わらべうたに潜むもの(1) : 音声スペクトル包絡及び呼気流,心拍動,筋電等生体情報の連続表記による解析の試み
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(2) . 平成8年8月. 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第47巻 第1号. Au t s き 罫 1 , 1996. Se i l f Hokka i do Un i i i fEduca lo t t t Journa on1C)Vo ver s on( c yo .1 ‐47 , No. わら べう たに潜むもの (1);音声スペク トル包絡及 び呼気流,. 心拍動, 筋電等生体情報の連続表記による解析の試み An analysi ): develoPed 1 s of1aPanese nursery rhymes(. the Polyきりram ofsound sPectral enveloPe,e×Piratory 丑ow, f moVement 1鶴 and electromyoモリごam o electrocardioモ リビa. 藤. 井. 力. 夫. (北海道教育大学札幌校). エ ー Ri ki O FUj i i ku Un Sapporo Campus i dou kyou i t ver s y , Hokka. 1, は じめ に. 亘, 目的 m, 方法 r 結果と考察 W , a, 歌唱時音声の音素波形 b, 音声スペクトル包絡と歌唱時生体情報の連続表記 c, フレーズごとの鳥徽図にみる音声スペクトルの基本パターン d, スペクトル採譜図の有効性:パルス列とパワーによる音高リズムの連続表記 e, フレーズごとの呼気の持続, 呼気量と吸気量 f, 呼気残気量曲線にみる休符時の機能と役割 g, 呼気流率にみるストレス=アクセントと音圧リズム h, 歌唱時における心拍変動のゆらぎ i, 歌唱のリズムと動作のリズム V, ま と め. 文献. 1, はじめに この10年, 歩行運動のリ ズムと姿勢保持の安定に関する研究はじめ, 重度障害児 におけるゆらしのリ ズム と呼吸の位相, 運動負荷時の呼気ガス分析からみた有酸素性作業の持続耐用域, 描画課題遂行時の動作と呼 吸, のこぎり動作・かな づち動作の習熟と呼吸の位相な ど, 動作リ ズムの習熟と個人 における優先テンポ (pref ) の 存 在 を め ぐる 問 題 に つ い て 研 究 して き た‐ 随意 性 の 制 限 を な か な か 脱 却 で き な い 障 erred t empo. 害児 を前 に して, ゆ っ く り で い い か らな ん と か自分 の テ ンポでま わり の 世 界 に 立 ち 向 か っ て い っ て ほ しい ‐. また, 子ども自身のテンポを大事にし引き出そうとしている実践をみるとなんとか支援したい‐ 手助けとな るような基本資料を準備したい. そう考えてきた. 動作の持続に内在した最適なテンポの存在‐ 動作を媒介 にした人と人とが織りなす互いのリ ズム‐ 動作や関係の持続に内在した呼吸のリ ズム及び 「間」 をめぐる問 題‐ これらに関する基本資料を用意したいと考えてきた‐ いずれも一瞬の出来事で誰にでも見えるわけでは 81.
(3) . 藤 井 力. 夫. ない. 文章で表現しても素通りしてしまうことが多い. 少なくとも1 00 0分の2 000分の1秒から1 00秒の世界 の こ と で, ゆ っ た り と かつ 日常 の 実践 を大 事 に して いる 人 にの み見 える の であろう. そ れゆえ な に を対 象 と. してどう記録するか, 実験の設定と解析方法の開発から研究を進めてきた. 最近になってようやく全体像が見えてきたように思う. 歩行や姿勢を基本とする個別の動作についてはそ れなりの資料を準備できたと 思う. 順 次, 公表 して い き たい. こ れにあ たり いま 一 つ 整 理 してお き たい こ と がある. それは, 「わらべうた」 に内在した事柄である‐ わらべうたには我々の動作の基本, 自然リ ズムと い っ てよ い もの が潜 ん でいる よう に 思う. 我々にとっ て心地よく, 無意識のレベルで取り入れ外界に働きか. けていくにあたっ て軸になっているようななにかが存在しているように思う. それがなんであるか残念なが ら分析できないできた. 私自身に採譜能力がないので後回しになっ ただけでなく, ことばのリ ズム, 力の入 れ方ぬき方, 音の高低, 時間の長短, 休符・間, 気持ち, 心拍動, 呼吸, 動作などおよそあらゆる要素が内 包されており, なにをどう分析するればよいのかしっ かりした観点をもち得なかったからである. それで専 ら, 採譜能力のある学生に卒論として勧めたり, ゼミナールで先行研究を勉強してきた‐ とく に小泉文夫の わらべうたや伝統音楽, 民族音楽に関する文献から多くを学んできた‐ また他方では, 動作解析の延長とし て パ ソ コ ン処 理の ため の 基 本 ソフ トも 開発 して き た. 今 回, 幸 い にも 既 設 の シス テム にシ グナ ル プロ セ ッ サ. を接続でき, ディ ジタル記録の大容量化によりフーリエ変換はじめさま ざまな加工の高速処理が可能となっ た. これにより 「わらべうた」 に潜む自然リ ズムの理解のために一歩前進した解析法を開発できたのでまず はその有効性についていくつか検討したい.. 亘, 目的 わらべうた歌唱時の音声信号の高速フーリエ変換によるスペクトル包絡の連続表記, 及び呼気流速, 心拍 変動, 筋電動作等のリ ズム駆動に関する生体情報のポリグラフ記録から, わらべうたの解析法の開発及び有 効性について検討することを目的とする.. 皿, 方法 「 「 .「花 いち も んめ」 Tabl e l は, こ の 間実 施 して き た 「わらべう た」 . か ごめ か ごめ」 , , , ひらいた ひらい た」 「通 り ゃ んせ 「 「 」 , あ んた が た どこ さ」 , ず い ずい ず っ こ ろ ば し一 の6 曲. 選 曲 にあ た っ て はわ らべう た に関. する藤田恵一や小泉文夫の分類を参考に,主要な領域ごともっ とも代表的で親しまれているものを優先した‐ いずれのうたもあそび動作をともなっている‐ そこで, それぞれの特徴的な動作, 歩行やまりつき, 手指動 作をつけて歌う場合と動作なしの場合の2試行を実施した‐ これまでの被験者は4人. ごく普通の中学1年 ), 教 育 系 大 学 の 一 般男 子 学 生 (M‐ N, m,21 yr ), 声楽を専攻する男 男 子 生 徒 (T. K, m,13 yrs o l l d d so 子 学生 (T.1 ) l d ‐H , m,21 yrs o , 及 び付属障害児学級軽度精神発達遅滞の中学1年生 (T ,m,13 yrs old)‐. まずは多様でかつ典型となるよう配慮した. 本報告では, 解析方法の有効性についての予備的な検討に重点 をおいたため, 中学1年男子生徒T‐ Kの歌唱した 「ひらいたひらいた」 に限定したい‐ 本生徒は札幌市内 に在住し, 平均的な家庭に育った中学生である‐ どのうたも幼稚園から小学校時代, 近所の友達などと遊び 「 歌 っ た 経 験 があ り, す で に よく 熟 知 して いる. Fi g l は, 町田 嘉 章, 浅野 建 二 による ひらい た ひら い た」. の採譜, 東京でのもの. いずれの曲も歌詞のみB4サイ ズの紙に縦書きにして被験者に提示, 試行した. 00 ) の 未 設 時の Tabl e 2 は, 記 録解 析 シス テ ム‐ 本 デー タ は シ グナ ル プロ セ ッ サ (日 本電 気 三 栄, DP‐12 も の で, デー タ ロ ガ (日 本電 気 三 栄, 7V‐08 ) を用 い, サ ン プリ ン グタイ ム500ゑse cで 音 声, 心 電, 筋 電 等 82.
