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創造的な問題解決の方法論TRIZ/USIT 研究・教育・普及活動のまとめ

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Title

創造的な問題解決の方法論 TRIZ/USIT 研究・教育・ 普及活動のまとめ

Creative Problem-Solving Methodologies TRIZ/USIT: Overview of My 14 Years in Research, Education, and Promotion

Author(s) 中川 徹 (Toru Nakagawa)

Citation 大阪学院大学 人文自然論叢(THE BULLETIN OF THE CULTURAL AND NATURAL SCIENCES IN OSAKA GAKUIN UNIVERSITY),64:1-30

Issue Date 2012.03.30 Resource Type Article/ 論説 Resource Version

URL Right Additional Information

(2)

大阪学院大学 人文 自然論叢 <論 説

>

第64号 2012年 3月

創造 的 な問題解 決 の方法論

TRIZ/USIT

研 究 ・教 育 ・普及活動 の ま とめ

Creative

Problem-

S

olvin

e

Methodolo

sie

s

TRIZNS IT:

Overview

of

Mv

14

Years

in

Research,

Education,

and

Promotion

Toru

Nakagawa

1.は

じめ に

:研

究・ 教 育 ・ 普 及 活 動 の 経 緯 私はもともと物理化学の出身です。分子構造の精密決定のために、分光学の実験 とコン ピュー タによる解析 の研究 を17年間 (大学院 と助手

)し

ました。その後、 コンピュー タメ ーカの基礎研究部門に移 り、 ソフ トウェア品質管理 な どの研究 と社内活動 を行い、研究支 援や特許推進 などの仕事 を18年間 しました。 本学 に着任す る前年の1997年 5月末 に、た また ま聞いた

MITの

若手研 究者 のセ ミナー で、「

TRIZ(ト

リーズ)」 とい う発明のための思考法の ことを知 り、感激 しま した。それ は旧 ソ連でゲ ンリッヒ・アル トシュラー とい う人が開発 し、冷戦後に西側 に伝 え られて き た もので、膨大な特許の分析か ら得た科学技術 の知識ベースを持 ち、技術 の壁 を打 ち破 る 技法 (思考法

)を

持 っている とい うのです。1997年は米 国か ら日本へ と

TRIZ導

入が動 き 始めた時期で した。私はいろいろ調査・学習 して、

TRIZの

重要 さを認識 し、社内導入 を 実践 しました。 1998年、本学 に着任 した ときには、 この

TRIZを

以後の研 究 テーマ にす ることに決めて い ました。着任早 々、 この 『人文 自然論叢』 に、「

TRIZ(発

明問題解決の理論

)の

意義 と 導入法」

[1]を

執筆 しました。

TRIZを

学 んで1年、知識ベース とソフ トウェアツールを 中心 とした

TRIZの

見方 (当時の 日本での大方の理解

)を

書 いています。 また、1998年11月 1日 に

Wcbサ

イ ト『

TRIZホ

ームページ』

[2]を

創設 しました。当時、 私は情報処理演習 とい う通年の科 目を担 当 し、学生たちにパ ソコンの使い方 を教 え、ホー ムページ作 りを課題 に してい ま したので、 自分で も実践 したのです。 また、その11月 に

(3)

-1-(西

側で

)初

めてのTRIZの 国際会議が米国で開かれるというので、急遠英文サイト『TRIZ

Home Pagc in Japan』 を も作 り、 ポ ス ター 紹 介 を させ て 貰 い ま した 。 こ の 『

TRIZホ

ー ム ペ

ージ』 は、本学の学外向け

Wcbサ

ーバ上 にあ り、私が編集 と運営の一切 を担 当 して満13 年 にな ります。 自分の執筆記事だけでな く、国内 。海外の沢 山の人たちの論文や記事 を和 英並行で掲載 して きました。おかげでい まや、

TRIZの

分野では、 日本 を代表す るサ イ ト であ り、国際的に も広 く知 られているユニークなサ イ トになっています。 1999年 3月 に米国でアル トシュラー協会が主催 して、

TRIZCON99と

い う国際会議が 開 かれ ました。私 はそれに参加す るとともに、 フォー ド自動車のEd Sにkafllsの 3日 間 トレ ーニ ングセ ミナーに参加 して、

USIT(統

合的構造化発明思考法

)を

習得 しました [3]。 前 年 の国際 会議 で私 はSickafusと 知 己にな り、

TRIZを

ず っ とや さ し くした とい う彼 の

USITの

教科書 を読んでい ました。私が フォー ドを訪問 したい とメール したのに対 して、 彼 は この社外での公募制 セ ミナーを企画 して くれたのです。その後、私の研究 は、

TRIZ

を学習 しつつ、

USITを

独 自に発展 させてい くことにな りました。 1999年 8月 に、私は、 ロシア と白ロシア (ベラルー シ

)に

2週

間の調査旅行 をし、アル トシユラーの遺族 をは じめ、約20人 の

TRIZ専

門家の人たちにインタビュー しました。 ロ シアの経済状態が最悪の時期で したが、当時 まだ謎めいていた旧ソ連での

TRIZの

状況 を 実地 に知 りたい と思 ったのです。 この旅行記 を英文で 『

TRIZホ

ームページ』 に掲載 しま した [4]。 小学生への (TRIZをベースに した)倉1造性教育 など、いまで も参考になるこ とがあ ります。 1990年代の末は、 日本では製造業の大企業 を中心 に、

TRIZの

ソフ トツール と技法へ の 関心 が急激 に高 ま りました。ユーザ研究会が作 られ、100人ほ どの技術者 たちが毎 月

1度

集 まって、講演 を聞 き、 グループ作業 をした りしてい ました。私 もそのメンバの一人 とし て参加 していました。 この ような基盤の上 に、

TRIZ教

科書の共同和訳 を した り、

USITの

トレーニ ングセ ミナーを開催 した りがで きたのです。

当時の

TRIZの

情報源 は、米国で Ellcn Dombが 編集 していた 『The TRIZ Journal』 とい う

Wcbサ

イ トで した。毎 月

5∼

6編

の論文や事例研究 を掲載 してい ました。2001年 に、 ヨー ロッパで

ETRIA(欧

TRIZ協

)が

設立 され、その

H月

に国際会議 を開催 しました。 私は毎年、春は米国、秋 は欧州の

TRIZ国

際会議 に出席・発表す るように して きました。 ただ、

TRIZの

普及 は簡単ではあ りませ ん。「す ば らしい方法です」 と話 して も、「本当 かな

?

そんなうまいや り方があるわけないよ」 といった猜疑心が広がっています。知識 ベースの ソフ トツールは高価 ですか ら使 える環境 にいる人は限 られてい ます し、「考 える 方法」 とい うのは文章では伝 えきれず、やは りかな りの時間を使 った演習が必要 とな りま す。 ブームが去 る と、本 当の良 さを悟 り、「考 える方法」 を身 につ けた/つけ ようとす る 人 だ けが残 る こ とにな ります。 日本で は2002∼ 04年頃が そ の よ うな時代 で した。 私 は 『

TRIZホ

ームペー ジ』 を普及の核 としてその時代 を乗 り越 えて きました。

(4)

-2-創造的な問題解決の方法論

TRIZ/USIT研

究・教育・普及活動のまとめ

日本では、いろいろな

TRIZ推

進者やユ ーザが共同 して活動 して行 こうとい う動 きがで き、2005年初めに 日本

TRIZ協

議会を発足 させ (2007年末 に

NPO法

人 日本

TRIZ協

会 に発 展)、 2005年9月 に 日本

TRIZシ

ンポ ジウムを開催 しま した。全 国か ら一般公募 で研 究発 表を募集 し、初回は参加者104人 (う ち海外

4人

)で

した。第

2回

か ら、「基本的に国内向 け、 しか し一部 (できるだけ多 く

)国

際的」 とい う目標 を掲 げて、毎年開催 してい ます。 私は、初回か らず っ とプログラム委員長兼海外対応担 当を して きました。活発で有意義 な

TRIZの

学会 として、(米・欧・ロシアの会議 に並んで

)国

際的 に評価 されて きてい ます。 私にとって、

TRIZの

研究 と教育 とは互 いに支 え合 う関係 にあ りま した。情報学部がで きたとき (2000年

)に

、「科学情報方法論」 とい う科 目を作 りました。名前の趣 旨は、「科 学技術 において、情報 (科学技術の情報お よび 自分が扱 っている問題の情報

)を

どの よう に扱 うとよいのか、その方法 を論 じよう」 とい うことです。私 は、「創造的問題解決の諸 方法」 を主題 として、 自分の研 究 に基づ きTRIZ/USITお よびその周 りのい ろいろな考 え 方 を講義 しま した。

