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編物の3次元CT画像から抽出された糸位置情報による編組織解析

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Academic year: 2021

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(1)様式 C-19 科学研究費補助金研究成果報告書 平成22年. 4月16日現在. 研究種目:若手研究(B) 研究期間:2008~2009 課題番号:20700171 研究課題名(和文) 編物の 3 次元 CT 画像から抽出された糸位置情報による編組織解析 研究課題名(英文) Structure Analysis of Knitted Fabric with Yarn Positional Information Extracted from Three-dimensional CT Image 研究代表者 篠原 寿広(SHINOHARA TOSHIHIRO) 近畿大学・生物理工学部・助教 研究者番号:20434863. 研究成果の概要(和文) :本 研 究 は 、3 次 元 CT(Computed Tomography)画 像 よ り 抽 出 さ れ た 糸 位 置 情 報 を 利 用 し た 編 組 織 自 動 解 析 に よ る 組 織 図 作 成 を 目 的 と し 、「 よ こ 編 」 お よ び「 た て 編 」を 対 象 に「 基 本 編 目 解 析 」方 法 の 提 案 を 行 っ た 。さ ら に 提 案 手 法 の 正 当 性 の 確 認 の た め 、実 際 の よ こ 編 物 お よ び た て 編 物 に 対 し て 編 組 織 自 動 解 析 に よ る 組 織 図 作 成 実 験 を 行 い 、正 し く 組 織 図 を 作 成 で き る こ と を 確 認 し た 。組 織 図 作 成 と は す べ て の 編 目 を 解 析 し 、対 応 す る 編 成 記 号 を 意 匠 紙 に 記 す 作 業 で 、現 在 は 主 に 手 作 業 で 行 われている。 研究成果の概要(英文):The purpose of this study is to construct weave diagrams by automatically analyzing the structures of the weft and warp knitted fabrics using each yarn positional information extracted from its three-dimensional CT image. In this study, methods for the structure analysis of knitted fabrics are proposed. In order to confirm the validity of the proposed methods, experiments are carried out for weft and warp knitted fabrics. It is confirmed that the weave diagrams of the sample fabrics are correctly constructed. The construction of weave diagram is work to identify the stitch types for all the stitches and to write down the mark corresponding to the identified stitch type for each stitch to a grid sheet. Now, the weave diagram is manually constructed. 交付決定額 (金額単位:円). 2008年度 2009年度 年度 年度 年度 総 計. 直接経費 600,000 600,000. 間接経費 180,000 180,000. 1,200,000. 360,000. 研究分野:総合領域 科研費の分科・細目:情報学・知覚情報処理・知能ロボティクス キーワード:画像情報処理、編物. 合. 計 780,000 780,000. 1,560,000.