(4) . わらべうたに潜むもの (1). の 信 号 を ディ ジタ ル記 録 した‐ ポリ グラ フ は,. Tab le L 試行 した 「わらべうた」. 4ポイントご 各信号波形とともに, サンプル数6 と 高 速 フ ーリ エ 変 換 (FFT) した音 声ス ペ ク ト. A. 劇 的 あ そ び ①. か ごめ か ごめ. ルの包絡曲線を連続表記した. 周波数座標は音 高周波数に対応して対数変換し, 採譜イメージ. ②. ひ らい たひらい た. への変換を容易にするため鳥徽図を立位傾斜さ. 坊さ ん系. せ る 方 法 を 採用 した‐ 「ス ペ ク トル 採 譜 図」 と. 子 とろ系 ③. 花いちも んめ. ④. 通りや ん せ. 呼ぶ こ と にする. こ れ には 従 来の ソ ナ グラ フ に. よる音声分析や自動採譜の研究が声紋的な色調. B. ま り つ き あ そ び. 分布ないし線的音高表記に力点が置かれ, パワ ースペクトルとしての鳥廠図的側面を弱めてき. あんた がた どこさ. ⑤. C. 偶 発 性 あ そ び (選 択 類). たこ とへ の 反省 が含ま れて いる‐. ずい ずい ずつころば し. ⑥. ‐ 結果と考察 W ,. F ig l. ひらいたひらいた (輪あそ び) (東京). a. 歌唱時音声の音素波形 Fig 2 は, 「ひ ら い た ひ ら い た」 の 歌 い 出 し. ひ‐ら い た ひ らい た - つ {すんブご っーt…ん た. れん‘ずの は な ゐf ひ れんと丁の は な カr つ. ら いた ぼ-ん だ. な ん の は なゐゞ ひ ら い た な ん の 蚊 な力r つ {すん た-. ひ らい た と つ ーす ん た- と. お もっ た ら も・ もっ た ら. の部分, /H 工/, / R A/, / 1/, / TA /の音素波形‐ 各音節がどのように発音される か, 子音部と母音部の成り立ちがよくわかる‐ 声門での音源の生成, 声道の形による調音, 口 唇または鼻孔からの放射, これらにより無意識 に調音された音声‐ よくぞ再現できるものと思 . い い. つ のま に か つ の ま に ゐ・. つ 一一一-- ひ --一一一. 1す . . た た. ん . な閉鎖による弾音/R/, これらはいずれも呼 気の押し上げによりつくられた乱流であり, 振. Tab l e 2‐ 記録解析システム 菅 圧:. マイクロフオン F C I I - 2 2 0 H ソニー E. アンブ ボス H A - 5 A 1. モニターオシ□スコープ G 6 6 日本電気三案 2. 呼 吸:. ルドルフマスク A ミナト医科学 A H 2 8 4. 呼気流量計 ミナト医科学 R F - L. ー データロカ V 8 - 0 日本電気三条 7. 心 電 : ディスポーサブル電極 5 筋 電 : 日本電気三乗 4 2 5 0. テレメータ・送信部 1 1 X 日本電気三条 5. パーソナルコンピュータ O N E - H 9 8 d IS CP C m o e. 動 作 歩 行: フオース・プレート B K 共和電薬 L - 5 B U 0. テレメータ・受信部 日本電気三采 5 X 1 1 シグナル・プロセッサ. まりつき:. 指 押 し:. 変位変換器 共和電繋D T P - 2 M D テープスイッチ 東京センサ R B - A. 動ひずみアンプ 共和電梁 1 1 P r l - 6 H. 子音部, 無声音/H/や歯破裂音/T/, あ るいは舌先と歯茎の後部あたりにあてた不完全. B本電気三条 D P 1 2 0 0 ‐. 幅の小さい低周波‐ 調音の様相がよくわかる. 他方, 母音, /A/, /工/は, それぞれ明 確な共振周波数をもち, 声門で音源がつくられ 共振する周期構造の特性がみごとに表現されて ・つもの周波数の いる‐ 各音素波形のなかにいく 違う波形が内在し, 音の高低は振動周波数のパ ルス 列, 音 の 強 さ は 振 幅 の 大小, こ れら により 調 節 さ れて いる‐ こ と ばはこ れ ら音 素 によ る 線 的なリ ズ ム であ. り, わらべうたはまさにこれらことばの自然な 音素リ ズムが織りなす線的なメロ デイ, そうい っ てよ い であろう. た だ し音 素 波 形 はオ シロス 83.
(5) . . 藤 井 力. 夫. /H/. ん~~rバy^\′へーV^. /帆 、)′L ト ノ^. 1. ー. 十・ /R/. 都. ハハ. し 掴ハ麹嵐 証 / v y V V V『 V 「 V V V V VV y r 回す M. l i. 十 一 ″ ″ ″. . ・. /1/. 酬卵 捌 か. E. U. /A/. /1/. W凱 舟. tl 十L=断断r. 1I I 州A 一 遍 肌 UV川w ふ 一 L 地 温 み んn!-Aんへn′ 轡 A 凡 ん 住 ↑禽 , , も A VV w 禅 録 〆 典 ~ I 『 喜 V y v y v 『 V i U V - r ・ r T デ ド 下一 平 --”= ・ 、▼ ′ V. 一^. /T/ ー. v V. /A/. ムー 」 M 一 一 九 I 山嵐ハ,,,, { A M 九 茸 A ゑ誰,ド み“ , ,. へ I. ¥〆. ・. lo. ′一碧 『 門 習 V 賢一一 坪. 冊脚坪野【. 20. 30. 』. ハ ”」 」 . , , , . ¥WW曹 W” 畢Y 一 r. 福^ハ^^V’」v v. / 1. 400 1 Sec. 3 yrs old) F ig 2‐ 「ひらいたひらいた」 歌唱時の音素波形 (/m/, /RA/, /1/, /TA/, T .K .m .1. コープによりメモリー表示できても, 全体を表示するには不向きで, 他の信号の位相とも対応できない.. b. 音声スペクトル包絡と歌唱時生体情報の連続表記 わらべうた歌唱時の音声, 呼吸, 心電, 筋電動作等の各信号を連続表記したポリ グラフ‐ いず れもリ ズム駆動に関わる生体情報である‐ 音声については音声波形に加え, 高速フーリエ変換により周波数 Fig 3は ,. 成 分 の パ ルス 列 を 分 析 し, そ の ピ ー ク をス ペ ク ト ル 包 絡 と して 連 続 表 記 した. サ ン プリ ン グタイ ム が500 βsecな の で, I KHz ま で の周 波 数帯 域 で第 一 ホ ル マ ン ト (F I) の 包 絡 だ が, 音 高 リ ズ ム の パ ルス 列 と し. てその特徴を十分に表現したものになっ ている‐ 縦軸が周波数座標で平均律音階に対応して対数変換する と ともに, 既述したように採譜へのイメー ジ変換を容易にするため一般的な鳥徽図を立位傾斜させる方法を採 用 した. 高 速 フ ーリ エ 変 換 の サ ン プル 数 は64ポイ ン ト ごと で, 音 声ス ペク トル包 絡 曲 線1 本 が32 msec に相 当 する‐ 平面 的な 線 的採 譜 では なく 音 声ス ペ ク トルの パ ルスダリパ ター ンと して ピ ッ チ とパ ワ ー を立 体 的 に表. 現することにより, 音の高低のみならず, 音の強さ, 音源, 共振の様子など立体的に表示するスペクトル採 譜 図 と な っ て いる. 取 り 込 み速 度 が遅 か っ たこ と が逆 に採 譜 図 と して はシ ン プル なも の とさせ て いる. 平均. 律音階としては粗いけれども高低リ ズムの流れとしては調音の姿を具体的に提供してくれる‐ 少なくとも耳 での聴覚的な認識を視覚的なそれとしてより自然な形で時系列的に再現してくれる‐ ) による呼気と吸 ) の他に, 呼気流量計 (ミナト医科学, RF‐L 下側のポリ グラフ波形は音声波形 ( l ch ) ) 気の流速 (2ch , 歌唱時の足踏み動作, , 多用途テレメータ (日本電気三栄, 511X) による心電 (3ch ) 左右前歴骨筋の表面電極からの筋電図 (4, 5ch ), 及びフォースプレート上での荷重変動, 垂直成分 (6c h を記録した. 2チャンネルの呼気流速を見ていただきたい‐ フ レーズごと持続的な呼気で歌い, 休符時に一気に下降, 吸気する. 呼気と吸気の関係, とくに休符時の吸気曲線の急速な下降を手がかりとして, フレーズ ごとのポ リグラフ波形の内容がよく了解できる. 各波形の特徴や相互の関係が一目でグラフィ ックに把握できる. 心 84.