3∼ 4年

生のゼ ミで も、「創造的な問題解決の思考法」が主題 で、身 近な問題 を取 り上げて、それを創造的に解決す る演習 を し、それを卒業研究の課題 に しま した。身近 な問題での解決事例 とい うのは、学生 にも技術者 に も分か りやす く、特 にその 考 えるプロセスの説 明が教育・普及 に役 立 ち ま した。私の教育実践 の全貌 を、2007年 に 『人文 自然論叢』で報告 しま した [5]。 以上の ような経過 をバ ックに して、その中身を以下に説明いた します。

2.研

究 活 動

:TRIZの

研 究 (習得

)と USITの

研 究 (独自の 拡 張) 2.l TR:Z(発明問題解決の理論

)の

研究 (習得、適用、翻訳、発表) 日本における私たちの

TRIZ研

究 は、旧ソ連で行 なわれた膨大 な蓄積 を理解す ることか ら始めました。その材料 は、アル トシュラーの著作やその多数の共同研究者 ・直弟子 たち の論文・講演・ ソフ トツールな どで、英語での資料で した。 初期 に有益 だったの は、TcchOptimレ crと い うソフ トツールで、 ロシアか ら米国に移住 した直弟子 たちが作 った ものです。私は1997年秋∼翌春 に3ヶ月かけて、その知識ベース を習得 し、「

TRIZ法

ソフ トウェアツールの仕組 み と使い方・学 び方」

[6]と

い う独 自の マニュアル兼解説 を作 りました。 この頃の私の

TRIZ理

解 は、つ ぎの図1に表現 されてお り[1]、 この図をデザ イン化 して私の 『

TRIZホ

ームペー ジ』 のシンボルマー ク (図 1の 右上の もの

)を

自分で作 りました。 ロシアにおける

TRIZ(特

に、 アル トシュラーが主導 した1985年 まで を「古典的」

TRIZ

と呼 び ます

)の

考 え方 を理解す るの に有益 だ ったのが、Ylln Sdamatov著 (ロ シア語)、

Valen Souchkov英 訳の

TRIZ教

科書で した。 これを十数名の グループで和訳 し、私 自身が 監訳 して、 陰!造的問題解決の極意』

[7]と

して出版 しました。 この本 を通 じて、技術発

(5)

-3-展 についての

TRIZの

思想 と、問題解決のための考え方 を学びました。 この段 階で、一般 に膨大で難解 と言 われることが多い

TRIZに

ついて、そのエ ッセ ンスをス ライ ドー枚 で表 現 しま した。最初 に米 国の

TRIZCON2001で

示 し、後 に文章化 して

ETRIA主

催 の国際会 議 TFC 2001で 発表 しました [8]。 英文 と和文を併記す ると図

2の

ようです。 やがて、西側の研究者が、西側文化をベースにし、

RIZを

きちんと消化 して発表す る ようにな りました。その最 も優れた ものが、Darrcn Mann(英 国

)の

教科書で した。2002 年 7月 の原著出版ですが、私はそれを読んです ぐに和訳出版を決心 しました。三菱総研主 宰の知識創造研究会の有志17人で和訳 し、私が監訳 して、『

TRIZ実

践 と効用

(1)体

系的

TRIZに

よる問題解決の概念図 中

J‖

図2.TRiZのエ ッセ ンスー50語 による表現 (英文 と和 文) 技術の逆引き

矛盾解消マトリクス

嘔藍∋

0生

≦翌〕

Q竃

―書

9⊂

璽∋

図1.知 識ベースを中心にした 丁RIZの問題解決の概念図

[1]と

『TR:Zホームページ』のシンボルマーク (右上) 科学技術原理

DB

(1997.11) 特許事例

DB

Essence of TRIZ: Recognition that technical systems evolve

towards the increase of ideality

by overcoming contradictrons

mostly with minimal introduction of resources.

Thus, for creative problem solving,

TRIZ provides a dialectic way of thinking,

i.e.,

to understand the problem as a system,

to image the ideal solution first, and

to solve contradictions.

TRIZの

エ ッセ ンス : 「技術 システムが、 理想性の増大に向かって、 大抵、 リソースの最小限の導入により、 矛盾 を克服 しつつ 進化する」ことの認識。 そこで、創造的問題解決のために、

TRIZは

弁証法的な思考、 す なわち、 問題 をシステム として理解 し、 理想解 を最初にイメージし、 矛盾を解決すること を薦める。

(6)

-4-創造的な問題解決の方法論

TRIZ/USIT研

究・教育 ・普及活動の まとめ 技 術 革新』

[9]と

して2004年 6月 に刊 行 しま した。 この本 は、 い まなお、世 界 で も 日本 で も、標準 的 で包括 的 な (現代 化

)TRIZ教

科 書 と認 め られ て い ます 。

Mannの

教科 書 で の 問題 解 決 の プ ロセ ス を フ ロー チ ャー トで 表現 す る と、図

3の

よ うに な ります。 図 中 の キ ー ワー ドは、 教 科 書 の 各 章 で 扱 って い る 方 法 で、22章あ ります 。

Mannは

各 方 法 を分 か りや す く説 明 して い るの で す が、

TRIZ自

身 の 「複 線 的 」 な技 法 の 体系 を維持 して い ます (なお 、 アル トシュ ラー 自身 は、 これ らの多数 の方法 を開発 し、 そ れ らを もっ と複雑 に段 階的 に組 み合 わせ て、「

ARIZ(発

明 問題 解 決 の ア ル ゴ リズ ム)」 と 呼 び ま した)。 私 は、「や は りもっ と もっ とす っ き りした全 体 プ ロセ スが必 要 だ

Jと

、 強 く 思 い ま した。

Mannが

非常 に大 きな研 究 プ ロ ジ ェ ク トを実施 して、上 記 の教 科書 を書 いたの だ と2003 年 に なって発 表 され ま した。彼 らは、 1985年 以 降 に許諾 された米 国特 許 を全 件分析 して、 ア ル トシュラーの研 究 の基礎 デー タを完全 に現 代 化 した ので した。 教 科 書 の多 数 の事 例 (例えば、

TRIZの

40の 発 明原理 の適用事例 リス ト

)は

、 この特 許分析 の結果 に よる もの で した。 さ らに、

Mannら

は、 アル トシュ ラーの 「矛盾 マ トリ ックス」 を現 代 化 しま した。 これ は、技術 的 な 問題 を、「 システ ムの あ る側 面 を改 良 しよ う とす る と、 別 の側 面 が 悪 化 す る」 とい う矛盾 (アル トシュラー は これ を「技 術 的矛盾 」 と呼 び ま した

)と

して捉 え る も のです。 アル トシュ ラー は39の 側 面 (パラメー タ

)を

考 え、39× 39の 枡 目ご とに、特 許 の ア イデア として最 も頻繁 に使 用 され た発 明原理 の トップ

4個

を書 き出 しま した (この ため に、 アル トシュ ラー は約 14万 件 の特 許 (実際 に は旧 ソ連 の 「著者証 明

Jと

い う文書

)を

TRIZの

全体プロセス

問題定義

´ ツ 狙 饗 Darrdl Mannの教科書 (2002年) 解決策生成

"

須 ︶ ⇒ ▲ TRIZは 膨大な体系をつくり上げた。 必要に応じて一つずつ学べばよい (Mann) ‐ゆやはりもっとすっきりした方法が必要。■⇒USITを採用・発展(中川) 図

3 Mannの

丁RIZ教科書 にお け る問題解 決 プ ロセスの全体像

(7)

-5-析 した とい い ます)。

Mannら

は、2002年 まで の米 国特 許 を分析 し、48× 48の マ トリ ック ス (Mat責x211t13)を 作 りあ げ、本 とソフ トツー ルの両方で発表 しま した。私 は この本 を和 訳 し、『新版矛盾マ トリックス (Marix 2003)』 [10]と して刊行 しました (さ らに、

Mann

の『新版 矛盾マ トリックス (MatHx 2010)』 の和訳 もで き上がったところです)。 矛盾マ トリックスの使い方を図

4に

示 しておきます。 西側のいろいろな

TRIZ研

究が発表されて くる中で、私が注 目したのは、

Ltt Ball(米

)の

教材で した。多数の事例で、イラス トをふんだんに使い、独 自のまとめ方をしたも のです。高原利生さんと共にこの教材を和訳 し、『階層化

TRIZア

ルゴリズム』 [11]と し て、『

TRIZホ

ームページ』に連載 し、その後CD―

Rで

刊行 しました。この教材の一つの特 長は、アル トシュラーのいう「物理的矛盾」(すなわち、技術 システムの一つの側面 に対 して、正 。逆の対立する要求がある矛盾

