地方制度改革の実証分析 : 地域マクロ計量モデル
による接近
著者
入江 啓彰
学位名
博士(経済学)
学位授与機関
関西学院大学
学位授与番号
34504甲第446号
URL
http://hdl.handle.net/10236/11366
地 方制 度 改革 の実 証 分 析
―地域 マ ク ロ計 量 モデル に よる接 近 ―
次 目 序 章 分 析 の 視 角 と手 法 .… … … … …・4
1
問 題 の 所 在 .… … … … … 42
分 析 手 法 .… … … … … 73
本 稿 の 構 成 .… … … … …・10 第1章
政 府 間 財 政 関 係 の 見 直 しの 経 済・財 政 へ の 影 響 一 日本 経 済 財 政 計 量 モ デ ル に よ る 分 析 ― .… … … … … 131
本 章 の ね らい 。… … … …・132
日本 の 経 済 ・ 財 政 の 現 状 と政 府 間 財 政 移 転 … … … … 143
モ デ ル の 構 造 .… … … … Ⅲ174
将 来 見 通 し と シ ミ ュ レー シ ョ ン.… … … … …・ 355
小 括 .… … … … …・ 40 第2章
需 要 面 か らみ た 道 州 制 下 に お け る 公 共 投 資 の 地 域 経 済 へ の 影 響 一 地 域 間 の 経 済 取 引 関 係 を 考 慮 した 地 域 計 量 モ デ ル に よ る 分 析 ―.… … … … … 421
本 章 の ね ら い .… … … … …・ 422
モ デ ル の 構 造 .… … … … …・ 433
推 定 結 果 の 地 域 比 較 .… … … … …・ 484
公 共 投 資 の 追 加 シ ミュ レー シ ョ ン.… … … … …・ 50 ... 53 第3章
供 給 面 か らみ た 道 州 制 下 に お け る 公 共 投 資 の 地 域 経 済 ・ 厚 生 へ の 影 響 一 九 州 地 域 を 対 象 と した 地 域 計 量 モ デ ル に よ る分 析 一.… … … … 551
本 章 の ね らい .… … … … …・552
モ デ ル の 構 造 .… … … … …・ 575
小 括 .… … … … … 第4章
大 都 市 制 度 改 革 に よ る 財 政 支 出 の 効 率 化 析 ― .… … … … …・1
本 章 の ね ら い 。… … … … 一 大 阪 府 市 を ・・・・・・・・・72
中 心 と した 分 … … … …・ 77 … … … …・ 772
大 都 市 制 度 の 現 状 と見 直 し.… … … …・ 783
歳 出 関 数 の 推 定 .… … … … …・ 824
分 市 に よ る歳 出 へ の 影 響 … … … 895
小 括 .… … … … 。 92 第5章
大 都 市 制 度 改 革 の 地 域 経 済・財 政 へ の 影 響 一 大 阪 府 市 経 済 財 政 計 量 モ デ ル に よ る 分 析 一 .… … … … 941
本 章 の ね らい .… … … … …・ 942
基 本 モ デ ル の 構 造 .… … … … …・ 963
制 度 改 革 モ デ ル の 構 造 .… … … … 1134
基 準 モ デ ル に よ る シ ミュ レー シ ョン.… … … 1165
制 度 改 革 モ デ ル に よ る シ ミュ レー シ ョ ン.… … … … 1186
小 括 Ⅲ… … … …1・ … … … 122 お わ りに Ⅲ… … … …・124 参 考 文 献 .… … … … …・ 128 参 考 資 料 .… … … … Ⅲ1411
第1章
方 程 式 体 系 ・ 変 数 リス ト.… … … … … 1412
第2章
方 程 式 体 系 口変 数 リス ト.… … … … 1623
第3章
方 程 式 体 系0変
数 リス ト.… … … … … 1884
第5章
方 程 式 体 系 ・ 変 数 リス ト.… … … … 192序 章 分 析 の 視 角 と手 法
1
問 題 の 所 在 バ ブ ル 経 済 崩 壊 以 降 、 日本 経 済 は 「失 わ れ た20年
」 と も言 わ れ る よ うに 、低 迷 が 続 い て い る。 ま た 財 政 も危 機 的 状 態 が 続 い て お り、90年
代 中 頃 か ら続 く悪 化 傾 向 に 歯 止 め が か か らな い 。 地 域 経 済 や 地 方 自治 体 の 行 財 政 運 営 を め ぐ る状 況 に つ い て は 、 少 子 高 齢 化 の さ らな る進 展 、 経 済 成 長 の 鈍 化 、 グ ロー バ ル 化 の 進 展 な ど、 そ の 取 り巻 く環 境 が 大 き く変 化 して い る最 中 に あ り、 大 き な 転 換 期 を 迎 え て い る。 ま た 交 通 イ ン フ ラ の 整 備 や 技 術 の 高 度 化 の 進 展 に よ つ て 、 地 域 間 経 済 取 引 が 活 性 化 して き て い る。一 方 、少 子 化 の 進 展 な ど人 口動 態 の 変 化 は 、 多 くの 地 域 経 済 に と っ て 負 の 影 響 を も た ら して い る。 地 方 部 の 経 済 活 動 の 衰 退 は 、 住 民 生 活 水 準 の 低 下 を 招 き 、 地 域 間 格 差 の 拡 大 に もつ な が つ て い る。 ま た 地 方 自治 体 の 行 財 政 運 営 に お い て は 、 厳 しい 財 政 運 営 に 直 面 して い る地 方 公 共 団 体 が 多 い 。 そ の 要 因 は 地 方 自治 体 の 規 模 や 態 様 に よ つ て 様 々 で あ る が 、 財 政 状 況 が 危 機 的 に あ る 団 体 で は 、 特 に 経 済 成 長 と財 政 の 持 続 可 能 性 の 両 面 に 配 慮 した 行 財 政 運 営 が 求 め られ て い る。 こ う した 状 況 か ら、マ ク ロ経 済 や 国 の財 政 の 動 向 だ け で な く、「地 域 」に 焦 点 を 当 て 、地 域 経 済 の 安 定 成 長 や 地 方 財 政 の 持 続 可 能 性 に つ い て検 討 す る こ とは 、 近 年 特 に 重 要 に な つ て き て い る とい え る。 政 策 運 営 の 目標 と して 、 短 期 的 な 経 済 動 向 や 財 政 収 支 の 改 善 を 図 る だ け で な く、 長 期 的 な 視 点 か ら、 国 と地 方 の 制 度 設 計 に つ い て 、 旧 来 の 地 方 財 政 制 度 か ら脱 却 し、 抜 本 的 な財 政 構 造 改 革 を 実 現 す る こ とが 求 め られ て き て い る。 政 府 に お い て も、 地 域 主 権 戦 略 会 議 や 地 方 制 度 調 査 会 に お い て 国 と地 方 の 関係 を め ぐ る 制 度 改 革 の 検 討 が 行 わ れ て い る。 これ らは 地 方 分 権 を推 し進 め 、これ ま で の 国 と地 方 の 関係 を 見 直 す こ とに よ り、 地 方 自治 体 の 財 政 運 営 の 効 率 化 を ね らい と した 改 革 で あ る。 国 と地 方 自治 体 の 関 係 に つ い て は 、1947年
に 地 方 自治 法 が 施 行 され て 以 降 、 ほ とん ど大 き な 変 化 を 見 な い ま ま推 移 して き た 。改 革 の 端 緒 とな っ た の は 、1995 年 に設 置 され た 地 方 分 権 推 進 委 員 会 に よ る 国 と地 方 の 法 的 関係 の 整 備 で あ り、同 委 員 会 の 勧 告 に よ つ て
1999年
に 制 定 され た い わ ゆ る地 方 分 権 一 括 法 で あ る。 地 方 分 権 一 括 法 の 施 行 に よ り、 国 と地 方 は 対 等 ・ 協 力 の 関 係 とな り、 住 民 に 身 近 な 行 政 は 地 方 が 行 い 、 国 は 国 家 存 立 や 全 国 的 視 点 を 要 す る行 政 を 行 う とい う 原 則 の も と、 地 方 自治 体 が 「国 の 事 務 」 と して 行 つ て い た 機 関 委 任 事 務 の 廃 止 な どが 実 施 され た 。 これ に よ り国 と市 町 村 の 間 に都 道 府 県 が 介 在 す る必 然 性 は な くな り、 県 が 市 町 村 を 統 括 す る役 割(の 一 部 )が 軽 減 され る こ と とな つ た 。 同 じ時 期 に 、国 の 財 政 に 関 して も小 泉 政 権 に お い て 構 造 改 革 が 行 わ れ 始 め た 。2001年
に 経 済 財 政 諮 問 会 議 が 設 置 され 、「経 済 財 政 運 営 と構 造 改 革 に 関 す る基 本 方 針 」(いわ ゆ る 「骨 太 の 方 針 」 )が 以 後 継 続 的 に 編 成 され る こ と とな つ た 。 そ の 内 容 は 、 民 営 化 ・ 規 制 改 革 、 財 政 改 革 な ど を含 む7つ
の 改 革 プ ロ グ ラ ム か ら成 っ て お り、 そ の な か で 国 と地 方 の 関係 に つ い て も 「地 方 自立0活
性 化 」 と して プ ロ グ ラ ム の 一 つ に 掲 げ られ て い た 。 こ の 目的 は 、 地 域 で 展 開 す る行 財 政 は 地 域 の 負 担 に よ っ て 行 う とす る地 域 の 財 政 的 な 自立 で あ っ た 。 先 に 述 べ た 地 方 分 権 一 括 法 の 施 行 で は 税 源 移 譲 や 補 助 金 改 革 な どが 進 ま な か つ た が 、2003年
度 の 骨 太 の 方 針 で は 「三 位 一 体 改 革 」 の 内 容 が 明 示 され 、2004年
