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三星堆出土青銅器管見(上)

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全文

(1)

三星堆出土青銅器管見(上)

著者

伊藤 道治

雑誌名

研究論集

77

ページ

165-198

発行年

2003-02

URL

http://doi.org/10.18956/00006327

(2)

三星堆 出土青銅器管見

(上)

は じめ に 1990年8月 、 河 南 省 安 陽 市 に お い て 股 商 学 会 の研 究 会 が あ り、 私 も参 加 して い た 。 今 は 亡 き ハ ーバ ー ド大 学 の張 光 直 教 授 も 出席 して い た が 、彼が一 日早 く蹄国 のため 出発す るとい うので、 ホ テル の玄 関 に 見 送 りに 出た 。 彼 は す で に タ クシ ーに 乗 ろ うと して い た 。 急 い で 別 れ の挨 拶 を す る と、 半 開 き の ドア ーか ら顔 を 出 して 、 蹄 途 北 京 に 行 くか と言 う。 明后 日午 后 に は 北 京 に 行 くと答 え る と、 必 ず 故 宮 へ 行 け とだ け 言 って 、 ドア ーを 閉 め て 出発 して 行 った 。 結 局 故 宮 で 何 を して い る のか 、 聞 き逃 が した し、 研 究 会 に 参 加 して い る中 国 の先 生 方 に 尋 ね て もは っ き り し た 返 事 は ない 。 研 究 会 も終 り、 予 定 通 り北 京 に 行 った が 、 そ の 日は 学 会 の疲 れ もあ り、 ホ テル に 直 行 して 休 ん だ 。 翌 日は 、 午 后 の便 で 蹄 国 す る予 定 な ので 、 午 前 九 時 前 に 出て 故 宮 に 行 った 。 降 車 の時 タ クシ ー の運 転 手 とll時 半 に 北 門 を 出た 所 に 迎 え に 来 て ほ しい と約 束 し、 ス ー ツ ケ ー ス2個 も彼 に 託 し、 兎 も角 家 内 と2人 で 院 内に 入 る こ とに した 。 切 符 の費 場 や 院 内 の服 務 員 に 特 別 展 は 何 処 で して い る のか 尋 ね て も全 く知 ら ない 。 あ の広 い 故 宮 の中 を30分 近 く小 走 りで 捜 し廻 った が 、 そ れ ら しい 所 も ない し、 特 別 展 の案 内 な ど何 処 に も 出て い ない 。 なに しろ 出発 の時 間 はll時 半 と決 ま って い る ので 、 早 く捜 し当 て ね ば と氣 は あ せ るが 、 一 度 休 も うとい うので 、 日陰 を 求 め て 、 一 般 の見 学 コ ー ス の東 側 の塀 を 外 に 出 る と、 可 成 りの大 木 が 何 本 か あ って 日陰 に な って い る所 が 少 し先 に あ る。 其 処 に 行 くと、 木 々 の間 に 余 り大 き くない 平 屋 が1軒 あ り、 そ の入 口に 特 別 展 の表 示 が 出て い るで は ない か 。 今 は そ の表 示 に 何 と書 い て あ った か 忘 れ た が 、 此 処 だ 此 処 だ と大 声 で 家 内を 呼 び 、 入 口 の窓 口で 入 場 券 を 買 い 、 や れ や れ これ か ら と思 った のだ が 、 内 部 や ケ ー ス の照 明は 全 くな く薄 暗 くボン ヤ リ した 状 態 だ 。 係 の人 が 出て 来 て 、 見 る のか とい う か ら、 頷 くと、 や っ と第1室 の電 氣 を つ け て 呉 れ た 。 そ の第1室 で 先 ず 目に 入 って 来 た のが 、

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後 に 説 明す る三 星 堆 発 見 の青 銅 製B型 凸 目巨 大獣 面(K2②:148、 四 川 省文 物 考 古 研 究 所 編 r三 星 堆 祭 祖 坑 』1999年 文 物 出版 社 に 載 せ られ た 資 料 番 号 、 以 下 に あ げ る資 料 の番 号 も 同 じ。 こ の書 物 が正 式報 告 で あ る の で、 以 下r報 告 』 と略構 す る)で あ り(挿 図1)、 同 じ く大 立 人 像(K2②:149、150)(挿 図23)で あ った 。 私 は しば ら く荘 然 と して 立 って い た 。 巨大 獣 面 の奇 怪 さ も さ る こ と なが ら、 大 立 人 像 の 出現 に 心 を 奪 わ れ た の で あ る。 説 明 に よ る と、 股 代 晩 期 の もの で 、 身 長 は170糎 余 、70糎 余 の 方 形 の台 座 の上 に 細 い 身 体 を ま っ直 ぐに 立 て 、 見 下 ろ して い る。 これ だ け の人 像 を 鋳 造 させ た 人 物 は 可 成 りの権 力 者 で あ った 筈 で あ る。 しか し、 私 自身 の これ まで の研 究 で は 、 股 周 時 代 に こ の よ うな人 像 特 に 個 人 を 顕 彰 す る よ うな モ ニ ュメン タル な は 作 られ る こ とは な く、 そ の こ とは 、 当 時 の人 び とが 人 間 の個 性 とい うも のを 認 め て は い なか った こ とに よ る と考 え て い た こ と と相 反 す る こ とに な る ので は ない か 。 これ は 私 に と り大 き な シ ョ ッ クで あ った 〔拙 稿 「饗 馨 文 の彼 方 」(r中 国 古 代 王 朝 の形 成 』 所 収)、 同 「股 代 の宗 教 と社 会 一r饗 馨 文 の彼 方 』 補 正 」 (r史林 』 第58巻3号)〕 。 私 と三 星 堆 と の 出会 い は こ の よ うに して 始 ま った が 、 本 格 的 に 研 究 を 始 め た のは 、2000年 秋 に 四 川 省 へ の 出張 が 認 め られ 、 四 川 省 博 物 館 ・三 星 堆 博 物 館 で 多 数 の資 料 を 見 学 し、 成 都 ・北 京 に お い て 前 掲 のr報 告 』な ど多 数 の 研 究 資 料 を 入 手 して か らで あ る。以 下 に1獣 面 ・人 面 ・ 人 頭 像 ・立 人 像 、]1鳥 の造 型 、 皿 青 銅 礼 器 の三 分 野 に つ い て 、 私 な りの結 論 を 述 べ よ うと 思 う。 1-1獣 面 獣 面 と呼 ば れ る もの は3件 あ り、A型 は2件(K2②:142とK2②:144)、B型 は1件 (K2②:148)で あ る。A型 は と もに面 の 高 さ31糎 余 、 耳 を含 め た 幅 は 約77糎 あ り、 これ に 額 に 挿 入 した額 飾 を 加 え る と、 高 さ は82∼84糎 と な る(挿 図2)。 これ に 対 してB型 は面 高66 糎 、 幅138糎 あ り、 現 存 最 大 の面 具 で あ る。 これ に は 額 飾 を装 着 す る額 中 央 の方 形 の孔 は 作 ら れ て い るが 、 額 飾 そ の も のは 発 見 され て い ない し、 装 着 した 時 に で き る と思 わ れ る痕 跡 も ない ので 、 果 して額 飾 を つ け た か 否 か は不 明 で あ る。 こ の点 に つ い て は 人 面C型 につ い て 述 べ る 際 に 再 び ふ れ る。 瞼 を あ け た 時 の眼 の形 は 饗 馨 文 の眼 と 同 じで あ るが 、 三 件 の獣 面 は と もに 所 謂 黒 目 虹 彩 の部 分 が10数 糎 も筒 状 に な って 凸 出 して い る。 こ の眼 は も っ と も人 び と の好 奇 心 を 誘 うも ので あ る。 眼 筒 の中 間 に 幅 数 糎 の箔 状 の帯 が つ い て い る。 これ は 虹 彩 が 凸 出す る時 に ひ っぱ ら れ て 出 た 眼球 の 粘膜 か と言 わ れ て い る が 、 正確 に はわ か らな い。 な おB型 で は 眼筒 が 太 く、 こ の筒 の部 分 は 下 瞼 が 下 に 弩 曲 して い る。 筒 の正 面 の虹 彩 に 黒 色 を 塗 った 痕 跡 は な く、 また 瞳

