ミツバ チ科 学21(2).69-74 HoneybeeScience(2000)
糸状菌病 に対す る ミツバチの防御
近年の免疫および遺伝学的な研究技術の発達 は比較免疫学や発生免疫学の分野の基礎に急激 な変化を もた らした.昆虫が微生物の感染,攻 響,寄生や捕食 に対 して精巧な防御手段を講 じ ているという考え方 は今では広 く受 け入れ られ ている(RinkevichandMdller,1996).ミツ バチの免疫系 も他の完全変態する昆虫 と同様 に 主なふたっの防御反応 に依存 している.ひとつ は血球が介在す る系で異物 に対する食細胞作用 や包囲化作用などであり (PoinarandLeute -nneger,1968;Salt,1970;Ratcliffe,1982; G6tz,1986;Ratcliffean dG6tz,1990),もう ひとっは抗微生物免疫 タンパ ク質などに代表 さ れる非細胞性の防御機構である (Dunn,1986; Boman and Hultmark,1981;Glihskiand Jarosz,1995a;1995b).昆虫の体液の抗微生 物活性 は生 まれなが ら常在するものと誘導 され る免疫ペプチ ドおよび小分子の タンパ ク質か ら なる.常在型の抗微生物活性 は基本的に体液中 の リゾチーム (Mohrig and Messner,1968; Jarosz,1979)あるいはその他の要素であるレ クチ ン(01afsen,1986),補体類似作用 ( And-ersoneta1.,1972), フェノールオキシダーゼ 賦活化作用 (S6derhallandSmith,1986)と 協働 している.誘導性免疫 は微生物の感染や昆 虫の体腔内への実験的な異物の接種 などによっ て寄主の体内の保全が損 なわれた場合に発現す る.昆虫の非 自己認識 による防御の発現 は脂肪 体中での広い範囲の細菌やカ ビに対す る抗菌性 を もつ特異的な免疫mRNAと リボゾームタン パ ク質 の新 規 の合 成 を必 要 とす る (Boman andHultmark,1987;Jarosz,1993).昆虫の 免疫 タンパ ク質の中ではチ ョウ目 (鱗廼 目)昆Z.Gl
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虫 の セ ク ロ ビン類似 ペ プチ ド(Boman and Hultmark,1987) やアタチ ン類 (Engstr6m eta1.,1984),ハエ目 (双週 目)のディプテ リ シン頬 (Keppieta1.,1986),昆虫ディフェン シン (Dimarcq eta1.,1988;Bulleteta1.,1996), および ミツバチや他の ミツパテ科昆虫 の ア ピ ダ ェ シ ン類 (Casteels eta1.,1989; 1990;CasteelsJossoneta1.,1993), アバェ
シン頬 (Casteelseta1.,1990), ヒメノブテ リ シン類 (Casteelseta1.,1993)が研究が進ん でいる.
