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各教科等で指導可能な情報活用能力とその各教科等相互の関連 平成29・30年改訂学習指導要領の分析から

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1. は じ め に 情報教育は「子供たちの情報活用能力の育成」を目 指すものである(文部科学省,2019a).情報活用能力 は,今後の社会を生きる児童生徒に必要な資質・能力 としてその育成の重要性が指摘されている. これまで情報活用能力は,「情報活用の実践力」「情 報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」の3観 点とそれぞれの観点に紐づく8要素から整理され,そ れに基づいた研究・実践が積み重ねられてきた(沖林 ほか 2007,市原ほか 2008など). この他にも,情報教育の目標やカリキュラムについ て,様々な研究が行われている.例えば,笠井ほか (2005)はオントロジー理論に基づいて情報教育の目 標の体系を提案している.また,久野ほか(2015)は 初等中等段階における情報教育の目標の整理を行うと ともに,それを達成するためのカリキュラムの提案を 行っている.他にも,情報教育モデルカリキュラム(情 報ネットワーク教育活用研究会,2012)では,情報教 育の目標リストに基づき,各学年における目標が整理 されている.また,堀田(2010,2011)は児童に情報 教育を指導するための教材を提案している.このよう に情報教育を行うための目標やカリキュラム,教材な どが提案されている. 一方,平成29・30年改訂学習指導要領(文部科学省, 2017ab,2018)において,情報活用能力は「学習の基 盤となる資質・能力」として位置付けられ,各教科等 の学びを支える基盤となる能力として位置付けられて いる.同時に,学習指導要領において,全ての教科等 の目標が資質・能力の三つの柱である,「知識及び技能」, 「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人 間力等」の視点から整理されたことに伴い,情報活用 能力も三つの柱から捉え直し,整理されている.この ように,位置付けやその定義は,更新され続け,その 育成の重要性はますます高まっている. これらの状況を受けて,次世代の教育情報化推進事 業「情報教育の推進等に関する調査研究」では,情報 J-STAGE Advance published date : December 21, 2020 日本教育工学会論文誌 44(4),547-559,2021

各教科等で指導可能な情報活用能力とその各教科等相互の関連

〜平成29・30年改訂学習指導要領の分析から〜

泰山 裕

*1

・堀田龍也

*2 鳴門教育大学大学院学校教育研究科*1・東北大学大学院情報科学研究科*2 平成29・30年改訂学習指導要領において,情報活用能力は学習の基盤となる資質・能力と位置 付けられ,教科等横断的な育成が求められている.しかし,各教科等の学習活動を通して指導可 能な情報活用能力やその各教科等相互の関連は十分に整理されていない.本研究では,文部科学 省による情報活用能力の IE-School 体系表をもとに小学校,中学校,高等学校の各教科等の学習 指導要領本文を分析した.分析の結果,各教科等には IE-School 体系表で整理された情報活用能 力の項目のうち「問題解決・探究における情報活用の方法の理解」が多く求められているのに対 して,操作技能や情報メディアの特徴,情報モラル等の知識及び技能,態度などは,各教科等の 学習と対応づく数が少ないことが明らかになった.また,各教科等の学習活動を通して指導可能 な情報活用能力とそれらの各教科等相互の関連が明らかになった. キーワード:情報教育,情報活用能力,学習指導要領,教科等横断,資質・能力 資 料 2020年4月23日受理

Yu TAIZAN*1 and Tatsuya HORITA*2 : Information Literacy that Can be Taught in Each Subject and Relates of that in Each Subject -Analysis of the Revised Courses of Study for 2017 and 2018- *1 Graduate School of Education Naruto University of

Education 784 Nakashima, Takashima, Naruto, Tokushima, 772-8502 Japan

*2 Graduate School of Information Sciences, Tohoku University 6-3-09 Aramaki-aza-Aoba, Aoba-ku, Sendai, 980-8579 Japan

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教育推進校(IE-School)を指定し,情報活用能力を教 科等横断的に育成するためのカリキュラム・マネジメ ントの在り方等について検討を行っている.その成果 として,資質・能力の三つの柱の視点から整理された 情報活用能力の体系表例(表1,以下 IE-School 体系 表)が公表されている(文部科学省,2019b). IE-School 体系表は,情報活用能力を,資質・能力の 三つの柱「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力 等」,「学びに向かう力,人間力等」に整理し(表1, A〜C),それを1〜3つに分類している(表1,1〜3). さらにそれぞれに対して,下位項目が設定されている (表1,①〜④).そして,その下位項目として1〜8 つの下位項目に分類されて具体的な項目が示されてい る.それぞれの項目に対して,ステップ1〜5までの 段階が示されている.例えば,「A-1-①:情報技術に 関する技能」にはさらに下位項目として,a.コンピュ ータの基本操作,b.電子ファイルの操作,c.アプリケ ーション操作,d.ネットワーク上の操作の4つの下位 項目が設定され,それが5つのステップに整理されて いる. IE-School 体系表で示された情報活用能力の分類に は,「A-1-①:情報技術に関する技能」や「C-2:情報 モラル・セキュリティなどについての態度」などのよ う に , 情 報 の 領 域 に 特 徴 的 な 項 目 だ け で な く , 「A-2-①:情報収集、整理、分析、表現、発信の理解」 「A-2-②:情報活用の計画や評価・改善のための理論 や方法の理解」などのように,必ずしもコンピュータ 等を活用しない場合に求められるような能力も含めて 整理されている. これまでの学習指導要領でも,情報活用能力の育成 は,それを中核的に担う教科等として,中学校では技 術・家庭科の技術分野,高等学校においては情報科が ありつつも,校種を問わず教科等横断的な育成が求め られてきた.さらに,平成29・30年改訂学習指導要領 では,情報活用能力の育成について,「各教科等の特質 を生かし,教科等横断的な視点から教育課程の編成を 図る」ことが求められており,情報活用能力の育成を 教科等横断的な視点から,意図的・計画的に行うため のカリキュラム・マネジメントがこれまで以上に求め られている. カリキュラム・マネジメントの側面の一つとして平 成29・30年改訂学習指導要領は「教育の目的や目標の 実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組 み立てていくこと」を挙げている.さらに同解説総則 編には,「指導内容を組織する」際に留意すべき点とし て,「各教科等間の指導内容相互の関連を図る」「各教 科等の指導内容相互の関連を明確にする」「発展的,系 統的な指導ができるように指導内容を配列し組織す る」「各学年において,合科的・関連的な指導について 配慮する」ことが挙げられている. これに沿って,情報活用能力の育成のためのカリキ ュラム・マネジメントを捉えれば,各教科等の特質を 表1 IE-School 体系表で示された情報活用能力の分類 A 知識及び技能 1情報と情報技術を適切に活用 するための知識と技能 ①情報技術に関する技能 ②情報と情報技術の特性の理解 ③記号の組合せ方の理解 2問題解決・探究における情報 活用の方法の理解 ①情報収集、整理、分析、表現、発信の理解 ②情報活用の計画や評価・改善のための理論や方法の理解 3情報モラル・情報セキュリテ ィなどについての理解 ①情報技術の役割・影響の理解 ②情報モラル・情報セキュリティの理解 B 思考力,判断力, 表現力等 1問題解決・探究における情報 を活用する力 ①必要な情報を収集、整理、分析、表現する力 ②新たな意味や価値を創造する力 ③受け手の状況を踏まえて発信する力 ④自らの情報活用を評価・改善する力 C 学びに向かう力, 人間性等 1問題解決・探究における情報 活用の態度 ①多角的に情報を検討しようとする態度 ②試行錯誤し、計画や改善しようとする態度 2情報モラル・セキュリティな どについての態度 ①責任をもって適切に情報を扱おうとする態度 ②情報社会に参画しようとする態度

