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体育科教育における体つくり運動に関する実践的研究:―児童の運動意欲向上を目指して―

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Academic year: 2021

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(1)体育科における体つ<り運動に関する実践的研究       一児童の運動意欲向上を目指して一                             教育実践高度化専攻                          小学校教員養成特別コース.                             P08058B 笹栗耕祐. I 問題の所在と研究の目的. 師の意識調査』では、体づくり運動に関連する.  近年の少子化や都市化の進行は、子どもたち. 質問項目において理解度の低さを示す回答が多. を取り巻く環境に大きな影響を与え、戸外の遊. いという報告がされている。このことから、文. び場の減少や子どもたちの交流の減少など様々. 部科学省の方針と教育現場の実態には大きく乖. な場面に変化が生じている。その結果、子ども. 離していると言える。. の肩帯生活における身体的な運動遊びの機会は.  本来、運動意欲の基盤には基本的な運動遊び. 著しく減少し、運動する子としない子の二極化. による仲間との競争や簡単な課題への取り組み. を進行させ、一部の児童による慢性的な運動不. を低学年段階から継続して行うことによって、. 足は深刻な問題となっている。. 身体活動の心地よさや技ができたことによる達.  子どもたちの運動不足には将来的な健康上の. 成感を得させることが重要である。ただ、残念. 問題をはじめとして今日まで多くの問題点が指. ながら少子化や都市化が進行し続ける現代にお. 摘され、多くの施策が講じられてきているが、. いては戸外で十分な運動遊びを期待することは. その成果は芳しいものではなく飛躍的に向上し. 難しい。逆に言うと、体づくり運動には戸外で. たという報告はない。そこで、平成10年度改. の運動遊びに代わり、運動意欲の基盤を育成す. 訂の学習指導要領体育科では小学校第5及び第. る役割が求められていると考えられる。. 6学年から高校3年までの8年間、運動に親し.  そこで、本研究においては運動意欲の向上を. むことを目的として体づくり運動が新たな領域. テーマにして体づくり運動を実践し、実践結果. として設定された。. をもとに事後検討を行うことで授業づくりにお.  さらに、平成20年敗言下の小学校学習指導要. ける具体的な実践の枠組みの提示を目的とする。. 領体育科では体づくり運動を第1学年から前倒 皿 研究の対象と方法. しで実施するように改められた。つまり、子ど もたちの運動不足がもたらす健康上の問題に対. 【研究期間】平成22年1月下旬∼2月上旬. しては、小学校から高校までの12年間におい. 【対象児童】K市立N小学校 第5学年21名. て一貫して取り組む必要のある重要な課題とし. 【対象授業】体育科授業(全6回). て捉えている。.  第1次では、自分の体力について考えること.  しかし、体づくり運動はねらいのみが示され. を目的として、全国体力・運動能力調査の結果. ているだけで、他の領域と異なって具体的な授. から自分の体力グラフを作成する活動を行う。. 業方法が明記されていない。そのため、体づく. その結果を踏まえて体力を高めることに対する. り運動に対する現場教員の理解は低く、授業の. 理解を図り、全6時間の授業計画に対して見通. 中で本来の目的が達成されずに終わってしまっ. しを持たせる。加えて、体育科授業に関する質. ている場合が多い。鷲野(2000)の『r体づく. 問紙調査を実施して児童の実態を把握する。. り運動」領域「体ほぐしの運動」についての教.  第2次では、体力を高める運動の効果を体感. 一ユ22一.

(2) させることを目的とし、各運動の方法や効果を. させる上で効果的であったと考えられる。この. 確かめながら教師主導で進めていく。そして、. 結果より、以下では運動意欲の向上を目的とし. 仲間と一緒に運動することで一体感を得させる. た体づくり運動の要点を結論としてまとめる。. とともに、身体活動による心地よさや楽しさを.  体づくり運動では、運動に親しむ態度の育成. 感じさせることによって運動意欲の向上を図る。. や身体能力の向上に結び付くテーマに基づいて.  第3次では、自分たちで体力を高める運動を. 3条件から授業づくりを行うことが大切である。. 計画することを目的とし、自分が設定した目標. 第1に、教材選択では身体活動における基本的. を達成するために児童が主体的に体育科授業を. な動きの要素を含んだ簡単な運動であることと、. 進めていく。自分から運動方法を計画すること. 仲間と協力・交流する機会が十分に得られる教. によって“やらされる”体育科授業から“やり. 材であることを重視する。第2に、単元構成で. たい”体育科授業へと思考を転換させ、児童の. は年度始めの暖かい時期に6時間程度を目安に. 運動意欲を高めていく。. して発展性のある単元として計画する。第3に、.  第4次では、各コースで計画した運動方法を. 指導方法では自分自身で目標を設定させること、. 発表し、体力を高める運動に対して全員で挑戦. 仲間と関わる機会を充実させること、体力を高. することを目的とする。そして、全6時間の締. める必要性を理解させること、という3つの視. めくくりとして体力テストを行い、主体的に取. 点を持って具体的な手立てを考える。. り組んだ成果を実感させることで運動意欲を刺 激し、今後の運動場面において応用・実践させ. π 今後の課題. る。.  今回の研究においては、運動意欲の向上を測. 【分析方法】. 定する尺度として著者が作成した質問紙調査を. ①授業前の質問紙調査:授業開始前の体育科授. 用いたが、今後は先行実践研究を参考に質問紙. 業に対する児童の意識調査を目的とし、自分自. 調査の内容項目を修正し、意欲面の変化を詳細. 身の体力について間う項目に対して3段階尺度. に分析するための質問紙調査を実施する必要が. により回答させる。. ある。加えて、学習指導案の目標や活動に関す. ②授業後の感想:全6時間の体育科授業を振り. る内容をもう一度検討することで反省点を明ら. 返り、体育科授業に対する意識の変化を間う項. かにし、修正した学習指導案に基づいてより多. 目に対して3段階の尺度で回答させる。さらに、. くの児童を対象にして体育科授業の実践を重ね. 授業全体の感想を書く欄を設けて自由に意見を. ていく。. 書かせる。. ③猪俣(1988)の運動意欲に関する質問紙調. V 引用・参考文献. 査:著者の実施した授業前の質問紙調査と授業. 1)鷲野昭久(2000)『「体づくり運動」領域「体. 後の感想における内容項目に対して運動意欲の. はぐしの運動」についての教師の意識調査』日. 向上を客観的に裏付ける。. 本体育学会第51回大会号 p494 2)猪俣公宏 猪俣春世 小林稔 伊藤友記. 皿 研究の成果. 高橋裕史r老年期における運動意欲の測定に関.  今回の体育科授業によって、猪俣の定義する. する研究」昭和63年度文部省科学研究費(一. 運動意欲における「活動欲求」と「運動価値感」. 般研究C)研究報告書. を高めることができた。これは、児童に自ら運 動方法を計画させることや体力の高まりを実感 させるといった具体的な視点が運動意欲を向上. 一123一. 修学指導教員 松下健二.

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