(東京女医大有策27巻第10号頁562−577日召和32年10月)
ヒロポン中毒に関する酵素学的研究
慶応義塾大学医学部法医学教室(主任中舘久平教授) ’堀 ホリ ロ グチ 文 フミ(受付昭和32年6月14日)
1 ヒロ琳ンの薬理作矯について ’まえがき ヒロポンはベンッエドリンと共に覚醒剤の主位 にあり,その化学作用は両者ともほぼ同様である と思われるが,ベンツエドリンは早くから発見, 使用1)されていたためにこれに関する研究は比較 的多い2)∼6、。すなわちベンツエドリンの中枢興奮 作用は古くからAlles7)8), Jacobson9)及びTainterlo)らによつ七明らかにされ, Mann and Quaste1 11)12)はベンツエドリンが脳の組織呼吸を並進させ ることを認め,これはベンツエドリンが脳におい てアミン酸化酵素に対して拮抗的に作用し,糖酸 化抑制作用を有するアルデヒドの産生を減弱せし めるためであろうと考えた。・該アルデビドは組織 中の種々アミンに由来しているが,特にその主要 部位を占めているのはチラミン15)14)であり,これ はチラミン酸化酵素によって酸化されて,p−Hy− droxyphenylacetaldehydむとなり・同時にア,〉” モニアと過酸化水素とを発生することが知られて いる11)12)17∼20)o OH.C,H,eCH,.CI{,.NH,+H,O+O,一・F (Tyramine) OH.C6H,.CH,.CHO十H,O十NH, (p−HydroxyLphenylacetaldehyde) 一方ヒロポンは近年覚醒剤として乱用され,多 数の耽溺中毒者の発生をみたが15)16),該薬剤の作 用機序に関しては現在なお不明の点が多く,特に 脳における該薬剤の作用部位及び作用機序を酵素 学的に解明した研究は殆んどみられない。そこで 私はチラミン酸化酵素を抽出し,この二点に関し 実験を試みた。 実験材料及び突験方法 1.実験には体重25g内外の健常マウス及び体:重10 kg内外の健常犬を用い,マウスは頭部殴打により致死 せしめて脳及び腎を,:犬は空気栓塞により致死せしめ て大脳皮質,問脳及び小脳を採取し,実験に供した。 2. ヒロポンの作用機序の検索はマウスの脳及び腎 におけるチラミン酸化酵素活性に及ぼす該薬剤の作用 の有無程度により,脳におけるヒロポンの作用部位検 索は犬の大脳皮質,聞脳及び小脳にわけるチラミン酸 化酵素活性に及ぼす該薬剤の作用の有無程度により決 幽した。 3. チラミン酸化酵素抽出にはRichter氏法を用い た。即ち各臓器10gに対し照/15燐酸緩衝液(pH 7・3) 10mlをカllえ, 聖日20分・閲磨潰しアこる後これを遠’ひ分留佳 し,ついで上部の混濁液を5時間透析して得た酵素液 にM燐酸緩衝液(pH 7. 3)を加えて全量20mlとして使 用した。 4.チラミン酸化酵素活性値測定にはWarburg検 圧計を用い,酵素液2.Ornlに対し基質として1%チラ ミン0.2m1(2mg)を加え,30分及び60分後における酸 素消費量(ゆをもって該酵素の漕性値とした。 5. ヒ・ボンのチラミン酸化酵素に対する効果は, 0.1Molヒロポン0.2mlを酵素液2. Om1及び1%チラミ ン0.2mlに添加した場合の30分及び60分・後における酸 素消費量(ul)の増減度により検索した。 実験成績 1.正常時における脳及び腎のチラミン酸化酵 素活性値。 第1表に示すごとく,6例の平均酸素消費量の 30分値は脳が35.24μ1,腎が33,39μ1,60分値は脳 が67.08μ1,腎が63.331xlで僅かに脳における活性 値が腎のそれより高くなっている。 2。 ヒロポン添加時における脳及び腎のチラミ ン酸化酵素活性値。
Fumi HORIGVCHI (Department of 1£gal Medicine, School of Medicine, Keio−University) : Enzym− atic studies on philopon poisoning.
表1脳及び腎におけるチラミン酸化酵素活il生値 (酸素消費量) (単位μ1) ’“一一.....時間.t
実隷
1
表2 ヒ・ポン添加時における脳及び腎のチラミン 酸化酵素活性値(醸素消費量) (単位一・1) 30 分 拙 訳 腎 60 分 値 脳 腎 ピ 30・10 29・7563・24i 60・16 ?一..一L−ii217.[ 3 1 35. 341 30. og談L認筏
60 分 値 30. 08 1 64. 50 1 60. 20 1 3sJ6−堰n. 34. 17 .L. 6S・ 80 162・40 4 67. 32 i 65. 22 Dr 1 36.72 1一一一一一1・ .禦・「
37. 58 1 70. 35 65. 43 i 38. 70 1 71. 28 i 66. 56平.劇・・24133・39
67. 08 i 63. 33 脳 腎1 El,}1−lll}’. 32 T’”7i 62’一1”一一4−gJ61一:一[” ”1’1’J’ig’
t 2 22. gs i ls. 22 1 so. 22 1 31. 7s 3 26. 06 I I 27.of,1’”i−g.7s i 18. 36 i
L
50. 75 1 36. 91 4 5 27. 95 1 20. 64 1 52. 64 1 38. 56 50. 75 i 38. 56 1 6 2s. oo 1 20. 76 1 55. 80 i 39. 4s平均1・5・・86・9・・35…7i・6・・91
第驚喪に示すごとく,6例の平均酸素消費量の 30分値は脳が25.86ズ」,腎が19.13μ1,60分値は脳 が50・17〆・1,腎が36. egLt1でε0分及び60分値におけ る脳及び腎は正常時に較べ2δ.6∼25.2%及び42.7 ∼44.6%の減少を示し,いずれもヒロポンの添加 により著しい活性値の低下を示している。購雛餅…%・2・・%二・㍊「菰唾.1
3. 正常時給各部位におけるチラミン酸化酵素 活性値。 第3表に示すごとく,6例の平均酸素消費量の 30分値は大脳皮質が19.77μ1,間脳が36.39μ1,/」\ 脳が2LO7μ1,60分値は大脳皮質が30.59μ1,間脳 表3 脳各部位におけるチラミン酸化酵素活性恒(酸素消費量)(単位μ) 1 一蒔商 30鐡番号.輝.