)を

解決する考え方を、多数の事例 とイラス トで 分か りやす く示 したことで した。

さらに2006年5月 に、Umakant Mishra(イ ンド

)の

著作 『ITのための

TRIZ原

理』 の英

文原稿の一部を読み、すばらしいと思いました。アル トシュラーが

TRIZを

開発 した とき

には、機械、電気・電子、化学などが対象分野で したか ら、1990年代の 日本への

TRIZ導

入当初「ITや ソフ ト分野には

TRIZは

使えないのでないか」 と疑 う人が多かったのです。

その後の多 くの人の研究で、IT/ソ フ ト分野にも使えることが段 々はっきりして きていま

した。Mishraの本は、

(Mannの

特許分析 と連携 して

)IT/ソ

フ ト分野の多数の特許を分析

して、それぞれのアイデアのエ ッセ ンスに応 じて、

TRIZの

40の発明原理で整理 した もの です。いろいろな経過を経て、私は

5人

のグループで和訳 し、『ITとソフ トウェアにおけ る問題解決アイデア集』 [12]と していまちょうど刊行にこぎつけたところです。 ソフ ト ウェア分野に携わって きました私にとっては、

TRIZを

知ってか ら15年来の懸案への一つ ヒンHこ なる発 明原理

:a汎

用性,2ユセルフサービス, 2aメカニズム の代替 など 図4.TR:Zの矛盾 マ トリックスの使 い方 (概念図) 改良したいパラ するパラメータ

(8)

-6-創造的な問題解決の方法論

TRIZ/USIT研

究・教育・普及活動のまとめ の回答にな りました。 これ らの他 に も、米国 と欧州での国際会議や 日本

TRIZシ

ンポ ジウムでの多数の発表か ら、いろいろな研究上の刺激 をうけましたが、省略 します。

2.2 US:T(統

合的構造化発明思考法

)の

研究 (習得、適用、拡張、理論づけ、実践)

USITの

歴史は、1980年代初めに、アル トシュラーの弟子 たちの一部が イス ラエルに移 住 し、

TRIZの

簡易化 の必要 を認識 して、解 決策生成法 を

4種

だけに絞 りこんで、SIT法 (体系的発明思考法

)を

作 った ことに始 ま ります。1993年に Ed Sickafus(米 国

)が

これ を 知 り、

TRIZを

も研究 した上で、独 自に問題解決の一貫 プロセスを作 り、

USITを

作 りま し た。彼はフォー ド社内で実践・普及 させ、1997年 に

USIT教

科書 を自費出版 しました。 プ ロセスが単線的で、基礎概念が一貫 してお り、私はこの

uSITに

注 目しました。 私の

USIT研

究 は、 まず習得・導入か ら始 ま りました。Sickaftlsの教科書 を読み、1999 年 3月 にSickafusの 3日 間USITト レーニ ングセ ミナーに参加 しま した。 このセ ミナーは、 参加者10人、それぞれに問題 を持 ち込んで、講義 とグループ演習

(2∼ 3人

ずつ

)を

組み 合わせた もので した。 このセ ミナーの私の報告 (USITの説明、セ ミナーのや り方の説明、 問題解決事例

2例

)[3]が

、 日本での

USIT導

入の最初です。 私 は、Sickafusに 励 まされ、1999年 7月 に企業 内で実地問題 の解 決 を図 る usIT 3日 間 トレーニ ングセ ミナーを始め ま した。 また、同様 に公募市1での トレーニ ングセ ミナー を開 始 し、いろいろな企業の技術者 たちに

USITを

教 えるとともに、実地問題解決のグループ 演習 を通 じて

USITの

技法 を磨 いてい きました。 また、公募制セ ミナーの利点 を生か し、 その問題解決の事例 を具体的に公表 してい きました。 これ らの活動 に よ り、伝統 的

TRIZよ

りもず っ と分か りやす く適用 しやすい

uSIT(の

問題解決 プロセス

)を

軸 に して、

TRIZを

普及 させ てい くのが よい との確信 を得 るように な りました。そ して、当時 (特に米国で

)提

唱 されていた

TRIZ導

入の「革新的戦略」 に

対 して、私は「漸進的戦略」を提唱 し

(図 5)、

それが 日本での TRIZ導 入の一つのガイ

ドラインになりました

[13]。 「革新的」導入戦略 「漸進的」導入戦略 (中川) TRIZの全体系 を完全 な形 で ARIZのアル ゴリズムに忠実 に 問題 の シス テム分析 を 最初 か ら教 えて 上か らの組織 で 全社員 に号令 して 従来の開発 ス タイル を革新 して 有効性 を “信 じて" 急速 に 広範 囲 に TRIZを理解 で きる部分 か ら USITの簡 易化技 法 を使 って USITの問題 分析 とTRIZデー タベ ー ス を利用 して 草 の根 の組織 をベ ー スに 自覚 した人か ら徐 々に 従 来の技 術 開発 中に取 り入れ て 有効性 を実 証 しつつ 無理せず 着実 に 深 く 図5.丁R:Zの導入戦略の対比:「革新的」戦略と中川の「漸進的戦略」

(9)

-7-USITの

学習・適用 における当初か らの大 きな課題 は、(問題 システムの分析段 階は しっ か りしているけれ ども

)解

決策の生成段階では

5つ

の解法のSickafusに よる説明が直感的 であ ま り体系 的でない ことで した。 このため、習得 しに くい とい う意見が多 く、

TRIZの

多数の方法 (例えば、40の発明原理

)に

比べて よく整備 されていないことは歴然で した。 2002年 初 め に古謝秀 明が、

TRIZの

40の発明原理 を

usITの

5解

法 に関連づ ける作業 を開 始 し、私が加 わ り共 同研 究 を しま した。私 は、つ ぎの 図

6の

ように、

TRIZの

全解 法 を

USITの

5解

法 に分類 しなお し、 さらに

USITの

5解

法 を階層的に細分類 して合計32の サ ブ解法に整理 しま した [14]。 (なお、 ここで、「オブジェク ト」 とはシステムの構成要素 (例えば、部品

)の

こと、「属性」 とはオブジェク トが持つ性質のカテゴリのこと (例えば、 温度は属性、25℃ は属性の値

)で

す。)

USITの

解 法 は、「何 を どうす る」 とい う形 式 です の で、「

USIT(サ

)オ

ペ レー タ」 と 呼 んでい ます 。 そ の例 と して、 よ く使 われ る「 オブ ジ ェ ク トを分割 す る」 サ ブオペ レー タ

TRIZの すべての解法をばらして、再編成した

中川徹・古謝秀明・三原祐治 (ETRIA TFC 2002)

TRIZの

解 決 策 生 成 法 ― 「

USITオ

ペ レー タ」 (5種 32サブ解 法) 解法集: 40の「発明原理」 76の「発 明標 準解 」 35の「技術進化のトレンド」 個 別原理: 分離原理 Sei←X原 理 トリミング オブジェクト複 数化法 属 性次元法 機 能配置 法 解 決 策組合せ 法 解 決 策一般化法 図6.TRIZのすべての解決策生成法 をば らして、USiTオペ レー タに再編成する uSrr解決 策 生 成 技 法(lo) (lc)そのオブジェクトを,分割(1/2,1/3,…1/∞ ずつ)する 現在のオブジェクトを複数の部分に分割し, 分割した部分部分に く少しずつ,互いに異なる)変 更を加えて, 再統合して一緒に用いる。

Z督

L性

P15ダ イナミック性 図7.USiTオ ペレータの例 :(lc)「 オブジェクトを分割する」サブオペレータ

(10)

創造的な問題解決の方法論

TRIZ/USIT研

究・教育・普及活動のまとめ

(lc)を

7に

示 します。図

7の

左下 に書 いているのは、 このサブオペ レー タを導 出 した

TRIZの

発明原理 (この場合 は

4つ

)で

す。 図

8に

例示 したのは、「(釘と紐か らなる通常の

)額

縁掛 けを、額縁が傾かない

/傾

きに くい ように改良せ よ」 とい う問題での、 さまざまな解決策の案です。種 々の

USITオ

ペ レ ー タを「釘」に作用 させ て、解決策 を導出 しています。一つの

uSITオ

ペ レー タ (例えば、 図

7の

「オブジェク トの分割」のオペ レー タ

)を

適用す るには、

(a)対

象 を一つ選 び (例えば、「釘」 とい うオブジェク トを選 び)、

(b)指

針 に従 ってその対象 にそのオペ レ ー タを作用 させ

(例

えば、釘 を長 さの真 中で三分 して、一方 をつ るつ る、他方 をざ らざ らにして、 もう一度 くっつける)、 そ して、

(c)そ

の有効 な使 い方 を考 える

(例

えば、 つ るつ るの所で紐 を調節 してか ら、 ざらざ らの所 に紐 を押 し込んで保持す る案)、 とい う や り方を します。 この ように非常 に具体的な指針 ですか ら、 どん どん適用す ると、 どん ど んアイデアが出るのです [15]。 US「の 解 決 策 生 成 オペ レー タを作 用 させ た例 (部分) 「額縁掛けの問題」で、「釘Jこオブジエクト複数化法と属性次元法を作用させた。

