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見られ方の違いと親密度および自己呈示欲求が対人不安に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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(1)27. 見 られ 方 の違 い と親密度 お よび. 小. 林. 子. 祐. 視点」 をどのように認知 してい るのかを扱 うことが必 要 な条件であるとい える。. 問題 と 目的 対 人的 な交流 や人前 で感 じる不 安 は対 人不安. (social. anxiety)と 呼 ばれ ,そ の生 起 要因 につい ては,こ れ ま. 1.不 安喚起対象 としての他者 Higgins(1987)は 不安 を喚起す る対象 を「重要 な. で さ ま ざ ま な 観 点 か ら研 究 が され て い る 。 Higgins. 他者」と特定 してい る。一方,Sanchez― Bemardos&Sanz. (1987)は 自己認 知 の 観 点 か ら,そ の 生 起 要 因 を考. (1992)の 社会 自己 は「社 会 的状 況 での 自己」 とさ. え,自 己不 一 致 理論 (selidiscrepancy theory)を 提 唱. れ,そ の対象 は特定 されてい ない。つ ま り,「 不特定. した。 こ こで は 「 自己 の 側 面 (現 実 自己 ・ 義 務 自. の社 会 的状 況 で の他 者」 とい う こ とにな る。角尾. 己)」 と「 自己認知す る際 の視点 (own・. との. (2003)は ,他 者一般 に対す る不安得点 と特定 の他者. 組 み合 わせか ら,現 実/ownと 義務 /otherの 不 一 致. に対する不安得点 の差異得点がマ イナスか らプラス ま. の大 きさが対人不安 に影響 を及 ぼす ことが示 された。. での値 をとることを示 し,こ れ らの不安が区別 しうる. つ ま り,現 実 の 自己像 と他者 か らの こうあ るべ きと見. ことを示 した。そ こで本研究では,親 しさの程度 の両. られてい る姿 としての 自己像 の不 一致 の大 きさが対人. 極 として「友人」 と「不特定他者」 を取 り上げ,他 者. 不安 に影響す るとしてい る。そ して,現 実 自己 と義務 自己の不 一致 の大 きさと対人不安 の関連 についての 自. の違 い による特徴 を明確化する。. other)」. 己不 一致理論 の追試や考察が されて きたが,必 ず しも. また,相 手が違 うことにより不安 が喚起 される状況 は どの よ うに異 なるのか明確 にされて い ない。 そ こ. 仮説 を支持す るようなものばか りではなかった. で,本 研究 では Sanchez_Bemardos&Sanz(1992)と. (例. え. ば小平 ,1999;工 藤 ,1990)。 ただ,こ れ らの追試や. 同様 に,自 己認知 の側面 として理想 自己 を取 り上 げ. 研究 では理想 自己や義務 自己 といった「 自己認知」 の. る。そ して,理 想 自己 に対す る 自分 自身 の 自己認知. 側面 の不 一致 にのみ注 目され,「 自己認知す る際 の視. (現 実 自己)と. 点」 における不一致状態 についてはあまり論 じられて. が どのような関係 となった場合 に不安が喚起 されるの. いない。. か,不 一致状態 と対人不安 との関連 を検討す ることを. そ して,「 自己認知 の側面」 よ りも,「 自己認知す る 際の視点. (standpOint)」. 他者 の視点 での 自己認知 (社 会 自己). 目的 とす る。. に注 目し,不 一致状態 と対人. 不安 との関連 をみた もの に Sanchez― Bemardos&Sanz (1992)の 研究があ る。彼 らは,「 他者が 自分 をどの よ 社会 自己"を 新 たに うに見てい ると思 うか」 とい う “ 概念化 し,社 会 自己 一理想 自己 (own)の 不 一致が大 きい群 は,差 が小 さい群や中 くらいの群 に比べ て,対 人不安 を呈 しやす い とい うことを見出 した。. Higgins(1987)と Sanchez_Bemardos&Sanz(1992) の不安 を喚起する要因 として,「 自己の視点 (own)」. 2.不 安内容 日本 でい う「対人不安」 は DSMの 疾病診断 な ど欧 米 では,「 社会的不安 怖. (Social Phobia)」. (Social Anxiety)」. や 「社会恐. とい う対人場面 を含 めた社会的. 状況 で経験 される不安 として扱われてい る。そ して このような社会恐怖患者 の中核 には “ 他者 の否定的評 ,. 価へ の懸念"が ある と考 えられ,石 川 (1992)は 高対 人不安者 に評価懸念 が有意 に高 くあ ることを示 した。. の不 一致 が存在 してい るこ. しか し,こ のほか,対 人不安 にはさまざまな内容が含. とが共通 している。対人不安 とい う他者 の存在 による. まれ,シ ャイネス,対 人緊張 ,人 見知 り,ま た,特 定 場面 として会食不安 やス ピーチ不安 などがある。つ ま. と「他者 の視点. (other)」. 不安 を扱 う場合 には,「 自己 の視点」 以外 に「他者 の.

(2) 甲南女子大学大学 院論 集 第 6号. り,対 人不安 をどの よ うな観点 か ら捉 えるか に よっ て,測 定 される対 人不安 の側面 は異 なる と考 え られ る。 本研究 では,“ 理想 自己",“ 現実 自己",自 己内にお ける他者 の視点 として “社会 自己 (友 人/不 特定他. 人間科学研 究編 (2008年 3月. 4日. ). 本研 究 の 目的 1。. 他者 の違 い と standpointの 不 一 致状 態 との 関連. か ら,引 き起 こ され る不 安 内容 の 違 い を検 討 す る。 2。. 見 られ 方 の違 い によ り,拒 否 回避欲 求 ,賞 賛獲. 者)"の 3つ の視点 の在 り方か ら,不 安 を喚起す る状. 得欲求が別 の形 で不安 と関連 して い るか ど うか を. 況 の違 い を設定す るが,そ の状況 の違 い によつて喚起. 検討す る。. される不安 の内容 も異なると考 えられる。そ こで,そ. 自己 の側面 につ い て ,理 想 自己 ,現 実 自己 ,社 会 自. れぞれの不一致状態での不安内容 の違 い を明確 にする. 己 (友 人/不 特定他者 )の 3つ の視点 の それぞれが ど. ことを目的 とする。それぞれの不一致状態 の違 いか ら. うい った 関係 にあ るか を捉 え,そ の特徴 か らの不安 を. 喚起 される不安 として,「 ネガテ イブな評価 を受 ける. 測定す る。 なお ,社 会 自己 にお ける “ 友 人 "と “ 不特. ことに対す る懸念や不安」 である「評価不安」,「 他者. 定他者 "は 分 け て分析 す るこ ととす る。. の面前で話 をした り,自 己呈示 をする際 に生 じる不安. まず ,友 人 に対 しては, もうすで に友 人関係 が成 り. やプ レッシャー」 である「発言不安」,さ らに,不 特. 立 ってい るため ,そ の 時点 で もうすで に受 け入れ られ. 定他者 に対 しては「恥や気お くれ といった感情 に代表. てい る気持 ちは強 くあ るはず で あ る。そ のため ,友 人. されるような対人的接触状況での緊張感」 である「対. に理想 的 に見 られ な く と も,不 安 は感 じな い で あ ろ. 人緊張」 を加え,こ れ ら内容 の異なる 3つ の不安 を扱. う。 しか し,友 人か らは理想像 と して認知 されて い る. うこととする。. が ,自 分 自身 は理想 とはか け離 れて い る と感 じて い る 場 合 ,こ れか ら継続 して関係 を持 つ 中で ,相 手 が思 う. 3.自 己呈示欲求 ―「賞賛獲得欲求」 と「拒否回避欲 求」一. 理想 的 な 自分 とは違 う自己が露呈 した場合 に,相 手 は それ を受 け入れて くれ るだろ うか ,否 定 的 な評価 を得. Lcary(1990)は ,「 特定 の 自己イメー ジを与 えた. て しまうので はない か とい う不安が起 こるだろ う。 こ. い」 とい う自己呈示欲求 と「他者から良い評価 を受け る自信」 とい う自己呈示の効力感の 2要 因のバ ランス. の ことか ら,自 分 自身 の捉 え方 に反 して ,友 人 に理 想 的 に見 られて い る と感 じて い る場合 には 「評価不安」. か ら,対 人不安が高 まる状況 を考 えた。