度 か ら 2006 年 度 に か け て 実 施 され た 。 三 位 一 体 改 革 に よ り、 国 庫 補 助 負 担 金 の 整 理 と地 方 へ の 税 源 移 譲 に よ る地 方 分 権 と、 地 方 交 付 税 の 削 減 に よ る財 政 再 建 が 同 時 に行 わ れ る こ と と な っ た 。 ま た こ の 頃 、 広 域 化 に よ る財 政 支 出 の 効 率 化 と地 方 分 権 の 推 進 を 目的 と して 政 府 主 導 に よ る市 町 村 合 併 が 各 地 で 行 わ れ る よ うに な る。 さ らに 、 地 方 制 度 調 査 会 や 地 方 分 権 改 革 推 進 委 員 会 の 提 言 も あ り、 地 方 分 権 改 革 の 推 進 お よ び 道 州 制 導 入 に 向 け た 議 論 が 活 発 化 し始 め た 。 そ の 後 政 権 与 党 が 自民 党 か ら民 主 党 に 代 わ つ て か ら も、 国 と地 方 の 関 係 を め ぐ つ て は 、「地 域 主 権 改 革 」と して 地 方 分 権 改 革 推 進 計 画 の 設 定 や 地 方 行 財 政 検 討 会 議 の 設 置 とい っ た 形 で 取 り組 み が 行 わ れ て き た 。 ま た 近 年 で は 大 都 市 制 度 の 見 直 しに つ い て も 、 地 方 制 度 調 査 会 に お い て 議 論 が 行 わ れ 始 め た 。 現 在 の 大 都 市 制 度 は 、 成 立 して か ら長 ら く時 間 が 経 過 して お り、制 度 自体 が 経 済 社 会 環 境 の 変 化 に 対 応 して い な い と され て い る1。 ま た 地 域 に よ っ て は 、 事 業 の 重 複 な ど非 効 率 が 生 じて い る こ と も しば しば 指 摘 され て いl指
定 都 市 市 長 会(2009)な ど。る。 これ らは 画 一 的 な 大 都 市 制 度 が 現 在 数 多 く存 在 す る政 令 指 定 都 市 の 多 様 性 に 対 応 で き て い な い こ と に よ る と され 、 制 度 改 革 の 必 要 性 が 述 べ られ て い る。 国 だ け で な く、地 方 に お い て も 「大 阪 都 構 想 」「中 京 都 構 想 」 とい つ た 新 しい 制 度 構 築 に 向 け た 具 体 的 な 動 き が 出 始 め て い る。 これ らの 動 き は 一 地 方 で の 政 策 動 向 を契 機 と して 国 に 対 して 制 度 の あ り方 の 見 直 しを 迫 る動 き で あ り、 注 目 を 集 め て い る。 こ う した 国 と地 方 の 関 係 を め ぐ る制 度 を 取 り扱 つ た 研 究 は これ ま で に数 多 く の 蓄 積 が あ る。 土 居 (2000)は 中 央 集 権 と地 方 分 権 の い ず れ が 望 ま しい の か に つ い て 政 治 経 済 学 の 手 法 を用 い て 検 討 が 行 わ れ て い る。 赤 井 ・ 佐 藤 ・ 山 下 (2003) は 地 方 交 付 税 制 度 を 中 心 に 国 と地 方 の 関 係 に つ い て 数 量 分 析 が 行 わ れ て い る。 現 行 の 地 方 交 付 税 制 度 は 持 続 困 難 で あ り、 ナ シ ョナ ル ミニ マ ム を 限 定 した 上 で 国 か らの ブ ロ ッ ク補 助 金 で 賄 う とい う新 制 度 が 提 案 され て い る。 佐 藤(2011)で は 望 ま しい 地 方 税 制 の あ り方 を 中 心 に 、 国 か ら地 方 へ の 財 政 移 転 ま で 含 め た 地 方 制 度 改 革 案 の 提 言 が 行 わ れ て い る。 西 川(2011)は 地 方 交 付 税 制 度 に つ い て 地 方 自治 体 の 意 思 決 定 に 与 え て き た ミ ク ロ的 影 響 とそ の 結 果 生 じるマ ク ロ的 な 格 差 に つ い て 明 らか に した 上 で 、 留 保 財 源 率 の 見 直 し を行 うべ き との 提 言 が 行 わ れ て い る。 本 稿 で は 、 これ らの 先 行 研 究 で 明 示 的 に 取 り扱 わ れ て い な い 、 地 域 経 済 と地 方 財 政 との 相 互 依 存 関 係 に 着 目 し、国 と地 方 の 制 度 に つ い て 検 討 を 行 つ て い く。 特 に 本 稿 で は ① 政 府 間 財 政 関 係 、 ② 都 道 府 県 制 度 、 ③ 大 都 市 制 度 に つ い て 検 討 を行 う。 これ らに つ い て 、 経 済 ・ 財 政 へ の 効 果 を 定 量 的 に 分 析 す る こ と に よ つ て 、 今 後 の 中 央 政 府 と地 方 政 府 の 関 係 の 望 ま しい あ り方 を 考 察 す る た め の 手 が か りを提 示 す る。 第 一 は 、 政 府 間 財 政 関 係 の 見 直 しで あ る。 地 方 政 府 は 、 中 央 政 府 か らの コ ン トロー ル を 強 く受 け て い る が 、 そ の 関係 を 見 直 す こ と に よ る経 済 ・ 財 政 へ の 影 響 に つ い て 検 討 を行 う。 第 二 は 都 道 府 県 制 度 の 見 直 し、 言 い 換 え る と道 州 制 を検 討 す る こ とで あ る。 道 州 制 の 導 入 の 最 も大 き な メ リ ッ トの ひ とつ と して 、 道 州 が これ ま で の 地 方 政 府 よ り も大 き な 権 限 を 有 す る こ とに よ り、 地 方 の 実 情 に 合 致 した 政 策 運 営 が 可 能 とな る 点 が 挙 げ られ る。 ま た 、 県 を 統 合 し広 域 化 す る こ と に よ り、 これ ま で
都 道 府 県 が 取 り扱 っ て い た 行 政 事 務 に 関 す る財 政 支 出 の 効 率 化 も期 待 で き る。 第 二 は 、大 都 市 制 度 に つ い て 検 討 す る2。 こ こ で は 大 都 市 制 度 改 革 と して 政 令 指 定 都 市 の 区 域 を 再 編 し、 現 在 の 市 と同 等 の 権 限 と財 源 を 与 え る こ と を 考 え る (以下 で は これ を 「分 市 」 と呼 ぶ こ と に す る)。 分 市 の メ リ ッ トと して 、住 民 に 身 近 な サ ー ビ ス に つ い て は 住 民 の 選 好 に応 じて 効 率 的 に 配 分 を行 え る こ と、 ま た 財 政 支 出 の 効 率 化 を 図 る こ とが で き る と され る。 本 稿 で は 特 に財 政 支 出 の 効 率 化 に 着 目 し、 検 討 す る。 本 稿 の 最 大 の 特 徴 は 、 地 域 経 済 と地 方 財 政 の 相 互 依 存 関 係 を踏 ま え な が ら、 国 と地 方 の 制 度 の 見 直 しの 影 響 を数 量 的 に 捉 え る とい う点 で あ る。 こ の た め に 分 析 手 法 と して マ ク ロ計 量 モ デ ル 分 析 を 用 い て い る が 、 これ に つ い て は 次 節 で 述 べ る。
2
分 析 手 法 国 と地 方 の 関 係 の 見 直 しや 、 地 域 経 済 に お け る行 財 政 運 営 の 経 済 や 財 政 に 与 え る影 響 に つ い て 、 定 量 的 に 明 らか に す る こ との 必 要 性 は 高 い 。 制 度 改 革 の 方 向 性 を検 討 す る に あ た っ て は 、 経 済 と財 政 の 関 係 を整 合 的 に 分 析 す る ツ ー ル が 必 要 とな る。 こ う した 目的 に 資 す る 分 析 ツ ー ル の ひ とつ と して 、 マ ク ロ計 量 モ デ ル が あ る。 マ ク ロ計 量 モ デ ル に よ る分 析 で は 、 過 去 の デ ー タ に 基 づ く推 定 式 に よ つ て 構 築 され た 連 立 方 程 式 体 系 を も と に シ ミュ レー シ ョン が 行 わ れ る。 分 析 結 果 は 経 済 変 数 の 動 き と して 定 量 的 に 捉 え られ 、 これ に よ り政 策 効 果 な どの 影 響 を 計 測 す る こ とが で き る。 表 序-1は
財 政 部 門 を 内 生 化 した マ ク ロ計 量 モ デ ル の 主 要 先 行 研 究 を 一 覧 に した も の で あ る。 こ の 分 野 で は 市 川 ・ 林(1973)が 先 駆 的 な 研 究 で あ り、 そ の 後 森 口 ほ か(1979)な ど多 くの モ デ ル が 構 築 され て き た 。2ぃ
ゎ ゅ る 「大 都 市 制 度 」 と言 う場 合 に は 政 令 指 定 都 市 以 外 に も特 例 市 や 中核 市 も含 ま れ る が 、 政 令 指 定 都 市 に 比 べ る と制 度 改 革 の 影 響 は 小 さい と考 え られ る こ とか ら、 本 稿 で は 分 析 の 対 象 と しな い こ と とす る。 す な わ ち 、 本 稿 で 言 及 す る 「大 都 市 制 度 改 革 」 とは 政 令 指 定 都 市 制 度 の 改 革 を 指 す 。著 者 発表年 期 間 シナリオ 市川・林 63Ql…66Q4 税率変更の乗数効果 森口ほか 1979ほか 1971-1985 所得税減税、法人税減税、利子課税強化、消費税導入 ]厚 1987-2025 将来推計 稲 田 ほ か 1980-1988 年 金 水 準 の 引 き上 げ 藤 川 1994-2000 人口高齢化加速、消費性向低下、労働力率増加 吉 田・霧 島 1995-2025 政府支出抑制、消費税増税、医療費効率化、年金保険料引上げ、年金給付引下げ 佐 倉 2001 1990…1997 社会保障給付の増加、財源の変更 加 藤 2001 1999-2050 技術進歩、年金改革(支給開始年齢の引き上げ、給付水準削減)、政府支出抑制 土曽淵ほか 2002 1999-2050 年金制度改正、物価上昇、生産性上昇 本 田 2000-2100 福祉政策、歳出構造転換、税制改革、地方交付税削減、消費性向、金 利政 策、高齢者雇 用促 進 ‖聾甫 2009 2007-2030 乗 数 テ ス ト、中期 の 財 政 収 支 の 均 衡 化 、供 給 型 モデ ル による潜 在 成 長 率 の 推 計 、ISバ ランス の 推 計 Jし ,甫ほか 5年 間 公的固定資本形成、消費税率、名 目金利、為替レートの乗数効果 上田口杉浦 2010-2025 将 来 推 計 佐藤・加藤 2005-2030 基礎年金の全額消費税化、旧老人保健制度の維持、人口推計パターンの変更 など 内 閣 府 2010…2023 成 長 戦 略 シナ リオ 表 序