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生かした学習活動を通して指導可能な情報活用能力を 具体化した上で,教科等横断的な視点で捉え,各教科 等の指導内容相互の関連を明確にし,発展的,系統的 な指導のための指導内容の配列を検討し,合科的・関 連的な指導を行うことが求められていると言える. しかし,そのようなカリキュラム・マネジメントの ための知見の蓄積は十分であるとは言い難い.堀田 (2016)は,我が国の情報教育に関する研究を概観し ながら,情報活用能力の育成には時間がかかることを 前提に,より柔軟なカリキュラム編成の原理を明らか にする必要性を指摘しており,そのための知見の蓄積 を求めている. 情報活用能力と各教科等の学習の関連を整理した研 究としては,山川・浅井(2018)や稲垣(2019)の研 究が挙げられる.山川・浅井(2018)は各教科等の平 成29年改訂の小学校学習指導要領と平成28年に公表さ れた中央教育審議会答申「幼稚園,小学校,中校,高 等学校及び特別支援学校の学習導要領等の改善及び必 要な方策等について」の記述を情報活用能力の3観点 8要素と資質・能力のマトリクスに抽出することで, 「各教科等において情報活用能力等教科横断的な学び を意識した内容が多く盛り込まれている」と指摘して いる.また,稲垣(2019)は,仙台市で独自に開発さ れた情報活用能力の体系を各教科等の視点から検討し, 情報活用能力の各教科・領域のイメージを明らかにし ている.指導主事を対象にしたワークショップ結果の 分析から,各教科等と情報活用能力の関連や育成しや すい単元を提案している. このように各教科等と情報活用能力の関連に関する 研究は行われているが,山川・浅井(2018)の研究は 各教科等の学習指導要領や答申の記述から情報活用能 力と関連のある文言を抽出したものであり,稲垣 (2019)の研究は,指導主事を対象にしたワークショ ップから独自に開発された情報活用能力の体系をもと に,情報活用能力が各教科・領域でどのようにイメー ジされているのかを明らかにしている.これらの研究 はいずれも各教科等の学習と情報活用能力の関連は検 討されているものの,各教科等で育成可能な情報活用 能力の具体については明らかにされていないことに加 えて,各教科等相互の関連についても検討されておら ず,各教科等での学習内容の発展的,系統的な配列に ついては検討されていない.これらの知見は,各教科 等において情報活用能力をイメージする際には参考に なるが,情報活用能力の育成のためのカリキュラム・ マネジメントを行うための資料としては不十分である と考えられる. 情報活用能力の育成のためのカリキュラム・マネジ メントを行うためには,これらの知見に加えて,各教 科等の特質に応じて指導可能な情報活用能力について 明らかにすると同時に,情報活用能力を発展的,系統 的に指導するために,その各教科等相互の関連につい て明らかにする必要があると考えられる.具体的には, 各教科等の学習活動において,指導することが可能な 情報活用能力の要素を明らかにする.そして,情報活 用能力のどの項目がどの教科等の学習の中で指導が可 能か,そして,逆に教科等の学習の中では指導しにく い項目は何かを明らかにした上で,その教科等相互の 関連について検討することで,教科等の学習を通した 情報活用能力の指導をどのように配列することが可能 なのかについて明らかにする必要があると考えられる. それが明らかになることで,教科等の学習活動の中 で情報活用能力を指導することが可能になる.同時に, 各教科等の学習の中で指導が難しいと考えられる項目 については,学校裁量によりその育成のための工夫を 行うことが可能になる.さらに,各教科等相互の関連 を分析することで,例えば,ある教科等で学習した情 報収集の方法と,別の教科等で学習した情報整理の方 法を関連づけて発展的,系統的な指導ができるように 指導内容を配列し組織することが可能になり,情報活 用能力の教科等横断的な指導が可能になると考えられ る. また,カリキュラム・マネジメントについて,平成 29・30年改訂学習指導要領,第1章,総則には「教育 課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の 質の向上を図っていくこと」と記述されており,国が 定めた教育課程である,学習指導要領に基づいた分析 が必要であると考えた. 2. 研究の目的と方法 2.1. 研究の目的 そこで,本研究の目的は,学習指導要領を情報活用 能力の視点から分析し,各教科等において指導可能な 情報活用能力とそれらの各教科等相互の関連を明らか にすることである. これによって,情報活用能力を教科等横断的に育成 するためのカリキュラム・マネジメントのための資料 になると考えた.

