福祉情報論の成立をめぐる回顧と若干の課題提起
著者 ?橋 紘士
雑誌名 Human Welfare : HW
巻 14
号 1
ページ 27‑33
発行年 2022‑03‑10
URL http://hdl.handle.net/10236/00030124
東京通信大学
髙 橋 紘 士
はじめに
生田正幸教授の退職記念号に執筆の機会を与えられた。思えば、生田教授との交誼は氏の大阪府立老人 総合センター調査研究室在職時から始まり、筆者が1991年から全国社会福祉協議会の研究情報センター 所長を非常勤で務めていた頃であったので、かれこれ30年を超える。当時、東京都でも社会福祉協議会 に都の委託により社会福祉情報センターを設置し、その担当に故森本佳樹氏(元立教大学教授)が着任し ていたので、三者で福祉領域での情報の提供組織のあり方について現場の経験を踏まえて意見交換をする 機会が少なくなかった。
そのうち、特殊法人であった社会福祉医療事業団(前身は社会福祉事業振興会と医療金融公庫、現独立 行政法人福祉医療機構)が、社会福祉法人や医療法人への融資事業に加えて、事業団として時代の要請に 対応できる新規事業として、当時各都道府県に設置がすすんでいた高齢者総合相談センターのバックアッ プ機関として、医療及び社会福祉にかかる情報提供事業を加える案が浮上し、平成にはいってからその構 想づくりに各人が参画し、それぞれの経験を活かしながら、国の社会福祉および医療に関する情報提供事 業のシステムづくりに加わったのが共同作業の出発点であったと記憶している。
この情報システムは今日では、WAM NETという名称で福祉・医療の情報提供システムとして、各種 の情報提供および情報開示のメディアとして、大きな役割を果たすようになって今日に至っている。この 運営にあたっても現在は運営委員会の座長を生田さんが担われている。
また、社会福祉領域における情報論の先達でもあり、ソーシャルワーク論の泰斗である岡本民夫氏(元 同志社大学)を加えた四名で「福祉情報化入門」(1997年 有斐閣)を編纂し、当時の福祉情報化の展望 を行うなど、共同作業を行ってきた仲間である。
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「社会福祉情報論へのアプローチ」の意義福祉と情報化の1990年代のまでの経緯や関連する社会福祉における動きについては氏の労作である
「社会福祉情報論へのアプローチ」(1999年 ミネルヴァ書房)に詳しい。筆者はこの労作の出版後、直 ぐに、書評を書いたのでその主要な部分を下記に再録させていただく。
「情報という存在を活用した社会福祉の向上という問題意識、それをふまえ情報を積極的に活用するた めの仕組みと体制の整備が、サービスを供給する側にとっても、利用する側にとっても急務となってい る」という本書末尾の文章に要約されるような問題意識で書き下ろされた本書は、社会福祉情報論の確立 に貢献する里程標となるべき業績であるだけではなく、1970年代から90年代までの社会福祉の動きを情 報論というユニーク視点から見た社会福祉政策論の好著である。(注記 2000年の介護保険導入以降、さ らに後に述べる令和3年施行の社会福祉法の改正では、地域包括ケアおよび地域共生社会の概念を前提と すると、もはや「社会福祉」というよりは「福祉」という用語を用いる方が適切な時代になっていると筆 者は考える。この書評でも両方の使い方が混在している。)
著者は情報化社会の到来のなかで、社会福祉がこの情報化をどのように受け止めてきたかを広範な政策 資料の渉猟をふまえて描き出している。(第二部)
この検討のための視点について先行業績をふまえ福祉情報論論の枠組みの提示を行った。(第一部)
そして、情報化政策と社会福祉の歩みの記述をふまえた上で、情報化と社会福祉の転換との交錯から課 題となる社会福祉情報論が取り組むべきテーマを提示し、今後の展望を試みている。(第三部)
著者は福祉情報を生活に関わる諸問題の担い手の側において生み出される「ニーズ情報」、サービス供 給側から生み出される「サービス情報」、個々のケースへの処遇や対応によって生み出される「処遇情 報」、サービス機関が運営管理のために必要とされる「運営・管理情報」、人々がその生活を維持するため に活用している生活情報の一環として、社会生活上の課題や問題に直面し、これに対処しようとするとき に活用する「生活ネットワーク情報」、そして「文献・資料情報」の分類枠組みを設定している。これら の福祉情報は情報一般の性質に加え、「情報弱者」が存在していること。情報が偏在し、求める人に必要 な情報が届きにくいこと、サービス利用と個人情報の開示が二律背反の関係にあること、そして個人情報 保護の必要性が重要であるとしている。
