〈書評と紹介〉田畑久夫著「鳥居龍藏のみた日本--日本民族・文化の源流を求めて」
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(2) た頑固な生き方といえようか。. 第二章 大和におけるフィールドサ1ヴェイ. 第三章 信瀧におけるフィールドサ!ヴェイ. なって東京帝大の人類学教室と関係を持つようにな. ため守人類学雑誌﹄の購読者となった。それが機縁と. 第六章 沖縄におけるフィールドサ1ヴェイ. 第五章 武蔵野におけるフィールドサlヴェイ. 第四章. ﹁学歴﹂のない鳥居は、やがて独学で人類学を学ぶ. り、一八九四(明治一一七)年、標本整理係として就職. 第七章 北千島におけるフィールドサ!ヴェイ. 日向におけるフィールドサ1ヴェイ. をはたす。以来、飽くなき探求心守日本や東アジア各. プロローグ 第一章 日本列島を中心とした鳥居龍蔵のフィール ドサ1ヴヱイの特色. 国 最 初 の フ ィ ー ル ド ・ ワ1 カl﹂と烏居を評し、. 寸フィールドワーク﹂という語を用いている。両語は. ともに﹁野外調査﹂とか﹁現地調査﹂とかいった意味. あいの言葉だが、 一般的には﹁フィールドワーク﹂の. 320-. 第八章 朝鮮半島におけるフィールドサ1ヴェイ. ス. 地に足跡をしるし、膨大な調査記録と写真映像とを残. 論. エピローグ. 文. していった。かくして、本邦人類学の基礎を築いたの である。 本書は、鳥居龍蔵の膨大な調査の中から、地域を戦 前の日本に絞ってその業績の意義を検討し、評価しよ うとする書物である。同時に、日本民族のルl ツを求. 著. 目次からも明らかなように、本書における一貫した. 3. め、生涯にわたって日本を、そして東アジア各地を訪. 闘. キーワードは﹁フィールドサIヴェイ﹂である。とれ. よ び. ね歩いた烏居の足跡をたどろうとするものでもある。. 島 お. に対して、先行する研究書の中で中薗英助は、﹁わが. 日献 本. おもな目次は次のとおりである。. 長j 註.
(3) は次のように説明している。. ルドサlヴェイ﹂という語を使う理由について、著者. ほうがよく用いられている。しかし、あえて﹁フィー. い、いわば﹁烏の目﹂を持った鳥居の方法に揺るぎな. 地理学がとらわれがちな﹁虫の目﹂的な調査法ではな. 価する原点があろう。著者自身地理学の出であるが、. と呼ばれている調査方法であるといえる。乙の種の広. 囲をいわばジェネラルサ1ヴェイ(何百四包即日認可). 査は、その大半が広範囲にわたる地域であり、その範. が多い。しかし、鳥居龍蔵が圏内・外で行った野外調. 六七)においては、フィールドワークと総称するとと. ている地理学を筆頭とする﹁野外科学﹂(川喜四一九. おけるフィールドサ1ヴエイに基づく研究成果と比較. でのフィールドサlヴェイによる研究業績は、海外に. 指摘する。著者は、﹁しかしながら、鳥居龍蔵の圏内. ものがこれまで正当に評価されてこなかった点をまず. して、鳥居の日本におけるフィールドサlヴェイその. ヴェイの意義について論じられる。そしてその前提と. 第一章では、鳥居の日本におけるフィールドサ1. い価値を見出し、調査にあたってきた。. 範囲にわたるエクステンシィヴ FHZロ 包40)調査は、. すると、より無視され続けてきたように思われる﹂(三. ﹁野外において実施する調査を主要な分析手法とし. 一般にフィールドサlヴェイと呼ばれている調査方法. │四頁)と述べ、次のように指摘している。. 鳥居の日本におけるフィールドサ!ヴェイは、日本. の起源を解明しようとすれば、詳細なフィールドサl. 一一五九. つまり、フィールドワークは本来、インテンシィヴ. ヴェイを実施するととで日本列島周辺での調査・研究. L(. である。それ故本書では、烏居龍蔵の野外調査を フィールドサlヴェイと称するととにした. CESB40)に行われるべき調査であり、鳥居の広範. をかためることが重要であり、そのうえで東アジアと. ぞれ自体を目的とはしていない。日本民族および文化. な調査法からして、それと区別すべくフィールドサl. の闘連において日本そ論じる必要がある。両者は密接. 頁)と。. ヴェイの語を用いたのである。ととに著者の鳥居を評. 321-. 』. 田畑久夫著『鳥居龍臓のみた日本一一日本民族・文化の源流を求めて.