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孔 を 示 す もの も な い。 こ の瞳 孔 の 有 無 に つ い て は 人 面 な どの所 で も言 及 す る。A型 の うち の K2②:142の 眉 、 瞼 に は 黒 色 を ぬ り、 口 に は 朱 砂 を ぬ る。 鼻 は鷲 鼻 、 鼻 頭 は 三 角 形 だ が 、A 型 の二 つ は やN平 ら、B型 は 高 く巨大 で あ る。 小 鼻 は 渦 巻 き状 に な る。 人 面 な どで は こ の渦 巻 きは 見 られ ない 。 わ ず か にK2出 土 のB型 人 面 にそ の傾 向が 見 られ る にす ぎ な い。 口は 大 き く左 右 後 ろ上 方 に す る ど く切 れ 上 が り、 上 下 の唇 の間 か ら舌 端 が 口幅 一 杯 に 露 出す る。 こ の点 も人 面 な ど とは こ と な る。 獣 面 の全 形 は 、A型 は と もに 横 長 の逆 梯 形 で 、 眉 の上 の額 の所 が 最 も広 く、 口唇 部 が 最 も狭 い ので 、 安 定 を よ くす るた め か 、 下 顎 を 前 方 ・左 右 に 斜 め に 張 り出 させ 、 下 顎 の下 縁 で は 額 の 部 分 に 近 い 幅 に な る。B型 は 縦 長 の長 方 形 に 近 い が 、 眉 の下 縁 の部 分 が 広 く、 口に か け て やN 細 くな る。 下 顎 は 前 方 ・左 右 に 斜 め に 張 り出す 。 A型 ・B型 と もに 願 と下顎 骨 の 末端 が 上 に 転 折 す る内 側 に 方 孔 を あ け る。A型 で は と もに5 糎 平 方 、B型 は 下 の孔 は5糎 平 方 で あ るが 、 願 の所 は9×5糎 平 方 と大 きい 。 こ の上 下2つ の 孔 に 支 え のた め の木 柱 を 通 し、 何 か に 固 定 した と一 般 に 考 え られ て い るが 、 私 は 数 人 の人 が 左 右 両 側 か ら木 柱 を も って なに か の動 作 お そ ら く武 闘 的 な を した ので は ない か と考 え て い る。 身 体 の部 分 は 布 或 い は 竹 材 な どで 表 現 して い た ろ う。 こ の獣 面 は い ず れ も重 量 が 発 表 さ れ て い ない が 、 可 成 りの重 量 と考 え られ る ので 、 激 しい 動 きは 不 可 能 で あ った し、 また そ の必 要 も なか った と思 うが 、 緩 慢 な動 きは 可 能 で あ った 。 一 体 こ の獣 面 とい わ れ る も のは 、 何 を 象 徴 しよ うと した も ので あ った のか 。 こ の三 星 堆 の文 化 を 創 出 した 人 た ち の祖 先 で あ る とか 、 天 の神 で あ る とか 、 多 くの説 が 出 され て い るが 、 私 は 、 こ の文 化 を 担 った 人 び とが こ の土 地 を 占擦 した 時 に 、 征 圧 した こ の土 地 の人 び とが 信 仰 して い た 神 々で あ り、 そ れ は 蛇 身 で あ る と考 え られ て い た ので は ない か と思 う。 孫 華 氏 は こ の獣 面 を 蛇 或 い は 竜 で あ り、 三 星 堆 文 化 の人 び と の祖 神 か 天 神 を 象 徴 す る と して い る 〔孫 華 「三 星 堆 器 物 坑 文 物 叢 考 」(r四 川 盆 地 的 青 銅 時 代 』 科 学 出版 社2000年)〕 。 た1し 同氏 は 同論 文 の附 録 で 人 首 鳥 身 の 神 で あ る と説 を 改 め て い る。 こ の獣 面 が 出土 したK2か らは 青 銅 製 の蛇 の 残 片 が 幾 つ か 出土 して い る。 そ の なか に 頭 部 が2介 あ り、 そ の眼 は 細 長 く した 饗 馨 文 の眼 で あ り、 凸 出 こそ して い ない が 、 大 き くて 瞼 を 推 しさげ る よ うに 表 現 され 、B型 の獣 面 と共 通 す る。 しか も こ の3面 の下 顎 を 水 平 に お い た 場 合 、 顔 は やN上 向 きに な り、 円筒 状 の眼 と水 平 面 と の角 度 は13度 か ら22度 余 上 向 きに な る。 また 願 と下 顎 の上 向部 の 内側 に あ る上 下 の方 孔 を 垂 直 線 に な らべ た 場 合 に も、4度 か ら10度 の上 向 き の角 度 と な り、 一 応 眼 は 上 を 向 くよ うに な って い る こ とを 考 え る と、 地 を 這 う蛇 性 の土 地 神 で 、 常 に 上 方 を 伺 わ ね ば な ら ない も の と して 作 ら れ た も ので は ない か と思 う(頁169参 照)。

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1-2人 面 青 銅 製 の人 面 は、 第1坑 一K1か らは 、 復 原 不 可 能 な ものが1件 出土 した にす ぎな い 。 第2 坑 一K2か らは20件 が 出土 し、6件 は 復 原 で き ない ま で に破 壊 され て い た が 、14件 は ほ1完 全 な状 態 で あ った 。r報 告 』 で は面 の大 小 と型 に よ ってA、B、C、Dの4類 型 に 分 け て い る。A 型 は 右 耳 と下 顎 と、 右 側 の頬 とが 残 るに 過 ぎ なか った が 、 右 耳 と下 顎 とは 、 そ の大 き さか ら見 て 同一 個 体 の部 分 と考 え られ て い る。 耳 は 高 さ48.2糎 、 幅24.5糎 あ る こ とか ら考 え て 、 面 の高 さは70糎 は あ った と見 られ る。 現 存 最 大 の銅 面 はB型 獣 面 で あ るが 、 これ よ り大 きか った と 推 定 され て い る。 このA型 人 面 は 耳 な ど の部 分 を先 に造 り、 の ちに 顔 面 本 体 と合体 させ る計 画 で あ った が 、 何 か の理 由に よ り顔 の本 体 は 鋳 造 に 失 敗 した か 、 造 られ なか った ので は ない か と考 え られ る。 現 存 最 大 の人 面 はB型 のK2②:153の み で 、 高 さは40.3糎 、 両 耳 を 含 む 幅 は60糎 あ り、B 型 の獣 面 よ りは 小 さい が 、2つ のA型 よ りは大 き く、 堂 々 と した なか に も静 逸 さを も った も ので あ る。 眼 は 大 き く開 か れ 、 鼻 筋 は 両 眉 の中 間 か ら真 っす ぐ通 り、 鼻 頭 は 平 らで あ る。 小 鼻 は 獣 面 の渦 巻 状 に 近 づ くが 、 これ は 他 の人 面 や 人 頭 像 に は 見 られ ない 。 口は 大 き く顔 面 の幅 一 杯 に 及 び 、 堅 く一 線 に 閉 じられ 、 両 端 は 小 さ く下 に 折 れ て い る。 口に は 朱 砂 を 塗 る。 下 顎 は 前 に 張 り出 して い るが 、 獣 面 の よ うに 斜 め に 出 る ので は な く、 ほ 黛垂 直 に な って い る。 こ の 口か ら下 顎 に か け て の造 型 は 、 力 強 さを 表 現 す る も ので あ る(挿 図3)。 下 顎 の末 端 が 上 に 曲 折 す る 内側 と、 面 の 上 縁 の左 右 両 端 に は1.5糎 平 方 の、 ま た眉 の 末 端 と 願 と の間 に は2×1糎 平 方 の方 孔 が あ る。 こ の孔 は 、 こ の面 を 保 持 ・固 定 す るた め の も ので あ るが 、 獣 面 の 同部 位 の 孔 よ り小 さ く、 また 次 に 述 べ るC型 の 人 面 が 大 体5糎 平 方 あ るの に 比 して も小 さい 。 これ は 、 こ の面 が あ ま り動 き のあ る場 合 に 使 用 され た も ので は ない こ とを 示 し て い る。 こ の点 に つ い て はC型 人 面 の所 で もふ れ る。 C型 人 面 の大 き さは 、 高 さ25∼26糎 、 両 耳 を ふ くん だ 幅 は40∼44糎 あ り、B型 よ り小 さい 。 こ の型 は 数 が 多 く、 ほ/完 全 な も の12件 、 そ のほ か 残 片 中 か ら4件 が 個 体 と して 識 別 され た と 言 わ れ て い る の で 、 少 く とも16件 の人 面 が あ った こ とに な る 。 このC型 に は左 右 願 の所 と、 下 顎 骨 の末 端 が 上 向す る 内側 に5糎 平 方 の方 孔 が あ り、 支 柱 を 通 す よ うに な って い る。 こ の大 き さは 獣 面A型 と同 じで あ り、 位 置 も同 じで あ るの に 対 して 、 人 面B型 よ りは るか に 大 きい 。 さ らに 重 要 な こ とは 、C型 に は どれ も眉 間 に5糎 平 方 の方 孔 を あ け た り、 或 い は 方 孔 を あ け よ うと した 痕 跡 が 残 っ て い る。 この方 孔 はA型 獣 面 で は額 飾 を装 着 した所 で あ った 。A型 獣 面 で は そ の額 飾 もほ/完 全 に 残 って い るが 、 こ のC型 人 面 で は額 飾 も残 って い な い し、 方 孔 そ の も の も未 完 の も のが 多 い こ とを 考 え る と、 こ の人 面 の方 孔 は 、 獣 面 の額 飾 に 対 応 す るた め に 、 遅 れ て 額 飾 を 装 着 しよ うと計 画 した も ので あ ろ う。C型 人 面 の額 の方 孔 は 、 獣 面 と 同 じよ うに 、

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鋳 造 した 面 に 、 塾 で 方 孔 を あ け よ うと した も の と、 鋳 造 の際 に 最 初 か ら方 孔 を あ け た も のが1 件 だ け あ る が 、 この1件 はC型 人 面 に額 飾 を 装 着 す る こ とが 方 針 と して 決 定 され た後 に 鋳 造 され た も ので あ る と考 え られ る。 またC型 人 面 は 、 両 耳 を 除 い た顔 面 の 幅 が 高 さ よ り1糎 か ら5糎 ほ ど大 き く、 全 体 が やN ひ しゃ げ た感 じを 与 え る。 こ の点 はB型 も 同 じで あ り、 眼 、 鼻 頭 、 口 な ど も幅 広 く作 られ 、 下 瞼 と頬 骨 の線 が 接 近 し、 頬 骨 の線 は 鋭 角 に とが った す る どい 線 状 を 呈 し、 鼻 梁 も短 か い 。 し か し眼 の構 造 や 口 の形 な どは 、 つ ぎ のD型 人 面 や 人 頭 像 と同 じで あ る。 た/しC型 人 面 の両 眼 の視 線 は 前 方 で 結 ば れ て い る ので 、何 か を 注 視 す る よ うに な って い る。こ の点 はD型 人 面 ・ 人 頭 像 と の大 き な相 異 点 で あ る。 顔 面 全 体 は 、D型 や 人 頭 像 と異 な り、 やN獣 面 に 近 づ い て い る し、 ま た下 顎 骨 もD型 や 人 頭 像 と 同 じよ うに垂 直 に 作 られ た も の と、 獣 面 の よ うに 前 方 左 右 に 斜 め に 張 り出 した も の とが あ る(挿 図4)。 以 上 の幾 つ か の点 か ら考 え る と、B型 ・C型 の人 面 は 、 獣 面 を 強 く意 識 して 造 られ た も の と 言 うこ とが で き る。 蛇 性 の異 形 神 で あ る土 地 神 を 園 む よ うに して 、 これ を 圧 倒 しよ うとす るB 型 ・C型 の人 面 た ちは 、 こ の土 地 を 占拠 支 配 した 人 び と の祖 先 た ち の璽 を 表 現 した も ので あ ろ う。 そ して 巨大 な異 形 神 と祖 璽 た ち と の間 に 、 祭 祀 儀 礼 と して 武 圖 的 な舞 い が 行 なわ れ た ので は なか ろ うか 。 そ の際 、 面 の大 き さ と、 そ れ を 支 え る木 柱 を 通 した 方 孔 の大 き さか ら考 え て 、 獣 面 とB型 人 面 の動 き は緩 慢 で あ り、C型 人 面 の動 き は早 く激 しか った と想 像 され る。 最 后 にD型 人 面 につ い て ふ れ よ う。 これ は全 部 で6件 しか な く、 うち1件 は右 半 の み が 残 り、 他 の5件 は 完 全 で あ る。 す べ て 小 型 で 、 面 の高 さは15糎 余 、 両 耳 を 含 む 幅 は15∼20糎 、 顔 面 のみ の幅 は 大 き な も ので14糎 余 、 最 も小 さ な も ので9糎 で あ る。 総 体 的 に 顔 面 は 細 面 で あ る が 、 額 の部 分 が 大 き く、 口辺 に か け て 細 くな る も の、 額 か ら下 顎 まで 円筒 状 の も の な どが あ る。 5件 の うち4件 に は 願 に 当 る所 に1.5糎 平 方 位 の 薄 い 銅 板 を は り付 け た よ うに見 え る もの が あ り、 なか に は 塗 った 黒 彩 の残 る も のが あ る ので 、 こ の部 分 は 髪 髪 を 示 して い る も の と され て い る(挿 図5)。 い ず れ も額 の後 部 左 右 や 下 顎 の末 端 、 或 い は額 の かわ りに 下 顎 前 面 左 右 に径1.5糎 ほ どの 円 孔 が あ り、 立 て た 木 柱 な どに 固 定 す る時 に 用 い た も ので あ ろ う。 面 そ の も のが 小 さい ので 、 こ れ で 固 定 し得 た も ので あ ろ うが 、 大 き な動 きは 不 可 能 で あ る。 また 幾 つ か の も のに は 眉 や 眼 の 縁 、 なか に はK2②:331の よ うに 白 眼 を ふ くむ 眼 球 全 体 に 黒 い 色 を 塗 った もの もあ った(挿 図6)。 こ のD型 の 顔 の構 成 は、 人 頭 像 とほ とん ど 同 じで あ る が 、 人 頭 像 で は 頭 頂 か ら下 顎 の 下 縁 まで20糎 前 后 あ る も のが 多 い のに 比 べ 、 す べ て 小 型 で あ り、 しか も固 定 度 も低 い こ とか ら見 て 、 表 だ った 動 きを す る役 で は な く、 異 形 神 と祖 璽 た ち と の争 い に 関 す る物 語 ・叙 事 詩 な どを 背 後 で 詠 唱 して 祖 璽 た ちを 称 え る役 を す る少 年 合 唱 団?で は なか った か と考 え られ る。

