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形の変化を伴う運動体の強調 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)

論 文

形の変化を伴う運動物体の強調

桐山和宏 大木真 周欣欣 橋口住久

(平成7年8月31日受理)

Enhancement of Moving Objects with the Varying Profile

KazuhiroKIRIYAMA MakotoOHKI XinxinZHOU SumihisaHASHIGUCHI

      Abstract   The purpose of this paper is enhancement of moving objects with the varying profile. For that purpose, we perform the three−dimensional frequency analysis for moving objects with the varying profile. Then we investigate the relationship between the major frequency region of the spectrum and parameters which characterize the variation of objects. Using the relationship, three−dimensional filters, which enhance moving objects with the varying pro丘le, can be designed. In order to illustrate the proposed method, a simulation is shown.

1 まえがき

 運動物体の強調とは動画像から運動してい る物体を抽出することである.その方法とし て,多次元ディジタルフィルタによるものが ある.従来,この方法では画面上での物体の 見かけの形や大きさは不変であると仮定され ていたが,実際には,それらが変化すること も多いと考えられる.  1993年にSakuraiらにより形の変化を伴う 運動物体を強調するフィルタの設計法が提案 されている1).しかし,Sakuraiらの研究では, 形の変化を伴う運動物体を解析する際に,座 標軸を回転させることによって実際には移動 しない物体として解析している.  本報では,形の変化を伴う運動物体を,そ のままの形で解析している.まず,運動物体の 3次元周波数スペクトルを計算する.次に,3 次元周波数スペクトルの主要な部分が存在す る領域を特定し,形の変化を表す振動成分の 周期や振幅との関係を明らかにする.最後に, ’電子情報工学科,Department of Electrical Engineer− ing and Computer Science 周波数スペクトルの解析結果を利用して,形 の変化を伴う運動物体を強調する3次元フィ ルタを設計し,フィルタリングのシミュレー ションを行なう.    2 形の変化を伴う運動物体  人間が動いている物体を見たとき,物体の 見かけの形は変化するのが普通である.例え ば,遠くにあった球形の物体が,自分の方に 近づいて来たとする.この球形の物体は,遠 くにあるときには小さく見えるが,自分に近 づくにつれて徐々に大きく見えてくる.そし て,物体が自分から一番近くに来たとき一番 大きく見え,自分から離れていくにしたがっ て小さくなって行くように見える.このよう に運動物体は,実際に大きさが変化をしてい なくても変化しているように見える.  しかし,このような現実的な物体は周波数 解析が非常に難しいため,本報では,図一1の ように運動物体の形を正方形とし,この正方 形の一辺の長さが変化し,その時間的変化が 複数の周期運動の組み合わせで表現できるも のとする.物体を表す式は以下のように定義 できる.

(2)

平成7年12月 山梨大学工学部研究報告 第46号 ∫(T,y,¢) ={u(x・・一 ut+レ(t))一σ(・−ut−iA(¢))   一[σ(・−ut+;(A(t)−8))   一〃(x−・¢−i(A(り一β))]}   {σ(y− vt+IA(£))一σ(y−vt一輻(t)) .一 mσ(y− vt+;(A(・)一β))  °   −u(y−vt−1(A(t)−B))]}   (1)  ただしU(x)はステッフ’関数であり,また,        N     A(t)=A・+ΣA・・in・a・t (2)        kニ1 である.式(1),式(2)のAoは,基本となる正 方形の大きさである.この正方形が,x軸方 向va・u, y軸方向rc vの速さで移動する.αkは, 一辺の長さの変化の角周波数,Akはその振幅で ある.また,誓が正方形の枠の幅を表す.’ ll:/ 図一1形の変化を伴う運動物体

3 形の変化を伴う運動物体の3次元

        フーリエ変換  ここでは,第2節で考えた運動物体の式 f(x,y, t)の3次元フーリエ変換F(ωx,Wy,ωt) を求める.ただし,ω。,Wyはそれぞれx,yに関 する空間周波数,Wtはtに関する周波数である. F(ωエ,ωy,ωt)

一]ぱ工

  {u(x−ut+iA(t))一び㊤・‘一;A(t))   一[u(・一・t+i(A(t)・一・B))  一σ(・一・¢一;(A(t)一β))]} {σ(y−vt+iA(‘))一σ(y−vt−;A(り) 一[σ(y−・t+;(A(t)一β)) 一σ(y−vt−;(A(∋−8))1}  ε一1ωxXe−」ωyYε一ゴωまt(txdydt 一㌃工... {e−・き(・x+・y)A(り(1−・・ω峰)(1−・…号) 一・一ゴ去(w・’w・)”(’) b一パ〉(1−・・ω・号) 一・ゴき(Wx−Wy)A(¢) i1・・ω・号)(1−♂ω・号) +・’〉(ω・+Wy)A(り i1・一・e’W・号)(1−・Jωy号)}   e−J(UWx+VWv+Wt)tdt ここで,式(2)から, eフき(Wx+ωy)A(t) =♂〉(・・+・・)・・e・き(・・+・・)Σ二、・・…α・・ −eヰ(͡)A・H・・き(ω・+ωのぷα・¢       斥=1 (3) (4) 式(4)の乗算記号nの後ろの項については,以 下のベッセル関数の公式3)を適用することがで きる.       ee     ・」m5i“ωm⊆ΣJn(m)e3nw・t (・)          n=−oo この式(5)を用いると式(3)は以下のように 求められる. F(ωx,ωy,ωt) ={。……,デ・⇒A・(・一・ゴ・・号)(トe…9)