感染部位 と感染強度
1000種 以上 の カ ビが昆虫 の病原 とな り得 る. ほとんどの昆虫寄生性 カ ビ類が胞子発芽 に よって感染を開始する.伸長する菌糸が昆虫の クチクラを機械的に,あるいは酵素を利用 して 通過,体腔内に侵入 し,急速 に成長 して内部器 官を覆い尽 くす.体内への侵入 は,経 口的に消 化管内に入 った胞子の発芽 によって中腸や後腸 で も起 こる.ミソバチにかかる物理的,化学的, あるいは生物学的なス トレス,特 に外気温や高 湿度,環境汚染,農薬中毒,寄生生物の侵入, 害敵による捕食などの要因が,糸状菌の感染を 促進 しやすい要因 となっている. こうした要因 は昆虫の糸状菌 に対する抵抗性を,免疫機構を 低下 させることによって,あるいは体表や消化 器系,器官系の防御機能 を損傷 させることによ って弱 らせることになる. 毒 生 成 カ ビが分 泌 す るカ ビ毒, と りわ けAs
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が生成 す るアフラ トキ シン は ミツバチの中枢神経系に直接作用する.侵入 した ミツパテの内分泌系 とおそ らく内部防御機横 にも影響を与えることによって,その ミツバ チのカ ビの感染に対す る抵抗力を失わせる. 病原がいかに早 く成長で き,寄主の体成分を どれだけ栄養 として利用で き,昆虫の体表のク チクラの解剖学的な防御限界を超えるに足 るク テクラ分解酵素 を生産できるか, さらに寄主の 免疫機構に耐性があるか という遺伝的な能力に 依存 して感染の結果は決定する.ある昆虫の個 体の死 は,菌糸が侵入 した組織の物理的,ある いは酵素的な損傷,器官の機能異常,体液循環 の物理的な停滞,カ ビ毒-の反応などの結果 と して起 こる.成長するカ ビと寄生 された ミツパ テとの問での食料の奪 い合 いは,カ ビの寄生に よる病気の発現 に関 して無視できない問題 とな る.例えば,ハチノスカビ(Ascophaeraapis) は ミツバチの幼虫がグ リコーゲ ンを合成するの に使 っている組織中のグルコースと トレ- ロー スの 濃 度 を急 速 に低 下 させ る (Gochnauer andMargetts,1979).カ ビによる攻撃 は,細 菌の侵入や他のス トレス要因 と同 じく,あさら か に神経 一免疫 ネ ッ トワークに影響 し,細胞 性,あるいは体液性免疫機構を発現 させ, これ によって ミツバチがカ ビ病 に対 して防衛力を増 すようなことも起 こり得 る. カ ビは ミツバチや ミツバチの巣の常在的な腐 生者である. ミツバチが集 めて くるほとんどの カ ビは ミツバチ体内や巣箱の中では成長で きな い. しか し,蜂 児 に寄 生 す る- チ ノ ス カ ビ (Ascophaeraapis)や蜂 児 と成蜂 に影響 す る Aspergillussp.,Aureobasidium pullulans,
その他のカ ビ(Trichodermalignorum,Mucor hiemalis,Rhizopus), および酵母 (Torulo p-sis)など一部のカ ビは ミツパテの病原生物 とし て考えなければな らない. カ ビの侵 入 を防 ぐミツバ チの防御 機 構 カビの寄生 においては ミツバチ側で も様々な 免疫機構が働 く (図 1).よ く知 られているのは チ ョークブルー ドやス トー ンブルー ドに対する これ らの反応である.なかで も,体表 クチクラ, 気管系,消化管系の防御機構である(Barrand Shope,1975;Orihel,1975).内部防御系では i.硬くて透過性のないクチクラ層 2.不飽和脂肪酸とろう 3.中腸 の防御機構 a)囲食膜 b)腸壁 の構 造 C)抗生作用 4.気 管の構 造 I.食細胞 作 用 2.包 囲化 作用 3.ノジュール形成 1.頬ドロソマイシン,頬タナチン物質? 図 1 カビの感染に備えるミツバチの防御ライン 食細胞作用 と包囲化作用が主 な血球性の防御機 構である (G6tz,1986).リゾチームも誘導性 の抗細菌性 タン/ヾク質 も,侵入を受 けた ミツバ チ体内でカ ビの胞子を殺 したり,菌糸の成長を 抑制 したりす る働 きはないようである.チ ョー クブルー ドやス トー ンブルー ドに対 しては ミツ バチのコロニーの衛生行動が重要な抵抗性 とな