興味深いのは福祉情報の概念構成に「生活ネットワーク情報」という概念を導入していることである。
これは福祉の領域がダイナミックに拡張している現代の動きを情報論的に解釈するうえで有効な概念設定 であるように思う。
生田氏はニーズ情報とサービス情報がダイナミックに関わり合うところに福祉情報の固有性をみている が、この際、ニーズ情報が一般化され、サービス情報が個別化されていくプロセスを重視している。
これは現代の福祉が従来の制限的、限定的な理解を超えた普遍的な福祉として転換するうえで、生活ネ ットワーク情報との取り結びが重要であるという視点に連なっている。
氏の視点は福祉情報論を福祉改革との関わりで論じるところにあるが、この個別化、一般化、生活ネッ トワーク情報の果たす役割などは多くの興味深い論点を提供するように思われる。
すなわち、「福祉の措置」が必要と認定された人々を対象として定められた福祉サービスを供給する制 度の場合、利用者の意向が、二の次に扱われたり、サービスの質や効率への配慮がおろそかにされがちで あった、という点があった。
したがって、「利用者のニーズに関する情報の把握とそれへの適切な対応、サービスに関する情報の提 供、関係者間における処遇情報の共有化など、福祉情報の積極的な活用は、利用者の立場を尊重しようと する姿勢の反映であると同時に、効果的かつ効率的なサービス提供のあり方を追求しようとする姿勢のあ らわれでもある」が、措置制度を基本とする社会福祉の枠組みのなかで、このような取り組みは必要とさ れないどころか、むしろ否定的なものとみなされてきた。
つまり、社会福祉システムの構造そのものに社会福祉における情報の役割を見逃すような要因が潜んで いたというのである。(同書49頁)
社会福祉の情報化については、社会全体における情報化の急速な進行による「外在的要因」と福祉改革 の進展という「内在的要因」との絡み合いの中から福祉情報化という概念が成立したとして、その展開を 探ることになる。
著者は「社会福祉の情報化を社会福祉の課題として把握するためには、情報化が社会福祉の内なる課題 であると同時に、より、広い意味において社会的な課題でもあるということを認識しておく必要がある」
(同書56頁)という認識が、第二部において政策資料の広範な渉猟と検討から、社会福祉情報化発達史と もいうべき本書の白眉ともいえる記述のモチーフともなっている。
ここで再三著者が主張しているのは、社会福祉の情報化がモード(流行)ではなく、今後の社会福祉の 展開を考えるうえで欠かすことのできない視点であるということである。
第二部の作業は読者に直接本書を繙いてその歩みを確かめていただく他はないが、この分野で比較的古 くから活動している者からいわせていただければ、資料庫の片隅に追いやられていた仕事を丹念に発掘整 理し、順序立ててその展開の道筋をあきからにしてくれたこの仕事は大変ありがたいものである。
『Human Welfare』第14巻第1号 2022
筆者は1970年代から研究活動を始めた者であるから、情報技術でいえば大型コンピュータによる業務 処理の時代から今日の社会生活全般の基盤としての情報システムの時代の転換を目の当たりにしてきた世 代である。そのなかで、福祉に関わる幾つかの先駆的な試みに関わってきた。
たとえば、生田著の122頁で紹介されている89年の福祉保健情報研究会にはじまる社会福祉医療事業 団(現福祉医療機構)の情報提供事業やその先駆となった東京都における福祉情報提供事業の試みの意図 と失敗の歴史の総括を福祉情報史のながれのなかに位置づけておくことは、今後の福祉情報化を展望する うえでも有益なことであると感じた。
これから情報化と福祉の関わりについて学ぶ方々にも最低限必要なこれまでの福祉情報化の歩みについ て基礎情報は生田教授の業績から得ることができる。
今日の局面は「介護保険制度の導入を契機として福祉情報化は社会福祉の内なる課題にとどまっていた 段階から生活基盤の形成と強化を図るための社会的課題として展開される段階にはいった。」これは「情 報化をすすめるための福祉の情報化」と「福祉をすすめるための情報化」の融合での段階である。と生田 教授は述べ、このような認識にもとづいて福祉情報化の展望として「利用者本位の社会福祉」を実現する ための福祉情報化戦略の必要性を強調している。
ここで提起された課題は、社会福祉情報論が次の段階に到達するための課題群でもあるといえよう。