-1
財 政 部 門 を 内 生 化 した マ ク ロ計 量 モ デ ル の 先 行 研 究 (注)時
系 列 順 に 記 載 して い る。 (出 所)筆
者 作 成 マ ク ロ計 量 モ デ ル を用 い た 分 析 で は 、 経 済 状 況 や 制 度 との 整 合 性 を保 ち な が ら、 経 済 ・ 財 政 運 営 の 方 針 に 基 づ く見 通 しを確 認 す る こ とが で き る。 た だ し、 過 去 の 一 定 期 間 の 関 係 に 基 づ く推 計 結 果 を 用 い る た め 、 い わ ゆ るル ー カ ス 批 判 (Lucas critique)に お い て 指 摘 され て い る よ うに 、 家 計 行 動 や 企 業 行 動 に 関 す る ミク ロ的 基 礎 付 け が 十 分 で な い とい う問 題 点 が 指 摘 され る3。 パ ラ メ ー タ の 頑 健 性 等 に 疑 間 が あ る他 、 将 来 期 待 の 欠 如 (フ ォ ワー ドル ッ キ ン グ ・ タ イ プ を 除 く)や 定 式 化 の 恣 意 性 な ど課 題 は 多 い 。マ ク ロ経 済 に 関 す る理 論 の 発 展 に伴 い 、 様 々 な モ デ ル が 考 案 され て い る が 、 そ の 多 く は 抽 象 度 が 高 い モ デ ル とな つ て い る。 一 方 、 将 来 の 経 済 の 姿 に 関 す る 具 体 的 な シ ミュ レー シ ョンや 経 済 政 策 の 具 体 的 な あ り方 に つ い て の 定 量 的 な 分 析 を 精 緻 に 行 うた め に は 、 経 済 及 び 財 政 の 全 体 の 姿 に つ い て 、 様 々 な マ ク ロ変 数 間 の 関 係 の 整 合 性 を保 ち な が ら、 可 能 な 3 Lucas(1976)。限 り現 実 の 経 済 や 財 政 に 関 す る制 度 お よび デ ー タ を踏 ま え た 計 量 モ デ ル の 構 築 が 必 要 とな る。 こ う した 点 を踏 ま え た うえ で マ ク ロ計 量 経 済 モ デ ル を活 用 す る際 の 利 点 と し て は 、 以 下 の 三 点 が 考 え られ る。 第 一 に 、 将 来 展 望 を行 う場 合 に 多 様 な シ ナ リ オ に 基 づ い た シ ミュ レー シ ョン が 可 能 で あ る こ とで あ る。 第 二 に 、 連 立 方 程 式 体 系 と して 構 築 され て い る こ と に よ り、 結 果 と して 得 られ る経 済 変 数
(GDPや
債 務 残 高 等)や
そ れ らの 相 互 依 存 関 係 が 明 示 され る こ とで あ る。 第 二 は 、 モ デ ル が 柔 軟 で あ っ て ブ ロ ッ ク の 拡 張 、 構 造 方 程 式 の 加 除 な どが 容 易 で あ る こ とで あ る。 こ う した 利 点 を鑑 み る と、 政 策 評 価 や 経 済 予 測 を行 うに 際 し、 財 政 支 出 や 税 な どの 現 実 的 な 制 度 に 関 して 条 件 を様 々 に 設 定 した シ ミュ レー シ ョ ン分 析 に お い て 、 マ ク ロ計 量 モ デ ル 分 析 は 今 な お 有 意 義 で あ る と考 え られ る。 政 策 分 析 ツ ー ル と して マ ク ロ計 量 モ デ ル を用 い る こ とに よ り、 政 策 決 定 に 客 観 的 な 分 析 結 果 を提 示 す る こ とが で き る。 こ こ ま で 、 国 の マ ク ロ経 済 モ デ ル の 先 行 研 究 を 中 心 に 述 べ て き た が 、 地 域 経 済 お よび 地 方 財 政 に つ い て も 同 様 に 地 域 マ ク ロ計 量 モ デ ル を分 析 手 法 と して 用 い る こ とが 出 来 る。 地 域 マ ク ロ計 量 モ デ ル で は 、 国 内 他 地 域 との 経 済 取 引 で あ る移 出 入 が 存 在 す る こ と、 物 価 な ど 当該 地 域 内 の み で 決 定 しな い 経 済 変 数 が 存 在 す る こ と、地 方 財 政 に つ い て は 中 央 政 府 か らの 財 政 移 転 が 存 在 す る こ とな ど、 国 全 体 を 取 り扱 うマ ク ロ経 済 モ デ ル と構 造 が 異 な る 部 分 も存 在 す る。 た だ し こ れ らの 差 異 は モ デ ル の 構 造 が 異 な る とい うだ け で 、 上 述 した マ ク ロ計 量 モ デ ル を活 用 す る利 点 は 、 地 域 マ ク ロ計 量 モ デ ル に お い て も共 通 した 利 点 で あ る。 地 域 マ ク ロ計 量 モ デ ル を構 築 した 既 存 研 究 に は 、 内 閣 府 で 構 築 され て い る都 道 府 県 経 済 財 政 モ デ ル や 井 田(1999)な どが あ る。 これ らの 研 究 で は 、 都 道 府 県 を 対 象 と して 、 地 域 経 済 と都 道 府 県 財 政 を 内 生 化 した 地 域 マ ク ロ計 量 モ デ ル が 構 築 され て お り、 経 済 や 財 政 の 先 行 き 見 通 しが 示 され て い る。 本 稿 で は 、 研 究 の 目的 で あ る 国 と地 方 の 制 度 改 革 の 経 済 と財 政 へ の 影 響 を検 証 す る に あ た つ て 、 経 済 と財 政 の 相 互 関係 に つ い て 分 析 す る必 要 が あ る こ と、 ま た 制 度 を で き る だ け 精 緻 に描 写 した モ デ ル が 求 め られ る こ とか ら、 分 析 手 法 と して 、 マ ク ロ計 量 モ デ ル を採 用 して い る。 た だ し、 本 稿 で 検 討 す る 各 改 革 案を ひ とま と め に して 分 析 で き る よ うな 一 元 化 した モ デ ル は 大 規 模 と な り、 コ ン トロー ル が き わ め て 困 難 で あ る。 分 析 の 目的 に応 じて 様 々 な 計 量 モ デ ル を構 築 し、 網 羅 的 に 検 討 す る とい うア プ ロー チ が 一 般 的 で あ る。 そ こ で 本 稿 に お い て も 、 各 改 革 案 に適 した 地 域 マ ク ロ計 量 モ デ ル を個 々 に 開 発 し、 分 析 を行 うこ と と した 。
3
本 稿 の 構 成 本 稿 で は 、1で
述 べ た 国 と地 方 の 制 度 の 見 直 しを行 う こ と に よ る経 済0財
政 へ の 影 響 につ い て マ ク ロ計 量 モ デ ル に よ る シ ミュ レー シ ョン分 析 を 前 提 に議 論 が 進 め られ る。 構 成 は 以 下 の 通 りで あ る。 な お 図 序-1は
、本 論 文 の 構 成 を 図 示 した も の で あ る。 第1章
「政 府 間 財 政 関係 の 見 直 しの 経 済 ・ 財 政 へ の影 響 」 で は 、 現 在 の財 政 制 度 を維 持 した 場 合 と政 府 間 財 政 関 係 の 見 直 しを行 つ た 場 合 に 経 済 お よび 財 政 の 見 通 しが どの よ うに 推 移 す る の か に つ い て 検 討 す る。分 析 に 用 い るモ デ ル は 、 中 央 政 府 と地 方 政 府 に お け る財 政 移 転 を モ デ ル に 織 り込 ん だ 日本 経 済 財 政 モ デ ル を構 築 す る。 モ デ ル の 特 徴 と して 、 供 給 主 導 型 の マ ク ロ計 量 モ デ ル を構 築 し 高 齢 化 の 進 行 の マ ク ロ経 済 へ の 影 響 に 反 映 して い る 点 、 国 の 財 政 と地 方 財 政 の そ れ ぞ れ に つ い てSNA一
般 政 府 所 得 支 出 勘 定 をベ ー ス と したSNA財
政 ブ ロ ッ ク と国 と地 方 の 財 政 制 度 をベ ー ス と した 制 度 財 政 ブ ロ ッ ク を 連 動 す る形 と して い る 点 が 挙 げ られ る。 第2章
「需 要 面 か らみ た 道 州 制 下 に お け る公 共 投 資 の 地 域 経 済 へ の 影 響 」・第3章
「供 給 面 か らみ た 道 州 制 下 にお け る公 共 投 資 の 地 域 経 済0厚
生 へ の 影 響 」 で は 、 都 道 府 県 制 度 の 見 直 しに つ い て 取 り上 げ て い る。 第2章
で は 、 道 州 制 の 導 入 を前 提 と して 、 公 共 投 資 の 需 要 面 へ の 効 果 (景気 浮 揚 効 果)に