る (Gilliam eta1.,1983;Southwick,1994). 透過性のない硬 い体表 クチクラ,中腸内容物 の生化学的環境 とその囲食膜,および気管系の 機械的かつ生理的な障壁 はカ ビの侵入か らミツ バチの体腔を効果的に守 っている.カ ビの胞子 や菌糸の断片が ミツパテの体表について も,脱 皮 によって外皮 ごと機械的に取 り除かれる.体 表 クチクラはワックス分や不飽和脂肪酸 によっ て堅牢 となり,あるいはそれ らの成分があるこ とで抗 カ ビ効果を維持 している.キチナーゼを 生成する酵母 と糸状菌のみが体表のクチクラ層 を通過でき体液中に侵入で きる.成長す る菌糸 によって機械的に,あるいは酵素的に損傷 した クチクラは細菌の侵入を も許 して しまい,致死 的な敗血症の原因 となる. 前腸 と後腸のキチ ン層 も,キチナ-ゼ合成音 には効果がないものの,経 口で侵入 した微生物 に対す る適切な防壁 となっている. しか し中腸 は,完全にキチ ン層がな く,そのためここが消
化管内で最 も微生物が腸管を通過 して体液に侵 入 しやすい場所 となる. 中腸内容物の生化学的な環境 は多 くの種頬の 細菌の成長 と増殖を防いでいる.抗微生物物質 としてのフィ トンチ ッドは,消化中の食物に含 まれる揮発性の物質で細菌やカ ビ類の侵入者を 死滅 させる.腸内細菌 とカ ビによる栄養競争 も 腸管か ら大量のカ ビの胞子を排除するのに効果 的である.非細胞性のゼラチン質の囲食膜 は中 腸表皮 を成長中の菌糸による物理的化学的損傷 か ら保護す る働 きもあり, きわめて重要な位置 づけにある.腸管表皮 と筋細胞層は腸管粘膜か ら体液中へ菌糸が通過す るのを制限する防壁を 形成 している.気管内は相対的に湿度が低 く保 たれてお り, このことが気管内でカ ビの胞子が 発芽 した り菌糸が伸長 したりするのを防 ぐ上で 重要 な要因 となっている.いうまで もな く大量 のカ ビの胞子が付着 した り,強病原性のカ ビの 感染の場合, ミツパテの解剖学的な,あるいは 生理学的な防壁 はうち破 られる (Glinskiand Jarosz,1995).カ ビは体液中に侵入 し,感染 し た蜂児や成蜂に重度の有害な影響を与える.ハ チノスカ ビや
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は腸管経由, あるいは体表 クテクラの損傷部か ら蜂児 に感染 する.成蜂では消化管が病原性子嚢菌の侵入経 路 として重要である. ハチ ミツ,花蜜,および花粉の抗微生物活性 も ミツパテのコロニーにとっては重要で,腐生 性の細菌やカビ類の貯蔵食糧中での繁殖を抑制 する効果を持っ.また数種の病原性微生物を死 滅 させる働 きもある (Burgett,1978).高い酸 度,浸透圧,過酸化水素の生成 と蓄積がハチ ミ ツと花蜜の抗微生物活性の主体である (White andSubers,1963).-チ ミツは高浸透性 によ って多 くの生細胞を殺す ことができるが,高浸 透圧抵抗性のカビや細菌 は例外 となる. ローヤルゼ リーは広範囲な細菌種に対す る細 菌発育阻止性および抗菌性を示す (Rose and Briggs,1969).少な くとも, ローヤルゼ リー 中には2種の抑制物質が知 られている.10-ヒ ドロキ シ-デセ ン酸 とグル コースオキ シダーゼ である. これ らは-チノスカ ビをのぞ く多 くの 71 カ ビ類 の成長 を抑制,遅延 させ ることもで き る. プロポ リスはワックスとヤニ頬,香油類,お よび少量の花粉の複雑な混合物で ミツパテのコ ロニーにおける対微生物防御の一翼を担 ってい る. フラバ ノン類, フラボ ン類,カフェ酸およ びそのエステルはプロポ リスの抗微生物活性の 主 体 と考 え られ て い る (Greenaway eta1., 1990).植物上,動物由来,環境中に汚染源 と してあるもの,花粉 に混入 しているもの,ある いは ミツバチが集める水 にいるものなど,あ ら ゆる外来のカ ビはプロポ リスの生理活性物質に よ って生物学的 に抑制 されている可能性が高 い.衛生行動 とミツバチの
