase(GPT) 値を1週聞に1回の間隔で測定した.GOT, GPT 値の測定にはKarmen変法を用いた. 2)門脈造影STS施行後3週目に腸山山静脈より61.24%
iopamido1(Iopamiron⑪,日本シェーリング)0.5 mlを注入し門脈造影を行った. 3.全肝温阻血実験 エーテル浅麻酔下に開腹後,肝動脈・門脈・総 胆管をプレジェット付き血管クリップ(Vascu− Statt⑪, SCANLAN二二)を用いて一時的に遮断 し,in situ二二二巴モデルとした. この肝二部血流遮断を行った両群のラットを, 遮断時間によりそれぞれa,b,cの小群に分けた. 血流遮断によりそれぞれに与えた温阻血時間はa 群;20分,b群;30分およびC群;45分であり, これらの各小群を対象として下記の項目について 検討した.二丁実験中は温水ボトルにて保温し, 30分毎に生理食塩液0.3mlを陰茎静脈より投与し ている. 1)生存率 それぞれの小群につき5匹ずつを用いて,四温 阻血後の1週間生存率を両二間で比較した. 2)肝逸脱酵素の測定 セ い講ま轡 、隙
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,∠ 図1 脾臓皮下固着(STS)ラットの模式図 Peritoneum MusC【e Iayer Skin Pancrea5 讐 ,両群における血清GPT値を二三前,.血流再開 後10分,60分,1日,2日および7日後に測定し
た.血清GPT値測定のための採血は1匹につき
2回までとし,各時期における匹数はそれぞれの 阻血時間につき阻血前5匹,血流再開10分後5匹,60分後7匹,1日後7匹,2日後7匹,7日後5
匹であった. 3)肝二部遮断前後における高エネルギーリン 酸代謝の観察 3正P核磁気共鳴(31P−NMR)spectrometryを用 いて,二巴前,阻血中および血流再開後の細胞内 エネルギー代謝を検討した.31P−NMRスペクト ルの測定に用いた実験動物は,各二二時間におい てそれぞれ6匹であった. (1)31P−NMRスペクトルの測定 測定には,大塚電子二三BEM−250/80(2.1 tesla)による表面コイル法(直径1.5cm)を用い た.測定条件は,31P共鳴周波数34.48MHz,パル ス幅30μsec,パルス繰り返し時間2.Osec,積算回 数300回,line broadening factor 10とした.肝細 胞内エネルギー代謝の指標として,β一adenosine triphosphate回復率(β一ATP回復率),β一ATP/ lnorganic phosphate比(β一ATP/Pi),肝細胞内 pHを測定した. (2)β一ATP回復率 血流再開60分後のβ一ATPを,阻血前のβ一ATP スペクトルの面積に対する百分率で表した. (3)β一ATP/Pi比 β一ATP/Piはβ一ATPとPiの面積比で表し,阻 言前,血流再開60分後および24時間後に測定した. なお,各スペクトルの面積算出にはスペクトル解 析用ソフト(FIT,大塚電子二二)を用いた. (4)組織内pH 肝細胞内pHは, Malloyら’o)による以下の式よ り求めた. pH=6.75十log(σ一10.75/13.25一σ) (σ;Piとα一ATP間の化学シフト差) 4)電子顕微鏡的観察 1−b群,1−c群および2−b群,2−c群に対し電子 顕微鏡的観察を行った.肝組織は,血流再開60分 後および24時間後に肝二葉辺縁および中心部より 採取した.切除片は約1mm3に細切したのち2.5% グルタール・アルデヒドおよび1%オスミウム酸 にて固定後,脱水,エポキシ包埋した.これらの ブロックより超薄切片を作製し,酢酸ウラニール とクエン酸鉛にて二重染色を行ったのち,電子顕 微鏡的に観察した.各切片から少なくともhe− patocyte, bile canaliculi, endothelial cellの3 者を含んだ代表的所見を呈する部分を撮影し,肝 細胞内mitochondria, endoplasmic reticulum (ER)などの細胞内小器官の変化,さらにbile canaliculi, endothelial cellなどの変化について, その所見を一から+3までの4段階に分け比較検 討した. II.応用実験:脾臓皮下固着後in situ肝温阻 血モデルにおける温阻血限界の検討 実験1−1で述べた方法に準じてSTSラットを 作製し,皮下固着3週間後に実験L2で述べた方法 で肝門部遮断を行い(60分,90分および120分), 肝阻血モデルを作製した.これを用いて以下の項 目について検討した. 1.生存率 各二三時間における血流再開後1週間の生存率 を60分,90分,120分阻血について比較検討した. 実験動物は60分,90分阻血群はそれぞれ5匹,120 分阻血については15匹を用いた. 2.肝逸脱酵素の変動 血流再開後24時間,48時間および7日後の血清 GPT値を測定した.それぞれの時期における測定 の数は5匹であった. 3.高エネルギーリン酸代謝の変動 31P−NMR spectrometry(BEM−250/80)を用い て,下記の項目について測定した.