この時期、2000年頃までの福祉の動向と情報技術の動向そして、福祉分野への情報論の展開について 当時、筆者が作成した図1のような図式で説明してきた。
当初、措置制度による公的な社会福祉事業に特化していた福祉がその分野を拡大し、さらに地域福祉の 推進をとりこみ、90年の福祉八法改正で地域福祉が法定化され、さらに地域住民の福祉活動が社会福祉 法上に位置づけられ、さらに介護保険制度の導入で、保健医療サービスと福祉サービスが、介護サービス として統合化され、また、措置制度が原則サービス利用契約制度に改められた。とりわけ、介護保険を中 心に準市場の導入が進行し、多様な福祉サービス供給主体が参入できるようになり、これらの福祉サービ スの供給事業者の行動様式が変化してゆく。
図1 2000年頃までの福祉と情報の展開図(髙橋紘士作成)
介護保険では介護保険が事業者にサービス提供の実績に応じて給付される社会保険方式が導入され、保 険者である市町村は介護保険事業計画によってサービスの基盤整備を図り、また、社会福祉の各分野で計 画策定が地方自治体に義務化されるようになり、財政方式も介護保険では社会保険方式による介護報酬の 仕組みが導入された。なにより、2000年の介護保険制度の発足、社会福祉法(社会福祉事業法の名称変 更)におけるサービス利用における契約方式の主流化(やむを得ない措置という形で措置制度は一部残存 してはいる)によって、利用者にとってのサービスの選択とこれを支える仕組みが必要とされるようにな り、相談支援の仕組みの導入、さらに措置制度からの離脱は事業者をして、そのサービス提供の効率化が 求められることになり、介護保険におけるケアマネジメントをはじめとしたサービス利用計画の設定とそ の管理などが求められるようになった。また、各分野での計画化の導入は計画策定主体が膨大なニーズ情 報とサービス情報を包括的に把握することが求められるようになったことを意味し、いわゆる情報による システムの最適化が必須となってきたことを意味する。
これが、ここでいう福祉の情報化あるいは、福祉・介護の情報化を必要とさせる契機であり、医療モデ ルによる医療情報化とは次元の異なる、生活モデルに基づく情報化を必要とさせるに至った筈であった。
いうまでもなく、これを支える情報技術の展開は2000年までは図1で示したとおりであるが、これ以 降の動向について、以下で述べることにする。
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今日の福祉・介護の情報化の状況ICT(Information & Communication Technology)の発展は、この間パソコンから可動性のあるモバイル 機器の発展、クラウド技術の一般化による映像、音声技術の向上、SNSの普及と普遍化などによる情報 発信手法の普及のハードウェア、利用技術および情報ネットワークの発展による情報環境の変化とAI技 術に代表される学習機能の向上と推論機能の革新など、大量情報の処理能力の向上と、これと連動する、
ロボットなどのハードウェア機器のインテリジェント化などが進行している。
介護の世界では、医療におけるエビデンスに基づいた医療(EBM)の考え方を導入した、いわゆる
「科学的介護」の推進およびその成果としての「介護の生産性向上」が標榜され、介護報酬の加算対象と されるように施策化された「LIFE」(Long-term care Information system For Evidence)システム1)の導入な ど、成否はまだ明らかではないが、介護保険制度を軸に福祉や保健医療における情報化は新たな段階を迎 えたように思われる2)。
但し、上記のシステムは現在のところ、限られた身体介護を対象としており、介護の持つ拡がり、ある いは、生活の全体性を考慮した生活モデルに依拠したシステムというよりは、疾病の特定とそれをめぐる エビデンスによる医療行為を想定した医療モデルの援用にすぎず、方法論的に大きな課題を残したまま加 算という介護報酬上の評価をした。これによってデータ収集を行い、それを提供者に全体像のなかでどの ような位置づけになるかを示す手法が果たして効果があるか、多々課題を残しつつ、介護保険制度に取り 入れられた。さらに、注で示した全世代社会保障検討会議の報告のように介護施設等の配置基準の合理化 にも活用するという方向が示されているのは賛否両論を招くものである。
また、ケアマネジメントにAI技術の導入のアイディアも提起されており、基礎研究の段階であるとし ても相当早い時期に具体化されるであろう。
また、保健医療福祉をはじめとする領域横断的な情報共有のネットワークが地域単位で形成されつつあ り、また、在宅ケアの発展は切れ目のない情報へのアクセスが可能なシステムが比較的安価に構築可能に なってきている。