軋Σ..ヘピ鞠)]

+▲・−」竿A・(1_e」ω埠)(・一・一…♀)

亘Lξ..へc㎏牛)]

+▲7・・竿A・(1_e一フωポ夢)(・一・…号) 慰ε㍗(Wx一ωy AA   2)]

(3)

  N    oo

 HΣJ・k

 k=1 nk=−o◎         N  ・(㌦・+・・ 一Σ・t・t)   (・)         t=1  例としてN=1,u=v=0,Ao=16,.41= 8,α1=妾の場合のスペクトルを図一2と図一3 に示す.図一2はWt=0の平面上のスペクト ル,図一3はωt=π/8の平面上のスペクトル である. 一▲♂三『砺(・一・一・w=号)(・一・一吟号)

      巴∋}

25o lll 118  0 ω ωx 2 3 一3 ωy 3 図一2ωt=0(n=0)の場合の3次元スペク トル 20 15 10 5 0 ωx 2 3 ・3 ω y 3 図一3ωt:π/8(n=2)の場合の3次元スペク トル 4 スペクトルの存在領域 4.1 形の変化が,1つの周期で表せるよ    うな運動物体  前節では,形の変化を伴う運動物体の3次 元スペクトルを表す式(6)を導出したが,この ままでは式が複雑であり,形の変化とスペク トルとの関係が明白ではない.そこで本節で は,式(6)を整理して,形の変化とスペクトル の主な存在領域との関係を明らかにする.簡 単のために,形の変化を表す角周波数と振幅 が1つの場合を想定し,それをAl,α1とする. 4.1.1 移動しない物体の場合  初めは,物体は移動しないものとする.つ まりu,v=0である. スペクトルの存在する平面.  移動していない物体を考えているため,式 (6)のデルタ関数の中は,ωt.−nlα1であり,ス ペクトルは,w。Wy平面と平行で,ωt軸方向に 離散的に連なっている平面上にのみ存在する (図一4参照).また,その平面と平面との間隔は α1である.ただし,実際のスペクトルは,この 平面内で物体の形(この場合は正方形)によっ て決まる領域に存在し,平面全体に広がって いるわけではない. :1] α・ユ  Wx ωt Wy 図一4物体が移動していない場合のWt軸方向へ 離散的に連なるスペクトルの存在平面 スペクトルの主な存在領域式(6)に含まれる ベッセル関数Jn(x)は,図一5のような曲線を 描く.この図一5から,以下のような性質を読 みとることができる. Jn(x)NO,

n>x

(7) また,前節で求めた式(6)からベッセル関数 に関係する所を抜き出し,簡単のためにs= :W:E奄撃v+W Akと置くと,

(4)

平成7年12月  1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 ’02 −0.4 ・O.6

0123456789

      x 図一5ベッセル関数Jo(x),」1@),J2(x)        N ΣJn(・)δ(ω・ 一Σnα・) n=−o◎         ∼=1 (8) を得る.この式(8)と式(7)のべッセル関数の 性質を使って主なスペクトルの存在領域を求 める.  ここで,例としてs=1の所でスペクトル が存在するか否かを考える.s ==1の所では, 式(7)のべッセル関数の性質から,n>1で ベッセル関数はほぼ0となる.式(8)において n>1は,ωt>α1を意味する.この部分では スペクトルは存在しないと考えられる.同様 にして,s=2の所では,式(7)から, n>2 でベッセル関数はほぼ0となる.式(8)におい てn>2は,ωt>2α1を意味する.ここでも, スペクトルは存在しないと考えられる.以上 のように考えるとスペクトルの主な存在領域 は図一6のようにv字型に切れた周波数領域と なる.この図一6の帯は,先程考えたスペクト ルの存在する平面を表わす. 形の変化を表すパラメータとスペクトルの関係  図一6のようにv字型に切れたスペクトルの 存在領域と形の変化を表すパラメータ(Al,α1) との関係を求める.図一6は,ベッセル関数の性 質とデルタ関数から求めることができた.図一 6および,図には書かれていないがω¢が負の 部分のスペクトルの主な存在領域を式で表せ ば,以下のようになる. J3(s) J2(8) 」1(s) Jo(s) 一3 −2 −1 0  1  2  3 s 図一6物体が移動しない場合のスペクトルの存 在領域 1)n>0のとき Wt軸方向 ωx,%軸方向 2)n<0のとき Wt軸方向 ωx,ωy軸方向  ωt=nα1 争(1ω。1+1ωyl)≧n  ωt=nα1 与(1ω。1+1ωyl)≧−n 上の式から媒介変数nを消去してまとめると 1ω・1≦儂(IW・1・+・1ω,1)α・ (9) となる.この式(9)は,物体が移動しないとき の主なスペクトルの存在する領域を表してい る.式(9)を図に表すと図一7となる.この図の 上の曲がった面と下の曲がった面に挟まれた 領域が主にスペクトルの存在する領域である. 一1.5   ’°・5(D・・.5     x  00・5 −0.5 y 1.5 図一7移動しない物体のスペクトルの存在領域 4.1.2 移動する物体の場合 今まで,物体を移動しないものと考えてい たが,この節からは,物体が移動する場合に ついて考える.