佐 々木 ら. が 高 まる と考 え られ る。 また ,逆 に,自 分 自身 は理想. (2001)は ,Lcaryの 自己呈示欲求 を「賞賛獲得欲. 的 であ る と認知 して い るの に,友 人か らはそ う見 られ. 求」 と「拒否回避欲求」の 2つ に分け,こ れら2つ の. て い な い と感 じて い る場 合 には,友 人 に理想 的 であ る. 欲求 と対人不安 との関連を見た。その結果,対 人不安. 自分 につい て , もっ と自分 の 良 さを分か って もらい た. を高めるのは「拒否回避欲求」であって,「 賞賛獲得 欲求」 はむしろ不安を抑制するように働 くことが示さ. い と思 うで あろ う。そ して ,何 か発言 した り,自 己呈 示す る際 に,う ま く良 い点 が 印象 づ け られ るか ,失 敗. れた。. して しまうか もしれ ない とい うプ レッシャーが 高 まる. 賞 賛獲 得 欲 求 は ,ポ ジテ ィブ な評価 へ の 期 待 で あ. だろ う。 つ ま り,自 分 自身 は理想像 と して認知 して い. り,こ の欲求が不安 を喚起す る状 況 を想 定す る と,良. る一 方 ,友 人はそ う見 て い な い と感 じて い る場合 には. く見 られた い ,賞 賛 を受 けたい とい う気持 ちが強 い一. 「発言不安」 が 高 まる と考 え られ る。. 方 で ,賞 賛 され る可 能性 が低 い状 況 で ,う ま く自己呈. 次 に,相 手 を不 特定 の他者 と した場合 ,相 手 はほ と. 示 で きるか ど うか とい う不安が高 まる と考 え られ る。. ん ど関 わ りの ない一 見 的 な相 手 で あ り,そ うい った相. つ ま り,見 られた い 自己像 (理 想 自己 )と 他者 か らの. 手 か ら受 け入れ られ るか ど うか は,友 人 に対 す るほ ど. 見 られ 方 (社 会 自己 )の 不 一 致状 況 で 賞賛獲得欲 求 が. 重要 な要 因 で はな く,む しろ,理 想像 と して見 られ な. あ る こ とが 不安 を高 め る要 因 と して働 くので はない だ. い こ とが 不安 や 緊張 を生 む事態 で あ るこ とが 想像 で き. ろ うか。. る。 この ことか ら,相 手 に理 想像 か らは遠 い 自己像 と. そ こで ,本 研究 で は “ 理想 自己"と “ 社会 自己"と. して見 られ ,か つ ,そ の認知が正確 で あ る と感 じる こ. の不 一 致状 態 ,お よび ,「 拒 否 回避欲 求」,「 賞賛獲 得. とで ,理 想 か ら離 れた 自己 が露呈 して恥ず か しい とい. 欲 求」 との 関連 が対 人不安 に及 ぼす影響 を探 る こ とを. う感情 と しての不 安 で あ る「対 人緊張」 が高 まる と考. 第 2の 目的 とす る。. え られ る。 また,友 人 の場 合 同様 に,自 分 自身 は理 想 的 で あ る.

(3) 小林 祐子 :見 られ方 の違 い と親密度 お よび 自己呈示欲求が対人不安 に及ぼす影響. と捉 えて い るの に,相 手 か らはそ う見 られて い ない と. 理想 自己 と社 会 自己 との不 一 致 が大 き く,現. 2-2。. 感 じて い る場合 には,そ の 人 に対 して ,理 想 的 で あ る. 実 自己 と社 会 自己 との不 一 致 も大 きい状態 にあ. 自分 につい て ,そ の姿 を示 した い と思 うで あ ろ う し. る場合 に発言不安 が高 まる。. ,. 自分 自身 が理想 像 に当ては ま ってい る と確認す るため. 3。. 相手 が 友人 ,不 特定他者 の場合 ともに,理 想 自己. には,他 者 か らも認 め られ る ことを望 むであろ う。 一. と社 会 自己 の不 一 致 の大 きさにかか わ らず ,拒 否 回. 度 き りしか 関 わ らない一 見 的 な相手 には,そ の場 で う. 避欲 求 が 高 い ほ ど,評 価不安 ,発 言不安 が 高 まる。. ま く自己呈示 で きない 限 り,そ の後 に訂 正す るこ とは. 4.相 手 が友人 ,不 特定他者 の場合 ともに,理 想 自己. で きない 。 この こ とか ら,発 言 した り自己呈示す る際. と社会 自己 の不 一 致 が 大 き く,賞 賛獲得欲 求 が 高 い. の不安 であ る「発言不安」 は高 まる と考 え られ る。. ほ ど評価不安 ,発 言不安 が高 まる。. さらに,自 己呈示欲求それぞれ との関連 において. ,. 拒否回避欲求 は拒否 された くない とい う気持 ちで,そ. 法. 方. こには他者か ら拒否 され,ネ ガティブな評価 を受ける ことで,ネ ガティブな 自分 に直面す ることに対す る怖 れがあると考 えられる。た とえ,相 手 か ら理想像 に見. 文 寸多 疑 地方私立大学 の学 生 395名. (男. 性 90名 ,女 性 305. られてい ると感 じていて も,そ の相手 か ら,拒 否 され. 名)。 平成 18年 8月 に個人配布 ,集 団法 により質問紙. た り批判 されることは,理 想像 を否定 され,新 たにネ. 調査 を実施 した。. ガティブな自己に直面 させ られる ことになる。 このこ. 質問紙. とか ら,見 られ方 に関わらず,拒 否回避欲求 は評価不. (1)自 己認知. 安 を高 める要因 として働 くと考 えられる。 次 に,賞 賛獲得欲求 は良い評価 を得 たい とい う欲求. ① 自己認知 の側面 の選出 和 田 (1996)に よる Big Five尺 度 60項 目の うち. ,. であ り,ポ ジテイブな評価 に対す る期待 がある。相手. ポジテイブ語 を表す形容詞 を選出,社 会的望 ましさを. か ら理想か ら離 れた姿 で認知 されてい ると感 じてい る 場合 に,賞 賛獲得欲求が高 くあ ることで,理 想像 とし. 考慮 してポジテ イブ語 として表現 され るよ うに直 し ),36 (例 え│ゴ「 自己中心的 な」→「 自己中心的でない」. ての良い評価が得 られるか,ま た,良 い点 をうまくア. 項 目を使用 した (付 表. ピールで きるだろうか とい うプ レッシャーが高 まるこ. って重要な項 目 10項 目を選 んで もらった。. とが予想 される。 よって,こ れらは「評価不安」 お よ び「発言不安」 を高 める要因 として働 くと考 え られ. この うち,被 調査者 に と. 1)。. ②理想 自己の測定 選 んだ各項 目につい て「な りたい」,「 な りた くな い」 を選択 , どの程度 な りたいか,理 想 とする程度 を. る。. o“ 全 く違 う"∼ 10“ 非常 にそ うだ"の 11段 階 で 回答. を求めた。なお,「 な りた くない」 と選択 した項 目に. 仮説. 1.相 手 が 友人 の とき,現 実 自己 ―社 会 自己 に不 一 致. ついては逆転項 目とみな し,各 側面 の得点 を逆転 とし. が あ る場合 に不安 が 高 まる。不 一 致 の違 い に よって. て処理 した。. 喚起 され る不安 の 内容 は以下の通 りであ る。 実 自己 と社会 自己 との不 一 致が大 きい状態 にあ. ③現実 自己の測定 選 んだ各項 目について,各 項 目の表す人物 に, どの 程度当てはまるか 0“ 全 く当 てはまらない"∼ 10“ 非. る場合 に評価不安 が 高 まる。. 常 に当てはまる"の. 1-1。. 1-2。. 理想 自己 と社 会 自己 との不 一 致 が小 さ く,現. 理想 自己 と社 会 自己 との不 一 致 が大 き く,現 実 自己 と社会 自己 との不 一 致 も大 きい状態 にあ る場合 に発言不安が高 まる。. 2。. 相手が不特定他者 の とき,理 想 自己 一社会 自己 に. 不 一 致が あ る場合 に不安 が 高 まる。不 一 致 の違 い に よ り喚起 され る不安 の 内容 は以下の通 りであ る。. 2-1.理 想 自己 と社 会 自己 との不 一 致 が 大 き く,現 実 自己 と社会 自己 との不 一 致 は小 さい状態 にあ る場合 に対 人的緊張が高 まる。. H段 階で回答 を求めた。. ④社会 自己の測定 友人 :選 んだ各項 目について,友 人か らはどの程度 に見 られてい ると思 うか,0“ 全 く当てはまらない"∼ 10“ 非常 に当てはまる"の. H段 階で 回答 を求 めた。. 「友人」 に対 しては,「 会 うことが多 く,自 分 にとつて 重要 な友人ひ と り」 を思 い浮かべ て 回答 して もらっ た。. ,各 項 目について一般 に どの程度 に見 られてい る と思 うか,0∼ 10の 11段 階 不特定他者. :「 友人」 同様.