つ い て 、 地 域 ご との 違 い に つ い て 検 討 す る。 地 域 経 済 に お け る公 共 投 資 の 効 果 を 計 測 す る 際 に は 、 い わ ゆ る ス ピル オ ー バ ー が 問 題 とな る。 特 に 昨 今 の 地 域 経 済 に お い て は 圏 域 を超 え た 経 済 取 引 が 活 発 化 して お り、 移 出 ・ 移 入 を 考 慮 す る 必 要 性 が 高 ま っ て い る。 本 章 で 構 築 す るモ デ ル で は 、 地 域 間 の 経 済 取 引 を 考 慮 した 地 域 計 量 モ デ ル を構 築 す る こ と に よ つ て 、 公 共 投 資 の 経 済 へ の 影 響 に つ い て 自地 域 での 効 果 だ け で な く、 移 出 ・ 移 入 を通 じた 他 地 域 へ の影 響 お よび 他 地 域 か ら再 び 自地 域 に 与 え る影 響 も計 測 で き る よ うな 構 造 とな つ て い る。 第
3章
で は 、 道 州 制 の 導 入 の 効 果 と して 捉 え られ る都 道 府 県 の 統 合 に よ る財 政 支 出 の 縮 減 や 公 共 投 資 の 分 権 化 に よ つ て 、 地 域 経 済 お よ び 地 域 住 民 の 厚 生 に どの よ うな 影 響 を もた らす の か に つ い て 、 九 州 地 域 を 分 析 対 象 と して 定 量 的 分 析 を行 う。 分 析 手 法 と して 地 域 経 済 の 供 給 サ イ ドの 動 き に 着 目 した モ デ ル を構 築 し、 道 州 制 導 入 に よ る財 政 支 出 の 削 減 効 果 や 公 共 投 資 の 分 権 化 の 効 果 に つ い て 定 量 分 析 を 行 つ た 鈴 木(2009)の 結 果 を も と に 、 域 内 総 生 産 へ の 効 果 や 地 域 厚 生 水 準 に及 ぼ す 影 響 を 定 量 的 に 分 析 す る。 な お 、 道 州 制 の 導 入 に あ た つ て は 、 中 央 政 府 と道 州 の 関 係 だ け で な く、基 礎 自治 体 の あ り方 も検 討 す る 必 要 が あ る。 しか し前 述 した 道 州 制 導 入 の メ リ ッ トで あ る分 権 化 ・ 広 域 化 に は 直 接 的 に 影 響 しな い と考 え られ る た め 、 本 稿 で は 取 り扱 っ て い な い 。 第4章
「大 都 市 制 度 改 革 に よ る財 政 支 出 の 効 率 化 」0第5章
「大 都 市 制 度 改 革 の 地 域 経 済 ・ 財 政 へ の 影 響 」 で は 、 大 都 市 制 度 見 直 しの 一 例 と して 、 大 阪 市 で 分 市 を行 つ た 場 合 の 経 済 ・ 財 政 へ の 影 響 を 中 心 に検 討 す る。 大 都 市 制 度 改 革 の 中 で も分 市 を 取 りあ げ る の は 、大 都 市 に お け る財 政 支 出 の 効 率 化 の 方 策 と して 、 特 定 の 地 域 に 固 有 に 生 じて い る こ とで は な く普 遍 的 な 問 題 と して 捉 え られ る た め で あ る。 大 阪 市 を分 析 対 象 とす る の は 、 大 阪 府 市 で は 歴 史 的 経 緯 や 地 理 的 要 因 か ら大 都 市 制 度 の 問 題 が 顕 著 に 表 れ て お り、 制 度 改 革 の 効 果 を判 断 しや す い と考 え た た め で あ る。 ま ず 第4章
に お い て 、 目的 別 費 目 ご と に 歳 出 関 数 を推 定 し、 そ の 推 定 結 果 を 用 い て 大 阪 市 を 分 市 した 場 合 の 財 政 支 出 の 削 減 可 能 額 に つ い て 推 計 を行 う。 そ の 上 で 第5章
で は 、 大 都 市 制 度 改 革 に よ つ て 経 済 や 財 政 に 対 して どの 程 度 の 影 響 が あ る か に つ い て 、 大 阪 府 ・ 大 阪 市 を対 象 と した モ デ ル を構 築 し、 シ ミュ レ ー シ ョン分 析 に よ り検 討 す る。 モ デ ル の 構 造 は 、 大 阪 府 経 済 ブ ロ ッ ク と、 大 阪 府 と大 阪 市 そ れ ぞ れ に つ い て 地 方 財 政 制 度 を 費 目 ご と に 精 緻 に 定 式 化 を行 つ た 財 政 ブ ロ ッ ク が 相 互 に 関 係 す る形 と な つ て い る。 ま た 分 市 の シ ミュ レー シ ョン を行 うた め に 、 大 阪 市 を 三 地 区 に 分 割 した 制 度 改 革 モ デ ル も構 築 して い る。 お わ りに で は 、 これ ま で の ま とめ と残 され た 課 題 に つ い て 述 べ て い る。図 序
-1
本 論 文 の 構 成 政 府 間 財 政 関係 の 見 直 し 都道府県制度の見直 し(道州制) 第 2章 需 要 面 か ら み た 道 州 制 下 に お け る 公 共 投 資 の 地 域 経 済 へ の 影 響 ○ 地域における経済構造の違いと公共投資の波及効果を計測。 ○ 地域間の経済取引関係をモデノИこ織 り込んだ需要主導型モデルを構築。│1蔦
而面面 丁
1
大 都 市 制 度 改 革 にお ける財 政支 出 の効 率 化 ○ 大都市制度改革として歳出効率化の観点から大阪市の分市について検討。 ○ 目的別歳出について追加 的コス トを考慮 した歳出関数を推定 し賣目ごとに最適 人口規模を計測。 │ 1第4章
│第
3章 )景響 を計測。 i Eデノしを 構築。 │ じ構築。 : (出 所)筆
者 作 成 ム 酬 め と ま 題 の 課 〓 早 た 5 れ 一 ” さ 一 1 残 一 〇 〇 一 ¨ L 一第
1章
政 府 間 財 政 関 係 の 見 直 しの 経 済 口財 政 へ の 影 響 一 日本 経 済 財 政 計 量 モ デ ル に よ る 分 析 一1
本 章 の ね ら い 本 章 で は 、 経 済0財
政 の 相 互 依 存 関 係 を 制 度 に 基 づ く形 で 描 写 した 日本 経 済 財 政 中 期 モ デ ル を構 築 し、 現 在 の 財 政 制 度 を維 持 した 場 合 に 将 来 の 経 済 ・ 財 政 が どの よ うに 推 移 す る の か に つ い て 検 討 す る。 特 に財 政 制 度 に つ い て 、 制 度 財 政 とSNA財
政 の 両 者 を 兼 ね 備 え て い る 点 、 中 央 政 府 と地 方 政 府 の 移 転 関 係 を 明 示 的 に組 み 込 ん で い る 点 が モ デ ル の 特 徴 と な つ て い る。 国 と地 方 の 関 係 か ら 日本 の 財 政 構 造 を み る と、 中 央 政 府 か ら地 方 政 府 へ の 財 政 移 転 の 規 模 が 大 き い 点 が 特 徴 で あ る。 一 般 政 府 内 の 資 金 の 流 れ を 検 討 す る に あ た り、一 般 政 府 全 体 の 基 礎 的 財 政 収 支 の 改 善 を 図 る とい う視 点 は 重 要 で あ る。 日本 経 済 ・ 財 政 の 状 況 を み る と、 景 気 の 低 迷 に 伴 う税 収 の 停 滞 と、 歳 出 の 増 加 に よ り、財 政 は 悪 化 が 続 い て い る。 わ が 国 が 抱 え る長 期 債 務 残 高 は 、2010年
度 末 時 点 で 国 ・ 地 方 合 わ せ て 約862兆
円 、名 目GDP比
で は 181%に も及 ぶ 。 こ の 点 に つ い て 本 章 で は 、 政 府 部 門 間 の 財 政 移 転 の 状 況 を踏 ま え な が ら『 国 民 経 済 計 算 』(以 下 、国 民 経 済 計 算 を SNAと 表 記 す る)に
掲 載 され て い る 一 般 政 府 所 得 支 出 勘 定 と連 動 す る制 度 財 政 モ デ ル を 織 り込 ん だ マ ク ロ計 量 モ デ ル を 構 築 し、 経 済 お よび 財 政 の 見 通 しに つ い て 検 討 す る。 これ ま で 先 行 研 究 に お い て 開 発 され て き た 財 政 部 門 を 内 生 化 した マ ク ロ計 量 モ デ ル で は 、 一 般 政 府 を ひ とま とめ と して 取 り扱 っ て い る モ デ ル が 多 い 。 一 般 政 府 を 中 央 政 府0地
方 政 府 ・ 社 会 保 障 基 金 に 分 割 した モ デ ル を 開 発 して い る先 行 研 究 に は 、 加 藤 ・ 稲 田(1995)が あ る。 しか し加 藤 ・ 稲 田(1995)で は 、 中 期 的 な 経 済 予 測 を 行 うシ ス テ ム の 中 の 一 つ の ブ ロ ッ ク と して 開 発 され た 経 緯 か ら、 財 政 モ デ ル の 開 発 自体 に 主 眼 が 置 か れ て お り、 一 般 政 府 の 部 門 間 の 経 済 取 引 に 関 す る シ ミュ レー シ ョ ン分 析 は 取 り組 ま れ て い な い 。 ま た マ ク ロ経 済 に 関 す る 変 数 は 、 モ デ ル 外 か ら与 え られ る形 とな つ て い る。 他 方 、 制 度 財 政 とSNA財
政 を 取 り扱 っ た 研 究 に は 森 口 ほ か(1980)が あ る が 、そ れ 以 降 は 開 発 され て い な い 。制 度 財 政 と
SNA財
政 の 相 互 関 係 に つ い て 調 査 を 行 つ た 研 究 と して 本 間 ほ か (1989)が あ る。 本 章 で 構 築 す るモ デ ル で は 、 供 給 主 導 型 の マ ク ロ計 量 モ デ ル と財 政 モ デ ル を 接 続 して い る。 財 政 に つ い て は 、 国 の 財 政 と地 方 財 政 の そ れ ぞ れ に つ い て SNA 一 般 政 府 所 得 支 出 勘 定 をベ ー ス と したSNA財
政 ブ ロ ッ ク と国 と地 方 の 財 政 制 度 をベ ー ス と した 制 度 財 政 ブ ロ ッ ク を 連 動 す る形 で 方 程 式 体 系 を構 築 して い る 点 が 特 徴 で あ る。SNAの