m疲rギ
分 値 60 分 値 1 16. i3 [ 19. 30 19. 35 20. 93 間 脳 小 2 3 4 33. 17 1脳…皮
is. og l l … 一一一一1一一一質 間 脳 査_二一1
27. 94 45. 15 35. 48 1 18. 36 36. 12 1 20. 10 30. 10 45. 15 4z 84 ’P
43. oo 1 一一一一一一 ・・一一 1 44. 22 30. 15 45. 16 36. 18 1 22. 11 30. 86 48. 16 gE,JI.’6JiT .4612訓 5 21. 42 38. 70 23. 65 32. 25 /t,一J’Ei[6
平. 抱..⊥. 21. 50 38.70 24. 12 32. 87 30. 59 51. 17 48. 96 1g. 77 1 36. 3g I 21. 07 が48,02μ1,小脳が45. 97Pt1で30分及び60分値共に 間脳が最も高い活性を示している。 4. ヒロポン添加時三面部位におけるチラミン 酸化酵素活性値。 第4表に示すごとく,6例の平均酸素消費量の 30分値は大脳皮質が13.09μ1,聞脳が12, 081i・1,小 脳が13.55μ1,60分値は大脳皮質が21.98μ1,間脳 が22.01Pt1,小脳力場9.34μ1で30分及び60分値にお ける大脳皮質,闇脳及び小脳はいずれも正常時に 較べ33.8∼28.1%,66. 8∼54.0%及び35.7∼38.3 %の減少を示し,間脳における該酵素活性値はヒ.」旦旦L..画
ロポンによって極めて著しい低下を来す。 総括並びに考按 チラミン酸化酵素はBernheim20)を始めKohn 19),Blas’chkoi5)14)らの研究により脳,肝,腎及 び小腸などに多く存在すること及びチラミンを酸 化してこれよりアルデヒドを生成し,同時にアン モニアと過酸化水素を発生せしめる酵素であるこ とが明らかにされている。該酵素と覚醒剤との相 関々係についての研究は極めて少く,僅かに太田 及び江上ら21)が脳慶動詞に存するチラミン酸化酵 素に対しヒロポンの阻害反応を認めているのみで 一 563 一表4 ヒロポン添加時における脳各部位のチラミン酸化酵素活性値(酸素消費量)(単位μ1)
、、7一_時聞
\越面
一二藍番号 \\こ 30 分 値 60 分・ 三 舎劃聞
脳 小 脳 皮 質 間 1 10. 05 9. 72 12. 06 20. 40副小』脳
19. 99 27. 86 2 11. 28 11. 10 12. 90 20. 68 22. 20 2i.06 1 3 1’E}J.Eo−U1
27. 95 −1 11. 28 13. 16 ?rl:.17 一. 1 28. 14 i 4 14. 07 11. 29 14. 28 22. 44 22. 45 29. 96 i一 5 14. 80 i3. so 1 14. 07 22壬1[ 23.69 1 30. 15 6 」 16. 3, 15. 30 14. 87 24. 05 23. 69 31. 96 平 均 13. 09 f 12. 08 13. 55 21. 98 22. 01 29. 34正常時に対
する増減度
一33.8% 一66.8% 一35. 7% 一28. 2% 一54. 0% 一’R8. 4% ある’。 私が測定したマウスの脳及び腎におけるチラミ ン酸化酵素活性値はいずれもヒロポンの添加によ って著しい活性値の低下を示したが,これはQu− astel及びRichterらの見解を裏付けるものと老 えられる。即ちヒロポンはベンッエドリンと同様 にチラミン酸化酵素を阻害するためチラミンの酸 化が減少し,アルデヒドの生成が抑制される結果 ユ1)12),組織の機能が冗請し,それが脳においては 覚醒作用となって現われるものと考えられる。ヒ ロポンのチラミン酸化酵素阻害機序はヒロポンが チラミンに較べて該酵素に対する親和性が大きく これと結合11∼15)17)するが,チラミンと異り酵素 により離脱される第二の水素原子を持たないため 25)(既に第一の水素原子の位置にはチラミン酸化 酵素が結合している),酵素とヒUボンは結合し たままの状態となるため不活性化されるに至るも のと思われる。 ヒロポンが脳のいずれの部分に作用するかは未 だ明らかではないが,綿谷27)は豚の脳における自 律:神経中枢の組織呼吸がヒロポンによって阻害さ れるとヒロポンの間脳作用説を述べている。私は 脳各部位について,ヒロポンが直接作用するチラ ミン酸化酵素活性値面からこれを検索したとこ ろ,犬の大脳皮質,間脳及び小脳におけるチラミ ン酸化酵素のうち間脳は最も高い活性値を示した にも拘らず,ヒロポンの添加により最も著しく低 下したことから,ヒロポンは間脳に最も強く作用 するのではないかと考える。それ故ヒPボン中毒 時に屡々みられる自律神経の刺戟症状は,この間 脳作用により惹起されるものと思われる。 小 括 1. ヒロポンはベンッエドリンと同様にチラミ ン酸化酵素を阻害し,P−Hydroxyphenylacetald− ehydeの生成を抑制するので組織の機能が充進 し,これが覚醒作用となって現われるものと考え られる。 2. ヒロポンは脳においては,特に間脳に作用 するものと思われる。 H’ヒロポン申由仁における諸臓器組織呼吸 についで まえがき 覚醒剤ベンツエドリン投与時における脳組織呼 吸の冗進はQuaste117)によって見出され,吾が国 においても最:近岡本52)が豚の脳幹部の組織呼吸に つき,又福喜多,肥後24吸び江副,台25)等もヒロ ポンにてこれを追試し,同様な成績を示してい る。而してこれら実験は主として急性中毒時にお ける脳組織呼吸の変化であり,ヒロポン耽溺中毒 者のごとき慢性中毒においても当然脳以外の諸臓 器組織呼吸にも変動を招来するものと推測される が,これに関する研究は殆んど見当らず,該薬剤 の急性中毒と慢性中毒との相関々係については未 だ不明な点が多い。