(4) 甲南女子大学大学 院論 集 第 6号. 人間科学研究編 (2008年 3月. ). で 回答 を求 めた。. には ,「 な りた くな い」 と選択 で きる よ うに し,逆 転. (2)賞 賛獲得欲 求 ・拒否 回避欲 求. 項 目 と して処理 した。 しか し,「 な りた い」 と選択 し. 小 島 ・太 田 ・菅原 (2003)に よる尺度 で ,「 賞 賛獲. なが らも,理 想 自己得点 か ら現実 自己得点 を引 い た値. 巨否 回避欲 求」 因子 各 9項 目 に つ い 得欲 求」 因子 ,「 才. が 負 で あ る場 合 が見 られ た 。 この と きの 差 異 は 1∼ 2. て “当 ては まらな い"∼ “当 ては まる"の. 点 で あ り,こ の場合 ,現 実 自己 は理 想 自己 と一 致 して. 5件 法 で 回答. を求 めた。. い る もの と見 な した。 それぞれ の不 一 致得点 は表 1に. (3)対 人不安. 示す。. 不安喚起対象別 に 2つ に分 けて回答 を求 め た 。 1つ. 表記 方法 と して理想 自己 と現 実 自己 の不 一 致 を D卜. a. は相手 が ,自 己認知 の側面 で 回答す る際 に想定 して も. と略記す る。 そ して ,理 想 自己 と,友 人お よび不特定. らった「友人」 の場合 , もう一 方 は「面識 の ない不特. 他 者 との 不 一 致 をそれぞれ D百 ,D卜 g,さ らに現 実 自己. 定 の 人物」 と して教示 を与 え,回 答 を求 めた。 なお. との 不 一 致 をそ れ ぞ れ DJ,Dttgと 略 記 す る こ と とす. ,. 「友 人」 の場 合 ,集 団場 面 での 質問項 目に は思 い 浮 か べ た相手 を含 む友 人同士 を想 定 して もらった。. 尺度 の構成. 使 用尺度 は辻 (1993)に よ り開発 された不安 因子 10 因子 の うち 「評価不 安」 因子 ,「 対 人的緊張」 因子. 3項 目 と 少 な く ,項 目 を 補 う た め ,毛 利 ・ 丹 野 (2001)に よる状 況別対 人不安尺度 の 「発言 ・発 表 不. H項 目を 「発 言不 安」. に採 用 し,“ 当 て は ま らな い"∼ “当 て は まる"の. 1。. 5件. 賞賛獲得欲求 ・拒否 回避欲 求 既 定 どお り「 賞 賛 獲 得欲 求」 因子 ,「 才 巨否 回避 欲. ,. 「発言不安」 因子 を使用 した。 ここで ,「 発言不安」 は. 安」 因子 を採 用 し,合 わせ て. る。. 求」 因子 の 2因 子 を抽 出 した。 2。. 対 人不安. ①友人 因子分析. (主. 因子法,バ リマ ックス回転)に よ り ,. ほぼ規定 の因子 どお り,「 評価不安」,「 発言不安」 の. 2因 子 を抽 出 した. 法 で 回答 を求 めた。. (累 積寄与率 53.48%)。. ただ ,本. 来 ,発 言不安項 目である「 どもらないか と不安 で あ. Ⅲ。結. る」 は,評 価不安因子 に 。 40以 上で負荷 し,こ れ を評. 呆. 40 価不安因子 として採用 した。 また,両 方 の因子 に 。. 以上負荷 した項 目については,既 定 の因子 の項 目 とし. 不 一致 得点 理想 自己 ,現 実 自己 ,お よび社 会 自己 (友 人 または. て採用 した。その結果 ,評 価不安 12項 目,発 言不安. 不特定他者 )と の 各側面 の不 一 致 の算 出法 は以 下 の 方. 9項 目の計 21項 目で採用 した. 法 で行 った。. ②不特定他者 因子分析. 不 一 致往 点 D=厚. 鯛 々の項 降. (主. (付 表 2-1参 照)。. 因子法,エ カマ ックス回転)に よ り ,. 「発言不安」,「 評価不安」,「 対人緊張」 の 3因 子 を抽. け る課. を グJ,4は 項 目数 )と して算 出 し,得 点 は各 自己像 と. 出 した. の不 一 致が小 さければ値 は小 さ く,不 一 致が大 きけれ. ない と思 うとそれだけで恐 ろ しい」 など,本 来,対 人. ば値 が大 き くなる こ とを意味 して い る。本研 究 で は. 40以 上で 緊張因子 の項 目であるが,発 言不安因子 に 。. ,. (累. 積寄与率 52.60%)。 「人前で話 さねばな ら. ない」 を選択 して もらい ,つ づ いて理想 とす る程度 を. 負荷 していた。 これ らの項 目について,項 目内容 を考 慮 し,発 言不安 と考 えられるものについては「発言不. 答 えて もらった。 このため ,自 分 自身 の理想 とす る程. 40以 安」因子 に採用 した。 また,2つ 以上の因子 に 。. 度 よ りも現実 自己が超 えて い る場合 ,た とえば「明 る. 上負荷 してい るものは,既 定 の因子 に採用 した (付 表. い」 の は 良 い が ,自 分 は明 るす ぎる と思 ってい る場合. 2-2参 照 )。 その結果 ,「 発言不安」 13項 目,「 評価不. 各項 目につい て,は じめ に 「 な りた い」 か「な りた く. 安」 11項 目,「 対人緊張」 H項 目の計 35項 目 とした。 表. 1. 不 一 致得点 におけ る平均 と標準偏差 平均 3。. 77. SD 1。. 48. 2.07. 1.12. 3.36. 1.32. 91. 1.73. 0。. 3.73. 1,38. 自己認知 と対人不安 との関連 親密度 の違 い に よる不安 に与 える影響 の大 きさを比 較 ,検 討 す るため ,重 回帰 分析 に よ り分 析 を行 い D百 ,DJ,ま. たは. D卜. ,. g,D"gの 交 互 作 用 項 を入 れ る こ と. で ,理 想 自己 ,現 実 自己 ,お よび他者 か らの見 られ方.

