第五章
第五章
第五章
第五章 AOA
AOA
AOA プロセス
AOA
プロセス
プロセス
プロセスでの
での炭素源添加濃度
での
での
炭素源添加濃度
炭素源添加濃度
炭素源添加濃度の
の
の
の最適化
最適化
最適化
最適化
Abstract
本章では,AOA プロセスにおいて,異なる TOC/N 組成において,好気条件初期時に必要 な炭素源添加量の検討を行い,処理水質ならびに微生物叢の両面から評価し,それぞれの 外部炭素源添加濃度の最適化を検討している。本法は好気条件下でのリン取り込みを阻止 する都合上,好気条件初期に少量の炭素源を添加する必要があるが,本章では,全窒素 (TN)濃度を TN:20mg/l ならびに 40mg/l に調製した 2 種類の TOC/N 比において,90%以上 の有機物・窒素・リン除去を達成するのに必要な外部炭素源濃度の決定を行った。 その結果,90%以上の窒素・リン除去率に到達するために必要な外部炭素源濃度(TOC) は関しては,TN: 20 mg/l では 22.5 mg-C/l,TN: 40 mg/l では 45.0 mg-C/l となった。また,各段 階の菌叢変化を Fluorescence in situ hybridization (FISH)法で検証した結果,本プロセスで は,リン除去性能に悪影響を及ぼすことが確認されているグリコーゲン蓄積細菌(GAOs)が ほとんど出現しないことも明らかとなった。さらに,リン取り込み活性試験(PUR)から,脱窒性 リン蓄積細菌の存在率が増加することで,窒素・リン除去率が高まったことを明らかにした。 これらの結果から,本プロセスでの良好な栄養塩除去率の維持には,流入水の TOC/N 比 に応じて好気条件初期時の炭素源添加濃度を変化させ,リアクター内の脱窒性リン蓄積細菌 を優占させる制御手法が重要であると示唆している。5.1 Introduction
世界各地の湖沼・内湾等の閉鎖性水域における水質汚濁の主な原因物質は,さまざまな 産業活動から排出される栄養塩(窒素およびリン)であり,これらの問題解決には,排水中の 窒素・リンを除去する技術,すなわち栄養塩除去技術の普及が必要不可欠である。ここで, 生物学的リン除去(Enhanced biological phosphorus removal: EBPR)プロセスを担う細菌には リン蓄積細菌(Phosphate-accumulating organisms: PAOs)と脱窒性リン蓄積細菌(Denitrifying phosphate-accumulating organisms: DNPAOs) が考えられる[1-5]。両者は,まず嫌気条件下で 細 胞 内 の ポ リ リ ン 酸 を 加 水 分 解 す る こ と に よ り エ ネ ル ギ ー を 得 て , 有 機 物 を PHA (Polyhydroxyalkanoates)という一系の化合物として蓄積し,リンを放出する。その後,好気 条件になるとリン欠乏状態になった本細菌が,細胞内に蓄積した PHA をエネルギー源として ポリリン酸を菌体内に過剰に蓄積する。ここで,DNPAOs はリン取り込み時の PHA 分解のための電子受容体として酸素のかわりに硝酸を用いることができるため,無酸素条件下でリン取り 込みと脱窒を同時に行うことができる[6] 。 第二,第三章で,DNPAOs の持つ特性を最大限に利用した窒素・リン同時除去プロセスと して,単一槽の SBR リアクターである AOA プロセスで,本プロセスの安定した除去性能維持に は好気条件初期に炭素源を添加する必要があることを明らかにしてきたが,排水組成に対す る炭素源添加濃度の詳細な決定についての検討はなされていない[7] 。 そこで本章では,異なる排水組成に対する適切な炭素源添加濃度の決定を目的に,C/N の異なる排水に対して段階的に炭素源の添加を行い,外部添加濃度の違いが本プロセスの 窒素・リン除去率に及ぼす影響を調べ,適切な添加濃度を決定した。また本プロセスでは, リアクター内のリン蓄積細菌ならびに脱窒性リン蓄積細菌の優占化が必要であり,嫌気条件下 で,リン除去性能に悪影響を及ぼすことが確認されているグリコーゲン蓄積細菌(GAOs)が ほとんど出現しないことが望ましい。そこで,栄養塩除去を担う微生物群の群集構造を追跡し, 処理性能との関係について検討した
5.2 Material and methods