(6) . わらべうたに潜むもの (1). H1. 呼. 吸. 心. 電. ザー. 左前鰹骨筋. ”y ′. 圧. ′ヒ. 音. A 1 TA AG A H1R R ENG EN OHA N. 迫 H1 R A. TA AG O HA N NA NN. A1 TA R A1 TA H1 R. 1. 轟. Y. 員. l. L. I. &. A ▲-. 1 『. 三. 右前歴骨筋 -キ ー 」. Qし一ト フォース.フ. o o 1 .. o o o .. AI T A HI R. 音. 圧. 呼. 吸. 心. 電. o o 2 ‐. 0 4 0 .. 3 o o ‐. OH O T T AR A. O T. 0 0 5 ‐. 6 0 0 ‐. 7 0 0 ‐. 8 0 0 ‐. - -. BO. I T S OH ! AN IK A TSU U N. 0 0 9 ‐. N. 0 0 0 1 ‐. 0 o 1 1 .. s e c. DA. 」. ー. ▲ 【y. 左前鰹骨筋. 、. 「 V. ・ 」 ▲ . ▼ ▼ -. L. ). 輩 ▼ r. γ”. 右前歴骨筋. ▼ . r 1 。し-ト ′」 、 フォース・フ 2 1 0 0 ‐. (旅し 1 3 0 0 ‐. 1 4 0 0 ‐. 1 5 0 0 ‐. 6 0 0 1 ‐. 7 0 0 1 ‐. 0 0 1 8 ‐. 0 9 0 1 ‐. 0 0 2 0 ‐. 2 0 0 1 .. 2 2 0 0 ‐. 0 O 2 3 ‐. Fig 3. 「ひらいたひらいた」 歌唱時の音声スペクトル包絡の連続表記 と生体情報の位相 (音圧, 呼吸, 心電, 筋電, 歩行動作, T .K ‐m‐13 yrs old). 拍動もわずかだが息継ぎ時の吸気の後, R-R間隔が短縮され緊張 して歌い出す様子がうかがえる‐ 左右前 腿骨筋の筋放電及び荷重の垂直成分の変動は, 各フレーズの歌いはじめがちょう ど左足の接床と同期してい る こ とを 示 してい る‐ 無 意 識 にな さ れた 自 然 なリ ズ ム だ が, 呼吸 ・ 発声, 心拍 動 動 作 こ れら3 つ のリ ズ , ,. ム駆動がそれぞれの立場でゆらぎながら, 歌唱という流れのなかで相互に引き込みあって一つの調和を作っ て いる. そう 考 え て よ い で あ ろう. 個 別 に検 討する こ と に しよう.. C. フレーズごとの鳥敵図にみる音声スペク トルの基本パターン 音 声 分析 で はサ ウ ン ドス ペク トロ グラム ( s ound spectorogra. が好んでもちられてきた. 横軸が時間軸, 縦軸が周波数軸としてスペクトル密度を色の濃淡で表示する 「声紋」 といわれるやり方である‐ ディ ジタル 処理の現在でも, 濃淡に等高線表示を加え利用されている. 音高の密度パターンを表示する点では優れてい るが, 音声波形の周波数成分, とくに周波数の共振を表現する点ではスペクトルのパルス列包絡曲線の連続 表示, 鳥敵図としてのアレイ表示が基本である. 「 Fi g 4 は, ひ ら い た ひ ら い た」 歌 唱 時 の 音 声ス ペ ク トル 包 絡 の 鳥 廠 図. フ レー ズ ごと に 表 示 した‐ 鳥 敵. 図の連続だけではその内容を判読しにくいが, フ レーズごとに提示することにより予知的に定位することが できる‐ 既述したように包絡曲線1本が32msec の 時 間単位 で, 横 軸 は対 数 変 換 した周 波 数座 標. IKHz ま 85.
(7) . 3 2. 皿 1 も. ^ ” v. や. 書″. 胆. 0. 、\\ \ の. 〆. 8 冊 、き. 、も. 鮎. ig 4, 「ひらいたひらいた」 歌唱時の鳥敵図 (ス ペク トルアレイ) にみる音声ス ペク トルの基本パターン (T F .K ,m ,13 yrs old). S E C. 2 2. 0 .5. 撒. ル. . . . を. 4 皿 1. 3. c. 0一 ヤミ .. O. . 、. や. h). r. ^ U.
(8) . わらべうたに潜むもの (1). で の周 波 数成 分 の特 徴 がよく わ かる‐ 図中, / RA/, / TA/, / HA/, / N A/ に相 当 する ス ペ ク ト. ルのパルス列を順次みていただきたい. 母音部/A/が共通でそれぞれ特定の周波数領域にエネルギーが集 中した類似のパルス列パターンを了解できる. 音源発声として母音・/A/の声帯振動が同質で, 類似のパ ルス 列 を 形成 してい る か らで ある‐ 歌 い は じめ の/ H 工 R A 工 T A/ の/ R A/ につ い て い え ば, パ ルス列 の ピ ーク 周 波 数 は219Hz , 719Hz , 906Hz で, 最 初 の 山, 219Hzに エネ ル ギー の 集 中 した 発 声. こ , 469Hz ), ハ 長 調 の 「ラ」 に該 当 す る. 同 じ/ T A/ でも 1小 節 目 ・前 動 機/ H 工 R A れは平均律音階A2 ( 220Hz 工 T A/ のそ れと2小 節 目・ 後動 機 のそ れで は音の 高 さ に違 い がある‐ パ ルス 列 の ピ ーク の 違 い で,. 前者は. 「 ) とD (ハ 長調 「ミ ) の 差 188‐ Hz と438Hz 」 2 . こ れは 平均 律 音 階G2 (ハ 長調 ソ」 , 後 者 は156Hz と344Hz. に対応する関係にある‐ しかしこれを直接, 採譜へと自動化させることには無理がある. あくまでもパルス 列 の パ ター ンで あ り, こ の パ ルス 列 の ピーク や パ ワ ー の パ タ ー ンをメ モリ ー でき た と しても 人間の 手 による. 対話的な修正が必要である‐ フ レー ズ ごと の 鳥蹴 図, パ ルス 列 パ タ ー ン だけ でも, つ ぎの よう な特 徴 を引 き 出 しう る. 第 1 フ レー ズ (図 中, a) : 出 だ しはす こ し緊張 して いる がゆ っ たり した感 じ‐ 第2 フ レー ズ と 第3 フ レー ズ (図 中, b とc) : 両 者 と も ほ ぼ同 じパ ルスダリパ ター ンの 展 開. 問 答 形 式 の. 対句としての構成に理由がある. 第4フレーズ (図中, d) :全体的に平坦な流れで, 最後の/TTARA/の抑制した波形に次の句への 期待を読みとれる. 第5, 6 フ レー ズ (図中, e とf) : エ ネ ル ギー の も っ とも 集 中 した曲 全そ零の 山 場=前 半 部. e) の 後 半. 及 びf) は全体的に引き延ばされ, /TSU--/の節まわし, メリスマ部でのパルス列振幅に終止への準 備を感じる. d. スペク トル採譜図の有効性:パルス列とパワーによる音高リズムの連続表記 通常の鳥廠図では周波数成分の座標が水平で, 音の高低を採譜する にはどうも不便である‐ 左右座標を高 低座標に変換しなければならない‐ そこで採用 したのが既述したスペクトル採譜図, 周波数座標を立てる方 法, Fi 5度右にスライ ドさせた‐ g 5の方式である‐ 鳥廠図を立たせ傾斜, 基線およびパワー値を垂直から約1 下段には歌詞を表示させ, スペクトル採譜図と対置, パ ルス列及び音の高低, パワーを一目で了解できるよ うにした‐ 一つの音符による線的な音高表示ではないが, 音声スペクトルの包絡図としてその音を構成する 周波数成分が一目できるのである. IKHz までの周波数成分で平均律音階とも対応 しやすい点, 音高リ ズ ムとして把握しやすいと言えるだろう‐ 上段にはパワーの大きい ピーク周波数を参考に対話的に音符をプロ ッ ト した‐ ま たこ と ばのリ ズ ム と対比 させる た め, 実 際の高 低リ ズ ム を歌詞 の 上下 に実 線 で付 記 した‐ 以 下,. ス ペクトル採譜図の有効性についていくつか検討したい. 1), テ トラ コ ル ド: ひろ く 歌 わ れ親 しま れる ため に は そ れな り の 必 然 性 があ る‐ 日 本 のリ ズ ム と して 我々 に な じん だ音 階. 「ひら い た ひらい た」 の 場 合, 二 つ の 音 階. い ず れも 完 全 4 度 離 れ た 音 によ る テ トラ. コル ドの音階‐ 一つはミとラの枠で, そのなかに中間音ソが位置する民謡の音階‐ 中間音が下の核音と短3 度, 上 の核 音 と 長 2度 の 関係‐ こ れを民 謡 の テ ト ラ コ ル ドという‐ もう 一 つ はラ と しの枠 に 中 間音 シ が存 在. する律の音階‐ 中国から伝わっ たとされ中間音が下の核音と長2度, 上の核音と短3度の関係にある. 律の テ トラ コ ル ドと 呼 ばれる. ま ん 中の 核 音 ラ が共通 で, こ れ を軸 に二 つ の 音 階 がコ ン ジ ャ ンク ト し, そ れ ぞ れ. まん中の核音ラに引き寄せられるという構造‐ み ごとな関係. この構造がゆったりと安定した感じを与える わ け で あ る‐ 平 均 律 音 階 で い え ば そ れ ぞ れ の 核 音 の 基 本 周 波 数 は, 164‐8Hz と329‐6Hz (E2 E3) , , 220.OHz と440Hz (A2 , A3), 293‐6Hz と587‐2Hz (D3 , D4) と いう こ と に なる. 本 デー タ で い え ば, 87.