よって私は急性及び慢性中毒 時並びに本中毒抑制時におけるマウス諸臓器の組 織呼吸並びに解糖過程における諸呼吸酵素活性と の関係について検討した。 実験材料及び実験方法 1・笑験には体重209前後の健常マウスを用い,こ れにヒ・ボンを下記方法により注射し,一定時間経過 一5磁一した後,頭部殴打により致死せしめ,直ちに採取せる 脳,肝,心,腎及び脾を実験に供した。 2.中毒惹起方法 急性中毒惹起には次の三種の方法を用いた。 1)Pro 10g o.01mg(小量),皮下注射30分後致死。 2)Pro 10g.0.6mg(中等量),腹腔内注射2時間後 致死。 3)Pro 1091. 5mg(致死量),皮下注射5分後致死。 慢性中毒惹起には毎日一回Pro 10g O. 06mgを15 日乃至2⑪日連続腹腔内に注射し,最終日にはPro io9 0・6mgを腹腔内に注射し,2時間後致死せしめた。 3.組織呼吸の測定にはWarburgの検圧計を用い, 採取せる脳,肝,心,腎及び脾200m暮をそれぞれKr− ebs−Ringer−bicarbonate液にて10%bomogenateと なし,30分及び60分前における酸素消費量(〆のを測定 した。なお検圧計の実験条件は恒温槽温度が37.5。C 振謁回数が毎分70回,気相は酸素とし,側室内には10 %苛1生酒YO. 2mlを添加した。 4.添加呼吸基質としてM/25クエン酸ナトリウム, M/25コ・・ク酸ナ}iJウム及びM/25フマ’一7レ酸ナbリ ウムを用い,いずれもその0.2mlを組織homogenate に添加した。 実験成績 1. 固有組織呼吸 1) 正常時 第5表に示すごとく,10例の平均酸素消費量の 30分値は脳が93・78岡,肝が48・66μ1,心が35.51μ1, 腎が66.07μ1,脾が61.09μ1,60分値は脳が165.41 μ1,B干が82.03μ1,心力;6L).86μ1, 腎が108.24μ1, 脾が97.24μ1で30分及び60分半共に脳が最も多く, ついで肝,腎及び脾がほぼ同様な値を示し,心は 表5 正常マウス諸臓器酸素消費量 (単位μ1) て・._ 時間 ヒ ヒへ
癒糞脳
30 肝 分 値 60 分・ 寸 心 歩 歩 脳 肝 心 腎 ’ ”i−ny 1 脾 1 sl. 4s 1 42. 02 1 32. st. .i 60. s6 1 1 ” 1 ’ ” 1 ” 1 51.00 1 143.08 74.90 57.30 94.87 ; 83.64 1 2 1 82.82 1 44.94 1 1 i 3 il 83.60 ,l I 4 1 85.801 1i 5 1 90. 201 47. 08 47. 08 ) 1 32. so 1 1 32. 80 d 35. 91 62. 70 1 51. 00 143. og 1 77. 04 1 s7. 30 1 g3. os 1 97. 92 i 1 64. 79 i 66. 89 s7. 12 1 149. 60 i 77. 76 j 58. s9 1 g6. 14 1 g7. g2 s3. 04 i lsl. so i so. 22 i 61. 71 1 gs. 23 i 4e.”Eil’2−P’一一S−ls’.gi 1 6s.g7[ 63.241 is6.201 so.2il”i,.一2’6”i98.72 1 i 100. 32 I I 一一] 100. 76 6 90. 90 1 47. 08 37. 40 1 71. 06 38. 27 1 60. 61 63. 24 1 167. 66 1 s4. 04・ 1 64. 26 i l12. 77 i lo2. so 7 101,00 49. 22 i 103.02…51. 36 i39.・16 5・,57」34.・7・ g’,一.,’黷撃奄№ig6”1’一’k−7.T4−1’一6’6JlsT−il’716i−1一一i,,.’2’6” 8
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平 剃
los. 60 1 」, 1. t.,7 1 3s. 60 li 73. ls 1 71. 40 1 20g.og ii ss.s6 1 6ttptt i−ri271.一4STIIEI4g f i23一.Nli6 93. 78 i 48.66 35.51 i 66。07 61.09 1 16s. 41 F s2. 03 i 62. s6 i los. 24 1 g7. 24 最:も少い。. 2) ヒロポン少量注射による急性中毒時 第6表に示すごとく,10例の平均酸素消費量の 30分値は脳が99.46μll,肝が45.87μ1,心が34.β6μ1, 腎が101.98μ1,脾が33.46μ1,60分値は脳が179.51 μ1,肝が87.17μ1,心が60.42μ1,腎が193 ’671Ll, 脾が64.13μ1で正常時に飯べ30分及び60分値は腎 が54. 4∼78.9%増力口し,脳が僅力〉に6.1∼8.5%増 加の傾向を示し,肝及び心においては著変を認め ず,脾は45.2∼34.0%の減退を示している。 3) ヒロポン中等量注射による急性中毒時 第7表に示すごとく,10例の平均酸素消費量の 30分値は脳が147・84μ1,肝が60.53μ1,心が25.20μ1, 腎が105.65μ1,脾が74.ユ1μi,60分値は脳が284.45 μ1,肝が97・63μ1;心が37・42μ1,腎が167.76μ1, 脾が124.41μ1で正常時に較べ,30分及び60分値は 心のみが29.0∼40.0%の減退を示しているが,他
は月int Jbsi 57.7∼72. O%, 月干力i 24.4∼12.6%, 腎ヵヌ
59.9∼55.0%及び脾が21.3∼27,9%で,いずれも 著しい増加を示し,その程度は脳が最:も多く,つ いで腎,脾及び肝の順である。
4) ヒロポン致死量注射による急性中毒時
表6 急性ヒロポン中毒マウス(小量投与)の諸臓器酸素消費量 〔単位μ1) xx 実験番亙.\. 1 ミ可
タ1.
