• 検索結果がありません。

大学マーケティングの新展開

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "大学マーケティングの新展開"

Copied!
34
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

55

大学マーケティングの新展開

New Development of University Marketing

石井 貴春

Takaharu Ishii 要約 本研究は、近年の大学のマーケティングが大きく変貌している。理由はデジタルマーケティン グの導入及び大学間競争の激化があげられる。大学間競争は、少子化だけでなく、私学助成金や 認証評価機関等の外部機関の影響力の上昇や大学ランキングの活用が理由に挙げられる。前半は、 大学特有のブランドエクイティ等のマーケティングの観点からまとめる。後半は、近年のデータ ドリブン・マーケティングで用いられる分析手法を分析目的と合わせて説明する。共分散構造分 析やテキストマイニング、多変量解析や因子分析、コンジョイント分析等の分析手法が顧客分類 や市場分析、商品分析、価格分析といった実際のビジネスにどのように応用されているか、図や 例を用いて説明する。 Abstract

In this study, university marketing in recent years has undergone a major transformation. The reason is the introduction of digital marketing and intensified competition between universities. Inter-university competition can be attributed not only to a declining birthrate, but also to an increase in the influence of external institutions such as private school grants and accredited evaluation institutions, and the use of university rankings.

The first half is summarized about the marketing of university-specific brand equity.

In the second half, analysis methods used in recent data-driven marketing will be explained together with the analysis purpose. It will be explained about analysis techniques such as covariance structure analysis, text mining, multivariate analysis, factor analysis, and conjoint analysis are applied in actual business situations using diagrams and examples.

1. 大学マーケティングにおける KPI の設定

入学検討者の大学 HP への閲覧等からのマーケティングを考えることが重要となってきている。 ウェブやモバイルを意識したオンライン接点を考慮したデジタルマーケティング施策と、イベン ト等のリアルな環境で展開するオフラインマーケティング施策が絡み合う中での成果測定が必要 であり、両者を大きく区別せずに顧客の視点で影響をとらえる観点が難しくなってきている。デ ジタルマーケティングを考える際の KPI(Key Performance Indicator)には PV や UU、CPA(顧客獲 得単価)といった指標があるが、デジタルマーケティングには 2 つの観点があり、1 つ目はネット 広告やウェブサイト等のオンライン上の設定における最適化、2 つ目はデジタルを活用してリア ルも含めたマーケティング活動全体の最適化である。前述の KPI は 1 つ目にのみ該当し、本来の マーケティング全体の中で設定する売上額に対する貢献や顧客開拓に対する貢献などの指標は見 落とされがちである。デジタルマーケティングのメリットとしては、IP アドレスやアクセスログ から接触してきた訪問者数(UU)、閲覧履歴などから数値を得やすいが、デメリットとしては情報 処理能力がリソースとして求められる点である。PV や UU などの量的指標のほかにも、初回訪問 やリピート訪問等の検討者の傾向指標、前月比や前年同月比のように時間軸で経過を見る時間軸 の指標、広告効果測定に用いられるコンバージョン率や CPA も加わる。またウェブサイトは従来

(2)

56 の大学の紹介サイトから、検討者獲得の仕組みや潜在顧客とのコミュニケーションツールとして の役割を果たす必要がある。Web マーケティングの観点から見ると、売り上げ=訪問者数×CVR× 顧客単価であることから、売上を上昇させるには訪問者数の増加、CVR 上昇、顧客単価上昇のいず れかが求められるが、訪問者数の増加に関しては大学 HP への検索エンジンからの流入数、SNS や 広告からの流入数等に流入元を特定することでいずれかの流入数を増加させる方法、例えばリス ティング広告の実施を実行することで対応可能となり、CVR 上昇は直帰率上昇や HP から購入サイ ト移動の際の離脱率減少のために商品詳細ページアクセス回数等の具体的な目標設定が必要とな る。E メールであれば、コンバージョン率、開封率、クリック率、配信停止率、ダウンロード率が、 モバイルであればトラフィック数やモバイルからの見込み客数が指標として存在し、SNS であれ ば SNS ごとのトラフィック数、見込み客コンバージョン率に貢献したチャネルやフォロワー数増 加率、チャネルごとのエンゲージメント率(リツイート数や言い値・シェア・コメント等)が存 在する。リーチと接触頻度を上げるためには、SNS における大学発信数の増加及び質の向上を実施 する。イメージの独自性を立てるためには、インフルエンサーの活用やアンバサダーの組織化、 口コミサイトへの投稿促進、話題集めのための動画作成をおこない、イメージの定着のためには シェアオブボイスの強化や各種情報における一貫性の強化があげられる。 また KPI を設定する際には大学としての中長期又は短期の目的(KGI)を明確にしたのち、目的 を実現するため何をすべきか要因をツリー構造でつくり、目的や要因の評価をどのような指標で 設定することが重要か KPI を組織や階層ごとに選定する。特に重要な KPI を KFS と位置付けるこ とが重要である。事業の成功の度合いの尺度に直接的に関連付けられた KPI だけでなく、現場の リソースが最適配分であるかを確認する事務部門等のマネージャーであれば職員一人当たりの目 標とその達成、職員間のバランスや事業部間の業務バランスも考慮し、目標値を設定する必要が ある。問い合わせ窓口のような受け身となる業務であればミスの削減や学生の満足度、業務全体 の統括やフォロー、組織の効率性への貢献等が評価される指標となる一方、他者の行動変容を求 める部署であれば目標数等の数値設定を置くことが可能となるであろう。このように目標設定そ のものの考え方を分ける必要もある。 マーケティングの KPI 設定のためには、検討者目線、購買プロセスへの視点、売り上げへの視 点が重要となると考える。最初の検討者目線について考える。一般の企業であれば、カスタマー ジャーニーを意識することが多い。EC サイトから購買履歴データがとれ、購入回数や購買金額な ど RFM 分析等で顧客をセグメントできる。法人向けであれば既存取引企業か新規か、既存取引企 業であっても既存商品か新規商品等で顧客をセグメントできる。売り上げに直結しないオウンド メディア等の潜在的な顧客とのコミュニケーションツールである場合は売り上げにつながるよう な評価指標の設定が困難となる。このような場合は CSV 同様に捉えることで PV や UU 等に設定す る。2 つ目の購買プロセスへの視点であるが、顧客セグメントの中でターゲットにしたい母数が、 購入に直結する前段階であり迷っている場合は、迷っている数をとらえる方法と指標が必要とな る。その購入のタイミングや迷っている理由は、オフラインの情報から得られることが多い。迷 いを購入へ導くために必要な情報の提供を想定する際には、迷いの種類を分類し、分類別に対応 方法が複数存在することが必要である。3 つ目の売上視点で見ると、売り上げや受験者数が指標 となる。売り上げと競合大学の活動を含む外部要因の関係と、教学上・マーケティング上の各種 施策の効果を含む内部要因と売り上げの関係性の分析、因果関係の分析を検討者視点、プロセス 視点で評価できる仕組みが必要となる。セグメントごとに異なる KPI を設定することが求められ、 状況によってはマーケティング活動として特定のセグメントに対しては初期や中期はあえてオフ ラインでなくオンラインの活動に重点をおくことで数値情報を入手し、個々の検討者に対しては

(3)