(5) 小林. 祐子 :見 られ方 の違 い と親密度お よび 自己呈示欲求が対人不安 に及 ぼす影響 表 3-1 友人における各変数間の相関係数 Di_a. Dia E)a_f Dif. l.00 O.38** O.68**. f. -0.32**. 評価不安 発言不安. 0。 27** 0。 23**. Da_f× D卜. Daィ. DJ×. Diィ. 発 言不安. 評価不安. Diィ. 1.00. 0.08. 1.00. -0。. 13*. 0,00. 0。. 11*. 0。. 0.03. 1.00. 10*. -0。. 20**. 1.00. 0.11*. -0。. 14**. 0.48**. 1.00. **p<.01,*p<.05 表 3-2 不特定他者 における各変数 の相関係数 D卜 a E)卜. a. l.00. 20**. E)ag. O・. E).g. O,77** 0。 15**. Da_F× D卜 g. 評価不安 発言不安 対 人 緊張. 0.22** 0。 20** 0。 30**. 1.00 0。. 10*. 0.09. -0.02 -0.08 -0.05. 1.00. 0.02 0。 18**. 1.00 -0.11*. 0。. 13*. -0.08. 0。. 20**. -0.10*. 1.00. 0.60** 0。 67**. 1.00 0.81**. 1.00. **p<.01,*p<.05 の不 一 致状態 の違 い が不安 に与 える影響 を比 較 した。. 表. 4-1. 1.対 人不安 と不一致 得点 との相 関 D日 ,D"f,な D卜 f×. それぞれ の不 安 にお け る重 回帰分析 (標 準 偏 回帰係 数 ). Dttf)と 友 人 に対 す る評価不安 ,発 言不 安 との 相. 関係 数 ,D卜 g,Dag,な らび に D卜 gと Dagの 交互 作 用 項 (以 下. 言不安 ,対 人緊張 との相 関係 数 を算 出 した (表 3-1,3. 重相 関係 数 (R) 重決定係 数 (R2). 不 特 疋他 者. DJと. 不特定他者 に対 す る不安 にお い て も同様 に,評 価不. f. Dttgと. .235. 175 。. .055. 。 031. 7.592**. 4.100**. Da_g. ―.025. -.091. Dig. .188** ―.108*. 。 135** ―。 074. Dag× D卜 g. 216 。 .046. 重相 関係 数 (R) 重決定係 数 (R2). 安 ,発 言不 安 ,対 人 緊張 の い ず れ の 場 合 も,D.g,Dttg D卜 g×. 。 110* ―。 135**. ―。 186**. 人. ,. の相 関 は低 く,ほ とん ど違 い は見 られ. なか った。. や. .001. .097*. f. F値. 友 人 に対 す る評 価 不 安 ,発 言 不 安 にお い て ,D百 D缶 ちD卜 f×. 。 078. D卜. Da_f× D卜. -2参 照 )。. 発 言不安. Da_「. 友. Dag)と 不特 定他 者 に対 す る評価 不 安 ,発. D卜 g×. 評価不安. 予測変数. らび に D百 と D.fの 交 互 作 用 項 (以 下. F値. 6。. 348**. の相 関 は低 く,ほ とん ど違 い は見 られ. 対 人緊張. -.062 269** 。 -.097*. 。 175. 。 234. .031. .055. 4。 100**. 7.530**. **p<.01,*p<.05. なか った。. 2.自 己認知 と対人不安 にお ける重 回帰分析 友 人 に対 す る評 価 不 安 ,発 言不 安 を従 属 変 数 と し. ① 友人 重決定係数 (R2)は 全 て. 1%水 準 で有意 で あ った。. て ,D卜 ちDと ら な らび に D百 ×DJを 独 立 変 数 とす る重. ただ ,そ の値 は どれ も低 く,こ の点 か ら不安 に与 える. 回帰分析 を行 った (表 4-1参 照 )。 また ,不 特 定他 者. 影響 は小 さい とい える。. も同様 に,評 価不安 ,発 言不安 ,対 人緊張 を従属変数. 評価不安 ,発 言不安 ともに交互作用項 が有意 であ っ. と して ,D卜 g,Dttg,な らび に D.g× Dttgを 独 立 変 数 と し. た (表 4-1)。 よって,D卜 f得 点 が低水準 ,中 程 度 ,高. た重 回帰分析 を行 った (表 4-1参 照 )。. 水準 それぞれ の場合 で ,不 安 を予 測す る D訂 得 点 の単. なお ,相 関係 数 を含 め ,交 互作用項 と各変数 にお け. 回帰式 は異 なる。そ こで ,評 価不安 ,発 言不安 それぞ 点 が -l. SD,平 均 ,+l SDの. る多 重共線性 の危 険 を低 減 す るため ,各 変 数 を z変. れ につ い て. 換 し,交 互 作 用項 は積 に よって算 出 した後 ,D卜ちD缶 ち. の単 回帰直線 を求めた (図 1-1,2-1参 照 )。 続 い て. D卜 f× D″ fお. た。. よび. Dト レDag9 D卜 g×. Dttgの 変 数 の 分 析 を 行 っ. D卜 f得. 場合 ,. これ らの 各単 回帰直線 の傾 きの有意性 を検 討す るため 単純傾斜 の検定 を行 った ところ,D卜 f得 点 の -l. SDの. 傾 きが有意であ った (表 4-2)。 この こ とか ら,Diィ 不.

(6) 甲南女子大学大学 院論集第 6号. 32. 人間科学研究編 (2008年 3月. 表 4-3 D劇 における単純傾斜 の検定結果. 表 4-2 Di.に おける単純傾斜の検定結果. t値. 評価不安. +lSD M -lSD. ―.H8. .078 .275. -1.536 1.577 4.065**. t値. 発言不安. -。. 142. .001 .144. ). ■ l SI). -1.823. M. 0.023. -lSD. 2.105*. 評価不安. t値. 発 言不安. ―.099 .097. -1.382 1.965*. .293. 4.059**. -.033 。 110 。 253. t値 -0。 452 2.199* 3.452**. 2.5 2.5 2. 評 価 不安. 評 価 不安. 2. 1.5. 1.5. ・… …Ⅲ ◆. f=+lSD f=M ― ― ― t一 Di― f=-lSD. 1. Di― Di―. 0.5. 1. …‐ ◆‐一 Da― f=+lSD. 0.5. Da― f=M ― ― ― ― ― Da一 f=-lSD. 0. 0. -lSD. M. +lSD. -lSD. M. Da― f. 図. 1-1. +lSD. Di― f. 評 価 不 安 にお け る Dl.の 単純傾斜. 図. 1-2. 評価不安 にお け る Daィ の単純傾斜. 2.5. 2.5. 1.5. +lSD. 1. 発 言 不安. 発 言 不安. 2. M. 0.5. 2 1.5 …Ⅲ ◆Ⅱ… Da― f=+lSD. 1. Da― f=M ― ― ― ¬酔 … Da― f=-lSD. 0.5. -lSD. 0. 0. -lSD. M. +lSD. -lSD. M. Da― f. 図. 2-1. Di― f. 発 言 不 安 にお け る Di.の 単 純 傾 斜. 一 致 低 ―D劇 不 一 致 低 よ りも D百 不 一 致 低 ―DJ不 一. +lSD. 図. 2-2. 発 言 不 安 にお け る. DJの 単 純 傾 斜. 致高 のほ うが評価不安 ,発 言不安 ともに高 まる こ とが. 不安が高 まる こ とが 示 された。 また ,DH不 一 致 高 ―D百 不 一 致 高 で は どの 条 件 と. 示 され た。 この結果 か ら,友 人 の場 合 , よ く見 られす. も差 は見 られず ,仮 説 1-2は 支持 され なか った。. ぎて い る と感 じる こ とで評価不安 が高 まる こ とが 示 さ. ②不特定他者 次 に,不 特定他者 に対す る不安 について,重 決定係. れ ,仮 説 1-1は 支持 され た 。 た だ ,評 価 不 安 だ け で. 1%水 準 で有意であったが,友 人 の場合同. な く,発 言不安 も同様 に引 き起 こ され ,よ く見 られす. 数 (R2)は. ぎて い る と感 じる状 況 で何 らかの発 言 をす る際 に も不. 様 ,低 い値 を示 し,不 安 に与える影響 は小 さい とい え. 安 が 高 まる ことが 示 された。. る。 評価不安 ,対 人緊張 の交互作用項 が有意 で あ り,発. また ,D百 得 点 の場 合 と同様 に,評 価 不安 ,発 言不 安 それぞれ につい て D百 得点 が -lSD,平 均 ,+lSD. 言不安 は Di瑶 得点 の大 きさが正 の影響 を与 えるだけで. の場合 の単 回帰直線 を求めた。 そ して ,各 直線 の単純. あ った (表 4-1参 照 )。 そ こで ,対 人緊張 ,評 価不安. 傾斜 の検定 を行 った ところ,表 4-3に 示す とお り,D百. そ れ ぞ れ にお い て. 得点 が -lSDの 傾 きで 有意 で あ った (図 1-2,2-2参. の場 合 の単 回帰直線 を求 め ,各 直線 にお ける単純傾斜. 照 )。 なお ,DJ得 点 の. Mの 傾 きは Dl.得 点 の主 効 果. D卜. g得 点 が -l. SD,平 均 ,+l SD. の検定 を行 った ところ,友 人 に対 す る不安 とは逆 に. ,. g得 点が +lSDの 傾 きが有 意 で あ った. 3-1,4-. を示 して い る。. D卜. この こ とか ら,D百 不 一 致低 ―D訂 不 一 致 低 よ りも D百 不 一 致 高 ―DJ不 一 致低 の ほ うが評 価 不 安 ,発 言. 1)。 結 果 は表 4-4に 示 す。 この こ とか ら,不 特 定他 者 に対 す る不 安 にお い て ,D.g不 一 致高 ―D"g不 一 致. 不安 ともに高 まる とい える。 つ ま り,友 人 に理想 とは. 高 よ りも,D卜 g不 一 致 高 ―D"g不 一 致低 の 場 合 に対 人. 異 なる姿 あ りの ままに認知 されて い る と感 じる状況 で. 緊張 ,評 価不安 ともに高 まる こ とが 示 された。. (図.