30 分 値 60 分 値 脳 肝 36. 29 目 下 脾 脳 肝 心 腎 脾 ss. so [ 33. 12 sii4’ 1 1 26. 52 147. 86 1 71. 28 1 56. 70 171. 84 1 51. 00 2 88. 80 1 38. 88 i 32. 55 85. 92 26. 52 14g. 60 1 71. 47 1 s6. 70 172. 64 i 58. 08 3 ! i 85. 80 1 40. 11 b−il’g5 1 3r). 60 9聖?『 ,’堰D{’41,’ 34. 02 1sl. so 1 73. 3s [ s7. 30 1 178. 80 i 55. 08 4 5 86. 86 1 45. 36 30. 60 173. 80 750 29 79. 92 mb,,. sg I 173. 47 1 55. 08 90. 92 1 45. 36 1 37. 80 101. 92 36. 72 165. 64 6 7 92. 92 1 49. 22 1 35. 91 110. 10 1 47. 08 1 35. 91 109. 19 ’i6i6b’@1 36. 72 32. 64 f− 1『『Ll誓.’i一.『91望璽. i9’R−ig’一2’V’s−ol−2−il’ 1 66. 15 1 182. 00 1 55. 89 64. 27 1 182. 58 1 63. 24 62. 37 1 207. 64 1 62. 00 8 115. 14 i 51. 57 1 26. 55 110. 24 38. 76 204. 02 1 8Z 86 1 60. 48 舳.6・[ 9 165. 14 1 51. 36 38. 27 39. 16 34. 66 1 ・・8・5638・76[一.rl…8i 120・64‘ R3・381212・10 ….98…E商i・791馴.
82. 08 64. 27 1 228. 80 10 平 均 .ii.g. is 1.. 51 4e.)99・46[・醐
82.08 78.17 ヨ 1 −45・ 2%1+8・5%[一 4・ 8%1 6−i21;一s−1}E,gls.’g6−P
60. 42 193. 67 1 79. 56 69. 36 55. 08 64. 13 穿讐弊宅誕.+6・・% 5. 8%1 一 2. 40.S +54・ォ
3.9%l i の’泊汪寬_素消費量 60 脳 肝 (単位μ1) 二 心 ギ78・9%1.三§…% 表7 急1生ヒ・ポン中毒マウス(中等.量投与) ’>xX’一一J x 実験 1 時間1談.
30 分 値 脳 肝 心 腎 言 値 二 丁 1’3−g’1’5g’hM’ s6i一,”6’ n ”’26i’/7’[ ト 81. 39 62. 00 62. 00 268. 66 1 89. 77 1 32. 13 225. 72 1 110. 00 2 一’P ’ i3g.Eg一 m’一’lig,J51. 3g一一P一’ M2bl 7, .9・・劉 270. 60 1 89. 77 ,4. 02 1 125. 30 ! 116. 00 3 141. 40 57. 30 147. 40 1 57. 30 22. 68 23. 27 24. 57 83. 24 89. 87 5一,1−i,66−P
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表8 急性ヒロポン中毒マウス(致死量投与)の諸臓器酸素消費量 (単位Ibl)
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表9 優性ヒロポン中毒マウスの諸臓器酸素消費量 (単位μ1)1無難−L÷「遜−÷F含π∴到
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腎が82.70μ1,脾が60. 03FLI,60分値は脳が244.46 μ1,月干;が106.06μ1,心が37.44μ1,十一が153.59μ1, 脾が97.G8μ1で,正常時に較べ30分及び60分値は 灯歯ヵ§32.0∼47.8%, 月干PtaL5.8∼29.3%, 腎ヵ葺37n 1 ∼4L9%の増加を示しているが,ヒロポン中等量 注射による急性中毒時に較べ,その増加度は著し く低下している。また,心は44.6∼47.6%の減少 を示し,脾は正常時と殆んど同様な値を示してい る。 2. クエン酸ナトリウム添加時の組織呼吸 1) 正常』日報 第10表に示すごとく,6例の平均酸素消費量の 一567一
表10 クエン酸ナトリウム添加正常マウスの酸素消費量 (単位pl)
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3e 分 値 1! 脾 1 脳 ・60 分 置 肝 心 腎 肝 心 下 町 1 98. 00 4ioi’m” bi.7/t− P−eg一.’66 ’窒唐TJ{,5−o 1一一254一. 66 1一一7‘,. b2’ ’1”541 661’一i66JT. li,.’26
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30分値は脳が104.45μ1,肝が45.04μ1,心が35.05μ1, 腎が99.95μ1,脾が60.70μ1,60分前は脳が豊35,20 μ1,肝が88.85μ1,心が62.78μ1,腎が199.41μ1, 脾がエ00,37μ1で,脳が最も多く,ついで腎,脾, 言及び心の順である。 2) 急性中毒時(中等量投与) 第11表に示す如く,6例の平均酸素消費量の30 分値は脳が105。 79. Fil,肝が46.50μ】,心が39.20μ1, 腎力玄112。76μ1,月意力弐59.47μ1, 60分野1ま}}図力§232.09 μ1,肝が88.46μ1,心が70.24μ1,腎が238.22μ1, 脾が101.59μ1でクエン酸ナトリウム添加正常時に 較べ脳,肝及び脾はいずれも下魚を示さないが心 及び腎は30分及び60分値においてそれぞれ11.8∼ 11。9%及び12。8∼19.5%の増加を示している。 表11 クエン酸ナ}リウム添加時急性ヒnポン中毒マウぢの諸臓器酸素消費量 (単位Pbl)\時間
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30 分 脳 肝 心 寄 実験番号\ 腎 脾 60 分 値 脳 肝 心 腎 脾1 6J,liT,’m」’4”,’iE,6一,1一,一,’.iE’1’””’,一71−291’T,IEal一’22−iJ, pa,g.gil一’T76’一.26 2’wt,.67 S“s一.46
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3) 慢性中毒時 第12表に示すごとく,6例の平均酸素消費量の 30分値は脳が105.53μ1,肝が47.74μ1,心が34.24μ1, 腎が94.67μ1,脾が69。11μ1,60分値は脳が242.75 μ1,肝が89.44μ1,’心が61.09μ1,腎が193.29μ1, 脾が107.91μ1で,クエン酸ナトリウム添加iE常時 に較べいずれも著変を示さない。 3. コハク酸ナトリウム添加時の組織呼吸噛 1)正常時 第13表に示すごとく6例の平均酸素消費量の30 分値は脳が126.31μ1,肝が58.45μ1,心が35. 31μ1, 腎が77.32μ1,脾が76.25μ1,60分値は脳が252。エ4 μ1,肝が100.15μ1,心が63.35μ1,腎が193. 691il, 脾が142.64μ1で,脳が最も多くっいで脾,腎,肝 及び心の順である。 2).急性中毒時(中等量投与) 第14表に示すごとく,6例の平均酸素消費:量の 30分値は脳が144.19μ1,肝が63. 53Pa1,心が33.06μ1, 腎が102.16μ1,脾が84.40μ1,60分値は脳が272.・63 μ1,肝力荘55。49μ1,心が58.ユ5μ1, 腎が211.17μ1, 三568 一表12 クエン酸ナ〉リウム添加時慢性ヒロポン中毒マウスの諸臓器酸素消費量 (単位fO1)
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表13 コハク酸ナトリウム添加時正常マウスの諸臓器酸素消費量 (単位μ1).譲1闘1悪「÷1τ1誰1■雨∫÷・霊訟.1一∴∴
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脾が158.34μ1で,コハク酸ナトリウム添加正常時 %,脾が10.7∼11.0%の増加を示していろ。 に較べ,30分及び60分値は腎が最も多く,32.1∼ 3)慢性中毒時 51。1%,ついで脳が14.2∼8.1%,肝が8.7∼15.3 第15表に示す如く,6例の平均酸素消費量の30 表14 コハク酸ナ}リウム添加時急性enポソ中毒マウスの諸臓器酸素消費量 (単位μ1) ドで\時間 ヘコ へ懸藩曇
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4. フマーール酸ナトリウム添加時の組織呼吸 腎が76.71μ1,脾が62」1μ},60分値は脳が208.O1 1) 正常時 μ1, 肝ヵi85.32μ1, ,[〉ヵミ66.96μ1, 腎b:153.53μ1, 第16表に示すごとく,6例の平均酸素消費:量の 脾は109.ttglxlで,脳が最:も多く,ついで腎,牌, 30分値は脳が1e4. COμ1,肝が58.17μ1,心が49.67μ1, 肝及び心の順である。 表16 フマール酸ナ1・リウム添加時正常マウスの諸臓器酸素消費量 (単位μ1)溢〉塑
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唱譲[..