測定条件は実 験1のそれに準じた. (1)β一ATP回復率 血流再開60分後のβ一ATPを,阻血前のβ・ATP スペクトルに対する面積比として算出した. (2)阻山前,血流再開60分後および24時間後の β一ATP/Pi比の変化を観察した. (3)肝細胞内pHの変動 実験1と同様に31P−NMR spectrometryより得 られたPiとα一日目Pの化学シフト差を用いて,面細胞内pHを算出した. 4.電子顕微鏡的観察 それぞれの阻血時間につき,血流再開60分後お よび24時間後に左葉より組織を採取し,電子顕微 鏡的に検討を行った.超薄切片作製およびその染 色は実験1に準じて行い,実験1における電子顕 微鏡的検討と同様に,肝細胞内小器官,内皮細胞, 胆管上皮のそれぞれの所見を4段階に評価して比 較検討した. 5.統計学的処理 測定結果はmean±SDで表し,統計学的有意差 検定にはStudent−t testを用い, p<0.05をもって 有意とした. 成 績 1.基礎実験 1.STS施行後から阻血実験までのラットの観 察 STSはすべて成功し,この操作により死亡した ラットは認めなかった. 1)術後の体重および肝逸脱酵素の変動
図2はSTS施行日より二二実験開始までの体
重変化を示したものである.体重は1群(無処置 群)で160.9±4.Ogから368.5±20.1gに,2群 (STS群)で160.2±4.4gから356.2±17.3gにそ れぞれ増加した.両二二に有意差を認めなかった. 脾臓皮下固着術後より二二血実験までの期間内に血清GOT・GPT値は明らかな変化を示さな
かった.2群における観察記間中の最高値はそれ body weight 500gノ
ト9roup 1 ●一一9roup 2 それ109.8±40.61U/L(GOT),32.5±5.OIU/L (GPT)であり,1群の結果(それぞれ111.7±48.1 1U/L,30.9±4.31U/L)との間に有意差を認めな かった. 2)門脈造影 図3のように皮下に固着した脾臓周囲に豊富な 側副血行路の発達を認め,腸間膜静脈より注入し た造影剤は大循環系へ流入した.血管クリップに よる肝門部遮断により,肝臓への造影剤の流入は 認められなかった. 2.全気温二二実験 1)生存率 図4に全町阻血後の1週間生存率を示す.1群 2 3 4 week5 図3 STS施行3週間後の門脈造影 肝門部遮断により肝への造影剤の流入を認めず,皮下 に固着した脾周囲に発達した側副血行路から大循環へ 至る門脈一大静脈シャントが形成されている. ischemic time 20min 1 30min 45min 0 図2 STS施行時より4週間の体重変化 1群:無処置群,2群=STS群. 100% 100% 60% 100% 0% 100% □9roup l Zgroup 2 0 100% 図4 肝温鼻血後の1週間生存率 1群:無処置群,2群lSTS群。(無処置群)における生存率は,a群:100%, b
群:60%であり,c群では全例死亡した.2群
(STS群)においては,いずれの阻血時間について も全例が生存した.2)血清GPTの変動
畑稲血時間における両群の血清GPTの変動を図5に示す.血流再開24時間後にGPT値は最高
値を示し,48時間後には急速に低下した。いずれ GPT(IU/2) 2000 1000 一9roup 1●一一 Xroup 2 GPT{IU/2) 2000 1000 10而陪60min 20.15ch巳mia 24hrs 48hrs 7day5 3630士541 「OminεOq距in 24hrs 48hrs 30’ischemia 7day5 GPT(1U12) 2000 1000 45’ischemヒa 図5 各阻血時間における血清GPT値の変化 1群:無処置群,2群:STS群。 上段左:20分阻血(a群),上段右:30分阻血(b群),下段:45分阻血(c群) PME Pi PDE PME:phosphomonoesters Pi :inorganic phoSphate PDE:phosphodiesters ATP:adenosine tripho5phate ADP:adenonsine diphosphate NAD:nicotineamide dinucleotide α’器, 「’墲o
N監DH β・ATP }schemia 10min controI 一40,000 −20,000 0.000 20.000 40.000 FREQUENCY IN PPM 図6 in situラット肝の31P−NMRスペクトル 上段:温品血開始後10分のスペクトル,下段:阻隔前のスペクトル.の阻血時間においても,血流再開24時間後におけ
る1群のGPT値は2群に比べ有意に高かった