5.2.1 半回分式反応槽半回分式反応槽半回分式反応槽半回分式反応槽((((SBR))))ののの運転の運転運転運転 各系の運転時間を Figure 1 に示す。嫌気/好気/無酸素条件下で SBR(有効容積 2l)を 1サイクル 8 時間の1日 3 サイクルで運転した。水理学的滞留時間(HRT)は 16 時間,汚泥 滞留時間(SRT)は 20 日,水温は 25℃に制御した。原水として用いた模擬排水は 1l あたり 以下の物質を含むように調製した(Table 2 and 3)[11]。 Table 2 模擬排水組成 Substrate Concentration [mg/l] CH3COONa 307.4 (TOC: 90) KH2PO4 131.8 (PO4 3--P: 30) NH4Cl 76.4 or 152.8 (NH4 + -N: 20 or 40) MgSO4·7H2O 90 CaCl2·2H2O 14EDTA Small amount
Yeast Extract Small amount
Trace material (Table 6.3) Small amount 嫌気条件 (90 min) 排水 炭素源供給 汚泥沈降 (65min) 繰 り 返 し 排水流入 (15 min) 好気条件 (90 min) 無酸素条件 (195 min) 処理水排出 (65min) Figure 1 AOA プロセスの 1 サイクルの概略図
5.2.2 試験条件試験条件試験条件試験条件
A2O プロセスで稼動の下水処理場汚泥を初期汚泥とし,流入水の違いにより Run 1
(TOC/N: 4.5)および Run 2 (TOC/N: 2.2)の 2 系に分けた。また,SRT の 3 倍程度経過後,好気 初期条件の炭素源添加濃度を 0.0, 11.0, 22.5, 45.0 mg-TOC/l へ順次移行した(Phase 1, 2, 3, and 4)。2 系の運転条件を Table 4 に示す。
5.2.3 水質分析水質分析水質分析水質分析
リ ン 酸, ポリ リ ン酸 ,MLSS( mixed liquor suspended solid) MLVSS( mixed liquor volatile
suspended solids ) の 分 析 は , Standard Methods for the Examination of Water and Wastewater[12]に従った。アンモニアはカチオンカラム(CS, Dionex)を装備したイオンクロマト
Added TOC [mg-C/l]
Phase Period (Day)
Run 1 Run 2 1 0 – 42 0.0 0.0 2 43 – 85 11.0 11.0 3 86 – 128 22.5 22.5 4 129 – 190 45.0 45.0 Table 3 栄養液組成 Substrate Concentration [g/l] FeCl3·6H2O 1.5 H3BO3 0.15 CuSO4·5H2O 0.030 KI 0.18 MnCl2·4H2O 0.12 Na2MoO4·2H2O 0.06 ZnSO4·7H2O 0.12 CoCl2·6H2O 0.15 EDTA 10
グラフ(DX-120, Dionex)で測定した。硝酸および亜硝酸はアニオンカラム(IC-Anion-PW, 東ソー)と UV 検出器(UV-8011, 東ソー)を装備した液体クロマトグラフで測定した。全有機 炭素(TOC)は TOC アナライザー(TOC-5000, 島津製作所)によって測定した。
5.2.4 FISH(Fluorescence in situ hybridization)法法法法
FISH (Fluorescence in situ hybridization)法は Amann[13]らの方法に準拠して行った。リン
蓄積細菌(PAOs),グリコーゲン蓄積細菌(GAOs),アンモニア酸化細菌(AOB),亜硝酸酸化 細菌(NOB)に対応するプローブはそれぞれ PAOmix (PAO462, PAO651, PAO846)[14]