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2.2. 研究の対象と方法 そのために,本研究では,IE-School 体系表に示され ている情報活用能力の分類を枠組みとして,平成29・ 30年改訂学習指導要領を分析することとした. 情報活用能力を捉えるための視点として,先に示し た IE-School 体系表を用いた.IE-School 体系表はあく まで「情報教育の推進等に関する調査研究」に参画し た推進校の取り組みから整理された例示であるが,情 報活用能力の具体を捉えるための枠組みとして提案さ れている.そのため,本研究では,この枠組を活用す ることが有効であると考えた. また,本研究では,平成29・30年改訂の学習指導要 領,小学校,中学校,高等学校の専門の教科を除く各 教科等の学習指導要領本文を分析の対象とした. 学習指導要領を対象とした分析では,泰山ほか (2014)の研究がある.この研究では,学習指導要領 から思考スキルを抽出した上で,その教科等横断性に ついて先行研究と対応づけながら考察を行なっている. 本研究でもこの研究手法を参考に,以下の方法で分析 を行った. まず,学習指導要領本文をテキスト化し,一文ごと に区切り,文節化した.文節の数は,9652になった. 次に,それぞれの文節に対して,関連すると思われ る情報活用能力を IE-School 体系表の分類と対応づけ た.IE-School 体系表では,表1に示した項目ごとに, 下位項目が示されているため,分析ではその下位項目 に対応づけた. 対応づけの際には,笠井(2005),久野ほか(2015) の目標体系の記述,情報ネットワーク研究活用研究会 (2012)や堀田(2008)による学習内容の提案と比較 し,情報活用能力と対応づけることが可能かどうかを 判断した.具体的には,学習指導要領上の文言が上記 先行研究の内容と対応づくかどうかを検討し,その文 言を情報活用能力と対応づけることが妥当かどうかを 判断する根拠とした. いくつか,例を挙げて,分析の手順を説明する. 例えば,IE-School 体系表には,小学校学習指導要領 第2章第1節,国語に記載されている「情報と情報の 関係」や「情報の整理」の文言がそのまま記載されて いる.小学校国語科中学年,知識及び技能「(2)イ比 較や分類の仕方,必要な語句などの書き留め方,引用 の仕方や出典の示し方,辞書や事典の使い方を理解し 使うこと」という文節には,「A-2-①:情報収集、整 理、分析、表現、発信の理解」の下位項目である「c 情報と情報の関係」に関する項目と,引用の仕方や辞 書等の使い方などといった,「a 調査や資料等による情 報収集の方法」の2つの項目が含まれると考えられる ため,それぞれの項目と対応づけた.また,その際に, 情報ネットワーク研究活用研究会(2012)が提案する 情報教育の目標リストを参照した.この中にも,「情報 の分類」「情報の関係づけ」が含まれており,この文言 が情報活用能力に対応すると判断し,これらの文言に は「情報と情報の関係」に関する項目と,引用の仕方 や辞書等の使い方などといった,「調査や資料等による 情報収集の方法の理解」を対応づけた. 他にも,国語の例のように直接的に対応づけるだけ でなく,学習活動の中で求められる情報活用能力を想 定して対応づける場合もある. 例えば,小学校社会科第5学年では「地図帳や地球 儀,各種の資料で調べ,まとめる」ための知識及び技 能の習得が示されている.このような知識や技能の中 には,情報収集の計画を立て,集めた情報を整理する ような情報活用能力が含まれると考えられるため, 「A-2-①:情報収集、整理、分析、表現、発信の理解」, 「A-2-②:情報活用の計画や評価・改善のための理論 や方法の理解」の下位項目を対応づけた.また,笠井 (2005)の提案する情報教育目標体系の中にも「情報 処理設計力」という項目があり,このような情報活用 の計画立案に関するものを情報活用能力に対応づける ことが妥当であると判断した.結果,この文節には, 「A-2-①:情報収集、整理、分析、表現、発信の理解」, 「A-2-②:情報活用の計画や評価・改善のための理論 や方法の理解」の下位項目である,情報収集の方法や, 調査の設計方法,情報と情報の関係の理解などの9つ の下位項目を対応づけた. 同様の作業を本研究の対象とした9652の文節に対し て行った.対応づけは,第一筆者が行い,必要に応じ て第二筆者と議論を行い確認した. 分析の終了後,各段階(小学校低学年,小学校中学 年,小学校高学年,中学校,高等学校),各教科等に対 応づけた情報活用能力の数を合計し,各教科等で指導 可能な情報活用能力とそれらの各教科等相互の関連を 考察した. 3. 研究の結果と考察 3.1. 全体的な結果 分析の結果を示したのが,表2である. 全体の結果を見ると,IE-School 体系表で示された全

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ての項目がいずれかの教科等の目標と対応づけること ができた.しかし,その数は項目によって違いがある ことが明らかになった. 3.1.1. 各教科等と対応づけられる数が多かった情 報活用能力の項目 知識及び技能においては,「A−1:情報と情報技術を 適切に活用するための知識と技能」や「A−3:情報モ ラル・セキュリティの理解」に比べ,「A−2:問題解決・ 探究における情報活用の方法の理解」と対応する文節 の数が多く確認された.特に,知識及び技能のうち 「A-2-①:情報収集、整理、分析、表現、発信の理解」 や思考力,判断力,表現力等,学びに向かう力,人間 性等の中でも「C-1-①:多角的に情報を検討しようと する態度」「C-1-②:試行錯誤し、計画や改善しよう とする態度」は各教科等に多く対応づいた. 情報の扱い方を理解していることや実際にそれを発 揮して問題解決や探究を行う思考力等,そして,その 際に求められる態度やメタ認知などは各教科等の学習 の目標との多くの場面で育成が求められるものと重な ることが想定できる. また,それらは校種が上がることに数が増えていく ことから,内容が高度化するにつれて,情報活用能力 の発揮場面も多くなる傾向にあることも確認できた. 3.1.2. 各教科等と対応づけられる数が少なかった 情報活用能力の項目 また,各教科等の学習指導要領とは対応づけられる 数が少ない情報活用能力の項目もあった.それは,操 作技能や情報メディアの特徴,情報モラル等の情報を 扱う際の前提となる知識及び技能,態度であった. これらは,教科等の目標に位置付けにくい情報活用 能力の項目であるが,タイピングの技能や情報モラル に関する知識や態度のように,学習の基盤として求め られるものであるため指導が必要であり,その際には カリキュラムの工夫が求められる. 平成29年改訂,小学校学習指導要領第1章,総則に おいても「各教科等の特質に応じて」「児童がコンピュ ータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要と なる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活 動」を「計画的に実施すること」が示されており,教 科等の学習活動と対応づけながら,これら,学習の基 盤として必要となる情報手段の操作方法を身につけさ せることが求められている. 例えば,鈴木ほか(2015)は小学校第1学年を対象 に教科等の学習活動の中で ICT 機器を活用させること で,操作スキルの向上が見られ,それが問題解決能力 やコミュニケーション能力,コラボレーション能力の 向上につながることを明らかにしている.また,胡・ 野中(2018)は中学校のキーボード入力スキルに関す る実態調査を行い,休み時間等にも情報端末を活用さ せることが,キーボード入力スキルに影響する可能性 を指摘している.堀田・高橋(2005)は特にキーボー ド入力に焦点化した学習システムを開発し,その評価 を行い,検定のシステムが児童のキーボード入力スキ ルの向上に有効であることを示している. 各教科等との対応づいた数が少ない操作技能や情報 メディアの特徴の理解,情報モラル等の情報を扱う際 の前提となる知識及び技能,態度は,これらの先行研 究の知見を援用し,各教科等の学習活動に活用の機会 を意図的に準備したり,各教科等とは別の時間を設け て指導したりするなどの工夫が必要となる. そして,鈴木ほか(2015)が指摘するように,これ らの資質・能力を事前に指導しておくことで,それが 学習の基盤となり各教科等の資質・能力の育成や,教 科等の学習と対応づいた情報活用能力の育成にもつな がると考えられる. 3.2. 各教科等の結果 次に各教科等の分析結果を紹介し,考察を進める. 3.2.1. 国語の結果 国語科で最も多く確認されたのは,「A−2:問題解 決・探究における情報活用の方法の理解」の中でも, 「c 情報と情報の関係」や「e 情報の整理」の技能と関 連する項目であった.研究方法でも示した通り,これ らの項目は IE-School 体系表に記載されている項目で あり,国語科学習指導要領の多くの文言と対応づけら れた. 国語科においては,情報と情報の関係と情報の整理 の方法を理解し,それらを活用した問題解決の姿とし ての思考力等の記述,そして,それをコントロールす る態度に対応づけられる文節が多く確認された.さら にそれは,校種が上がることに数が増えていくことも 確認された. 国語科の学習指導要領では小学校第4学年以降「目 的を意識して」や「目的や意図に応じて」に類する言 葉が35文節ある.目的や場に応じて計画を立てるため には,「A-2-②:情報活用の評価・改善のための理論 や方法の理解」の下位項目である,「a 目的を意識して 情報活用の見通しを立てる手順」を活用する必要があ ると考えられる.例えば,高等学校,A 話すこと・聞