(p<0.01).なお,血清GPT値が8,0001U/L以上 を示す例は全例死亡した. 3)温阻血前後の高エネルギーリン酸代謝の変 動 (1)31P−NMRスペクトルの測定 in situラット肝においても図6下段のように 鮮明なスペクトルが得られ,.phosphomonoester, 無i機iリン(Pi), phosphodiester, ATPなどの識別 が可能であった.また肝門部遮断により,β一ATP は速やかに低下し,10分前後に測定限界以下と なった(図6上段). (2)温阻血後の肝細胞内高エネルギーリン酸代 謝の変動 β.ATP(%)(%) 口9roup 1 100 囮9roup 2 * 一 50 20’[schemla 3σischemla 45 ischemia 図7 各阻血時間における血流再開60分後のβ一ATP 回復率 1群:無処置群,2群=STS群,*pく0.05. 両群ともに肝門部遮断後β一ATPシグナルは急 激に減少し,全例ユ0∼20分以内に測定限界以下と なった. 血流再開60分後のβ一ATP回復率は,阻血20 分・30分では両群に有意差はなく1−a群,1−b群で はそれぞれ阻血前値の79.7±5。1%,75.5±7.5%, 2−a群,2−b群では81.8±9.2%,84.3±12.6%で あった.阻血45分では,1−c群;36.7±3.2%,2−c 群;51.3±6.4%と両群ともに低下しており,特に 1群においてその低下は顕著であった(図7). 血流再開後60分および24時間のβ一ATP/Pi比 は,20分,30分阻血においては両群間に有意差を 認めなかった(図8左).一方,45分阻血では,血流再開60分後のβ一ATP/Pi比が1群において
0.10±0.09(1−c群)であるのに対し,2群におい て1.08±0.05(2−c群)と高値を示した(p<0.01)。2群ではβ一ATPの増加に加えてPiの減少を認
め,相対的にβ一ATP/Pi比はコントロール値より 上昇した(図8右). (3)肝細胞内pH 図9に肝細胞内pHの変化を示した.肝細胞内 pHは,両群とも阻血開始直後より低下したアシ ドーシスを呈した.とくに1群においては,血流 再開後もアシドーシスの遷延する傾向が認めら れ,1−c群では60分後,24時間後も二言前論まで回 復しなかった. £ 雪 ζ 睾 竃 5.01
』「一→1一「一一一 ε .雲 ミ 註 竃 5.e * ◎一9rouρ1 ・一Xroup 2.象’03。L鞍、_,譜鷺w ㌦漁巳L惣i隔,諸島w
iSChemia iSChemia 図8 各阻血時間における血流再開60分後および24時間後のβ・ATP/Pi比 1群:無処置群,2群:STS群,*p<0.01. 左:20分・30分目血(a,b群),右:45分阻血(c群).pH 7,700 7,500 7,300 7,100 6,900 6,700 △ ●会
←一r一→ト
pH 7,700 7,500 7,300 7,100 6,900 6,700 ネ/一一
。9roup 1 ・9roup 2 .1焦80mh幽,、me燕,1.w 蕩画,、。, a,,,,2畿w ischemia ischemia 図9・肝細胞内pHの変化 1群:無処置群,2群:STS施行群. 左:20分・30分明王(a,b群),右:45分阻血(c群). 4)電子顕微鏡的変化 表1は各温阻藁薦の肝組織の電子顕微鏡所見を まとめたものである.1群においてはいずれの阻 血時間においても組織傷害は高度であり,30分温 丁丁後にもmitochondriaのswellingやcristae の変性が高度に認められた.30分温二二後の肝組 織傷害は血流再開60分後より24時間後に強く, mitochondriaのrupture, bile canaliculiの傷害, 表1 各々における電子顕微鏡的所見(1群:無処置群,2群 STS施行群) group1 group2warm ischemic time 30min 45min 30min 45min
time after re£ow 60mln 24hrs 60min 24hrs 60min 24hrs 60min 24hrs
Hepatocyte mitochondrial swelling 2十 3十 3十 3十 一 一 十 十 degeneration of cristae 2十 3十 3十 3十 一 一 一 一 mitochondrial rupture 一 3十 3十 3十 一 一 一 十 injuly of ER 一 十 2十 3十 一 一 一 injury of biIe canaliculi 十 3十 3十 3十 一 一 一 『 increase of heterochromatin ’十 3十 2十 3十 一 一 『 一 degeneration of cell rnembrane 十 十 十 2十 一 一 一 一 fat droplet 十 十 十 2十 一 一 } 一 Endothelial celI edema of Disse’s space 十 2十 十 3十 一 _ 」 一 『 CytOplaSmic swelling 一 3十 3十 3十 皿 一 一 degeneration of cell membrane 一 2十 2十 2十 一 一 一 } Bile duct epithelial cell destruction of cell membrane 十 十 2十 各群(温阻血時間:30分,45分,検査時期:60分後,24時間後)において,肝細胞に関してはミトコンドリ アの膨化,膜の破裂,クリスタの変性,小胞体(ER)の傷害,微細胆管の傷害,細胞膜の変性,脂肪穎粒の 沈着,ジヌソイドに関してはDisse腔の拡大,内皮細胞の腫大,細胞膜の変性,胆管上皮に関しては細胞膜の 変性などについて,その変化の程度を一から+3までの4段階に評価した.