1人

│ヤ

: 1■

図8.US:Tオペ レー タの適用例 :額縁掛 けの問題 で種 々のオペ レー タを作用 させた US「F解決策生成技法(5) USI下の 解 決 策 一 般 化 法 各具体案を一般化して表現し, 解決策の雛形にして, 解決策のアイデアを連想的に発展させる。 また,解決策の階層的な体系を作る。

9.USITの

「解決策一般化法」オベレータの指針

(11)

-9-問題定義 解漱 生成

r期

畑 初 図10 USiTによる問題解決の全体プロセス (フローチャー ト表現) さらに、

USITの

一般化法 を模式的に図

9に

示 します。図の左下 に示す ような、一般化 と具体化 を常 に意識 して使 う連想的な発想法は、 これだけで も非常 に強力な (通常 のブ レ ー ンス トー ミング よ りはるか に優 れた

)ア

イデ ア生成術 です。 また、(図の右 下 の よ う に

)解

決策 を階層的に体系化することは、解決策の網羅性 を高め、アイデアの抜 けをな く し、 よ りよいアイデアを探すのに有効です。 この額縁掛 けの問題の本質は、「額縁 を水平 になるように調整 している時 には釘 と紐 は (つるつ るで)「滑 らかに動 く」必要があ り、それでいて、調節 を終わって手 を離 した後で は、釘の所で紐が「滑 ってはいけない

/固

定 されている」必要がある」 とい うことだ と分 か りました。 これは

TRIZで

い う「物理的矛盾」の一つの例です。 この ように理解す る と、 問題 を本質的に解決 しているアイデアと、そ うでないアイデアを区別で きるようにな りま す。 さて、

usITの

全体 プロセス (具体例は後の3.3節を参照下 さい

)は

、いつ もフローチ ャ ー トで表現 されて きました。sickafusの セ ミナーでの表現 [12]を改良 して、2004年 には

USITの

フローチ ャー トを図10のように表現 してい ました [15]。 創造的問題解決の方法に対する理解が、私 自身で大 きく発展 したのは、この

USITの

プ ロセスを、「フローチャー ト」でなく、「データフローダイアグラム」で表現 しなお したと きで した。 これについては節を分けて説明 します。 2.3「創造的問題解決の新 しいパラダイム」の研究 (概念化、意義づけ) 情報 を処理するプロセスを表現するには、「フローチャー ト」が最 もよく使われ ますが、 「データフローダイアグラム」 も基本的なものです (図11)。 フローチャー トが「処理方法 (実際にはその名称)」 を記述することを主眼 とするのに対 して、データフローダイアグラ

-

(12)

10-創造 的 な問題解決 の方法論

TRIZ/USIT研

究・教育 ・普 及活動 の まとめ フローチヤー ト表現

:①

い 処 理 法

1些

二 型 塑

L処

理 法

2-一

: ││││ト

JIIIロ

11フ

ローチャー ト表現 とデータフロー表現の対比 ムで は、最初 (の入 力)、 中 間、 最 後 (の出力

)の

各段 階 で獲 得 ・利 用 すべ き情 報 を明示 す る こ とを主 眼 に し ます 。 い わ ば、前 者 は「How」 の連 鎖 で 表 現 し、 後 者 は「What」 の 連鎖 で表現 してい るのです (例えば、要求仕様書 、概 念設計 書 、詳細 設計書 な どで記述 す べ き項 目を述べ るのが、

Whatの

指 示 で あ り、 そ の記 述 を変換 して い く方 法 を述 べ るのが

HOwの

指 示 で す)。 情 報 科 学 にお い て、「両 者 の うちで デ ー タ フ ロー の 方 が よ り根 本 的 で、 安 定 で あ る」 こ とが よ く知 られ て い ます。 同 じ

Whatの

連 鎖 に対 して、

Howの

連 鎖 は い ろ い ろに変 える こ とが で きるか らです。 従 来か ら、 問題 解 決 の思 考 法 をデー タフ ロー ダ イア グ ラムで書 い た もの は、抽 象 的思 考 を薦 め る「

4箱

方 式 」 と して よ く知 られ て い ます (図12)。 自分 の 問題 を具体 的 な レベ ル だ けで ご りご り考 えるので はな く、問題 を抽 象化 して、 よ く知 られてい る一般 化 した (抽 象 化 した)「 モ デ ル」 で 考 え、 そ の モ デ ル で の 解 決 策 を参 考 に して、 自分 の 問題 に対 す る 解 決策 と して具体化す る とよい とい うのです。 これ は、理学 で も工学 で も基本 とされ てい る方式であ り、 この「モデル」 は、理論、雛形、事例、知識ベースなどとしてあ らゆる分 野、あ らゆる ところで蓄積 されて きてい ます。

TRIZの

基本方式 も同 じで、図

1が

それ を 端的に表 してい ます。

TRIZの

特長 は分野 を越 えて適用で きるい くつかのモデル (たとえ ば、図

4の

矛盾マ トリックス

)を

作 り上げたこ とです。 従 来 の 創 造 的 な問 題 解 決 の た め の「4箱方 式 」 科学技術の基本的方法 (分野ごとに別々の多数のモデル) =〉(伝統的)TRIZの基本的方法(分野を横断した、複数技法) 問題を「あ 不完全な分析 TRIZの基本 的方 式) 図

12従

来の創造的な問題解決のための「

4箱

方式」(科学技術と

総遠

1具

ぼ福警黎換策

る側面」で抽象化する。モデルに「あてはめる」。==〉 知識ベースに蓄えたモデル群 ―- 11 -―

(13)

先 に図

3に

示 しましたように、

TRIZの

全体 プロセスが複線の構造 を持つ ことは、複数 のモデルを持つ こと、一つずつのモデルでは不十分 なことを意味 します。実際 に、「抽 象 化す る」 と言 って も、「既存のモデルにあてはめる」(例えば、矛盾マ トリックスのパ ラメ ー タの どれか二つ を選ぶ

)こ

とが多 く、それは限定 した側面だけでの考察 (分析

)で

す。 その結果、「モデルが与 える一般化 した解決策」は多 くの場合に「 ヒン ト」 に しか過 ぎず 、 それが何 を意味す るか を理解す ること (すなわち、新 しいアイデアを得ること

)は

自明で な く、具体化へ の道程 は遠 いのです。

TRIZだ

けでな く従来の技法の大部分が、 この「4 箱方式」 を類比思考 (「ヒン ト」 をベースに した思考

)の

レベ ルで扱 って きてい ます。 そ して、「モデルの一般化 した問題

Jや

「モデルの一般化 した解決策」が どの ような内容 を 持つべ きかは、モデルに依存 しますので、 これ らの言葉以上の普遍的な説明はあ りませ ん。 私 は2004年 に

USITの

全体 プロセスを初 めてデー タフロー ダイア グラムで表現 し [15]、 それ を考察 した結果、下記の ような「

6箱

方式」 を得て (図13)、 それが 「創造的な問題 解決の新 しいパ ラダイム」であることを認識 しました [16]。 実 はこの うちの上半分 (すなわち、第

2箱

か ら第

5箱

への過程

)が

USIT(や

TRIZ) の思考の世界です。他方、下半分 は現実の世界です。すなわち、第1箱か ら第

2箱

へ は ど んな問題 を扱 うか を決める

USITの

予備的段 階 (問題定義段 階

)で

あ り、第

5箱

か ら第6 箱へ は解決策 を実現す るための

USIT終

了後の段階 (実際に細部 まで設計・制作 し、商品 な どとして成功 させ るまでの段 階

)で

す。 これ ら下半分の段 階は共に、技術的・ ビジネス 的・社会 的 な現 実 の判 断基準 で考 えるべ き部分です。 ですか ら、下半分 で は

USIT(や

TRIZ)以

外 の 技 法 、 例 え ば 、 品 質 機 能 展 開 (QFD)、

CAD/CAE/CAMや

タ グ チ メ ソ ッ ド (品質 工 学

)な

ど、 が 中心 とな るべ き領域 で す 。 ︵ 単 量 暉 ︶ ︵ 書 , さ ︶ 創 造 的 問 題 解 決 の 新 しい方 式 分野を越えた汎用的な方式 (一般化した問題) 現在システムの理解 十 理想のシステムの理解 〔問題の分析〕 (USi丁の「6箱方式」) 「類比思考」のあいまいさ 力くなくなった!! (一般化した解決策) 新システムのための アイデア 「創造的な問題解決の新しいパラダイム」 ―- 12 -― 図13.「USiTの 6箱 方式」