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くこと領域では,「ア目的や場に応じて,実社会の中か ら適切な話題を決め,様々な観点から情報を収集,整 理して,伝え合う内容を検討すること」という文言が 確認できる.これを達成するためには,これまで学習 してきた情報の整理の方法などを活用しながら問題解 決を行うことが想定できる.そのため,これらの文言 は A-2-②に対応づけた. このように,国語科の中では言語を介して情報を収 集し,分析したり表現したりする学習が行われており, 情報活用能力の育成や発揮が求められる場面が多く確 認できた. 3.2.2. 社会,地理歴史,公民の結果 社会科では「A−2:問題解決・探究における情報活 用の方法の理解」の中で調査の設計からデータ分析, 解釈,表現に関わるものが満遍なく求められていた. 事象を多面的に考察し,情報を関連付けながら考察す る学習活動での情報活用能力の発揮が想定できる. 小学校第6学年では「地図帳や地球儀,各種の資料 で調べ,まとめること」という文言がある.堀田(2008) が作成した「私たちと情報」では,「身の回りからの情 報の集め方」が学習項目とされていることから,各資 料からの情報収集の方法として「A-2-①:情報収集、 整理、分析、表現、発信の理解」の下位項目である, 「a 調査や資料等による基本的な情報の収集の方法」 と対応づくと判断した. また,中学校,高等学校の学習指導要領においては, 「〇〇について多面的・多角的に考察し,表現するこ と」という表現が21文節で確認された.この活動にお いては,多面的・多角的に考察するために「A-2-①: 情報収集、整理、分析、表現、発信の理解」の下位項 目である,「a 調査や資料等による基本的な情報の収集 の方法」,集めた情報を整理・分析するための「c 考え と理由、全体と中心などの情報と情報との関係」や「d 情報と情報との関係付けの仕方」「e 目的に応じた表や グラフを用いた情報の整理の方法」「f 複数の視点から 情報の傾向と変化を捉える方法」,そして,考察したこ とを表現するための「g 複数の表現手段を組み合わせ て表現する方法」が求められると考えられるため,こ の文言には「A-2-①:情報収集、整理、分析、表現、 発信の理解」の下位項目の6つを対応づけた. 小学校段階では,教科の目標と重ねて情報活用能力 の育成が行われ,高等学校の段階では,課題の設定か ら情報収集,整理分析,まとめ,表現に至るまで探究 学習のプロセスにおいて求められる情報活用能力を発 揮しながら教科の目標に迫るということが想定されて いると考えられる. さらに社会科の領域においては情報社会自体が学習 対象になることがあり,「A-1-②:情報と情報技術の 特性の理解」や「A−3:情報モラル・セキュリティな どについての理解」に関連する項目が目標に含まれて いた.小学校第5学年で「情報の種類,情報の活用の 仕方などに着目して,産業における情報活用の現状を 捉え,情報を生かして発展する産業が国民生活に果た す役割を考え,表現すること」が求められており,情 報社会における情報の種類やその活用の仕方から社会 を見ることが求められる単元があることも社会科の特 徴である. 3.2.3. 算数,数学の結果 算数・数学においても,最も多く確認されたのは, 「A−2:問題解決・探究における情報活用の方法の理 解」であった.算数・数学においては,その中でも表 やグラフを用いた情報の整理や統計的な情報の整理の 方法に関する項目に対応付くものが多く確認された. 小学校第4学年算数,D データの活用領域,知識及 び技能領域に「(イ)折れ線グラフの特徴とその用い方 を理解すること」が示されている.これは IE-School 体系表における「A-2-①:情報収集、整理、分析、表 現、発信の理解」の下位項目として示されている「e 観点を決めた表やグラフを用いた情報の整理の方法」 や「f 複数の視点から情報の傾向と変化を捉える方法」 に該当すると考えられる.そこでこの文節には,この 2つの情報活用能力の項目を対応づけた. 久野ほか(2015)の情報教育目標の体系の中にも「定 性的/定量的なデータを取り扱い問題解決に活かす技 能」が位置づけられるなど,主として算数,数学の中 で指導される項目であるが,これも情報活用能力に対 応づくと判断した. 特に学習指導要領において小学校,中学校課程に新 たに示された「データの活用」領域においては,グラ フや表などで情報を整理する方法に関する知識や技能 を習得し,それらを用いた批判的な考察などが特徴と してあげられる. 中学校では「コンピュータなどの情報手段を用いる などしてデータを表やグラフに整理する」ための知 識・技能の習得が求められ,それらの知識,技能を活 用して「目的に応じてデータを収集して分析し,その データの分布の傾向を読み取り,批判的に考察し判断 する」ための思考力等の育成が求められていた.