一 般 政 府 所 得 支 出 勘 定 は 、 マ ク ロ経 済 ブ ロ ッ ク との 連 動 を検 討 す る 際 に は 、同 じSNAの
ル ー ル の も と で 作 成 され て い る た め都 合 が よ い 。 しか し財 政 制 度 の 変 化 の 影 響 を検 討 す る際 に は 、 歳 出0歳
入 に 基 づ く形 で 集 計 され て い な い た め 、 取 り扱 い が 困 難 とな る。 そ こ で 本 章 で は 、 制 度 財 政 ブ ロ ッ ク を 別 途 作 成 し、これ をSNA財
政 ブ ロ ッ ク と連 動 させ る形 と した 。これ に よ り、 財 政 制 度 に か か る変 数 の 動 き に よ る影 響 を検 討 す る場 合 に は 、 そ の 影 響 が 制 度 財 政 ブ ロ ッ ク を通 じた うえ でSNA財
政 ブ ロ ッ ク に 現 れ る こ とに な る。 そ して こ の モ デ ル を 用 い て 、ま ず2012年
時 点 で の 財 政 制 度 を維 持 した 場 合 の 将 来 に お け る経 済 ・ 財 政 の 見 通 しに つ い て 示 す 。 そ の 上 で 財 政 の 持 続 可 能 性 の 確 保 を 目的 と して 税 財 政 制 度 に 関 す る シ ナ リオ を想 定 し、 シ ミュ レー シ ョン を 行 う。 特 に 歳 出 削 減 とい う観 点 か ら、 政 府 間 財 政 関 係 の 制 度 で あ る 国 庫 支 出 金 制 度 と地 方 交 付 税 制 度 を 取 り上 げ 、 これ らの 制 度 変 更 を行 つ た 場 合 に 経 済 お よ び 財 政 に 与 え る影 響 に つ い て の 計 測 を行 う。 本 章 の 構 成 は 以 下 の 通 りで あ る。2節
で は 、 日本 の 経 済 ・ 財 政 の 現 状 と内 閣 府 の 直 近 の 経 済 財 政 見 通 しに つ い て 述 べ る。 次 に3節
に お い て 経 済 財 政 の 中 期 見 通 しに 関 す る先 行 研 究 と本 章 で 構 築 した モ デ ル の 概 要 に つ い て 述 べ る。4節
で は 財 政 移 転 改 革 シ ミュ レー シ ョン の 分 析 結 果 に つ い て 説 明 す る。5節
は ま と め と残 され た 課 題 に つ い て 述 べ て い る。2
日本 の 経 済 ・ 財 政 の 現 状 と政 府 間 財 政 移 転 わ が 国 が 抱 え る 長 期 債 務 残 高 は 、 図1-1の
よ うに 、2009年
度 末 時 点 で 国 ・ 地 方 合 わ せ て 約853兆
円 、名 目GDP比
で は 180%と 世 界 に も 類 を 見 な い 規 模 と な つ て い る 。た だ しそ の 内 訳 は 、国 の 長 期 債 務 残 高 は646兆
円 (対 名 目GDP比
138。 1%)、地 方 の 長 期 債 務 残 高 は
197.9兆
円 (同 41。7%)で
あ り、 国 の 債 務 の 比 率 が 高 く な っ て い る。 ま た 国 の 債 務 は 増 加 ペ ー ス に 歯 止 め が か か っ て い な い が 、 地 方 分 に つ い て は 近 年 横 ば い で 推 移 して い る。 図 1-1 (10億円) 700′000 600′000 500′000 400′000 300′000 200′000 100′000 0 国 と 地 方 の 長 期 債 務 残 高 の 推 移 (出所) ま た 図 1-2よ り基 礎 的 財 政 収 支 を 見 る と 、中 央 政 府 は 赤 字 が 続 い て い る 。2009 年 度 は 31。5兆
円 の 赤 字 (対 名 目GDP比
6。6%)で
あ る 。 一 方 、 地 方 政 府 は 1.7 兆 円 の 黒 字 と な っ て い る (同 0.4%)。 こ の よ うに 、 中 央 政 府 の 基 礎 的 財 政 収 支 は 赤 字 、 地 方 政 府 の 基 礎 的 財 政 収 支 は ほ ぼ 均 衡 と い う状 況 が 長 年 続 い て お り、 こ れ が 長 期 債 務 残 高 の 違 い に 表 れ て い る と 考 え られ る 。 こ の 背 景 に は 、 中 央 政 府 か ら地 方 政 府 へ の 財 政 移 転 が あ る 。 図1-3は
、SNAベ
ー ス で み た 一 般 政 府 各 部 門 に お け る 資 金 の 流 れ を 図 示 した も の で あ る 。図 中 の 数 字 は そ れ ぞ れ2009年
度 の 値 を 示 して い る 。一 般 政 府 全 体 で は 、 一 般 政 府 以 外 の 部 門 に 188。9兆
円 を 支 払 い 、149。8兆
円 を 受 け 取 つ て お り、 支 払 超 過 と な つ て い る 。 一 般 政 府 の 部 門 内 の 資 金 移 転 を み る と 、 中 央 政 府 は 地 方 政 府 に 対 す る 支 払 が 34。9兆
円 、 社 会 保 障 基 金 に 対 す る 支 払 が21.6兆
円 と な っ て い る 。 一 方 地 方 政 府 か ら の 受 取 は 1。3兆
円 、 社 会 保 障 基 金 か ら の 受 取 は2,456億
円 と受 取 額 に 比 べ る と か な り小 さ い 。 こ の よ う に 、 中 央 政 府 か ら地 方 政 府 に 対 し て か な り の 財 政 移 転 が 行 わ れ て い る 。図
1-2
基 礎 的 財 政 収 支 の 推 移(SNAベ
ー ス) (loイ意円) 20′000 1 10′000 10iメ
ド彎癬
-10′000 -20′000 -30′000 -40′000 -50′000 -60′000:尚
ギ
I 1980 85 90 95 2000 05 奏■ 中央 政府 くヽ 地 方 政 府 ‐■・ 合 計 (出 所)内
閣府『 国民経 済計算』 よ り筆者 作成 図1-3 -般
政 府 各 部 門 に お け る 資 金 の 流 れ (出 所)内
閣 府 『 国 民 経 済 計 算 』 よ り筆 者 作 成 中 央 政 府 か ら地 方 政 府 へ の 財 政 移 転 を 除 い て 基 礎 的 財 政 収 支 の 推 移 を描 い た もの が 図1-4で
あ る。 財 政 移 転 を 除 い た 基 礎 的 財 政 収 支 で み る と、 中 央 政 府 は 多 くの 年 で 黒 字 、 地 方 政 府 は 一 貫 して 赤 字 と な る。 図1-2で
み れ ば 、 地 方 政 府 の 基 礎 的 財 政 収 支 は 均 衡 を維 持 して い た が 、 これ は 中 央 政 府 か らの 財 政 移 転 に 大 き く依 存 した も の で あ る こ とが わ か る。 な お 内 閣 府 は 「経 済 財 政 の 中 長 期 試 算 」 に お い て 、 経 済 財 政 の 先 行 き の 見 通 しを示 して い る。 図1-5は
、 国 ・ 地 方 の 基 礎 的 財 政 収 支 (対GDP比
)の
試 算 結 果 で あ る。 試 算 で は 、 マ ク ロ経 済 に つ い て 慎 重 シ ナ リオ と成 長 戦 略 シ ナ リオ の2つ
の 経 済 シ ナ リオ が 考 え られ て い る が 、成 長 戦 略 シ ナ リオ にお い て も2020年
帥
¨
・49′769,8
中央政府 筑 い 6 地 方 政 府 社 会 保 障 基 金時 点 で の 基 礎 的 財 政 収 支 の 黒 字 化 が 達 成 で き な い とい う結 果 に な つ て い る。 次 節 以 降 で 、
SNAを
ベ ー ス と した 日本 経 済 財 政 モ デ ル を構 築 し、 財 政 移 転 の 見 直 しを 考 慮 した 政 策 シ ミュ レー シ ョン を行 い 、 中 央 政 府 と地 方 政 府 の 財 政 状 況 お よび 経 済 へ の 影 響 を検 討 す る。 図1-4
財 政 移 転 を 除 い た 基 礎 的 財 政 収 支 (単 位10億
円) 40′000 30′000 20′000 10′000 0 -10′000 -20′000 -30′000 -40′000 -50′000 1980 85 90 95 2000 05 -3-中央政府 嗅ぃ地方政府 。 中央政府(移転なし) ● 地方政府(移転なし) (出所
)内
閣府『 国民経済計算』 よ り筆者作成
図1-5
内 閣 府 に よ る (%)0 -1 -2 -3 -4 …5 -6 -7 -8 -9 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2020 (出所)内
閣府『 経 済財 政 の 中長 期 試 算 』(20113
モ デ ル の構 造 国 ・ 地 方 の 基 礎 的 財 政 収 支 … 慎重シナリオ =ぃ.成長戦略シナリオ 目GDP比
)の
試 算 結 果 (年度) 2023 年 8月 公 表)本 節 で は 、 経 済 ・ 財 政 に 関 す る 中 長 期 の シ ミュ レー シ ョ ン分 析 の 手 法 に つ い て 述 べ る。
3-1で
は 先 行 研 究 に つ い て 述 べ 、3-2で
は 本 章 で 構 築 した モ デ ル に つ い て 説 明 す る。3-1
