132 (49) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ホンダ
タダミツ忠光(昭和2
医学博士 乙第863号 昭和62年12月11日 学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 切除標本によゐ肺癌の病理学的研究(主査)教授梶田昭
(副査)教授 滝沢 敬夫,教授 杉野 信博論 文 内 容 の 要 旨
目的 肺癌の治療については,病理学的な資料による十分 な裏付けが必要である.剖検例については教室の中谷 (1984)が検討し,その知見をすでに報告したが,著者 は切除肺の病理解剖・組織学的検討を行い,次の結果 をえた. 材料・方法 原発性肺癌の診断によって切除された56例(男性42 例,女性14例)を対象とし,臨床経過を調査すると共 に,肺標本の肉眼的,組織学的検索を行った.とくに 主病巣の関連気管支を各例で肉眼的に推定し,その次 序と,初発症状の有無,腫瘍サイズ,組織型との関係 を知るために各段階で2×2分割表を作り,カイ2乗 値の推移によってcritical pointを求めた. 結果 1.症例の大部分は60歳から79歳の範囲に分布し,分 布のピークは60歳台にあった.初発に伴って自覚症状 を示したものは32例,24例は無症状であった.切除肺 葉は左上葉が最:も多く,術式では肺葉切除が多くを占 めていた.発病ないし発見から手術に至る期間は63% が3ヵ月以内であるが,やや長期にわたった例もあり, 平均6.5ヵ月であった. 2.咳漱,喀疾など,初発症状の有無は,主病巣の関 連気管支の次序に依存し,III次(亜区域支)より遠位 の癌は,これより近位の癌に比べて,無症状の率が有 意に高い.一般に,末梢部に発生したものほど主病巣 のサイズも小さい.初発症状の有無と病巣サイズとの 直接の関連は証明できなかった. 3.組織学的には,腺癌29例(52%),扁平上皮癌10 例(18%),大細胞癌11例(20%),腺扁平上皮癌3例 (5%),小細胞癌2例(4%)である.IIIないしIV次 気管支を箋として,近位に扁平上皮癌,遠位に腺癌, 大細胞癌が集積する傾向が認められた.病巣の大部分 が細気管支肺胞上皮癌の形をとる5例はすべてW次よ り末梢の気管支に関連するものである. 4.切除肺でリンパ節転移,胸膜侵襲を認めたのはそ れぞれ21例(38%)で,いずれも扁平上皮癌にくらべ て,腺癌,大細胞癌がやや多い傾向がうかがわれた, 断端気管支に癌の浸潤が及んでいたのは1例のみで あった.術後死亡を確認したのは13例,うち剖検例は 4例でいずれも癌の再発を伴っていた. 結論 56例の原発性肺癌の切除肺について主病巣,転移巣 のあり方,組織像を中心に検索,関連気管支の次序に してIIIないしIV次を境に癌の生物学的態度に差のある ことを明かにした.予後との関連に注目したが手術後 の経過日数が一般に少なく,十分な資料による検討は 今後の課題として残った. 一796一133