1工i梨医ノ(誌 4 (3), 107∼118, 1989 総 説
時間生物学的医学に関する知見
田 村 康 二
山梨医科大学第二内科 抄 録:時間生物学的医学は新しい学問であり,我が国でも最近漸く注目されてきている。そこで この総説の霞的は,医学への時闇生物学の応用についての最近の知見をまとめて明らかにし,識者 のこの学問に対する関心を高めてもらうことにある。まず新しい時間認識の装置の開発には新しい 自然観測法が有用であることを示した。加齢ならびに高血圧を例としてロサイナー解析した人のリ ズムの成績を基にその診断的意義を述べた。次にこの情報が高義L圧の時間生物学的治療を可能にし ており,臨床医学上,きわめて璽要であることを示した。更に本態性高垂!圧の早期予防についての 研究を例にして時間生物学的危険度について述べた。この新しい医学概念に基づく学問が広く我が 国にも浸透してゆくことを期待している。 キーワード 時聞生物学的医学,時間生物学的診断,治療,予防 時間生物学的医学(Chrono−biological Medi− cine)は,新しい科学的概念に立脚して展開さ れ,ごく最近臨床医学に応用されてきた学問分 野である1)働。何しろ従来の学問で扱っていな かった時闘という物理単位を扱う学問であるの に,この時間認識は哲学的な命題でもあったの で立脚する科学概念の差によって様々に解釈が 異なっているのである6)。そこでHalbergら2) の主唱している概念に基づき,我々もこの方面 の医学を検討しているので,この認識に立って これまでに得た医学的知見についてこの学問を 概説することがこの論文の目的である。そして この学問が本学のみならず,広くわが国でも普 及するように期待している。 1. 時間生物学的医学について 人の概日リズム(Circadian rhythm)の重要 性はすでにJenaの学老H:ufeland C. W.によ って記載されている。しかしながらこの学問分 〒409−38山梨県申巨摩郡玉穂町下河東1110 受付:1989年4月28日 受理:1989年5月31日 野が系統だって展開されてきたのは,米国ミネ ソタ大のHalberg F.,ミュンヘンのAscho狂 J.,並びに米国スタンフォード大学のPittend− righさらにはマンチェスターの故Millis A.ら が創始者となった今世紀初め頃である6)。その 内の1人Halbergによれば,医学の静的特性 (homeostasis)に基づく伝統的な医学概念に立 脚せず,時間特性をとらえた生体の動的な特性 を量的に評価する医学をいうと定義されてい る1)。現在の科学は医学に限らず生物学その他 の基礎医学にしてもいわば三次元の科学であ り,時間を明確に取り入れた学問として展開さ れてはいない。しかしこれまでの学間でも決し て時間を無視してきたわけではない。ただいか に認識しているか説明しようとすると明確に他 に説明できない状態にあると思う。そこでこの 問題に定量的に明確に答えようとするのが時間 生物学であり,さらにそれに立脚した医学が時 間生物学的医学なのである。A)時間認識
時間の認識は哲学の問題であった。すなわち 時は実在するか?,時はどのようなものかP,108 田 村 康 二 時はどのようにあるか?,等という問題は科学 的な問題として明確にはとらえられてきていな い。しかしながら全ての生物学的ならびに医学 的事象は時間的に変化するものであり,医学に おいても問題を認識して事象の解析に当たるこ との必要性は申すまでもない。 (a) 伝統的時間認識 時間生物学者の間でも時聞認識に関しては伝 統的認識の域をでない。過去,現在,ならびに 未来という時性を認識できなけれぽ時の問題の 解釈には不十分であり,後述するようにこれら をいわば棚上げしてフーリエ解析によって生物 現象を理解しようとするにぽ実際根本的な問題 が存在しているのである。 (b) 自然観測法(飯島)7) 東京工大の飯島の提唱した自然観測法7)は, この問題認識に科学的な解釈を与えた新しい数 理学的科学概念である。現在とは今のある瞬間 とこれまでに考えられている。もしこの原理に 徹するならば,現在を認識するのに計測器を用 いると必ず時間的遅れが生じてくる。現実の問 題としてこの時間的遅れは避けることができな い。しからば具象された値として現在を認識す ることはできないことになる。 そこで飯島によれば(図1),現在とは瞬間, すなわち時間的幅が0ではなく,瞬時つまり時 間幅のある時間的長さを有すると解釈したらよ い,という理論になる。この数理論の重要さは その理論を計測器に応用しうるのである8)・9)。 そもそも生物の波形は,時間と周波数が同時に 変わるのでフーリエ解析には向いていない。こ の自然観測法,すなわちいわば非フーリエ的解 析の概念に基づいて遂次自然観測による波形の 近似から,n次の自然観測波形を得る,という 考え方である。ところで生体現象は波動現象で あるので,これを認識するためには少なくとも 叢サイクルを含んでいればよいことになるQさ らに計測器によって生ずる絶対誤差の大きさは 瞬間の補正により,真の値にきわめて近い値を 得ることが可能となる。このような遂次自然観 測による波形の近似を得られるので原波形の原 変化昂: 矛 //// \/第;〆 ・