57 常に移り変わる検討者の価値観や生活スタイルを理解するためオウンドメディアやオフラインで のイベント等を通じて詳細な検討者のプロファイルを入手できる。大学入学の決定には、偏差値 だけでなく家族構成や友人関係、価値観が影響することから、プロファイルは重要であり、高等 学校等への出張講義棟も重要なイベントとして認知されているが、価値観を考慮した KPI を設定 することで予測は困難となり、KPI 設定も試行錯誤を行うことが重要となる。それは、KPI の種類 とともに数字が市場や顧客、組織に応じて異なるだけでなく、会社の成長に応じて変化するのが 当然であるからで、適切な KPI 設定は非常に困難であるが、再設定を行う際に、何がボトルネッ クであったか、何が成功要因だったかに関してブレイクダウンができる KPI であることが必要と なる。そのためには達成の難易度も適切であることが求められる。オンライン大学のメリットに は情報収集や個々人のライフスタイルにあった学習等があるが、デメリットには学生のモチベー ション管理が難しく学習効果が低いことや学生同士のコミュニケーション不足や教員の個別指導 等がむずかしくなるため、その結果として入学後のドロップアウトの割合が大きい。オンライン 大学の学習継続には、オンライン学習を学生がメリットに感じるというだけでなく、学生の学習 意欲や目的の明確化、自己管理能力といった適性が重要な要素といえる。 大学マーケティングは、検討者が大学に求めるニーズを最も詳細に得ることができ、教学上へ の影響も期待される。検討者が大学に求めるサービスは学生支援にフィードバックし、教育に関 しては検討者の「教わりたい先生」「教わりたい内容」「経験してみたい学習法」を教務にフィー ドバックすることが必要となり、理想の大学を作るヒントにつながる。検討者にとっての理想を 大学を例えば MBA で考えた場合、第1に国際認証を得ている。第2にネットワークを他者に羨ま しがられる(1)同級生との交流における深さ・広さの程度、(2)アルムナイの同じ会社の先輩 との交流(社内で交流がない世代の異なる先輩と仲良くなる契機となり、かつ先輩が社内の複数 部署にいる)、(3)起業家が多い、(4)アルムナイの社外の先輩として有名な方が多数いる(自 身と同業種で有名な方と交流ができる。異業種で有名な方や多くの異業種の方と知り合うことで 相談相手やベストな転職先、今のキャリアが最適なのか等、自身の現在地を多面的な角度から把 握する契機となる)ことを求める検討者が多い。第3には、検討者が在職先において今抱える課 題を在学中に解決できるように、教員とともに個別相談によって解決できる環境がある、第4に は、学生各人が市場分析、財務、マーケティング、組織、オペレーションマネジメント(サプライ チェーンマネジメント)、イノベーション戦略(商品開発や知財含む)の全分野でそれぞれ緻密な 機能戦略のレポートを策定し、個別フィードバックがある環境があることが求められている。 1 つ目の国際認証は、海外企業の経営幹部に認められることで発言に重きをもちたいと考えて いる方のように、グローバルに活動したい人のニーズが高い。同様に国内に拠点のある方は偏差 値の高い大学であることが重要と考える人が多く、これらは学歴の再構築と考えることができる。 2 つ目は、MBA 教育から得られる内容だけでなく、ネットワーク形成を通じて自身の将来や生活を 豊かにしたいという価値観を持つ人が多いことから、重要な要素となっている。3 つ目・4 つ目は 従来の卒業研究等の成果物だけでなく、多様な成果物を終了までに作成でき、入学前に不可能と 考えている業務を高度な水準でおこない、職場の自身が関わる身近な場所で実行できることで高 額な授業料と学習時間に対する機会費用に対してペイできる内容である。これらの4つは、自身 の満足度だけでなく他者からの高い評価を得るだけでなく、即応性と実践性という大学に対して 直接的な利益を求めていることを意味する。 2.1 入学者の獲得競争 大学は少子高齢化の中、入学者の獲得競争にはいっている。平成4年には18歳人口が約20

(4)

58 5万人、うち高校卒業者が約180万人、大学入学者数は54万人であったが、平成30年度は、 18歳人口が約118万人、うち高校卒業者が約105万人、大学入学者数は58万人である。 大学数は平成2年には507校、令和元年度は786校である。言い換えると、平成の初期と比 較して、大学数は約1.6倍に増加するが18歳人口は4割減少、入学者数は微増という状況で ある。 平成21年度の中教審大学分科会報告書には、私立大学の学校数の47.1%、私立短期大学 の67.5%で入学定員が未充足、令和元年度の私立学校振興・共済事業団資料では33%まで 下降したが、依然として3割超の大学が定員割れをおこしている。特に入学定員200人を境に 定員規模の大きい大学群では充足率100%を超える一方、定員規模の小さい大学群では定員割 れをおこしている。特に100人未満の大学群では充足率が低く、学生確保に厳しい状態が生じ ている。一部の小規模私立大学では、私立大学がブランディング手法を用いて経営改革をおこな い、新ブランドコンセプト発表とともに定員割れは解消し、入学者数は最大となっており、小規 模私立大学にブランディングを導入することは有効と考えられる(上條(2018))。 大学の定員管理は私学助成金制度や認証評価制度を通じて厳格化がはかられてきたことで、適 正な入学定員の設定がおこなわれ、入学者数だけでなく入学定員充足率が大学の経営状況を示す 指標として機能してきていると考えることができる。しかし定員管理の厳格化が私学助成金制度・ 認証評価制度に反映されて間もないことから、過去の入学定員に基づいて収容定員を設定してい る。そのため、収容定員充足率はまだ指標として十分に適正とは言えない可能性がある。さらに 大学卒業後の就職が大学の成果指標の1つとしてとらえた場合、就職率や4年卒業率、就職先が 重要な指標として機能するが、これらの成果指標が社会に公表され、入学検討者や社会の大学評 価のための重要な判断材料となるには、まだ現在の大学のマーケティングや公表は十分とは言え ないであろう。一部の認証評価機関は、他大学と自大学の違いを明らかにするため、自己点検評 価報告書に経営学のマーケティングで学ぶ SWOT 分析を求め、競争優位となる点を大学として考え ることを求めている。また予算も含め、精緻な中長期戦略の策定を求め、SWOT 分析から自大学の とるべき戦略を説得的に社会に公表することを求めている。このように大学の競争環境は激化す る中で、学生の出口へは卒業生が就職するであろう企業への情報発信がおこなわれ、入り口では 高校への大学教員の講義や公開講座が活発化している。認証評価制度では大学 IR の活動が求めら れ、大学ごとの学習成果の分析及び社会への公表が重要となってきている。 本研究では、近年の大学マーケティングについて考察する。最初に、経営学のマーケティング の側面から考察する。次に、近年の技術進歩に伴うマーケティング戦略を、大学 IR やデータドリ ブンマーケティングで活用される決定木やクラスター分析等の分析手法を含め、考察する。 2.2 文科省主導の大学改革 経営難や定員割れ、教育の質が低評価、経営改善計画に実行性がない私立大学には私大助成金 を減額する措置を 2018 年度より導入した。さらに、「大学教育の質の向上」を掲げ1)学修の質 の保証、2)教育機能の充実、3)各大学の役割・機能の教科、4)経営力の強化、5)大学の連 携・統合等、6)リカレント教育の促進、という6つの大学改革を促している。私立大学に対し ては特徴や強みを生かすよう、「私立大学等改革総合支援事業」は、1)教育の質的転換、2)地 域発展、3)産業界・大学との連携、4)グローバル化、5)プラットフォーム形成の5つを促 し、「私立大学研究ブランディング事業」では研究を基軸とした機能強化を私立大学に求めている。 「私立大学におけるガバナンス及びマネジメントに関する調査」では定員が充足し黒字経営で ある大学群では理事長と学長が別人である割合が高く、また事業計画とともに中長期計画を策定