(7) 小林 祐子 :見 られ方の違 い と親密度お よび自己呈示欲 求が対人不安 に及ぼす影響 表 4-4 Ditに おける単純傾斜 の検定結果. t値. Dl_g. 評価不安. +lsD. ―.131. -1.968*. ―。 025. -。 505. M -lSD. .080. 1。 107. 表 4-5 D← gに おける単純傾斜の検定結果 t値. Dag. 評価不安. -。 062. -2.374* -1.251. .188. .032. 0.449. +lSD M -lSD. 対 人緊張 ―.157. 33. 対人緊張. ―‐ ◆‐¨‐Di― g=+lSD. t値 1.195 3.784* 4。 217**. .082 。 293. E)i― g=M ― ― ―“ J「 ― Di― g=-lSD. 。 114. 1.661. 209 。. 4。. 223**. 4.378**. .303. 套柘 張. t値. 対 人緊張. …… ◆‐一 Da― g=+lSD Da― g=M 一 ―― 哺r― Da― g=-lSD. 1. 0.5. 0. -lSD. M. +lSD. -lSD. Da― g. 図. 3-1. 対 人 緊張 にお け る. +lSD. M Di― g. D卜 gの. 図 3-2 対 人緊張 における D″ gの 単純傾斜. 単純傾 斜 3. 3 2.5. 2.5. 評価 不安. 評. 2. 2. 票. 1.5. 1.5. …… ◆Ⅲ… Di― g=+lSD 1. ― ― 一― ■. 0.5. E)i― g=M 一 Di― g=-lSD. 「. 0. -lSD. M. 安. ――. 1. ― Da― g=+lSD. Da― g=M ― ― …… 哺r― Da― g=-lSD. 0.5. 0. +lSD. -lSD. M. Da― g. +lSD. Di― g. 図 4-1 評価不安 における Ditの 単純傾斜. 図. また ,対 人緊張 ,評 価不 安 そ れ ぞ れ につ い て ,Dag. 4-2. 評 価 不 安 にお け る. D¨ gの. 単純傾 斜. て ,こ れ らの交 互作 用 項 を用 い て重 回帰 分 析 を行 っ. Z変 換 した後 に行 った。. 得 点 の 単 純傾 斜 の 検 定 を行 った ところ ,表 4-5に 示. た。分析 は前 回 と同様. す とお り,友 人 の場合 同様 に D"g得 点 が -l. 1.対 人不安 と不一致得点及び欲求 との相 関. SDの 傾. きで有意 で あ った (図 3-2,図 4-2参 照 )。 この こ とか ら,D卜 g不 一 致低 ―Dttg不 一 致低 よ りも. まず ,友 人 ,不 特定他者 それぞれ につい て ,各 変数 間 の相 関係 数 を表 5-1,5-2に 示 した。. D卜 g不 一 致高 ―Dag不 一 致低 の ほ うが 対 人 緊張 ,評 価. 友 人 へ の評価不安 ,発 言不安 ともに,D百 や交 互作. 不安 ともに高 まる。以上 の結果 か ら,理 想 とは離 れた. 用項 (以 下 D百 ×拒 否 回避欲 求 )に 比 べ ,拒 否 回避欲. 姿 を正 確 に認知 されて い る と感 じる こ とで対 人緊張が. 求 との相 関 が 高 か った。 また ,賞 賛獲得欲 求 や交互作. 高 まる こ とが 示 され ,仮 説 2-1は 支持 された。 また ,仮 説 2-2に つ い て ,D卜 g不 一 致 高 ―D"g不 一. 用項 (以 下. 致高 で不安 は喚起 されず ,自 分 で は理 想像 として捉 え. D卜 g×. 賞賛獲得欲 求 )と 評価不安 ,発 言不. 安 との相 関 はいず れ も低 か った。 不特 定他 者 へ の評価不安 ,発 言不安 ともに,Ditや 拒否 回避欲 求 )に 比 べ ,拒 否. て い る一 方 で他者 か らはそ うは見 られて い ない と感 じ. 交互作用項 (以 下. る場合 に不安 が 高 まる とは言 えない こ とが 示 された。. 回避欲 求 との相 関 が 高 か った。賞賛獲得欲 求 は,評 価. D卜 g×. 不安 ,発 言不安 ともに相 関 は低 く,交 互作用項 (以 下 自己認知及 び欲求 と対 人不安 との関連. D.g×. 理想 と他者 か らの見 られ方 ,お よび欲 求 との 関連が 不安 に及 ぼ す影響 を検討 す るため ,D百 お よび. D卜 gと. 賞賛獲得欲 求 )に 相 関 は見 られ なか った。. 2.自 己認知及 び欲求 と対 人不安 にお ける重 回帰分析 友人 ,不 特定他者 につい て ,評 価不安 ,発 言不安 を. 自己呈示欲 求 (拒 否 回避欲 求 /賞 賛獲得欲 求 )が それ. 従属変数 と して. ぞ れ の 不 安 に影響 す るか ,友 人 ,不 特 定 他 者 に つ い. 得 点 ,こ れ らの交互作 用項. D卜 f(ま. た は D.g)得 点 と拒否 回避欲 求 (D卜 f×. 拒 否 回避欲 求 ,D卜 g.

(8) 甲南女子大学大学院論集第 6号. 人間科学研究編 (2008年 3月. ). 表 5-1 友 人 にお ける見 られ方 ,自 己呈示欲 求 と不安 との相 関係数. Dil. D百 ×賞賛. 賞賛. Diィ. 拒否回避 D耐 ×拒否. 発言不安. 評価不安. l.00. 賞賛獲得 -0.01 D百 ×賞賛 0.20** 拒 否 回避 -0.00 Dif× 才 巨在 10* 評価不安' 0。 0.03 発 言不安 0.H*. 1.00. 0.04. 1.00. 0.14**. 0.08. 0.08. 0。. 0.20** -0。 12**. 0.14** 0.07. 20**. 1.00. 0.06. 1.00. 0。 47** 0。 41**. 0.05. 1.00. -0.00. 0。 48**. 1.00. **p<.ol,*p<。 05. 表. 5-2. 不 特 定 他 者 にお け る 見 られ方 ,自 己呈 示 欲 求 と不 安 との 相 関係 数. D18 賞賛獲得 D.g× 賞賛 拒 否 回避 D卜 拒否 =× 評価不安 発言不安. Diぜ ×賞賛. 賞賛. Diぜ. 拒 否 回避 Dig× 拒 否. 評価不安. 発言不安. 1.00 0.60**. 1.00. 1.00. -0.09 0.03. 1.00. -0.01. 0.07. 0。. 0.02 0。 18**. 0.13**. 1.00. 14**. 0.03. 1.00. 0.03. 0.08. 0.06. 1.00. 14** -0。 16**. 0.07. 0.60**. 0.03. 0。. 0.01 -0.03. 0。. 47**. **p<.01,*p<。 05. 表 5-3 見 られ方 と拒否回避欲求 の 各不安 に対す る重 回帰分析 (標 準偏回帰係数) 予測変数. 評価不安. Dif. 友. 拒 否 回避 欲 求 Diィ ×拒 否 回避. .105*. H3 。. 。 464**. .407**. 重相 関係数 (R) 重決定係数 (R2). 477 。 .228. .421. F値. 38.387**. 28.136**. Din. .143** .595** ―。 031. .094*. F値. 予測変数 DiF. 友. .178. 。 467** ―.059. .621. .482. .385. .233. 81.616**. 見 られ 方 と賞賛獲 得欲 求 の 各不安 に対 す る重 回帰分析 (標 準偏 回帰係数 ). 不特定 他 者. 不特 定 他 者. ―.032. 重相 関係数 (R) 重決定係数 (R2). 5-4. 発言不安. 。 015. 拒 否 回避 欲 求 D卜 g× 拒 否 回避. 表. 賞賛獲得欲 求 Diィ ×賞賛獲得. 評価不安. 発 言不安 .097. .085. -.121*. .198** 。lH*. .059. 重相 関係 数 (R) 重決定係数 (R2). 252 。. 172 。 .030. F値. 8.827**. 3.963**. D卜 ,. 196** 。. 賞賛獲得欲 求 D卜 g× 賞賛獲得. 159** 。. 110* 。 ―。 145**. 重相 関係 数 (R) 重決定係数 (R2). F値. 39.537**. **p<.01,*p<.05. .063. .069. .022. 252 。. 192 。. .063. .037. 8。. 817**. 4。. **p<。. 998**. 01,*p<.05. た は Di.)得 点 と賞 賛獲 得欲 求得 点 ,こ れ らの 交. ×拒否 回避欲求 )を 独立変数 と して投 入 し,重 回帰分. (ま. 析 を行 った (表 5-3参 照 )。. 互作 用項. (D百. ×賞賛獲得欲 求,D卜 g× 賞賛獲 得欲 求 ). そ の 結 果 ,評 価 不 安 ,発 言 不安 と もに,D百 ×拒 否. を独立 変数 と して投 入 し,重 回帰分析 を行 った。 そ の. 回避欲 求 お よび Dl.× 拒 否 回避欲 求 の偏 回帰係 数 は有. 結果 ,友 人 に対 す る評価不 安 で D百 ×賞賛獲 得欲 求 の. 意 で は な か っ た 。 そ して ,表 D百 ,ま. 5-3に 示 す とお り. ,. た は D.g得 点 お よび拒 否 回避 欲 求得 点 が そ れ. 偏 回帰係数 が 有意 であ った (表 5-4参 照 )。 そ こで ,友 人 にお け る評 価 不 安 の 交 互作 用 項. (D百. ぞれ不安 に対 して正 の 影響 を与 えて い た。 この こ とか. ×賞賛獲得欲 求 )に つ い て ,賞 賛獲得欲 求得 点 が -1. ら,友 人 ,不 特定他者 ともに,拒 否 回避欲求 は見 られ. SD,平 均 ,+lSDの 場 合 の 単 回帰 直線 を求 め た。 そ して ,各 直線 の単純傾斜 の検 定 を行 った ところ ,表 5 -5に 示す とお り,+l SDの 傾 きが有意 で あ った (図. 方 に関わ らず ,不 安 の喚起 に影響 を与 えてお り,仮 説. 3は 支持 された。 賞賛獲得欲求 につい て も同様 に,友 人 ,不 特定他者 の 評価 不安 ,発 言不安 それぞれ を従属変 数 と して D百. 5-1参 照 )。 この こ とか ら,友 人 にお い て ,D百 不 一 致 低 ― 賞 賛.