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rMESOR
MESOR., M rhythm−aΦSted㎜ea1}〈midhne−eStimatil}g Sta− tiStiC O£rhythm), de飛ne(l aS aver読ge Value Of I噛hyth.miC fUI}CtiOn(e・9・, COSille CUI’VC)鰍ed tO data; expressed ill some units as origin&1(茎ata. Note that mesor rwi11 (1{{モer from arithmatic ユnean if data tmequidistant (e・9., conce1}trated near cres£ of rhythm)and/・r cover non−integr鼓h葉uml)er of Cycles・PERIOD
/ rhythmic funct圭on PERIOI),7 durati・n of one complete cycle玉駐rhyth㎜ic fUnCtiOn;eXpreSSed in time篭・醸S, SuCh aS SeCOIユdS, hours, (lays or years, or in physiologic units such as colれP工ete cardiac, respiratory or menstru縦I cycle: equ縦ted to 360。 for angular expression of aαo− phase. △ ,戸
AMPL王TUDE total predicte(:1 change ((里ouble a11藁plltude) reference hme凝CROPHASE
i rhy宅hmic l f破nct圭on 、 1叉MESOR
tlme AMPLITU.D犯, A ha韮.f of total predict段b玉e change i妓rhythm, de一 負ned by rhythmic憂unαion負ttedωda捻;expressed h/original or“relative”units, e.9・, as percentage of seriCS n・kea1㌃ Oy mesor. ACROPHASi㍉φ 10g from reference time of rhythm’s crest−time, de丘ned by rhythmic fu簸ction負tted to data;usually expressed ia(nega£i、・e>degrees, wi£h 36σ。=per茎od, 0。=reference time;customary tlme Lmれs(e・9・, CIOCk−h・urS and minuteS, d盆yS, WeekS, m・nthS Or years> or physioiogiC u}}iεs (e.g。, number of heart i)eats, respirat・ry・r meas毛rual cycles)als・ap− propria竃e or rhythr疑sy獄chronized with cor1℃spond− i1}g period. 園2。リズムパラメーターの定義(Halbergによる1),6)) 切の要因を含んで体系的に整理され,その充足 理由を求めると結局村学究めいた僻論に陥るこ とになり,したがって理論などはないも同然 あるいはむしろない方がよいであろうという理 論軽視の風潮になったと考えられる。 (b) リズム計測(Rhythmorae捻y)1) 生体現象の時間認識に当たってまず一定の生 体リズムが存在するという前提をもって展開し てきたのが実に時間生物学者なのである。この 前提で始まった学問が今やその前提は実証さ れ,それに基づく成果が心計に有効に還元され ている時代となってきたといえる。 問題は正弦波ではない不規則な生体振動をい かにしてリズム計測するかということである。110 田 村 康 二 不規則な振動の評価を工学者は次のように解 決してきた。