(5)

59 し、経営の基本方針を成文化し、さらに教職員のうち管理職の多くが中長期計画にもとづいて活 動していた。 ブランドコンサルティング会社であるインターブランドは「ブランディングの 7 つの 原則」の中で、ブランディングフレームワークとして 7 つの段階を解説している。1)ブランド オーナーの意思(企業の歴史、文化、従業員や経営者の認識を調べる)、2)顧客インサイト、3) 競合との差別化、4)ブランドプロポジションの明確化、5)ブランドプロポジションを体現す るための仕組み(クアドラントモデルである「プロダクト&サービス」「人々と行動」「空間・環 境とチャネル」「コミュニケーション」の構築)、6)ワンボイスの社内浸透と社外コミュニケー ション、7)効果測定と新たなサイクルである。7)の測定には、ブランド強度分析のための 10 の指標があり、ブランド価値を高めるための KPI として用いられている。4つの内部指標(ブラ ンドコンセプトが明瞭か、全社員がブランドに基づく活動をしているか、ブランドをコントロー ルする仕組みがあるか、市場の変化への対応力)、6つの外部指標(ブランドコンセプトを実現す る能力を備えていると認識されているか、顧客ニーズにこたえているか、他と異なるブランド体 験を提供しているか、ブランドタッチポイントにブランドコンセプトに基づくストーリーが感じ られるか、コミュニケーションチャンネルで好意的に語られているか)である。 3. 大学マーケティングの概要 大学が目的・目標を達成するために、マーケティングの要素を組み合わせ統制することで効果 を最大化させる戦略を大学のマーケティング・ミックスと呼ぶことにする。一般に、4P 理論が用 いられ、製品・価格・流通・プロモーションに分類される(E.J.McCarthy,1960)。三家(1990)は、 マーケティング・ミックスを大学に置き換えた。表1は大学機関をマーケティング・ミックスと して捉えることで4P を示す。表1のように、大学は製品であり、教育・施設等、その他要素が製 品を構成する要素である。4P 理論における価格は入学金や授業料があてはまる。プロモーショ ンは大学による新聞広告やイメージ戦略等が含まれる。 表1 マーケティング・ミックスの各要素 マーケティング・ ミックスの要素 内容 商品としての教育 科目数、教員の質、教員数、講義内容、留学生派遣や受け入れ、他大 学との交流等 価格 受験料、入学金、授業料、施設費、寄付金等 プロモーション 広告、PR、パブリシティ、イメージ等 サービス 入学後の学生支援、履修指導、入試活動、就職活動、奨学金サービ ス、同窓会活動、クラブ活動への支援等 立地 通学時間、交通手段、周辺環境、周辺地域のアメニティ等 施設 校舎、学生会館、食堂、図書館、グラウンド、学生寮、駐車場等 大学を製品と捉えることで、学生は入学した段階で消費者としての性格を持つことに加え製品 としての性格をもつ。大学のマーケティング戦略は、学生という1次消費者のみの満足に向ける のではなく、第2次消費者である社会に対しても必要である(池島(2000))。社会の大学生に対す る要求を満たすための製品としての機能を学生はもつ。

(6)

60 表 2 大学を製品として把握 製品 内容 アウトプット 学生 創造性、労働力、社会貢献等 インプット 教育 学部・学科、カリキュラム、環境等 教員 数、質(教育・研究等)、知名度等 施設 図書館、情報処理施設、講義棟、ICT(図書館や出席連絡、 講義配信、学生ポートフォリオを備える)等 学生サービス 就職、健康診断、アルバイト斡旋、情報公開、クラブ活 動、各種証明書発行 アウトプット 社会サービス 公開講座、施設開放、知識提供、地方創生・産学連携等 研究 研究成果、研究成果公開 表 2 は大学を製品としてとらえ、そのインプットとアウトプットを対応させた。大学教員は、 製品の生産者であり、製品は科目である。講義を実施することで製品は消費される。また大学教 員は、教育(科目)、研究と行政(大学内)と社会貢献の4分野を生産する。大学が生産する製品 h あ、半製品に当たる科目を教員が生産することで最終財として学生を生産すると考えることが できる。科目レベル・カリキュラムレベルの水準向上と統合をすすめることで、学生の教育水準 という最終財の製品品質が確定する。ただし、品質は間接的に学生支援やサークル活動、アルバ イト等を通じても向上する。 表3 製品ミックス 製品 製品ライン 製品ミッ クス マーケティング概論 歴史・マーケティング・ミックス、マーケティン グ・マネジメント、マーケティング戦略、4P マーケティング・マネジメ ント 環境、行動、組織、意思決定 マーケティング戦略 計画、コントロール、分析 マーケティング・ミックス 製品戦略、価格戦略、チャネル戦略、プロモーシ ョン戦略 行政(大学内)は学務であり、下記3つに大別できる。 1)大学全体の生産が学生にとって効率的かつ最大化となるような活動、2)経営的側面からの 大学の維持にかかわる活動、3)事務手続きに関する活動 社会貢献とは、大学のもつ知見の活用にあたり、地方創生活動を含む社会の構成員への知見の 伝承や政策形成への関与等が含まれる。

(7)

61 大学教員のもつ知見が先端知識であることの証明とも言え、それによって学生が学ぶ教育が社 会に有用であるとみなすことができる。大学の専門教育が社会にとって有用であり、教養教育が 卒業後の数十年の人生・生活を支えるだけの柔軟性・応用性をもつ教育であると個々の大学が示 すには、研究能力にくわえ教育能力を備えた教員であることを公開講座等で大学教員は証明する 必要があるであろう。 それでは、大学は教育を通じてどのような人材を輩出するのであろうか。現在は、各大学は大 学が輩出する人材をディプロマポリシーに定める。教育は、大学の使命(ミッション)を達成し、 ディプロマ・ポリシー(DP)に掲げる人材を育成するためのカリキュラム体系をもつことが必要 である。 大学は同時に多様性に富んだ人材を育成することが求められ、卒業生の社会での活躍は大学の ミッションや DP といった大学の成果指標として考えられている。学生の学習時間や大学のリソー スといった制約を総合的に勘案すると、一つの大学があらゆるタイプの学生を育成することはで きず、大学は学習内容の特化が必要となる。小規模大学で育成できる人材の多様性にはかなり限 界があり、社会で活躍できる水準を大学教育でカバーするとなると、かなりの教育内容の特化が 不可欠である。この背景には輩出される人材の多様性と科目数には正の相関があるとの仮定があ る。 入学者の能力が高いことで基礎科目数の減少が見込まれる可能性もある。しかし代が規模大学 に比べて小規模大学であるほど、学びの効果を最大化するには、学習内容の特化が求められ、カ リキュラム体系の主要科目が DP の達成を支えることが必要となる。カリキュラム体系が DP の達 成を担保していること、学生の DP 達成が大学 IR を通じて学生の主観指標や客観指標を用い社会 に DP の到達を発信することが必要である。 カリキュラム体系は、マーケティング分野における製品ミックスと製品ラインの手法を用いて 説明できる。製品ミックスの製品に相当するものは科目名であり、製品ラインは科目で学ぶ要素 となる。科目で学ぶ要素とは、講義で使う教科書に記載される専門用語であり、会計であればフ リーキャッシュフローや ROI が該当する。学ぶ内容と学び方を学生に伝えるため、シラバスが活 用される。用語の定義と現実の社会での例、多様な講義形式(ディスカッション等のアクティブ ラーニング形式等)がシラバスに記載されることで製品価値を正しく伝えることとなり、学生は 学習効果を高めることができる。講義の難易度を横軸に、実践度・演習の割合を縦軸として科目