=

(14)

創造 的 な問題解 決 の方法論

TRIZ/USIT研

究 ・教 育 ・普 及活動 の ま とめ 新 しい「

6箱

方式」の本質は、第

3箱

と第

4箱

の内容 にあ ります。第

3箱

は、「(問題が ある

)現

在のシステムの理解 と (その問題 をまった く持たない

)理

想のシステムの理解」 です。現在 の システムを理解す るには、「オブ ジェク トー属性 ―機能」の概念 と、空 間 と 時間の概念 を使い、 システムの働 きのメカニズム と問題 (困難

)を

生 じさせている性質 を 明 らかに します (そのためには、機能 ―属性 分析 や、空 間・時 間の分析 を します)。 また、 理想のシステムを理解す るには、その望 ま しい振 る舞いを考 え、望 ましい性 質 を考察 しま す。第

2箱

か ら第

3箱

に達す るには、(各問題 の専 門知識 だけでな く

)(USITの

)技

法 の 大 きな助 けが必要です。 そ して、第

4箱

は「新 しい システムのためのアイデア」です。 これは「 ヒン ト」の段階 ではな く、「現在の システムの何 を どう変 えれば よい」 とい う意味のアイデアです。それ は、新 しい システムを作 り上げるための中核 になるアイデアですが、それが本当に実現で きるのか、 どれだけ有効であるのかはまだ分かっていない段 階です。その ようなアイデア は、一見小 さな断片です (歴史上の さまざまな大発明で も、中核 のアイデアはその ように 小 さなものです)。 では、第

4箱

のアイデアを どの ように して得 るのか

?

理論 的な立場での説 明は、(第

3箱

)現

在の システムの諸要素 に (図

8に

例示 した ように

)USITオ

ペ レー タをさまざ まに (網羅的に

)作

用 させ ることです。ただ し、本質は「網羅性」 にあるのではあ りませ ん (コ ンピュー タを使 えば、何百 とい うア イデ アを機械 的 に出力す ることは可能で しょ う)。 本質は、「このアイデアを使 えばきっ と新 しい良い ものがで きる」 とい う選択眼 にあ ります。他方、実践的な立場でい うと、第

3箱

を導 く分析 の過程で、問題の本質が明 らか にな り、何 をどう改良すべ きか とい うアイデアを「 自然 に」思いつ くようにな ります (わ れわれ人間の脳がその ように働 きます)。 もちろん、 さまざまな技術 を知 っていて、

USIT

オペ レー タ (あるいは

TRIZの

40の発明原理 な ど

)に

習熟 していれば、 この思いつ きはず っと容易になるで しょう。 第

5箱

の「解決策の コンセプ ト」 は、「 この ようにすれば きちん と動 き、問題が解決 さ れるはず だ」 とい う案です。その ような解決策の構築 は、 もはや技法 (uSITな ど

)主

導 ではな く、その技術分野の素養が必要です (素人が なかなか よい発明を作れないのは、ア イデア (第

4箱

)が

出て も、解決策 (第

5箱

、 さらには第

6箱

)に

までで きないか らで す)。 ただそれで も、現在 の システム と理想 の システム を きちん と考察 した結果 (第3 箱

)が

、 この解決策の構築 を助 けます。 また、他分野の技術 を導入する とよい ことも多い ので、(TRIZの

)知

識ベースなどが ここで役 に立 ちます。 図13の「

USITの

6箱

方式」の理解 の しかたはいろいろあ りますが、一つの大事 な理解 が図14に示す ものです。図の左半分 は、問題の分析

(理

)で

あ り、本当の意味の「抽 象化」です (モデルヘ のあてはめ

/写

像で はあ りませ ん)。 図の右半分 は、中核 となるア イデアをもとに して、具体的な解決策 を構築 。実現す る「具体化」の過程です。そ して、 ―- 13 -―

(15)

新システムのための アイデア

図14. 創造 的問題解 決の新 しいパ ラダイムの一つの理解 この橋渡 しを しているのが、(理論的には

)USITオ

ペ レー タによる変換ですが、実際には、 分析 を深める中で解決のためのアイデアを「 自然に」思いつ くことです。 この「

6箱

方式」の意義は、分析の過程 (図14の左半分

)で

、標準的な概念 を基礎 に し て、多様な問題 に対 して も共通の標準的な方法 を使い ますか ら、習得がや さしく、汎用的 な方法であることです。既存のモデルにあてはめる (写像す る

)方

法ではな く、 ヒン トを ベースに してその具体化を考える方法ではないことが、新 しいことです。 また、部分的、 断片的な技法でな く、一貫 した全体 プロセスを提供 しています。 これ らの ことか ら、 この 「(USITの

)6箱

方式」 を、私 は「創造的な問題解決の新 しいパ ラダイム」である と、主 張 してい ます [16]。

3.教

育活動

:「

創造的な問題解決の思考法」の教育 と主体性の教育

3.1「

創造的な問題解決の方法論」の講義

前述の ように、私の教育実践 をまとめて、本学の 『人文 自然論叢』 に2007年 3月 に掲載 しま した [5]。 私が しました講義の中心的な科 日は、「科学情報方法論」

(2年

次後期 配 当

)で

した。初年度 (2001年度

)の

講義 ノー ト(全13回、各回90分

)を

TRIZホ

ームペ ージ』 に掲載 しました。その後、毎年少 しずつ改良 して きています。2010年度の講義 (全 14回

)は

、図15のような構成です [17]。 各 回の タイ トルか らお分か りの ように、TRIZ/1JSITを 中心 に して、 もっと広 く「創造的 な問題解決の諸方法」 をテーマ として講義 しています。で きるだけ身近な事例 を取 り入れ て話す ように してい ます。 この講義 を2010年度に全回、 ビデオに収録 して もらいました。 これを公開あるいは学内公開す るつ もりでいたのですが、小 さな階段教室での講義のあ り ︵書 鸞 き ︶ ―- 14 -―

(16)

創造 的 な問題解決 の方法論

TRIZ/USIT研

究 ・教 育 ・普及活動 の ま とめ

(1)や

さ しい導入 :技 術 革新 に必要 な柔軟 な考 え方

(2)科

学・技術 の研 究 と学 習の方法 :「観察 か らJ、「原理 か ら」、「 問題 か ら」 の アプローチ

(3)問

題 を見つ けて絞 り込 む、情報 を収 集す る (4)「発想」 とは何だろう

?

試行錯誤 とひらめ きと創造性 (5)「システム」 とは :構 成要素 とその関係、階層性、技術 システム

(6)問

題の分析

(1)問

題 (困ること

)の

「原因」 をつ きとめる

(7)補

講 :レ ポー ト(論文

)の

作 り方・書 き方

(8)問

題の分析

(2)技

術 システムの機能 と属性の分析

(9)問

題 の分析

(3)空

間 と時 間の特性 ;理 想解 か らイメー ジす る (10)解決策 の生成法

(1)知

識ベ ースの活 用 (11)解決策 の生成法 (2)「壁 」 を破 る方法 (ブレイ クス ルー) (12)解決策の生成法

(3)解

決策 を生成す る方法 の体系 (USIT) (13)問題解 決の 身近 な事例 とUS「F法の ま とめ (14)創造 的問題解 決の方法論の ま とめ (2)TRIZ、 お よび全体 ま とめ 図15.「科学情報方法論」の各回講義テーマ (主題:「創造的な問題解決の諸方法」) のままの もので、一部に学生が写 っていた りして、プライバ シの観点か ら、お蔵入 りいた しました。講義 の全教材 (学生 に渡 している毎 回

8∼

12頁の プ リン ト

)を PDFに

し、許 可 を得て 『

RIZホ

ームページ』 に公表 しました (2012年 1月 )[17]。 3.2「創造的な問題解決の思考法」のゼ ミナール :身 近 な問題解決の事例づ くり

3年

次のゼ ミナール と

4年

次のゼ ミナール (卒業研 究

)と

は、継続 して (同じ教員が) 教 えます。実践報告

[5]に

書 きました ように、

2年

次の上記講義 を履修済みであるこ と を要求 しているのですが、実際 には未履修 でゼ ミに入 って くる学生があ り、

3-4年

次 で のゼ ミの習得の程度はまちまちで した。身近 な問題解決の事例 を学 び、共同演習 を し、卒 業研究では一人一人のテーマで問題解決事例 を作 るように、努めて きま した。つ ぎの よう な事例がで きてい ます。 ・ 「携帯電話の将来像の考察」(笠原拓雄、2004年