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1-3人 頭 像 以 上 に述 べ て 来 た 獣 面 ・人 面 はす べ てK2出 土 の も の で、 一 応 同一 時 期 に 使 用 され た も の と見 て よい 。 しか し人 頭 像 はK1とK2の 二 つ か ら出土 して お り、 しか もK1が 古 く、K2と の間 に100年 近 い 隔 りが あ る とす る説 もあ る の で、 区別 して見 る。 K1か らは13件 の 人 頭 像 が 出土 し、A・B・Cの3型 に 分 け られ る。A型 は頭 頂 にソ ケ ッ ト 状 の もの が あ り、 上 か ら冠 或 い は 頭 髪 様 の もの を か ぶ せ た と考 え られ 、Ab型(K1:6)は ソケ ッ トに あ る4ヶ の 円孔 で 固 定 した と考 え られ て い る(挿 図7)。Aa型 のK1:2はK2出 土 を 含 め た 人 頭 像 中 も っ と も写 実 的 な も の と言 わ れ 、 頬 ・顎 もゆ った りと した ふ くらみ を も っ て い る。 頬 骨 も柔 らか い 肉付 け で 示 され 、 他 の人 頭 像 が 細 く鋭 い 線 で 示 され る の とは 異 な る。 口は 一 文 字 に 結 ば れ るが 、 力 を い れ て 固 く閉 じた 様 子 は ない 。 こ う した 表 情 か ら女 性 の像 で は ない か とす る説 もあ る(挿 図8)。 鼻 梁 は太 く、 両 眼 の間 も広 い 。 眼 は 大 き く開 か れ るが 、 虹 彩 ・瞳 孔 が あ る と考 え られ る位 置 は 眼 の中 央 よ り外 側 に あ るた め 、 両 側 の視 線 は 結 ば れ ず 、 何 を 或 い は何 処 を見 て い るの か 判 然 と しない 。 この 眼 の状 態 は 、 上 述 のB型 ・C型 の 人 面 を 除 くす べ て の人 頭 像 ・人 面 に 共 通 す る。Aa型 の顔 面 の高 さ は23糎 で あ るが 、Ab型 は15.6糎 と小 さい 。Ab型 の頬 骨 は 線 状 に表 現 され 、 口は 短 く閉 じ られ 、左 右 両 端 は 下 に さ が る。 力 を 入 れ て 閉 じた た め で あ る。 C型 は、 頭 に左 右 に張 り出 しの あ る 冑様 の もの をか ぶ る1件K1:5の み で あ る。 顔 面 に は 、 額 か ら下 顎 まで 方 形 の面 具 を つ け る とす る説 もあ るが 、 明確 に 面 具 の縁 を 示 す 線 は ない 。 武 人 ら しい 氣 負 い も な く、 む しろ静 逸 な雰 園 氣 を 感 じさせ る。 眼 ・口 ・下 顎 な どす べ て 人 頭 像 の様 式 に した が って い る。 顔 面 の 高 さは 約23糎 で あ る(挿 図9)。 以 上3件 のAa型 ・Ab型 ・C型 は い ず れ も1件 ず つ しか な く、 そ の用 途 な どを 考 え る手 掛 か りもな い が 、Ab型 は可 成 り小 さ な像 で あ る こ とが 注 目され る。 残 るB型 は、 頭 頂 が平 で、 後 頭 部 に三 つ 編 に した長 い髪 を垂 ら して い る。Ba・Bb・B。 の3 型 に分 け られ るが 、Ba型 は 額 に頭 髪 の 生 際 の線 が 鋳 出 され る もの で 、2件 あ り、K1:llは 頬 骨 か ら下 顎 ま で寸 づ ま りで あ る(挿 図10)の に 対 し、K1:7は やNゆ った り造 られ て い る。 Bb型 のK1:72は 、 眼 か ら下 顎 ま で下 す ぼ ま りの筒 状 で 、特 に 頬 骨 か ら下 が 長 く、 眼 は 大 き い 割 りに 無 表 情 で あ る(挿 図ll)。 最 后 のB。 型 は、r報 告 』 に よれ ば6件 あ り、 うち3件 は 比 較 的 完 全 で 、3件 は 破 壊 され 復 原 不 可 能 で あ る とい わ れ て い る。 完 全 に近 い3件K1:3(挿 図12)、K1:8、K1:10も 頚 の部 分 は す べ て 残 破 して い るが 、 顔 面 は 大 体 完 全 で あ る。3件 と も顔 面 の高 さは 約20糎 、 やN 小 型 で、 眼 か ら下 は 寸 づ ま りで痩 せ て い る。r報 告 』 で は、 これ を 苦 渋 の 表 情 と して い るが 、 年 令 的 な特 徴 老 人 の如 き を あ らわ して い る のか も知 れ ない 。

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と こ ろで 四 川 省 文 物 考 古 研 究 所 の陳 徳 安 氏 の著 書r三 星 堆 一 古 蜀王 国 的聖 地 』(略 構r陳 著 』) に よ る と、K1出 土 と して3件 の人 頭 像 が あ げ られ て い る。 『陳 著 』 図版16・19・21で あ る。 一 方r報 告 』 に あ げ られ た 比 較 的 完 全 な3件 の うち 写 真 が 載 せ られ て い る の はK1:3の1 件 のみ で、r陳 著 』 の3件 の い ず れ と も合 致 しな い し、 他 の2件 を 含 め たr報 告 』 の3件 は 顔 面 高 が 約20糎 で あ る のに 対 して、r陳 著 』 の3件 は25∼30糎 あ り、 大 型 に 属 す る が 、 そ の 顔 面 の造 型 は 、 眼 か ら下 が やNつ ま ったB。 型 で あ る。 問 題 は 、r陳 著 』 の3件 とr報 告 』 の6件 復 原 不 能 の3件 を 含 め た と の関 係 を ど の よ うに 考 え た ら よい か で あ るが 、 私 に は 答 え は な い。 私 自身 は 、 『陳 著 』 を見 た 最 初 に は 、 この 図 版16(挿 図13)・19・21の 説 明 にK1出 土 とす る の は誤 りで、K2の 出 土 で は な い の か と思 った の で あ る。 或 い はr報 告 』 の 方 に 何 か の手 違 い が あ るの で は とい う こ と も考 え て お く必 要 が あ ろ う。r報 告 』 に は 、 図版 写 真 の 誤 入 、 測 図 の誤 り、 或 い は 説 明文 中 の資 料 番 号 の誤 記 な どが 見 受 け られ るか らで あ る。 つ ぎにK2出 土 の人 頭 に つ い て 見 よ う。A・B・C3型 に分 か れ る。A型 は 頭 上 に タ ーバン 様 の もの を載 せ るK2②:83(挿 図14)1件 の み で あ る。 頸 の部 分 を いれ た 高 さが13.6糎 、 タ ーバン の下 縁 か ら下 顎 の下 辺 ま で は7.6糎 の 小 さ な像 で あ る。 顔 の 割 りに 眼 が 大 きい が 、 切 れ 上 が って は い ない 。 頬 の部 分 は 痩 せ る。 眉 間 の前 額 の骨 が 顕 著 で あ るが 、 こ の作 風 は 人 面 ・ 人 頭 像 を 通 じて 唯 一 の例 で あ る。 前 髪 は 眉 の少 し上 で 切 り揃 え 、 耳 の上 の付 け 根 の前 で 髪 を 揃 え 、 耳 の う しろ後 頭 部 は 、 耳 の下 の付 け 根 の高 さで 切 り揃 え て い る。 耳 に は 飾 りを つ け る孔 が 3介 あ い て い るの も唯 一 の例 で あ る(一 般 は1介)。 こ の人 頭 像 が 示 す 人 物 は、 この 耳 飾 りの 数 や タ ーバン か ら見 て 、 何 か 特 殊 な人 物 と考 え られ るが 、 非 常 に 小 さ な像 で あ る点 を ど の よ う に 考 え るべ きか 問 題 で あ ろ う。 B型 は さ らにa・bの 二 つ に 分 れ る。Ba型 とい うのは 、 頭 頂 が 平 らで 、 後 ろに 長 く編 ん だ 髪 を た ら した も ので 、K1のB型 特 にB。 型 と同 じ造 型 で あ る。 このBa型 はr報 告 』 で は36件 あ る と され 、 言 わ ば そ の他 大 勢 とい った 感 が あ る。 大 型 が 多 く、 頭 頂 か ら下 顎 を 含 ん だ 高 さが20 糎 前 后 と言 わ れ て い る が、K2②:154の 如 く、10糎 ほ どの 小 型 の もの もあ る(挿 図15)。 顔 面 の造 型 は 、 眉 の上 縁 か ら頭 頂 まで が 高 く、 そ れ に 比 し下 瞼 か ら 口に か け て の間 が 寸 づ ま りに な って い る。 そ のた め に 鼻 梁 も短 く、 鼻 頭 が 低 く平 ら な も のが 多 い 。 従 って 顔 の造 りが 所 謂 チン クシ ャ状 を 呈 す る もの が 多 い 。 しか しK2②:17の 如 く(挿 図16)、 顔 全 体 の彫 りが 浅 く、 下 瞼 か ら頬 骨 の線 へ の搬 、 眉 か ら上 瞼 の間 の凹 み も浅 く、 間 延 び した 感 じの も の もあ るが 、 少 数 で あ る。 ま たK2②:ll8の 如 く、左 右 に 長 い 口は 顔 前 面 か ら後 ろ に幾 らか廻 り込 み 、 朱 砂 を 塗 り、 眉 ・眼 の縁 、 白眼 を ふ くむ 眼 球 に も黒 で 彩 色 した も の もあ る(挿 図17)。 こ う した 平 頂 の人 頭 像 を 使 用 す る と きに は 、 上 に 頭 髪 後 頭 部 に 長 く編 ん だ 髪 を た ら して い る ので 、 あ ま り長 くは ない か 冠 様 の も のを 載 せ て い た と考 え られ て い る。 先 に も述 べ た如 く、K1のB。 型 人 頭 も同 じ く平 頂 編 髪 で 、 顔 の下 半 部 の造 型 が寸 づ ま りの