(8)

62 配置すれば近接する科目群毎に科目の位置づけが明確になり、高い実践度をもつ科目には科目群 内の連携をはかる学習要素を含めることで体系的カリキュラムを実現できる。 シラバスには科目の到達目標を記載し、到達目標には「理解できる」「適用できる」など述語の 意味に配慮し、述語を大学で統一的に利用することが重要である。 カリキュラム体系上その科目の難易度が、到達目標の述語を見れば学生が理解できることが重要 である。 多くの大学では、科目難易度を横軸にし、縦軸に科目が羅列している表を用いるが、今後は難 易度と実践度の高い科目を考察し、どのような最終試験問題にすべきか、学生がどのような解答 をしているかを科目群ごとに教員がカリキュラム検討委員会で提示することで大学の科目群毎の 学習の水準とカリキュラムの一貫性を決定し、大学教育の水準を決定する。 その水準が、個々の企業が卒業生に求める能力を総体的に満たし、学外に学習効果を発信するこ とが大学の生き残り戦略にとって重要となっている。 4.1データドリブン・マーケティングの導入 大学マーケティングは、データを活用することで各種のマーケティング施策の立案や成否に影 響を与えるとともに、各種課題の解決に役立つことが期待される。またこれらマーケティング活 動で得た定性・定量情報を学習効果測定に活用することで、より正確な結果導出に貢献する。下 記はマーケティング戦略立案の際に生じる課題の例である。 入学者数をターゲットとしたとき、 1)本学の学生の特徴は、他大学と比べてどのように違うのか(何を魅力に本学を選んだか) 2)決定的な大学選択要因の第1と第2、第3の距離はどのくらいあるのか。第2の重要要因を第 1にするには、何をすればよいか 3)高校生へはどのようなメッセージが効くのか(1)何を学ぶことができるのか、(2)卒業時に どのような職業につけるのか 4)入学者のエリア拡大をもたらすにはどのような取り組みが必要か 5)どのような媒体や広告がどのような属性に重要なのか 6)大学の立地が郊外である場合、それはどの程度ハンデか 7)需要の価格弾力性はどの程度か 8)本学の魅力は適切に伝わっているか、確認する方法や伝える方法はあるか 9)大学教員による模擬講義等を活発化したときのインパクト予測 検討者の性別や住所等の属性情報、記述式アンケート等から得た定性情報である。大学 HP 等が 説明会やイベントへ誘導する際は A/B テストをおこないカイ二乗検定の有意確率で効果検証でき る。コンバージョンレートからどちらが有利か確認できる。自大学の変化だけでなく、他大学の 情報収集もおこなうことで適切な対応が可能となる。自大学の競争優位となるストロングポイン トが検討者に伝わっているか、ベンチマーキングとなる大学の設定および情報収集とその比較が 重要であり、検討者を複数のタイプに分類し、どのタイプに対し反応が良いか AIDMA モデルやカ スタマージャーニーを精緻に組みいれることが必要となる。マーケティング活動の年間スケジュ ールを作成し、その変化をみていくことが必要である。Before-after と、他大学との比較を個別 におこなう。アンケート結果の主観的評価のレベルや記述式アンケートの要約を AIDMA に分けた り、満足度を意味する単語数でわけることが可能である。量的データになると、相関など様々な 分析ができる。感情分析をおこなうことはネガティブ・ポジティブな意見かを確認でき、何を魅

(9)

63 力と感じているか、というのを共起ネットワークから探ることもできる。共起ネットワークから 仮説構築に役立つ事例も多い。ポイントは、図、仮説構築、クラスター分析などのセグメンテー ションをおこない、その後決定木を用いてターゲティングし、さらに要因分析を単回帰・重回帰 分析と進めることで分析することである。カスタマージャーニーを考慮すると顧客ステージごと におこなうべき対応は異なり、1 to 1 マーケティングにつながっていき、顧客満足度は向上する。 施策効果の確認には、RCT 等の因果推論や分析手法を用いることで複数の要素を考慮することが 重要である。また、単なるロジカルシンキングを用い MECE を心掛けるだけだと個人の価値観にも とづき、エビデンスがないことも多くなるため、必要な要素を捨てることになる可能性も高い。 重層的・多面的にロジカルシンキングできる能力が分析者に求められる。デカルトの 3 段論法に くわえ、ヘーゲルのアウフヘーベンをおこなうことを意識することが重要であり、MECE の精緻化 を継続的かつ厳密に実行する体制が重要となる。キャンペーン効果の大きいセグメントを模索し、 一方で追い銭とならないように、効果の有無を決定木で影響度の割合を考える。 例えば、入学者の決定木をつくり、文理→偏差値→地域→授業料の学校か、文理→4 年就職率や 就職先→学部学科→偏差値→地域→授業料という可能性もあるだろう。入学検討者が大分類、つ まり少ない分岐で大学を選択しているほど、大学は新たな特徴を作る必要はない。大学間の違い は小さいと検討者が認識する場合、大学の特徴が決定木に検討者の要因として加わる。実際の大 学の年齢、性別構成と同じサブサンプルを可能な限り拡大して用意し、入学意向調査を実施する ことで予測することも可能である。 エリアマーケティングの視点も重要である。検討者がどの位置に住み、電車の沿線かバスの沿 線であるか、塾と自宅の距離の許容はどのくらいかも重要である。エリアマーケティングの結果、 検討者の住所が大きく散在している場合、入学検討している大学も各人が全く異なることとなり、 比較対象となる大学が異なる場合、検討者が求める情報も当然異なる。 駅ごとや地域ごとに、学習意欲や世代の違いがあるか切片が違うかをマルチレベル分析で確認 することができる(通信制かそうでないかでも分析できる)。授業料割引等はキャンペーン効果だ けでなく、価格が入学者数に与える影響も異なることが多い。地方の小規模公立・私立大学の入 学検討者を対象とする年齢や性別の特定、交通費や移動時間に制約をもつセグメントを特定する ことで、セグメントごとに入学者数が推定できる可能性も高い。ドロップアウトに関しても、 AIDMA・AISAS・AISCEAS・DUAL AISAS などステージを分けるとドロップアウトの要因ごとに対象者 に効果的に活動することができ、入学初期の満足度や単位取得状況とともに学費支払いや延滞、 出席率、科目内の記述式アンケートの発言から要因を推測し、切り分けることが必要である。

A(注意)I(興味)D(欲求)M(記憶)A(購入)は、A を認知、I・D・M を感情、A を行動とと

らえることで検討者の購入までの位置を明確化できる。AIS(情報収集)A(行動)S(共有)、AIDC (比較)AS(満足)、AISCE(購買検討)AS とさまざまなタイプが存在する。 また認証評価や私学助成金獲得といった近年の大学改革の中でおこなったマーケティング以外 の活動成果もプロジェクト単位の RCT や DID をおこなうことで成果を大学間で共有することが重 要である。マーケティング活動に影響を与える教学上の施策は何であるかを検討することも重要 である。 アンケート結果に基づき、ディープデータとビッグデータを活用する。アソシエーション分析 は、記述式アンケートやインタビューを用いてテキストマイニングすることで可能である。 デモグラフィック属性(性別、年代、未既婚、家族構成、年収)は、特定商品の購入者を、購入 量、頻度、併買ブランド、個人属性など、様々な条件でターゲティングし、購入理由や満足度、再 購入意向などを質問することで入手できる。顧客を属性ごとにクラスタに分けることで購買デー

(10)

