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IRUCAA@TDC : 臨床歯科医のための法医学

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Academic year: 2021

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(1)

Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

臨床歯科医のための法医学

Author(s)

石川, 昂

Journal

歯科学報, 118(1): 4-6

URL

http://hdl.handle.net/10130/4449

Right

Description

(2)

―――― カラーアトラス ――――

臨床歯科医のための法医学

いし かわ のぼる

石 川

(3)

カ ラ ー ア ト ラ ス の 解 説

現在,科学的な個人識別方法にはいくつかの手法 があり,それぞれに利点欠点が存在する(図1)。そ の中でも歯の治療痕を含む歯科所見は,身元不明死 体の個人識別において極めて重要な評価項目になる (図2)。とりわけ臨床を専門に行う歯科医師は,自 身が治療した疑いのある身元不明死体が発見された 場合,その身元確認を依頼される可能性も少なから ず存在する。しかし,外来患者の口腔内所見の採取 とは異なり,死体からの採取はその死因により困難 を極めるケースが多くある。 本稿では,身元不明死体を取り扱うにあたっての 基礎的な知識や注意点に加え,いくつかの代表的な 死因(死体の状態)を例に挙げ,それぞれの特徴を法 医学的な観点から簡潔に記載する。臨床を専門にす る歯科医師にとって,いざという時の一助になれば 幸いである。 基礎的な法医学的知識 人は死後,血液循環や新陳代謝の停止によりさま ざまな変化が現れる。これを死体現象という。これ らの変化のうち,歯科医師が個人識別を行う上で最 も障害となるものは死後硬直である。死体に物理的 な外力等(火炎,死亡直前の激しい運動)が認められ ない場合,死後硬直は顎関節が最も早期に出現し2 ∼3時間で開口に抵抗を示す。これは約12∼15時間 で最高潮に達し,48時間程度で緩解に向かう。硬直 が最高潮の場合もコツをつかめば開口は可能だが, 過度な力を加えると歯の破折などを招くため注意が 必要である。またいかなる場合においても口角切開 などの遺体損傷を加える事は禁忌である。その他の 死体現象は,身元確認の障害になることは無く,白 骨化に伴い口腔内所見の採取は容易になる。 所見採取時と比較作業時の注意点 所見採取時は可能な限り単独での採取は避け,誤 記入防止のため複数の歯科医師で行う事が望まし い。困難な場合,熟練した歯科衛生士に協力を仰ぐ 事も有効な手段である。 記載用紙は国際的には1つに統一されているが, 国内においては複数存在する(図3)。用紙の種類に 係らず,国内で使用する単語および表記方法は日本 歯科医師会が発行する『警察歯科医会・身元確認マ ニュアル』に従って差し支えない(図4)。記載用紙 には必要最低限の情報のみを記入し余計な事は記入 しない。また,すべての項目を記入し空欄をなくす 事が重要である。疑わしい部分や採取が困難な場合 は断定あるいは空欄にはせず,「○○の可能性あり」 や「不詳」などの記載をする事が望ましい。 比較作業時は,歯科診療録の最終受診年月日と死 亡推定時刻との間にどれだけの時間差があるか確認 する必要がある。つまり最終受診日の翌日に死亡し た場合と比較すると,最終受診日の5年後に死亡し た場合とでは歯科記録と死亡時の口腔内状況の一致 点が減少している事を留意する必要がある。また, すべての歯に関して,一定の変遷過程をとっている かを確認する必要もある。これらに矛盾などが生じ る場合においても,記載ミス等の可能性を考慮する 必要があり,その都度,矛盾点の再確認を行う事が 最終判断の正確性に大きく影響する事になる。 死体の状態別による特徴 1.高度腐敗死体 高度に乾燥している場合は,所見採取・口腔内写 真撮影は極めて困難である。これは死後硬直とは無 関係である。また下顎骨を認めないケースもあるた め(動物損壊により),その際はその旨を用紙に記載 する。しかし記載方法により無歯顎と誤解を受ける 可能性があるため注意が必要である。 2.焼損死体 口腔内所見の採取が最も困難な死体であるが,最 も歯科医師への鑑定依頼が多い死体の一つである。 所見採取前に口腔内に残留する煤などを可能な限り 除去することが重要である。前歯部の歯冠は火炎に より脆くなっている場合もあるので過度な刷掃には 注意が必要である。高度な焼損の場合でも,比較的 臼歯部の損傷は少ない。部分死体であるケースも存 在するため慎重に所見の採取を行う。 3.水中死体 開口制限等は無く口腔内所見は比較的採取しやす いが,舌の膨隆が所見採取の障害になることもあ る。口腔内に残留する水分および泥・葉・枝等は, 所見採取前にガーゼ等で十分に拭き取ることが誤記 載の防止につながる。残存歯が脱落している場合も 多い為,その脱落が生前のものか死後のものかの見 極めが重要である。

(4)

臨床歯科医のための法医学

石 川

東京歯科大学組織・発生学講座 図1 個人識別方法の特性 図2 個人識別の流れ 図4 表記方法・用語 図3 デンタルチャート (上段:国際書式,下段:国内書式)

参照

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