すなわち基本の周波にのった複雑 な振動を小さくするには,平均化の手法をまず 用いた。しかし例えば1つの極端な点における 一定(平均)値と,別の点における平均値近辺 の激しい変動とを識別することが不可能であ る。この欠点は平均値からの平均2乗偏差を用 いれば取り除くことができる。このようにして 平均2乗スペクトル曲線をつくり,解析してき ている。この方法を医学に応用したのがCosi− nor法10)である。 このフーリエ解析の1つであるCosinor法に よる変動波形の認識について次に述べることに する。図2にCosinor法によるリズム解析を行 った場合のパラメータの定義について示してあ
るQこの場合用いられているパラメータは
MESOR(Midline−estimating statistic of rhythm, M),period(周期,τ), amplitude(振幅, A) 及びacrophase(頂点位相,の)であり,各々 図2に示した。 C)用語11) 新しい概念に基づく科学分野であるので,そ こに用いられる用語もまた新しくなければその 概念をもり込めないことになる。そこで時間生 物学者が新しい用語を提唱し,用いられるよう になってきている。その代表的な言葉がcirca− dian rhythmである。この用語は, circa一は 約,dianは!日という意味で,すなわちcirca− dianという語は約1日の意味で作られたわけ である。しかしながらわが国ではこれを日内変 動と訳して長年用いている。これは伝統的な医 学概念に基づいた翻訳語であり,時間生物学者 にとってはこの翻訳はまったく的を得ていな い。そこで最近は魚籠リズム,という用語が1 部の時間生物学者の間で用いられ始めている。 このようにこの1語を取り上げてみても,多く の混乱がわが国では認められている。またその 他の用語についても,これまでに少なくとも我 々の目に触れる日本語の解説書はなく,日本語 に翻訳した試みも聞かない。そこで現在のとこ ろはJoumal of Chronobiologicaあるいはh− temational Chrono−biologyという時間生物学 者の国際雑誌に用語がまとまって発表されてい るので,それを参照して妥当に使うことが本学 問を進める上で重要であると考えている3)。 II。 時間生物学的診断(chrono− biological diagnostics) A) ho燃eostasisあるいはchroRo−biology米国の生理学者CannonがClaud Bemard
の科学的概念を引き継いで1947年に著書「The Wisdom. of the Bodyjの中でhomeostasisな る概念を発表した。現在では誰もが時間生物学 によらずとも全ての性状は恒常状態にあるので はなく,常に動いていることを知っている。し たがって恒常状態的な過程とは生体をある固定 した点に戻すのではなく,正常に運動している 範囲に戻すことであると解釈される。Cannonは慎重にもhomo(same)の代わりにhomeo
(similar)という用語を選んで使ってはいるが, 恒常状態に生体現象があるのではなく,動的に しかも周期的に繰り返す運動現象をもっている ところがらすでにhomeostasisなる概念は妥当 ではない6>。以上の思考からすると,伝統的な 医学診断においてはholneostasisの科学概念を 受け継いでいるので,例えば血圧を測定すると 高すぎる,低すぎるという診断をしていること になる。これに対してchronobiologic diagnosis では,血圧の変動がいつの時間に妥当であり, いつの時閲に高すぎ,いつの時問に低すぎる か,あるいはいっからいつまで正常から逸脱し ているか,という診断を考えているのである2)。 B)時間生物学的医学の診断原則 まず今日時間生物学は,次の3つの前提が基 本となって成立している。すなわち(a)人に は各々固有の内因性リズムがある。 (b)その 内因性リズムは,外因性リズム(環境)の変化 で変調する。 (c)できあがったその個人に獲 得された特有のリズムは次世代に遺伝する。実時間生物学的医学に関する知兇 l!1 20.0 f O中 ︵嘱‘ 0 罵 φ 0 0 1 (・?。お£<︶ ご= ‘95% Conf{dence Interval (C玉) for φ罵(一179。,一181。) 翼 φ・一18・・(of狐)一凋◇C・MPぴ・ATIVE ACR・・HA・E(re・.・・1>