, GAOmix (GAOQ431, GAOQ989)[15], NSO190[16], Ntspa662[17]を試験に供した。また,全菌は EUBmix (EUB338, EUB338II, and EUB338III)による染色を行った。各プローブの詳細に ついては probeBase を参照した[18] 。ホルムアミド濃度は 35%,ハイブリダイゼーション温度 46℃, ハイブリダイゼーション時間 3 時間で行った。各サンプルを蛍光顕微鏡で観察し,それぞれ 10 視野を任意に選んで PAO,GAO,EUB プローブで光っている菌を直接カウントし,全菌あたりの PAO,GAO プローブ陽性菌の割合を算出した。存在比率は,(ターゲット菌)/(全菌)の割合を ダイレクトカウントにより算出した。上記プローブにて特定細菌をダイレクトカウント後,残りの 細菌の割合は従属栄養性細菌(heterotrophic bacteria: HB)とした。 5.2.5 リンリンリンリン取取取り取り込りり込込み込みみみ活性試験活性試験活性試験 活性試験 リン蓄積細菌に対する脱窒性リン蓄積細菌の割合の算出に,リン取り込み活性試験を行っ た。嫌気終了時のリアクターから,汚泥混合液 200ml づつ程度の密栓できるネジ付きビンに 移し,これを 2 系列用意する。その両方に 20 分間窒素ガス流入し,溶存酸素をパージする。 その後,1 系列は空気曝気を開始する。この操作によりビン内は好気条件へと移行する。もう 1 系列には硝酸ナトリウム水溶液を 20mg-N/l となるように添加することで,ビン内は無酸素条 件へ移行する。その後,各系列で 15 分ごとに汚泥混合液を採取し,好気条件および無酸素 条件のそれぞれの場合における初期リン取り込み量の傾きから,それぞれのリン取り込み速度 を算出した。 好気条件では酸素を利用するリン蓄積細菌と脱窒性リン蓄積細菌がリン取り込みを行うこと ができる。一方,無酸素条件では硝酸態窒素のみを利用できる脱窒性リン蓄積細菌がリン取り 込みを行うので,好気条件でのリン取り込み速度に対する無酸素条件のリン取り込み速度の 比率(リン取り込み活性比: Phosphate Uptake Rate, PUR)は,リン蓄積細菌に対する脱窒性リン 蓄積細菌の割合と考えることができる[18,19]
5.3 Results and discussion
5.3.1 有機物有機物有機物有機物・・・・窒素窒素・窒素窒素・・・リンリンリンリン除去率除去率除去率除去率 炭素源除去率は各系で全運転期間を通じて 95%以上を維持していた。Figures 2a, 2b に 窒素・リン除去率を示した。これらから,好気条件初期時の炭素源添加濃度が高くなるほど, 窒素・リン除去率が増加することが示された。AOA プロセスにおいて高い窒素・リン除去効率 を得るには好気条件初期時の炭素源添加を行う必要があると示唆された。Fig. 2a においてRun 1-Phase 1, Run 2-Phase 1, Run 2-Phase 2 の窒素除去率は 31.2 - 45.1%と低値であり,
そのフェーズでのリン除去率は広範囲にわたっていた。これはリン蓄積細菌ならびに脱窒性 リン蓄積細菌のリン除去活性が不安定になることで生じたと推測された。これらの結果から, 高い窒素・リン除去効率を得るために必要な好気条件初期時の適切な炭素源濃度の存在が 示唆された。その一方,Run 1-Phase 3, Run 1-Phase 4, Run 2-Phase 4 での窒素・リン除去率 は 90%以上を示した。リン除去を担う,リン蓄積細菌ならびに脱窒性リン蓄積細菌は汚泥中に 電子供与体(炭素源)と電子受容体(酸素や硝酸)が共存した場合,炭素源摂取のためにリン 放出を行う性質を持つことが報告されている[6]。この結果は,好気条件初期時の炭素源添加 は脱窒率と AOA プロセスのリアクター性能を向上させる働きがあると考えられる。 良好な窒素・リン除去率に到達した際の全必要 TOC 量を[要求 TOC/N 比]として, 以下のように定義した。 [要求 TOC/N] = [流入炭素源濃度+添加炭素源濃度] / [流入アンモニア濃度] 例えば,Run 1-Phase 3 の[要求 TOC/N]は,[45.0+22.5] / [10] = 6.75 となった。Run 1, Run 2 で 90%以上の除去率に到達する場合の[要求 TOC/N]は,それぞれ 6.75, 4.5 となった。 これらの結果から,栄養塩除去に必要な炭素源要求率は流入 TOC/N で異なることが分った。 また,本結果は好気条件の炭素源添加必要濃度は流入水のアンモニア濃度に依存する可能 性も示唆できた。なお,今回無酸素条件初期時への炭素源添加は考慮していないが,これに ついては,Soejima et al. [8] が,AOA リアクター性能の検討に,炭素源を好気条件初期時と 無酸素条件初期時へ添加し,前者が脱窒性リン蓄積細菌による窒素・リン同時除去を,後者 が従属栄養性脱窒をそれぞれ高めることを報告しているためである。
0
25
50
75
100
N
it
o
r
o
g
e
n
a
n
d
p
h
o
sp
h
o
r
u
s
r
e
m
o