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も のが 多 い が 、 『陳 著 』 図版16・19・21を 見 た時 、 これ はK2出 土 の 間違 い で、K2のBa型 に 属 す る も ので は ない か と私 は 思 った ので あ る。 これ は 恐 ら く私 の憶 測 に 過 ぎ ない と思 う。 しか しこ の よ うな事 を 考 え た の も、KlB。 型 とK2Ba型 との 間 に 共 通 した 要 素 が 見 られ るか らで あ り、 若 しK1とK2と の 間 に 年 代 の差 が あ った と して も、 人 頭 像 の 造 型 に伝 統 が 引 きつ が れ て い た こ とを 示 す とい え よ う。 しか もB、 型 もB、 型 もそ の坑 ご とに 最 も多 い 数 の人 頭 像 で あ る とい うこ とは 、 最 も一 般 的 な人 間 を 写 した も ので は なか ろ うか 。 次 のBb型 はK2②:90の1件 の み で 、 回 字 文 を つ け た 平 頂 の冠 を い た 黛 く(挿 図18)。 後 頭 の髪 は 耳 の中 程 の高 さで 切 り揃 え 、編 髪 は ない 。 回字 文 冠 は後 述 の大 立 人 像(K2②:149・ 150)に も使 用 され 、 回 字 文 の冠 の上 に さ らに 大 き な変 形 獣 型 の冠 を 載 せ る。 この大 立 人 像 に も回 字 文 冠 が 使 用 され て い る の で 、Bb型 の人 頭 像 は 大 立 人 像 の よ うな 最 高 位 の人 物 に 近 侍 す る よ うな地 位 に あ った ので は ない か と言 わ れ て い る。 こ の人 頭 像 の眼 は 大 き く開 か れ て い るが 、 眼 尻 が 上 に 切 れ あ が った 立 眼 で は ない し、 鼻 梁 は 短 く且 つ 横 に 張 って 頬 骨 のふ くらみ に 直 接 つ なが り、 鼻 頭 も横 に 拡 が った 低 い 形 で 、 下 顎 のみ な らず 、 上 顎 も幾 らか 前 に せ り出て い る し、 顔 の下 半 は 寸 づ ま りで あ る。 これ に 対 して 大 立 人 像 は 、 鼻 頭 も高 く大 き な三 角 形 で 、 顔 の下 半 もゆ った り して い る。 顔 面 の高 さ も18糎 あ る のに 比 べ 、 こ の人 頭 像 は12糎 しか な く、 大 立 人 像 の嚴 粛 雄 大 な風 貌 に は 及 ば ない 。 次 のC型 は、 頭 蓋 の丸 い形 を 残 した も の で、Ca型 とされ る もの は1件(K2②:58)、 冑を 付 け た ので は ない か と考 え られ て い る。 頭 髪 を ど の よ うに 始 末 して い た か は 不 明で あ るが 、 後 頭 部 で 可 成 り大 き な髪 飾 りを 管 で 髪 に とめ て い る ので 、 頭 頂 ・髪 か ら後 部 の髪 を 後 頭 部 で 髭 に して い た の で は な い か とも考 え られ る(挿 図19)。 顔 に は面 を つ け て い た とす る説 もあ るが 、 面 の縁 と考 え られ る線 は 、 む しろ側 頭 部 の髪 を 剃 りあ げ た 時 の生 え 際 の線 と考 え た 方 が よい と 思 う。 頬 は 痩 せ 、 頬 骨 の摺 曲 の線 も鋭 角 的 に 尖 った 線 と な り、 眼 尻 は あ が り大 き く見 張 る。 鼻 頭 は 三 角 で 高 く、 口は 固 く閉 じ、 下 顎 は 強 く張 る。 首 も太 く、 胸 も厚 く、 が っ し り した 肩 で あ った と考 え られ る。 眉 ・眼 の縁 に は 黒 色 を 塗 り、 耳 孔 ・鼻 孔 ・閉 じた 上 下 の 口唇 の間 に は 朱 砂 を 塗 る。 左 右 の耳 の上 か ら後 頭 部 に か け て 冑 の後 部 と思 わ れ る も のが 残 る。 以 上 の よ うな造 型 か ら見 て 、 武 人 の像 と見 て 誤 りは ない が 、 数 は1件 しか ない ので 権 力 者 か 大 神 官 の侍 衛 で あ っ た とす べ きで あ ろ う。 い ま一 つ のCb型K2②:63は 側 頭 部 の髪 を 剃 り落 と し、 残 った 髪 を 後 頭 か ら前 頭 へ 硫 き束 ね 、 束 ね た も のを う しろへ ね か せ た と見 られ る。 髪 型 か ら見 て 冑を つ け た とは 考 え られ て い な い 。 眼 は 大 き く開 か れ て い るが 、 上 瞼 の線 は 水 平 に 近 く、 強 さは 感 じさせ ない 。 左 右 の頬 は 破 壊 され て い る ので 、 ど の よ うな人 物 を 写 した も のか は 不 明で あ る。

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1-4金 面 人 頭 像 三 星 堆 出土 品 の なか に金 製 品 が 数 多 くあ った こ とは 、 こ の遺 跡 の大 きな特 色 で あ った 。K1 か らは 、 金 製 の面1件(K1:282)(挿 図20)と 木 製 の杖 を 巻 く よ うに して貼 った 金 の 薄 板 の 装 飾(K1:1)(挿 図28)が 注 目を 集 め、K2か らは4件 の金 面 を 貼 っ た青 銅 製 の人 頭 像 の ほ か 、 玉 器 の璋 や 魚 の形 を した 金 の極 く薄 い 板 状 の装 飾 品 や 面 な どが 出土 した 。 装 飾 品 に は 多 くに 小 孔 が あ り、 何 か に 釣 り下 げ た と考 え られ て い る。 股 周 時 代 の文 化 の中 心 で あ った と され る黄 河 中 流 域 で は 金 製 品 は 極 く少 数 しか 発 見 され て い ない 。 股 の都 で あ った 安 陽 地 域 で さえ 、 小 さ な金 箔 片 が 少 数 発 見 され た に す ぎ ない 。 他 の古 代 文 明で は 金 が よ く使 用 され て い る ので 、 金 が 殆 ど使 用 され なか った のが 中 国 の古 代 文 明 の特 色 で あ る と さえ 考 え られ て い た 。 した が って 、 股 晩 期 の時 代 に 可 成 りの数 の人 面 を は じめ 金 製 品 が 発 見 され た こ とは 、 こ の三 星 堆 の遺 跡 が 世 界 か ら注 目され 、 一 種 の ブ ー ムを 惹 き起 した 理 由で もあ った 。 で は 見 出 しの金 面 人 頭 像 とは ど の よ うな もの で あ った の か 。 頭 の形 が平 頂 のA型 と、 円頭 のB型 の2型 に分 か れ る。A型 は2件 で と もに 後 頭 に長 い編 髪 を垂 らす 。 金 面 を貼 りつ け た 下 の青 銅 の顔 の造 型 はK2出 土 のB、 型 とほ 黛同 じで 、 金 面 人 頭 像 のK2②:45(挿 図21)は 、 B、型 のK2②:ll8に 似 て 、 下 瞼 か ら頬 骨 、 頬 骨 か ら上 口唇 の間 の搬 曲 もふ か く、 眼 か ら下 顎 まで が 寸 づ ま りの、 チン クシ ャに 近 い 形 で あ る。 これ に 対 してK2②:ll5は 、Ba型 人 頭 像 の うち のK2②:17(挿 図16)に 似 て搬 曲 も浅 く、 間延 び した 型 で あ る。 従 ってA型 金 面 人 頭 像 は、Ba型 人 頭 像 の二 つ の特 徴 的 な形 を そ の まN用 い た も の で あ り、 顔 面 の大 き さ も同 じで あ る。 な おK2②:45の 金 面 は額 の 中 程 か ら下 顎 ま で あ り、K2②:ll5は 眉 の線 か ら下 顎 ま で あ る ので 、 前 頭 か ら後 頭 に か け て 被 せ た 頭 髪 或 い は 冠 様 の も の の形 は こ と な って い た と考 え るべ きで あ ろ う。 つ ぎ のB型 は 円頭 で 、人 頭 像 のC、 型K2②:58と 殆 ど同 じ造 型 で あ るが 、 金 面 人 頭 像 のK 2②:137、K2②:214(挿 図22)の 前 髪 の線 か ら下 顎 ま でが17.8糎 で あ る の に対 し、K2②: 58は やN小 さ く約16糎 で あ る。 二 つ と も 冑を 被 った 武 人 で あ ろ うと考 え られ て い る。