30 分 値 60 分 心 肝 52. 00 心 腎 脾 脳 肝 心 腎 脾 I l L一一 7g. 44 1 27. 90 70. 3s 1 sg. s4 1 202. 06 1 77. 76 1 2 1 lol. 16 1 s6. 23 1 2g. g2 1 74. s2 E ・3・・342・…5i 68・ 31 1213・20 1 @ ド 88・561 44. 00 1 134. 52 1 133. 25 ss. 42 1 14g. 04 1 13s. 04 51]一i−1,II,III511.・g6’[’一’一L6b−i’go.1.li.II?’gi70”’li[JI2t’一・14J’1 gl.63 )92剰
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表18 フマール酸ナトリウム添加時慢性ヒ日ボン中毒マウスの諸臓器酸素消費量、(単位F,1)
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’30 分 値 60 分 値 増 「肝 心 腎 脾 脳 肝 ’心 腎 脾 1 2 311i,ll121i・261’llll1211’n一,2・6−61N,・3s rlll]li17’g’T’一g6−1・1/il t3一一tJliEll[111gllil151E14g・oi l rgi・1,[]s・blE−IX・;Jgiszs7 2i,ISSI・gg El i130・4.一7[T,T2:i.E..].1..tti・56Uo E.iiEtTigml.5igM711一.e−p,.一〇i..E. s4.06”1−66,J65一.o’rsr,g’ 7z 40 1 32. 67 1 32. so 1 s4. 3g 1 3.s. 6i
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平均「.7・69.1・2…33・・8255…35・・24
152. 21 60. 24 1 ss. og 1 lol. gs 1 6s. gs 増・減度 一・7・…5[ 一・3・・%1 一 …%一・画一・2・・%1 一・…%ト・6・・%一・・%1二5・・%i 一・2.・% 表20 ク一一ルプロマジン抑制時急性ヒmボン中毒マウスの諸臓器酸素消費量『(単位μ1)遡
実験談量「.一型 30 肝 分 値 .1忍』』.一.「苔一u.…脾 60 分 値 7s.oi j 24.g5’ s一一’Ell}1.ls一.il’一”’1,”El’21’1一’1}g,Jl}6.,, 脳 1 154. 32肝 心 腎 !脾
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総括並びに考按 動物組織は主としてブドウ糖或いはグリコゲン の分解過程において産生きれるエネルギーにより その生命を保持するものであるが,これら糖質代 i謝の最:六六階であるTCA−cycle中においては, グリコゲン及ブドウ糖の中間代謝産物であるピル ビン酸が脱水素或いは酸化により炭酸ガスと水に 分解され,いわゆる組織呼吸が営まれている。従 ってこの組織呼吸量は酸素の消費量をもつて現わ されるが,それが蛋白質の中間代謝産物たるアミ ン類の存在下において阻害されることがQuasteland Wheatly26)及びMann and Qua$telii)12)
によつて発見され,更にこの呼吸の低下はアミン から生じたアルデヒドによるものであろうと考え た。すなわち組織中における蛋白質或いはアミノ 酸はカルボキシラー一一 tfにより脱炭酸されてアミン となり,ついでアミン酸化酵素によってアルデヒ ドとアンモニアとなる。それ故健常なる組織と難 もこのアルデヒドが分解されるまでは組織呼吸は 多少なりとも抑制されるものと推定される。よっ てアミン酸化酵素を人為的に阻害すれば,アルデ ヒドの産生は減少するため,呼吸の抑制はとれ組 織呼吸は充進ずるようになると考えられる。ベン ッエドリンの覚醒機序をこの点に求めんとしたの
はMann and Quaste1であるが,私は同じ覚醒
剤であるヒロポンについて実験的にアミン酸化酵 素阻害作用を明らかにし,ベンッエドリンと同様 な覚醒機序を有する事を認めた(前述1参照)。
Pugh and Quaste117)はベンッエドリンがチラミ ン,メスカリン及びヒ.スタミン等の種:々アミンと
同様にラットの脳組織呼吸を低下させると発表し
たが,Mann,and Quastelはベンッエドリン以 一 572 一
外のこれらア』ミンによる脳組織呼阪の低下をベン ツエドリンが中和させると帰島し,その作用機序 はアミン酸化酵素阻害作用iこあると考えた。 覚醒剤ヒロポジは芳香族アミンに属する1−Ph− enyI−2 hiethylaminopropanにして,ベンツエド リンを始めアドレナリン及びエフェドリン等とほ ぼ近似せる化学構造を有するが,その側鎖に存す る二個のンチル基のためベンッエドリンより強力 な覚醒作用を有し,又ベンゾール核及びその側鎖 に水酸基を欠如するためアドレナリン及びエフエ ドリン等よりは弱いが,自律神経末梢の刺戟作用 及びアドレナリン作用をも有する29)50)。 ヒロポン中毒時の組織呼吸1と関しては,脳につ いて研:究されたもめが主であって,他のi渚臓器を も併せ検したものは極めて少い。また脳組織呼吸 だけに関しても,一般的には覚醒剤が組織呼吸を 高進させるといわれているが/7)24’25),叉逆に低下 させるという成績も発表されているユ7)幼。しかし これは投与されたヒロポンの量的関係或tiは投与 後測定までの旧聞的関係によるものではないかと 考えられるので,私はヒロポンめ投与量:を三段階 に分けて実験を試みた。:先づPro 1090.01mg 皮下注射後30分における組織呼吸量は脾の著しい 低下,腎のやや増加及び脳の僅かに増加の{頃向歯 がみられたが,肝及び心においては著変を認めな かった。而して脾の組織呼吸のみ低下を来したの は注射後のヒロポンの分布が時聞的に各臓器によ り異るためと考えられる。