64 タの動きとクロスすると、購入件数や金額を増加させる仮説検証も可能となる。 潜在的な顧客層を特定してプロファイリングすることで、競合校の流出入状況を確認して本学 の流入構造を明らかにするとともに、ターゲティングの再検討を目的とした、自校と他校の入学 者特徴を明らかにできる。 新規科目の履修者、満足度や役に立った度合いを確認し、入学時を初期値として目標値との解 離を分析する。ロイヤリティと量的指標のクロス表を作成することで、学生のセグメンテーショ ン、セグメンテーションからのターゲット選定が正確となる。 マーケティングリサーチは、科目の開発ニーズ、マーケティング施策の効果などマーケティン グリサーチを通じて得ることができる。以下はリサーチを通じて市場にニーズを探り科目を作成 する。科目群毎に優秀者をどのように育てるか、再履修者にどのようにすれば、単位取得が可能 となる勉強時間を確保できるかや単位取得の方法の提案、最低限の学習はどの程度の学習時間で あるかを考察できる。 マーケティングリサーチは、4つのステップにもとづきおこなわれる。 最初の段階は、市場機会の発見である。ターゲットとなりうる市場や消費者を理解することで 消費者を特定の基準で分類し、不満やニーズを把握することで、商品開発のヒントを得る段階で ある。マーケテイングのみならず、カリキュラム検討に関しても、コンジョイント分析と階層ベ イズ法の組み合わせ、適応的コンジョイント分析をおこなうことで分析する。シナリオチェック も可能となる。CS ポートフォリオを応用して、満足度を横軸、縦軸をそれ以外として、どの要素 が満足度に影響を与えるか考察できる。 2 つ目はコンセプト開発である。科目ニーズやカリキュラムへのニーズであれば到達目標や演 習、ディスカッション方法など、アンケートを通じて、3 ポリシーを作成したり、カリキュラムの 整合性等を確認する際に有益である。コンセプトの受容性を把握し、有望なターゲットや訴求す べきポイント、価格感などを確認する。事業化が可能かどうかを判断する段階である。市場とタ ーゲットが設定され、商品開発の意思決定がなされた後は、最適な商品コンセプトの探索や、設 定されたコンセプト案の評価・受容性の測定などを行うことが必要となる。この段階での代表的 な調査ニーズとしては、「コンセプトが多すぎるので、可能性が高いものに絞り込みたい」や「コ ンセプト案を練り上げるために、改善点を知りたい」「最終的なコンセプトが、想定しているター ゲットに受け入れられるか知りたい」「新しい製品スペックを投入したら、どの程度のシェアが取 れそうか知りたい」等がある。 3 つ目は、4P の開発策定である。一般的には試作品を開発し、実際の使用感などの評価テストや、 ネーミング・パッケージテストを実施する等、マーケティン グミックス(4P 戦略)を策定する段 階である。続いて決定されたコンセプトに基づき、作成された試作品の評価、デザインやネーミ ングの決定、最適スペックの組み合わせ、ブランド価値の測定や適正販売価格の決定などを行う。 また、広告やキャンペーンなどのプロモーション戦略を策定するのもこのフェーズとなる。4 つ 目は、リリース後の検証である。市場に出た製品の浸透状況を追跡するとともに、購入者の満足 度を確認することでマーケティングプランの修正を行う段階となる。認知、興味、購入意向、実 購買を広告接触者と非接触者の AIDMA のマーケティングフローにもとづき、媒体ごとに有効な属 性は何か、一定の認知を得るために適切なフリークエンシーの把握や想定したターゲットにどの 広告がどの程度リーチしたかが重要である。 4.2 ブランド D.A.アーカーによるブランドエクイティという概念が提唱され、ブランドを戦略を左右する資

(11)

65 産と考えられるようになった。従来のマーケティング戦略の4P の Promotion と一要素としての ブランドでなく、企業の経営戦略の根幹をなすものとしてブランドを位置付けている。アーカー はブランドエクイティ要素として、ブランドネームの認知、知覚される商品品質、ブランド・ロ イヤリティ、ブランドの連想、ほかの所有権のあるブランド資産として、その中でもブランドロ イヤリティが特に重要であるとし、すべてのブランド価値の中核であると説明している。 ブランドネームの認知とはブランドの認知度を意味し、認知度の高いブランドはより安心感を 与え、選択される可能性が高くなる。難易度の高い大学、MARCH や関関同立といった特定の大学の グループに含まれることで得ることのできる認知もある。地方に根差した大学として地方限定で 有名であることも含まれる。認知度が高いことで候補に含まれる可能性が高くなり、認知されて いなければ候補にすら含まれない。 ブランド名が与える品質イメージは知覚される商品品質を意味する。消費者が感じるブランド への品質には商品の性能、信頼性や雰囲気を含む。スポーツの強い大学や特定の業界への就職に 強い大学、難易度の高い大学の学生はその大学のブランドイメージのもつ信頼性や特性をも同時 に得ることとなる。社会人学生は科目等履修を通じて質が良いと認識していれば、他大学よりも 距離が遠いや価格が高いとしても購入へ至る可能性がある。 ブランド・ロイヤリティは愛着度を意味し、ロイヤリティが高いほどリピート率は上昇し、既 存顧客のロイヤリティが高い場合、競合他社の製品やサービスに乗り換えにくいと考えられてい る。 ブランドの連想とは消費者がブランド名を聞いたときに連想するブランドイメージであり、例 えばベンツに乗る人をお金持ち、アメリカンエクスプレスを使う人を信頼性・ステータスのある 人というようなブランドに対するイメージである。連想(イメージ)の弱いブランドは感情移入 されることも少なく、ロイヤリティにつながりにくいと考えられている。大学の卒業生は、所属 している大学で過ごした自身の時間や経験・苦労を思い起こすことで大学に対し感情を想起させ やすくなり、また自身の経験を価値あるものと感じることも多いため感情移入を通じて、卒業後 も大学のために何かできることがあればしたいという卒業生や卒業後に大学とかかわりをもつ卒 業生も多い。社会人学生を対象とする場合、検討者のライフスタイルが受講時間等と一致したり、 自身と同様のライフスタイルや志向をもつ学生が多く在学しているであろうとイメージされるこ とも重要である。 ほかの所有権のあるブランド資産とは、ブランド以外の無形資産を意味する。例えば、特許や 商標権、クライアントとの関係性が該当する。大学における研究成果の実社会への応用や知財と いった産学連携、産官学連携が含まれる。権利として守られることでイメージを損ねたり、顧客 ロイヤリティを下げる状況を回避できる。知財に限らず、経営学であれば企業や地方自治体との 連携、経済学であれば官公庁との連携が含まれ、研究者の知見の活用は特許権等の権利のみなら ず広い意味で考えることが可能である。大学に所属する教員が社会に影響を与えていることや、 教員が社会に影響を与える原因となった研究から得られた知見を授業から学ぶことができるとい うこともブランド価値の向上に重要である。 特定のブランドの顧客は、新規顧客とリピート顧客に分けることができ、一般に新規顧客を獲 得するには先行投資が必要となる。その先行投資はリピート後の顧客からの収益によって回収す ることとなる。しかしリピート顧客がブランド・ロイヤリティを感じていない、つまりリピート 顧客がブランドに愛着を感じていなければ常に競合ブランドへ流出するリスクが生じ、競合ブラ ンドへ流出した場合は先行投資を回収できず赤字に陥る可能性が高くなる。このようにロイヤリ ティは売り上げや利益、コストなどの指標に直結する。またロイヤリティが高ければリピート率

(12)