カ ビ感染症への抵抗性 行動学的な免疫機構 は,雁病 した,あるいは 死亡 した蜂児を働 き蜂が素早 く兄いだ して,死 亡個体を除去 し,巣坂上 の巣房を徹底的に掃除 す るという一連の行動である.働 き蜂 は自分の 体の,あるいは他個体のグルー ミング (毛づ く ろい)を して,巣の衛生状態を保ち,落ちたゴ ミは巣箱外に捨てる. この衛生行動 はチ ョーク ブルー ドやス トーンブルー ドに対する有効な抵 抗性である.働 き蜂 は大あごを用いて ミイラ化 した幼虫 を引 きず り出 して巣 の外 に捨 てに行 く. ミツバチは自分の腸管内に入 った胞子や体 毛に付着 した胞子を取 り除 くすべがないので, 除去作業のあとで給餌を して幼虫に再感染 させ た り, コロニー内の他の働 き蜂に胞子を渡 して しまうこともあ り得 る (Southwick,1994). 何匹かの働 き蜂が胞子や菌糸の断片を前胃弁で 癒 しとって しまうことで抵抗性が維持 され, ま た働 き蜂が分泌する幼虫の餌の強力な抗細菌, 抗カ ビ活性 も有効であろう. 行動的な抵抗性には最低ふたっの,いずれ も 遺伝的な性質による機構がある. 衛生行動 は2 種の劣性遺伝子によって制御 されていると信 じ られている.そのひとつ は死んだ蜂児のいる巣 蓋の除去に関す るもので, もうひとつは中の死 体 を 取 り除 く こ と に 関 す る も の で あ るア ピダェ シ ンⅠ前駆 体〟b(Proapidaecinl〟b)
⑧④㊨②⑧④⑪②<
⑥㊧㊨㊥㊤㊦㊦①㊤⑥㊤㊥㊤㊦㊧㊥㊥①
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ア ピダェ シ ンIb (Apidaecinlb)⑥㊧㊨㊥㊤㊦㊦(
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ア ピダェ シ ンⅠⅠ (ApidaecinII)◎㊧㊧⑧㊥(
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ア ピダェ シ ンⅠⅠⅠ (ApididaecimIII)◎㊧㊧⑧㊦㊦㊧(
∋⑤⑥㊦㊧㊤㊥㊧㊤㊧①
図2 7ピダェシン前駆体および各種のアピダェシンのアミノ酸配列 前駆体の配列中 tt〈'.はアピダェシン完成時に切断部位となる (昏グルタミン酸 ⑥グリシン (Dイソロイシン ④アラニン ⑨アスパラギン ◎グルタミン ⑥ リジン ⑧7ルギ二ン ⑳ ヒスチジン (昏プロリン (9バリン ⑤チロシン ①ロイシン (図3,4も同 じ) (Tauber,1992).衛生行動 の発現 は ミツパテ コロニーの強 さに依存す る.蜂児巣板 とそこに いる働 き蜂を取 り除いてコロニーサイズを小 さ くす ると,衛生形質 を持っ コロニーの衛生行動 は見 られな くなるが,衛生形質 を持 たないコロ ニ-では変化がない. また衛生行動 は衛生形質 を もった蜂, あるいはそ うでない蜂を加 えるこ とで, あるいは両者の比率 を変え ることで もそ の発現が変動す る.Tauber(1992)はチ ョーク ブルー ドに対 して衛生行動 を示す ものは抵抗性 であると しているが,Southwick(1994)は衛 生行動の強 さとチ ョークブルー ドに対する抵抗 性 には直線的な比例関係 はないとしている.チ ョーク病 に罷 ったコロニー と衛生行動 の発現 と の問 には弱 い相関 しか見 られなか った. 血 球 介 在 型 の免 疫 応 答 昆虫の体液の抗 カ ビ活性 には血球介在型の免 疫応答 と非細胞型 の免疫が含 まれる.食細胞作 用 と包囲化作用 は ミツバチにおける侵入す る病 原糸状菌 に対す る防御機構の代表的なふたっの 普遍的な方式である. これ らの血球介在型の免 疫反応 は,循環す る血球量 と体液中の血球種 の 比率の変動 を伴 う (Hink,1972).一般 に,血 体腔への感染 は血球分化の促進 と血球の化学刺 激への応答 としての移動 に始 まる.食細胞作用 は体腔が少数の細菌やカ ビの胞子 に汚染 された ときに真 っ先 に見 られ る.食細胞 の最終過程で は,飲み込 まれた胞子や細かな菌糸断片が リソ ソームと食作用胞 の結合 によ ってで きた消化胸 内で消化 される.