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有限体上のゼータ関数の特殊値と高次チャウ群について

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Academic year: 2021

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(1)

有限体上のゼータ関数の特殊値と高次チャウ群につ

いて

宮崎弘安

本稿では k =Fq を有限体とし, k上有限型かつ分離的なスキームのことを単に多様体 と呼ぶ. 多様体のゼータ関数とは, ζX(s) = ! x∈X(0) 1 1 − (#k(x))− s のことである. ここで, X(0) はX の閉点全体の集合を表す. 任意の閉点 x ∈ X に対し, その剰余体k(x)は有限体なので, 位数#k(x)は意味を持つ. さらに, t = q− sと置換する と, ζX は次の表示を持つ: ζX(s) = ! x∈X(0) 1 1 − tdeg(x). ここで, deg(x) = [k(x) : k] は体の拡大次数を表す. 右辺をt の関数とみなしたものを ZX(t)と書くとき, これは Q 係数の有理関数であることが知られている. 整数r ∈ Z に 対し, ZX(t)のt = q− r でのLaurent展開の先頭項係数をs = rにおける特殊値と呼び, ζX(r)∗ と表す. 特殊値は, 様々なコホモロジー群やホモロジー群の位数を用いて表されること知られ ており, スムーズ固有かつ幾何学的に既約な多様体に対する, Milneのエタールコホモロ ジー群を用いた記述は特に有名である([8]). 最近, Kerz-齋藤は高次チャウ群と呼ばれる アーベル群CH0(X, i)(iは整数全体をわたる. ただし, i < 0ではCH0(X, i) = 0と解釈 する)を用いて, 次の結果([6])を示した. ∗東京大学大学院数理科学研究科

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定理 1. スムーズ固有かつ幾何学的に既約なd次元多様体に対し, ζX(0)∗ = 2d ! i=0 (#CH0(X, i)tor)(− 1) i . アーベル群 A に対し, Ator はねじれ部分群を表す. スムーズ固有な多様体に対し, CH0(X, i)torは有限群であることが知られている. こ こ で は 高 次 チ ャ ウ 群 の 定 義 は 省 略 す る が, い く つ か 性 質 を 述 べ て お く. ま ず, CH0(X, 0) = CH0(X) が成り立つ. 右辺は0次代数的サイクルの群を有理同値で割った 群(すなわち, 通常のチャウ群)を表す. 高次チャウ群は, 固有射について共変的であり, 平坦射について反変的な関手性を持つ. さらに, 高次チャウ群は局所化完全系列を充たす: Y → X を多様体の閉埋め込みとし, U := X\ Y とおくとき,

· · · → CH0(Y, i) → CH0(X, i) → CH0(U, i)→ CH0(Y, i− 1 ) → · · ·

はアーベル群の完全系列である. さらに, 高次チャウ群は多様体の開被覆や閉被覆に関す るマイヤー・ヴィエトリススペクトル系列をも充たす. このように, 高次チャウ群は, チャ ウ群を0次ホモロジー群として持つホモロジー理論のような性質を持つ. さて, 定理1 を一般の多様体に拡張する問題を考えたい. まずは次の状況(♣)を考察 してみよう: X はスムーズ固有な多様体 X に稠密開集合としてうめこまれ, また補集合 Y = X\ X に被約な構造を与えたものはX 上の単純正規交叉因子であるとする. Y の既 約成分に番号を付けて並べたものを(Yi)i∈I と表す. このとき, 閉被覆に関するマイヤー・ ヴィエトリススペクトル系列と局所化完全系列から, スペクトル系列

Ea,b1 = CH0(Y(a), b) =⇒ Ea+b = CH0(X, a + b)

が導かれる. ここで, 正整数 a > 0に対し, Y(a) = "i1<···<iaYi1 ∩ · · · ∩ Yia と定義し, Y(0) = X と約束する. Y が単純正規交叉因子であるという仮定から, Y(a) はスムーズ 固有な多様体である. 実は, 一般の多様体 X に対しても, スムーズ固有な多様体の高 次チャウ群をE1 項に持つスペクトル系列が存在することがわかる. この事実を用いて Kerz-齋藤の結果を一般の多様体に拡張したいのだが, 次の問題が発生する: 定理 1 の 等式の右辺ではねじれ部分群をとっているが, アーベル群のねじれ部分群をとる関手は 完全関手ではないので, スペクトル系列に対して上手く機能しない. スムーズ固有な多 様体X とi > 0 に対しては, CH0(X, i) は有限群であることが予想されているものの,

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CH0(X, 0) = CH0(X)は有限群ではない(X の連結成分の数と同じ階数をもつ有限生成 群である). この問題を解消するために,定理1 を次の形に言い換えてみよう: スムーズ固有かつ, 各 連結成分が幾何学的に既約な多様体X とi ≥0に対し, アーベル群HiW(X)をi > 0 に 対しHW i (X) = 0, i = 0に対しZπ0(X)とおく. ここで, π0(X)はXの連結成分の集合を 表す. このとき, 写像Regi(X) : CH0(X, i) → HiW(X)を, i > 0に対し零写像, i = 0に 対しては連結成分T ∈ π0(X)ごとに次数写像 p : CH0(T )→ CH0(Spec(k)) ≃Z を考えて直和したものとして定める. p : T → Spec(k)は構造射であり, p はチャウ群の 関手性からくる押し出しである. T はk上幾何学的に既約なので, p は全射であることに 注意. さらに, 次の記号を準備する: 任意のアーベル群の射f : A → B に対し, f の核と 余核のねじれ部分群が有限群であるとき, χ(f ) := #Ker(f )tor/#Coker(f )tor と置く.