66 は高くなるがその逆は必ずしも成立しない。例えば、リピート率が高い顧客は以下の3つに分類 できる。1)このブランド「が」いいと感じてリピートしている、2)このブランド「で」いいと 感じてリピートしている、3)仕方なくリピートしている、である。1)はブランドへの愛着が あるため競合ブランドにはスイッチせず、長期的に収益をもたらしてくれる。2)は価格の安さ や入手利便性などで選んでいる場合に多く、習慣や慣性で選ばれていることから容易にブランド スイッチされる。このような感想をもつ卒業生が多い場合は、自身の子供や卒業生自身が再度修 士課程等で学びたいと考えた場合、科目等履修生として受講したとしてもほかの大学へ流出する 可能性が高い。大学側が囲い込むのでなく、卒業生から囲い込んでもらえるようにしなければ、 大学の卒業生への連絡を通じた大学の囲い込み戦略の中で、卒業生の大学へのロイヤリティは低 下し、リピート率は低下するであろう。適切な囲い込みの流れが必要である。また科目評価アン ケートでの満足度は、授業に対する期待に対する満足度であることから、学習内容を理解してい ない学生は、高度な学習内容を学び理解できるようになることで自身の価値が高まるということ は理解しながらも予想以上に学習時間が求められれば満足度は低下する恐れがある。つまり難易 度の高い学習内容であり、かつ学生に負荷をかけながら、学生が楽しいと感じたり、役に立つで あろう等の感情を伴い、高い満足度を維持することが重要であることから満足度のみを確認する ことでロイヤリティとすることには課題が多いと言わざるを得ない。授業への期待がもともと低 い学生であれば、満足度は高くなりやすいという点からも満足度のみを指標とすることには課題 がある。 ロイヤリティを高めるにはいくつかの方法がある。1)店員による常連へのフレンドリーさの 提供を通じたブランドアフィニティ(親近感)の向上、2)利用するほど慣れが生じ、ほかのブ ランドにスイッチしにくくなるといったユーザーエデュケーションである。3)コミュニティ4) シリーズ化である。5)利便性の向上6)ゲーミフィケーション7)ポイント制のようなロイヤ リティプログラムの導入8)自己表現を体現するブランド価値の提案である。 1) はブランドと自身との距離を近づけることでブランドを自分事として考える契機となりやす い。職員や教員との親近感によって獲得できる。2)は大学のシステムの活用や手続、履修方法 等について、丁寧に使い方を教えたり、様々な用途を伝えるというエデュケーションをおこなう ことで意図的に状況を作ることができる。3)はアルムナイ活動やサークル活動、ゼミなどの活 発化を通じて、同類意識をもつファン同士のコミュニケーションが始まる。コミュニケーション を通じてブランドの歴史や使い方等の知識の共有が図られ、ロイヤリティが向上する。ロイヤリ ティが高い人はインフルエンサーとしてブランドを知らない人や関心のない人に対してブランド の良さを広めることも多い。4)は雑誌等の連載やお菓子等のシリーズ化を通じて、既存顧客と の接触頻度を保つことができる。シリーズ化を通してコレクション意識を掻き立てる。心理学の 単純接触効果という、接触頻度が多いだけで好きになりやすいとする観点からもロイヤリティを 高めることができる。大学のノベルティや情報、コンテンツをシリーズ化することで変化する。 5)は学内ルールや各種申請等の手続において学生の利便性を高めることで、学生の不満が解消 されるだけでなく、学生の活用頻度が高まるなど学生の満足度やロイヤリティが向上することが 多い。6)はブランドにまつわるストーリーを構築し、そこに顧客を巻き込むことでブランドへ の参加意識と感情移入を創ることができる。学生間での競争やビンゴゲーム・スタンプラリーを 導入した学内システムや公開講座、学内イベントの開催を通じて楽しく参加する場をつくりブラ ンドエクスペリエンスを通じてロイヤリティが向上する。オウンドメディアやキャンペーンなど を通じてゲーミフィケーションを取り入れることが想定される。7)は目標達成ポイントと顧客 のもちポイントの差がわかるような状態を常に作ることで、リピートに購入に伴うメリット以上

(13)

67 の追加的なメリットを感じ、ブランドに対して新しい価値を感じてもらう。8)はブランドは持 ち物としてだけでなく、自分の価値観を表現するにふさわしいものとして認識されることである。 MBA 入学は、ビジネスに対する一定の投資をおこない社会人であるという主張を意味するだけで なく、経営幹部や起業を目指すという自身の価値観や信条とつながりやすく、さらに特定の大学 の MBA 入学はより価値観を特定する。価値観レベルで感情移入がなされると、ブランドに対し自 尊心が芽生え、代替可能なブランドがなくなる。地方創生に重要な役割を果たしている大学の卒 業生であり、大学による地方創生活動の影響が大きい場合、地域で働くことで卒業生であること を誇りに感じることが何度か生じる可能性もある。社会全体におけるある大学の役割やポジショ ンが明確で、社会における大学の価値も明確となり、卒業生の価値観に訴えかけるものであれば 大学の活動や成果が卒業生自身の成果として感じることができるようになる。 ブランド・エクイティの測定方法には大きく3つの方法があり、1)ブランドのリプレイスの 費用、2)財務指標、3)NPS や DWB がある。1)はブランドの商圏外に店舗を出店した際に必要 となる費用を商圏内の店舗費用と比較することで計算できる。その費用には、ロゴ制作費用やキ ャッチコピーの宣伝といったアイデンティティ確立のための費用、直接的な広告宣伝費である雑 誌掲載の費用や Web 広告費用といった認知獲得のための費用、CRM やリテンションといった顧客 維持のための費用の3種類の費用が含まれる。大学ではドロップアウトの比率や CRM に係る費用 を自大学の過去と現在を比較することで自大学のブランド価値の変化を確認できるかもしれない。 ドロップアウトの比率が過去と現在で同じときにドロップアウト抑制のために必要とされた費用 を用いることや、自大学と同様の規模の大学の費用がわかるのであれば、他大学との比較を通じ て算出できる。入学までの説明会の回数等のコストもロイヤリティが高まると削減できることか ら、比較することで算出できる。2)の財務指標は、いわゆる企業ののれんであり超過収益率を 意味する。バリュエーションの分野での無形資産価値を算出する方法等を用いることで計算可能 である。NPS(ネットプロモータースコア)であり、自社ブランドや特定の商品を第3者にどの程 度奨めたいかという質問に対し、批判的な回答をした人の割合を肯定的な回答をした人の割合か ら差し引くことによって求めることができる。NPS が高いブランドほど売り上げや客単価、ライフ タイムバリューが高いということが確認できれば、そのブランドに対する NPS は有効といえ、ま た NPS は簡便に活用できる。DWB は「Definitely Would Buy」の略で、外資系メーカーでよくつか われる。消費者に買ってみたい度合いを質問し、初年度トライアル率に近づくといわれる。大学 においては、すでに同様の指標として科目レベルでは科目評価アンケートが活用され、満足度や 役立ち度などが評価される。卒業時アンケートや卒業5年後アンケートから大学全体のブランド を確認していることが多い。 現在では、大学 IR が進展しており、研究分野の指標としてはインパクトファクタ―、教学分野 では定員充足率や入学者数、偏差値、就職先といった多数の指標がある。また企業が実施する各 種の大学ランキングも大学のブランド構築に重要といえる。 上記のロイヤリティの測定は、特定の企業へのロイヤリティと企業ブランド全体に対するロイ ヤリティの違いや、特定の製品とシリーズ化された製品へのロイヤリティの違い、店舗ごとのロ イヤリティ、個人へのロイヤリティの違いを分けて行う必要がある。混同すると、特定の製品ロ イヤリティが高いだけでシリーズ化された製品に興味のない顧客向けへ新シリーズの高い広告コ ストを支払う等、費用対効果の低い活動につながる。大学であれば、学部へのロイヤリティと大 学全体のロイヤリティは分け、また新規開講科目を通じて入学者を募りたいとき、ある教員への ロイヤリティが高く、科目へのロイヤリティが高いわけでない場合、ある教員が担当することで ロイヤリティは向上する。履修証明制度の活用等、科目のパッケージがシリーズ化されることで