)一

TRIZの 9画

面法の適用事例 ・ 「ホ ッチキスの針 をむ しゃげな くす る方法」(神谷和 明、2004年

)一

賢い小 人たちの方法 の例 。「裁縫で針 よ り短 くなった糸を止める方法」(下田翼、2006年

)一

uSIT法

のや さ しい適 用事例 ・ 「書店で万引 きをな くす方法」(林尚也、2006年

)一

時間分析 の活用、人が関わる問題 の 事例 ・ 「オー トロック ドアのマ ンションで不審者の侵入 を防 ぐ方法」(藤田新、2007年

)一

社 会

&技

術問題への TRIZ/tySITの 適用 ・ 「 コー ド・ケーブルを絡 まな くす る方法」(伊東智之、2007年

)―

諸事例 を体系的に分類 して考察 ―- 15 -―

(17)

初めてTRIZに触れた 人にも、分かるもの ・難しくないと安心 ・初心者の興味を引く ・TRIZ力t 「どのようなものか」 を知つてもらう 学生による 学生のための ホームページ

16.『

学生による学生のための丁

RIZホ

ームページ』の作成の意図

[16]

・ 「パスワー ドを思い出させる方法」

(上

田祐太朗、

2009年

)一

人間が関係する物理的矛盾

の例 ・ 「草取 りの方法 と道具の考察」(三宅貴久、2011年

)一

目的、機能、道具などの体系 的考 察 また、学生たちの問題解決事例 を集めて、学生たち自身でホームページを作 って公開 し ました [18]。 その意図を図16に示 します。私 自身多 くの記事 を『

TRIZホ

ームペー ジ』 に 掲載 して、

TRIZの

普及 を図ろ うとして きたわけですが、学生たちはその内容が とっつ き に くく、分か りに くい といい ます。 もっと、学生たちの興味を引 く内容 を、や さしい言葉 で書 こうとして、学生たちが公開のホームページを作 ったのです。 3.3身近 な問題解決 :「裁縫で針 より短 くなった糸 を結ぶ方法」―

USiTの

一貫適用事例 ここで、上記の卒業研究の中か ら一つの例 を選 び、USIT(2.2節参照

)を

適用 した全 プ ロセスを例示 してお きます。 この例 は、下田翼君の卒業研究 をベースに して、私が まとめ 直 し、InterLab誌での

TRIZ連

載 [19]を初 め として、 さまざまな講演や解説の中で使 っ て きた ものです。 なお、初めのころは、学生の卒業研究の内容 に手 を入れて話す ことに、 私 は (ありの ままに話 していない とい う

)一

種の後ろめたさを感 じていました。 しか し、 後 になって、「学生の卒業研究 を (提出後 に

)積

極的に手 を入れて きちん と仕上げて発表 す ることは、指導者の責任 だ」 と思 うようにな りました。(学部

)学

生の成果 はその まま では不完全 なもので しかあ りませんが、足 りない所 を補い、表現 を推敲することによって、 一つの きちん とした研究事例 にな ります。それは、沢山の学生たち、 さらに社会人の人た ちに も理解 されるものになるのです。 この事例 は、「裁縫で針 よ り短 くなった糸 を結ぶ方法」 を考え出す問題です。私が最近 の講演で使 った

4枚

のスライ ドの形で示 します (図17)。 スペースがあ りませんので、 こ

-

(18)

16-創造 的 な問題解 決の方法論

TRIZ/USIT研

究 ・教 育 ・普及活 動 の ま とめ 問 題 を分 析 す る(1):現在 の システ ム の 理 解

①機

[継

露λ

ll,電:写

Iは

じグ

(2)属 性 の 分析 :糸 や針はどんな性質があるか? これらの性質を知って、どう使うのか? 鮮 踊 輸 桑 臨 切 姻 難 てII≧ヨ `:【 「 ´ これらの性貫は当たり前であり、これが「●I約」条件である。 「 "約」は守らなければならないのか ?「"約 Jを外す′破ると、新しい解決策が生れる. (3)時 間特 性 の 分析 :●■の「プロセス」(ェ薇)を 考える。 最 "工櫂だけで工夫することも、工程を違よつて解決することも。 (4)空 間特性 の分 析:糸を縮ぶ 目的は、糸の先喘を「■に太くするJこと。 糸の「饉び」、針の「穴Jと糸のトボロジ│1係は晏注意。 既知の方法のいくつか おばあさんIま普通どうやるか? 何かよし

ヽ→

糸の輸を安定に作るのが 針の穴に「切欠き」がある(市販品). 難しく "習を要する。 糸が綸になつたままで、外せる。 問糖 を分 析す る(2)理想 の システム の 理 解 「結び」を作るときの 糸の配置 は? このような配■に 糸を空間で文えること力`できるとよい。

一E

(2d)身 近な適用事例: 裁組で短くなつた糸を止める方法 下 田 ■ 、大 阪学院 大 学 卒 業研究 問題を定義する: (a)望ましくない効 果i 糸の長 さが 、針 より短 く、玉止 めできない. (b)課 題宣書 文: 裁 縫 で針 より短 くなつた糸を上 める方 法 を作 れ 。 lc)回 解: (d)考 えられ る根 本 原 因│ 標 準 的 方法 (工止 め)で は 、 糸の 余長 が針 より長いという 制約 がある。 (o)関 連する最 小限 のオブジェクトi 布、糸 (既 に縫 つた部 分)糸(余 りの 部 分)、針 解決策を生成する:アイデアを発想し、解決策を構 築する 既知 の技 か ら改良できるか ' 荒 唐無稽なアイデアはないか?

ボキッと折 る! ● ねじ込みにしておく ヘアピン型の4ヽ道 軋 ‐

喩鬱彙

ストローの小 道具 図17 US:T法 の適用事例:「裁縫で針より短くなった糸を結ぶ方法」(US:T法 の一部始終 ) の事例 自身を丁寧 に説明す ることは しませ ん。 ともか く、 これが

usITを

素直 に適用 した 一部始終であ り、問題定義、問題の分析

(1)(2)、

解決策の生成 とい う段 階 を踏み ます。

3.41年

次ゼ ミナール:B:『

7つ

の習慣 テ ィーンズ』 を学ぶ もう一つの教育実践 としてここに記述 してお きたい と思 い ますのは、

1年

次後期のゼ ミ ナールIBです。 このゼ ミナールは当初、情報学部 として「読み、書 き、発表す る訓練」 という統一 日標で したが、2008年か ら全学で「読み、書 き、考 え、発表す る訓練」 とい う 統一 日標 にな りました。その教材や内容 は教員の判断に任 されてい ます。私は、2008年 か ら教材を変更 して、 シ ョー ン・コヴィー著 『

7つ

の習慣 テ ィー ンズ』[20]を採用 しま し た。 この本でい う「習慣」 とは、考 え方、行動の しかた として身についているものの こと で、つ ぎの「

7つ

の習慣」 を身につけることを薦めてい ます。 第1の習慣 :主 体的に行動す る 第

2の

習慣 :目的を持 って始める

3の

習慣 :一 番大切 なことを優先する 第

4の

習慣

:Win_Winの

考え方 第

5の

習慣 :まず相手 を理解 してか ら、次に自分が理解 される ―- 17 -―

(19)

6の

習慣 :協 力か ら生れる相乗効果 第

7の

習慣 :自分 を磨 こう このゼ ミナールの実践報告一式 (ゼミナールの趣旨とや り方、本の紹介、学生の レポー ト、 レポー トヘのコメン ト、など

)を

TRIZホ

ームベージ』で公表 しています [21]。 こ の本の部分部分を順番に音読させては、感想を聞き、みんなで議論 します。学期中に

3回

(後には

4回

)の

レポー トを出させ ます。課題は、「このゼ ミナールで学んだこと、考えた こと」 とし、「感 じた、思った」 という感想文ではないことと指示 しています。その レポ ー トについて、文章の書 き方を個別に推敲 し、また書いている内容についてもコメン ト・ 指導 します (「感想」は指導の対象 にな りませんが、「学んだこと、考えたこと」な ら指 導 。議論の対象にで きます)。 この レポー トを文集の形でクラス全員 (10∼ 16名

