Title
小焦点X線管を用いた位相コントラストイメージングの画
質評価に関する研究( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
松尾, 悟
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(再生医科学) 甲第888号
Issue Date
2012-03-25
Type
博士論文
Version
none
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/42919
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与要件 学位論文題目 審 査 委 員 松 尾 悟(滋賀県) 博 士(再生医科学) 甲第 888 号 平成 24 年 3 月 25 日 学位規則第4条第1項該当 小焦点X線管を用いた位相コントラストイメージングの画質評価に関する 研究 (主査)教授 星 博 昭 (副査)教授 森 田 啓 之 教授 吉 田 和 弘 論 文 内 容 の 要 旨 【緒言】 近年,X 線の位相効果を利用した位相コントラストイメージング(以下,位相イメージングと略) の研究が盛んに行われている。X 線の位相効果(屈折)を利用すると,被写体画像辺縁がエッジ強 調され鮮明な画像が得られることから,特に X 線吸収が少ない軟部組織で構成される乳房の X 線撮 影に適している。そして,現在では phase contrast mammography(PCM)として臨床で使われるよ うになった。商用化されたディジタル PCM システムは,従来の乳房撮影装置に改良を加えた装置と 検出器に輝尽性蛍光板を用いた撮影システムであるが,検出器に増感紙/フィルムシステムを用い た際に得られた強いエッジ強調効果が得られていない。 屈折 X 線によるエッジ強調効果は,X 線管 焦点サイズ,焦点-被写体間距離,被写体-検出器間距離,そして X 線検出器の性能により変わる。 本論文では,従来の画像評価法では評価できない位相画像に対して,新しい評価方法を提案し, 密着画像と位相画像の画質の違いを評価した。さらに,小焦点 X 線管を用いた位相イメージングに おいて,最も位相効果が得られる条件をシミュレーションにより検証した。 【方法】 ①~⑥に掲げる項目に対して評価を行った。 ① X 線検出器に増感紙/フィルムシステムを用い,位相イメージングそして従来の撮影法(密着撮 影)でアクリルファントムを撮影し,得られた画像の物理評価を行った。 ② 増感紙/フィルムシステムそして輝尽性蛍光板(Computed Radiography 用)と同等な性能を持つ X 線検出器を用いたディジタル位相イメージングにおいて,最も位相効果が得られる幾何学的配 置そして画像データ収集条件をシミュレーションにより求めた。 ③ 従来の画像評価法では評価できない位相画像の画質評価に,2 次元パワースペクトル法を用いた 新しい画質評価法を適用し,位相画像の画質評価を試みた。 ④ 実際に,臨床用に開発されたディジタル PCM の画質評価をアクリルファントムを用いて行った。 ⑤ 密着画像に画像処理(エッジ強調処理:アンシャープマスク処理そしてラプラシアンフィルタ 処理)した画像と位相画像の違いを調べた。 ⑥ 新しく開発された輝尽性蛍光板を用いた位相イメージングの有用性をファントム実験により調 べた。 【結果および考察】 ① 位相画像は密着画像に比べて,被写体の周辺に強いエッジ強調像が生じることで,画像の鮮鋭 性の向上が認められた。また,被写体の厚さが増しても散乱線の増加が少なく,マンモグラフ [ 28 ]
ィ撮影時の強い圧迫の必要性を回避できる可能性を有している。 ② 従来の乳房撮影装置(焦点サイズ 0.1 mm,焦点-被写体間距離 65 cm)を使ったディジタル位 相イメージングの最適な幾何学的配置およびデータ収集条件は,増感紙/フィルムシステムと 同等な性能の検出器を用いた場合には 1.75 倍拡大撮影,輝尽性蛍光板と同等な性能の検出器を 用いた場合では 3.0 倍拡大撮影,データのサンプリング間隔は 0.025 mm である。 ③ 撮影された画像の 2 次元パワースペクトルから信号とノイズの動径強度分布関数を算出し,こ れらの値を使って新しく信号強度分布関数を定義した。この信号強度分布関数を用いて画質評 価することで位相効果を含んだ画質の評価が可能になった。 ④ 臨床用に開発されたディジタル PCM の画像からは,増感紙/フィルムシステムで得られる強い エッジ強調効果は得られなかった。 ⑤ 画像処理(エッジ強調処理)では,位相イメージングで生じるエッジ強調に匹敵する効果を得 ることができなかった。 ⑥ 従来の輝尽性蛍光板が粒状性結晶構造であるのに対して,新しい輝尽性蛍光板は光の散乱が少 ない柱状結晶構造のため優れた鮮鋭性を有している。この輝尽性蛍光板を用いた位相イメージ ングでは,増感紙/フィルムシステムに匹敵するエッジ強調効果が得られた。 【結論】 2 次元パワースペクトルから算出する信号強度分布関数を用いた画質評価法の有用性を実験によ り証明することで,密着画像と位相画像の画質の相違を定量的に評価することができた。また, シ ミュレーションの結果,ディジタル PCM の最適な幾何学的配置を示すことができた。ディジタル PCM の幾何学的配置を最適化することで,さらなる画質の改善が可能になり,マンモグラフィの画像診 断の向上に寄与することが期待できる。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
申請者 松尾 悟は,屈折X線を利用した phase contrast mammography (PCM) と従来の mammography の画質の違いを,2 次元パワースペクトルから算出した信号強度分布関数を用いることで評価可能 になることを実証した。さらに,PCM を使って最も位相効果が得られる幾何学的配置をシミュレー ションにより明らかにした。本研究の成果は,知能イメージ情報学の発展に少なからず寄与するも のと認める。
[主論文公表誌]
1. Satoru Matsuo, Junji Morishita, Testuro Katsfuchi, and Hiroshi Fujita: Image-quality assessment method for digital phase-contrast imaging based on two-dimensional power spectral analysis. Radiological Physics and Technology, 5, 78-85 (2012).
2. Satoru Matsuo, Hiroshi Fujita, Junji Morishita, Tetsurou Katsfuchi, Chika Honda, and Junko Sugiyama: Preliminary evaluation of a phase contrast imaging with digital mammography. Digital Mammography, E.A.Krupinski (Ed.), Springer Lectures Notes in Computer Science (LNCS) series, LNCS5116, 130-136 (2008).
3. 松尾 悟,杜下淳次,藤田広志,片渕哲朗:ディジタル位相コントラストイメージングにおけ るエッジ強調の評価.医用画像情報学会雑誌, 23, 120-123 (2006).
4. Satoru Matsuo, Tetsuro Katafuchi, Keiko Tohyama, Junji Morishita, Katsuhiko Yamada, and Hiroshi Fujita: Evaluation of edge effect due to phase contrast imaging for mammography. Medical Physics, 32, 2690-2697 (2005).