134 (43) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
オリ イ タカシ折居 喬(昭和22
医学博士 乙第1121号平成2年10月19日
学位規期第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
輸血による抗白血球抗体の産生と消長 (主査)教授 太田 和夫 (副査)教授 小柳 仁,杉野 信博論 文 内 容 の 要 旨
目的 輸血前に,患者および供血者における白血球抗原の 適合性を検討していない現状に鑑み,非溶血性輸血副 作用,ことに発熱性副作用の発生予測およびその解明 の一助とするため,輸血を受けた患者を対象に,長期 にわたり抗白血球抗体の存否消長を追求し,使用した 患者血清量ρ影響,細胞毒性試験と補体結合試験との 比較,輸血量:・輸血回数との関係,長期観察例におけ るる消長などにつぎ種々の検討を加えた. 対象 5年以上にわたり東京女子医科大学輸血部に交差適 合試験の目的で提出された患者血液5,470例について 検討した. 方法Amosのマイクロリンパ球細胞毒性試験の変性
(LCT)を主として用いたが,一部比較のため血小板を 抗原とした補体結合試験(CF)により検索した.なお, LCTに際して使用する血清量を5μ1および2μ1とし比 較検討した. 成績および考察 1)患者血清量を5μ1とした場合2μ1使用時より,抗 体検出の感度は1.5倍に上昇した. 2)LCTによる抗白血球抗体の検出率はCFによる それよ・り2倍以上高かった. 3)輸血前抗体陽性率・輸血後抗体陽転率はいずれも 女性で有意に高率であり,2次的応答によるものと推 測された. 4)輸血後抗体が陽転した123例の抗体陽転時期の分 布をみると,その66.7%は3ヵ月以内におきていた. 5)長期透析患者では1年以上観察を続けると抗体 陽性率の低下がみられた.長期透析とそれに伴う反復 輸血により免疫抑制状態がもたらされた可能性も否定 できない. 6)輸血の回数増加に伴う抗体陽性率上昇の傾向は 顕著ではなかったが,輸血総量の多い群では陽性率低 下の傾向を認め,免疫抑制による可能性が考えられた. 7)1回大量輸血例において,新鮮血を使用した心臓 手術例では,使用しなかった場合に比較して2週間以 内の抗白血球抗体陽性率はより高率を示した.これは viableな白血球がより強い免疫原となることを示唆 している. 8)輸血後抗体陽性例中23.6%はその後陰性化した が,その後さらに陽性となり,また陰性化するなどの 経過をくり返すものもあった. 結論 抗白血球抗体の産生とその消長は,輸血による同種 免疫の効果だけでなく,原疾患の免疫状態やその治療, 反復輸血による免疫抑制など,多くの因子により制御 されている極めて複雑な現象であると考えられた. このように長期に抗白血球抗体の産生と消長につい て観察し,長期透析例のみならず,その他の輸血例に おいても免疫抑制による抗体陽性率の低下・抗体の陰 性化・出没について検討した報告は従来なかったもの である. 一744一135