(9) . ). ノ. ′. d). 貼 ェ TA L. 懸ェ TA \. ! - 1 1. b). J三豊. 1 1・ トゼ ト ! - r l′ 1j l・ 人 ′′ 夢 4 ′ !】 7 ! ザ ‐ ▽ 」′ ‘. HI. ーL g ト 、 1′ 1) 1ー ′ 伊 4 w. 謬. 且巴 m RA. e). I. 篤mo 懸. 旧 懸. T SU. ′. 1 1 ゑ 感 r i盛 4亀1 1 r 戸, rr -ー }r 」1 ″ 、 , ー ー レ; レ レ メ rii ・. “. f). B0. 「 f 1 t」 1 御 V 1 ′ 1 ノ. \. 1 4 ず. 聾. \ -. [. { 納 Hェ A 一叫N = 三. l 1 4 -. c). N. i 1 - -. DA. l 1 - i. (出発動機, 連続動機, 段落動機及びメリスマな ど, T .K .m .13 yrs old). i 」 御. J A i. 細N艦N OHA/継 磁 』J囲ま TA \. l璽 II I -1 l ii. 7 LT 1、 1、 h l l、 k ) [ 1、 ハ n l・ N ト‘1 1・ L7 k i ハ L Z 、・ ) -′ ヘ ト\ 」′ - ′-′I L上」11 1・ ・ ÷ 」′1 1′ 11 1・ ト」 シ A tノ ー 1′ -ノ ー) 」′-′ ′ - ′ 伊 ザ 『 1″ 謬・β′ = ′ ″ - , y W 4 - 謬 ″ ″ ″ I夢 謬 ″ 1、 ′ - 曜 冊 r ー l 一′ ‘ -′. F i g 5. 「ひらいたひいた」 歌唱時のスペク トル採譜図にみること ばのリズムと音高リ ズムの諸相. T0. ー ー 、 、 i 人 ー ・[ \ ! 、 に , 、 - 「、 \ ー′ -丁-7 1) ー}- -ノ ト‘ L II‘、 4′1 ゑ r ′ ′ ′-′‐ J1r - -” 謬 一′ V ; 一 謬 ー 伊 一 謬 ー , - ー = ー ー ー 姐 伊 ず ; ′ - i - iiノ. a). H ェ. ! 1. 伊. HI 懸 1 TA .. 0 乙. △ ‐. 激 薯 対 米.
(10) . わらべうたに潜むもの (1). スペクトル包絡のパルス列 ピーク周波数がこれに該当し,一番下のパルス列周波数でいえ ばそれぞれ188Hz, ム な で 厳 密 に 平 均 律 音 階 の 数値 と 219Hz 28 , 1Hz で 対 応 して い る. 取 り 込 み サ ン プ ルタイ が 遅 い デー タ の. 対応していないが, 周波数間隔の割合では批判に耐え得る内容である. 2), パルスダリピーク周波数とそのパワー: 以下, 音階を規定する パルス列の基本周波数に対して低い 方 か ら第 1 パ ルス 列 ピー ク 周 波 数, 第 2 パ ルス 列 ピー ク周 波 数 と 命名 し, P P 1, P P 2 とい っ た 記号 を 使 い たい‐. 各パルス列の振幅がパワーである. 音の強弱を規定する主要な要素‐ 本データの最大振幅は第5 フ レー ズ 前 動 機 ・/ I T S U N O M A N I KA . ‐/ の/ M A/‐ パ ルス 列 周 波 数, P P 1 ・281Hz でパ ワ ー ・13,980 こ の パ ワ ー を デ シベ ル に 換 算 す る と83dB. 音 の 強 弱 の 差 は パ ワー 値 よ り も 対 数換 算 した デシ ベ ル 値 の 差 に. 対応するとされている‐ それゆえパルス列の振幅パワーをデシベル値で表現する‐ 以下, 本データにおける パワーの最小, 最大がo dB か ら83dB, 中庸 が40dB あ たり と 理解 して い た だ てよ い‐ 3), 導入句 (a) :. 4字句の配分が, 前動機, /H 工/ : / R A 工 T A / = 1 : 3, 後 動 機, / H I. R A 工/ :/ T A/ ; 3 : 1‐こ れ に対 し時 間配分 はそ れ ぞ れ1015 msec:994 msec,1030 msec:975 msec(た. だし休符時間含む) . 同じことばの反復の構造が左右対称で, これ自体で安定したまとまり感をかもしだす. 前 動 機, / H I R A 工/ は, P P 1 ・219 Hz とP P 2 ・469Hz , こ れ ら パ ルス 列 を引 き 延 ば した ち ょ っ と 緊 張 したう た い だ し‐ / T A / は, P P 1 ・188 Hz, P P 2 ・406Hz へ と パ ルス 列 を 下 げ, 連 続 感 を も た. せている‐ 後動機の/H 工 R A / は/ R A / で パ ルス 列 のス ペ ク トル密 度 を 強 め (P P 2 ・438Hz で パ ワ ー ・65dB, / H I / の パ ワ ー ・58dB に比 べ 振 幅 11 , 0%), / 工/ でパ ルス 列 周 波 数 を P P 2 ・406Hz へ. と下 げ, かつ/ T A/ で 下の 核 音ミ (P P 1 ・156Hz ) で 終 わり, 段 落感 を 強 め て いる‐ , PP 2 ・344Hz. 4), 前の段, 前の句 (b) :. ‐NO/でパルス列周波数 なだらかな山型の旋律‐ /NANNO/の/N. を P P 2 .438Hz か ら406Hz へ と 下 げ, そ の 後/ H A/ / N A G A/ で, P P I で219Hz か ら250HZ, P P 2 で469Hz か ら500Hz へ 上 向‐ かつ パ ルス 列 ス ペク トル 密 度 を わ ず か に強 め, 連 続 感 を も た せ て いる. / N A G A/ の パ ルス 列 周 波 数, P P 2 ・500H zはほぼ中間音シ (B3) に相当する‐ この緊張感は/H工 ), 解 放 感 を 与 える と と も に, / T A/ で 下 の 核 音 ミ に相 //RA工/で下降 (PP 2 で469Hz か ら406Hz. 当するPP 2 ・344Hz で 終 わ っ て いる. 5), 前の段, 後の句 (C) :. 歌詞のうえからも前の句と対句‐ /NANNO/の間に対して/REN. GE N O/ で 答え て いる. た だ し, / N A/ / N N O/ が下 がる の に対 して, / R E N GEN O/ と 平 板‐ い ず れ も P P 1 ・219 Hz や P P 2 ・469Hz 前 後 の パ ルス 列 周 波 数を 基 本 と す る‐ た だ し, / R E / と / G E / で パ ルス 列 のス ペ ク ト ル 密 度 が強 く, 明 確 な 返 答 と な っ て いる. パ ルス 列 周 波 数, P P 2 ・469 Hz の パ ワ ー は/ R E/ が73dB, / G E / が71dB ‐ こ れ は/ N/ や/ N O/ の 背 景 と な る パ ワ ー48dB 前 後 と 比 べ て約150%‐. 後動機も前の句の後動機と同じ‐ /RA工/でパルス列周波数PP 2 ・500Hz か ら406Hz へ と 下 降‐ か つ/ 工/ でP P 2 ・406Hz の パ ワ ー ・76dB‐前 の フ レー ズ の 同 じ/ 工/ も 振 幅 が大き い が(パ ワ ー .72dB), さ ら に 強 め 段 落 へ と 向 か っ た. / T A/ は 下 の 核 音 ミ に相 当 (P P 1 ・188Hz , P P 2 ・344 Hz)‐ パ ワ ー は弱く, 52dB 前 後. 返 答 の段 落 と してき わ め てゆ っ た り した 自然 な 感 じで ある‐. 6), 後の段, 前の句 (d) : 前動機, /H 工 RA工/が核音ラ, /TATO/が中間音ソ‐ 同じく後 動機も/0/が核音ラ, /MOTTARA/が中間音ソ. PP 2 で い え ば438Hz か ら469Hz の パ ルス 列 周 波 数 と375Hz か ら406Hz の パ ルス 列 周 波 数‐ 核 音 ラ (A3) が440Hz , 中 間 音 ソ (G3) が392Hz だか ら そ. れなりの対応周波数といえよう. 全体が平坦な流れで, 後動機後半の/TARA/を引き延ばして ( 540 ), 次 の フ レー ズ へ と 続 く. こ れ にあ た り そ の 前 の/ ○ M O/ で は, / M O T T/ と ツ マ ッ テ しま い, mse c 89.