(2) 1.研究開始当初の背景 本研究は、CT(Computed Tomography)によ る 3 次元画像を利用し、織物、編物(以下、 これらを総称して、織編物と表記する)の組 織分解を行うものである。組織分解とは、織 編物構造、構成を解析する作業で、織編物の 設計において重要な役割を果たしている。組 織分解は、 ・狭義組織分解 ・広義組織分解 の 2 つに分類される。狭義組織分解は織り方、 編み方、すなわち、試料の織編物の糸がどの ように絡み合っているかを解析する作業で ある。一方、広義組織分解とは織り方、編み 方を解析することに加え、試料を構成するパ ラメータ(糸の種類や太さ、密度、撚りの状 態など)をすべて明らかにする作業である。 組織分解は織編物の設計において重要な役 割を果たしている。織編物の組織分解は現在 においても針と顕微鏡を用いた昔ながらの 手作業で行われているが、近年の繊維製品の 需要増加に伴い、織編物構造が複雑化し、手 作業による組織分解が非常に困難になる一 方で、熟練工の減少や若手離れにより、組織 分解の自動化が強く望まれている。そこで、 本研究は広義組織分解を最終目標として、は じめに狭義組織分解として、織編物を構成す る糸同士の関係を明らかにするため、織編物 の構造を明らかにする上で必要な基礎的情 報を得ることを目的とした。基礎的情報とは、 織編物の糸同士の関係を復元できる情報で あり、具体的には、 「織編物の各糸の中心線(本 研究では心線と表記する)の位置情報」のこと である。各糸の心線の位置情報は、各糸の位 置情報を代表していると考えることができ、 この情報をもとにさまざまな応用が期待で きる。たとえば、実験により得られた実際の 編物の各糸の位置情報を応用して、3 次元的 に編物構造を再構成し、各糸を色付けするこ とにより、各糸の位置関係を視覚的、直感的 に理解することができる。 これまでの研究により、糸位置情報を織編 物の 3 次元 CT 画像から抽出する手法を提案 し、実際の織編物の 3 次元 CT 画像を用いた 実験により、糸位置情報を抽出できることを 確認した。現在、本研究は抽出された糸位置 情報の利用方法について検討している。その 利用方法の一つとして、3 次元的に織編物の 構造を表現する方法を提案したが、独立に 1 本ずつ糸を表現することもできる。3 次元的 に織編物の構造を表現することにより、各糸 の位置関係、また糸がどのように変形してい るかを視覚的、直感的に理解でき、組織分解、 織編物の設計において大変価値のあるもの である。しかし、3 次元的に織編物の構造を 表現しても、この編物がどのように編まれて いるかを詳細に理解することは難しい。. 2.研究の目的 そこで当該研究では、抽出された糸位置情 報の利用方法の一つとして、編物の編組織自 動解析による組織図作成を目的とする。ここ で、組織図とは編物の編み方に関する設計図 を指す。編目には編成記号と呼ばれる記号が JIS により規定されており、組織図作成とは、 すべての編目を解析し、対応する編成記号を 意匠紙に記す作業である。すなわち、組織図 を作成することにより糸同士の関係が明ら かになる。なお、すでに織物については、抽 出された糸位置情報から組織図の自動作成 を行い、立体的な構造を有する二重織物の組 織図自動作成を国内外ではじめて可能にす るなど良好な結果を得ている。 3.研究の方法 編物は大きく、「よこ編」と「たて編」に 分かれる。よこ編は横方向に、たて編は縦方 向にループを形成しながら編まれた編物の ことである。以下では、 「よこ編」および「た て編」それぞれについて、基本編目解析方法 を述べる。 (1) よこ編の基本編目解析法 図1,2,3のように、よこ編には「ニット」、 「ミス」、 「タック」という編み方により3種類 の編目が存在する。基本的によこ編はこれら の編目が組み合わさられて作られており、こ の3種類の編目解析がよこ編組織解析の基礎 となる。. 図 1 ニット. 図 2 ミス.