(5)

スペクトルの存在する平面  図一8は移動する物体と移動しない物体のス ペクトルの存在する平面を比較したものであ る.細い実線で描かれた平面1は,移動しな い運動物体のスペクトルの存在している平面 を表わす太い実線で描かれた平面2は,移 動している運動物体のスペクトルの存在する 平面を表わす.移動する物体と移動しない物 体で違う点は,デルタ関数の中のu,砂がoか そうでないかである.そこで平面2は,平面 1上の点,ωx,%の値はそのままで,この矢印 の長さの分だけWt軸方向に移動した点の集合 となる.言い換えると,平面2はWt軸方向に 傾いて引き伸ばされたような形となる.この ような平面が,Wt軸方向に連続する. nα1 」 下 ωt ωx 図一8移動している物体と移動していない物体 のスペクトルの存在する平面の違い 移動する物体のスペクトルの主な存在領域先 程の移動しない物体の式(9)と同様に考えると  1)n>o ωt≦争(1ω。1+1ω,1)α・−Uω。・一・Vω,  2)n<o ωt≧一与(1ω。1+iω,1)α・一%ω。−Vωy この2式に共通に存在する媒介変数nを消去 すると式(10)となる. |w・・+・ttCVx+vw、・1≦儂(1ω」+1ωyDα・(10) よって,形の変化が1つの運動物体の主なス ペクトルの存在領域を定式化することができ た.得られた結果,式(10)を図で表すと図一9 のようになる. ω 1: −9 :儂   “㎡・.5 1.S 1・5     x 0.5 y 1.5 図一9移動する物体のスペクトルの存在領域 5 シミュレーション  前節で得られたスペクトルの存在領域を通 過域とするようなフィルタを用いて運動物体 の強調を行なう.用いた画像は,256x256 画素64フレームで,8bit/pixelとし,物体の 輝度は180とする.運動物体の仕様を表一1に 示す. 表一1運動物体の仕様 A・[4・司 A・[∂・司 輪郭の幅[d・t・] 目的物体 16 8 3 比較物体 16 8 3 角速度[rad/f・am・] 速さ(u,v)[d・ts/加me] 義 (2,2) 互 (2,2)  フィルタは,変化の緩やかな目的物体を強 調し,変化の激しい比較物体を減衰させるよ うに設計する.  入力画像の第10フレームを図一10に,出力 画像を図一11に示す.右上の正方形は目的物体 であり,左下の正方形は比較物体である.ま た,入力画像の第30フレームを図一12に,出 力画像を図一13に示す図一10,11と同様に右 上の正方形は目的物体であり,左下の正方形 は比較物体である.  出力画像から,比較物体の輝度が低下して いることがわかる.数値的には比較物体の輝 度が80程度なのに対し,目的物体は170前後

(6)

平成7年12月 山梨大学工学部研究報告 第46号 図一10入力画像の第10フレーム 図一12入力画像の第30フレーム 図一11出力画像の第10フレーム 図一13出力画像の第30フレーム の輝度値を持っており,輪郭が鮮明に現れて いる.したがって,目的物体が強調されたと 言える. 6 おわりに  形の変化を伴う運動物体を強調するために 3次元スペクトル解析を行い,物体を強調す るフィルタの通過域を検討した.スペクトル 解析の結果から,ベッセル関数とデルタ関数 の性質を用いてスペクトルが主に集中してい る領域を求めた.形の変化する物体のスペク トルは,wの絶対値が大きくなるにしたがっ て,ωt軸付近のスペクトルは無視できるほど 小さくなる.従って,スペクトルの主な存在 領域は,3次元周波数スペクトル空間からCVt軸 周辺のくさび状の部分を除いた残りの部分と なる.この結果を用いて,形の変化を伴う運 動物体を強調するフィルタを設計し,シミュ レーションを行った.

参考文献

1)M.Sakurai, L.T.Bruton and N.Hamada   ‘‘Enhancement of Linear Trajectory  Signals with Varying Profile”,ISPACS,  pp170−173,1993. 2)森口繁一,宇田川金久,一松信:‘‘数  学公式II”,岩波書店,1983.3.15 3)森口繁一,宇田川金久,一松信:‘‘数  学公式III”,岩波書店,1981.9.10

参照

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