さらに、重層的相談支援体制の構築には、生田教授が提起された「生活ネットワーク情報」まで視野に いれた複眼的分野横断的な議論が必要となってくるだろう。令和3年に施行された、社会福祉法の理念規 定によって法定化された重層的相談支援体制3)構築のさいにこの概念を位置づける必要があろう。
『Human Welfare』第14巻第1号 2022
さしあたり、大きな見取り図を書く上では、介護保険改革から出発して、社会保障における諸サービス を総合し、さらにインフォーマルサポートを地域で包括する、「地域包括ケアシステム」の提起、さらに、
縦割の制度間に横串をさすことを内容とした、「地域共生社会構想」に至る現在までの道筋が明確になっ てきたように思われる。
さらに、障害者差別禁止法における「合理的配慮」条項は、情報バリアフリー環境づくりにおいても、
新しい課題を提起している。ある時期デジタルデバイドとよばれていた、情報アクセスの困難な階層がま すます、増加していると思われる、障害者・高齢者・さらに低所得あるいは生活困窮により情報機器への アクセスが困難な者の問題は、情報利用困窮の発生といえるような深刻な課題である4)。これらはいずれ も、ICTを活用しつつ、利用者の視点からの情報化の意味を問いなおしているように思われる。
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地域包括ケアシステム構築から地域共生社会構想へ第一に、2006年の介護保険改革時に提唱された介護保険と他制度の連携協働を地域で実現する「地域 包括ケアシステム」が、介護保険法上法定化されるばかりではなく、2013年の「社会保障と税の一体改 革」におけるキーワードとして社会保障改革にも取り入れられ、平成元年に制定された地域における医療 及び介護の総合的な確保の促進に関する法律の改正によって地域包括ケアが法定化された5)。
このことによって、地域を基盤とした保健医療サービスとインフォーマルサポートの包括化が意図さ れ、また、地域共生社会構想によって高齢者を想定したものから、全ての地域住民に拡張する地域包括ケ アの包括化、さらに深化としての地域共生社会構想が提起されるようになってきた。
地域包括ケアの方向性を図式化すると図3のようになるだろう。やや複雑な図であるが、社会福祉事業 や医療機関では単一の分野について、事業展開が図られてきた。とりわけ我が国では、医療機関が福祉施 設の代替を長期療養という形で行っていた。これを介護について介護サービスとして切り出し、さらに施 設病院完結型から地域展開をはかるという方向が強調されるようになった。
医療法人や社会福祉法人はもはや単一の事業を一定の地域で実施するという事業経営から、多分野型の 事業を複合化して展開するようになってきた。医療法人が社会福祉法人を傘下に収め、病院医療と在宅医 療を展開したり、サービス付き高齢者住宅を医療法人あるいは社会福祉法人が展開する事例は珍しくなく
なっている。これは、事業が法人によって、グループ経営として垂直統合化されるベクトルであるといえ よう。
一方、サービス提供主体の多元化、多様化は、特定非営利活動法人あるいは協同組合などの事業参入が 行われるようになってきた。さらに地域を基盤に多様な主体が連携・連繋しあう事例もみられるようにな った。これは地域社会をベースとした多元的主体モデルあるいは多職種多業種連携モデルともいうべきも ので、多様な経営主体の協業と地域住民の参画によるインフォーマルサポートが視野に入っているという ことである。この点について、地域包括ケアの創始の時代の山口昇医師も広島県御調町(現尾道市)での 実践を振り返って、当初から住民参画を強調しておられた6)。
1990年代後半に情報化(ICT)の成果を高齢化がもたらす諸問題の解決に活用するという意味で情報化 が活用される高齢社会を「情報長寿社会」7)と呼び、あるいは、情報化の成果をすべての社会成員に保障 する「共生型情報社会」の可能性について言及した議論を改めて想起する必要があることを痛感する。
注
1)科学的介護、LIFEついては、厚労省ウェブサイトに基本的なドキュメントが掲載されている。また、全国老施 協、全老健等のホームページにも解説が掲載されている
https : //www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198094_00037.html