(9) 祐子 :見 られ方 の違 い と親密度お よび 自己呈示欲求が対人不安 に及ぼす影響. 小林 表. 5-5. 賞賛獲 得 欲 求得 点 にお け る単 純傾 斜 の 検 定結果. 評価不安. +lSD M -lSD. 192 。. 3.087**. .085. 1.700. -.002. Ⅳ.考. t値. 賞賛獲得欲求. -。. 35. 察. 1.親 密度 の違 いによる対 人不安 へ の影響 重 回帰分析 の 結 果 か ら,友 人 の場合 ,D面 の 大 きさ. 292. だ けが不安 に影響す る とは言 えなか った。 つ ま り,友 人か ら正 確 に認知 されて い ない と感 じて い て も,そ れ. 2. だ けで不安 は高 ま らない ことが 示 された。 また ,不 特. 1.5. 定他者 の場合 に Ditの 大 きさが不安 に正 の影響 を与 え. 評 価 不安. 2.5. 1. 0.5. Ⅱ ・… 賞賛=+lSD …◆. てお り,こ の結果 は仮説 2を 支持 した もので あ るが. 賞賛=M ― 一十 一賞賛=-lSD. 友 人 に対 して も同様 の結果 が 得 られ ,こ の 点 か ら親密. 0. -lSD. M Di― f得. ,. 度 に よる違 い を示す こ とはで きなか った。 そ して ,DJ,Dと gの 単純傾斜 の結 果 か ら,友 人 ,不 特 定他 者 と もに ,D百 不 一 致 高 ―D訂 不 一 致 低 (不 特. +lSD 点. 図 5-1 評価不安 における賞賛獲得欲求得点 の単純傾斜. 定他 者 の 場 合. D卜. g不 一 致 高 ―D"g不 一 致 低 )の ほ う. が ,低 一低 の場合 よ りも不安 が高 くあ るこ とが 共通 し 表 5-6D百 得点 における単純傾斜 の検定結果 D卜 f. t値. 評価不安. +lSD M -lSD. て見 られた。 つ ま り,友 人 ,不 特定他者 ともに,理 想 像 とは違 う姿 あ りの ままに認知 されて い る と感 じて い る場合 に,不 安 が 高 まる ことが わか った。. 4.516** 4.040**. 理想 と離 れた姿 と して正 確 に認知 されて い る と感 じ. 1.292. る状 況 で 対 人 緊張 が 引 き起 こ され て お り,仮 説 2-1 2.5. は支持 された と言 えるが ,こ の状況 で は 同時 に評価不. 2. 安 も引 き起 こ され ,特 異 的 に「 緊張」 を起 こす わ け で はなか った。 この こ とは以 下 の よ うに考察す る。相手. 評. 面 イ. 1・. 5. 裏. ‐… ◆‐‐‐Di― f=+lSD. 1. 0. f=M Di― f=-lSD Di―. 0.5. ― ―― 輪r―. -lSD. M. か ら正 確 に認 知 され て い る と感 じて い る状 態 で あ れ ば,そ の他者 か ら受 け る評価 は,正 確 な評価 と して当 ては まる と考 え られ る。そ のため ,友 人 で あれ ,不 特 定他者 で あれ ,相 手 か らのネガテ イブな評価 を懸念す. +lSD. る よ うな評価不安が高 まるので はない だろ うか 。. 賞賛獲得欲求得点 5-2 図 評価不安における Diィ 得点の単純傾斜. 次 に,親 密度 の違 い に よ り異 なる点 につい て述 べ て い く。 まず ,発 言不安 につい て ,友 人 には D百 不 一 致. 獲得欲 求得 点高 よ りも高 一高 の場合 に評価不安が高 ま. 低 ―Dttf不 一 致高 の状 況 で不安 が 喚起 され たが ,不 特. る とい える。. 定他 者 には ,D卜 g得 点 の効果 のみが正 の影響 を与 えて. また ,Diィ 得 点 の単純傾斜 の検 定 を行 った ところ. ,. い た。 つ ま り,友 人 には,理 想像 と違 う姿 あ りの まま. 表 5-6に 示す とお り,D卜f得 点が +lSDの 傾 きが有 意. で認知 されて い る と感 じる場合 に発 言不安 が 高 まる一. で あ った (図 5-2参 照 )。. 方 で ,不 特定他者 には実際 の 自分 が ど うであれ ,理 想. この こ とか ら,友 人 に対 して ,D百 不 一 致高 一賞 賛 獲得欲 求得 点低 の場合 よ りも高 ―高 の場合 に,評 価不 安 が高 まる とい え る。以 上 の 結 果 よ り,友 人 に対 し. 像 と見 られて い るか とい う こ とのみが発言不安 を引 き 起 こす要 因 として働 い て い た。 また,親 密度 の違 い で差異が表 れた点 として ,友 人. 得欲 求 が強 くあ るこ とで評価不安が高 ま り,仮 説 4は. SDの 傾 斜 が 有 意 で あ った一 方 で ,不 特 定他 者 で は Ditの +l SDの 傾 斜 が 有 意 で あ った 。. 友人 に対 す る評価不安 のみ支持 された。. この ことか ら,不 特定他者 には,理 想像 とは異 なる姿. て ,理 想像 とは見 られて い ない と感 じ,さ らに賞賛獲. で は D面 の -l. あ りの ままに捉 え られ る状 況 で不安 が 高 まる一 方 で. ,. 友 人 には,理 想像 として見 られて い て も,そ れが 実際 の 自分 とは異 なる,つ ま り,良 く見 られす ぎて い る と.

