126 (46) 氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位投与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
アサ ノ キン ヤ浅野欣也(昭和1
医学博士 乙第860号 昭和62年12月11日 学位規則第5条目2項該当(博士の学位論文提出者) 1.連句による治療の試み 2.句の共作による連句クール 3.連句構造の精神療法的意義 (主査)教授 柴田 収一(副査)教授:丸山勝一,教授梶田昭
論 文 内 容 の 要 旨
、\ 目的 座の文芸である連句を用いた精神療法の可能性の確 認,技法の確立,作用機序の理論化. 方法 1.3例の神経症の治療に連句を試用した. 2.句を自作できない症例(うつ病2,分裂病1)の 治療を通じて技法を考案した. 3.連句式目,俳論書より連句構造を探り,連句によ る治療の作用機序を理論化した. 結果 1.神経症3例中2例に有効.無気力の改善,精神的 問題解決能力の回復を認めた.また入院外来ともに実 施可能であることを確認した. 2.句を自作できない3例の治療を通じて「共作法」 という技法を開発.連句治療の主たる2技法を得た. 1)宿題法 (1)治療者と患者が1対1の,交互に句作する個人 療法の形で行う. (2)18句より成る半歌仙形式を用いる. (3)患者の句作は次回までの宿題とする. 2)共作法 (1),(2)は宿題法に同じ. (3)患者の句作は治療者との共作の形で行う. 共作法は言語的交流の困難な患者にも実施可能であ り,また宿題法への導入技法にもなる. 共作法の効果は言語的交流の活性化である. 3.臨床治療及び理論的研究から,連句治療の作用機 序は,次の1)2)を通じて葛藤処理能力を養成するこ とにあると考えられる. つけあい 1)句と句の間を活かす付合の心への参加. 2)今ここの句作を詩歌の伝統へつながる体験を通 して,心理的な背景世界との交流を達成. 考察 Ludwig Klagesは現実と現実との結びつきを脈絡 (Zusammenhang)とよび,自我による結合を関係 (Beziehung)とよんだ.また自我が関係を作る時切り 捨てられた現実を共関係現実(lnitbezogene Wirklich- keit)または共関係分(Mitbezogene)とよんだ. つけあい 付合の心とは,個人と個人の相互の共関係分を響か せ合う能力であり,背景世界との交流を達成する心と は,今ここの(個人我の)共関係分を回復する能力で あると考えられるから,この共関係分の回復こそ連句 治療の作用の本質である. 結論 連句を応用した精神療法を考案し,技法及び治療理 論を確立した. 一790一127