先 行 研 究 財 政 の 持 続 可 能 性 に 関 す る 定 量 的 な シ ミ ュ レー シ ョ ン 分 析 に つ い て は 、 数 多 く の 先 行 研 究 が あ る 。 こ れ ら を 手 法 別 に 区 分 す る と 、 会 計 的 手 法 、 世 代 重 複 モ デ ル 等 に よ る 分 析 、 そ して 本 稿 で 行 うマ ク ロ 計 量 モ デ ル に よ る 分 析 、 に 分 か れ る 。 会 計 的 手 法 と は 、 将 来 の GDP、 人 口 、 金 利 な ど経 済 変 数 に つ い て 一 定 の 前 提 を 外 生 的 に 与 え 、 将 来 の 財 政 収 支 を そ れ ら に 連 動 させ て 推 計 す る 。 ま た 、 財 政 の 持 続 可 能 性 に 関 す る 目標 値 を 実 現 す る た め の 必 要 な 調 整 幅 を 提 示 す る 手 法 で あ る 。 因 果 関 係 の 理 解 が 容 易 で あ る が 、 財 政 か ら経 済 へ の フ ィ ー ドバ ッ ク が 考 慮 され な い 。 土 居 (2008)、 財 政 制 度 等 審 議 会 (2007)、 川 瀬 ・ 北 浦 ・ 木 村 ・ 前 川 (2007)で 用 い られ て い る 手 法 で あ る 。 世 代 重 複 モ デ ル 等 に よ る 分 析 に つ い て は 、先 行 研 究 と し て 上 村 (2002)、 井 堀 0 加 藤 ・ 川 出 0別所 (2007)な ど が 挙 げ られ る 。 こ の 分 析 手 法 で は 、 世 代 重 複 型 の 動 学 的 一 般 均 衡 モ デ ル を 用 い 、 一 定 の 財 政 運 営 ル ー ル を 前 提 と し て 、 合 理 的 な 意 思 決 定 の シ ミ ュ レー シ ョ ン を 行 い 、 経 済 全 体 の 貯 蓄0投
資 、 経 済 成 長 率 や 金 利 を 内 生 的 に 決 定 す る 。 人 口構 造 の 変 化 を 踏 ま え た 経 済 財 政 の 姿 に つ い て の ベ ン チ マ ー ク を 得 る と と も に 、 政 策 変 更 に よ る 効 果 の シ ミ ュ レー シ ョ ン を 行 う こ と が で き る 。 た だ し石 川 ・ 北 浦 0上 田 ・ 中 川 (2010)な ど で 指 摘 され て い る よ う に 、 定 常 状 態 お よ び 移 行 過 程 に つ い て の 仮 定 の 置 き 方 に よ つ て シ ミ ュ レー シ ョ ン 結 果 が 大 き く異 な る 、 ま た 具 体 的 な 制 度 を 精 緻 に 描 写 す る モ デ ル 設 計 に は 限 界 が あ る 、 と い う問 題 点 が あ る 。 マ ク ロ 計 量 モ デ ル に よ る 分 析 は 、 過 去 の デ ー タ に 基 づ く推 定 式 に よ つ て 構 築 され た 連 立 方 程 式 体 系 (マ ク ロ 計 量 モ デ ル)を
も と に 、 将 来 の 生 産 性 上 昇 率 や 中 期 的 な 財 政 運 営 ス タ ン ス な ど を 外 生 的 に 与 え 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン す る 手 法 で あ る 。 足 下 の 経 済 状 況 ・ 経 済 見 通 し と の 整 合 性 を 保 ち な が ら 、 経 済 ・ 財 政 運 営 の 方 針 に 基 づ く見 通 し を 確 認 す る こ と が で き る 。 た だ し 、 過 去 の 一 定 期 間 の 関係 に 基 づ く推 計 結 果 を 用 い る た め 、 家 計 行 動 や 企 業 行 動 に 関 す る ミ ク ロ的 基 礎 付 け が 十 分 で な い 。 す な わ ち 、 ル ー カ ス 批 判 で も展 開 され た よ うに 、 構 造 パ ラ メ ー タ の 不 安 定 性 が 指 摘 され て い る。 しか し将 来 に お け る経 済 予 測 を 行 うに 際 し、 一 定 の シ ナ リオ を想 定 す る た め に は 有 用 な ツ ー ル で あ る。 実 際 、 前 述 した 内 閣 府 の 試 算 は 、 こ の 手 法 で 行 わ れ て い る。 財 政 部 門 を 内 生 化 した マ ク ロ計 量 モ デ ル の 主 要 な 先 行 研 究 に つ い て は 、 序 章 で 確 認 した 。 そ こで も述 べ た よ うに 、 こ の 分 野 で は 市 川 ・ 林(1973)が 先 駆 的 な 研 究 で あ り、 そ の 後 森 口 ほ か(1979)な ど多 くの モ デ ル が 構 築 され 、 様 々 な シ ミ ュ レー シ ョン が 行 わ れ て き て い る。 本 章 で 構 築 す るモ デ ル (以 下 、 本 モ デ ル と呼 ぶ
)は
、 比 較 的 長 期 に わ た る財 政 シ ミュ レー シ ョン を 目的 と して お り、 供 給 主 導 型 の モ デ ル と して い る。 供 給 面 を重 視 した モ デ ル で は 、 生 産 関 数 が 中 心 に 据 え られ 、 労 働 供 給 や 資 本 ス トッ ク の 蓄 積 とい っ た 生 産 要 素 の 動 向 がGDPを
決 定 す る。 供 給 サ イ ドモ デ ル が 構 築 され て い る先 行 研 究 に は 、岸 (1990)を は じめ と して 稲 田0小り│10玉岡0得津 (1992)、 吉 田・霧 島(1997)、 増 淵 ほ か(2002)、 本 田(2004)、 佐 藤 ・ 加 藤(2010)な
どが あ る。モ デ ル の 中 心 とな るGDPを
決 定 す る推 定 式 に は 、い ず れ も コブ =ダ グ ラ ス 型 生 産 関 数 が 採 用 され て い る。 た だ し これ らの 研 究 の 主 た る分 析 対 象 とな っ て い る の は 主 に 年 金 制 度 改 革 の 長 期 的 な 影 響 で あ り、 した が つ て モ デ ル 設 計 も社 会 保 障 セ ク タ ー が 中 心 と な っ て い る。 吉 田・ 霧 島(1997)で は 財 政 の 持 続 可 能 性 に 主 眼 を置 い た 分 析 が 行 わ れ て い る が 、モ デ ル の 体 系 が 逐 次 決 定 型 と な つ て お り、 経 済 と財 政 の 相 互 作 用 に 関 す る 考 慮 は 明 示 的 に行 わ れ て い な い 。 ま た 地 方 の 歳 出 0歳入 に 焦 点 を 当 て て モ デ ル 構 築 が 行 わ れ て い る研 究 と して は 齊 藤(1988)や 大 野(1992)が 挙 げ られ る。 い ず れ も地 方 財 政 の 歳 入 。歳 出 を い くつ か の 項 目 に 分 類 し、 そ れ ぞ れ に つ い て 推 定 が 行 わ れ て い る。 た だ し両 モ デ ル と も 中 央 政 府 の 財 政 に つ い て は触 れ られ て い な い 。3-2
モ デ ル の 概 要 本 モ デ ル 全 体 は 大 き く分 け る とマ ク ロ 経 済 ブ ロ ッ ク と制 度 財 政 ブ ロ ッ ク とSNA財
政 ブ ロ ッ ク の3部
門 か ら成 り、 そ れ ぞ れ が 相 互 に 作 用 しあ う形 とな っ て い る。 図1-6は
モ デ ル 全 体 の 構 造 を示 した 図 で あ る。図
1-6
モデルの概要 図SNA
:│ _二
_^_´
_
二│ }供
給型主導のマクロモデル }所得、物価などが決まる : [SNA付 表「 一 般 政 府 の 部 門 別 勘 定 」を ベ ー ス と し て 作 成 : :SNA付 表の項 目に対応した税収、財政収支などが決まる ・国の財政・地方財政の決算純計額をベースとして作成 ・財政制度に対応した歳入・歳出費 目が決まる (出所)筆
者 作 成 マ ク ロ経 済 ブ ロ ッ ク で は 経 済 成 長 の パ ス が 導 出 され る。 制 度 財 政 ブ ロ ッ ク で は 、 マ ク ロ経 済 ブ ロ ッ ク で 決 定 され た 経 済 変 数 を受 け て 、 国 の 財 政 お よび 地 方 財 政 に お け る歳 出 お よ び 歳 入 に 対 応 した 費 目 を 決 定 す る。 制 度 を 反 映 す る形 で モ デ ル が 構 築 され て お り、 この ブ ロ ッ ク の 外 生 変 数 を 変 化 させ る こ とで 政 策 シ ミュ レー シ ョ ン を行 う こ とが で き る よ うに な っ て い る。SNA財
政 ブ ロ ッ ク は 制 度 財 政 ブ ロ ッ ク で 決 定 され た 国 の 財 政 と地 方 財 政 の 歳 出 ・ 歳 入 項 目 を 受 け る形 で 、SNAの
「一 般 政 府 の 部 門別 勘 定 」が モ デ ル 化 され て い る。SNAの
「一 般 政 府 の 部 門別 勘 定 」 をベ ー ス と した 財 政 収 支 や 長 期 債 務 残 高 な どが 導 出 され る。 以 下 、 マ ク ロ経 済 ブ ロ ッ ク とsNA財
政 ブ ロ ッ ク の そ れ ぞ れ の 構 造 に つ い て 述 べ る。 モ デ ル の 推 定 期 間 は1980年
度 か ら2009年
度 ま で で あ る。 ま た 、 こ こ で 示 す デ ー タ は 、特 別 の 記 載 が な い 限 り内 閣 府 「国 民 経 済 計 算 」に 基 づ い て い る。 【マ ク ロ経 済 ブ ロ ッ ク 】 マ ク ロ経 済 ブ ロ ッ ク は 、実 質 GDP、 名 目GDP、 貯 蓄 、投 資 、長 期 金 利 等 の 経 済 変 数 を決 定 す る。 マ ク ロ経 済 ブ ロ ッ ク の 概 要 は 図1-7の
よ うに な つ て い る。 以 下 、 主 要 な 構 造 方 程 式 に つ い て 説 明 す る。年金置換比率 高齢化率 民間可処分所得 民間設備投資 民間資本ストック 社会資本ストック 実質GDP GDPデ フレータ 名 目GDP SNA財政ブロック 図
1-7
マ ク ロ経 済 ブ ロ ッ ク の 構 造 (出 所)筆
者 作 成 (GDP) 本 モ デ ル は 供 給 側 主 導 の モ デ ル と な っ て お り、GDPは
長 期 的 な 経 済 成 長 パ ス を 決 定 す る べ く推 計 が 行 わ れ る 。 生 産 関 数 は 、 労 働 、 民 間 資 本 ス トッ ク 、 社 会 資 本 ス トッ ク か ら な る 以 下 の よ うな 形 を 想 定 す る 。y=И