(10) 甲南女子大学大学院論集第 6号. 36. 感 じる こ とで不安が高 まる ことが示 された。 この状況. 人間科学研究編 (2008年 3月. ). 手 が 不特定他者 の場合 に も同様 の こ とが 言 える。. での不安喚起 は,相 手 が友人 の場合 のみで あ る。不特 定他者 に不安 を喚起す る状況で は,友 人 に も同様 に不. 見 られ方 と自己呈示欲求 との関連. 3口. 賞賛獲得欲求 につい て,重 回帰分析 の結果 か ら,友. 安 を喚起 してお り,こ の結果 と合 わせ て考 える と,友 人 には,不 特定他者 に不安 を感 じるの と同 じ状況以外. 人 に対す る評価不安 にお い てのみ仮説 4が 支持 され. に,新 たに別 の不安 喚起状況 が 存在す る と言 える。 こ. 不特定他者 には,理 想像 と して見 られ ない状況 と賞賛. の よ うな ,“ 良 く見 られす ぎる"と い う状況 は ,そ の. 獲得欲 求 がそれぞれ単独 で不安 に影響 して い た。 これ. 評価 が下が る"可 能性 を含 んでお り,不 特定 の 裏に “. は,相 手 が 友 人 の場合 ,友 人関係 として相手 との 関係. 見知 らぬ他者 とい う一 見的 な関係 で な く,継 続 的 な関. 性 が成立 して い るため ,た とえ理想像 に見 られ な くと. 係 を持 つ 友 人や身近 な人物 であ るか らこそ不安 を引 き. も受 け入れ られてお り,そ れだけで はネガテ ィブな評. 起 こす状況 で あ る とい える。. 価が され るこ とは想定 されて い ない ためで はないか 。. ,. 賞賛場面 での不安 や羞恥 とい う現 象 は,他 者 に肯定. しか し,そ こに賞賛獲得欲求 が 高 くある こ とで不安 が. 的 な良 い姿 として呈 示 で きて い るに もかかわ らず不安. 喚起 され るのは,良 い評価 を得 た い とい う気持 ちが強. が 喚起 され ,自 己呈示理論 での説明 とは一致 しな い現. まるほ ど,自 分 の こ とをよ く知 る友 人 に理想 像 と して. 象 で あ る と言 われ て きた (菅 原 ,1998)。 そ して ,菅. 認 めて もらえない こ とで ,自 己が理想 とは異 なる こと. 原 (2004)は 羞恥 の発 生要 因 と して ,他 者 か らの賞賛. に直面 させ られた り,自 己評価 を低下 させ る よ うな不. 期待裏切 場面 での恥ず か しさを説明す る “. 安 を喚起 させ る状 況 となる と考 え られ る。. リモデル". さらに,賞 賛獲得欲 求 につい て ,友 人 ,不 特定他 者. を考案 して い る。 このモデルで は,賞 賛場面 が他者 か らの 期 待 に 自己 が つ い て い け な い こ とへ の 不 安 と考. ともに,評 価不安 には不安 を高 め る要因 と して働 い て. え,過 大 な期待 を裏切 って しまい そ うな 自分 の姿 を恥. い たの に対 して ,発 言不安 には賞賛獲得欲 求が高 くあ. じた り,不 安 を抱 くもの と説明 して い る。本研 究 での. る こ とが ,む しろ,不 安 を抑 える要 因 と して働 くこと. 過大 な期 待 を裏切 る危険性 "に よ り,否 定 的 結果 も “. が 示 された。 この こ とは,以 下 の よ うに考察す る。発. な評価 を得 るか もしれ な い とい う不安が喚起 され る と. 言 不 安 は “人前 で 何 かす る と きに生 じる不 安 "で あ. い う点 で ,こ のモデル を支 持す る もので あ った。 とこ. り, これ か ら 自分が どの よ うに発 言 した り, 自己呈示. ろが ,こ の 現 象 は “友 人 "に のみ 起 こ った もの で あ. す るか に よって ,そ の評価 は肯定 的 に も否定 的 に もな. り,不 特定他者 には当ては まらなか った。 この こ とか. りうる。 そ のため ,賞 賛獲得欲求 が強 くあ る こ とは. ら,こ の状況 での不安喚起 には “ 過大 な期 待 を裏切 る. 悪 い評価 を得 る懸念 よ りも,良 い評価 を得 る期待 が強. 危険1生 "だ けで な く,本 人 に「期待 に応 えた い」 とい. くな るため ,発 言状況 で不安 が抑 制 され るので はない. う気持 ちが ある ことが推測 され る。. か. ,. 。. 最後 に,賞 賛獲得欲求 が 高 くあ る ことで不安 が 高 ま. 2.不 一致 状況 と対 人不安. る とい う結果 は,こ れ まで の研究結果 とは異 なる もの. 重 回帰分析 の 結果 ,友 人で の DH不 一 致高 ―DJ不 一 致高 ,ま た ,不 特定他 者 での D.g不 一 致高 ―D"g不. で あ った。 この点 につ いて ,注 意す る点 と して対 象者. 一 致高 にお い て ,各 条件 との差 は認 め られず ,仮 説. 1. テ イテ イ形成期 で あ り,他 者 か らの評価 は,自 己 の ア. -2,2-2は 支持 され なか った。 この 点 につ い て は ,条. イデ ンテ ィテ ィ確 立 のため に自分 の一面 と して取 り入. 件設定 上 の 問題があ る と考 え られ る。例 えば相手が友. れ る重 要 な要 因 となる。そ のため ,他 者 か らの賞賛 が. 人 の場 合 ,表 1の 平均 と SDか らす る と,DH不 一 致 高 ―DJ不 一 致 高 の と き,D卜a不 一 致 が小 さい 被 験 者. 肯定 的 な 自己 を形成す るの に大 きな影響 を与 える こと. 以 外 に D卜 a不 一致が. D百. 不 一 致 よ りも大 きい 条件 とな. る被 験 者 が 含 まれ て い る可 能性 が 考 え られ る 。 つ ま り,D百 不 一 致 高 ―DJ不 一 致 高 の 場 合 が 必 ず し も. の 問題が ある。本研 究 の対象 は大学生 とい うアイデ ン. で ,賞 賛獲得欲 求 と不安 との 関連 が見 られた可 能性 も 想像 され る。. 4.今 後 の課題. 「 自分 自身 で は理 想像 と捉 えて い る一 方 で ,相 手 か ら. 本研 究 では,社 会 自己 を友 人 と不特定他者 に分 け. はその よ うに見 られて い ない と感 じて い る場 合」 とは. 親密度 の違 い とい う点 か ら,自 己 の見 られ方 と不安 と. 言 えず ,自 己認知 にお ける被験 者 の特徴 が統 一 されて. の 関連 を見 たが ,重 回帰分析 の結果 は,ど の状況 も説. い な い可能性 が 考 え られ る。そ して , この こ とは,相. 明率 ,偏 回帰係数 は きわめて低 い結果 となった。そ の. ,.

(11) 37. 祐子 :見 られ方 の違 い と親密度 お よび 自己呈示欲 求 が対 人不安 に及 ぼす影響. 小林. ため,見 られ方による影響 は「影響 がない とは言 えな い」 とい う状況 であ り,対 人不安 を引 き起 こす要因 と して,見 られ方以外 の新 たな変数 を考慮 に入れる必要 があると言える。 また,今 回,理 想 自己 として 自己自. 理学論 集 ,28,9-17 小 島弥 生 ・ 大 田恵子 ・ 菅原健 介. 2003. 拒 否 回避 欲 求 尺 度 作 成 の 試 み. 賞 賛獲 得 欲 求 ・. 性 格 心 理 学 研 究 ,H. (2), 86-98 工藤恵理子. 1990. 現 実 自己 ,理 想 自己 ,あ る べ き 自. 身の 中での理想像 を測定 した。 しか し,見 られ方 によ. 己 ,な り得 る 自己 とそ の 達 成 感 と抑 鬱 との 関連 に つ い. る不安 の喚起 を推測す る場合 には,自 己のな りたい理. て. 見 想像 よ りも,「 どの ように見 られたいか」 とい う “ られたい理想像"と しての理想 自己 との不一致状態が 重要な要因 として,不 安 に強 く影響 を与 えると考 えら れる。 さらに,今 回は親密度 の違 いの両極 として「友人」 と「不特定他者」 を扱 った。 しか し,不 安 を喚起 しや 半知 り"の 相手 に対 すい対象 として笠原 (1977)は “ して最 も不安が高 まる と述 べ てお り,今 回示 された 「不特定他者」 と「友人」 とい う両極 の相手 に対 して 不安 を起 こす状況や特徴 の違 いか ら,半 知 りの相手 に 最 も不安が高 まる要因 を考 えてい くこ とが期待 され る。. 日本心理学会第 54回 大会発 表論文集 ,186. Lcary,M. R. 1983 Understanding social anxicty: social, per―. sonality,and clinical perspectiveso California:Sage(レ ア. リー ,Mo R。 生和秀敏 (監 訳 )1990 対 人不安. 毛利 伊 吹 ・丹 野 義 彦 2001 状 況 別対 人不 安 尺 度 の 作 成 及 び信頼性 ・妥 当性 の検 討 健康 心 理 学研 究 ,14(1), 23-31 Sanchez―. 乾Sanz, J 1992 Effects of the dis… Bernardos,M. L, そ. crepancy between self― concepts on emotional attustment。. αJげ Rι sι αrθ んjれ Pι だθれαJカ ァ,26,303-318 ““ 佐 々木 淳 0菅 原健 介 ・丹 野義 彦 2001 対 人不 安 にお け る 自己呈 示欲 求 につ い て 一賞 賛獲 得 欲 求 と拒 否 回避 欲 Jθ. 求 との比 較 か ら 性格心理学研 究 ,9,142-143 菅原健 介. 対 人不 安 の 類 型 に関す る研 究. 社 会心. IIiggins,E. T。. 菅原健 介. 1987 Self― discrepancy theory: A theory relat―. たルッ ing self and affecto Psッ ε んθJθ gjε αJ Rι ッ , 石 川利 江 ・佐 々 本和 義 0福 井. 至. 社 会 的不 安 尺. FNE o SADSの 日本 語 版 標 準 化 の 試 み 行 動 療 法研. 小 平英志. 1977 1999. 人 は なぜ 恥 ず か しが るの か サ イエ ンス社. 2004. ひ との 目に映 る 自己 一 印象 管 理 の 心 理. 2003. 対 人不 安傾 向 の 再検 討 ―不 特 定 の 他 者 に対 す る不 安 傾 向 と特 定 の 他 者 に対 す る不 安 傾 向 一. 角尾 美 奈. 東京家政大学研 究紀 要 ,43(1),167-173. 中公新書 諸 自己像 へ の accessibilityと 不快 感情 と. 青年期. の 関連 ―Selidiscrepancy theoryの 枠組 みか ら一. 教 育心. 辻平 治郎. 1993. 和 田 さゆ り 作成. 自己意識 と他者意識 北大路 出版 性 格特性 語 を用 い た Big Five尺 度 の. 1996. 心理学研 究 ,67(1),61-67. 付表 1 自己認知 の各項 目における選出頻度 素直 な 親切 な 温和 な 社交 的 寛大 な 話好 き 臨機応変 な 積極 的 な 陽気 な 意思表示 ので きる 楽観 的 な 活動 的 な. 羞恥 と 自. 金子書房. 学入 門. 94,319-340. 1992. 究 ,18(1),10-17 嘉. 1998. 己 イメー ジの社 会心理学. 引用 文献. 笠原. 1991. 理学研 究 ,7(1),19-28 菅原健 介. 度. 北大路. 書房 ). 183. 164 156 150 131. 130 128 126 118 118 116 110. 頭 の 回転 の速 い 好奇心 が強 い 計画性 の あ る 自己 中心 的 で ない 想像力 に富 んだ 良心 的 な 協力 的 な 洞察力 の あ る くよ くよ しない ヽ ′ 亡 酉己1生 タト向的 興味 の広 い. 107 106 102 99 93. 92 92 91 91. 88 86 85. 独創 的 な イライラ しない 几帳面 な 独 立 した 美 的感 覚 の鋭 い 勤勉 な 神経 質 な 傷 つ きに くい ル ーズ な 弱気 な 無 口で ない 地味 な. 84 78 65 63 61. 57 56 55 51. 47 35. 26.