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図3.定三三リズムの特徴を示す模式 にこれら3つの前提はいつれも生物学的ならび に医学的に前述の先駆者たちの努力によって成 立することが認められてきている12)・13)。したが ってこのような概念を基に発達してきた生物学 を取り入れた時間生物学的医学の原則は,(a) 全ての生体物質,生体信号,細胞および組織は 時間と共に一定のリズムをもって変化する。 (b)疾患の発生ならびにその変化にはすべて “あの日”“あの時”等の時間が重要な役割を演 じている,の2点である鋤。 生体の振動には各種の振動が存在することが 知られている6)。いずれの振動も内部リズムと 外部リズムの変調によって生じているものであ る。図3は二日リズムにおける内部リズムと外 部リズムならびにその合成によって生ずる computative rhythmを模式的に示したもので ある。このように変調されたリズムが実際の生 体の振動と考えられる15)。 N=334 mml{9 140 130 120 110 P<0.001 ソ」’卜生 173否∼ぎ n露31 48 42 18 *45 * ・* * 女性161名 6 7 * * 26 9 MEAN出1S1:) 21 21 12 15 12 6 15 100p〈0。001一
20− 25− 30− 35− 40− 45− 50− 60− AGE(歳〉 図4.加齢に伴うmid1雛e−eStima毛lng Sta宅iS匙iCS o丘hythmの変化について112 田 村 康 二 C)加齢と時間生物学 生体の種々の情報が加齢に伴って変化するこ とは1これまでにも知られていることである。「打王 圧にしても加齢と共に変化することは分かって いるが。その変化の大きさについてはこれまで の検討でもはっきりしていない,そこで我々の 行った成績を図4に示す。正常血圧者334例に 行った性差,および5年毎の年齢差に基づく MESORの経年的変化を示したものである。男
性では20歳に比べて40歳以後明かにMESOR
ID殿54,藤○ふ○の,70才,女性 WHO 1三mits 150140
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Chronobiolog}ca韮ly_deもer鵬ined f}xed亀hreshold:med壼can acrometron of healもhy peers・ (bの ヒ毎負︶ω餌口QoOQ繊鉱qQOO日⊆Q 、50140
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16 …8 20 22 ◎ 2 4 6810121416…82022
1st day(1/9 Rd day(1/IG) 0 2 4 6 8 10 12 14 1) 3rdday(1/ll} T}搬e (c至ock hours and(late m Jan 9−!1,1989) 図5.収縮期1紅圧値の時間生物学的評価について時間生物学的医学に関する知見 !13 が増大したことを示し,女性でも45歳以降にい たって20歳前半の女性に比べて血圧が上昇して いたことを認めた。さらには両性の間の血圧差 についても,20−50歳までの男女間に差が認め られたが,50歳以後では男女間に差を認めなか った。このことは血圧の概日変動の評価の値が 生物学的年齢の予測値となりうる可能性を示し たものである。同様に心拍数の評価による成績 でも経年的な変化が生じることを認めており, これらの成績はDe Leonardisらの成績と一致 する。 加齢を暦年齢ではなく,生物学的な加齢とし て表現するには,生物学的な加齢に伴うパラメ ータを検出することが重要であるが,この時間 生物学的評価による計測値が生物学的な年齢を 予測しうる可能な値であろうと考えている。こ のように加齢に伴う変化を時間生物学的に解析 することは,加齢と老化に関する問題を解決す る手がかりを与えてくれると考えている。 これに加えて中央の右側の白矢印から黒矢印に なっている部分はchronodesmをとると偽陰性
であったことがわかる。このようにWHO基
準と時間生物学的正常値の基準では各々血圧変 動値の評価が異なってきた。さらに下のパネル ではCosinor解析のchronodesmic thresholdを 示す。この悪縁ではcosinor法によると,正常 の90%信頼限界の変動幅にはい・・ていることを 示している。このようにして患者が高血圧であ るか否か,を我々の正常334例を検討した値18) から求めた正常変動幅の基準を用いて識別でき る。すなわち作り上げたchronodesmを用いる と,偽陽性や偽陰性を判別できるので,血圧の 正常ならびに異常の変動のより科学的で妥当な 評価ができると考えている。このような新しい 試みは変動する生体現象の診断はもとより,予 防医学におけるスクリーニングにもきわめて有 効であると考えている。 D) 本態性高血圧に対する時間生物学的診断14), 17)一20) 収縮期血圧値に対する時間生物学的評価の我 々の成績を図5に示す14)・17>,18)。これらの値か ら慣習的な最大血圧.平均圧,最低血圧が記録 され,経時的に表示されている。図の上段の棒 グラフの上界は最高血圧を示している。ところで経時的に測定した収縮期圧がWHOの基準