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このように算数・数学においては,情報活用能力の 項目が教科の目標と重なる文言が多く確認された.算 数・数学では,データの読み方や表し方を学習し,そ れを実際に調査に活用するという形で情報活用能力の 育成と発揮が想定されていると考えられる. 3.2.4. 理科の結果 理科では「A−2:問題解決・探究における情報活用 の方法の理解」の中でも,調査の設計方法に関する項 目と対応づく文節が多く確認できた. 中学校理科,太陽系と恒星の領域では「地球と宇宙 について,天体の観察,実験などを行い,その結果や 資料を分析して解釈し,天体の運動と見え方について の特徴や規則性を見いだして表現すること」が示され ている.ここでは,調査の設計を行い,観察実験など で情報を収集し,得られた情報を分析し,傾向を捉え 解釈し,考えを形成して,表現するという一連の情報 活用能力の発揮が求められることが想定できる.その ため,この文節には「A-2-①:情報収集、整理、分析、 表現、発信の理解」の下位項目の各知識や技能,そし て,それらを発揮した問題解決の力である「B:思考 力・判断力・表現力等」,そして,問題解決を計画し, モニタリングや修正,振り返りを行う「C-1-①:多角 的に情報を検討しようとする態度」「C-1-②:試行錯 誤し、改善しようとする態度」の下位項目の合計10項 目を対応づけた. 理科では,調査計画の立案と実行(A−2−②)とそこ から得られたデータを解釈し,表現する(A−2−①)と いう一連の情報活用の過程を通して情報活用能力が発 揮されることを想定されており,そのための調査設計 の方法や調査自体の方法を習得する構造になっていた. そのため,それらの文言には「A-2-①:情報収集、整 理、分析、表現、発信の理解」の下位項目である,情 報の収集,分析,解釈から表現の項目を対応づけた. 同時に,「A-2-②:情報活用の評価・改善のための理 論や方法の理解」の下位項目である「調査計画の立案 や評価改善に関連する2つの項目を対応づけた. 例えば,小学校理科第4学年には「〇〇について追 究する中で,既習の内容や生活経験を基に,△△と× ×の関係について,根拠のある予想や仮説を発想し, 表現すること」という表現が繰り返し出てくる.そし て,これらの学習活動を通して,内容の理解と合わせ て「観察,実験などに関する技能を身に付けること」 が求められている.これらの文言の中には直接的に観 察や実験などの情報収集や調査設計等のやり方を知識, 技能として習得することが明記されているわけではな いが,上記のような情報活用能力と関連する資質・能 力の育成が求められると判断できる. さらに中学校になると「また,探究の過程を振り返 ること」という文言が4つ確認された.このことから 特に中学校以降において,「A-2-②:情報活用の評価・ 改善のための理論や方法の理解」の中でも「b 情報の 活用を振り返り、改善点を見出す手順」や,それに関 する態度(C-1-②)などが求められており,計画の確 からしさを確かめたり,結果をもとに計画の修正を行 ったりするための方法についても指導対象となるよう な構造になっていた. 3.2.5. 図画工作,音楽,美術,芸術の結果 これらの教科では,主に情報の表現などの領域に関 する情報活用能力の項目が対応づけられた. 小学校図工において「好きな形や色を選んだり,い ろいろな形や色を考えたりしながら,どのように表す かについて考えること」が求められ,自分の考えたこ とや感じたことをどのように表現するかについて指導 されている.これは「A-2-①:情報収集、整理、分析、 表現、発信の理解」,「g 複数の表現手段を組み合わせ て表現する方法」に対応づけた. さらに高等学校段階では,「感じ取ったことや考えた こと,目的や機能などを基に,映像メディアの特性を 生かして主題を生成すること」などのように表現の方 法としての情報メディアの特徴の理解まで言及されて いるため,「g 複数の表現手段を組み合わせて表現する 方法」に加えて,「A-1-②:情報と情報技術の特性の 理解」の下位項目,「b 情報を伝える主なメディアの特 徴」と対応づけた. また,小学校第6学年,音楽科で「音楽を形づくっ ている内容を聴き取り,それらの働きが生み出すよさ や面白さ,美しさを感じ取りながら,聴き取ったこと と感じ取ったこととの関わりについて考えること」な どのように,「C−1:問題解決・探究における情報活用 の態度」の中の項目である「C-1-①:多角的に情報を 検討しようとする態度」を発揮することが求められる 場面が確認できた. 校種が上がると,中学校美術科における「伝える目 的や条件などを基に,伝える相手や内容,社会との関 わりなどから主題を生み出し,伝達の効果と美しさな どとの調和を総合的に考え,表現の構想を練ること」 などのように表現の際に伝える相手や内容を想定した 計画についても言及され,高等学校段階になると,芸

