Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
東京歯科大学市川総合病院における周術期口腔機能管理
の取り組み
Author(s)
土屋, 佳織; 多比良, 祐子; 雨宮, 智美; 大屋, 朋子;
清住, 沙代; 髙柳, 奈見; 奥井, 沙織; 合原, 愛; 馬場,
里奈; 藤平, 弘子; 山本, 雄輔; 白井, 朋之; 布施, 佑
磨; 吉田, 佳史; 井桁, 薫子; 並木, 修司; 野澤, 亜也
子; 三條, 祐介; 酒井, 克彦; 山内, 智博; 片倉, 朗
Journal
歯科学報, 112(4): 547-547
URL
http://hdl.handle.net/10130/2880
Right
目的:口腔がん患者は高齢者であることが多く,複 数の基礎疾患を有する場合がある。そのため,治療 方針の決定や術後の経過観察に至るまで医科各科と の連携は必須である。東京歯科大学口腔がんセン ターは,平成18年4月1日に高度な医療連携を通し て集学的な口腔がん治療を目的として東京歯科大学 市川総合病院内に設置された。今回は,当センター の5年間における活動内容について報告する。 方法:平成18年4月から平成23年3月までの5年間 に当センターを受診した口腔がん患者は359例とし た。そのうち一次症例の204例について,①性別, ②年齢,③部位,④病理組織診断,⑤病期,⑥治療 法,⑦予後を検討した。また,平成23年10月より併 設した顎補綴外来担当患者についても検討した。 成績:一次症例204例の内訳は,男性が60.3%,女 性が39.7%であった。年齢は男性が60歳代,女性は 70歳代にピークがみられた。部位は舌が41.7%と最 も多く,次いで下顎歯肉,口底部,上顎歯肉,頬粘 膜の順で諸家の報告と概ね差違はなかった。病理組 織型は扁平上皮癌が93.6%と圧倒的に多く認められ た。病 期 は StageⅠ が14.7%,Ⅱ が33.5%,Ⅲ が 14.7%,Ⅳが34%であった。治療法は外科的治療が 83.2%で最も多くを占めていた。全体の生存率は 89.6%であった。 考察:当センターは口腔がんの治療を口腔外科医が 主となって院内各診療科,各職種と連携がスムーズ にとれる環境である東京歯科大学市川総合病院に設 立された。平成23年10月より顎補綴外来を設け,現 在までに顎補綴の必要な患者を中心に27例の治療を 行ってきた。口腔がんセンターでは,治療の術前の 診断,治療計画,患者の全人状態の把握に至るまで 関連する職種がチームで治療計画をたて,また術後 の機能回復に至るまで包括的な治療が可能となって いる。このような環境的な利便性,多職種との連携 をさらに活かし患者中心の医療を目指してゆきた い。 目的:平成24年4月の歯科診療報酬改定に伴い,周 術期における口腔機能の管理,チーム医療の推進を 目的として,周術期口腔機能管理が新設された。地 域がん拠点病院である東京歯科大学市川総合病院で は,以前より術後合併症の予防と早期退院を目的 に,周術期の口腔機能管理をチーム医療の一環とし て行ってきた。今回の診療報酬改定に伴い,院内全 体の取り組みを開始したので,取り組みにおける歯 科衛生士の活動を報告する。 方法:消化器がんおよび心臓血管外科の手術,各種 がんにより放射線療法,化学療法の施行を予定する 患者を対象とし,各疾患の治療スケジュールに合わ せた介入プロトコールを作成し,歯科治療と専門的 口腔清掃を施行した。これらの患者は治療方針が決 定した時点で歯科・口腔外科を受診し,口腔内のア セスメントおよび感染巣のスクリーニングを実施し た。必要に応じて歯科治療を行い感染巣の除去を行 うと同時に,歯科衛生士は口腔衛生指導や専門的口 腔清掃を実施し,口腔内環境を整備した。治療開始 後も外来ならびに病棟で専門的口腔清掃は継続し, 術後肺炎や口腔に起因する有害事象の予防に努め た。また,摂食・嚥下障害が生じた場合は,多職種 と連携して摂食機能療法を行い,口腔機能の向上を 図った。 成績および考察:周術期に口腔機能管理が必要な疾 患や治療法は様々であり,疾患ごとに専門性が求め られる。そこで,院内での取り組みを開始するにあ たり,疾患群に分けて歯科医師,歯科衛生士で担当 者を決め,介入を開始した。その結果,以前と比較 し,疾患群別に担当者を決めたことにより単に口腔 機能管理を行うのではなく,疾患や治療の特徴を十 分に理解し,疾患に合った円滑且つ密な介入が可能 となった。周術期に口腔機能管理を行うことによ り,術後合併症の予防が期待できることは院内でも 周知されているが,今後はさらに多職種への理解を 得ると共に,症例範囲を拡大し症例数を重ね,周術 期の口腔機能管理における歯科衛生士業務の充実を 目指す所存である。