即ちヒロポン注射後一 定派閥を経過せる場合には,脾えの蓄積が非常に 大となり一血中の約20倍にも及ぶことが私共の研究 28)により明らかにされている。それ故注射後30分 ではヒロポンの脾内分布が非常た高まっているた め,ヒロポンのアドレナリン副作用が増大して」血 管収縮を来す結果,一一ee的に組織無酸素症並びに 呼吸基質の減少を惹起し,組織呼吸量の減少を来 すものと考えられる。 次にProユOg O.6mgを腹腔内に注射し,2時 間後の組織呼吸量を測定した処,心を除き,脳, 肝,腎及び訟訴はいずれも著明な組織呼吸の冗進 』を示した。これら呼吸の充血は1において述べた ごとく,ヒロポンのチラミン酸化酵素阻害作用に よるアルデヒド生成の減退に起因しているもの。 考えられるが,.この他に更:にヒロポンが,特に間 脳に作用することから考えで,間脳視床下部の刺 戦によって下垂体副腎系の機能を充進させ,組織 蛋白からのグリコゲン合成51)を調進させ,叉ヒロ ポン自身のアドレナリン様作用に併せ視床下部 (間脳)から副腎髄質えの刺戟によるアドレナリ ン分泌の増加によって52)グリコゲンの糖化増進を 起させて呼吸基質を増加させ,更に又下垂体ホル モン及びその刺戦によって分泌される甲状腺ホル モン等の代謝冗進作用等が相侯って組織呼吸量の 完進がみられるものと考えられる。立津54)らはヒ ロポン投与が副腎の肥大並びに甲状腺の肥大,コ ロイド含量の増加及び充盈等をま召来することを実 体的に認めており,この成績からもヒロポンが下
垂体副腎系の機能を充進させると同時にACTH
の分泌増加によって甲状腺の機能をも共に高める ことが推定される。しかるに心組織呼吸量はヒロ ポンをPro 1090.01 mg皮下注射した二合に は著変を認めないが,腹腔内にPro 1090.6mg, 皮下Pro 1091.5mg等の大:量を注射するとい ずれの場合も著明な組織呼吸量の低下を来す。こ れは心臓におけるチラミン酸化酵素の含量が他の 臓器に較べて少いため,同酵素阻害作用は少:量の ヒロポンで充分となり,大量では早くから呼吸酵 素系の活性低下或いはアドレナリン様作用による 血管障害等によって組織呼吸量の低下を来すもの と論えられる。 最後に致死量たるPro 1091,5mgを皮下注射 し,5分後の組織呼吸量を検した処,一般に呼吸 :量は低下の傾向を示した。すなわち腎及び脾は濡 々著明に減少し,脳及び心は極めて僅かに低下し, 肝は著変を示さない。而してこれらの諸変化は大 :量を注射した場合でも注射後致死迄の聞が極めて 短いため充分その薬理作用を発揮しつくせない結 果或いは呼吸酵素系に迄阻害作用が波及し呼吸量 の低下を示すためと論えられる。 慢性中毒時においては,脳,肝及び腎の組織呼 吸が充進しているが,最高を示したヒロポン中等 量注射による急性中毒時の冷温程度には及ばな い。又心は著明なる低下を来している。脾は著変 を示さない6 以上の成績を総括すると,少:量のヒPtボンでは 一般に組織呼吸の変動が少く,適当な量(Pro 109 0. 6i血9)を注射し充分薬理作用が発揮されている と考えられる2時間後では,脳,’肝,腎及び脾等 の臓器では著明な組織呼吸の充進がみられる。文 一573一致死量の如き大量を投与した場合の組織呼吸は, かえって低下の傾向にあり,組織呼吸面において 未だ著変を示さぬうちに死亡するのであろう。な お慢性中毒時のように微量のヒロポンを長期間連 続投与した揚言の組織呼吸は,脳及び肝心の一部 臓器において充血が認められるが,他の臓器はす でに低下を来している。 これらの組織呼吸の面倒或いは低下は解糖過程 における呼吸基質或いは呼吸酵素系等の変動に起 因するのではなかろうかと考え,ヒロポン中等:量 注射による急性中毒時並びに慢性中毒時の諸臓器 に諸種の呼吸基質を添加し,Krebs TCA cycle
中のアコニターゼ,コハク酸脱水素酵素:及びフマ ール酸水解酵素等主要呼吸酵素の変化並びにこれ ら諸酵素の基質の変動を実験追求した。これによ ると急性中毒時では脳及び肝の固有組織呼吸量は 正常時のそれらに較べて充進しており且つクエン 酸ナトリウム,フマール酸ナトリウム等の諸基質 を添加した場合に組織呼吸量に著変がみられない が,コハク酸ナトリウムの添加により充進を示す ことから考えて急性中毒時には各基質の増加は勿 論,これら諸呼吸酵素系(特にコハク酸脱水素酵 素)の活性値は既に増大しているものと唄えられ る。一:方脳は慢性中毒時において,コハク酸ナト リウムを添加しても組織呼吸の充進が認められ ず,コハク酸脱水素酵素の活性値は余り充曝して いないものと老えられるゆえ,組織呼吸の充満の 程度は急性中毒時に較べると低いのであろう。し かし各呼吸酵素系は未だ阻害きれてはいないの で,各基質の増加に伴い,固有組織呼吸は未だ射 出の状態にあるものと考えられる。しかし脳以外 の諸臓器は慢性中毒時では後述するごとく次第に 呼吸酵素系の障害が現われてくることから老え て,ヒロポンの投与が更に持続すれば他臓器と同 様,呼吸酵素系の活性低下が発現して来るのでは なかろうかと推定される。 心の組織呼吸量は各基質添加正常時に較べ急性 中毒時においてはクエン酸ナトリウムの添加によ り僅かに増加するが,フマーール酸ナトリウムを添 加しても依然として減少しており,基質添加によ る増加度は正常のそれに較べて小であり,叉慢性 中毒時においては,コハク酸ナトリウム及びフマ ール酸ナトリウムを添加しても低下を示したま.ま で基質添加による増加度は正常のそれに較べて小 である。これは急性中毒及び慢性中毒時共にアコ ニターゼの障害はみられないが,急性中毒時では フマラーゼが怒る程度阻害されているのではなか ろうかと考えられ,慢性中毒時には更にコハク感 心水素酵素の阻害も加わり,かくして心固有組織 呼吸量の減少が惹起されたものと考えられる。 腎は急性申毒時においては,クエン酸ナトリウ ム及びコハク酸ナ・トリウムの添店口により組織呼吸 の春画を示したので,呼吸基質の増加にアコニタ ーゼ及びコハク強肩水素酵素の活性冗進が七って 固有組織呼吸:量の増:加がみられたものと考えられ るが,一慢性中毒時ではコハク酸ナトリウム添加に より組織呼吸の前進がみられるが,クエン酸ナト リウム及びフマール酸ナトリウムの添加によって は組織呼吸の増加度は正常のそれにほぼ等しいこ とから,慢性中毒時期の固有組織呼吸量の増加は コハク酸脱水素酵素の活性冗進によるものと老え られ,特に腎に多量のコハク酸脱水素酵素を含有 しているので55)慢性中毒時においても未だ活性の 低下を来していないものと考えられる。 