(11) . 藤 井 力. 夫. 16分 休符 が 入る‐ こ れは, 町田 たち の採 譜 した楽 譜 (Fi g ‐ 1) に はな い歌 い 方 で, そ の後 どう なる の か, 次 へ の期 待感 をい っ そう 強 め た いえ よう.. 7), 後の段, 後の句 (e, f) :. 前の句 (d) に対する対句‐ 前動機, /工TSUNOMANIKA / は, この 曲の な かでも っ とも エネ ル ギー の 集 中 したと ころ‐ 山型の旋律‐ /ITSUNO/及び/N工 K A / の パ ルス 列 周 波 数 は P P 1・250Hz, P P 2 ・500Hz 前 後. パ ワ ー は P P I で74dB か ら80dB 平 均 , = 約76dB‐ 前 の フ レー ズ (d) の 平 均 パ ワ ー が64dB だか ら, 120% 以 上 の エ ネ ル ギー であ る‐ / M A/は. さ ら に強 い. パ ルス 列 周 波 数 は P P 1 ・313Hz,. P P 2 ・5 94Hz . ほ ぼ上 の 核 音 し (D4) に相 当‐ P P I. の 振 幅 は83dB. / M A/ はこ の 曲のな かでも最 大 の エ ネ ル ギー で歌 わ れた.. 後動機は谷型の旋律‐ 前動機が同じ時間軸でのス ペクトル密度, 即ちパ ルス列の振幅パワー による緊張感 の盛り上げとすれば, 通常の振幅でよい後動機は時間軸を引き延 ばす形でバランスをつくり, 解放感をかも しだ して いる. 前動機の1 87 5msec に対 し, 後 動 機, 5432msec ‐ 1 :2.9の 割 合‐ 1 小 節 分 の こ と ばが3 小 節 の約 3 倍 に引 き 延 ばさ れた と いう こ と になる. こ の持 続 を成 り立 たせ て いる の が/ TS U - -/ のメ ス マ. 部‐ 1 音 節/ TS U/ (P P 1 ・219Hz,. P P 2 ・469Hz ) を多 音 符 で節 をつ け. , メ リ ス マ 部/ -/ で はパ. ルス 列 周 波 数 をP P 1 ・250Hz, P P 2 ・531Hz に 上 げて いる. こ れ は上 の 中 間 音 シ (とく に B2) に相 当 す る‐ ス ペ ク タ ル 密 度 も P P I の パ ワ ー が78dB で, こ れ は そ の 前 の/ T S U/ (P P I パ ワ ー ・68dB). に対し約115%である. その後/BO//N/ともにパルス列周波数をPP1・188Hz,. P P 2 ・406Hz に. 下 げ, / D A / で 再 びパ ルス 列 周 波 数 を P P 1 ・219Hz , P P 2 ・438Hz に上 げ, 終 わ る‐ こ れは 下 の 中. 間音ソ (G3) と核音ラ (A3) に相当する‐ 終止へと向かう自然な気持ちがそうさせるのであるが, み ご と と いう ほか な い.. e. フレー ズごとの呼気の持続, 呼気量と吸気量 歌唱は呼気の連続的な持続による. 呼吸流量の測定には熱線流量計 (ミナト医科学, RF‐L ) を用いた. 気流抵抗, lcmH20/ 8 /sec, 測 定 範 囲17ml~3300ml/sec c 以 下. マス ク は通 常 の , 応 答速 度, 1omse ゴム 製マス ク よ り 違和 感 なく 顎 の動 き のよ り 自 由な シリ コ ン製の ル ドル フマス ク (ミ ナ ト医科 学 AMA284 ) ,. を使用した‐ Fi 76mL 最 後 の フ g 6 は, 歌唱 時の フ レー ズ ごと の 呼気 量, 吸 気 量. フ レー ズ ごと 呼気 量 は367ml か ら1. レ ー ズ を 別 に す れ ば 平 均 で333‐8 m1 と い う こ と に な る. こ れ に 対 し吸 気 量 は482 ml か, ら223ml . 平均で. 356 ‐4mL 呼気量より少し多い. 本児は身長, 体重とも13歳として中庸だが, 肺活量は平均より少しよく13 歳男子平均21ooml に対 して2400ml程 度 で あ っ た. 安 静 時 換 気 量 は240mlか ら350ml前 後 で, 平 均 に して 300m l程度と考えられる. それゆえ歌唱時呼気量の平均・333mlは安静時換気量の約1 15%程度で, 肺活量. の約14%に相当する‐ あそびながら歌うことあるいはあそびのなかの対話的歌唱といっ た側面を考えれば順 当 な と ころ だ ろう.. 各フレーズごとの呼気持続時間と吸気時間の時間比は順に, 32 85msec:525 msec,. 3252 msec:550 msec ,. 3387 msec:5601 nsec ‐ 8 分音 符 を 1 と す れ ばこの 比 は そ れ ぞ れつ ぎの よう になる. 6 ‐9:1‐1 , , 6‐85:1‐15 6‐81:1‐19 ‐ ほ ぼ7: 1の割 合‐ 音 符比 か らい え ば吸気 時 間 がわ ず か に多 い. 実 際 の 呼吸 位相 なの であろう‐. 次項で肺活量のなかでの呼気残気量の観点から考察したい‐ ここでは呼気量による歌唱の調節についてつぎ の 2点 を指 摘 して お き た い‐. ①. 呼気時間による調節‐ 同じ/H 工 RAITA/の/H工/でも第一フレー ズ 前動機の/HI/は. 123‐3 m, 後動 機 の そ れは52‐6ml ‐. ② 90. 呼気段落による調節. このうたのなかでもでもっ ともエネルギーの集中した/ITSUNOMAN工.
(12) . わらべうたに潜むもの (1). K A/ は, 呼気 量 そ の も の は多く な い. /. [ K I I ] 0. 2 0 0. 400. 600m l. 工 / =33ml , / T S U / =12 m, / N O / =20 m, / N 工 / =35 m, / K A/ = 12ml . た だ し, 呼 気 段 落 が / 工 / と / T. H I. RロI. Tロ. S U/, / NO/ と/ MA/, / N I/と. HI R f iI T F I. /KA/の間に観察される‐ 連続して発声 する過程での呼気の切れ目‐ 大きくはない が ごく わず か しっ かり 入 れている (約64~. N NO. RA. HR. NRG R HI R R. TA. ). は ね た り, つ め た り した 発 音 160ms c e で はなく, 明 断な 発音, あ る パ ルス 列 にエ. ネルギーを集中しよう とした結 果であろ 軽 NGE N I HR 闇 G R H I RRI TR. つ-. . 呼気残気量曲線にみる休符時の機能と. f HI. 役割. R f iI T I I TO O 鴨 T TRRA. 歌唱 時 どのよう に肺 の な か に空気 が残 っ て い る か‐ Fig 7 は ,. 歌唱時の呼気と吸気の流れである‐ 各フレ ー ズ ごと 呼気相 にa) か ら f) の記号を付. IT S U川 船 間 難 T剥. B O. N. 呼気残気量からみた. →. 呼. 気. →. 吸. 気. 記した‐ 歌唱時の呼気と吸気の関係がリア ル に表 現 さ れて い て と て も 興 味深 い‐. Df l. ま ず, 肺 活 量 と して 換 気 で き る す べ て を 吐き 出さ な い. 呼気 の過 程 で小 さく なろう. 0. 6 00 m m. 400. 2 00. の力 の平 衡 な 状態 の と ころ があ り, 自然 に. F ig 6. フレー ズごとの呼気量と吸気量 (T‐K‐m.13 yrs o ) ld [WA RKII]. 吸気へと戻る点がある‐ 個人差はあるがそ の時の残気量は肺活量の40%あたりとさ. VitaI Capacity = 2 400 ml. 10 0発. とする肺と大きくなろうとする胸郭, 両者. れ, 40% 肺 活量 と いう. 呼気 できる 残気量. を機能的予備呼気量という. これを基準に 日常会話は50%肺活量から40%肺活量前後. 80. の呼気でなさ れ, 大きな声の話 し方では. 6 0. /. 40. 70% か ら35% の 肺 活 量, オ ペ ラ 歌 手 で は. v. 95% か ら5 %肺活量の間でなされていると い う.. 2 0. ) a. b ). d ). ) c. f ). ) e. 本事例の場合, 呼気量の平均が肺活量の 14%. そ れゆ え各 フ レー ズ ごと の歌 い は じ. 0 O. 10. 20. F ig 7 歌唱時の呼気残気量曲線 (%肺活量) (T.K‐m.13 yrso l d). S肥. め は55% 肺 活量 あ たり で, そ こ か ら40%ま. で吐いて吸気に移ると考えられる‐ 余裕を も っ て歌う べく 吸気 を 充分 と ろう と する‐ そう する こ と によ っ て 弾 性復 元力 による 目 91.
