第66回 月例発表会(2004年04月) 知的システムデザイン研究室
デジタル放送
∼デジタル放送のメリットとデメリット∼
宮崎 真,勝崎 俊樹
Masashi MIYAZAKI,Toshiki KATSUZAKI
1 はじめに
デジタル放送は,今まで放送衛星(BS)を利用した デジタル信号による BS デジタル放送が一般的であった. BS デジタル放送は有料であるため,特別な機器など必 要であり,あまり一般的でなかった.しかし,現在,衛 星ではなく地上波によるデジタル放送が一般化されよう としている. そこで本発表では,地上波デジタル放送に注目し,そ の動向について考察する.2 デジタル放送とは
デジタル放送には,衛星もしくは地上波を用いる方法 があるが,地上波デジタル放送は,今までのアナログ地 上波放送に代わるものとして期待されている.地上波デ ジタル放送は国策のもと,2003 年 12 月から東京・大阪・ 名古屋の 3 大都市圏の一部地域から始まり,段階的にエ リアを拡大する予定である.デジタル放送はデジタル変 調方式を用いた放送であり,映像や音声をデジタル信号 に置き換えて送信することで放送の高品位化,周波数の 有効利用,多彩な放送サービスの提供が実現するといわ れている.3 デジタル放送の仕組み
アナログ放送では,Fig. 1 のように,送信側は画像の 色や明るさの情報を一列の電気信号に置き換え,連続的 に映像・音声信号をアナログ変調し,発信する.受信側 ではチューナーによりその電気信号を検波し映像・音声 を再生する. 一方デジタル放送では,Fig. 2 のように,放送する画 像・音声ともに(0,1)のビット列に符号化(圧縮)し, デジタル変調の処理を施し,一括して送信する.受信側 では,チューナーで復調,復号化し映像・音声等のデー タを取り込む. ࠕ࠽ࡠࠣㅍ ᤋାภ 㖸ჿାภ ᄌ⺞ วᚑ ࠴䳡䳦࠽ ᤋᬌᵄ 㖸ჿᬌᵄ ᤋାภ 㖸ჿାภ Fig. 1 アナログ放送の仕組み ࠺ࠫ࠲࡞ㅍ ᓳ⺞ 㖸ჿାภ ᤋାภ ╓ภൻ❗ ╓ภൻ❗ ᄙ㊀ൻ ᄌ⺞ ⺋ࠅ⸓ᱜ ᤋାภ 㖸ჿାภ ╓ภൻᓳภ ╓ภൻᓳภ Fig. 2 デジタル放送の仕組み また,デジタル放送を用いる利点としては,送信時の データの劣化の補正が容易に行える点にある.アナログ 放送では,信号情報の波形が連続的であるため,その補 正は難しい.その一方デジタル信号は矩形をしており, その状態は(0,1)の二種類しかないため,補正は容易 であり,正確なデータ受信が可能となる. 電波の利用形態の特徴として,Fig. 3 のように,デジ タル放送では1チャンネルを 13 セグメントに分割する. データをパッケージ化し,それぞれのセグメントに格納 することで,1 セグメント放送も可能となる. ࠴ࡖࡦࡀ࡞ ࠣࡔࡦ࠻ Fig. 3 セグメント分割4 デジタル放送サービス
デジタル放送では,従来のアナログ放送と比較して, 様々なサービスを実現することができる.そのサービス について,技術的観点から以下で考察する. 4.1 高画質ハイビジョン放送 デジタル放送では,ゴースト (二重移り)の出ないク リアな HD 画質(高精細度画質)を実現することがで きる.従来の SD 画像(標準画質)と比較し,2 倍以上 の有効走査線数を利用することができるためである.ま た,画角1についても,従来の 4 対 3 ではなく,16 対 9 1テレビ画面の縦横の比率を数字で表したもの. 1が標準となる.これにより,従来では引き伸ばさなけれ ば実現できなかった画像についても,クリアなものを提 供できるようになる.これらは,データ圧縮により,送 信可能なデータ量を増大させることが可能となったため である.1) 4.2 双方向放送 双方向放送では,視聴者がテレビを視聴するだけでな く,情報を取得し,送信することができる.デジタル放 送では,デジタルデータを扱うため,受信側は受け取っ たデータを一括管理できるという利点がある.そのた め,デジタル放送に移行することで,大量のユーザの意 見をリアルタイムで番組に反映させることができる.し かし,双方向機能を実現するには,通信経路(電話回線 など)を別に確保する必要がある.