脾は急性中毒時においては,脳及び肝と同様に クエン酸ナトリウム及びフマール酸ナトリウムの 添加によって組織呼吸の変動は来さないが,コハ ク酸ナトリウムの添加によって僅かに組織呼吸の 充進がみられたので,クエン酸以下TCA cycle 中の各呼吸基質は馨る程度増加しているものと考 えられ,更に僅かながらコハク酸脱水素酵素の活 性充進があるために固有組織呼吸量が増加したも のと老えられる◎しかるに慢性中毒性では,コハ ク酸ナトリウム及びフマール酸ナトリウムの添加 による組織呼吸の増加度が,正常のそれに比べて 低いので,.コハク酸脱水素酵素及びフマラーゼの 障害があるものと考えられるが,クエン酸ナトリ ウムを添加した場合の増加度は正常のそれにほぼ 等しいことから,アコニターゼの阻害なく且つ呼 吸基質の減少も見られないため固有組織呼吸量の 減少を免れているものと考えられるが,コハク心 隔水素酵素及びフマラーゼの障害が漸次増大しつ つあると考えられ1るので,ヒロポンの投与がなわ 持続すれば,これら諸酵素の活性は更に低下し呼 吸基質も滅少して固有組織呼吸量が減少するもの と考えられる。 以上の成績から急性中毒時にはクエン酸以下 TCA cyde中の各呼吸基質の増加並びにコハク 一 ・574 一
酸脱水素酵素の活性売進により固有組織呼吸が充 尊したものと思われるが,このクエン酸を始め TCA cycle中の各呼吸基質の増加はヒロポンの 下垂体副腎系刺戟によるglyconeogenesis,の増進 に引続き,ヒロポン自身のアドレナリン様作用及 び視床下部(間脳)刺戟によるアドレナリンの分 泌増加等によってglycogenolysisが前進し,更 に甲状腺ホルモンも下垂体の刺戟により分泌が増 加されて同様に働くので呼吸基質の増加がみられ るものと考えられる。而してかかる状態が持続す れば,glyconeogenesiseにより多量の組織蛋白が グリコゲンとなり且つこれが盛んにブドウ糖に分 解されるので体蛋白の消耗は当然惹起されるもの と考えられる。 またコハク忙々水素酵素の活性南進は同酵素阻 害剤たるアルデヒドの生成減少によるものである が, ヒロポンはチラミンから酸化生成されるp− Hydroxyphenylacetaldehydeの生成を抑制する ため急性中毒時には,コハク酸脱水素酵素の活性 が充進ずるものと思われる。しかるに慢性中毒時 においては糖代謝の異常盤面が持続したため次第 に呼吸基質の減少を来し,脳及び肝等において は,未だ組織呼吸の充盈があってもその程度は次 第に低くなり,心及び腎等は既に呼吸の低下があ らわれてくるものと考えられる。更にまた心及び 脾においてコハク面面水素酵素及びフマラー・ゼ等 の活性低下もみられるようになってくるが,これ は呼吸基質の増加に伴い非常に多量の酵素が必要 とされていたにも拘らず,組織中のアミノ酸が消 耗されるためこれら酵素の補給維持が保たれなく なったためと考えられる。 クロールプロマジンは間脳における中枢抑制作 用,自律神経遮断作用,神経節麻痺:,抗アドレナリ ン様作用,抗ヒスタミン様作用及び1血管運動神経 抑制作用等55・56)を有するといわれているが,これ ら神経分泌の抑制はアセチルコリン遊離を減少さ せるためと考えられる。よってアミンの一種にし てアドレナリン様作用を有し間脳における自律神 経の中枢及び下垂体副腎系を刺戟するヒロポンの 中毒に対してクP一ルプロマジンは抑制効果を示 すことができるのではないか,と考えられる。また 覚醒アミンが発作性睡眠の治療41)に用いられてい る事から考えても自然睡眠に近い状態に導入する といわれているクロ ・一ルプロマジン41)は,本中毒 に対し当然治療効果を現わすものと推定される。 然るにクロールプロマジンの脳組織呼吸に及ぼ す影響に関しては必らずしもその成績が一一致して おらず,Courvoisier55), Balestrieri42)及びPre− UZZO45)等はクPt一ルプロマジンは脳の酸素消費 :量を減少させると述べ,Moyer44)は脳組織呼吸 に変動を与えないと述べ,Grene1145)は脳組織呼 吸には変化が現われなくとも,クローールプロマジ ンが特に視床下部のATP含量を増加させること から考えて,ATPの利用減少が細胞内エネルギ ー因子に何等かの変動を来しているのではないか と推察している。叉萩原及び橋本は脳の部位によ り充進或いは抑制がみられるといい,田淵及び服 部48)はクロールプロマジンの:量が薬用量の範囲内 にあるうちは抑制効果がないといっている。そこ で私は健常マウス諸臓器の組織呼吸量を充分に低 下せしめ得る量(Pro 1091.Omg)を以って急性 ヒロポン中毒抑制を試みた処,著しい組織呼吸の 背進を示した脳,肝,腎及び脾はいずれも低下を 示し亭々正常の値に復した。この呼吸の低下はク ロールプロマジンが間脳及び視床下部を遮断せし めるために下垂体副腎系の機能が減退し,副腎皮 質ホルモンの分泌が減少するので呼吸基質として の糖合成或いは糖新生が減少し,更に抗アドレナ リン様作用の結果91ycogenolysisが阻止される 等のため呼吸基質の減少を来している上,なおA TPの利用減少があり,代謝を充進させる成長ホ ルモンや甲状腺ホルモン分泌も減退するので,こ れら諸因子が相侯ってヒロポン中毒による組織呼 吸の充進を抑制するものと老えられる。’叉酵素学 的にはクV一ルプロマジンが脳のコハク酸脱水素 酵素及びチトクV・一一ム酸化酵素を阻害することが 知られているが49)∼51),急性ヒPtボン中毒時にお いては,コハク酸脱水素酵素の活性が南進してい るので,これもクロールプロマジンによって阻害 され,組織呼吸の低下に一つの役割を果している ものと考えられる。またクロールプロマジンの化 学構造から考えて,アミン酸化酵素と何等かの関 連を有するものと推定されるが,この点に関して は今日全く不明であり,今後の酉孝素学的研究によ り解明されるものと考える。 またクU一ルプロマジンはヒロポン中毒により 低下を来した心の組織呼吸を充進させほぼ正常の 値に復させている。これは血管運動神経の失調を 一 575 一