(14)

68 シリーズ化へのロイヤリティが低い可能性もある。 5.マーケティングと分析手法の対応 本節では、近年急激に進展するマーケティング戦略における統計手法を手法別に扱う。表1の 左はマーケティング活動としての分析目的であり、右側はそれに対応した分析手法を示す。あく までも案であり、右側の分析目的に対応した左側の分析手法は一般的に多様である。 表1 マーケティングと分析手法の対応 ※筆者作成 5.1 テキストマイニングとデータマイニング 記述式アンケートや購買行動・ネット上の文字情報からテキストマイニングし、製品の重 要な要素の把握(主成分分析で確認)顧客情報からクラスタリングして、ネット情報から購買行 動につながるかについて回帰や時系列分析をおこない試行錯誤する。 自社理解:テキストマイニング。構造解析とセンチメンタル分析からネガポジ度を測定 顧客の理解:データマイニング 5.2 多変量解析 多変量解析の目的は、大きく分けて「予測」と「要約」の2つに分けられ、目的によって手法 が異なる。 ・予測 例)X,Y,Z という変数からαという結果を予測する 具体例)文系の能力と理系の能力、実技科目の能力から合格率を予測する ・要約 例)A,B,C という変数を X という新しい変数に要約する 具体例)数学と理科の得点から理系の能力を評価する 表2 量的・質的変数を含めた分析手法 従属変数 説明変数 多変量解析の目的 量的 質的 あり 量的 重回帰分析 数量化Ⅰ 類 量の推定 予測 質的 判別分析 数量化Ⅱ 類 質の推定

(15)

69 なし 主成分分析 因子分析 MDS(多次元尺度構成 法) 数量化Ⅲ 類 数量化Ⅳ 類 多変量の統合 整理 変量の分類 代表変量の発 見 要約 ※マクロミル資料より筆者作成 5.3 回帰分析 1つ(単回帰)、または複数(重回帰分析)の説明変数と、1つの目的変数の関係を求め、説 明変数から目的変数を推定する。含める説明変数によって回帰分析の結果が変化しないか、偶然 な結果でないか確認する。経済学では一般に理論モデル、推定モデルを構築し、推定をおこな う。 5.4 判別分析 判別分析は対象者の特性(回答データ)から、その個体(対象者)がどの群に属するかを判別 する手法です。例えば、下図のように判別対象が2群の場合、予測される変数が0か1の2値デ ータになったものといえます。つまり、判別分析は、従属変数が質的変数で、説明変数は量的変 数の(重)回帰分析といえます(線形判別分析の場合)。 表3 判別分析 判別分析は、集団の情報を得るためというより個人を分類する目的で使われることが多く、例 えば下記の場面で用いられます。 1.セールス効率化のために見込み客を、購入しそうなお客様と購入しそうにないお客様に分ける 2.顧客のランク分け 3.クレジット申込者に対する与信(クレジットカード発行可否を決定する) 4.検査結果から、疾病の有無を判断する 判別分析は、説明変数が量的変数の場合に用いられますが、説明変数が質的変数の場合は、数 量化 2 類を用います。 5.5 クラスター分析 クラスター分析とは、異なる性質のものが混ざりあっている集団(対象)の中から互いに似た ものを集めて集落(クラスター)を作り、対象を分類するという方法の総称です。クラスター分 析を用いると、客観的な基準に従って分類ができるため、マーケティングリサーチにおいてはポ ジショニング確認を目的としたブランドの分類や、イメージワードの分類、生活者のセグメンテ

(16)

70 ーションなどに用いられます。調査データに対してクラスター分析を実行することで、メーカー サイドの視点に立った恣意的なブランドの分類や、デモグラフィック要因による生活者の分類と は異なった「生活者サイドの視点に立った分類」を発見できます。 表4は、寿司ネタの選好データから、寿司ネタを分類するために階層クラスター分析は以下と なります。 表4 階層クラスター分析 ※マクロミル資料参照 表5は、非階層クラスター分析の結果となります。表4では寿司ネタの分類をおこないました が、表5は寿司ネタの選好データから、好きな(嫌いな)ネタの種類で人を分類してみます。ク ラスター分析を複数回試行した結果、5つのクラスターに分類することが適当であると判断され たため、非階層クラスター分析によってアンケート回答者を5つのクラスターに分類した結果が 下のグラフである。グラフはそれぞれの寿司ネタに対するクラスターごとの選好度の平均を示し ている。 表5 非階層クラスター分析 ※マクロミル資料 5.6 因子分析 因子分析とは、多変量データに潜む共通因子を探り出すための手法といえ、分析は要約を目的 とします。因子分析を使う目的には2つある。 ・少数の要因で説明できるようにしたい

(17)

71 ・(調査対象者の)回答の奥に潜む要因をまとめたい 表 6 因子分析 因子得点は、各因子と各個体(対象者)の相関の程度を示します。因子得点が高い人は、その因 子に影響されている度合いが高いといえます。表 7 は適性検査の成績を因子分析した結果です。 「計算能力」「図形処理能力」「言語能力」「記憶能力」の4つの因子が抽出され、対象者ごとの因 子得点を求めたものです。因子得点から対象者を3つのグループに分けることができます。 表 7 因子得点 ※マクロミル資料 5.7 主成分分析 主成分分析とは、多変量データを結合し、新たな総合指標を作り出すための指標といえます。 多くの変数に重み(ウエイト)をつけて少数の合成変数をつくるのが主成分分析です。重みのつ け方は、合成変数ができるだけ多く元の変数の情報量を含むようにします。できるだけ多くの情 報をもつ合成変数(主成分)を順次つくっていきます。

(18)

72 表 8 主成分分析 表 9 の累積寄与率が 70~80%に達するところまでの主成分を採用します。 表 9 累積寄与率 各主成分の主成分係数から各主成分の意味を解釈する。第1主成分は総合指標になることが多 く、表 10 では製品の総合的なおいしさを表しているといえる。また第2主成分はさっぱりしたお いしさを表します。この2つの主成分から項目をプロットすると表 10 となり、この2つの主成分 に関しては、コクと甘味、酸味と塩味と辛味がそれぞれグループをつくっています。 表 10 主成分分析の解釈 主成分分析と因子分析の違いをマーケティング戦略から考えるとき、主成分分析を用いて顧客欲 求を要約すれば、顧客欲求を特定化し、顧客欲求の満足の実現が可能となります。主成分分析が

(19)