細菌を分解す ることが知 られ ている リソソームの加水分解酵素 は取 り込んだ カ ビの残骸 に対 して も働 く. ほとん どまちがい な く,細菌の食作用 に関与す るプラズマ細胞 と 頬粒細胞がカ ビに対す る食細胞過程 にかかわ っ て いる. フェノールオキ シダーゼ系の役割, と りわけメラニ ンは昆虫寄生性のカ ビ類の食細胞 作用 には欠かせない. 包囲化作用 は直径が10〝mを超 え, ひ とつ の血球 による食細胞作用の及ばない外来 の異物 に対 してカプセル上の包囲網 を形成す るものを い う.包囲化作用 は血体腔 内のカ ビの感染 に対 して最 も効果的な血球性の免疫応答である. カ プセルは主 に頬粒細胞 とプ ラズマ細胞 の結合 に よ って形成 され る.頬粒細胞 はプラズマ細胞 を 引 き寄せ る屈血性因子 を放 出 し, カ ビを取 り囲 んだカプセルの外装 を形成 させ る. ある場合 に はカプセルの内壁のメラニ ン層 にメラニ ンが見 られ る.73
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図3 ショウジョウバエの抗カビタンパク質であるドロソマイシンの基本アミノ酸配列◎@⑪㊨㊤㊦㊤(
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∋㊦◎㊨⑧⑧㊦⑥㊨⑰⑥⑧㊥
図4 PodtssusmacuLivenlrisから得られたタナチンのアミノ酸配列 抗 微 生 物 活 性 にお け る免 疫 ペ プ チ ド ミツバチの リゾチームと誘導性 の抗微生物 ペ プチ ドや低分子 タンパ ク質 は抗 カ ビ活性 を もっ ていない. リゾチーム(N-アセチルムラミル ヒ ドロラーゼ,訳注 ムラ ミダーゼに同 じ) は昆虫 数 日に共通 にみ られ る. リゾチームは基本的に はグラム陽性菌 を攻撃す るが,例外的 にグラム 陰性菌, 例えば一部の大腸菌Escherichia coli の変異株 に対 して も効果 を示す.正常 な ミツバ チの体液 は リゾチー ムを少量 しか含 んでお ら ず,幼虫や成蜂では5-25FLg/ml,桶では 5-10pg/mlで あ る (Mohrig and Messener, 1968;GGtzandTrenczek,1991). ミツパテ の リゾチームの活性 は微生物の感染 によって急 激 に増加す る. ア ピダェシソ類 のペプチ ド (図2) は,植物 共生細菌,植物病原細菌,および腸内細菌 に対 して抗菌活性を持っ誘導性の高 プロ リン含有低 分子 (約2.OkDa免疫 ペプチ ドの大 きなグルー プ に 属 す る (Casteels eta1.,1989;1993; 1994).これが ミツパテが細菌 の侵入 に対 して 備 えている誘導性体液性免疫のなかで最 も際だ った ものである. ア ピダ ェ シ ソの抗 細 菌 性 は, アバ ェ シ ソ (Casteelseta1.,1991;1994)や ヒメノブテ リ シン(Casteels-Jossoneta1.,1994)によって 補足 されて ミツバ チの防御機構 を形作 って い る,アバ ェシソは大分子 (4.OkDa)の高プ ロ リ ン含有 ペプチ ドでグラム陰性菌 と陽性菌の双方 に中程度 の効果 を示す. ヒメノブテ リシンは高 グ リシン含有小分子 タンパ ク質 (10kDa)で グ ラム陽性 ・陰性両方の細菌 に効果を示す. さらに抗細菌性 ペプチ ドの生産 に加えて,感 染 した ミツパテの脂肪体 は抗 カ ビ活性を持っ環 状分子 とその他の細菌 に もカ ビにも活性 を持っ 免 疫 性 の物 質 を合成 して い る (Buleteta1., 1996;GlinskiandJarosz,1998). 抗 カ ビ性環状ペプチ ドとしては,今の ところ2
種, ショウジョウバェDrosphilamelanogas -terの ドロソマイ シン (図3) とPodisusma c-uliventrisとい う甲虫か らタナチ ン (図4)が見 つか っている. いずれ も植物病原性 および ヒ ト の病原性 の糸状菌 に対 して強力 な活性を もって いる(Fehlbaum eta1.,1994).