保護することたよって自.・神経刺戟による血管障 .害を除去し,組織無酸素症及び其の結果発現する 呼吸酵素系.の.障害を防止する.ため.と老え.られる が,このよう.に.クロ鎚ルプPtセ.ジン信ヒpボンの 間脳過.墨刺.戟を抑制するため,冗進及び低下を示 す組織呼吸め変動を防止するこζができ.るものと 老え.ら.れる。. 小. .括 1. 急性ヒロポン中毒時(Pro 109.0・6mg注射) には脳,肝,.腎.及び.脾において;著しい組織呼吸 .の充進を示すが心.は低下.を示す。しか.し少量のヒ ロポン(Pro 1090.01mg).では一般的に組織呼吸 の変動}ま少く,致死量(Pro 1091.5エng)を注射 己した場合には,いずれも組織呼吸の低下を来す。 2. 急性.ヒロポン中毒時にお.ける組織呼吸の旧 事.は主に呼吸基質が増加し,これにフがク酸脱水 素酵素の活性充電が加つたためと考えられる。慢 性ヒロポン.中毒時においては,代謝の異常充進の ため次第に呼吸基質が減少し,コハク酸脱水素酵 素及びフマラーゼ等の活性も低下するものと思わ れる。 3. クロみルプロマジ.ンのヒuボン中毒抑制効. 果を組織呼吸の面からみた場合非常に著明.で,異 常充進及び低下を示した諸々滞の組織呼吸はいず れも正常1と復してし.、る6 結. 論. ヒロポンの薬珪作用並びに.ヒ.Ptボン.中毒の本態 を解明すべくこ.黷 酵素学的に研究し次の成績を 得た。 .1. とロポンは諸臓器中のチラ.ミシ酸化酵素を 阻害.しアルデヒドの酸化生成を抑制するので,..こ のアルデヒドによ.る組織呼吸の阻害は減少し,呼 吸は寒蘭.する。. 2. ヒロポン.は脳においては.,.特.に間脳に働き 自律神経中枢を始め下垂体副腎系の機能を富盛さ せるため糖質代謝の冗進による呼吸基質め増加を 惹起せしめるものと考えられる。 3、慢性ヒロポン中.毒時においては糖質代謝の 異常充進持続のため次第に呼吸基質が減少し,コ ハク酸脱水素酸素及び.フマラ一篇等の活.性.も.低下 するものと思われる。 4.「ク.ロール.プロマジンはヒロポ.ン中毒時にお ける組織呼吸の変動を..著明に抑制す.る。... ..終りに臨み御指堪並びに御校閲を賜わりまし.た中舘 教授.に衷心よ.り慈.謝の意を捧げます。 (筒本論文の要旨は第40次日本洗医学会総会において 発表した。) Sロmmary
The principle of Phi.lopon poisoning as awaking symPathomimetic amine hasi’been elucidated ’in
many points. Thus,.f6r the teVealirig’ this Probl’em, .thiS・ep・・t・We・e firstly・xa血in・d’・n th6..niech・..
anisni and’acting point 6f Philopon measurin’g ’ the activity of’tyrhinihe oxydase’ believing to
be dire’モ狽撃?effeCted’ by thi’s drug. Secondly, was ・tested the ’ モ?≠狽奄№?in tissiue respiratlon” 盾?the acute and chronic Philopon Poisoning, eSpecially ’ the ・tra6ing of change in’tesPiratOry ’sabStrates. and enzyme’s activity. Thirdly; the effect.’of・
.Chlorptomazine,’SoTdalled ・cehtral innervation
’drug, on’PhilopQn po.isQning. The results qre. .
summarized as fo]lows :
1. . INQrrpallY tissu’e respiratiQn’was distu,rbed’ ’
by ald.ehyde due to .tyrarnine.gxydati. on,, but in Philopon poisoning, it r,ise inactivatirig the
tyramine oxydase. of various organ in mices and inhibiting the aidehyde product by Phi]opon. 2. The adininistrated Philopon acted ori the
btain,’ especially diencephalQn, in’ dOgs’and arised .
the function of automatie’denter and pituitary
adrenal system. Thereforei in acute Philopon po− isoning, ’respiratory substtates increased, rising ・ ・
the carbohydrat.e ’ me.tabolism.
3. ln chronic Philopon pois’oning, the conti:
nual rising of carbohydtate Fnetabolism gradually
.decreased.the substrates and also depre$sed /ac− tivity of succinate .qehydrdgenqse .and fumarqse. 4. Chlorpromazine inhibited the chahges of
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