(13) . 藤. 井 力. 夫. 然な呼気が可能となる. 次のフレーズへの想いが強いほどそうである‐ 歌いはじめの時の%肺活量は徐々に 上 昇, と く に第 4 フ レー ズ の 歌い は じめ (d) がそう で, / H I R A 工T A TO/ / ○M O T TA R A/ を 歌う ため に予 知 的 に たく さ ん吸 気 し ( 483ml), 63% 肺 活 量 あ た り か ら歌 い は じめ て いる‐ そ の 分, 呼気 に. 余裕があるわけで音の高さや強さに変化をつけやすいと言えよう. さりとてオペラ歌唱のように90%以上も 吸気する必要はなく, わらべうたとしての歌唱が要求するきわめて合理的な吸気で, d) , e), f) とうた の 山 場 に向 か っ て いる の である‐. 吸気のポイントは肺容量を瞬時にどれだけ拡大するか だから, 横隔膜の使い方にある‐ 横隔膜は吸気筋で 呼気時は弛緩している. 横隔膜を下げることにより一気 に肺に空気が入る‐ 腹式呼吸が有利とされるゆえん であ る‐ 第2 フ レー ズ につ い て 言え ば, 呼気106ml/sec に対 して吸 気798ml/se c . 呼気 の そ れ に比 し約 8倍.. 吸気のほうが流速が速い‐ いわ ば無条件 に吸気されるのである. それゆえ吸気運動それ自体をあまり意識する必要はなく, 吸気時間は次への準備として, 期待や想いを込 めて必要な量だけ吸気している. うたの予備庫から引き出す分だけ吸気している. そういえ ばよいであろう か‐ ま さ に次へ の 間 と して対 話 的 に機 能 して いる の であ る‐. g. 呼気流率にみるス トレス=アクセントと音圧リ ズム 日 本の 歌, わ らべう た は強弱リ ズ ム で はなく, 高 低リ ズ ム だとさ れる. そ の 理 由 は わ らべう た がこ と ばの i リ ズ ム にそ っ て歌う か ら で あ る. は た して そう で あ ろう か‐ F g 8 を み て い た だき たい. 各 フ レー ズ ごと 呼. i 気流率, 音圧及び日本語としてのアクセントを一覧できるように図示した. 縦線は各音節の呼気流率‐ F g 6の各呼気量を1秒当たりに換算し, 呼気流率として表現した‐ この呼気流率と音の強さとは対数的直線関 係にあるとされている‐ 太線の囲みはマイクロフォンからの電圧変化で各音節の平均値‐ この方が音圧変化 を識別 しや い の で, デシ ベ ル には 換算 して いな い‐ 下段 に は 日 本語 (標 準 語) と して のアク セ ン トを付 記 し. た‐ 横線は高く発音する部分. 横線に続き小さい縦線が記されている箇所はその次の発音が下がる部分. 二 つの種類のアクセント部を図示した‐ 上段の黒楕円は心拍動のR‐R間隔. 歌唱時の平均値542 msec を基 本 (破線) としてRーR間隔が短くなれば下に, 長くゆっ たりした間隔は上にプロッ トした‐ これは次項で 説明する‐ 日 本のう た が高 低リ ズ ム だとさ れる 理 由 は, 4 分の 2 拍 子 だ か らと い っ て, 西 洋 のよう に強 弱 だと は 限ら な い ところ にある‐ 即 ち, / H 工/ (強) / R A/ (弱) と はな らな い. 図 にみる よう に, こ と ばのス ト レ ス(呼気流率) と して は, / H I/ =121ml/sec, / R A/ =131ml/sec と, 弱 ・ 強 と いう 関係 が活 かさ れ, かつ 次 の 発 音/ 1/ が82ml/s e c と 弱く な り, 日 本語 の アク セ ン ト構 造 にそ っ た 歌 い 方 にな っ て いる. 第 2 ), ), / N/ ( 11lml/s 138ml/se フ レー ズ の/ N A N N O/ につ い て も, / N A/ にアク セ ン トがあ り ( c e c ) で 下 がる 構 造 と な っ て い る. / H A N A G A / につ い て い え ば, 呼 気 流 率 で は/ /NO/ ( 112ml/sec ) の 方 が流 量 が多 い けれ ども, ), / GA/ ( 126ml/se 127ml/s N A/ ( 107ml/sec) よ り も/ H A/ ( c ec 音圧 と して み れ ば/ N A/ にアク セ ン トがあ り/ GA/ で下 が っ た歌 い 方 と な っ ている. 日 本語 の こ と ばと して ごく 自 然 な歌 い 方 と い っ て よ い であ ろう‐ 9l ml 第 3 フ レー ズ, / R E N G E N O / につ い て は どう で あ ろ う か‐ アク セ ン ト構 造 にそ っ て/ N/ ( ) と 徐々 に 強く な っ て いる. 同 じく 第5 フ レー ズ ), / N O/ ( 113ml/se 10lml/se ), / G E / ( /s c c ec ), / N O/ ( 74 ), / T SU/ ( 73ml/s 66ml/s 前 動 機/ I T S U N O/ / MA N I K A/ もノ エ/ ( e c ec ), / M A/ に ピ ー ク が 93ml/s ), / K A / ( 60ml/s ), / N 工/ ( ), / M A / ( 9oml/se e c e c c ml/s e c. あり/N工/で下がっている. 呼気流率と してはそんなに強くはないけれども, 特定の周波数にエネルギー を集中した調音で明断な発音ということができる.ス ペクトル採譜図のパルス列の振幅, とくに/MA/(上 92.