)に

渡 し、 コメント集もみんなに渡 します。学生たちにとって、クラスのみんなが書いたものを読む ことは、興味があ り非常に有益ですから、自分の ものをみんなが読むことも承知 します。 また、先生のコメントも、いろいろな学生に書いているものを読むとよく分かるようにな ります。 音読 させる中で、「「。」のところで きちんと止 まって読みなさい」 といった指導 もしま す。学生のレポー トの文章は第 1回 は舌足 らずでめためたのことがあ りますが、添削 を重 ねて、第

3回

になると随分 よくなってきます。 この教材は、「主体的に行動する」ことをまず第一に掲げています。 自分の行動 に責任 を持つ ようにせ よ、物事に感情的に反応するのでな く、「一時停止ボタン」を押 して どう するとよいのかを考えて行動せ よとこの本は書いています。この学習の最後の方で私は、 「主体的に行動するとは、「出発進行ボタン」を押すことでないのか」 と学生に問います。 アグレッシブであるように育ってきているアメリカの若者 と、いつ も周 りを気にして受け 身で順応 しようとする (あるいは逃避する

)日

本の若者 とで、強調するべ きことが違 うか らです。 この「主体的に行動する」 という態度

/精

神は、「創造的に考える」ための本当 の基盤であると思っています。この本が薦めている「

7つ

の習慣」は、学生たちにとって も、社会人にとっても、そ して私自身にとっても、非常に大事な根幹に関わることです。 3.5「中川 徹の ミッション・ ステー トメン ト」一先生がやつてきた宿題 上記のゼ ミナール IBの 教材では、「第

2の

習慣:目的を持って始める」において、 自分 の「 ミッション・ステー トメント」を書 くことを薦めています。 自分のあ りたい姿、モ ッ トーを、 どんな形式で もよいか ら、 きちんと書いてみなさいというのです。私は、スチー ブン・ コヴイーの『

7つ

の習慣』を読んで感激 してからも、一年半これが書けませんで し た。ゼ ミナールの

2年

目になって、学生たちにレポー トを書かせているのだか ら、やは り 先生である自分 もきちんと書かなければいけないと思いました。そこで、2009年 12月 に書 いたのが、図18のような自分の ミッション・ステー トメントでした [22]。 ―- 18 -―

(20)

創造 的 な問題解決の方法論

TRIZ/USIT研

究 ・教 育 ・普及活動 の まとめ 中 り‖徹 の ミ ッ シ ョ ン・ ス テ ー トメ ン ト

1

誠実 で、真剣 であ る こ と

2

我 を捨 てて、広 く暖 か い心 を持 つ こ と

3.健

康 に努 め、 明 るい心 を保 つ こ と

4.柔

軟 で創造 的 な思考 を磨 くこ と

5.人

と社 会 の役 に立つ こ と 2009年12月 14日 中川 徹 図18「中川 徹のミッション・ステー トメント」 レポートを作●│ じポ ー トの 日鶴 を 哺 電 に ● ● 感な文ではない. 報告 書 、論 文 提案 書 など 雄 に読 ん でもらうの か 締切 は? 自分 が利 用 可能 な時間 は? 課題 の 範囲 中心 テーマはなにか │││■

じポートのほ

1

責摯の書●宙

││■

│■IJ 味 計 記 録 分 析 のグ ラフ ロ など) 文献 の リスト 本 文 をljt筆する(書式 に沿 つて頭か ら) 書 いたものを 繰 り返 し推 敲 す る 事実 に基づいて 鶴 潔 に 論 理 的 に 隣み やす い 一 貫性 分 か りやり い きちん とした構 成 ばっとえ て分 か 明快 重 点を最 初に 六 の 撃 脚 :の し べ ′ι 文と文を接続詞で論理的に栞ぐ 重要なことを先に述べ、後で崚明 観点の変化は明紀する FE薔の しべ ′ι 数行で一つの段落に 段落は 内容││な ひとまとまりの文章 段落の先頭に =文 その後に 餞明 例示 諄網化など 節 や 摩 の しべ ′ι 段落を単位として 階層的に構成する 見出しをつける 文 書 全 体 の しべ ′L 中身を表すようにタイトルをつける 文書全体の構成をきちんと作る 図19「レポー トの作り方・書き方」

A4-枚

のまとめ [23] 私は「「中川 徹の ミッション・ステー トメン ト

Jと

その心」 という文を書いて、学生た ちの レポー トヘのコメン ト集 と同時に、学生たちに渡 しました。 また、私の『

TRIZホ

ー ムページ』にも掲載 しました [22]。 そこに書いています ように、これは「あ りたい姿」 ―- 19 -―

(21)

であ り、「 自分がそ うで きている」 ということではあ りません。特 に、 この第

1項

と第

2

項 との葛藤が 自分の中で常 にあ ります。 3.6「レポー ト(論文

)の

作 り方・書 き方」 なお、3.1節の講義 (図

15)の

中の「

(7)補

講:レポー ト(論文

)の

作 り方・書 き方」 について、特 に補足 してお きます。 この講義は、番外編で、欧州での国際会議出張 による 休講 に対す る、補講 の形 で行 なってい ます。 この90分 の講義 資料 を『

TRIZホ

ームペ ー ジ』 に2002年 2月 に掲載 しました。 その

8年

後 に、 この資料 をインターネッ トで読 まれた方か ら思い もかけず メールをいた だ きました。そ して このテーマで、認定看護管理者研修の一部 として50人の方に丸2日 間 の研修 を行 なうようにな りました。その際に資料 を整備 し、後 日に『大阪学院大学通信』 と『

TRIZホ

ームペー ジ』 とに掲載 しました [23]。 これは三部構成で、第一部では、トッ プダウンに、 レポー トの 目的を明確 にする、中身を作 る、執筆の準備、 レポー トの形式、 本文 な どの構成法 な どを説明 してい ます (90分の授業で話すのが この第一部です)。 第二 部では文章の書 き方 についてボ トムア ップで、語句の レベル、一つの文の レベル、文の繋 が り、段落、節 と章、全体の レベ ルヘ と、ガイ ドラインになることを具体的に説明 しま し た。第三部は、 これ ら全体の要点 を

A4-枚

にまとめた もの (図

19)で

、企業な どで推 奨 される形式の ものです。 自分な りの文章修行の まとめで もあ ります。

4.普

及 活 動

:学

会 発 表 、講 演 、研 修 、ホ ー ム ベ ー ジ 、協 会 、 シ ンポ ジ ウ ム な ど TRIZ/USITの ような新 しい技法や考え方は、社会的に広 く認知 され、使われるようにな ることが、最 も望 ましいことです。ですか ら、い ままで述べた研究や教育の活動 とともに、 当初か ら普及活動が重要 な要素であ りました。普及 させ るとよい対象は、TRIZ/USITの 性 格か ら考 える と、 まず第一 に企業 (技術者層お よびマ ネジャ層)、 第二 に学界お よび大学 (指導者層そ して学生)、 第三 に社会一般 (知識層)、 そ して第四に中等・初等教育 (指導 者層そ して子 どもたち

)と

考 え られます。 また、 日本国内だけに閉 じこもらず に、世界 と 交流 しなが ら進 むことが、有益で有効です。 まだまだ前途遼遠ですが、い ままでの活動 を まとめてお きます。 4.1学会発表、講演、執筆、翻訳、国際会議報告など まず第一の形態は、 自分の習得・研究の成果 を、学会な どで論文発表す ることです。 国 内では、(初期 に

)三

菱総研 知識倉1造研究会

/1Mユ

ーザ シンポジウム、2005年以降 日本

TRIZシ

ンポジウムが (TRIZについての

)中

心的な発表の場であ り、 これ らに毎年発表 し ました。 また、 日本倉1造学会で も論文発表をしました。海外での発表 にも力 を入れ、米 国 ―- 20 -―

(22)

創造的な問題解決の方法論

TRIZ/USIT研

究・教育・普及活動のまとめ の

TRIZCONで

は2000年∼2009年の 間に合計

8回

発 表、 欧州1の

ETRIA TFCで

は2001年∼

20H年

まで連続

H回

発 表 して い ます。 学会やセ ミナーな どで、講演 させ て貰 えるときには、積極的に話 して きました。近年の 例では、「横幹連合」第

2回

技術 シンポ ジウム、 日本機械学会 第16回設計工学・ システム 部門講演会、 日経 ものづ くり『革新のための

7つ

の手法』発行記念セ ミナー (2006年)、 北九州市立大学 技術経営

(MOT)セ

ミナー 、第38回

VE関

西大会、(財

)ソ

フ トピアジャ パ ン 新製品開発手法セ ミナー、宮城県産業技術総合セ ンターTRIZ/USITセ ミナー (2007 年)、 次世代大学教育研究会 (2008年)、 日本創造学会 第

