体育科教育における体つくり運動に関する実践的研究:―児童の運動意欲向上を目指して―
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(2) させることを目的とし、各運動の方法や効果を. させる上で効果的であったと考えられる。この. 確かめながら教師主導で進めていく。そして、. 結果より、以下では運動意欲の向上を目的とし. 仲間と一緒に運動することで一体感を得させる. た体づくり運動の要点を結論としてまとめる。. とともに、身体活動による心地よさや楽しさを. 体づくり運動では、運動に親しむ態度の育成. 感じさせることによって運動意欲の向上を図る。. や身体能力の向上に結び付くテーマに基づいて. 第3次では、自分たちで体力を高める運動を. 3条件から授業づくりを行うことが大切である。. 計画することを目的とし、自分が設定した目標. 第1に、教材選択では身体活動における基本的. を達成するために児童が主体的に体育科授業を. な動きの要素を含んだ簡単な運動であることと、. 進めていく。自分から運動方法を計画すること. 仲間と協力・交流する機会が十分に得られる教. によって“やらされる”体育科授業から“やり. 材であることを重視する。第2に、単元構成で. たい”体育科授業へと思考を転換させ、児童の. は年度始めの暖かい時期に6時間程度を目安に. 運動意欲を高めていく。. して発展性のある単元として計画する。第3に、. 第4次では、各コースで計画した運動方法を. 指導方法では自分自身で目標を設定させること、. 発表し、体力を高める運動に対して全員で挑戦. 仲間と関わる機会を充実させること、体力を高. することを目的とする。そして、全6時間の締. める必要性を理解させること、という3つの視. めくくりとして体力テストを行い、主体的に取. 点を持って具体的な手立てを考える。. り組んだ成果を実感させることで運動意欲を刺 激し、今後の運動場面において応用・実践させ. π 今後の課題. る。. 今回の研究においては、運動意欲の向上を測. 【分析方法】. 定する尺度として著者が作成した質問紙調査を. ①授業前の質問紙調査:授業開始前の体育科授. 用いたが、今後は先行実践研究を参考に質問紙. 業に対する児童の意識調査を目的とし、自分自. 調査の内容項目を修正し、意欲面の変化を詳細. 身の体力について間う項目に対して3段階尺度. に分析するための質問紙調査を実施する必要が. により回答させる。. ある。加えて、学習指導案の目標や活動に関す. ②授業後の感想:全6時間の体育科授業を振り. る内容をもう一度検討することで反省点を明ら. 返り、体育科授業に対する意識の変化を間う項. かにし、修正した学習指導案に基づいてより多. 目に対して3段階の尺度で回答させる。さらに、. くの児童を対象にして体育科授業の実践を重ね. 授業全体の感想を書く欄を設けて自由に意見を. ていく。. 書かせる。. ③猪俣(1988)の運動意欲に関する質問紙調. V 引用・参考文献. 査:著者の実施した授業前の質問紙調査と授業. 1)鷲野昭久(2000)『「体づくり運動」領域「体. 後の感想における内容項目に対して運動意欲の. はぐしの運動」についての教師の意識調査』日. 向上を客観的に裏付ける。. 本体育学会第51回大会号 p494 2)猪俣公宏 猪俣春世 小林稔 伊藤友記. 皿 研究の成果. 高橋裕史r老年期における運動意欲の測定に関. 今回の体育科授業によって、猪俣の定義する. する研究」昭和63年度文部省科学研究費(一. 運動意欲における「活動欲求」と「運動価値感」. 般研究C)研究報告書. を高めることができた。これは、児童に自ら運 動方法を計画させることや体力の高まりを実感 させるといった具体的な視点が運動意欲を向上. 一123一. 修学指導教員 松下健二.
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