以上の準備のもとで, 定理1 の等式は次の形に表せる: ζX(0)∗ = 2dim(X)! i=0 (χ(Regi(X)))(− 1)i. このように書き直すことで, 定理1 を一般の多様体に拡張する正しい方向性が見えてくる. すなわち, アーベル群HW i (X)を, 高次チャウ群と同様のスペクトル系列を充たすように 一般の多様体Xに対し拡張し, さらに上の写像f を, スペクトル系列とcompatibleな形 で拡張することができれば, 蛇の補題を繰り返し適用する議論によって一般の場合の主張 をスムーズ固有な場合に帰着することが可能になると考えらえれる. アーベル群 HW i (X) の拡張は既に Jannsen により行われており, 重みホモロジー (weight homology)と呼ばれている[3]. 重みホモロジー群は固有射について共変的, 開 うめこみについて反変的であり, 局所化完全系列やマイヤー・ヴィエトリススペクトル系 列を充たす. 状況(♣)のような多様体X に対しては, 重みホモロジー群は次の複体のホ モロジー群と一致する: · · · → 0 → Zπ0(Y(d)) → Zπ0(Y(d−1)) → · · · → Zπ0(Y(1)) → Zπ0(Y(0))→ 0 → · · · あとは, 写像Reg(X)を一般の多様体に対し定義すればよいと考えられる. 筆者はこのよ うな着眼をもとに研究を進め, 最終的に以下の結果を示した. 定理 2. ([9]) アーベル群Λを, ZまたはZ[1 /p]のいずれかとする. pは有限体k の標数 を表す. ただし, Λ =Zとするときは, k上の多様体の特異点解消(スムーズ多様体からの

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固有双有理写像)が存在すると仮定する. このとき, 任意の多様体X と非負整数i≥0に 対し, アーベル群の写像 Regi(X) : CH0(X, i)⊗ZΛ → HiW(X)⊗Z Λ が存在する. これは, 固有射や開うめこみから誘導される関手的な射と両立し,局所化完全 系列やマイヤー・ヴィエトリススペクトル系列とも両立する. X がスムーズ固有かつ幾何 学的に既約な場合, Regi(X)はi > 0では零写像, i = 0では次数写像に一致する. この写像を用いて, 定理1 を拡張する結果を得た. ただし, 多様体X に対して次のよう な付加的な条件を考える必要がある. (C)X : Regn(X)⊗ZQ は, n = 2, . . . , dim(X)それぞれに対し全射である. この条件は技術的なものであり, 実際には任意の多様体X に対して常に成り立つと予想 される. 実際, 次のParshin予想を仮定すれば, 任意の整数nと任意の多様体 X に対し Regn(X)ZQ の同型性が示せる: 予想3. 任意の正整数n > 0と任意のスムーズ固有な多様体Xに対し, CH0(X, n)⊗ZQ = 0. 主定理の主張は次の通り. 定理 4. ([9]) X を多様体とし,条件(C)X が成り立つと仮定する. このとき, χ(Regn(X)) は任意の整数n≥0に対しwell-definedかつn > 2dim(X)では1 に等しく, p冪を除い て次式が成り立つ: ζX(0)∗ =± 2dim(X)! n=0 χ(Regn(X)ZΛ)(− 1)n. Λ =Zならば(したがって特異点解消を仮定すれば)等式はp冪を含めて成り立つ.

参考文献

[1 ] T. Geisser, Parshin’s conjecture revisted, to appear in proceedings of a conference on K-theory and non-commutative geometry, Valladolid 2006.

[2] H. Gillet and C. Soul´e, Descent, motives and K-theory, J. Reine Angew. Math. 478 (1 996), 1 27-1 76.

(5)

[3] U. Jannsen, Weights in Arithmetic Geometry, arxiv : 1 003.0927.

[4] U. Jannsen, Hasse principles for higher-dimensional fields, arxiv : 091 0.2803. [5] Kazuya Kato, A Hasse priniple for two dimensional global fields, J. f¨ur die reine

und angew. Math. 366 (1 986), 1 42-1 83.

[6] M. Kerz and S. Saito, Cohomological Hasse principle and motivic cohomology for arithmetic schemes, to appear in Publ. Math. IHES.

[7] M. Kerz and S. Saito, Cohomological Hasse principle and resolution of quotient singularities, to appear.

[8] J. S. Milne, Values of zeta functions of varieties over finite fields, American Journal of Math. 108 (1 986), 297-360.

[9] H. Miyazaki Special values of ζ-functions of varieties over finite fields via higher Chow groups, a preprint.

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