癖轟3・
に魔:繍.・、飯
図10 1−b,1−c群の電子顕微鏡的変化 1群においては30分温阻織綾にも肝細胞傷害が高度であり(c,d), mitochondriaの rupture, bile canaHculiの傷害, heterochromatinの増加, endothelial ce11の変性が 認められる(c,d,e,f). a,b=contro1, c:1−b群(30分阻血)血流再開60分後, d=1−b群 血流再開24時間後, e:1−c群(45分阻血)血流再開60分後,f:1−c群 血流再開24時間後. a,d:×4,000, b, c, e, f:×15,000. heterochromatinの増加,内皮細胞の変性などが 認められた(図10).これに対し2群では電子顕微 鏡的な変化をほとんど指摘できず,わずかに血流 再開24時間後にmitochondriaの軽度の腫大を認 めるのみであった(図11). II.応用実験 1.生存率 図12に示すように,STSラットにおける60分, 90分肝阻血後の1週間生存率は100%であった. 120分阻血においても,15難中13例(87%)が生存 した. 2.肝逸脱酵素(図13) 血清GPT値は血流再開24時間後に最高値とな りその増加は阻血時間と比例した(60分;1,143± 2241U/L,90分;2,021±1,0001U/L,120分; 5,427±1,8291U/L).しかし基礎実験と同様に48 時間後には急速に低下した. 3.高エネルギーリン酸代謝の変動 1)β一ATP回復率 それぞれの阻血負荷を与えたラットにおける血 流再開60分後のβ一ATP回復率は,60分阻血で 48.7±13.2%,90分阻血で38.1±15.9%,120分阻図11 2−b,2℃群の電子顕微鏡的変化 2群においては,45分阻血後も明らかな電子顕微鏡的変化を指摘できず,わずかに mitochondriaの腫大を認めるのみである。 a,b:control, c:2−b群(30分欝血)血流再開60分後, d:2−b群 血流再開24時間後, e:2℃群(45分阻血)血流再開60分後,f12−c群 血流再開24時間後. a,b, c:×15,000, d, f:×4,000, e:x10,000. ischemic 亡ime 60mh 90min 120min 100% 図12STS施行ラットにおける肝温阻血後の1週間 生存率 血で31.0±11.9%となり,欝血時間の延長ととも にATPの回復率は低値を示す傾向にあった(図 14). 2)β一ATP/Piの変動 図15にそれぞれの懇懇時間における血流再開後 60分および24時間のβ一ATP/Pi比の変化を示し た.いずれの阻血時間においても,血流再開60分 後のβ一ATP/Pi比は。.6前後を示し,24時間後に は60分阻血で5。20±1.35,90分阻血で4.83±1.42, 120分欝血で4,44±0.75と阻血前値まで回復した. 3)肝細胞内pHの変動 肝細胞内pHは,阻血時間の延長とともに低下 し,いずれの群においても阻血中に最低値を示し た.その回復は,60分獲麟では血流再開60分後ま でに前値に復するのに対し,90分野120分阻血では
GPT(lu/L) 5000 4000 3000 2000 1000 / / / .