v
a
l
e
ff
ic
ie
n
c
ie
s
[%
]
Addition of TOC [mg・
・・
・l
-1]
0.0
0.0
11.0
11.0
Addition of TOC [mg・
・・
・l
-1]
22.5
45.0
22.5
45.0
Run1 Run2 (a) (b)0
25
50
75
100
Run1 Run2 Figures 2 各試験期間の窒素・リン除去率: (a) 窒素,(b) リン5.3.2 1 サイクルサイクルサイクルサイクルののの水質変化の水質変化水質変化水質変化 各フェーズにおける典型的な水質プロファイルを Figures 3 a-c に示す。 90 180 270 360 20 40 60 80 100 0 C o n c en tr a ti o n [ m g ・・・・l -1 ] Time [min] TOC PO43--P NH4--N NOx--N 90 180 270 360 20 40 60 80 100 0 C o n c en tr a ti o n [ m g ・・・・l -1 ] Time [min] TOC PO43--P NH4 --N NOx--N 90 180 270 360 20 40 60 80 100 0 C o n c en tr a ti o n [ m g ・・・・l -1 ] Time [min] TOC PO43--P NH4 --N NOx--N Figures 3 a-c 各フェーズの 1 サイクルの水質挙動 Figure 3c Figure 3b Figure 3a
好気条件初期時に炭素源が添加されない Run 1-Phase 1 (Figure 3a)では,好気条件下で ほとんどのリンが取り込まれた結果,リン除去率は 96.2%を示した。これから,脱窒性リン蓄積 細菌による脱窒が起こらず,無酸素終了時に 5.8 mg/l の NOx-N が残存した結果,窒素除去率 は 41.3%となった。 また,ここでは僅かに脱窒が起こっているが,これは下記の理由が考えられる。 (i) 菌体の死滅に伴う有機物利用 (ii) PHB[21,22]等の細胞内貯蔵物質 (iii) 脱窒性グリコーゲン蓄積細菌(DNGAOs)[10]
一方,Figures 3b, 3c は流入 TN ベースがそれぞれ 20 mg/l(Run 1), 40 mg/l (Run 2)で, 好気条件初期時に TOC ベースで 45.0 mg/l 炭素源を添加したものである。好気条件初期時の 炭素源添加で好気条件終了時のリン残存が確認されたっことから,炭素源添加によるリン蓄積 細菌の好気的リン取り込みが阻害されていることが示された。また,流入 TN 濃度の違いにより, 好気条件終了時のリン残存量が Run 1: 5.6 mg/l, Run 2: 14.6 mg/l となったが,両者の好気条 件初期時の炭素源添加濃度が同一であるにもかかわらず,好気条件終了時のリン残存量が 変わっていた。これは流入アンモニア濃度の違いにより生じたる可能性が推測された。 つまり,単一槽型リアクターである AOA プロセスにおいて,好気条件下の酸素は従属栄養 性細菌(HB),リン蓄積細菌類(PAOs, DNPAOs),グリコーゲン蓄積細菌(GAOs),硝化細菌 (AOB, NOB)に消費される。酸素要求に対する半飽和定数は硝化細菌,従属栄養性細菌,リン 蓄積細菌でそれぞれ 0.5, 0.2, and 0.2 g-COD/m3であることから[23],好気条件初期時の酸素の 取り込みは,硝化細菌が従属栄養性細菌,リン蓄積細菌等より先に優先される可能性が示唆 される。これらから,単一槽型リアクターにおいて良好な窒素・リン除去を維持するためには, 流入条件に応じて適切な炭素源添加を考える必要がある。
5.3.3 微生物叢変化微生物叢変化微生物叢変化微生物叢変化
各フェーズのリン蓄積細菌(PAOs),グリコーゲン蓄積細菌(GAOs),硝化細菌(AOB,
NOB)微生物叢の占有率を FISH 法によるダイレクトカウントで算出した。なお,各 FISH 陽性 細菌の残りを従属栄養性細菌(HB)として算出している。Figures 4a, 4b に示した。
これから,AOA プロセスの稼動で,PAOs 占有率は,初期汚泥の 24.9%から 33.6%(Run
1-Phase 1),33.5%(Run 2-Phase 1)へとそれぞれ増加した。その一方 GAOs の占有率は,