(3) 図 3 タック また、基本編目には、それぞれ「表目」 、 「 裏目」が存在するが、ニットの表目、裏目の 組み合わせにより、 「平編」 、 「ゴム編」、 「パー ル編」と呼ばれるよこ編の三原組織が作られ る。これらは、よこ編の基本組織である。逆 にいえば、これらの基本組織を解析できれば 、すべての編目に対応できるといえる。 提案する3次元 CT 画像から抽出された糸 位置情報を利用した基本編目解析法は、以下 の2つ手順からなる。すなわち、 ・編目位置の検出 ・編目種類の同定 である。 ① 編目位置の検出 編目は下の糸のループに糸を引っかける ことによって作られる。したがって、基本的 に下の糸と上の糸には図 4 のように 4 つの交 点 A,B,C,D が存在し、これらの交点はある特 定の関係をもつ。すなわち、交点 A と D では 下の糸を上にして上の糸と交わっている。逆 に交点 B と C では上の糸を上にして下の糸と 交わっている。これらの関係をもつ 4 点を見 つけることにより、編目の位置を特定できる。 さらに、交点 B と C との間の最大点 E を見つ けることで、編物の向きを特定し、編目の誤 検出を防いでいる。また、裏目の場合は、交 点 A と D では下の糸を下にして上の糸と交わ り、逆に交点 B と C では下の糸を上にして下 の糸と交わるため、容易に検出できる。. 図 4 編目同士の 4 つ交点 A,B,C,D と 最大点 E. ② 編目種類の同定 編目種類は、編目がどの糸の編目と交わっ ているかを考慮することによって同定され る。すなわち、「ミス」はすぐ下の糸の編目 と交わらずに、さらに下の糸の編目と交わる。 したがって、もし編目がすぐ下の糸の編目と 交わっていなければ、すぐ下の編目は「ミス」 であると同定できる。「タック」は、複数の 下の糸の編目と交わるので、そのような下の 糸の編目は「タック」であると同定できる。 「ミス」、 「タック」のどちらにも該当しない 編目は「ニット」であると同定できる。 このように本手法は編目がどの糸の編目 と交わるかによって編目を同定しているた め、編目種類の同定の順番として、一番上の 糸の編目から同定をはじめる。ただし、一番 上の編目は、上のどの糸の編目と交わってい るかを知ることができないため同定できな い。 (2) たて編の基本編目解析法 図 5 のように、たて編には「開き目」 、 「閉 じ目」という編み方により 2 種類の編目が存 在する。基本的にたて編はこれらの編目が組 み合わさられて作られており、この 2 種類の 編目解析がたて編組織解析の基礎となる。. 図 5 開き目(左)と閉じ目(右) 基本編目の組み合わせにより「シングルト リコット編」 、 「シングルコード編」、 「シング ルアトラス編」と呼ばれるたて編の三原組織 が作られる。これらは、たて編の基本組織で ある。逆にいえば、これらの基本組織を解析 できれば、すべての編目に対応できるといえ る。 よこ編の編組織解析法と同様に、3 次元 CT 画像から抽出された糸位置情報を利用した たて編の基本編目解析法も、以下の 2 つの手 順からなる。すなわち、 ・編目位置の検出 ・編目種類の同定 である。 ① 編目位置の検出 よこ編と同様に、編目は下の糸のループに 糸を引っかけることによって作られる。した がって、基本的に下の糸と上の糸には図 6 の.

(4) ように4つの交点 A,B,C,D が存在し、これら の交点はある特定の関係をもつ。すなわち、 交点 A と D では下の糸を上にして上の糸と交 わっている。逆に交点 B と C では上の糸を上 にして下の糸と交わっている。これらの関係 をもつ 4 点を見つけることにより、編目の位 置を特定できる。しかしながら、たて編はよ こ編と異なり、同じ糸同士が短い間隔で何度 も交わり編目を形成するため、2 つの編目の みのこれら 4 つの交点を見つけるためには、 ほかの編目との交点も考慮する必要がある。 さらによこ編と同様に、交点 B と C との間の 最大点 E を見つけることで、編物の向きを特 定し、編目の誤検出を防いでいる。. 図 6 編目同士の 4 つ交点 A,B,C,D と最 大点 E および編目自身の交点 F ② 編目種類の同定 編目を形成する糸自身が交点をもつかも たないかにより、「閉じ目」 、「開き目」が決 定される。したがって、図 6 における交点 A か ら D までを編目と考え、その間に交点(図 6 交点 F)が存在するかしないかを確認するこ とにより編目の種類を同定できる。 4.研究成果 提案手法の妥当性の確認のため、よこ編、 たて編について、それぞれ、実際の編物の 3 次元 CT 画像から抽出された糸位置情報を用 いて、提案手法により組 織 図 作 成 す る 実 験 を 行 い 、正 し く 組 織 図 を 作 成 で き る こ と を確認した。 (1)よこ編実験 糸の太さが約 0.2mm の平編物に対し、提案 手法を適用した。平編物とは、すべての編目 がニットによって構成された編物で、編物の 中でもっとも基本的な編物といえる。図 7 は 3 次元 CT 画像から抽出された糸位置情報をプ ロットしたものである。図 8 は、本手法によ り得られた組織図である。すべての編目(8 つ)を検出し、すべての編目がニットとして 同定されている。なお、記号は JIS により規 定されている編成記号と呼ばれる記号を用 いている。. 図7. 3 次元 CT 画像から抽出された平 編物の糸位置情報. 図 8 提案手法により得られた組織図 (2)たて編実験 糸の太さが約 0.1mm のネット編物に対し、 提案手法を適用した。ネット編物とは、交差 する糸を周期的に変化させることによって ネット状の構造をもつ編物である。図 9 は 3 次元 CT 画像から抽出された糸位置情報を用 いて編組織を 3 次元的に再構成したものであ る。ただし、組織構造を見やすくするために、 糸の太さを実際の糸の太さよりも細くして いる。. 図 9. ネット編物の糸位置情報から 3 次元的に再構成された編組 織構造.