//
/// 〃! 6020±1392/1\
/’・、 、/ \\
\
へ, 、&、 一 60min i5chemia o一一一 90min ischemia o一一「20min ischemia コ \こ\ ㍉、ごここ…. β・ATPIPi 5.0 獣・、
・\ 矛’ /二!//
/ノ「// 一・…一
Q卿一一 90min ischemia / / / σ一・一120min lschemia ’/ ノ pre’15chemla 24hr5 48hr5 7 days time after reflow 図13STS施行ラットの60分,90分,120分温阻血後の 血清GPTの変化・ 漏 24h・s
time after re刊ow 図15STS施行ラットの弓削阻血時間における血清 再開60分後および24時間後のβ・ATP/Pi比の変化 pH 7,700 7,500 7,300 7,100 6,900 6,700 6,500 β一ATP(%) 100 50 E伽in Isch㎝la 9㎞in I麟emra l20面n i蜘mia 図14STS施行ラットの各温阻血時間における血流 再開60分後のβ一ATP回復率 監 ! !! ! !! !ノ !! ン。 ,’ρ’㌧/一一
_60min
・___90min σ一一一120min蹴9臨L_訟
図16STSラットの阻血前後における肝細胞内pH の変化 血流再開60分後もアシドーシスが遷延していた. しかし血流再開24時間後には,いずれの阻血時間 においても阻血前値まで回復した(図16). 4.電子顕微鏡的観察 表2は二二阻血後の肝組織の電子顕微鏡所見を まとめたものである..血流再開60分後にも24時間 後にも阻血による傷害は比較的軽度であり,mito・ chondriaの軽度の膨化やcristaeの部分的な変性 が主な所見であった.しかし90分および120分阻明 後には,一部にheterochromatinの増加, mito− chondriaの破裂および肝細胞膜の変性を認め,細 胞内に脂肪滴が出現した(図17,18). 考 察 1.肝温阻血モデルとしてのSTS 腸管の静脈血は門脈を介して肝へ流入し,肝静 脈を経て大循環系へ至る.この解剖学的特徴によ り門脈の急性遮断に際しては腸管の欝血を生じ る.イヌにおいては肝動脈・門脈の同時血行遮断 において20分が許容限界であり,30分以上の遮断 は致死的であるとされてきだ1)12).とくに門脈遮 断時の腸管欝血は心拍出量の急激な低下13),代謝 性変動14>,endotoxemia15)さらにはDIC16)など重 篤な病態を惹起することが知られている.ラット においても,腸管欝滞を解除しなければ35分間遮 断で100%死亡するとされ17),今回の基礎実験の成 績とほぼ一致している.このためin situにおける 肝門遮断では,肝に対する阻血傷害とともに腸循 環の欝滞が生体に大きな影響を及ぼすと考えら れM),肝阻血の実験モデルとして門脈一下大静脈 吻合18)やチューブにより門脈血をバイパスする方表2 STSラットにおける血流再開60分後および24時間後の電子顕微鏡的変化
warm ischemic time 60min 90min 120min
time after reHow 60min 24hrs 60min 24hrs 60min 24hrs
Hepatocyte mitochondrial swelling .十 十 十 2十 十 2十 degeneration of cristae 一 } 十 十 十 十 mitochondrial rupture 一 十 十 十 十 一 injuly of ER 一 一 一 一 injury of bile canaliculi 一 一 一 一 一 一 increase of heterochromatin 一 十 十 一 十 degeneration of cell membrane 一 一 十 一 十 十 fat droplet 一 一 2十 十 十 十 Endothelial cell edema of Disse’s space 一 一 一 一 一 一 cytoplaSmiC Swelling 一 一 一 一 十 degeneration of cell membrane 一 一 一 一 一 一 Bile duct epithelial cell destructlon of ce11 membrane 山群(温阻血時間:60分,90分,120分,検査時期:60分後,24時間後)において,肝細胞 に関してはミトコンドリアの膨化,膜の破裂,クリスタの変性,小胞体(ER)の傷害,微 細胆管の傷害,heterochromatinの増加,細胞膜の変性,脂肪顯粒の沈着,ジヌソイドに 関してはDisse腔の拡大,内皮細胞の腫大,細胞膜の変性,胆管上皮に関しては細胞膜の変 性などについて,その変化の程度を一から+3までの4段階に評価した. 法19)のほかに部分肝阻血3)20)などが用いられてき た.しかし,小動物に対するバイパス術はその開 存性やシャント流量の均一化が困難なことや,異 物との接触により血液凝固能が:充進ずることも考 えられ,従来報告されている温阻血限界(75∼90 分21)∼23))に影響を与えている可能性がある.また 部分肝阻血モデルにおいては正常肝が残存するた めに,阻血傷害の全身に及ぼす影響が軽減される 可能性のあることや,血流再開後の微小循環障害 により肝組織血流量ならびに投与された薬剤の分 布が正常肝側と阻血肝側で異なることも予想され る.同様の機序により,傷害肝の相対的な血流減 少が生じ阻血傷害からの回復に悪影響を及ぼす可 能性も否定できない.部分肝阻血の血流再開後に 正常肝部分を切除する報告もあるが,急激に減少 したhepatic massへの門脈血の注入によって,類 洞のsphincteric action24)が充漏し微小循環障害 が助長されることも考えられる. 現在広く用いられているラット部分肝阻血モデ ルはfree radicalの研究や子午流傷害のmecha− nismを検討するうえで有用であり,バイパスを用 いたモデルも各種薬剤の阻隔に対する保護効果を 検討するには優れたモデルであるが19>21)∼23),以上 の点から純粋なischem量a modelではないといえ る. 脾臓皮下固着術(STS)はBengmarkら8)9>に よって考案され,約3週間で脾臓周囲より大循環 系へ連絡する側副路が完成するとされている.当 初の目的は,門脈循環への薬剤投与を意図した簡 便なアクセスの作製および門脈圧充進症に対する 簡便かつ有効な門脈一大静脈シャントを作製する ことであった8)9)25).この手技により血管吻合を必 要とせず小動物においても容易にしかも確実に門 脈一大静脈シャントが形成され,チューブシャン トによる門脈一大静脈吻合モデルにおいて問題と なる手技的な因子や開存性の問題が除外できる.