初期汚泥の 15.5%から 6.1%(Run 1-Phase 1),6.1%(Run 2-Phase 1)へとそれぞれ減少した。 また,AOA プロセスの全試験を通して,PAOs は最低で 22.5%,GAOs は最高で 8.3%の占有 率であったことから,AOA プロセスは PAOs を優占させることが示唆された。このように AOA プロセスでは GAOs の占有率が少ないことから,DNGAOs が脱窒に関与する可能性は少ない と考えられた。
Run 1-Phase 3 から Run 1-Phase 4 への移行の際,PAOs の占有率が 31.2%から 22.5%へ
減少した一方で,GAOs の占有率が 5.5%から 8.0%へ増加した。またここでは,AOB の占有率 が 9.6%から 6.8%へ減少し,NOB の占有率は 0.6%から 1.0%へと僅かに増加していた。この ように,過剰な炭素源添加は AOA プロセス性能に必要な PAOs の占有率を減少させる一方で, プロセス性能に好ましくない HB, GAOs の占有率を増加させる危険性があることを示している。
HB NOB AOB GAO PAO HB NOB AOB GAO PAO Seed sludge Addition of TOC [mg・・・・l-1] 0.0 11.0 22.5 45.0 Seed sludge Addition of TOC [mg・・・・l-1] 0.0 11.0 22.5 45.0 50 0 100 75 25 50 0 100 75 25
Figures 4 a, b 各フェーズの微生物叢変化: (a) Run 1, (b) Run 2
Figures 4b Figures 4 a
5.3.4 リンリンリンリン取取取り取り込りり込込み込みみみ活性活性活性 活性
リン取り込み活性試験結果を Figure 5a, 5b に,DNPAOs 占有率と窒素・リン除去率の相関 を Figure 6a, 6b に示す。Fig. 5a から,Run 1 の好気条件的リン取り込み速度は Phase 3 (TOC: 22.5 mg/l)で有意に低下すると示唆された。また,このフェーズにおける無酸素条件的 リン取り込み速度が増加した結果,脱窒性リン蓄積細菌の占有率が高まった。しかしながら, Phase 4 (TOC: 45.0 mg/l)から,過剰な炭素源の添加は好気および無酸素条件的リン取り込 み速度に影響する可能性があり,それがリン蓄積細菌の占有率を減少させることが推測された。 それにも関わらず Phase 4 の窒素・リン除去率は 90%以上を示していることから,オペレーショ ンコストを考慮した場合,過剰な炭素源の添加濃度は不必要であると考えられた。一方,Run 2 での好気的リン取り込み速度の減少度合いは全体的に Run 1 より低値を示した。90%以上 の窒素・リン除去率を示したのは Phase 4 のみであった。取り込み阻害を起こすために必要な 最低添加濃度は Run 1: 22.5 mg/l,Run 2: 11.0 mg/l となった。 0 25 50
P
h
o
sp
h
a
te
u
p
ta
k
e
r
a
te
[
m
g
P
・・・・g
M
L
V
S
S
-1・・・・h
r
-1]
Addition of TOC [mg ・・・・l-1 ] Seed sludge Seed sludge 0.0 0.0 Addition of TOC [mg ・・・・l-1] 11.0 22.5 11.0 22.5P-uptake in aerobic phase
P-uptake in anoxic phase
(a) (b) 45.0 45.0 0 25 50
P-uptake in aerobic phase
P-uptake in anoxic phase
Figure 6b では,脱窒性リン蓄積細菌の占有率が 14.2%から 40.0%へと直線的に増加し Phase 4 では窒素・リン除去率が 90%以上に達した。これらの結果は,最適な炭素源添加は
脱窒性リン蓄積細菌の活性を増加させ,窒素・リン同時除去を達成することを示した。これらの 結果は,AOA プロセスで高効率なリン除去には高い脱窒性リン蓄積細菌の占有率が必要で あると考えられ,それは Run 1-Phase 3 と Run 2-Phase 4 が高い窒素・リン除去率を得たこと から確認できた。これらの結果は,脱窒性リン蓄積細菌と窒素・リン除去率に明らかな相関が 成立し,AOA プロセスにおける脱窒性リン蓄積細菌の重要性が明らかになった。 0 25 50 0 25 50 75 100 Addition of TOC [mg ・・・・l-1]
R
a