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術科「目的や用途,表現形式に応じた全体の構成」な どのように,自分の意図するものを適切に表現するた めの計画,実行,その評価などに対応する文節が多く 確認された.そのため,これらの文言は表現に関する 項目に加えて,「A-2-②:情報活用の評価・改善のた めの理論や方法の理解」の中でも「b 情報の活用を振 り返り、改善点を見出す手順」や,それに関する態度 (C-1-②)と対応づけた. このようにこれらの教科では,特に目的に応じた情 報の表現とそのための計画立案,実行,修正などの情 報活用能力の育成が求められていると考えられる. 3.2.6. 体育,保健体育の結果 保健体育科においては,他の教科等とは異なり, 「A-2-②:情報活用の評価・改善のための理論や方法 の理解」や「C-1-②:試行錯誤し、改善しようとする 態度」に対応する文節が多く確認できた. 小学校段階で「自己の課題を見付け,その解決のた めの活動を工夫するとともに,考えたことを友達に伝 えること」のような文言が20個,中学校では「自己の 課題を発見し,合理的な解決に向けて〇〇を工夫する とともに,自己や仲間の考えたことを他者に伝えるこ と」に類する文言が26個,高等学校段階においては「〇 〇の仕方について,課題を発見し,よりよい解決に向 けて思考し判断するとともに,他者に伝えること」に 関する文言が23個確認された. このように,体育,保健体育においては,自分や友 達の動きや生活を客観的に捉え,課題を見つけてその 解決のための方法を検討し,実行することを求める文 言が多く確認できた.これらの文言は情報活用の計画 立案,修正に関する項目と対応づけることができる. 教育目標オントロジー(笠井,2005)でも,「情報活 用分析力」が項目に挙げられており,自らの活動を計 画し,それをコントロールする資質・能力は情報活用 能力と対応づけることが可能であると判断した. 3.2.7. 家庭,技術・家庭の分析結果 家庭科,技術・家庭科では,中学校で技術分野の中 の情報教育の領域に関する内容があり,中学校段階で 「A-1-②:情報と情報技術の特性の理解」や「A-1-③: 記号の組合せ方の理解」に該当する文節が確認できた. 中学校技術・家庭科(技術分野)において,「情報の 表現,記録,計算,通信の特性等の原理・法則と,情 報のデジタル化や処理の自動化,システム化,情報セ キュリティ等に関わる基礎的な技術の仕組み及び情報 モラルの必要性について理解すること」が項目に位置 付けられており,情報そのものの特徴やデジタル化な どの技術的な仕組み等の理解が教科の目標として位置 付けられており,情報活用能力の育成が教科の目標と されていた. そのほかにも学年を経るごとに,「C−1:問題解決・ 探究における情報活用の態度」の数が増えていき,校 種が上がるごとに自ら計画を立てて実行することに対 応する文節が増えていくことも確認できた. 3.2.8. 情報の結果 情報科では,情報活用能力の全ての項目が網羅的に 目標に含まれていた. 「情報と情報技術を活用した問題の発見・解決の方 法に着目し,情報社会の問題を発見・解決する活動を 通して」と記載されているように,情報を活用した問 題の発見・解決力としての思考力と,そのために必要 となる知識及び技能の習得が目標とされていた. 高等学校段階においては,情報科が情報教育の中心 となることが想定される.そのため,情報科において は,同時に他教科等で指導されている情報活用能力と の関連を意識したカリキュラム設計が求められると考 えられる. 3.2.9. 理数の結果 理数では,「様々な事象に関わり,数学的な見方・考 え方や理科の見方・考え方を組み合わせるなどして働 かせ,探究の過程を通して,課題を解決するために必 要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す」 という記述があり,探究に関わる様々な資質・能力の 育成が求められている.具体的には「観察,実験,調 査等についての基本的な技能」「事象を分析するための 基本的な技能」「探究した結果をまとめ,発表するため の基本的な技能」などが習得を目指す知識・技能とし て挙げられており,それぞれ,「A-2-①:情報収集、 整理、分析、表現、発信の理解」の下位項目である「a 調査や実験・観察等による情報の収集と検証の方法」, 「f 複数の観点から情報の傾向と変化を捉える方法」, 「g 複数の表現手段を組み合わせて表現する方法」を 対応づけた. このように理数探究においては,「A-2-①:情報収 集、整理、分析、表現、発信の理解」に関わる情報活 用能力の項目が多く対応づけられた. 3.2.10. 外国語活動,外国語の結果 外国語活動,外国語科については,情報活用能力と 対応づけられる項目は少なかった. 中学校段階までは対応づけられる文節は少なく,高

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等学校段階になって「学校外での生活や地域社会など の日常的な話題について,情報や考え,気持ちなどを, 明確な理由や根拠とともに詳しく伝える複数の段落を 書く活動」などのような文節で情報の収集から,整理, 分析に関わる項目が対応づけられた. 特に外国語活動,外国語科においては,相手に合わ せた表現形式を選択することに関する情報活用能力の 発揮が求められると考えられる. 3.2.11. 特別な教科道徳の結果 特別な教科道徳においても,情報活用能力と対応づ く文節は少なかった.しかし,全ての校種において「発 達の段階や特性等を考慮し,第2に示す内容との関連 を踏まえつつ,情報モラルに関する指導を充実するこ と」が示されており,例えば,小学校5学年及び6学 年での「法やきまりの意義を理解した上で進んでそれ らを守り,自他の権利を大切にし,義務を果たすこと」 などと関連付けて情報モラルの指導が行われることに なると考えられる. 特別な教科道徳では,適切な領域において「A-3-②: 情報モラル・セキュリティの理解」やそれらに関する 情報活用能力と対応する文言が確認された. 3.2.12. 生活・総合的な学習/探究の時間の結果 生活科においては,「A-2-①:情報収集、整理、分 析、表現、発信の理解」の中でも,比較や分類などの 情報と情報の関係の理解に該当する項目や,自分の成 長を見つけるような「C−1:問題解決・探究における 情報活用の態度」に該当するものがいくつか確認でき た. 例えば,「自分自身の生活や成長を振り返る活動を通 して,自分のことや支えてくれた人々について考える ことができ,自分が大きくなったこと,自分でできる ようになったこと,役割が増えたことなどが分かると ともに,これまでの生活や成長を支えてくれた人々に 感謝の気持ちをもち,これからの成長への願いをもっ て,意欲的に生活しようとする」という文言からは, これまでの活動を振り返り,自分の変化に気付くとと もに,これからの生活につなげることが求められてい る.これは,「C−1:問題解決・探究における情報活用 の態度」の下位項目である,「c 情報の活用を振り返り、 良さを見つけようとする」と対応づくと考えられる. また,総合的な学習/探究の時間では,探究のプロ セスを様々な情報活用能力を活用しながら進めていく ことが想定されるため,満遍なく全ての情報活用能力 の項目が確認された.総合的な学習/探究の時間にお いては,探究的な学習の過程に合わせて情報活用能力 を発揮しながら,情報活用能力自体も高めていくとい うような情報活用能力の形が考えられる. また,総合的な学習/探究の時間では「情報」に関 する探究課題が設定されることがあり,その際には, 総合的な学習/探究の時間の目標とより多くの情報活 用能力と対応づくと考えられる. 3.2.13. 特別活動の結果 特別活動では,例えばボランティア活動などで「地 域や社会の課題を見いだし,具体的な対策を考え,実 践し,地域や社会に参画できるようにすること」など で,課題発見から計画立案,実行などの一連のプロセ スの中で情報活用能力の発揮が想定された. 3.3. 各教科等相互の関連 これまで,全体的な分析結果と各教科等において指 導が想定される情報活用能力を確認した.これらの結 果を踏まえると情報活用能力の育成のために,各教科 等の指導を次のように関連づけることが可能になる. 対応づく数が多かった項目は,多くの教科等の学習 で指導が求められるものである.特に「A−2-①:情報 収集、整理、分析、表現、発信の理解」は,情報の収 集から発信に至る学習活動で発揮されることが想定さ れる.その際,同じ情報活用能力が教科等を横断して 発揮されることが考えられるため,前回出てきた場面 を指摘したり,より円滑に発揮できるように指導した りするなどのように,発展性,系統性を意識した指導 が可能になると考えられる. このような各教科等相互の関連については,例えば, 情報の整理のための技能としての教科横断的な思考ス キルの整理(泰山ほか,2014),データを分析するため の能力としての教科横断的な統計教育カリキュラムの 検討(大谷・五十嵐,2019),メディアを扱う能力とし てのメディア・リテラシー教育と教科等との関連分析 (浅井,2011)など,情報活用能力と関連が深い資質・ 能力の視点による教科横断的なカリキュラム検討の知 見を援用し,各教科等の学習を相互に関連づけること でその発展性,系統性を意識した指導が可能になる. さらに,各教科等の指導の中で,項目ごとの重点が 異なる場合もあり,そのような指導の関連も意識する ことが可能である.「A−2-①:情報収集、整理、分析、 表現、発信の理解」の中では,情報収集については, 社会科の学習指導要領において記述が多く見られ,整 理分析においては国語科における「情報と情報の関係 の理解」や算数・数学科における「データ活用」の領