図17STSラットにおける60分,90分温阻血後の電子顕微鏡的変化 STS施行群における60分温阻血後の電子顕微鏡像では, mitochondriaの膨化やcris− taeの変性が軽度に認められるのみであり,endoplasmic reticulumやbile canaliculi に明らかな変化を認めない(a,b).90分温阻血後も阻血による組織傷害は軽度であり 一部にheterochromatinの増加や脂肪滴の出現を認めた(c, d). a:60分阻血 血流再開60分後,b=60分阻血 血流再開24時間後, c=90分出血 血流 再開60分後,d:90分阻血 血流再開24時間後. a,b, d:×15,000, c:×4,000. 一方,STSをin situ肝前平モデルとして用いた 報告は極めて少なく26闘,その肝無血モデルとし ての有用性が確立されているとはいいがたい. 今回の基礎実験の結果からは,STSによる体重 増加率・肝機能への影響は認められず,他のバイ パス術に比較して生体に及ぼす影響は少ないと考 えられた.側副血行の発達を促進するために脾臓 の被膜を剥離し皮下に固着する術式も報告されて いるが28)29),生体への侵襲を考慮し,今回の実験で はBengmarkら8)9)の原法に従った. 肝門部の遮断方法としては,遮断圧が一定であ るため血管クリップが最も適しているとされ る20).本研究においてもプレジェット付き血管ク リップを使用して血管内膜の損傷を予防したが, このことも安定した成績を得られた一因と考えら れた.阻血の効果に関しては,肉眼的にも肝の色 調の変化は明瞭であり,31P−NMR spectrometry によってもβ一ATPの急速な減少を認めることに より,血行遮断が不完全である可能性は低いと思 われた.STSは安定したportosystemic shuntが 容易に作製できるために,in situ肝温紅血時の肝 外因子を除外し,純粋の阻血傷害を研究するうえ で有用なモデルであると考えられた. 2.in situラット肝の温離離限界 従来より肝は温阻血に弱い臓器であると考えら れ,その温阻血限界は20∼30分であるといわれて きた.しかし近年,動物においてもヒトにおいて も肝は比較的長時間の懇懇血に耐えうるという報 告も散見される30)31).Kahnら32)は,ブタにおいて は門脈一大静脈シャントの存在下で3時間温阻血 に71%が耐え,ヒトにおいても90分の温阻血に耐 えた臨床例があることより,肝の温阻血に対する 安全限界は1時間以上であるとしている.その一 方で,シャントを作製して腸管の血流欝滞を解除
図18STSラットにおける120分温阻血後の電子顕微鏡的変化 STS施行群における120分温阻血後も肝組織の電子顕微鏡的変化は軽度であり,mito− chondriaの腫大, cristaeの変性が主な所見であった.一部にheterochromatinの増 加,細胞膜の変性,Disse腔の浮腫などを認め,脂肪滴(d)が出現した. a,b:血流再開60分後, c, d:血流再開24時間後. a,b, d:×15,000, c:×4,000. しなければ,35分の門脈遮断で死亡するという33). 今回の実験においても腸管欝血が阻血肝に及ぼ す影響は顕著であり,門脈遮断解除後の血清 GOT値の上昇および組織学的変化からみても腸 管に諺滞した血液の再流入が肝細胞障害を促進す
ることは明らかであった(図5).31P−NMR
spectrometryによる観察でも, HPLC法による 報告6)34)と同様に,阻血後10∼20分でβ一ATPは測 定限界以下にまで減少した.これは正常肝におけ るATPの代謝速度を示しているものと考えられ た. 阻血後のATP回復率は細胞のviabilityと相 関するといわれ4)19)23),今回の結果でも血流再開60 分後のβ一ATP回復率はシャントのない45分・60 分阻血で最も悪く,STS群では阻血時間に比例し て低下した.NMR法による高エネルギーリン酸 代謝の観察は無侵製であり連続的に測定できると いう長所があるが,ひとたび検体を測定磁場から 出してしまうと検出コイル内のわずかな磁場強度 のずれにより波形が変化し,同一波形の時間的変 動を比較することはできない.したがって各スペ クトル内のPiとβ一ATPの相対的な面積比(β一 ATP/Pi)によって高エネルギーリン酸化合物の 変化を比較した35).面積比の算出法として今回 行った解析用ソフトを用いたコンピューター処理 による方法の他に,近似の三角形を設定して面積 を求める方法(triangulation)や波形を切りとっ てその重量を比較する“cut and weigh”法36)など が用いられている.後2者は,最小二乗法を用い たコンピューター処理に比べ隣接する波形の影響 を受けやすく,特にPME, PDEと接したPiを過 大評価する可能性がある.今回のβ一ATP/Pi比の コントロール値は4.0前後であり以前報告した triangulationによる成績37)より高値を示したのはこのためである.各報告を比較検討する際には, この点について留意すべきである. NMR法の長所の一つに, Piの化学シフトより 無侵襲に細胞内pHを測定できることがあげられ る’o)38).肝細胞内pHは主にPlおよび乳酸から生 じるH÷イオンにより規定され,阻二時のenergy
chargeの低下と肝細胞内pHの低下はよく相関
するという39).今回の成績でも血流再開後60分の 肝細胞内pHはβ一ATP回復率と相関しており, 死亡例では24時間後もアシドーシスが遷延してい た.31P−NMR spectrometryにより得られる細胞 内pHとβ一ATP・Piに代表される肝内高エネル ギーリン酸化合物の二二前後における連続的変化 は,嫌気的解糖の結果蓄積した乳酸がピルビン酸, acetyl−CoAを経てTCA cycleへ至る代謝過程 と,ATPよりAMP, adenosine, inosineを経てhypoxantineへと至り血流再開により再びATP