に基づいて評価されると,図の上段のパネルの ように140mmHg以上の部分(黒く塗りつぶ した部分)が異常に高い収縮期圧の面積として 示すことができた。一方時間生物学的に正常変 動幅,すな:わちchronodesm,を考えて90%信 頼限界の幅を検討した我々の成績を斜線の部分 としてとり,この患者において実測した収縮期 圧を太い実線で示すと図の中央の表示となる。 この中央のパネルで注目してほしいことは, WHO基準とchro簸odesmと比較すると最初の 田の!8時頃に高かったと考えられた部分(黒の 矢印)は中央の図では正常となった点である。 同様に8時頃の変化も正常となってきている。 e纈、出 ゆ全捧のAmp11tudeをドげる∼ESORの低ド)㌻但し位臼iy・き常 。② NIESOR ther三竃py 不変。¢悪徳読1:1:1:1:
\く \、_訴ル/ 巨ypObaric in(lex 異常なAmplitudeのみを下げる。盤し位1=i一{異常不変。 Amplltu(le thempy ノノリロヘへ/:喩爆汐一
! 、 ! ヘ ド ノ ド ノ \、 ∵ ・ ノ 、 ノ 0 ③ 0 酬をなA鵬1瓶u(le通巨びに位相のli{常1ヒ、、 ,へA…Phas・一aml漁ld・th・・apy 〆 ノ’ 璽
③ ノのへ /1\、 ノ ACrOphase\㍉4_.
、 ゴノ’ 、㍉ ’ 時閥ωock> 図6.CHRONO−THE:RAPYの 方法について日影‡墜
寸朗 (b£ 刄テ昼︶繊餌Dのの留鉱繕QOO、鼠 150 140 !00 50 0 1D蒲63, S.S.,34y.o., male 投 一与 下露 NORMAL RANGE 鱒一一@INDIVIDUALSSYSTOLIC PRESSURE
HYPERBAR王C IND£X=2711mmHg houl HYPOBARIC INDEX 翼 000mmHg hour ま50 140 三〇〇 50 0 酒石酸メトプロロール投与(20皿g,セ.i.d.)後 (1週欝) }{YPERBAHIC INI)£X=1465mmHg ho礁r HYPOBARIC INDEX = O l)OmmHg・hour 150 100 90 50 0DIASTOLIC PRESSURE
HYPεRBARIC INDEX=2045mmHg l、our HYPOBAFIIC INDEX 嵩 1〕00mmHg hoし…r碗一一ノ/∼ 〈へ蝋∼へV一ノ{
Resも Act韮vitv ‡F 」≧ 4 e 8 10 Σ2 14 匡5 !8 20 22 P 2 渉 薪 8 10 1ウ 三50 ユ。り 90 50 12 14 15 Σ8 20 221st day (10/27) 2nd dδy (10/28) 3rd day (10/29)
o 1{YPERBAR王C INDEX響875mmHg hour }{YPOBAR・IC IND£X 篇000mmHg hour
㌦一)!押
Rest Actlvヨtv 9 正1 正3 ユ5 17 19 21 2 ↓ 渉 差玉 9 1三 i3 15 17 19 21 2 1 碁 ヨ∼ 1st day (12/2) 2n(i day (12/3) ! 、3rd day (12/4) \\\ Time (clock hours and date m Oc£.27(Thの一29(Sat.〉,1988) Tlme (c圭ock hours and date圭n Dec.2(Fr鼠)4(Sun.),1988) 図7.本態性高爵旺に対する酒石酸メトロプロロール投与の効果について時閥生物学的医学に関する知見 1!5 III. 時間生物学的治療(chrono− the罫apy)14)・19)・21) この治療の基礎となる条件は,A)治療対象 (生体物質,生体信号,細胞ならびに組織)の病 態はすべてその個人にとっては時間的に一定の 固有のリズムで変化している。B)治療に際し ては,この時間的変化に合致した“めりはり” のある治療が必要となってくる。これがいわぽ 時間生物学的な“さじ加減”なのである14)・19)。 実際の時間生物学的治療に当たっては,図6 に模式的に示した方法が考えられている。まず 図の上段①に示すように,高血圧の場合には正 常範囲を逸脱している変動に対して,全体の amplitudeを下げる方法である。ただしこの場 合にはacrophaseの異常は元に戻っていないQ さらにはこの治療の場合にamplitudeを下げる