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域で特に指導されている.また,表現方法については, 「図画工作,音楽,美術,芸術」で多くの記述が確認 された.そして,総合的な学習/探究の時間において は,これらの情報活用能力を文脈に応じて発揮するこ とが求められる.このように,情報活用能力の視点か ら各教科等の指導内容の重点を確認することで,情報 活用の流れに沿って,各教科等の学習内容を配列し, 発展的・系統的に指導することが可能になると思われ る. 一方,「A−1:情報と情報技術を適切に活用するため の知識と技能」や「A−3:情報モラル・セキュリティ の理解」については,対応づけられる数が少なく,あ る教科等や学校裁量での時間での学習をもとに各教科 等で発揮させるといったような指導が必要となると考 えられる. 例えば,コンピュータの操作方法は,先に示したよ うに特設した時間で指導した上で各教科等の学習の中 で活用させることで,技能の習得を目指すことができ る.また,情報メディアの特徴についての知識及び技 能や情報モラルに関連する知識や学びに向かう力・人 間性等については,社会科において情報社会を対象と した単元や,技術・家庭科の技術分野,情報科の中で 指導した上で,各教科等の学習の中で必要に応じて指 導するというように特定の教科等や時間を軸として, 他の教科等の学習活動につなげていくことが必要にな ると考えられる. 4. 研究のまとめと今後の課題 本研究では各教科等において指導可能な情報活用能 力とそれらの各教科等相互の関連を明らかにするため に,IE-School 体系表で示された情報活用能力の分類と 各教科等の学習指導要領の対応づけを行った.その結 果,IE-School 体系表に示された情報活用能力の全ての 項目が教科等に対応づくが,対応づく数は項目によっ て異なることが明らかになった.また,対応づいた数 が少ない項目については,その指導のための工夫が求 められることも想定された. さらに,各教科等に対応づく情報活用能力の項目に 違いがあることも明らかになった.各教科等の指導に おいて,関連する情報活用能力の項目を意識した指導 を行うことができると考えられる.情報活用能力の育 成を意識せずに行っていた各教科等の学習を意識的に 情報活用能力の項目に対応づけて指導することで,教 科等の学習を通した情報活用能力の育成につながると 考えられる. また,多くの教科等で「A−2:問題解決・探究にお ける情報活用の方法の理解」に関する文節が多く確認 され,この項目をもとにカリキュラム・マネジメント を行うことが可能になることが考えられる.情報活用 能力を媒介として,各教科の学習をつなぐことによっ て,発展的,系統的な指導が可能になり,教科等横断 的な指導による情報活用能力の育成が可能になる. 今後は,本研究の分析結果をもとにしたカリキュラ ム・マネジメントによって,情報活用能力をどのよう に育てていくのかについて検討が必要である. 謝 辞 本研究は JSPS 科研費18H01045「高度情報技術基盤 社会に向けた初等中等教育の次世代情報教育の体系化 に関する研究」の助成を受けた. また,本論文をまとめるにあたって,東北大学大学 院情報科学研究科,安里基子さんから有用なコメント をいただきました.お礼申し上げます. 付 記 本研究は,泰山・堀田(2019)が日本教育工学会研 究会で発表した分析をさらに発展させ,まとめたもの である. 参 考 文 献 浅井和行(2011)新学習指導要領におけるメディア・ リテラシー教育の要素分析.京都教育大学教育実 践研究紀要,11:209-218 堀田龍也(2010)私たちと情報5年6年(改訂版).学研 堀田龍也(2011)わたしたちとじょうほう3年4年(改 訂版)学研 堀田龍也(2016)初等中等教育における情報教育.日 本教育工学会論文誌,40(3):131-142 堀田龍也,高橋純(2005)キーボー島アドベンチャー: 検定機能を実装した小学生向け日本語キーボード 入力学習システムの開発と評価.日本教育工学会 論文誌,29(3):329-338 市原靖士,阪東哲也,森山潤(2008)中学生の「情報 活用の実践力」における構造モデルの検討.日本 教育工学会論文誌,32(Suppl):101-104 稲垣忠(2019)小学校における教科・領域からみた情 報活用能力観に関する調査―教科横断的に育成す る資質・能力のマネジメントに着目して―.東北

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学院大学教育学科論集,pp.17-34 情報ネットワーク教育活用研究会(2012)情報教育モ デルカリキュラム. http://jnk4.info/www/JNK4_PortalSite/Recipe_Moku hyo_LINK/MCIL2010/hyoukalist.php (参照日 2020.03.19) 笠井俊信,山口晴久,永野和男,溝口理一郎(2005) オントロジー理論に基づく情報教育目標の体系的 記述.電子情報通信学会論文誌,88(1):3-15 久野靖,和田勉,中山泰一(2015)初等中等段階を通 した情報教育の必要性とカリキュラム体系の提案. 情 報 処 理 学 会 論 文 誌 , 教 育 と コ ン ピ ュ ー タ , 1(3)pp.48-61 胡啓慧,野中陽一(2018)中学生のキーボード入力ス キルに関する実態調査.日本教育工学会論文誌, 42(Suppl):153-156 文部科学省(2017a)小学校学習指導要領(平成29年告 示). https://www.mext.go.jp/content/1413522_001.pdf (参照日 2020.03.19) 文部科学省(2017b)中学校学習指導要領(平成29年告 示). https://www.mext.go.jp/content/1413522_002.pdf (参照日 2020.03.19) 文部科学省(2018)高等学校学習指導要領(平成30年 告示). https://www.mext.go.jp/content/1384661_6_1_3.pdf (参照日 2020.03.19) 文部科学省(2019a)「教育の情報化に関する手引」(令 和元年12月)について. https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/de tail/mext_00117.html(参照日 2020.03.19) 文部科学省(2019b)次世代の教育情報化推進事業「情 報教育の推進等に関する調査研究」成果報告書. https://www.mext.go.jp/component/a_menu/educati on/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/09/18/141 6859_01.pdf(参照日 2020.03.19) 沖林洋平,神山貴弥,西井章司,森保尚美,川本憲明, 鹿江宏明,森敏昭(2007)児童生徒における情報 活用の実践力と情報モラルの関連.日本教育工学 会論文誌,31(Suppl):149-152 大谷洋貴,五十嵐敏文(2019)初等教育段階における 教科横断的な統計指導に向けた基礎的考察:統計 的探究に着目して.初等教育カリキュラム研究, 7:1-14 鈴木二正,西山由真,芳賀高洋,大川恵子,村井純(2015) 小学校1年生におけるタブレット端末を活用した 授業実践と評価.情報処理学会論文誌教育とコン ピュータ,1(4):21-37 泰山裕,小島亜華里,黒上晴夫(2014)体系的な情報 教育に向けた教科共通の思考スキルの検討~学習 指導要領とその解説の分析から~.日本教育工学 会論文誌,37(4):375-386 泰山裕,堀田龍也(2019)新学習指導要領における教 科等・校種ごとの情報活用能力の特徴整理.日本 教育工学会研究報告集,19(2):23-30 山川拓,浅井和行(2018)小学校学習指導要領[2020] の理念を踏まえた情報活用能力育成を目指した授 業開発.教育メディア研究,24(1):71-87 Summary