(5) 図 10 は、本手法により得られた組織図で ある。すべての編目(8 つ)を検出し、すべて 編目が正しく同定されている。なお、よこ編 と同様に記号は JIS により規定されている編 成記号を用いている。. 図 10 提案手法により得られた組織図. これら 2 つの実験結果のように、編組織の 解析を自動化することにより、 ・設計したとおりに編まれているかの確認 作業の効率化 ・欠陥箇所発見など、品質検査の効率化 ・知的財産保護の効率化(同業他社に真似 されていないかをすぐに確認できる) など、さまざまな効果が期待できる。 編物は組織構造が複雑であるため、これま でに編物の組織図自動作成に関する研究は あまり報告されていないが、たとえばテンプ レートマッチングを利用し、編目の種類を同 定する手法が提案されている。この場合、あ らかじめ用意したテンプレートの形状の編 目しか同定することはできない。しかしなが ら、同じ編み方でも糸の種類や張力などによ り編目の形状は大きく変化するため、マッチ ングが難しいことに加え、そもそも新しい編 物、立体的な編物に対応できないという大き な欠点がある。その点、提案手法では、糸位 置情報さえ得られれば、編目の形状がどのよ うであっても組織図を自動作成することが できる。これは国内外ではじめての手法だと いえる。今後は、より多くの試料を用いて実 験を行い、提案手法の有効性、有用性を検討 していく予定である。また、当該研究は、組 織分解のための 3 次元 CT 画像から抽出され た糸位置情報の応用という位置付けである が、組織図自動作成にとどまらず、さらに、 編組織解析の支援に向けた糸位置情報の応 用方法について検討を加える予定である。 5.主な発表論文等 (研究代表者、研究分担者及び連携研究者に は下線). 〔学会発表〕 (計 4 件) ① Toshihiro Shinohara, Expression of Individual Yarn for Structure Analysis of Textile Fabric Based on Segmentation of Three Dimensional CT Image, Proceedings of The 35th Annual Conference of the IEEE Industrial Electronics Society, 2009 年 11 月 4 日, ポルト(ポルトガル) ② Toshihiro Shinohara, Automatic Weave Diagram Construction from Yarn Positional Information of Weft-knitted Fabric, Proceedings of ICROS-SICE International Conference 2009 年 8 月 21 日, 福岡(日本) ③ Toshihiro Shinohara, Expression of Individual Woven Yarn of Textile Fabric Based on Yarn Positional Information Extracted from Its Three Dimensional CT Image, Proceedings of International Conference on Control, Automation and Systems, 2008 年 10 月 15 日, ソウル(韓国) Structure ④ Toshihiro Shinohara, Analysis of Textile Fabric Based on Automatic Extraction of Yarn Positional Information from Three-dimensional CT Image, Proceedings of SICE Annual Conference 2008, 2008 年 8 月 21 日, 東京(日本) 〔その他〕 ホームページ等 ① http://www.waka.kindai.ac.jp/tea/sin ohara/ ② http://rais.itp.kindai.ac.jp/researc hdb/ 6.研究組織 (1)研究代表者 篠原 寿広(SHINOHARA TOSHIHIRO) 近畿大学・生物理工学部・助教 研究者番号:20434863 (2)研究分担者 なし。 (3)連携研究者 なし。.

(6)

図 10  提案手法により得られた組織図

参照

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