ti
o
o
f
p
h
o
sp
h
a
te
u
p
ta
k
e
r
a
te
[
%
]
0.0 0.0 Addition of TOC [mg ・・・・l-1] 11.0 22.5 11.0 22.5Ratio of phosphate uptake rate Nitrogen removal efficiency Phosphorus removal efficiency
(a) (b) 45.0 45.0
N
it
r
o
g
e
n
a
n
d
p
h
o
sp
h
o
r
u
s
r
e
m
o
v
a
l
e
ff
ic
ie
n
c
ie
s
[%
]
0 25 50 0 25 50 75 100Ratio of phosphate uptake rate Nitrogen removal efficiency Phosphorus removal efficiency
5.4 Conclusion
炭素源添加濃度の増加で,脱窒性リン蓄積細菌の占有率が増加傾向を示した。好気条件 初期時の炭素源をそれぞれ 22.5 mg/l 以上(Run 1)および 45.0 mg/l(Run 2)添加した場合に おいて 90%以上の有機物・窒素・リン除去率を示した。 また,AOA プロセスで良好な有機物・窒素・リン除去率を達成するために必要な好気初期 時の添加炭素源濃度は,流入 TOC/N 比に依存した。 これらの結果から,本プロセスでの良好な栄養塩除去率の維持には,流入水の TOC/N 比 に応じて好気条件初期時の炭素源添加濃度を変化させ,リアクター内の脱窒性リン蓄積細菌 を優占させる制御手法が必要であると示唆できた。References
[1] Kuba T, van Loosdrecht MCM, Brandse FA, Heijnen JJ (1997) Occurrence of denitrifying phosphorus removing bacteria in modified UCT-type wastewater treatment plants, Water Res. 31:777-786.
[2] Murnleitner E, Kuba T, van Loosdrecht MCM, Heijnen JJ (1997) An integrated metabolic model for the aerobic and denitrifying biological phosphorus removal, Biotechnol. Bioeng. 54:434-450.
[3] Ahn J, Daidou T, Tsuneda S, Hirata A (2002) Transformation of phosphorus and relevant intracellular compounds by a phosphorus accumulating enrichment culture in the presence of both the electron acceptor and electron donor. Biotechnol Bioeng 44:83-93.
[4] Mino T, van Loosdrecht MCM, Heijnen JJ (1998) Microbiology and biochemistry of the enhanced biological phosphate removal process, Water Res. 32:3193-3207.
[5] Kuba T, Murnleitner E, van Loosdrecht MCM, Heijnen JJ (1996) A metabolic model for biological phosphorus removal by denitrifying organisms, Biotechnol. Bioeng. 52:685-695. [6] Ahn J, Daidou T, Tsuneda S, Hirata A (2002) Characterization of denitrifying
phoaphate-accumulating organisms cultivated under different electron acceptor conditions using polymerase chain reaction-denaturing gradient gel electrophoresis assay, Water Res. 36:403-412.