(4) する大きな契機になった。そして、日本列島とその関. 千島(第七章)と朝鮮半島(第八章)が含められてい. ところで、日本のおけるフィールドサlヴェイに北. 北千島、朝鮮半島での調査に多くの頁を割いている。. 連地域についての研究が、日本民族および文化の起源. る。とれは鳥居が調査を行った当時、両地域が日本領. に関連しているのであり、なかでも西南中国調査(一. に関する解明を行う端緒を拓いたというのである(三. だったというような単純な理由からではない。ぞれよ. 本書全体の約七割にあたる頁数であり、本書の中心を. 頁)。また、このように東アジアを怖睡する烏居の調. りもむしろ、との二つの地域を日本人の主要な起源地. 九O二│一九O三年)は、鳥居をして、わが国の民族. 査法(フィールドサ1ヴェイ)が、のちの代表的な日. と鳥居自身考えており、ことに重要な位置づけを与え. なす部分である。. 本文化論である照葉樹林文化論や、近年再び脚光を裕. ていた。これら一一地域が最終の二つの章に置かれてい. および文化の源流を彼地に求めようとする観点を導入. びている日本民族アイヌ起源論を誘引したと指摘し. で鳥居の日本研究を再検討し、再評価を試みたのであ. きた。そのため、著者は本書﹃鳥居龍載のみた日本﹄. し、そこでも日本列島についての研究は等閑視されて. 居研究で最も大きな反曹を呼んだ書物である。しか. 関する唯一の自叙伝的作品であるとともに、従来の鳥. 右に引用した中薗英助の﹃烏居龍蔵伝﹄は、鳥居に. 龍蔵のいう﹁固有日本人﹂)の石器時代が両立してい. が国の有史以前においては、アイヌと非アイヌ(鳥居. 民族が存在するということをつきとめた。つまり、わ. していたが、アイヌ以外にわが国の祖先と考えられる. 寸(鳥居は)当初アイヌが日本最古の民族であると推定. 始祖と考えていた。著者は次のように述べている、. この点、鳥居は当初、北方に住むアイヌが日本人の. るのも、ぞうした鳥居の考えの反映によろう。. る。本書ではそれを具体化するために、第二章から第. たとみなすようになった﹂つ=二頁)。乙こで鳥居の. て、乙の点を特に高く評価するのである(八頁)。. 八章までをあて、大和、信濃、日向、武蔵野、沖縄、. 3 2 2-.
(5) ではなく、﹁朝鮮半島﹂を最終の第八章に置いている. 紀の国津神がこれに該当している。本書で寸北千島﹂. 島に渡来してきた集団であり、弥生式士器を残し、記. いう﹁固有日本人﹂とは、朝鮮半島を経由して日本列. された註は、全部で五O頁近くにも及んでいる。そし. 充実しているととである。すなわち、各章ごとに整理. のうち、本書のもう一つの大きな特色は、註が非常に. 論文リスト(以下、論文リスト)からなっている。こ. 註、引用文献、年代別日本列島および関連地域著作・. 純なものではなく、著者の博学に基づく、文字通りの. のは、こうした鳥居の認識における発展の奇跡を反映 すなわち、結論的な位置づけをもっ第八章で、鳥居. 注記 (H長めの解説一文)になっている。やや大げさに. て、その一つひとつが単に文献的出所を示すような単. の次の文章が引用される。﹁固有日本人(鳥居のいう. 言えば、評者が学生時分に読んだ、マルクスの﹃資本. していよう。. 日本人の祖先│著者註)は最も古い時、石器時代の時. 論﹄を恩わせる本文と註の体裁である。. 究の究極目的は﹁日本の民族の源泉と文化の源涜﹂を. ように鳥居は日朝民族同源説をとっている。鳥居の研. H朝鮮半島であったろう﹂(二五二│二五三頁)。この. の現れといえよう。これだけ多くの文献・論文に当た. 居の著作とを明確に区別して表示していることも良心. いているが、実際に引用に使った文献と、その他の鳥. また、引用文献と論文リストにも多くのベ1ジを割. は怯. から畿内に集まって居った、その批の国はアジア大陸. 求めることにあったのであるが、それだけに、東アジ. り、厳密に引用と非引用とを分ける態度に研究者とし. 本書は前著﹃民族学者烏居龍蔵││アジア調査の. アにおける研究は日本における研究と一体的に評価さ 本書の構成は、右に述べたように、本論部分に当た. 軌跡││﹄とともに、中薗英助に代わる鳥居龍蔵研究. ての意識の卓抜を感じさせられるのである。. る第一章から第八章が頁数にして全体の約七割を占め. の新たなバイブルといえよう。. れるべきである、と著者は強く主張するのである。. ている。残りの約三割は、プロローグとエピローグ、. 323-. 』. 田畑久夫著『鳥居龍臓のみた日本一一日本民族・文化の源流を求めて.
(6) ( 二O O七年七月、古今書院刊。 A五判、三四二頁。. 三八OO円+税). (1) 田畑久夫﹃民族学者鳥居龍離││アジア調査 の軌跡││﹄古今書院、一九九七。. (2) 冒頭の表題にも示したとおり、本書中で著者は、 龍蔵の蔵の字に旧字体の﹁蔵﹂を使っている。 しかし、名前の旧字体を新字体で表記すること はしばしば行われていることであり、以下、小 評でもその慣例にのっとって、原則として新字 体で表記するとととする。. (3) 鳥居龍蔵﹃ある老学徒の手記﹄岩被文庫、二O 一=一年、コ一九頁。(初版本﹃ある老学徒の手記 ﹃││考古学とともに六十年││﹄朝日新聞社、 一九五三年). (4) 中薗英助﹃鳥居龍蔵伝││アジアを走破した人 類学者││﹄岩波書脂、一九九五年、四四二 頁 。. 324-. 注.
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