以 上 の よ うにA型 ・B型 の金 面 人 頭 像 は 、 そ れ ぞ れBa型 ・Ca型 の人 頭 像 を 造 型 の基 本 に し た も ので あ るが 、 こ の2型4件 に金 面 を貼 った の は何 の 目的 か らで あ ろ うか 。B、 型 ・C、型 人 頭 像 群 の なか の地 位 の上 の者 を表 わ そ う と した とす る考 え もあ るが 、 円 頭 のCa型 人 頭 像 は1 件 しか な く、B型 金 面 人 頭 像 の2件 を 上 位 者 とす る こ とは 必 ず しもで き ない よ うに 思 う。 若 し 上 位 者 に 金 面 を つ け た とす れ ば 、 大 立 人 像 や 回字 文 冠 のBb型 人 頭 像 な どに も金 面 を つ け た 痕 跡 が あ って も よい ので は なか ろ うか 。 私 は こ の金 面 人 頭 像 は 夜 間 に 使 用 した も ので は なか った か と考 え て い る。 暗 夜 に ゆ れ 動 く籍

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火 の光 に よ って 顔 面 の様 相 は 瞬 時 に 変 化 し、 且 つ 眼 は 暗 く沈 ん で 虚 空 の よ うな感 じに な り、 し か も これ らの金 面 人 頭 像 は 、 人 頭 像 やD型 人 面 と同 じ よ うに 両 眼 の焦 点 が 合 って い な い ので 、 これ を 見 る者 は 虚 空 に 引 き込 まれ る よ うな恐 怖 を 感 じ、 そ う した 雰 園 氣 の なか で 、 呪 師 か 巫 が 唱 え る神 のお 告 げ を 聞 い た ので は なか ろ うか 。 古 代 社 会 で は 、 巫 や 呪 師 な どは 特 異 な存 在 で あ った が 、 人 頭 像 に 金 面 を 貼 った のは 、 地 位 を 示 す よ りも、 宗 教 的 な機 能 を 考 え た た め で は なか ろ うか 。 1-5立 人 像 立 ち姿 の 人 像 は 、 大 小 、 姿 勢 な ど多 様 で あ る が 、 何 と言 っ て も有 名 な の はK2②:149・ 150の 大 立 人 像 で(挿 図23)、 本 稿 の 冒頭 に ふ れ た の も これ で あ る。 高 さ約70糎 余 の台 座 の上 に 、 身 長180糎(冠 を含 む)の 直 立 した 人 像 が の る。 胴 体 は細 長 く、 丸 太 を 立 て た よ うな感 じで あ り、 腰 や 足 は 太 く、 脚 も大 き く、 跣 で あ る。 左 右 の腕 ・手 は 大 き く誇 張 され 、 両 腕 で 何 か を 抱 くよ うな姿 勢 で あ るが 、 手 は 親 指 とそ の他 の4本 指 で 円筒 を つ く り、 指 の筒 の 内に 何 か の祭 祀 用 具 を 握 って い た ので は ない か と考 え られ て い る。 右 手 は 右 頬 の高 さに あ り、 左 手 は 左 胸 の前 に あ る。 左 右 両 手 の 円筒 は ず れ て い る ので 、 両 手 で 一 つ の も のを 持 つ ので は な く、 そ れ ぞ れ 別 個 の器 具 を も った とみ られ て い る。 顔 は 細 面 で 、 頬 は やNこ け た 感 じで あ るが 、 眉 、 眼 、 鼻 、 下 顎 な どは 誇 張 され る。 眼 は 大 き く見 開 き、 眉 も太 く、 鼻 梁 は 眉 間 か ら真 っ直 ぐに 通 り、 鼻 頭 は 大 き な三 角 形 で 高 い 。 耳 も大 き く、 雲 雷 文 を つ け 、 左 右 の耳 た ぶ に は 耳 飾 を つ け る孔 が 一 つ ず つ あ る。 口は 一 文 字 に 引 き しめ られ 、 左 右 両 端 は 下 に 折 れ 、 下 顎 の骨 格 は やN前 に せ り出 し、 顔 面 に 緊 張 感 を た 黛よわ せ て い る。 こ の よ うな顔 面 の造 型 は 、 人 面 や 人 頭 像 に も共 通 して い る ので 、 改 め て 後 に ま とめ て 述 べ る。 頭 上 に は 回 字 文 冠 を つ け 、 さ らに そ の上 に 変 形 させ た 獣 面 を つ け 、 獣 面 の眉 間 上 部 に は 円形 の太 陽 を 象 徴 す る ハ ロの形 の文 様 を つ け る。 獣 面 は 前 部 のみ で 、 後 部 に は ない 。 後 頭 部 の生 え 際 は 耳 の中 段 やN下 に あ り、 回 字 文 冠 の下 の毛 髪 のあ った 部 分 に 、 斜 め に 管 を つ け て い た 孔 が 残 る ので 、 後 頭 部 で 髪 を 束 ね て い た と見 られ て い る。 お そ ら く髪 を 束 ね た 髭 の よ うな も のを つ け て い た ので あ ろ う。 衣 服 は 、 一 番 上 側 に 片 袖 衣 を つ け る。 中 間 の半 袖 の短 衣 は 、 領 、 袖 口、 柾 口が 見 え るに 過 ぎ ない 。 内衣 は 最 も長 く、 文 様 は 裾 に 簡 略 化 した 獣 面 が あ るに 過 ぎ ない 。 外 側 の片 袖 衣 は 右 側 の み に 袖 が あ り、 左 側 は 肩 、 袖 と もに ない 。 こ の上 衣 の左 前 ・后 の身 頃 に2対4件 の変 形 竜 文 が 上 下2段 に 配 され て い る。 こ の竜 は 口か ら長 い 紐 状 の舌 を 垂 ら し、 そ の先 端 は 幾 らか 上 に 巻 き、 足 の爪 は 球 形 に 表 現 され 、 可 成 り特 異 な竜 形 で あ る。 そ のほ か 右 の身 頃 に は 、 横 に 倒 した 獣 面

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文 が あ る。 こ の獣 面 は 眼 が 大 き く、 鋸 歯 状 の冠 を つ け る。 こ の よ うな紋 様 のあ る三 襲 の衣 服 を 着 、 大 き な冠 を つ け た 人 物 は 、 足 こそ 裸 足 で あ るが 、 足 首 上 部 に3介 の錫 を つ け て もい る ので 、 高 位 の人 物 で あ る こ とに は 間 違 い ない 。 次 に 興 味 あ る人 像 は獣 首 冠 人 像(K2③:264)で あ る(挿 図24)。 下 半 身 が失 わ れ て お り、 全 器 の残 高 は40.2糎 、 頭 上 に 大 き な獣 首 を そ の まN冠 に した も のを 載 せ る ので 、 下 半 身 が あ っ た と して も人 像 の身 長 は40糎 を 切 れ るで あ ろ う。 顔 の造 型 は 大 立 人 像 ・人 頭 像 な ど と 同型 で あ る。 冠 は 動 物 の首 か ら上 を そ の まN冠 に した も ので あ る。 こ の動 物 は 第]1章 で 述 べ る神 壇 の基 礎 を 構 成 して い る(挿 図46)。 獣 首 の 口 の左 右 両 側 面 に ハ ロ文 が あ り、 眼 も 同形 で あ り、 下 顎 に は と もに 誇 張 され た 顎 骨 が あ る。 こ の人 像 の両 腕 は 大 立 人 像 と似 て い るが 、 右 腕 は やN低 く右 肩 の前 に あ る。 掌 指 は 同 じよ う に 円筒 状 を なす が 、 こ の場 合 も左 右 別 々 の も のを 把 握 して い た と考 え られ る。 こ の人 像 が ど の よ うな機 能 を もつ と され て い た か は 明 らか で ない が 、 獣 首 冠 の 口辺 に は ハ ロ文 を つ け 、 大 き な 一 対 の羽 根 を つ け て い る こ とか ら考 え て 、 この人物は飛翔力があ り、太陽神 の信仰に関係す る と見 る こ とが で き る。 こ の人 像 の後 頭 部 の生 え 際 は 大 立 人 像 と 同 じ く、 耳 の中 段 やN下 に な っ て い る ので 、 頭 髪 全 体 は 束 ね て 冠 の 内に い れ て い る と考 え られ て い た も ので あ ろ う。 こ のほ か 種 々小 型 の立 人 像 ・脆 坐 像 が あ るが 、 これ ら の顔 な ど の造 型 も基 本 的 に は 人 頭 像 な ど と 同 じで あ る ので 、 必 要 に 応 じて 次 節 以 下 に 引 用 す る以 外 は 省 略 す る。 1-6顔 の 造 型 以 上 述 べ て 来 た 所 か ら、 人 頭 像 ・人 面 ・立 人 像 の顔 面 の造 型 が ほ 黛同 じで あ る こ とが お わ か りい た 黛け た と思 うが 、 これ らを 眺 め た 際 、 先 ず 氣 付 くこ とは 、 眼 が 異 様 に 大 きい とい うこ と で あ る。 い ず れ も精 一 杯 見 開 い て い る状 態 で あ る。 例 え ば 大 立 人 像 の顔 面 の拡 大 写 真(r陳 著 』 図 版1)(挿 図25)に よ って 上 下 の瞼 の最 も広 く離 れ た 所 の長 さ と、 眼 頭 ・眼 尻 を結 ぶ 直 線 を 比 べ る と、 上 下 の瞼 の間 は 、 眼 頭 ・眼 尻 の間 の2分 の1強 で あ る。 これ を 実 際 の生 人 の3分 の 1弱 と比 べ る と可 成 り大 きい 。 そ の ほ か 虹 彩 の 彩 色 が 明瞭 に残 る 唯 一 の 資 料 で あ るB型 の脆 坐 人 像(K2③:04)で は 、 虹 彩 部 分 が 上 下 の瞼 の 内接 円 に な って お り、上 下 の 瞼 の 最 も広 く 離 れ た 場 所 に あ るわ け で あ るが 、 こ の上 下 の間 隔 は 、 眼 頭 ・眼 尻 の間 の2分 の1で あ る(挿 図 26)。 この 比 率 は 、 立 人 像 ・人 頭 像(K1・K2出 土 を 含 む)で も2分 の1よ り大 き な もの が 多 い よ うで あ る。 この傾 向 は 、 人 面 のD型 で も同 じで あ る。 い ず れ も顔 が 縦 長 の構 造 で あ り、 上 下 の 間 隔 を大 き くと り易 い か らで もあ る。 しか し人 面 のC型 は 、 顔 面 の形 が方 形 或 い は や N横 長 で あ り、 従 って 眼 も横 長 に 造 られ て い るが 、 眼 そ の も の の縦 と横 の比 は や は り縦 が 横 の 2分 の1或 い は そ れ よ り大 き くな って い る。 従 って 人 頭 像 な ど と 同 じよ うに 眼 は 大 き く見 開 か