・
0(ρ(-1)。Cし
り
α
+β lnκ
g。 (二・〃
)/ こ こでYは
実 質 GDP、Lは
就 業 者 数 、Hは
総 実 労 働 時 間 、Kpは民 間 資 本 、CU は稼 働 率 、Kgは社 会 資 本 ス トッ ク 、Aは
定 数 、 α、 β、 γは 推 定 され るパ ラ メ ー タ で あ る。 稼 働 労 働 量 は就 業 者 数 と総 実 労 働 時 間 に よ り与 え られ る。 稼 働 資 本 量 は 、民 間 投 資 の 蓄 積 で あ る 民 間 資 本 ス トッ ク に稼 働 率 を 乗 じて 与 え られ る。 社 会 資 本 ス トッ ク は 直 接 的 に 生 産 に 影 響 を 与 え る の で は な く、 民 間 資 本 ス トッ ク の 生 産 力 を 向 上 させ る とい う形 で 間 接 的 に 影 響 を 与 え る。 民 間 投 資 は 、 民 間 部 門 が 投 資 可 能 な 貯 蓄 額 と資 本 コ ス トを説 明 変 数 と して 定 式 化 して い る。 資 本 コ ス トは 長 期 金 利 、 固 定 資 本 減 耗 率 、 法 人 税 率 等 か ら計 算され る。 稼 働 率 は 、経 済 産 業 省 「稼 働 率 指 数 」「第
3次
産 業 活 動 指 数 」 を製 造 業 と非 製 造 業 の ス トッ ク の 比 率 に よ り加 重 平 均 した 値 を 用 い て お り、 電 力 使 用 量 (EP)に よ り決 定 す る形 と して お り、 電 力 使 用 量 が 増 加 す る と稼 働 率 が 上 昇 す る。 電 力 使 用 量 は 電 力 需 要 量 (EPD)と 電 力 供 給 量(EPS)のい ず れ か 小 さい 値 を選 択 す る よ うに ス イ ッチ を設 定 して お り、 モ デ ル 内 で 決 ま る形 とな つ て い る。 電 力 需 要 量 はGDPに
よ っ て 決 定 され 、 電 力 供 給 量 は 外 生 で あ る。 電 力 需 要 量 と供 給 量 の デ ー タ は 電 力 事 業 連 合 会 「電 力 統 計 情 報 」 を利 用 した 。20H年
以 降 の 東 日本 大 震 災 の 影 響 に よ り電 力 供 給 量 が 下 落 す る期 間 に お い て は 、 前 述 した 電 力 使 用 量 に 対 す る設 定 が 反 映 され る。 した が っ て 本 モ デ ル 上 で は 電 力 供 給 制 約 は 電 力 使 用 量 を通 じて 稼 働 率 を 押 し下 げ 、 これ が 生 産 水 準 を 下 げ る とい うパ ス に よ り影 響 が 表 され て い る。 稼 働 率 関 数 の 推 定 期 間 で は 、 電 力 需 要 量 が 電 力 供 給 量 を 下 回 る た め 電 力 需 要 量 が 使 用 量 とな っ て い る。 生 産 関 数 に 関 す る変 数 間 の 関係 を フ ロー チ ャー トに す る と図1-8の
よ うに な る。 図1-8
生 産 セ ク タ ー の フ ロー チ ャ ー ト (出所)筆
者 作 成 電力需要量と電力供給量のいずれか 小さい方が電力使用量となる 電 力供給量(EPS) 電 力需要量{EPD) 電 力使 用量(EP) 稼働率(CU) 資本ストック(Kp) 労働時間(H) 就業者数(り 稼働 資本量 社会 資本(Kg) 稼働 労働 量 芽l[彗GDP(Y)生 産 セ ク タ ー に お け る 主 要 な 関 数 の 推 定 結 果 は 以 下 の 通 りで あ る4。
0生
産 関 数ln(GDP/NLE・
HOUR)=-2.662790+0.152135・
ln((KFNR(-1)OCU)/(NLE・ HOUR))(-7.58) (2.07)
+0.008111・ ln(KFNR(-1)・ CU)・ ln(KGG(-1)) (2,71) AD」.R2==0.997、D.W.=1.927
0稼
働 率ln(CU)=-0.852450+0.263596・
ln(EP)(-2.30) (14.5)
ADJ.R2=0.933、 Do W.=1.452 ・ 電 力 需 要 量 ln(EPD)= 1.103121 + 0.348590・ ln(GDP)+ 0.723456・ ln(EPD(-1))(3.57) (3.69) (10.9)
ADJ.R2=0.994、D.W.=2.277
(貯蓄) 本 モ デ ル で は 、 貯 蓄 率 関 数 の 推 定 を 通 して 、 民 間 貯 蓄 を 推 計 す る形 と して い る。 貯 蓄 率 は 引 退 世 代 の 人 口増 に よ り先 行 き低 下 す る と考 え られ て い る。GDP の 項 で 述 べ た よ うに 、 本 モ デ ル の 民 間 貯 蓄 は 投 資 を通 じて 生 産 要 素 の ひ とつ で あ る 民 間 資 本 ス トッ ク に影 響 を 与 え る とい う構 造 と な つ て い る た め 、 貯 蓄 率 の 低 下 は 経 済 成 長 を減 速 させ る。 こ の よ うに 本 モ デ ル で は 、 貯 蓄 が 重 要 な 役 割 を 担 っ て お り、 高 齢 化 の 影 響 な どの 人 口構 造 の 影 響 が 貯 蓄 を 通 じて も 考 慮 され る 構 造 に な っ て い る。 貯 蓄 率 関 数 は 、 稲 田0小
川 ・ 玉 岡 ・ 得 津 (1992)を 参 考 と し、 高 齢 化 比 率 、 年 金 置 換 比 率 を 説 明 変 数 と して 採 用 して い る。 高 齢 化 比 率 は 、 ラ イ フ サ イ クル 仮 説 に 基 づ き 、 貯 蓄 を 取 り崩 す 高 齢 者 の 比 率 が 高 ま る とマ ク ロ の 貯 蓄 率 が 低 下 す4推
定 式 の 係 数 下 に 記 載 され て い る括 弧 内 の 数 値 はt値
で あ る。 ま た 説 明 変 数 で ダ ミー 変 数 を加 え て い る もの も あ る が 本 文 中 の 推 定 結 果 に は 示 して い な い 。 これ らは 以 下 で 記 載 して い る推 定 式 に お い て も 同様 で あ る。る と考 え られ る た め 、 係 数 は 負 とな る こ とが 期 待 され る。 推 定 式 で は 、 高 齢 化 比 率 と して
65歳
以 上 人 口の 総 人 口 に 対 す る 比 率 を 用 い て い る。社 会 保 障 給 付 の 充 実 は 、 個 人 資 産 の 必 要 性 を低 下 させ 、 貯 蓄 率 に 対 して マ イ ナ ス の 影 響 を も た らす 。 推 定 式 で は 、 年 金 置 換 比 率 と して 、 高 齢 者 一 人 当 た り社 会 保 障 給 付 額 と 生 産 年 齢 人 ロー 人 当 た り名 目GDPの
比 率 を説 明 変 数 とす る。 以 上 を踏 ま え 、 次 式 の よ うに推 定 を行 つ た 。 係 数 は い ず れ も期 待 され た 符 号 で 有 意 な 結 果 が 得 ら れ て い る。ln(RSP)=4.447609-0.663897口
ln((POP650V/POP)・ 100)(59.1) (-20.6)
-0.425800・ln((SSB1/POP650V)/(NY/POP1564)))
(-2.31) ADJ.R2=0.948、D.W.=1.609
(物 価 ・ 長 期 金 利) 物 価 に つ い て は 、 ま ず 賃 金 と企 業 物 価 指 数 が 決 定 され 、 これ ら が キ ー 変 数 と な つ て デ フ レ ー タ や 消 費 者 物 価 指 数 を 決 定 す る 構 造 と な っ て い る 。 賃 金 は1人
あ た り国 民 所 得 、 自 己 ラ グ に よ っ て 決 定 され る 。 企 業 物 価 指 数 は 労 働 生 産 性 、 賃 金 、 輸 入 物 価 に よ っ て 決 定 され る 。 長 期 金 利 は 、10年
物 長 期 国 債 の 利 回 り を 用 い て お り、GDP成
長 率 、 消 費 者 物 価 指 数 上 昇 率 を 主 要 な 説 明 変 数 と し て い る 。 ま た 政 府 債 務 残 高 対 民 間 貯 蓄 残 高 比 率 と 自 己 ラ グ も 説 明 変 数 と して い る 。 政 府 債 務 残 高 対 民 間 貯 蓄 残 高 比 率 は 、 中 央 政 府 の 長 期 債 務 残 高 と 民 間 貯 蓄 残 高 の 比 率 で あ り、 財 政 リ ス ク ブ レ ミア ム を 示 す 。 政 府 の 財 政 状 況 が 逼 迫 し債 務 残 高 が 増 加 す る 、 あ る い は 高 齢 化 の 進 行 に よ り民 間 貯 蓄 が 減 少 す れ ば 、 こ の 比 率 は 上 昇 す る 。 推 定 結 果 の 符 号 は 有 意 に 正 と な っ て お り、こ の 比 率 の 上 昇 に 伴 い 、長 期 金 利 が 上 昇 す る 形 に な っ て い る 。ln(WAGE)= 1.460196 + 0.139344・ ln(NY/NLE) + 0。 763333・ ln(WAGE(-1))
(4.94) (2.19)
(19.3) (-7.85)
(11.99)
ADJ.R2=0.996、 D.W.=1.401
+ 0.128433口 ln(WAGE) + 0.103021口 ln(PIM)
(1.52) (4.43)
ADJ.R2=0.933、D.W.=1.472
1NR = -23.06415 + 5.6615740(GDP/GDP(-1)) +
(-4.10) (2.29) + 2.087833日 ((GDEBttC+GDEBttL)/KSP) (1.70) ADJ.R2=0.990、D.W.=2.134