(14) . . わらべうたに潜むもの (1). の 核 音 し) の パ ル ス 列 に エ ネ ル ギ ー を 集. [ K I I ] 0. 1. .. 1醐. 1. 1. .. 3醐. 2醐 1. 1. -. 1. 膿沈. 4醐. 1. 1. 1. ー- - --一 - --- - - 一 二--- -. 霊蹴. ] =. m i l l ” 皿 m m = m m m u m皿皿皿1 1 皿. 「. HI. Rロ I. HI. TR. 「. RロI. 中 さ せ て い た の で あ っ た‐. h. 歌唱時におけるひ拍変動のゆらぎ. 養璽 甑島 素 易辛島富三餐 客. TR. で 心 拍 動,. 毎 分, 113 拍. (分 散 =. 二 .十 . 一二, , …▼ , , ▼ ” ” ▼ ” -- … … … -ル ー 二. - 一‐. 三. t 瀧B ) ム ぷ豊 富 警醒墓. 部 ヰ,幽 翠 - - m i n i -轡n ,ー HI I NR 6 f I. N NO. NR. H 1 RR I. TF I. たも の な の か がわ かる よう に した‐ 各 フ. ー- ---一 皿-- 一 皿 - - -- 囲 覗蹴. R 間 隔 は 短 く, 徐 々 に 長 く な り 連 続 感 を. 鰯. t ) (閥8. 溢 副- 』皿 - ・細日脚 脚鵬細 酬 帥 - RE N6E NO. 「. 「. HA NA6R. HI RRI. TA. も た せ る と き に は ピー ク を 示 し 終 止 へ ,. と向かうととも,再び短くな. 傾向を窺. う こ と が できる. 緊張, 開始, 連 続, 終. 止といったうたへの気持ちがみごとに心 - - - - ---- r - r- - - ------- g1 岡 山蹴 皿 ー ー …』 ー --==. ー ー ー ー …ー一皿. 蕃]. 0) 娠3. =. 「 H1‐RR I. 拍 動 に 影 響 し て い る の で あ る‐ フ レ ー ズ. 「 TR. TO. 0. r l O. 2 フ レー ズ は な だらか な 山 形の 旋 律‐ 第 3 フ レ ー ズ は 第 2 フ レ ー ズ と 対 句 山 形‐ ,. TTR RR. 第 4 フ レ ー ズ は, / H I R A I T A T O. - 一雪 -- 十一 . - . - .- - &. - 副蹴. 名著 饗. R ‐ Rmt. / I T s U N o M A N 工 KA/ が山形. u m一 皿u 鯨 岡 U圃 圃皿m - m m m m-- 1 1 - - - 1 m m I. 1 TSU NO 旧 NI KR. で, / T S U --/ / BO ND A/ と谷. TS U. 形を経て終止へと向かう旋律‐ 心拍変動 の ゆ ら ぎ に み ご と に 反 映 し て い る.. 7 十 5. な ぜ こう した 現象 が起 きる のか 一 般 .. ‐7 5. 囲. 鰯 R ‐R mt. 朔 蹴. に吸気時 にR‐R 間隔 が減少 し 呼気 時 ,. H m i l 量 I H H H l I i m 船脚- 蕃 --I , m m BO 1 o. -. - r l醐. N -. ズム 駆動 の間隔変動 で , 呼吸性不 整 脈と. DR - 2醐. 丁緊漉そ 膨三. -. - 3醐. ,. ー 4醐. 「÷「 鵬鋳. 呼 ば れ る. 副 交 感 神 経 , とく に遠心路 に よりリ ズム 駆動 の調節 で露呈させる とい う (福 山 武 彦, 1988)‐ そ の た め 検 査 と. F ig 8. フ レー ズごとのス トレス (呼気流率) と音圧, 及 び 心 拍 変 動 の ゅ ら ぎ に つ い て (T.K.m.13 yrs o ) l d. し て は, 毎 分 6 回 のo‐IHZ 呼 吸 が利 用 さ れる‐ 即ち, 5 秒 間 吐き つ づ け次 の5 秒 間 吸 い つ づ け る 呼 吸 で あ る. こ れ に よ 93.
(15) . 藤 井 力. 夫. 1皿. HI. 左前腿骨筋 ’ ′ ・▲ I T、 ず. ・‘: 右前膝骨筋 ー. 11Tr 甲 L山鐘. 。レート フォース ーフ. 字 「 ▼’ ≦ 111,1』. . ’* T. r ; L 1. 」 濁. 序rー. す. し ム. ▼ , ▼ ずー - ・.. r l層” ’▼. 二~V)〉しV〕 y 》 へ 、ノ. 0 .仰. 1 0 0 .. 2 ‐節. 3 0 0 .. I I 工 TA AG A HIR R EN年 N OHA N. AG A H工 R AI TA O HA N NA NN. R A工 TA H工 R AI TA. 4 ‐仰. ・ ” 二 ず ?「 二ご 二. v へ ′- ′“- ハ、 r\ (. ′. 6 0 0 .. 5 .仰. ヤ. I. 7 0 0 ‐. 、ノ. 8 0 0 .. 可『r 「了 . ▲ - -. ” ’ ▼那 ÷. こ ごー ,. J ノみ L′^. 9 0 0 ‐. 」ハ. 0 1 0 1 ‐. 1 0 0 0 ‐. 1皿. H工 R AI T A. 左前腔骨筋 右前腰骨筋 。し一ト フオース‐フ. 昭 二て. 「1 1. W. O 櫛. 宜A R A. OH A 順K A TSU N 工 藤U. ・ r▼’ 『 【I r「, 二 : .▲ :.: .: こ : , 『 ・・‐. Tr ず・. .. T声汁. … -. BO. 1 2 0 0 ‐. 、ヘ ノ. ′ 、′. 、ノ{. テ子 デ. 1 4 0 .0. 5 0 0 1 .. 6 0 0 1 ‐. 7 0 0 1 ‐. 1 8 0 0 .. 二0 9 0 1. r▼ 『. ‘ .‘ (、 〆州「Yノ~へJ′. ▼. 1 3 0 0 ‐. DA. ▲ . ・ . ‘1か・ . n ▼● す‘ r. ご :.・・ .二. へハへ 亀ん~ M ゾ み人人 州” ノ. N. 2 0 0 .0. .. ~~. 2 0 0 1 ‐. ▼. ▲ ’+・ r. 、ノ. 0 0 2 2 ‐. 2 3 0 O ‐. ld) 3 yrs o Fig 9. 「ひらいたひらいた」 歌唱時の音高リ ズムと動作のリ ズム ( T .K .m .1. り最大の心拍変動, 不整脈が誘発されるのである. それゆえ歌唱は少なくともこの場合でも3. 5秒 吐きつ づ け, そ して 一気 に 吸気する. この連続である‐ これでは心拍変動が起きて当然である‐ 心拍変動のゆらぎ のなかで, 歌への気持ちを素直に表現し, 心拍変動がまた歌唱のリ ズムに影響を与えている. そんな関係に ある と考 え てよ い であ ろう‐. i. 歌唱のリズムと動作のリズム 最後に動作 との関係について考察したい. 「ひらいたひらいた」 は輪遊びで, 数人の子どもが手をつない で 円 陣 をつ く り, 歌 に 合わせ てつ な い だ手 を前 後 に振り な が ら, ひろ が っ たり 狭ま っ たり して遊 ぶ‐ 手 をつ. ないで横に歩く場合もある‐ 横に歩く場合は別 だが歩行の動作と歌の拍とよく一致している. ことばもわか りやすいので歌いながら動作する ことは, 歌曲のもっている秩序をからだで表現することになり, 音楽の秩 序を直観的に体験できるう たである. i 実験ではフォースプレート上をその場歩きしながらうたっ てもらっ た. F g9は左右の前腔骨筋表面電極 からの筋電図とフォースプレート上での荷重変化‐ 両足接床時に荷重が最大となる周期波形‐ その場歩きな ので, 右足接床より左足接床時のほうが衝撃が大きい波形となっている. 前腔骨筋は左右それぞれ着床準備 期から栂蹴球部接床あたりまでの放電である‐ その場歩きなのであまり明確ではない‐ こ の デー タ は, 左 足 か ら歩 き 始め てい る‐ 偶 然 な の で あ ろう か. そう では な い‐ そ れなり の必 然 性 があ っ. てのことである. 歌いはじめ, 吸気から呼気への移行にあわせてどちらかの足を踏み出していく‐ 本児は左 足から足踏みしている‐ とく に注意したわけではないが, 左足で踏み出している. どうもこれが自然なよう である. /HI/ (左) . しかも各フレーズの歌いはじめ , /TA/ (右) , /RA工/ (左) , /-/ (右) すべて が左足の踏み出しと同期しているのである‐ 荷重のかかり具合からいっても, 支持脚としての左足を 94.