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れ て い る よ うに 表 現 され て い る。 先 きに もふ れ た よ うに 、 虹 彩 部 分 が 残 る のは 、B型 脆 坐 人 像 の一 例(挿 図26)の み で あ るが 、 こ の虹 彩 の中 心 即 ち瞳 孔 が 、 眼 中 の何 処 に 位 置 して い る のか 、 換 言 す れ ば 縦 の間 隔 の最 も広 い 所 が 何 処 に あ るか とい うこ とで もあ るが 、 左 右 の眼 と も、 眼 頭 と眼 尻 とを 結 ん だ 線 の中 央 よ り 眼 尻 即 ち外 側 に 寄 った 所 に あ る。 こ の点 は 、 立 人 像 、 人 頭 像 の大 半 も 同様 で あ る。 従 って これ ら の像 の左 右 の 眼 の 視線 は 外 側 に 拡 散 して焦 点 を 結 ば な くな る。 この 点 は 人 面 のD型 も 同 じ で あ る。 これ に対 してB型 ・C型 の人 面 は、 そ の 瞳孔 の あ る と考 え られ る位 置 は む しろ 眼 頭寄 りに あ り、 両 眼 の視 線 は 焦 点 を 結 ぶ 。 人 が こ の面 の前 に 立 て ば 、 そ の人 は 自身 が 注 視 され て い る よ うな 印象 を受 け る 。 これ に 対 してD型 人 面 や 人 頭 像 ・立 人 像 な どは 、 これ を見 る人 よ りも、 そ の人 の背 后 の何 か を 見 て い る よ うな 印象 を 与 え る。 こ の眼 は 、 饗 馨 文 の眼 と 同 じで 、 見 る者 に 何 時 の間 に か そ の眼 の なか に 吸 い 寄 せ られ る よ うな不 安 を と も な った 畏 怖 感 を 与 え るが(前 掲 「饗 馨 文 の彼 方 」、 同補 正)、C型 人 面 な ど の眼 は直 接 的 な圧 迫 感 を 与 え る。 そ の上 、 注 意 す べ き こ とは 、 人 面 を も含 め て 、 す べ て の眼 球 は 、 眼 頭 と眼 尻 を 結 ぶ 弧 線 に よ って 上 下 に 分 け られ て お り、 しか も こ の弧 線 は 上 下 の瞼 の うち上 瞼 に 近 い 所 を 通 って い る ので 、 弧 線 の上 の部 分 よ りも下 の部 分 が 大 き く、 しか も下 の部 分 は 、 弧 線 の所 が 最 も凸 出 し、 下 瞼 に 近 づ くに つ れ て 内に 収 縮 す る球 面 を な して い る ので 、 瞳 孔 は 下 に 向 う球 面 に 在 る こ とに な り、 視 線 は 下 に 向 う。 した が って 人 頭 像 ・人 面 ・立 人 像 た 黛 し小 型 の立 人 像 は 除 く な どは 、 高 い 所 か ら下 を 見 お ろす よ うな位 置 に お か れ た で あ ろ う。 これ に 対 して3件 の獣 面 の眼 は 、 左 右 の凸 出 した 虹 彩 部 分 は 上 を 向 き、 しか も両 眼 の方 向は 外 に 向 って い るた め 、 焦 点 の定 ま ら な い 眼 で 下 か ら上 を 見 る よ うな低 い 位 置 に お か れ た と考 え て よい 。 従 って 獣 面 の眼 ・顔 は 落 ち着 き の ない 心 の情 態 を あ らわ して い る こ とに な る。 こ のほ か 眼 に 関 聯 して 瞼 の問 題 が あ る。 す べ て の人 頭 像 ・人 面 ・立 人 像 の瞼 は 、 上 下 い ず れ の瞼 も眼 球 に 接 す る所 、 即 ち瞼 の縁 が 薄 い 皮 膚 の よ うに な って い る。 所 が 実 際 の人 間 の瞼 は 、 縁 の 内側 に 捷 毛 が 生 え て い る こ と もあ って 、 幾 らか ふ くらみ を も って い る。 で は 一 体 ど の よ う に す れ ば 人 頭 像 な ど の よ うな形 の瞼 に な る のか 、 所 謂 ア カン ベ ー の よ うな こ とを す れ ば 一 時 的 に は 瞼 の裏 を 露 出 させ て 、 人 頭 像 に 近 い 形 に す る こ とが で き るが 、 指 を 離 せ ば 直 ちに 正 常 な形 に も ど って しま う。 従 って 永 続 的 に 人 頭 像 の よ うに しよ うと思 え ば 、 瞼 の縁 に そ って 一 部 を 切 除 す る よ り方 法 は ない で あ ろ う。 楊 銘 氏 の 「試 論P与 蜀 的 関 係 」(r三 星 堆 与 巴蜀 文 化 』1993年 ll月 、 巴蜀 書 社)に 引 用 され る 「美戊 大 戦 」 とい う説 話 に は 、 莞 族 が 広 漢 地 区 の北 の茂 波 地 区 に 進 入 す る以 前 、 こ の茂 波 地 区 を 占居 して い た 文 基 族 は 、 眉 骨 と捷 毛 が ない た め に 雨 が 眼 球 を 浸 した ので 、 戦 に 敗 れ た と して い る。 そ れ は 、 こ の文 基 族 の眼 の状 態 を 知 った 天 爺 天 の神 が そ の眼 の状 態 は 天 意 に 反 す る も の と考 え 、 文 基 族 を 絶 滅 させ よ うと した か らで あ る と楊

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銘 氏 は解 して い る この 説 話 をA本 とす る。 一 方 私 が 読 む こ と の で きた 「莞 文 大 戦 」(『莞 族i民間 故 事 選 』 所 収 、 上 海 文 藝 出版 社1994年)こ れ をB本 とす る に は 、文 基 族iに つ い て 、 頬 骨 が 高 く、 短 い 尾 が あ る と述 べ る のみ で 、 眉 骨 と捷 毛 の こ とに は ふ れ ない 。 白衣 を ま とい 、 白髪 ・白髪 の老 人 が 莞 人 と文 基 人 の夢 に あ らわ れ 、 莞 人 に は 武 器 と して 白い 石 塊 と棍 棒 を 各 人 に 準 備 させ 、 文 基 人 に は 雪 を 丸 め た 団 丸 と麻 の楷 とを 準 備 させ 、 翌 朝 二 つ の族 を 戦 わ せ た と こ ろ、 文 基 人 の雪 団 丸 と麻 楷 とで は 到 底 太 刀 打 ちで きず 敗 走 した とい う。 こ の 白衣 の老 人 は 、 お そ ら く莞 人 が 祭 る 白石 の岩 の精 で あ り、 白石 岩 を 崇 拝 しない 文 基 人 を 滅 亡 させ よ うと した も ので あ ろ うとい う(「 白石 頭 」、 前 掲r故 事 選 』 所 収)。 と こ ろで 、A本 に ふ れ る眉 骨 とは 、 眉 毛 の 内側 に あ る眼 窩 の前 部 上 縁 を 構 成 す る部 分 で 、 骨 そ の も のが やN厚 くな って い る 北 京 原 人 な ど古 人 類 で は 特 に 目立 つ 部 分 で あ る。 三 星 堆 出 土 の人 頭 像 な どを 側 面 か ら見 る と、 眉 骨 の表 面 の眉 毛 と眼 球 を 覆 う上 瞼 の間 に 凹 ん だ 浅 い 溝 状 の部 分 が あ り、 眉 骨 の 存在 は は っ き り して い る。B、 型 のK2②:17人 頭 像(挿 図16)は 、 顔 面 の上 半 は 比 較 的 ノ ッペ リ した 印象 を 与 え る も ので あ るが 、 こ の像 で も眉 骨 の下 の浅 い 溝 状 の 部 分 は 明瞭 で あ る ので 、A本 の文 基 人 の記 述 と三 星 堆 の人 像 な ど とは 一 致 しない と考 え るべ き で あ ろ う。 一 方 、捷毛が ない とい うことは、石製や金属製 の人像では一般的 なことであ るが、それにか わ って 上 下 の縁 に 丸 み を もた せ 、 毛 根 部 分 を 示 す こ とに よ って 捷 毛 の存 在 を 暗 示 す る。 しか し 人 頭 像 や 人 面 で は 、 瞼 の裏 側 を 露 出 させ た よ うな薄 い 皮 膚 が 眼 球 に 接 して い る。 これ は 捷 毛 の 毛 根 の存 在 す る瞼 の縁 部 を 薄 く削 ぎ と った か らで は ない か と考 え られ 、 当 然 捷 毛 は な くな る。 お そ ら く広 漢 地 区 を 占拠 して い た 当 時 の人 び と の間 で 、 宗 教 的 な見 地 か ら、 瞼 の縁 を 切 除 す る とい うこ とが 、 イ ニ シエ イ シ ョン の よ うな形 式 で 行 わ れ た ので は ない か と私 は 想 像 して い る。 しか し、 こ の よ うな瞼 で は 雨 水 を 防 ぐこ と のみ な らず 、 眼 に 入 る光 の量 を 調 節 す る こ とに も 不 便 で あ った 筈 で あ る。 しか も当 時 の医 学 的 技 術 が ど の よ うな も ので あ った か は 全 く不 明で あ り、 危 瞼 の大 き な行 為 で あ った 筈 で 、 三 星 堆 の人 び とを 衰 亡 させ る原 因 の一 つ と も な った で あ ろ う。 また 頬 骨 が 高 い とい うB本 の記 述 は 、 人 頭 像 な ど が いず れ も頬 骨 の下 縁 の線 を 強調 す る の と相 通 じる と も言 え るが 、 そ の線 は 高 山 の稜 線 の よ うに 鋭 く細 い 線 状 に 表 現 され て い る。 ど の よ うに 頬 骨 が 張 って い て も、 この よ うな線 状 に あ らわ れ る こ とは な い。K1出 土 の 女 性 か と言 わ れ る人 頭 像(K1:2)が 普 通 の表 現 で あ る(挿 図8)。 私 な ど は 、 眼 を 大 き く見 開 か せ る た め に 、 下 瞼 を 大 き くひ き下 げ た た め に で きた 皮 膚 の タル ミか と思 った 程 で あ る。 お そ ら く頬 骨 の張 りを 誇 張 す るた め に 用 い た 表 現 法 で あ ろ うが 、 不 自然 な方 法 で 、 或 い は 何 か 宗 教 的 な意 図 が あ った のか も知 れ ない 。 さ らに 下 顎 の表 現 も特 異 で 、 皮 膚 の上 か ら下 顎 の骨 の形 を 貼 りつ け た よ うに 表 現 して い る。