と結果として模式的に図示したhypobaric
lndexが生じてくる場合がある。さらに図の中 段②に異常なamplitudeのみを下げる方法を示 した。すなわち黒丸ではさまれたhyperbaric indexの部分だけを限局して正常化しようとす る試みである。これに成功すれぽ図の上段の模 式図のようにhypobaric indexという好ましか らざる変化は生じてこないことになる。最後に 図の下段③に示したような異常なamplitudeの みならず,位相をも正常化させることを目的と した治療法である。これが時間生物学的な理想 となる治療といえる。 実際にこのようにして検討した一一例を図7に 示す。図の左は酒石酸メトプロロール投与前の 血圧の異常状態を示したものである。図のうち 黒く塗りつぶした面積部分が上の収縮期圧,下 の拡張期圧の対象正常人の変動幅を逸脱して高 い大きさを示している。この患者に対して酒石 酸メトプ聾心ールを投与して1週間目に1血圧を 測定すると,図の右側のように黒く塗りつぶし た面積は収縮期圧,拡張期圧とも激減してお り,正常変動幅に頼っていることを示してい る。この場合は結果として図6①の治療法に準 じた効果を示したことになる。このように正常 な変動幅を検討して元のリズムに戻そうとする 治療法の利点は,A)目的とする疾患のタイミ ングに合わせられる,B)薬剤をより有効に投 与できる,したがって無駄な投薬を避けられ, 医療費の無駄な出費を避けられる。C)副作用 を減少させられる,の3点があげられる。 IV. 時間生物学的予防 疾患に共通する問題は,いかにして早期診断 並びに早期治療を行うか,という点にある。患 者の未来予測を行い,患者を同定しようとする 試みはrisk factorを検出しようとする考え方 であり,これまで疫学的に行われてきた20>。こ の方面での成果は十分に上がってきているが, この方法ではいわば集団としての保証を与えて いるのであり,臨床医が個としての保証を患者 に与える必要性のあるところがら,一患者の危 険度の保証を検討していかなければならないこ とになる。 chrono−risk(時間生物学的危険度)は,1979 年Tarquiniら22)が提案した画期的な考え方で あり,時間生物学的な時間そのものが危険因子 と考えているのである。今日の研究ではすべて の疾患の発生あるいは死亡のピークほ疾患によ って異なり,そのピークはしかも疾患毎に存在 していることが分かってきている暑3)。そこでこ のような観点から我々の行っている研究の一端 をここに報告する24)。 高血圧の潜在患者を正常血圧中にいかに検出 するか,という命題はこれまでに検討されては いるが,まだ解決されていない問題である。本 態性高血圧では明かに遺伝因子が関与している ことは定説となっている。そこでこの高血圧の 遺伝因子をいかに検出するかということが患老 を早期に同定していくことにつながる。この遺 伝的な欠陥は,腎機能,交感神経系,細胞膜の 電解質にあるとこれまでに推測されているが, 遺伝子マーカーが何であるかはわかっていな い。これに対して時間生物学では生体(DNA)H6
田 村 康 二。YAMANASHI−M王NNESOTA CHRONOBIOLOGICAL CαOPERATIVE STUDY
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、㌦ 高1酸圧性 心疾患吟
高転圧性 腎症 導 } 妊娠時 高噴L圧 新生児 本態性高l11L圧夢[ヒ 死亡 Wom}) to TOmb S鳩〔玉v 図8.1葡白L圧の早期予防の1肝究の模式図 のリズムそのものが遺伝子マーカーであると仮 定している。この前提に立つと図8で示すよう に,まず遺伝の問題においては内因性リズムは 固定したものであり,DNAに組み込まれたリ ズム異常と考えられている。すると受精後 DNAから発展して胎児となるが,新生児とし て胎内からでるまでには外的リズムにさらされ ることはない。生まれおちた後新生児のすでに 得ている内的リズムは,環境の外的リズムによ って変調して老人に達し,発病,死亡するという 経過をたどる。女性では成人となって妊婦とな り,このライフサイクルを繰り返し高伯旺の遺 伝を子孫に伝える経過をたどる。このように考 えるとHalbergが唱えているように(図8),妊 婦で高血圧の」血圧リズムを調べておくと,その 血圧リズムの異常が新生児にそのまま受け継が れる場合が発生する。