73 総合指標を作成する一方、因子分析は共通因子を見つけるため、顧客が共通して感じるイメージ や潜在的な欲求をみつけることができます。これは顧客欲求の創造につながります。 5.8 決定木分析 決定木分析は「予測」「判別」「分類」を目的として使われるデータマイニング手法です。 表 11 目的変数と説明変数に対応する質問項目(例:ゴルフへの興味) ※マクロミルより筆者作成 顧客情報やアンケート結果などについて、目的変数に影響する説明変数を見つけ、樹木状のモ デルを作成する分析方法となります。 ・自社商品(サービス)を購入する見込みが一番高い人はどんな人なのかを知りたい ・満足度やロイヤリティの高い生活者がどのような特性を持っているのかを知りたい ・商品が持つ要素のうち、生活者の満足度やロイヤリティに最も影響を及ぼしているものを知り たい SA(単一回答)、MA(複数回答)、数値回答など様々なタイプの調査結果から分析が可能です。 最も目的変数に影響すると考えられる説明変数を、複数回クロス集計を繰り返すことなく明らか にすることができます。対象者を分割していくにあたり、利用される基準は以下のようなものが あり、それぞれ異なる分析名称で呼ばれています。 表 12 決定木分析 目的変数 説明変数 ゴルフへの興味・関心 (あり/なし) 以下の各種条件・意識(あてはまる/あてはまらない) ・平日の昼間に自由な時間が取れる ・平日の昼間に自由な時間が取れるゴルフの基本的なルールやマナーを知っている ・ゴルフ場で1ラウンドプレーするのにかかる費用が大体わかる ・自分の生活スタイルは朝型か夜型かと言えば朝型である ・スポーツ新聞を週に4日以上読んでいる ・月に一回以上、TVでゴルフ番組を見る ・好きなプロゴルファーがいる ・インドアよりアウトドアを好む ・自分で運動神経が良いほうだと思う ・自分では健康に気を付けている方だと思う ・自分は流行に流されやすいほうだと思う ・情報誌をよく読んでいる ・情報番組をよく見ている ・自分が自由に使える自家用車を所有している ・家族や親せき・友人・恋人など周囲にゴルフをやっている人がいる ・ゴルフ以外のスポーツをしている ・現在結婚している ・現在同居している子供がいる ※その他、以下の属性情報も説明変数として使用 ・性別、年齢、職業、年収

(20)

74 ※マクロミル資料利用 5.9 コレスポンデンス分析 コレスポンデンス分析は、ブランドイメージの分析等で頻繁に用いられる。注意点は以下とな ります。 1) 軸に意味づけをした方が、結果の解釈をしやすい。 2) 関連の強いカテゴリは近くに、弱いカテゴリは遠くにプロットされるが、カテゴリ間の 相対的な関係であり、絶対的なボリュームを意味しない。 3) 縦軸の目盛りと横軸の目盛りは合わせたほうが良い。距離を見誤る原因につながる。 4) 縦軸と横軸の選んだ軸の固有値(あるいは寄与率)に注意 5) クロス集計表から作成するため、サンプルサイズは結果に反映されない。ブランド等の 比較の際にはサンプルサイズに注意。 6) 異なる項目の位置、例えば飲料と飲用シーンのカテゴリの位置関係は、原点からの方向

(21)

75 で判断する。原点から見て同じ方向にあれば、距離があっても同様の位置づけが可能であ る。 表13 コレスポンデンス分析 5.10 MDS(多次元尺度法) MDS は複数の異なる手法の総称である。ここで用いる方法は、いくつかのブランドがあって、 そのブランド同士が似ているかどうかという度合いのデータが、一覧表になっている(ブランド の類似度マトリックス)からポジショニングマップを作成する。 表14 自動車メーカーの類似性データ 表15 自動車メーカーの類似度:MDS を用いてプロットしたマップ T社 M社 N社 H社 S社 T社 10 M社 1 10 N社 6 2 10 H社 3 3 4 10 S社 5 3 4 3 10

(22)

76 5.11 コンジョイント分析 商品やサービスの「どこ」を「どの程度」変更すれば、消費者に気に入ってもらえるのかを明 らかにする商品開発の戦略立案の支援に適した分析手法です。商品アイディアを直接的に対象者 に評価させるのではなく、考えうる商品スペックの組み合わせを実験的に作成し、各々について 評価させます。その際、商品の具体的スペックにトレードオフが発生するようになっており、対 象者別の「本当に重視すること」を明らかにした上で、商品スペックの各々の「買いたい気持ち を強める力(効用値)」を算出できます。 表16 ノートパソコンの属性・性能 表17 効用値グラフ 価格、CPU、メーカーの順に顧客は重要度を持つことがわかる。 ・商品スペックの優先順位を明らかにしたいとき ・商品コンセプト別に、マーケットシェアや消費者のマインドシェアを推測したいとき ・商品価格に見合ったスペックレベルや構成を知りたいとき 5.12 適応的コンジョイント分析 消費者の購買プロセスを再現し、シミュレーションでシナリオチェック。耐久消費財の商品開 発やプライシングに最適なコンジョイント手法です。 ・生活者にとって重要な商品属性の絞り込みができず、多くの属性の中から重要度の高い属性を 発見したい方へ ・競争力のあるコンセプト開発やスペック決めをしたい方へ ・競合に対して競争力のある価格設定がしたい方へ

(23)

77 表18 適応的コンジョイント分析:カメラ画素数をアップしたシミュレーション 現行の 500 万画素から 800 万画素に変更すると、11.2%から 15.8%にマインドシェアが増える 5.13 コンジョイント分析+階層ベイズ法 市場の実態に近いリアルなシミュレーションでシナリオチェック。 表19 コンジョイント分析 商品開発やプライシングに最適なコンジョイン卜手法です ・競合に対して競争力のある価格設定がしたい方へ ・競争力のある商品開発をしたい方へ ・ブランド価値の測定をしたい方へ

(24)

78 表20 コンジョイント分析からセグメンテーションの分類 5.14 PSM分析 PSM 分析とは、消費者が求める価格「最高価格」「最低品質保証価格」「妥協価格」「理想価 格」を導き出し、製品やサービスの適正価格を導くための分析手法です。PSM は、Price Sensitivity Measurement(価格感度測定)の略です。 消費者が持つ価格イメージから、「購買可能曲線」「最低価格曲線」「妥当価格曲線」「最高価格 曲線」の 4 つの曲線を求め、商品が市場で許容される最適な価格を抽出します。売上額や利益額 の最大化、ブランドポジショニングの構築など、マーケティング戦略に則った最適な価格決定の 支援をします。 ・市場に類似品がない新たな商品に対する消費者の価格観を知りたいとき ・現行商品に対する消費者の価格評価を知りたいとき ・現行商品の価格や価格表示を改定したいとき 市場で受容される最適価格や高グレード商品の最高価格、バーゲン販売する際の最低価格など を消費者の価格観から算出できます 表21 価格感度測定 5.15 潜在クラス分析 潜在クラス分析は、個人の様々な特徴の違いから、統計情報に基づきセグメント(クラス)を 決定する手法です。また、連続変数だけでなく、カテゴリカル変数も含めて解析することができ ます。従来の手法によるセグメンテーションと比べ、より煩雑で膨大なデータを機械的に分類す

参照

関連したドキュメント

大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの

工学部の川西琢也助教授が「米 国におけるファカルティディベ ロップメントと遠隔地 学習の実 態」について,また医学系研究科

がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断さ

ハンブルク大学の Harunaga Isaacson 教授も,ポスドク研究員としてオックスフォード

学識経験者 品川 明 (しながわ あきら) 学習院女子大学 環境教育センター 教授 学識経験者 柳井 重人 (やない しげと) 千葉大学大学院

一貫教育ならではの ビッグブラ ザーシステム 。大学生が学生 コーチとして高等部や中学部の

 英語の関学の伝統を継承するのが「子どもと英 語」です。初等教育における英語教育に対応でき

ダブルディグリー留学とは、関西学院大学国際学部(SIS)に在籍しながら、海外の大学に留学し、それぞれの大学で修得し