へと二合成される過程をリアルタイムに観察して いると考えられる. 3.二二二階後の電子顕微鏡的検討 cell deathとcell necrosisはしばしば類義語と して使用されている.光顕的に壊死細胞と認識で きるのは,細胞が統合した生体unitとしての機能 を中止した後に後続的に生じる形態的変化の終末 像であり,cell deathから約8時間を経過して cell necrosisと認識される40).電子顕微鏡的には cell deathに先立つ可逆的変化と“point of no return”とを識別できるとされ40>,その所見は mltochondriaの著明な腫大・matrix内の絨毛突 起物質の出現・細胞膜の断裂・クロマチン融解な どである40)41).さらに進行するとmitochondriaの 石灰化・核融解・細胞構造の崩壊が生じる.今回 の成績では,STS群においては120分丁丁後も電 顕的な変化は少なく,血流再開60分後のみならず 24時間後も“point of no return”を示す所見は認 められなかった.一方,門脈一大静脈シャントの ない1群では30分の温阻血においても明らかな細 胞の傷害が認められた.とくにmitochondriaの rupture, bile canaliculiの傷害, endothelial cell の浮腫・変性,pyknosisに至る過程と考えられる heterochromatinの増加などは,血流再開60分後 よりも24時間後に明瞭となり,血流再開後に組織 傷害が進行することが示唆された.長堀42)は,fat dropletは肝切除後の再生肝に著明に増加し, mitochondriaの機能二進時期にはエネルギー産 生の基質として遊離脂肪酸の利用が高まることよ り43),肝細胞のエネルギー代謝の変化を表してい る可能性があることを指摘している.今回認めら れたfat dropletも,二三二二の肝細胞のエネル ギー産生の基質としての遊離脂肪酸の利用充進43) を反映しているのかもしれない. 前述したように従来の報告では,腸管欝血を解 除したラット肝阻血モデルにおいても,その安全 限界は75∼90分であり120分の二二には耐えない とされる19)22)44)45).電顕的に検討した報告で も40)4’),120分二二の組織傷害は著明である.いず れも麻酔薬としてpentobarbital sQdiumを投与 し,腸管循環の二二を回避する目的でチューブ シャントや部分肝二七モデルを用いている. pentobarbitalやchloraloseは,循環動態のみな らず二二二二のエネルギー代謝にも影響を与える ことが明らかとなっており46>,従来報告されてい る肝の二二血限界には,前述したバイパスモデル や部分二二血モデルの特殊性の他に,薬剤の影響 が加味されていると思われる. 以上,STSは二二血モデルとして手技的に簡 便・確実であり,バイパスモデルや部分二二血モ デルに比べ,より肝外因子の影響の少ないin situ 肝二二血が可能であると考えられた.このモデル を用いると,エネルギー代謝の面からも電子顕微 鏡的検討からも肝の三三血限界は120分以上であ ることが明らかとなった. 消化器外科領域において肝の二三血限界を明ら かにすることは極めて重要なことであり,手術適 応の拡大とともに安全確実な術後管理を行うため にもその意義は大きいと思われる.移植外科領域 においても,本モデルの循環動態は,門脈一大静 脈バイパスを必要としない側副血行の豊富な小児 肝移植患者と類似している.したがって,free radica1やcytokineを含み,あるいは肝内での産 生を助長する可能性のある門脈血の移植肝への再 流入の影響を研究するうえでも本モデルは有用であろう.これらの回外因子に対する対策や,reper− fusion inluryに対するより詳細な研究,予防法が 確立されれば心臓死からの肝移植も十分可能であ ると考えられる. 結 語 STSラットのin situ肝温聖血モデルとしての 有用性にづき検討し,さらに肝の温阻隔限界の再 評価を試みた.その結果,①本モデルでは,3週 間後には豊富な側副血行路が形成され,門脈遮断 時の門脈一大静脈シャントとして有用であった. ②温阻血によりATPは速やかに減少したが,血 流再開により再び増加した.その回復率は阻血時 間の延長とともに低下した.③STSを施行しな い群では30分が温阻血の限界であったが,STS群 では120分午下後においても生存率は87%であっ た.④血流再開後のATP回復率,β一ATP/Pi比な らびに細胞内pHの変動は阻血時間と相関してい た.⑤門脈一大静脈シャントが存在しなければ, 30分温阻血後の肝組織傷害は高度であった.⑥ STS施行群では120分温阻血後もその傷害は軽度 であり,電子顕微鏡的には明瞭な不可逆的変化を 認めないことが確認された. 稿を終えるにあたり,御校閲を賜りました太田和夫 教授,ならびに終始,御指導,御助言をいただいた寺 岡 慧教授,淵之上昌平講師に深謝いたします.また 御協力いただいた東京女子医科大学第三外科学教室 各位に感謝い.たします. なお本研究の要旨の一部は第89回日本外科学会総 会において発表した. 