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正負の数:負の数の必要性
H22.数学学習指導設計Ⅰ
J1 渡会亮介 川畑翔史 川添秀基
藤田綾 森陽平
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もくじ
1.単元設定の理由 p.3
2.教科書比較
2.1各出版社の導入の流れと問題 p.4-p.9
2.2考察 p.10
3.数学史
3.1負の数の起源 p.11-p.12 3.2負の数の認識 p.12-p.13
4.問題作成
4.1問題開発以前の指導案 p.14-p.17
4.2問題開発の過程 p.18-p.22
5.指導案作成
5.1問題案 p.23 5.2指導案作成 p.24-p.27 6.感想 p.28-p.29
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1.単元の設定理由
中学校第一学年 正負の数の加法・減法
小学校までは、数直線は0から始まり右側に伸びており、0より小さい数はないものとして 学習してきているので、中学校で初めて扱うものである「負の数」について抵抗がある生 徒が多いと考えられる。しかし今までできなかった足し算、引き算が、「負の数」を使って も今までの足し算、引き算と同じように演算ができるということを、授業を通して分かっ てほしいと考えたから。
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2.教科書比較
2.1各出版社の導入の流れと問題
(1)啓林館:未来へ広がる数学1
<導入の流れ>
0℃より低い地域の温度を温度計で表し、まず、「-」の読みを教えて、-6℃を0℃より 6℃低い温度として扱う。ここで、0より小さい数を負の数と認識させる。
次に、数直線を左側にも拡張し数直線上の点を答えさせたり、生徒に点を打たせたりして 負の数の理解を深める。
また、「+」、「-」の符号を変えた数は、数直線上で0について反対側にあって、0からの 距離が等しくなっていることをふまえ、数直線上で、0からある数までの距離をその数の 絶対値とし、正の数・負の数の計算の単元に入る。
<問題>
[導入]
次の温度を、-をつけて表しなさい。
(1) 0℃より3℃低い温度
(2) 0℃より2.5℃低い温度
正の数、負の数を使って次のことを表しなさい。
ここでは、[ ]内に示した方を正の数で表すものとします。
(1) 400m南、250m北 [北]
(2) 8秒前、6秒後 [後]
[正の数・負の数をたすこと、ひくこと]
温度が、2℃から5℃上がると何℃になるでしょうか?また、-7℃から5℃上がると何℃
になるでしょうか?
2+5は、2より5大きい数とし数直線で下のようにする。
5大きい
0 2+5=7
2 7
負の数に正の数を足すことも、同じように考えて、(-7)+5は、-7より5大きい数を 求める数直線で下のようにする。
5大きい
(-7)+5=-2 -7 -2 0
5 (2)東京書籍 新しい数学
<導入の流れ>
最初に0より大きい数にはプラスをつけて、0より小さい数にはマイナスをつけて+、-
をそれぞれ正の符号、負の符号という。そのあとに正の符号がついた数を正の数、負の符 号のついた数を負の数と認識させる。
負の数を含めた数について数直線を作って、数直線上で0が対応している点を原点といい、
数直線の右の方向を正の方向、左の方向を負の方向として、右にある数ほど大きく、左に ある数ほど小さいとしている。さらにそこから数の大小を数直線上で点で記したり、不等 号で大小を比較させることで負の数の理解を深めようとしている。
それから、原点からの距離を絶対値として説明し、主に数直線を使い加法、減法の説明へ と進んでいく。
<問題>
+、-の符号を使って、次の温度を表しなさい。
① 0℃より5.5℃低い温度
② 0℃より8℃高い温度
海面の高さを基準の0mとし、高さが海面より高いことを+で表すことにすると、次の高 さを+、-の符号を使って表しなさい。
① 野辺山駅 標高1345.67m
② 吉岡海底駅 海面下145m
6 (3)大日本図書
<導入の流れ>
温度計を用いて、0℃より高い温度と0℃より低い温度に注目して、区別するため0℃よ り6℃低い温度を記号にすると「-6℃」と表し、読み方を教え、0℃より6℃高い温度 を「+6℃」と表し読み方を教える。また、水位計も用いてマイナスを表現している。
次に、「上がる」に対して「下がる」のように反対向きの性質を持った数量の表し方を数直 線で表現する。そして、反対向きの性質を持った数量を表すための数を考えて、数の範囲 を広げ、ここで、[負の数]を導入する。
最後に、正の数・負の数の大小について調べ、そのことから数直線上である点をとったと き、原点からその点までの距離を絶対値というと学習する。そして加法減法に入る。
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<問題>
次の温度を+、-を使って表しなさい。
(1)0℃より3℃低い温度
(2)0℃より7℃高い温度
たし算(-3)+(-2)を、図を使って行いなさい -2 -3
-5 -3 0
引き算(+5)-(+2)を、数直線を使って考えよう
[1] □+(+2)=+5となる□を、数直線を使って求めなさい。
□ +2 +5
0 +3 +5
[2]+2の矢印の向きを変えると、どんな式で表せますか -2
□ +5
(+5)+(○)=□
0 +3 +5
[3][1]、[2]から気づいたことをいいなさい。
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(4)教育出版:数学1
<導入の流れ>
0℃より高い温度を+6℃と表し、プラス6℃と読み、0℃より低い温度を-2℃と表 し、マイナス2℃と読む。+、-をそれぞれ正の符号、負の符号とする。それから移動や 変化を、正の符号、負の符号を使って表す。
