宮澤賢治『銀河鉄道の夜』論 : 賢治の死生観について(二〇〇四年度卒業論文要旨集)
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(2) 遠藤. 明子. ﹃銀河鉄道の夜﹄は﹁幻想性や宗教性といった賢. 近代文学研究室一〇二〇. 宮澤賢治﹃銀河鉄道の夜﹄論∼賢治の死生観について∼. 宮津賢治の 治文学の特質﹂が強く反映されており、これまで賢治童話の代 表作と見なされてきた。従来の研究では﹁賢治文学の特質﹂は、 銀河鉄道の幻想的世界の場面に表れているとして、作品の中心 部から主題を導くものが主流であった。そこで本研究では読み 流されがちであったラストシーンに注目し、そこに表された生 と死についての考察を通して、賢治の死生観について従来の研 究には見られない新たな解釈を見出すことをねらいとする。 賢治は農学校の教師を務める科学者であり、また熱心な宗教 家でもあった。死生観というテーマで作品を読み解く上で、本 研究では賢治の科学概念と法華思想に着目し、実際に賢治が愛 読していた文献を参照しながら本文の考察を進めた。 この科学概念と法華思想を兼ね備えた賢治は、﹁時空的制約﹂ ︵生の永遠性︶. の枚念との二つの立場から、世. を受けない四次元空間という物理学的観点と、法華経で説かれ る﹁久遠実成﹂. 界を見ていた。一般的に人の﹁生﹂は、生まれて死ぬという一 個体の時間的経過と捉えられる。しかし賢治は、本作品の情景 に表されているような﹁時空的制約﹂のない﹁永遠の生﹂を獲 得できる四次元的天上世界を思い描きえた。独自の死生観をも つ賢治の世界では、﹁生﹂とは恒久的なものなのである。. −98−.
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