5回

創造性研究会 (2010年)、 日 本機械学会 設計工学・ システム部 門講習会、京都府 中小企業技術セ ンター スキルア ップ 研修、奈良先端科学技術大学院大学

FD研

修会 (2011年

)な

どがあ ります。 この他 に、特 別な ものでは、 イランでの PSST(PrOblcm Solving Sttatcgy&Tcchniqucs)国 際会議 に基調 講演 を招待 され、 出席 はで きませ んで したので、比較 的短 い ビデ オ講演 を送 りま した (2006年 と2011年

)(注

:第

2回

20H年

12月か ら2012年2月 に延期 され ま したので、実際 に出席 して基調講演 を しました)。 適切 な解説記事 を執筆す るの も大事 なことです。雑誌への連載記事 としては、

3件

を執 筆 しました。「 なるほ どthcメ ソッ ド:新 しいTRIZ」 (『日経 ものづ くり』、

4回

、2005年) [24]、 「技術革新 のための創造的問題解決技法!!TRIZ」 (全22回)(『IntcrLab』 、2006年 ∼ 2007年 )[25]、 「

USIT入

門 :創 造的な問題解決のや さしい方法」(全

5回

)(『機械設計』、 2007年 )[26]。 これ らは、雑誌発行 のす ぐ後で 『

TRIZホ

ームペー ジ』 に再掲載 してい ま す。 海外の優 れた教科書・教材 を翻訳 して出版 した ことは、

21節

に書 いた とお りで、文献

[6、

8-H]を

参 照 下 さ い 。 ま た 、Ed Sickafusの USIT cBookも和 訳 (共 訳

)し

て 『

TRIZ

ホームペー ジ』 に掲載 しました [27]。 普及活動 の 目的で私が尽力 して きたことの一つ に、

TRIZ関

連の国際会議の参加報告が あ ります。1998年に米国での

TRIZ国

際会議 に参加 して以来、 日本の

TRIZ関

係者 に海外 の状況を報告す る 目的で国際会議の参加報告 を書 き、『

TRIZホ

ームページ』 に掲載 して き ました。2001年 春 の

TRIZCONの

報告 (和文

)に

対 して、海外 の

TRIZ専

門家か ら英訳 の 要請があ り、それ以後奮起 して英文で詳細 な報告 を書 き、和文では概要だけにす ることに

しま した。 この「Pcrsonal Report」 の シ リー ズは、 米 国

TRIZCON 8回

、 欧州

ETRIA TFC

7回

、 日本

TRIZシ

ンポ ジウム

6回

、 その他 国際 会議 /セ ミナー

2回

で 合計23回 書 い て い ます 。 これ は私個 人の文責 で、 自分が理解 した範 囲 で、 自分の評価 を入 れて各論 文 を紹 介 して い る もので、 当た り障 りの ない「公式報 告」 で はあ りませ ん。 い ろい ろな論 文 の 内容 を きちん と理解 し レビューす る よ うに努力 しま した結 果 、(国内 ・ 海外 の

)多

数 の発 表 者 あ るい は一 般 の読者 (すな わ ち

TRIZ専

門家

)か

ら高 く評価 して いた だいてい ます。 た だ、 段 々 と負担 が大 き くな り、最 近 で は欧米 の国際 会議 の報告 はや め て、 日本 の

TRIZシ

ンポ

(23)

-21-ジウムの発表 の全件 を英 文 で海外 に紹介す るこ とに力 を入れてい ます [28]。

また、

TRIZジ

ヤー ナ ルや 国際会 議

(TRIZCONや ETRIA TFC)の

発 表 か ら精 選 した 海 外 の論 文 を、 い ろい ろな人の協 力 を得 て和 訳 し、『

TRIZホ

ー ムペ ー ジ』 に掲載 して きて い ます。 このように見て くると、やは り私自身の著作がないことが少々気にな ります。

TRIZの

教科書はすでによいものがあ りますか ら、

USITの

しっか りした教科書 を私が近いうちに 書 く必要があると、改めて考えています。 4.2研 修

:US!Tの

企業内研修、公募制研修 私は1999年 3月 に

USITを

習得 し、同年の7月 には企業 に招 かれて最初の USIT 3日 間 トレーニ ングセ ミナーを行 い ました。TRIZ/USITの説明 をす る と同時 に、

USITを

用いて 企業の実地問題の解決 を試み るもので した。その後2008年 まで、製造業の企業

8社

で合計 22回の 3日 間 または 2日 間

USITト

レーニ ングを行い ました。企業か ら期間短縮の要請が あ り、2003年に 3日 間か ら2日間に し、以後は 2日 間で続けています。

8社

の うち

4社

で は

3回

以上の トレーニ ングセ ミナーを行い、企業内の推進者が 自立 して推進で きる体制 を 作 っています。私は企業現場での開発・製造などの経験 を持 ちませんので、研修だけを行 い、 コンサルテ ィングを しませんで した。 普及のため に さ らに有効 であ ったのは、公募制 での

USIT研

修 です。初期 (2000年∼ 2003年

)に

は三菱総合研究所が主催 して、半 日

/1日

セ ミナーで多数の人に講演 し、つい で15∼ 25人の人に 3日 間 トレーニ ングを行なうとい うパ ター ンで、

5回

の 3日 間 トレーニ ングをしてい ます。後には、2005∼ 2008年にアイデア社の主催で

6回

MPUFの

主催で2 回の2日 間USITト レーニ ングを行い ま した。 この2日 間 トレーニ ングのや り方 は文献

[29]で

詳 しく紹介 してい ます。そのプログラムは、図20のようです。 公募制 の良 い点 は、 多様 な企業 か ら参加 した、意識 の高 い技術 者

/推

進者 と一緒 に USITの 2日間 トレーニングセミナー 参加者が持ち込んだ実問題 3件をグループ演習で 並行して解決する 講義 グループ演習 グループ発表と討論 図20.US:Tの 2日間 トレーニングセ ミナーのプログラム

―- 22 -―

(24)

創造 的 な問題解決 の方法論

TRIZ/USIT研

究 ・教育 ・普 及活動 の ま とめ 図21 USiTの適用例:「二人の子どもを安全に乗せられる自転車」の解決策

USITの

実地適用 を試み ることがで き、その人たちが企業内での推進者 に育 ってい くこと です。その際に、問題の持 ち込みが企業の機密 に関わる可能性があ り、参加者が所属企業 か らいろいろ と規+1を受 けることがあ りました。 このため、「セ ミナーの成果 は問題提案 者に帰属 させ る、参加者は

2年

間の守秘義務 を負 う、

2年

後は公表可能 とす る」 とい う骨 子の誓約書 に参加者全員がサ インして行 うように しま した。 公募制 トレーニ ングで講師の私 自身が提案 した課題 は、セ ミナー直後か らその内容や成 果 を具体的に公表で きま した。その中には、つ ぎの二つがあ ります。「忘 れ もの を予 防・ 防止するシステムの考案」[30]、「二人の子供 を安全 に乗せ られ る 自転車」[31]。 後者 で は (セ ミナー後の仕上げによ り

)図

21のような案 を導 きました (ただ し、 まだ採用 して く れる企業があ りません)。 なお、

1日

間の簡略化 した トレーニ ングセ ミナーを

2回

ほ ど試みた ことがあ りますが、 やは リテーマの深 ま り方や技法の習得の度合いが不十分 にな り、あ ま り適 当でない と思 う に至 りました。半 日あるいは 1日 の場合 には、講演 と事例 を中心 に して、質疑 に時間を取 るのが よいだろ うと考えてい ます。 い ままでの

usIT研

/ト

レーニ ングの対象者 は、企業技術者が中心で、大学の研究者 はご く僅かで した。今後、機会 を得て、大学や公的研究所の指導者の人たち、大学院生の 人たち、 また学校の先生たちへの研修

/ト

レーニ ングがで きるとよい と思 っています。 も ちろん、一般社会人の クラスや学校生徒 (小学校高学年∼高校

)の

クラス

/ク

ラブな どを 試みることも将来の大事 な方向 と考 えてい ます。 4.3『TR!Zホ ームベージ』による普及活動、公共的サイ トによるグローバルネットワークのビジョン 私 のTRIZ/USIT普 及 活 動 の 中心 は、 な ん とい って も『

TRIZホ

ー ムペ ー ジ』

[2]の

編 集 と運用 です 。 大 阪 学 院大学 の公 開

Webサ

イ ト内 に個 人ホ ームペ ー ジ と して1998年 11月 に創設 し、満 13年 間 アクテ ィブに編 集 ・運 用 して い ます。 ボ ラ ンテ ィア と して個 人 の責 任

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参照

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