16.84604・ (CP1/CPI(-1)) (3.09)+ 0.8818180(INR(-1))
(17.9)【制度財政ブ ロック】
制 度 財 政 ブ ロ ッ ク は 、 中 央 政 府 と地 方 政 府 の そ れ ぞ れ に つ い て 、 歳 出 費 目 0 歳 入 費 目 を項 目 ご と に 定 式 化 して い る。 図1-9は
制 度 財 政 ブ ロ ッ ク の フ ロー チ ャ ー トを 示 した も の で あ る。 図 1-9 制 度 財 政 ブ ロ ッ ク の フ ロ ー チ ヤ ー ト 歳 出 (出 所)筆
者 作 成 SNA財 政 ブ ロック以 下 で は 主 要 な 項 目 に つ い て 解 説 を 行 う。 ま ず 、 中 央 政 府 と地 方 政 府 を つ な ぐ地 方 交 付 税 に 関 す る 部 分 に つ い て 説 明 す る 。 (地 方 交 付 税) 地 方 交 付 税 は 、 地 方 団 体 が 一 定 の サ ー ビ ス 水 準 を 維 持 し う る 財 源 を 保 障 す る た め に 国 税 五 税 の 一 定 割 合 を 原 資 と して 、 こ れ を 一 定 の 基 準 の も と 地 方 団 体 に 配 る と い う制 度 で あ る 。 国 の 一 般 会 計 か ら 国 税 の 一 定 割 合 が 交 付 税 及 び 譲 与 税 配 布 金 特 別 会 計 (以 下 交 付 税 特 会 と記 す
)に
繰 り入 れ られ 、 地 方 団 体 が 必 要 と す る 交 付 必 要 額 が 同 会 計 よ り繰 り出 され る 。 地 方 団 体 が 必 要 とす る 交 付 必 要 額 は 、 地 方 団 体 ご と に 基 準 財 政 需 要 額 と基 準 財 政 収 入 額 の 差 と して 算 定 され こ れ の 総 和 と な る 。 た だ し基 準 財 政 収 入 額 が 基 準 財 政 需 要 額 を 超 過 す る 団 体 は 不 交 付 団 体 と な り、 地 方 交 付 税 を 受 け 取 ら な い 。 こ の と き 、 国 の 財 政 か ら原 資 と して 渡 され る 国 税 五 税 の 一 定 割 合 と 、 地 方 財 政 側 が 算 定 し た 交 付 必 要 額 が 一 致 す る と は 限 ら な い 。 毎 年 の よ う に 、 交 付 必 要 額 が 交 付 税 の 原 資 を 上 回 り、 地 方 財 政 の 財 源 不 足 額 が 発 生 す る と い う状 態 が 続 い て い る 。 こ の 財 源 不 足 額 は 地 方 財 政 対 策 と して 、 国 の 一 般 会 計 か ら の 特 別 加 算 か 、 交 付 税 特 会 か ら の 借 入 か 、 財 源 対 策 債 や 臨 時 財 政 対 策 債 と い っ た 形 に よ る 地 方 債 の 増 発 で 賄 わ れ て い る 。 こ う した 地 方 交 付 税 を め ぐ る 資 金 の 流 れ を 本 モ デ ル で は 以 下 の よ うに 描 写 し た 。 交 付 税 原 資 と な る 国 税 の 一 定 割 合 に つ い て は 、 対 象 と な る税 目 を 制 度 財 政 ブ ロ ッ ク に お い て 推 定 し、 こ れ に 外 生 と して 与 え られ る 地 方 交 付 税 率 を 乗 じて 算 定 す る 。 一 方 地 方 財 政 に お い て 計 算 され る 交 付 必 要 額 は 、 交 付 団 体 に お け る 基 準 財 政 需 要 額 と基 準 財 政 収 入 額 の 差 と な る 。 不 交 付 団 体 の 基 準 財 政 需 要 額 、 基 準 財 政 収 入 額 は 地 方 交 付 税 額 に 影 響 し な い た め 、 基 準 財 政 需 要 額 、 基 準 財 政 収 入 額 は 交 付 団 体 の 集 計 値 を 用 い る 。 基 準 財 政 需 要 額 は 外 生 、 基 準 財 政 収 入 額 は 地 方 税 に よ つ て 決 ま る 形 と し て い る 。 基 準 財 政 収 入 額 は 、 地 方 税 収 を 説 明 変 数 と して 推 定 を 行 つ て い る 。 FISL_FBFR = 35.5167 + 0.608502・ (FISL_R丁) (0.04) (24.2) ADJ.R2=0.966、D.W.=1.292
こ こ で 、 基 準 財 政 需 要 額 か ら基 準 財 政 収 入 額 を 減 じて 求 め られ る 交 付 必 要 額 と 国 税 の 一 定 割 合 の 差 を 財 源 不 足 額 と して 取 り扱 う。
FISG_LR = (FISL_FBFD
―FISL_FBFR)
― ((FISC_Rtt I・ FISC_RRttI + FISC_RttS・FISC RRttS + FISC R丁 丁・ FISC RR丁丁
+ FISC_RttV
・ FISC_RRttV + FISC_RttC ・ FISC_RRttC)/100) こ の 財 源 不 足 額 は 、 前 述 した よ うに 国 の 一 般 会 計 か らの 加 算 か 、 交 付 税 特 会 か らの 借 入 か 、 財 源 対 策 債 や 臨 時 財 政 対 策 債 とい っ た 形 に よ る地 方 債 の 増 発 で 賄 わ れ て い る。 これ らへ の 配 分 は 何 らか の 基 準 が 置 か れ て い る わ け で は な く、 年 々 変 化 して い る。2003年
度 以 降 は 交 付 税 特 会 か らの 借 入 は 原 則 と して 取 り止 め られ て お り、 代 わ りに 臨 時 財 政 対 策 債 が 発 行 され て い る。 本 モ デ ル で は 、 モ デ ル で 決 定 した 財 源 不 足 額 に 実 際 の 配 分 比 率 を 乗 じて 、 中 央 政 府 の 歳 出 と して の 地 方 交 付 税 等 、 特 別 会 計 借 入 の 国 負 担 分 、 地 方 債 の 増 発 分 、 臨 時 財 政 対 策 債 発 行 分 を 計 算 し、 そ れ ぞ れ の 変 数 に 影 響 す る形 と して い る。 (中 央 政 府 ・ 歳 入) 中 央 政 府 の 歳 入 は 国 税 、 公 債 金 、 そ の 他 収 入 と して い る。 国 税 は 、 所 得 税 ・ 法 人 税 0消費 税 ・ 酒 税 ・ た ば こ税 ・ そ の 他 の 税 目に 分 か れ て い る。 こ の うち 所 得 税0法
人 税 ・ 消 費 税 0たば こ税 に つ い て は 酒 税 を 除 き マ ク ロ経 済 ブ ロ ッ ク で 決 ま る経 済 変 数 に よ り説 明 を行 つ た 。 所 得 税 は 雇 用 者 報 酬 、 法 人 税 は 企 業 所 得 と して 国 民 所 得 か ら雇 用 者 報 酬 を 差 し引 い た 値 、 消 費 税 ・ た ば こ税 は 名 国民 間 最 終 消 費 支 出 を説 明 変 数 と して い る。 消 費 税 に つ い て は 民 間 最 終 消 費 デ フ レー タ に つ い て 税 込 み 価 格 と税 抜 き価 格 を設 定 して お り、 こ の 差 に名 目民 間 最 終 消 費 支 出 を乗 じ る形 で 決 ま る。 名 国民 間 最 終 消 費 支 出 は 、 実 質 民 間 最 終 消 費 支 出 に 民 間 最 終 消 費 支 出 デ フ レー タ を乗 じて 求 め られ る。実 質 民 間 最 終 消 費 支 出 は 、 実 質 可 処 分 所 得 と 自 己 ラ グ を説 明 変 数 とす る 消 費 関 数 に よ つ て 導 か れ る。 そ の 他 の 税 目は 直 接 推 定 を 行 うの で は な く、 国 税 総 額 を 所 得 税 ・ 法 人 税 ・ 消 費 税 0 酒 税 ・た ば こ税 の 合 計 に よ つ て 定 式 化 し、国 税 総 額 と所 得 税 ・法 人 税 0消費 税 0 酒 税 ・ た ば こ税 の 差 と して 定 義 して い る。 公 債 金 は 、 歳 入 総 額 か ら税 収 とそ の 他 収 入 の 差 と して 定 義 的 に 決 ま る形 と し た 。 そ の 他 収 入 は 、 使 用 料 ・ 手 数 料 な どが 含 ま れ て い る。 こ こで は 、 そ れ ら を 名 目最 終 消 費 支 出 に よ り説 明 を行 つ た 。(中 央 政 府 ・ 歳 出) 中 央 政 府 の 歳 出 は 、社 会 保 障 関係 費 、中 央 政 府 の 歳 出 と して の 地 方 交 付 税 等 、 国 債 費 、 そ の 他 の 歳 出 に 分 か れ る。 国 債 費 は 、
SNA財
政 ブ ロ ッ ク に お け る 中 央 政 府 の 長 期 債 務 残 高 に 金 利 を 乗 じ た も の と前 年 度 ま で の 支 払 が 今 後 に わ た つ て も続 く と考 え て 自 己 ラ グ に よ り説 明 を行 っ た 。FISC_圧B = -37.6093 + 0.25697・ (GDEBttC・ INR/100)+ 0.863695・ (FISC_EB(-1))
(-0.05) (3.20) (26.7)
ADJ.R2=0.971、 D口W.=1.724
中 央 政 府 の 歳 出 と し て の 地 方 交 付 税 等 は 、 交 付 税 及 び 譲 与 税 配 布 金 特 別 会 計 に 繰 り入 れ られ る 費 日 で あ る 。 国 税5税
の 一 定 割 合 に 、 財 源 不 足 額 の 補 て ん と して 行 わ れ る 国 の 一 般 会 計 か ら の 加 算 した 額 が こ れ に あ た る 。 国 税5税
の 一 定 割 合 は 、 個 々 の 税 額 に 外 生 変 数 で あ る 地 方 交 付 税 率 を 乗 じ て 計 算 さ れ る 。FISC ELG= 1297.545
(2.61)+0.838474・ ((FISL_FBFD ―