文 献 1)Pringle JH= Notes on the arrest of hepatic hemorrhage due to trauma. Ann Surg 48= 541−549, 1908 2)Atalla S正, Toledo・Pereyra H, MacKenzie GH et al: InHuence of oxygen−derived free radi− cal scavangers on ischemic livers. Transplanta・ tion 40:584−590, 1985 3)Hasselgren PO: Prevention and treatment of ischemia of the liver. Surg Gynecol Obstet 164:187−196, 1987 4)Chaudry I:Cellular mechanism in shock and ischemia and their correction. Am J Physiol 245:R117−R134,1983 5)Farkouh EF, Daniel AM, Beaudoin JG et al: Predictive value of liver biochemistry in acute hepatic ischemia. Surg Gynecol Obstet 132: 832−838, 1971 6)Kamiike W, Nakahara M, Nakao K et al: Correlation between cel正ular ATP Ievel and bile excretion in the rat llver. Transplantation 39:50−55, 1985 7)MacKenzie RJ, Furnival CM,0’kea皿e MA et al:The effect of hepatic ischemia on liver function and the restoration of liver rnass after 70%partial hepatectomy in the dog. Br J Surg 62:431−437, 1975 8)Bengmark S, Olin T, Sukuma S et al:Subcu− taneous transposition of the spleen:An experi− mental study. Br J Surg 56(8):625,1969 9)Bengmark S, Boerjesson 8,01in T:Develop. ment of portasystemic shunts after subcutane− ous transposition of the spleen in the rat. Am J Surg 125:757−762, 1973 10)Malloy CR, Cunningham CC, Radda GK:The metabolic state of the rat liver in vivo mea. sured by 31P−NMR spectroscopy. Biochem Bio− phys Acta 885:1−/1.,1986 11)Ba∬uci FL:The effect of temporary occlu− sion of the afferent hepatic circulation in dogs. Surgery 33:342−351, 1953 12)水本龍二:肝動脈・門脈同時遮断.「肝心胆道の外 科」(本庄一夫編),p196,南江堂,東京(1980) 13)Child CG, Milnes RF, Holswade GR et a1: Sudden and complete occlusion pQrtal vein in macaca monkey. Ann Surg 132:475−482,1950 14)Beach PM, Torres E,1.itton A et al=Acute occlusion of the portal vein in dogs. Surg Gynecol Obstet 121:761−766,1965 15).Olcay I, Kitahama A, Mitter RH et al: Reticuloen(iothel量al dysfunction and endotox− emia following Portal vein occlusion. Surgery 75:64−70, 1974 16)中尾昭公:急性門脈遮断時の凝固線溶系変化に関 覧する実験的研究.日外会誌 84:692−697,1983 17)Van der Meer C, van der Kley GA, Valken. burg PW=Studies on the cause of death after permanent and temporary oc¢1usion Qf the portal vein in rats. Circ Shock 3:191−202,1976 18)Herlin PM, James JH, Nachbauer CA et al: Effect of total hepatectomy and administration of chain amino acids on regional norepine− phrine, dopamine, and amino acids in rat brain. Ann Surg 198:172−177,1983 19)Marubayashi S, Takenaka M, Do卜i K et al: Adenine nucleotide metabolism during hepatic ischemia and subsequent blood reHow periods and its relation to organ viability. Transplanta− tion 30:296−296, 1980 20)Frederiks WM, James J, Bosch K et al:A
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