ドロソマイ シ ンは44のア ミノ残基 と8個 の システイ ンによ る4か所 の分子 内 ジスル フ ィ ド結合 を有 して お り,広範囲の植物および ヒ トの病原性糸状菌 に対 して活性を示す. しか し細菌 に対 しては活 性がない (Flygeta1.,1987). タナチ ンは21 ア ミノ残基か らなる誘導性 ペプチ ドで分子 内に 1か所 ジスル フィ ド結合 があ り,8ア ミノ残基 のカルボキ シル基末端ループを持っ. グラム陽 性 ・陰性両細菌,および植物および ヒ トの病原 性 カ ビ類 に対 して活 性 が あ る (Buleteta1., 1996).少 な くとも2種 の高 プ ロ リン含有 ペプ チ ド,Palomeraprasina およびDrosophilaか ら得 られ た メ タル 二 コ ウ ィ ン(Buletetalり 1996)とDrosophilamelanogasterか ら得 られ た ミエ ッチ ニ コ ウ ィ ン(Lavaschina eta1., 1995)が細菌 とカ ビ類の双方 に活性 を示す. チ ョー ク病 を 防 ぐた め に 以上のように ミツパテには各種の免疫機能が 備わ っていて, カ ビ病であるチ ョーク病 に対 し ては, 自己充足的な耐性が本来 はある.前述 し たよ うに, この よ うな耐 病性 は,外界 か らの 種 々の ス トレス, とりわ け巣箱 内の温度 や湿皮,環境汚染,農薬中毒, ダニなど寄生生物の 侵入, スズメバチなど害敵 による捕食 などの要 歯 によ って減衰 して しまい, チ ョーク病 を誘発 す る.つまり病気 の予防には, ミツバチが これ らのス トレスか ら解放 され るよ うな飼育の実現 が望 まれ る. (著者の住所 は下記参照) (翻訳 中村 純) 引用文献
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e-pal'tmentOfBeeDiseases,Akademicka 12,201 033 Lublln, Poland; *Department of lllSeCtPathology,MarlaCLIrle-SklodowskaUni -versity,Akadernicka19,201033Lublin,Poland
Thehaemocyte一mediateddefenselTleChanisms,
lysozymeand theinducibleantimicrobl alpep-tldesofferthehoneybeeaverylmpreSSIVeSet
ofilllmunereactionsprotecting welltlleinsect
against bacterialinvaders.Usually,these de
-fenseresponseshaveabroadactivityspectrum directed against a large variety of bacteria Phagocytosisand encapsulation areakeyele一
mentlntheimmunedefenseofthellOneybeeto fungalinfections.Uptonow,neitherantifungal Immune peptidessucllaSdrosomyCin m frult Ry(Drosophila melanogaster),thanatin in the
bug(PodlSSuSmaCullVentris)normi etchnikowlnS andmetalnikowinsthatexhibitactivityagaillSt botllbacterlaandfungihavebeenfoundinthe honeybeedefenseagainstAscosphaeraapisand
Aspergillus.Itis reasonable to conclude that hygienic behaviour, antimicrobial entities secreted by workersand protectlVebarriersof the body coverlngSform theeffective threshl oldsprotecting the bee agalnStmyCOticl nVa-sions.Undertheabovecircumstances,ltCanbe assumedthattheprotectionofbeestomycotic diseases is rea一ized by the neura1-immune -endocrinenetwork