(12) 甲南女子大学大学院論集第 6号. 38 付表. 2-1. 人間科学研究編 (2008年 3月. 友 人用対 人不安 因子分析結果 項. 8. 6 7 3 11. 4 9 1. 10 21 2 18. 17. 19 14 13 16. 20. 15. 5. 12. 友人 に嫌な感 じを与 えてい るのではないか と気 になる 友人 に嫌 われないか と不安 である 友人 にどう思われてい るか気がか りである 自分 の言動が友人を傷 つ けてい るのではないか と思 うと,不 安 になる 友人 にどう思われてい るかがわか らない と不安 になる 自分 の表情や目つ きが友人に嫌な感 じを与 えるのではないか と気 になる 誤解 されてい るようで不安 である 友人の顔色が気 になる 馬鹿 な ことを言 って しまい は しないか と不安 である 友人 に笑 われるのではないか と不安 である. 8 11. 30 7. 19 21 1. 5. 22 34 15. 16. 32 13 17. 25 9. 26 20 33 14 3. 10. 28 27. 2. 31. 24. 4. 23. 29 12 18. 6. F2. .808 .808. 。 103. 134 。. .664 .671. 。 800. .088 .078 .143. .648 .583 .537 .517. 579 。. 。 134 .180 152 。 。 276. 。 759. 718 。 。 707. .657 .616. 共通性. 。 464. .402 .441. 477 。. .431. 440 。. 。 327 。 447. .301. 私 は,人 が た くさん い る所 で発表す るのが こわい ミー テ イング中 に何 か提案す る とき私 は他 の 人達 よ り落 ち着 か な い気 がす る 会議 中 に自分 の考 え を聞 かれた とき,私 は とて も緊張す る 多 くの 人の前 で 原稿 を読 む とき,私 は とて も緊張す る 私 は,話 し合 いの場 で 自分 の意見 を述 べ るのが こわい 人前 で話す ときの 緊張感 は,他 の 人 よ り私 の方 が強 い と思 う 思 っている こ とが うま く言 えな いの で はないか と不 安 であ る 大勢 の前 で 自己紹 介す る とき,私 は他 の 人達 よ り落 ち着か な い気 がす る 友 人 の前 に出て何 かす る とき,私 は不安 を感 じる. .084 .144 .154 .070. 。 834. 405 。. 2-2. .413 .364. 。 169. 。 759. .702 .697 .660 .606 .604. .107 .302 .209 .443. .756 .675. .583 .547. 。 648. .463 。 394. 。 822. 798 。 。 775. .445. (%) 27.13 26.35 (%) 27.13 53.48. 不特定他者用対 人不安 因子 分析結果 項. 35. Fl. どもらない か と不安 であ る 自分 だけが と りの こ された ような気がす る. 因子 の 寄与率 累積寄与率 付表. ). ミー テ イング中 に何 か提案す る とき,私 は他 の人達 よ り落 ち着 か ない気 がす る 大勢 の前 で 自己紹 介す る とき,私 は他 の 人達 よ り落 ち着か な い気 がす る 人前 で話す ときの 緊張感 は,他 の人 よ り私 の 方が強 い と思 う 私 は,人 が た くさん い る所 で発表す るのが こわい 人前 で話 さね ばな らない と思 う と,そ れだけで恐 ろ しい 私 は,話 し合 いの場 で 自分 の 意見 を述 べ るのが こわい 会議 中 に 自分 の考 え を聞 かれ た とき,私 は とて も緊張す る 人前 に出て何 かす る とき,私 は不安 を感 じる 多 くの人の前 で 原稿 を読 む とき,私 は とて も緊張す る 大勢 の人のい る ところで は 緊張す る 人前 で顔が 赤 くな って 困 る 人前 に出る と体 がふ るえる 思 ってい る こ とが うま く言 えな いので はな い か と不安 で あ る 人 に嫌 な感 じを与 えて い るので はないか と気 になる 人 に嫌 われ な い か と不安 であ る 人 に どう思 われて い るか気 がか りであ る 人 に どう思 われてい るかが わか らない と不 安 になる 誤解 されて い る よ うで不安 であ る 人 の顔色が気 になる 自分 の 言動 が 人 を傷 つ けて い るので はない か と思 う と,不 安 になる 人 に笑 われ るので はない か と不安 であ る 馬鹿 な こ とを言 って しまいは しない か と不 安 であ る 自分 の表情 や 目つ きが相手 に嫌 な感 じを与 えるので はないか と気 になる 自分 だけが と りの こ された よ うな気がす る 人 に見 られて い るのが わか る と平 静 でい られ な くなる 危険や困難 にぶ つ か る と,尻 込 み して しまう 困難 に出会 う と,あ わてて何 もで きな くな って しまう 人の 目線 を感 じる と,落 ち着 か な くなる 人前 に出て い くの に自信 が な い 初 めてす る こ とには,全 然 自信 が もてない 異性 と話 そ う と思 う と緊張す る どもらない か と不安 であ る 緊急 の ときには落 ち着 い て い られ な くなる 目上 の人 に話 そ う と思 うと,す ご く緊張す る あ ま りよ く知 らない 人 とは, どう付 き合 つて よい か わか らず 困 って しまう 因子 の寄与率 (%) 累積寄与率 (%). Fl. F2. F3. .740. 。 227. .267. .724. .272 .197. .692. .231 .237 .160 .225. 。 359. .720 .706. 467 。 。 353. 。 663. 。 246. .616. 。 269. 。 389. .614. .193. .413. .601. 。 146. .369. .565. .389. .417. .258 .144 .202 .430. 。 177. 788 。. .213 .167 .112 .253 .083. 745 。. 138 。 .254. .482. 475 。. 。 234 171 。. .271 .199 .228 .309 .286 .563 .300 .239 .389. .584 。 518. .537 。 274. 。 316. 407 。 .459. 。 690 。 686. 199 。 .182 .326 .293 .143. .692 .633 .657 .574 .555. .669. 。 389. 。 606. 。 668. .128. .481. 。 654 .639 。 623 540 。. 239 。. .550. 。 279. .209 .137. 。 541 。 461. .383. 。 340. .647 。 643 。 598. .574 .538 .503. .723. 。 271 。 223. .408 .295. .290 。 194 252 。. .408 。 359 。 324. 19.51. 18。 93. 14.17 52.60. 51. .742 .654 。 628 。 603. 。 145. .449 .444 .412. 19。. .670 .651 .613. .375. .396 .195 .299 .060 .338. 431 。. 共通性. 38.43. .581 。 535. .576. 642 。 381 。. 258 。 .435. 436 。 。 333 .255.

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