(16) . わらべうたに潜むもの (1). 先 に出 して歌 い は じめ ていく ほう が自 然な の だ と思 わ れる‐ 少 なく とも左 足 を軸 足 と してリ ズ ム を と っ て い る. そう み な して よ い であ ろう‐ た とえ ば, 最 後 のメ リ ス マ 部 によ る 持 続 の と ころ でも左 足 を軸 足 と して調 子 を と っ て いる よう に思 え る の であ る. / T S U/ (左 - 右), / - -/ (左 - 右), / B O/ (左 - 右),. /N/ (左-右) , 休符 (一左)‐ うたいはじめと同時にみんなで歩くのだから同期で , /DA/ (左-右) きるなにかがあるはずである‐ 手振りを合図に歩き始めるとしても, 吸気が準備をつくっ ている. そして支 持脚としての左足をまず半歩踏み出す‐ 人間のリ ズムが左右の歩行を基本とするとききわめて合理的なこと と 思わ れる.. V, まとめ 1) 音素波形は聴覚信号そのもので, 子音と母音の関係等を理解するには適している‐ しかし, どのよう な周波数成分からなる音声なのかは了解できない. 音の高さや強さの表示のためには音声スペクトルとして の加工が有効である. 2) 音声波形, 呼吸, 呼気流速, 心電, 筋電, 動作反応のリ ズム, これらのポリグラフ波形はそれぞれの 特徴及びリ ズム駆動の位相をよく反映している‐ 歌唱の場合, 呼気流速の波形, とく に休符時の吸気波形を 手がかりとしてフ レーズごとの各生体情報の特徴 及び位相を一覧できる‐ 3) ス ペ ク トル 分析 の 結 果 を ソノ グラ フ と して 「声 紋」 のよう に表 現する よ り は, パ ワ ー ス ペ ク トルと し. て鳥廠図的に表現した方が周波数成分及びパワーを把握しやすい‐ さらにフ ーズごとで区切った鳥廠図の 提示は, 曲全体の構造及び各フレーズの特徴の再現に適している‐ 4) 鳥 廠 図 を立 位 傾 斜さ せ た 表示 はス ペク トル採 譜 図 と して 有効 である‐ サ ン プリ ン グタイ ム500”s e c で, IKHz の 第 一 ホ ル マ ン トの 範 囲 だ が, 採 譜 と して 単 純 で, パ ルス 列 の 振 幅 か ら 音 高 リ ズ ム の パ タ ー ン を 読. み取りやすい. 平均律音階の周波数との厳密な対応 には困難があるが, 対話的な採譜としては十分に利用で きる. 5) 歌 唱 は フ レー ズ ごと の 呼 気 の 持 続 による‐ 本歌 唱 の場 合, フ レー ズ ごと の 呼気 量 の 平 均 は334mlで ,. 呼気量平均は356mlであった‐ 安静時残気量を基本とし ( 40%肺活量) 55一60% , その少し多めに吸気する ( 肺活量). 休符時における吸気は横隔膜の利用 による複式呼吸が効率的で, 次の歌唱への期待や準備を保障 して いる も の と 考 え ら れる.. 6) 各音節ごとの呼気流率 (1秒あたりの呼気量) の表示は, ことばのリ ズムを反映したわらべ歌には適 しているようである. 強弱リ ズムであれば各音節の音圧表示で充分であろうが, ことばのリズムがそのまま 歌となっ たわらべ歌のような場合には呼気流率としての表示が有効であると判断される‐ 7) さらに, 心拍変動のゆらぎを, R-R間隔の平均を基本としてゆっ たりした場合, 速くなっ た場合を 上下座標 にプロッ トするとみごとに歌唱の旋律と同期 した傾向を読みとることができる‐ 呼吸を媒介として 歌唱動作と′ じ ・拍動とが独立しつつも相互に引き込みあう関係にあるものと推測される‐ 8) 動作リズムと歌唱, とく に歌い始めにおける関係について‐ 歌い始める時なんらかの動作をともなう のが必然である‐ ここでは左足の役割が顕著であった‐ 各フレーズの歌い始めが右足の着床と同期していた. 両足立ちの場合, 左足を半歩出すのが自然で, 軸足としての役割を演じているのである‐ 以上, 解析方法の優位性が検討できたと思う‐ 今後さらに, 他の曲についての検討, 障害児の場合 動作 , のあ る な しの 違 い そ の他, 指 導 にあ た っ ての 基 本 問 題 を いく つ か検 討 して い き た い‐. 謝辞:本研究の一部は文部省科学研究費補助金 ( 02 ) によっている. 本研究に成果があるとすれば, 61010 3 95.
(17) . 藤. 井 力 夫. 被 験者 にな っ て い た だい た 人たち の協 力 による‐ 感 謝する しだい です.. 文. 献. 1) 町田嘉章, 浅野健二編 ( 6 2 ) :わらべうた-日本の伝承童謡, 岩波文庫 19 2) 小泉文夫 ( 19 58 ) :日本伝統音楽の研究 1, 民謡研究の方法と音階の基本構造, 音楽之友社 3) 藤田恵一編 ( 19 65 ) :入門期の音楽指導-子どもの遊びと音楽教育, 明治図書 4) 小泉文夫編 ( 19 69 ) :わらべうたの研究上巻・楽譜編, わらべうたの研究刊行会 5) 小泉文夫編 ( 19 ) :わらべうたの研究下巻・研究編, わらべうたの研究刊行会 69 6) 小泉文夫 ( 19 77 ) :音楽の根源にあるもの, 青土社 7) 小泉文夫 ( 19 77 ) :日本の音, 世界の中の日本音楽, 青土社 ) :おたまじゃくし無用論, 青土社 8) 小泉文夫 ( 19 80 9) 小泉文夫 ( 19 8 4 ) :日本伝統音楽の研究 n, リズム, 音楽之友社 19 10 ) 小泉文夫 ( 8 4 ) :小泉文夫フィール ドワーク, 人はなぜ歌をうたうか, 冬樹社 ) 小泉文夫 ( 1 986 ) :子どもの遊びとうた-わらべうたは生きている, 草思社 11 ) :歌唱における声の調節-声楽家についての実験的研究, 日本耳鼻咽喉, 7 ) 平野実, 宮原卓也, 宮城平他 ( 1 4:1184‐1201 12 9 71 :M i fs i i i l i i 19 l and Mechan I Aspe 13 ) Sears 77 ) :Some Neura t t ca c so ng ng ch us c andthe Bra n- y . Cr . A. , T. T‐( , M. , Henson ,R ,eds , St i l f Mus i i nthe Neuro ogy o ud esi c nemann .London . , He i i l f fSpe 198 3 ) i l l 1 9 78 ) :D尊t 1 4 ) Rabiner IProcess ng o ech S s t er e r s e e n c e‐Ha a gna y . New j .R .and scha . W.( . 鈴木久喜訳 ( ,L ,R ,Pr. :音声のディジタル信号処理 (上, 下) , コ ロ ナ社 ( 1 9 8 0 ) :B D F h i S 19 ) :呼吸, 発声, 歌唱. 西村書店 5 ) Proctor 87 i 1 l t n ech r e a e n ng e r‐Ve r a o ng g g . 原田康夫訳 ( , . . , pe ,and S . Wi ,Spr 声の制御 ) 鹿瀬肇 ( ) :発声の制御-ヒトを中心に, 平野実編 ( 1 982 ) :呼吸・味下・発 1 6 1982 , 篠原出版, 201‐230 i i i lapprox ima i hes i lp l i I Rev 2 ):Geometr 17 ) Shepard,R. N ( 19 8 t t t t ew.89:305…333 ca onst ot ruc ur eof mus ca ch og ca .Psycho. ) :ディジタル音声処理, 東海大学出版会 18 ) 古井貞庶 ( 1 985 9: ) :声の強さと平均呼気流率の対数直線関係-基本周波数一定の発声において, 音声言語医学 2 1 9 ) 垣田有紀, 宮腰玲子 ( 198 8 168‐173 ( ):52‐55 8 i 2 ) 福原武彦 ( 8 ) :呼吸調節と自律神経系の相関, C 0 19 8 i i I Neurosc 1 enc e n ca ,6. ‐1 3 4 ) 井口征士 ( 19 ) :音楽の記録一自動採譜による歌唱の楽譜化, 難波精一郎他編:音の科学, 朝倉書店 120 2 1 89 22 ) トラ ンス ナ シ ョ ナ ル. カ レッ ジ. オブ. レッ ク ス 縞 ( ) : フー リ エ の 冒 険, ヒ ッ ポ フ ァ ミリ ー クラ ブ 1989. 19 ) :呼吸と心拍の相関-スペクトル解析による臨床的観察, 自律神経 2 35 359 2 ) 片山宗一, 西田泉, 斉藤知司他 ( 89 3 11:6 ) :-歳児の歌唱様発声, 電子情報通信学会技術研究報告 SP9 0‐ 1 3‐70 199 1 4 ) 志村洋子, 市島民子, 山内逸郎 ( 2 とその応用 ) :高速フーリエ変換 25 ) 佐川雅彦, 貴家仁志 ( 19 93 , 昭晃堂 4‐2 1 5 ) :空気力学的にみた発声機序-声の強さの調節, 音声言語医学 36:1 199 2 6 ) 岩田重信, 竹内健二, 岩田義弘他 ( 38- 3 49 199 5 ) :空気力学的にみた発声機序-声の高さの調節, 音声言語医学 36:3 ) 岩田重信, 竹内健二, 岩田義弘他 ( 2 7. 96.
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