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下 顎 を 前 方 に 突 き 出 し、 上 下 の歯 を 食 い しば る よ うに す れ ば 、 下 顎 に 力 が は い り、 骨 が 目立 つ よ うに な るが 、 人 頭 像 や 人 面 ほ どに 骨 が 浮 き 出 る よ うに は な ら ない 。 こ の よ うに 表 現 した のに は 、 何 か 特 別 の意 識 が 働 い て い た 筈 で あ るが 、 こ の点 に つ い て は 、 次 章 で 鳥 の形 を 考 え る際 に も う一 度 ふ れ る。 い ず れ に して も、 「莞 文 大 戦 」A・B両 本 と も に描 写 され る文 基 族 の 顔 の特 徴 は 、 三 星 堆 の人 び とが 作 った 人 面 ・人 頭 像 な ど の特 徴 と通 じる点 もあ るが 、 厳 密 に は 同一 とは 言 え ない 。 こ の説 話 の成 立 年 代 或 い は 成 立 の過 程 な ど も不 明で あ り、 また 文 基 族 と呼 ば れ る少 数 民 族 に つ い て も詳 しい こ とは 不 明で あ る ので 、 現 在 で は 三 星 堆 の人 び と と文 基 族 とを 結 び つ け る こ とは 避 け る。 した が って これ ら の人 面 ・人 頭 像 な どで 表 現 され た 人 び とが ど の よ うな源 流 を 継 承 した 人 び とで あ った か に つ い て は 、 現 在 の所 不 明 と言 わ ざ るを 得 ない 。 しか し、 これ まで 主 と して 個 別 に 研 究 され て 来 た 人 面 ・人 頭 像 ・立 人 像 が 、 本 稿 で 述 べ て 来 た よ うに 、 下 顎 や 眼 の造 型 に お い て 共 通 した 表 現 法 が あ り、 そ れ に よ って そ れ ぞ れ の神 秘 性 を あ らわ し、 中 原 地 域 の饗 馨 文 眼 の形 は 全 く異 るが の もつ 神 秘 性 と も共 通 す る技 法 両 眼 の焦 点 を 結 ば せ ない とい う を も って い た こ とが 明 らか に され た と思 う。 そ の一 方 で 特 異 な面 具 で あ る 凸 目獣 面 が 、 実 は 人 面 の うち のB型 ・C型 と と もに祭 祀 儀 礼 と して 用 い られ 、 B型 ・C型 の眼 に は 、 そ の 目的 に あ った 別 の表 現 法 が と られ て い た こ とが 明 らか に な った 。 こ の よ うな こ とは 、 凸 目獣 面 ・人 面 ・人 頭 像 ・立 人 像 な どを 保 持 し、 統 一 的 に 使 用 しよ うと した 人 び とが 、 可 成 り統 一 され た 宗 教 意 識 を もつ 集 団 で あ った こ とを 示 して い る と言 うこ とが で き よ う。 ]1-1階 が 曲 が っ た 鳥 三 星 堆 出 土 の 鳥 の形 を した 青 銅 器 で 、人 び とが 注 目す る の は 大 鳥 頭(K2②:141)と 呼 ば れ る も の で あ る(挿 図27)。 高 さ40.3糎 、 幅 即 ち 階 の先 端 か ら後 頭 部 に 達 す る低 い鶏 冠 様 の も の の末 端 まで が38.8糎 あ る大 型 の も ので あ る。 階 は 太 く、 中 央 部 で 鋭 角 に 内に 曲が りこむ 。 眼 も大 き く、 虹 彩 の部 分 は 円角 方 形 で 、 幾 らか 球 状 に 盛 りあ が る。 そ の後 部 に 三 角 形 に 近 い 肉腫 の よ うな も のが 虹 彩 か ら独 立 して 付 い て い るた め 、 こ の二 つ の部 分 を 容 れ る眼 窩 と瞼 の後 部 は 、 弧 線 に 園 まれ た 三 角 状 に な り、 そ の眼 尻 の部 分 は 鋭 角 に 下 垂 して い る。 こ の眼 の よ うに 眼 尻 が 三 角 形 に な って い る眼 を 便 宜 的 に 三 角 眼 と呼 ぶ 。 頭 の前 額 部 に は 方 円 の孔 が 前 方 に 向 って 開 い て お り、 また 階 の水 平 部 分 の先 端 上 部 に は 三 角 形 の孔 が あ る。 この二 つ の孔 に は 鶏冠 か 飾 羽 の よ うな も のを 挿 した と考 え られ て い る。K1出 土 の金 杖(K1:1)に は 、4羽 の 同 型 の 鳥 が 描 か れ て い るが 、 そ の階 の弩 曲部 大 鳥 頭 ほ どに 鋭 角 的 な 屈 曲 で は ない 一 一 に は 巻 きあ が った 小 さな 飾 りが あ る(挿 図28)。 しか し大 鳥 頭

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の孔 は 大 きい ので 、 可 成 りの太 さ の も のを 挿 した 筈 で あ る。 例 え ば 湖 南 省 寧 郷 県 黄 材 出土 の四 羊 尊 と呼 ば れ る大 方 尊 の腹 部 の文 様 は 、 太 い 足 で 立 つ 鳥 の姿 を 描 くが 、 頭 の前 額 部 か ら長 く太 い 冠 羽 をつ け 、 尾 羽 も上 と下 に巻 き込 ん だ 飾 り羽 根 に な って い る(挿 図29)。 大 鳥 頭 の 前 額 部 に も こ の よ うな冠 羽 を 挿 した と考 え られ る。 た 黛金 杖 の鳥 も四 羊 尊 の鳥 も、 眼 は 円形 で 、 大 鳥 頭 の三 角 眼 とは 異 な る ので 、 そ れ ぞ れ の鳥 が 象 徴 す る も と の鳥 が 異 な って い た こ とを 念 頭 に お い て お く必 要 が あ る。 さ らに 注 意 す べ き点 は 、 下 階 の造 型 で あ る。 下 階 の先 端 か ら眼 の下 に か け て 、 下 階 の左 右 両 側 に あ る骨 質 の部 分 が 強 調 され て 、 皮 膚 の上 か ら骨 か 何 か を 貼 り付 け た よ うに 表 現 され て い る。 こ の貼 り付 け 部 分 が 下 階 の左 右 の形 を 構 成 し、 上 階 と の合 せ 目に な って い る。 実 際 の鳥 を 見 て も、 種 類 に よ って 左 右 の骨 質 部 分 が 目立 ち、 そ れ に 挟 まれ た 下 階 の下 面 の三 角 形 の部 分 は 柔 軟 な皮 と 肉質 に な って い る も のが あ る。 こ の下 階 の特 徴 は 、 後 述 す る階 の真 っ直 ぐな鳥 と比 較 す る と、 こ の大 鳥 頭 の よ うに 三 角 眼 を も ち、 階 が 曲 った 鳥 のい ま一 つ の特 徴 で もあ る こ とが 明 らか で あ る。 例 え ば2号 大 型 神 樹 の上 に つ け られ た 鳥(K2②:194、 高 さ約15糎)、 同 じ く2号 大 型 神 樹 上 に つ け られ て い た と考 え られ て い る大 型 の鳥(K2②:194-1、 高 さ21.4糎)(挿 図30)も この三 つ の特 徴 を備 え て い る。 或 い は青 銅 製 の 鳥 型 鈴(K2②:103-8)(挿 図31)、 板 状 で 何 か の装 飾 品 と して 使 用 され たB 型 鳥 形 飾(K2②:70-9)も 同 じよ うに 三 つ の特 徴 を も って い る。 或 い は三 角 眼 が 退 化 して 、 眼 全 体 は 円形 に 近 くな り、 眼 尻 に小 さな 突 起 状 の切 り込 み を残 す に 過 ぎ な くな っ たE型 銅 鳥 (K2③:239-1)(挿 図32)やA型 鳥 形 飾(K2③:193-4)な ど も、 この下 階 の 骨 質 の部 分 は 明瞭 な形 で つ け られ て い る。 こ の点 は 、 人 面 ・人 頭 像 な ど の下 顎 骨 の強 調 と 同 じ意 識 に も と つ くも の と考 え られ るが 、 改 め て 後 述 す る。 と こ ろで 、 こ の三 角 眼 は鳥 の 眼 と して 以外 に も使 用 され る。E型(K2③:149)、G型(K 2③:70-7)の 二 つ の銅 鈴 は 、 銅 鈴 の縁 の形 に 合 せ て 三 角 眼 を 細 長 く延 ば し、 左 右 の両 縁 を 飾 る よ うに して い る 。特 にG型(挿 図33)は 、 三 角 眼 に挟 まれ た 中 央 部 に大 きな 口 を 開 き牙 歯 を む き 出 しに して お り、 口 の左 右 の前 端 に あ る のは 先 端 の尖 った 大 き な牙 と な って い る。 こ の 形 の 口は 陳 西 省 城 固 県 蘇 村 出土 の青 銅 製 獣 面 に も見 られ るが 、 こ の獣 面 の眼 は 饗 馨 文 の眼 と 同 じ形 で あ り、 獣 形 の 口 と違 和 感 は ない 。 銅 鈴 の方 は あ る種 の鳥 に 特 徴 的 な三 角 眼 を 変 形 させ た も の と、 牙 を も った 獣 口を 一 つ の器 と して 一 体 化 され た こ とに な る。 お そ ら く三 角 眼 が 簡 略 化 され て 行 く傾 向 と と もに 、 三 角 眼 の も って い た 意 義 が 稀 薄 化 した 結 果 、 三 角 眼 と獣 口 とを 一 体 化 した と思 わ れ る。 或 い は 城 固 県 出土 の獣 面 の影 響 もあ るか も知 れ ない 。 た 黛 し、 口を 大 き く開 い て 牙 歯 を む き 出 しに して い る のは 、 人 や 悪 璽 を 威 嚇 して 追 い 祓 う行 為 で あ り、 一 方 細 長 く変 形 して い る とは い え 、 こ の三 角 眼 を もつ 鳥 は 、 大 鳥 頭 で も感 じられ る 如 く、 力 を も った 猛 禽 で あ り、 そ の鳥 の力 を 恐 れ て い た 人 び と の意 識 が 働 い て 、 こ の鈴 の音 は