In the revised Courses of Study, the ability to utilize information is positioned as a fundamental quality and learning and is required to be cultivated across subjects. However, the ability to utilize information that can be taught through the learning activities of each subject are not sufficiently organized and related to each subject. In this study, we analyzed the curriculum guidelines for elementary, junior high and high school based on the IE-School systematic table of information literacy by the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT). As a result of the analysis, among the items of information application ability organized in the IE-School Systematic Table, "understanding of information application methods in problem solving and inquiry" is required in many subjects, while the number of knowledge, skills, and attitudes such as operating skills, characteristics of information media, and information morality, which correspond to the study of each subject, is high. It was found to be very low. In addition, the relationship between the information use ability and the ability to teach through the learning activities of each subject was clarified.

KEYWORDS: INFORMATION EDUCATION, INFORMATION LITERACY, COURSES OF STUDY, CROSS-CURRICULAR, QUALITIES AND ABILITIES

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表2 教科等ごとの分析の結果

A-1-① A-1-② A-1-③ A-2-① A-2-② A-3-① A-3-② B C-1-① C-1-② C-2-① C-2-② 全体 小低 0 0 0 107 13 1 2 23 37 11 0 0 小中 1 2 4 316 32 1 3 46 101 30 0 0 小高 9 18 11 512 101 13 18 78 161 88 24 13 中学 5 28 14 587 110 7 27 85 156 126 6 2 高校 16 148 35 1709 391 34 63 276 551 423 89 10 小学校,中学校,高等学校:国語 小低 0 0 0 73 10 0 0 21 25 5 0 0 小中 1 2 4 122 16 0 0 16 33 15 0 0 小高 1 0 1 158 47 0 0 26 51 24 0 0 中学 0 0 0 182 41 0 3 30 54 31 0 0 高校 0 0 0 297 96 1 0 49 107 14 0 0 小学校,中学校:社会 高等学校:地理歴史・公民 小中 0 0 0 59 0 0 0 12 25 0 0 0 小高 0 4 0 61 0 8 4 17 38 0 12 8 中学 0 1 0 192 0 0 0 31 51 1 0 0 高校 0 0 0 797 26 2 6 108 98 216 0 0 小学校:算数 中学校,高等学校:数学 小低 0 0 0 10 1 0 0 2 3 3 0 0 小中 0 0 0 19 4 0 0 3 6 3 0 0 小高 0 0 2 52 17 0 0 8 18 16 0 1 中学 1 0 2 35 5 0 0 3 8 8 0 0 高校 0 0 0 65 45 0 0 25 52 43 0 0 小学校,中学校,高等学校:理科 小中 0 0 0 94 0 0 0 13 28 0 0 0 小高 0 0 2 140 0 0 0 16 32 0 0 0 中学 0 1 0 97 11 0 0 14 20 22 0 0 高校 0 0 0 169 54 0 0 27 54 54 0 0 小学校:音楽,図画工作 中学校:音楽,美術,高等学校:芸術,音楽,美術 小低 0 0 0 8 0 0 0 0 0 0 0 0 小中 0 0 0 12 0 0 0 2 5 0 0 0 小高 0 0 0 12 0 0 0 3 3 0 0 0 中学 0 0 0 34 4 0 0 1 11 1 0 0 高校 5 0 0 79 55 0 0 0 159 0 0 0 小学校:体育 中学校,高等学校:保健体育 小低 0 0 0 6 0 0 0 0 0 0 0 0 小中 0 0 0 7 10 0 1 0 0 10 0 0 小高 0 0 0 9 18 0 0 0 0 18 0 0 中学 0 0 0 0 21 0 0 0 0 42 0 0 高校 0 0 0 27 30 0 1 15 15 30 0 0

(13)

A-1-① A-1-② A-1-③ A-2-① A-2-② A-3-① A-3-② B C-1-① C-1-② C-2-① C-2-② 小学校:家庭 中学校:技術・家庭 高等学校:家庭 小高 0 0 0 7 8 0 0 1 2 7 0 0 中学 0 19 10 15 15 5 12 5 10 14 0 0 高校 0 0 0 89 36 0 0 18 36 36 0 0 高等学校:情報 高校 6 141 32 67 29 29 48 17 24 25 82 8 高等学校:理数 高校 0 0 0 32 14 0 2 5 4 0 0 0 小学校:外国語活動,外国語 中学校,高等学校:外国語 小中 0 0 0 1 0 0 0 0 2 0 0 0 小高 0 0 0 13 0 0 0 0 1 0 0 0 中学 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 高校 1 0 0 67 0 0 0 11 0 0 0 0 小学校,中学校:特別の教科道徳 小低 0 0 0 0 0 1 2 0 0 0 0 0 小中 0 0 0 0 0 1 2 0 1 0 0 0 小高 0 0 0 0 0 1 2 0 1 0 0 0 中学 0 0 0 0 0 0 6 0 0 0 0 0 小学校:生活,総合的な学習の時間 中学校:総合的な学習の時間 高等学校:総合的な探究の時間 小低 0 0 0 8 0 0 0 0 8 1 0 0 小中高 8 14 6 58 9 4 12 7 14 21 12 4 中学 4 7 2 23 6 2 6 1 2 3 6 2 高校 4 7 3 20 2 2 6 1 2 3 6 2 特別活動 小低 0 0 0 2 2 0 0 0 1 2 0 0 小中 0 0 0 2 2 0 0 0 1 2 0 0 小高 0 0 0 2 2 0 0 0 1 2 0 0 中学 0 0 0 2 7 0 0 0 0 4 0 0 高校 0 0 0 0 4 0 0 0 0 2 1 0

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