163 (53) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ヤマ シタ ノリ コ山下典子(昭和2
医学博士 乙第1052号 平成元年11月17日 学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 発熱を伴った急性薄麻疹の臨床的組織学的研究 (主査)教授 肥田野 信 (副査)教授 滝沢 敬夫,内山 竹彦論 文 内 容 の 要 旨
目的 発熱と皮疹とが同時に出現する急性暮麻疹は抗ヒス タミン剤の内服などが奏効しないことから,治療に特 殊な考慮が必要である.そこで本症の特徴を把握し, 治療方針を決定する目的で,臨床的・組織学的に検討 した. 対象および方法 当科に入院又は外来通院した37.5℃以上の発熱を 伴った急性轟麻疹27例(7~73歳)を対象に既往歴, 臨床所見,各種検査所見,さらに画期の紅色謙抑を生 検し,組織所見と皮疹の性状,特に個疹の持続時間を 対比検討した. 結果 1。臨床的検討.1)膠原病の合併が1例,反復性咽 頭炎の既往が3例に認められた.2)発熱は1~10日間 (平均4。5日)持続し,皮疹の消退とともに解熱した. 上気道感染様症状,特に咽頭痛又は咽頭不快感が19例, 消化器症状が11例に随伴しており,他覚的にも咽頭発 赤(15例),扁桃炎(4例)を認めた.3)CRP陽性者 が24例(88.9%)と多く,20例に白血球増多,特に成 熟好中球増多を認めた.4)CH50は膠原病合併例を除 ぎ,26例で正常ないし上昇し,C3cが低値でC4が正常 ~高値が6例,C3cが正常でC、高値が7例あった.5) 細菌培養で4例(咽頭ぬぐい液,口蓋扁桃の膿栓,疾) で陽性であった.6)副腎皮質ステロイドの内服又は注 射が著効を示した. 2.組.織所見.真皮浅層の浮腫を主徴とする疎型は13 例に過ぎず,細胞浸潤の目立つ密型はさらに好中球優 位型7例,混合型4例,リンパ球優位型2例の3型に 分けられ,そのほか血管炎型も1例あった.密型,血 管炎型では個疹の持続時間が1日以上と長く,密型で は膨疹が局面形状の傾向を示し,浮腫の消失後も紅斑 が長く残った. 考察 組織像は従来から轟麻疹の典型像とされる疎型のほ か,無漏(浸潤細胞の優位性より3型に分類),血管炎 型が認められ,好中球が浸潤した症例が多い点が特異 であった. 発熱の原因を推定すると,23例で上気道あるいは消 化管を場とする何らかの感染症が示唆された.しかし ながら免疫学的所見およびステロイドホルモンの有効 性から,細菌感染など微生物そのものの直接作用では なく,それによって引き起こされた免疫系,ことに補 体系異常が関与していると考えられた.皮疹形成には 好中球走化性因子の存在する可能性も考えられた. 結論 発熱を伴った急性蒜麻疹は急性感染症,特に上気 道・消化器感染症に基づく補体依存性の免疫現象によ る特異な轟麻疹の1型と推察された. 一765一164