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悪 を 追 い 祓 うと考 え られ て い た も ので あ ろ う。 こ の大 鳥 頭 は 首 の下 端 の左 右 と前 部 に 小 円孔 が 各 一 つ あ り、 固 定 のた め に 使 用 した も ので 、 こ の鳥 頭 は 建 築 の装 飾 と して 使 用 した も の と考 え られ て い るが 、 お そ ら く単 な る装 飾 で は な く、 悪 璽 を 避 け る 目的 が あ った で あ ろ う。 現 在 の資 料 で は 、 こ の大 鳥 頭 の よ うな三 角 眼 を も った 鳥 は 三 星 堆 以 外 で は 発 見 され て い ない 。 な お小 型 神樹 の 桃 形 果 実 の 上 に つ け られ て い た 人 面 鳥(K2③:272)の 眼 は 三 角 眼 で あ り、 顔 面 の形 に あ わ せ て 横 長 の 円角 方 形 に ま とめ られ て い るが 、 そ の眼 の構 成 要 素 は 三 角 眼 と 同 じ で あ る(挿 図34)。 この 人 面 鳥 は 頭 上 に は 冑 、胸 と膝 に は鎧 の一 部 と見 られ る胸 当 ・膝 当 を つ け て い る ので 、 戦 士 と も見 られ て い た と考 え られ る。 口は 人 面 な ど と 同 じ く一 文 字 に 結 ば れ 、 下 顎 骨 も強 調 され て い る ので 、 力 を 必 要 とす る存 在 で あ り、 猛 禽 と 同 じ三 角 眼 を つ け た も ので あ ろ う。 ]1-2階 が 真 っ 直 ぐ な 鳥 r報 告 』 に 掲 載 され るA型 鳥(K2③:193-1)は 、 高 さ34糎 の大 型 の遺 品 に 属 す るが 、 前 節 の鳥 類 とは 異 な り、 階 は 方 錐 形 で 、 微 か に 弩 曲す る のみ で 、 殆 ど真 っ直 ぐで あ り、 長 さは 約 6糎 あ る(挿 図35)。 頭 上 に5支 に分 か れ た高 さ9.1糎 の大 き な鳳 冠 羽 が つ く(1支 は 後 頭 に 沿 って 下 に垂 れ る)。 頭 か ら頸 ・胸 ・腹 部 にか け て 魚 鱗 状 の羽 文 が被 う。 主 翼 は小 さ く、 尾 羽 は 長 く下 に 垂 れ る。 眼 は 円形 で 、 頭 部 か らやN突 出 して い る。 こ の よ うな眼 を 円眼 と呼 ぶ 。 こ の 鳥 の形 は 後 世 の鳳 風 の先 駆 を なす も の と言 うこ とが で き る ので 、 鳳 鳥 と呼 ん で お く。 三 星 堆 の 出土 品 で これ と同形 式 の 鳥 は 、 他 に 円尊 の肩 部 の残 片 上 に残 る鳥(K2③:23)で 、 方 錐 型 の直 階 と円 眼 を も ち、 頸 に は 魚鱗 状 の羽 文 を つ け 、 冠 羽 は3支 に分 れ る(挿 図36)。 こ の鳥 は 円尊 の肩 上 の稜 と して 鋳 造 され た も ので 胴 と尾 羽 は 板 状 で あ る のに 対 して 、 頭 と胸 は や Nふ くらみ を も って い る。 尾 は 上 に 巻 き上 が る。 こ の よ うな直 階 と 円眼 を も った 鳥 は 、]V'式円 尊2器(K2②:79とK2②:146)やV式 円 尊3器(K2②:127、K2②:151、K2②: 129)、 或 い は 皿式 円曇(K2②:159)の 、 い ず れ も肩 部 の 稜 と して作 られ て い る。 頸 に は い ず れ も魚 鱗 状 羽 文 を つ け るが 、 い ず れ も冠 羽 が ない ので 、 一 見 した 所 で は 水 鳥 の よ うに も見 え るが 、 冠 羽 を 省 略 した も の と考 え るべ き も ので あ る。 こ のほ か 青 銅 器 の文 様 と して描 か れ た もの もあ る。1式 円曇(K2②:70)の 腹部 中 央 の主 文 で あ る饗 馨 文 の 両 側 に 、 主 文 に 背 を 向 け て鳳 鳥 が描 か れ て い る(挿 図37)。 円 眼 で 、 頭 上 に 3支 の冠 羽 が あ り、 頸 か ら胸 に か け て 魚 鱗 状 羽 文 が あ り、 主 翼 は3支 に 分 か れ て 展 げ られ て い る。 最 初 に あ げ たA型 鳥 は 腿 以 下 が 欠 損 して い る た め 、 足 の 形 な ど は不 明 で あ るが 、 こ の曇 の鳳 鳥 文 は 、 先 に あ げ た 四 羊 尊 と 同 じ く大 き な爪 を も った 足 で あ る こ とが わ か る。 尾 羽 は 下 に 垂 れ る。

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こ の よ うな鳳 鳥 型 の鳥 は 、 三 星 堆 以 外 で は 、 陳 西 省 岐 山県 賀 家 村 で 発 見 され た 青 銅 製 の畢 の 左 右 の柱 の上 に 樽 った1羽 ず つ が 立 体 形 の飾 りと して 付 け られ て い る。 冠 羽 は3支 、 円眼 、 直 階 で 、 頸 か ら腹部 に か け て 魚 鱗 状 羽 文 で 飾 られ る(挿 図38)。 ま た 江 西 省 新 干 県 大 洋洲 の 商 代 大 墓 か ら発 見 され た 二 つ の 円形 の鼎(資 料 番 号 はXDM:26とXDM:27)の 左 右 の耳 に は そ れ ぞ れ1羽 ず つ 鳳 鳥 が 樽 ま って い る。 頭 に 鶏 冠 状 の飾 りを つ け 、 円眼 ・直 階 で 、 頸 に は 魚 鱗 状 羽 文 を つ け る(挿 図39)。 また 文 様 と して は 陳 西 北 部 の清 澗 県張 家;弧出 土 の青 銅 尊 の腹 部 に 、 中 央 の主 文 で あ る饗 馨 文 の両 側 に 主 文 に 背 を 向け て 描 か れ て い る。 三 星 堆 の1式 円曇 と 同 じ配 置 で あ る。 冠 羽 は3支 、 頸 か ら尾 羽 の先 端 に か け て 魚 鱗 状 羽 文 が あ り、 尾 羽 は 水 平 に 伸 び 、 先 端 は 下 垂 して い る。 眼 は 円眼 で あ るが 、 階 は 器 の影 に 入 るた め 形 は 不 明で あ る。 実 を 言 え ば1 式 円曇 で も、 上 階 と下 階 が 開 い て い る よ うで もあ り、 先 端 が ど うな って い るか 判 然 と しない が 、 両 者 と も四 羊 尊 と 同 じよ うに 軽 く階 を 開 き、 階 の先 端 は 微 か に 曲が って い た ので は ない か と思 う。 た 黛こ の画 像 的 鳳 鳥 の階 の 曲が りは 、 猛 禽 類 の 曲階 とは 異 る。 こ う した鳳 鳥 は 、 この 節 の 最 初 に あ げ たA型 鳥 、或 い は 一 式 円曇 の鳳 鳥 が 完成 形 で あ るが 、 そ の先 駆 形 の鳥 が ど の よ うな鳥 で あ った か は 不 明で あ る。 少 くと も三 星 堆 で は 、 三 角 眼 ・卸 砦 の猛 禽 が 中 心 的 な存 在 で あ った 所 に 装 飾 品 な どに 猛 禽 を 模 した も のが 多 い こ とか ら考 え ら れ る 、 こ の 円眼 ・直 階 の鳳 鳥 が 何 か の理 由に よ って 移 植 され 、 猛 禽 に 影 響 を 与 え た ので は ない か と考 え られ る。 例 え ば 小 型 神 樹 の二 枚 の葉 の中 心 に あ る桃 形 の果 実 の上 に 立 つ2件 の鳥 (K2②:213一 一 挿 図40一 一 とK2③:47)は とも に頭 上 に 大 きな 冠 羽 を もち 、尾 羽 の 上 の 3支 と下 の2支 も展 開 し、 そ れ ら の先 端 は 桃 果 型 で 、 そ の果 の中 央 に 飾 りの孔 を あ け る。 眼 は 退 化 した 三 角 眼 、 曲階 も軽 微 、 胸 か ら腹 に か け て やN粗 放 に な った 魚 鱗 状 羽 文 を つ け る。 全 く 同様 な こ とがA型 鳥 型 飾(K2③:193-4)に も見 られ る(挿 図41)。 特 に 注 意 す べ き も のは 、 一 号 大 型 神 樹(K2②:94)上 の 鳥 で あ る。 同型 式 の鳥 は少 く と も9件 が確 認 され て い る。 巨 大 な 曲階 と強 調 され た 下 階 の骨 質 を も ち、 体 形 は 完 全 に 猛 禽 と 同 じで あ るが 、 眼 は 完 全 な 円眼 で あ り、 そ の こ とは こ の鳥 の表 情 を 、 三 角 眼 の猛 禽 よ りは るか に 穏 や か な も のに して い る(挿 図42)。 ]1-3鳥 と 人 と の 関 係 これ ら の鳥 は 一 般 に 神 と人 間 と の間 を 結 ぶ 使 者 と考 え られ て い る。 然 し単 な る使 者 と言 うよ り、 人 と の間 に よ り強 い 関 係 が 考 え られ て い た ので は なか ろ うか 。 第1節 に あ げ た 人 面 鳥 は 、 人 面 を も った 鳥 と考 え られ て い るが 、 こ の人 面 は 単 な る人 の顔 で は ない 。 こ の人 面 の眼 は 先 に もふ れ た よ うに 、 猛 禽 の象 徴 で あ る三 角 眼 を 人 面 の形 に あ わ せ て 円角 方 形 に つ くった も ので あ り、 こ の眼 と人 面 の 口 ・下 顎 とを 一 つ の顔 面 に 収 め た も ので あ る。 これ と類 似 した 人 面 鳥 は 、

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