[7] Tsuneda S, Ohno T, Soejima K, Hirata A (2006) Simultaneous nitrogen and phosphorus removal using denitrifying phosphate-accumulating organisms in a sequencing batch reactor, Biochem. Eng. J. 27:191-196.
[8] Soejima K, Oki K, Terada A, Tsuneda S, Hirata A (2006) Effects of acetate and nitrite addition on fraction of denitrifying phosphate-accumulating organisms and nutrient removal efficiency in anaerobic/aerobic/anoxic process, Bioprocess. Biosyst. Eng. 29:305-313.
[9] Ahn J, Daidou T, Tsuneda S, Hirata A (2002) Transformation of phosphorus and relevant intracellular compounds by a phosphorus-accumulating enrichment culture in the presence of both the electron acceptor and electron donor, Biotechnol. Bioeng. 79:83-93.
[10] Zeng RJ, Yuan Z, Keller J (2003) Enrichment of denitrifying glycogen-accumulating organisms in anaerobic/anoxic activated sludge system, Biotechnol. Bioeng. 81:397-404.
[11] Smolders GJF, van der Meij J, van Loosdrecht MCM, Heijnen JJ (1994) Stoichiometric model of the aerobic metabolism of the biological phosphorus removal process, Biotechnol. Bioeng. 44:837-848.
[12] APHA, AWWA and WEF (1992) Standard methods for the examination of water and wastewater, 18th ed., Washington, DC, USA.
[13] Amann RI (1995) In situ identification of microorganisms by whole cell hybridization with rRNA-targeted nucleic acid probes, In: A.D.C Akkermans, J.D. van Elsas, F.J. de Brujin, editors. Molecular Microbial Ecology Manual, Dordrecht, The Netherlsnds. Kluwer Academic Publisher pp.1-15.
[14] Crocetti GR, Hugenholtz P, Bond PL, Schuler A, Keller J, Jenkins D, Blackall LL (2000) Identification of polyphosphate-accumulating organisms and design of 16S rRNA-directed probes for their detection and quantitation, Appl. Environ. Microbiol. 66:1175-1182.
[15] Crocetti GR, Banfield JF, Keller J, Bond PL, Blackall LL (2002) Glycogen- accumulating organisms in laboratory-scale and full-scale wastewater treatment processes, Microbiology 148:3353-3364.
[16] Mobarry BK, Wagner M, Urbain V, Rittmann BE (1996) D.A. Stahl, Phylogenetic probes for analyzing abundance and spatial organization of nitrifying bacteria, Appl. Environ. Microbiol. 62:2156-2162.
[17] Daims H, Nielsen JL, Nielsen PH, Schleifer KH, Wagner M (2001) In situ characterization of Nitrospira-like nitrite oxidizing bacteria active in wastewater treatment plants. Appl. Environ. Microbiol. 67:5273-5284.
[18] Loy A, Horn M, Wagner M (2003) probeBase: an online resource for rRNA-targeted oligonucleotide probes, Nucleic Acids Res. 31:514-516.
[19] Wachtmeister A, Kuba T, van Loosdrecht MCM, Heijnen JJ (1997) A sludge characterization assay for aerobic and denitrifying phosphorus removing sludge, Water Res. 31: 471-478.
[20] Meinhold J, Carlos DMF, Daigger GT, Isaacs S (1999) Characterization of the denitrifying fraction of phosphate accumulating organisms in biological phosphate removal, Water Sci. Technol. 39:31-42.
[21] Third KA, Burnett N, Cord-Ruwisch R (2003) Simultaneous nitrification and denitrification using stored substrate (PHB) as the electron donor in an SBR, Biotechnol. Bioeng. 83:703-720.
[22] van Loosdrecht MCM, Pot MA, Heijnen JJ (1997) Importance of bacterial storage polymers in bioprocesses, Water Sci. Technol. 35:41-47.
[23] Henze M, Gujer W, Mino T, Matsuo T, Wentzel MC, Marais GVR, van Loosdrecht MCM, (1999) Activated Sludge Model No.2d, ASM2d, Water Sci. Technol. 39:165-182.