2)全世代型社会保障検討会議(令和2年6月第二次中間報告)では介護サービスにおけるテクノロジーの活用とし て、次のように述べている。「現在、業務改善や見守りセンサー・ケア記録の電子化・インカム等の活用により、
介護サービスの質を保ちつつ、より少ない人数で介護サービスを提供する先進施設が存在している。こうした先 進事例の全国展開を進めるため、見守りセンサー・インカムの導入やWi-Fi工事等を地域医療介護総合確保基金 の支援対象に追加するとともに、現場のニーズに応じて補助上限の引き上げを可能とする。
今後、更なる生産性向上を実現するためには、AIを活用したケアプラン作成の自動化など、もう一段のイノベー ションが必要となるため、現場のニーズに合った機器の開発・実証を支援する。
さらに、テクノロジーの導入の効果をデータとして把握・分析し、エビデンスに基づき、不断に介護報酬や人員 配置基準について見直しを図る。
3)念のため、令和3年施行の改正された社会福祉法の条文の主要な条項を引用しておく。また、昭和24年、平成2 年の社会福祉事業法の条文を参考までに引用しておく。
第四条 地域福祉の推進は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の 実現を目指して行われなければならない。
第六条 2 国及び地方公共団体は、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備その他 図3 地域包括ケアシステムの二つの方向性
『Human Welfare』第14巻第1号 2022
らない。
3 国及び都道府県は、市町村において第百六条の四第二項に規定する重層的支援体制整備事業その他地域生活 課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備が適正かつ円滑に行われるよう、必要な助言、情報 の提供その他の援助を行わなければならない。
社会福祉事業法(昭和24年)
第三条 社会福祉事業は、援護育成又は更生の措置を要する者に対し、その独立心をそこなうことなく、正常 な社会人として生活することができるように援助することを趣旨として経営されなければならない。
社会福祉事業法(平成2年改正 福祉八法改正)
第三条 「国、地方公共団体、社会福祉法人その他社会福祉事業を経営する者は、福祉サービスを必要とする者 が、心身ともに健やかに育成され、又は社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えら れるとともに、その環境、年齢、および心身の状況に応じ、地域において必要な福祉サービスを総合的に提供 されるように、社会福祉を目的とする事業の広範かつ計画的な実施に努めなければならない。」
「医療保健その他関連事業との有機的な連携をはかり、地域に即した創意工夫を行い、および地域住民等の理解 と協力を得るように努めなければならない。」
社会福祉法(平成12年 社会福祉事業法改称 介護保険法施行時)
(福祉サービスの基本理念)
第3条 福祉サービスは、個人の尊厳の保持を旨とし、その内容は、福祉サービスの利用者が心身ともに健や かに育成され、またはその有する能力に応じ、自立した日常生活を営むようができるように支援するものとし て、良質かつ適切なものでなければならない。
4)ホームレス支援の実践家によれば、就労支援に必須なのは携帯の所持であり、携帯なしには適切な情報にアクセ スが困難なので、この点への配慮と支援が必要となってきたとのことである。
5)第二条 この法律において「地域包括ケアシステム」とは、地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み 慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防(要介護 状態若しくは要支援状態となることの予防又は要介護状態若しくは要支援状態の軽減若しくは悪化の防止をい う。)、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制をいう。
6)拙編『地域包括ケアを現場で語る』(2022年2月刊行予定 木星舎)収録した山口医師との対談でこのいきさつを 述べている。また、地域包括ケア実践の事例と淵源について多様な事例が収録されているので参考にされたい。
7)1995(平成7)年に刊行された「情報長寿社会の実現に向けて」(新日本法規出版)は旧郵政省の情報通信政策局 が実施したプロジェクトの成果を単行本化したものである。その後旧郵政省には情報利用促進課というデジタル デバイド対策を所管する部局が置かれていた。