このような1血旺のリズム 異常を母親から受け継いだ新生児は,後年本態 性高血圧を発生する遺伝的素因,すなわち内部 リズム異常を新生児のうちからすでに発見する ことができる。したがって高血圧の早期予防 は,新生児の∫n同工リズムを知ることにより,問 題としている遺伝子マーカーを検出でき,高血 圧の早期発見ひいては早期予防ならびに治療 が可能となってくると考えている2%この研究 は現在世界30施設を統合して進められており, 本邦からは我々のグループのみが参加してい る。このような国際的な研究によって王血旺の早 期予防が可能となりつつあることを示した24)。 すなわちchrono−risk知という概念は,症状 あるいは伝統的な検査成績が異常となる以前, すなわち前臨床期に異常の検出を可能とするも のである。さらに病理学的な器質的変化が生じ る以前,すなわち前病理学的変化の状態で検出 が可能になると考えている。また後天因子,す なわち環境の是正にしてもリズム変化を考える 必要がある。高.伯1圧では薬物治療以前に非薬物 的治療が有効であることが知られているが,そ の時期はまさに前臨床ならびに前臨床病理的時 期であると考えている。来たる21世紀にはこれ ら疾患に対する遺伝子操作が遺伝的素因の最終 的治療と考えている。 ま と め 新しい科学概念に立脚した時間生物学的医学 は,ここ数年世界的にも広く発展しているとこ ろであるが,本学はもとより広くわが国でこの時1飼生物学的医学に関する1知」見 117 研究が進み,この価値がさらに検討されること を期待している。 ︶ 1 ︶ 2 ︶ 3 > 4 5> ︶ 6 ︶ 戸− ︶ 8 ﹀ ︶ ︵、 Io) 11) 12) 13) 文 献 R・1b・・g鶏」・h獄…£A,N・玉・…W・・属・・ A・t・・hyth…m・t・y−P・…d・・e・歪・・phy・i・)豆・gi・ self.measUrements and £1}eir analysis・Thc Physiology Tcache強’, 19「72; 茎: 重. Hz毛1berg F, Cornehsseh G, Halberg£,8∠α1.: ChroDobioiogy of}、uman blood pressuYe・Med・ tr…ic C(}1・tinui1・g Me(lica田ducati()n Sem・一 nars, 茎987; pp 234. J・・…v三tuJ・ch・・1・・me・li・i・・N…di・g響 1,・,ti・che und£herapeuti・che M69hcl・keite・・ Z.Allg. Me(達り1981;57:26レ273. Siぬ01enski NI, Halbeyg F, Sargent F: Chrono− bi・i・gy・f亀h・li歪・・eque・ce」・・lt・S・Ogata K,Yoshimura H, eds. Advances i貸 αimatic Physio玉ogy:Igaku SI}oin LTD, i972;pp 28L Smolcnsky MH, D’Alonzo GE:Riologic rhy− thmsεミnd me(蓬icine. Am J Me({,1988,85 (SUppl IR):34野46・ Y・臓・gM・The met・…mi・…i・ty・H・・v…l Un{versity Press Camb童『idge, Massachusetts・ 1988. 飯島泰蔵・自然観測法に基づく波形解析の基礎 理論.電子旧師学会論文誌,1985,」6㌫A:302. 斉藤i義明,堀 潤一,木竜徹ほか:自然観測法 によるカテーテル式婚L圧計の一波チ1多補正衆医用 電子と生体工学,】988,26:133・ 堀潤熟斉藤義腸木1義徹ほか・自然.観測 法を用いたホルタ∼心電計の特樵改善,第9回 ホル讃詞心電図研究会(1988年号発表. Ne至so臆W, Lian9 TY, Lee J,8‘α’・:Me£hods £or c()sinor−riπkyt董二王mornetry‘ (〕hr()1簗()1){01()giI三1, 1.978; 6: 305∼323. Halberg:F, C翫ran(lente F, Comclissen G,εε ‘ε1.: Chronobiology. Chro臓obio里ogia・ 1977・4 (sαPP11):里89・ 薯く・璽ata G:GeRes and bi・1・gical cl・cks・Stu(lies ・fgα面・mut・ti・・s i獄f・uit封i…e・eal that ash・gle gene㎜・y c・・}t・・1 ci・c・diaR・hythmS・ Science, 1985; 230: 115玉「・ Kolata G:Studying Iear1簾iag hl the wo㎜b・ :Behaviora.王sc圭e1玉tists are using established ex一 }.4) 1う) 16) 17) 18) 19) 20) 21) 22) 23) 24) 25) P・・im・・£・1 m・之h・・至・t・・h・w£h・t f・ωse・ca1} and(圭。 leam. Sciencej984;225:302・ 田村康二:治療戦略としての時間生物学的薬剤 治療について、Seyapcutic Research・10:331− 340, 1989 H・・1be・g翠,H・1bαgE,H・1be・gJ・・撤な Chronobiologic assessnユe豆}t o丑 human biood P・e・s・・evari・ti・n i・・he・1th・nd di・ea・e・/・・: W・b・・M,D・・y・・JIM ed・・Amb・1・t・・yβ1…l P。essu・e M・・it・・i・9, Newp・・日3each・CA・ Nov.13,1983:Springer Verlag,1984:PPj37− 1、56、 H欲1bαg F:IBiologica1〕7hythms・hoγmones・ a・・d・gi・・9.伽・Vc・nad・ki・A・Timi・・ls ps・ edS.}玉。rm・nes i嚢}Deve1・Pln戯an(l agin9: S】pectrUi憤 ]Public段tions・ 1981: 45L 石井.博之,岩崎康一ほか:携帯型俵{動i師五計に よる健常者334例の連続48時間の甫1圧ならびに 心拍変化についての時間生物学的評価.脈櫨;学, 投稿中. 向山茂雄,石井博之,桜林 耐ほか:健康ヲi矧究 職員の時間生物学的慮L圧および心拍数の評価に ついて.第5回生物リズム研究会発表一988. 田村康二:時間生物学と高!組圧.呼と循,投稿 中, 廣田安夫・循囎網掛の評壇{病院方法r日本 人の循環器疾患とリスクファクター」メディカ ルトリビューン:2∼9,1982. 田村康二:治療の新しい二]二夫一dlro難。山erapy (時間生物学的治療)について一日本医事新報, 3399二 17−22, 王、989. T・・q・i・iR,β・・ve1・・tiF・M・・e・t圭R・幽Z・: Aζherosciαotic chro無orisk recognize(l by auto一 ・hythm・met・・y c・1翻・ed w{出hem・P・ies hとミs ・・tep t・w…}・h・…Phy1・xi・・Ch・…bi・玉。働 gia,1979;6: 16黛一163・ Lucl.a P. Murano G, Lctizia C.6∠α♂・:Chr()no一 ,i・k・c・・cepω・li・・ti…nd・y・t・蝋i・・ti…f afunda鎗αe漁l aspec£・f・linica1・isk・ .Diseases&Chr・nobiology, Tarqu・nI Pub,〕Bologぬa,1987;p.16三ト182。 H認berg私信。 Achiwa S, Imanish、i Y, Kato J.部6”・: SociaI R.ed, Early P・eve曲・・f esse・ti・l hyp・・te・si・曲》「ch「o− a・1・i・1・gi・・1・SSeSS㎜e・t th・・ug琵m・the・t(’ he1・baby.第2圓世界周産期コンピュータ会議 σ989>発表予定.
118 *tf wt,・ ::L'
Reviexsr of Chronobiolegical Medicine
Kohji Tamura
The Second DePartinent of Inter?'ial Medicine, Yamanashi Medical College
rl"he recent progress in the appiication of the chronobiology to medicine was }'eviewed. As an exaniple of clironobiological medicine, aging ancl hypertension were discussed based on the
(lata derived from cosiRor rhythm ana}ysis. In acldition, the clinical significance of chronotherapy
for the hypertension was evaluated.