それから、0より大きい数を正の数、0より小さい数を負の数ということにする。このと き、0は正の数でも負の数でもない数としている。
次に正の数、負の数を数直線上に表し、数0に対応しているものを原点、数直線の右の 方向を正の方向、左の方向を負の方向としている。数を数直線上に点で表す問題から、数 の大小につなげていき不等号で表すようにしている。さらに原点からの距離をその数の絶 対値として説明し、加法減法へとつなげている。
<問題>
次の温度を、正の符号、負の符号を使って表しなさい。
(1) 0℃を基準にして、それより5℃低い温度
(2) 0℃を基準にして、それより18℃高い温度
(1) 今を基準にして、今から15分前を-15分と表すと、いまから10分後はどう表 すことができるか。
(2) テストで目標にした点数を基準にして、それより8点高い点数を+8点と表すと、
-5点はどんなことを表しています。
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(5)学校図書:中学校数学1
<導入の流れ>
温度計を用いて、0℃より2℃低い温度のことを、-を使って-2℃書き、読み方を教え る。また、標高において、マイナスを使い表現している。東・西や利益・損失などの反対 向きの性質を持った数量を表すための数を考える。そして、0よりも大きい数を正の数、
0より小さい数を負の数であることを教える。
その次に数直線を使って数の大小を考える。そして、数直線上である点をとったとき、原 点からその点までの距離を絶対値というと学習する。それから、加法減法に入る。
<問題>
次の温度を、正、負の数を使って表しなさい。
(1)0℃より3℃低い温度
(2)0℃より4℃高い温度
加法・減法の単元でカードを使いすごろくを使っていた
-6から6までのカード13枚を裏返しにして順番にカードを取っていき出た数だけ移動 する。コマが先にゴールしたほうの勝ちとする。
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2.2考察
どの教科書も最初の導入の問題では温度計の温度を用いた問題を使っていた。0℃より高い 温度に+をつけて、0℃より低い温度には-をつけて、プラス2℃、マイナス3℃などとい うようにしている。また+を正の符号、-を負の符号というところは、どの教科書の導入 問題でも一緒であった。そのあと0より大きい数を正の数、0より小さい数を負の数とい うところや、正の符号がついた数を正の数、負の符号がついた数を負の数とするところに 多尐の違いが見られたが、数の表記の仕方を教えてから数を数直線上に表し、数の大小、
絶対値の説明につなげる順番は大体同じであった。
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3.数学史
3.1負の数の起源
―負の数の歴史―
→負の数は、存在自体はかなり前から認識されていたのだが、負根を使って計算し、負 数と具体的数量との関係をつけ、かつこれを実用上に利用できることが証明されたのは、
かなり近年のことである。
―負の数の起源―
中国の『九章算術』には図の面積を求める方法が含まれている。赤い算木で正の係数を、
黒い算木で負の係数を示し、負の数がかかわる連立方程式を解くことができた。紀元後7 世紀ごろに書かれた古代インドの『バクシャーリー写本』[1]は“+“を負符号として使い、負 の数による計算を行っていた。これらが現在知られている最古の負の数の使用である。
プトレマイオス朝エジプトではディオファントスが3世紀に『算術』で 4x + 20 = 0 (解 は負となる)と等価な方程式に言及し、この方程式はばかげていると言っており、古代地 中海世界に負の数の概念がなかったことを示している。
(http://ja.losts.net/%E6%AD%A3%E3%81%AE%E6%95%B0%E3%81%A8%E8%B2%
A0%E3%81%AE%E6%95%B0 参照)
→7世紀の間に負の数はインドで負債を表すために使われていた。インドの数学者ブラ ーマグプタは「ブラーフマスプタ・シッダーンタ」において、今日も使われている一般化 された形式の解の公式を作るために、負の数を使うことについて論じている。彼は二次方 程式の負の解を発見し、負の数と零がかかわる演算に関する規則も与えている。彼は正の 数を「財産」、零を「0(cipher)」、負の数を「借金」と呼んだ。
12世紀のインドで、バースカラ2世も二次方程式に負の根を与えていたが、問題の文脈で は不適切のものとして負の根を拒絶している。
( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E3%81%AE%E6%95%B0%E3%81%A8%
E8%B2%A0%E3%81%AE%E6%95%B0参照)
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―負の数を実用化する上での問題―
→数直線上の対称
<平方>
(2)2=4 というように、
(正の数)2=(正の数)
であるのだが、ゼロの左側の数の平方はゼロの左側になるわけではない。たとえば、
(-2)2=4
となってしまう。そこで、「この不均衡は負の数に正の平方を施すからおこるのだ」と考え たのだが、負の平方を考えると、
(-2)-2=1
4
であり、同様に
(2)-2=1
4
となり、やはり負の結果を得ることはできないのだ。
3.2負の数の認識
デカルトによって直行座標が作られ、負量の完全な解釈と作図またその統計的な用法が 考えられたのが、負数が認められる第一歩であると考えられる。
「どうして数の概念をひろげて負の数を含めることがそれほど困難なことだったのか」
・シュティフェルは負の数のことを‘無いものよりも小なる数’や、0以上の数真実の数が 0から引かれるときにおこる‘不条理数’といった。
このことからもわかるように、数学者たちが‘無意味の数’ではないと気付くまでに300 年もの時間がかかったのは負の数の視覚的または幾何学的表示を思いつくまでは負数は
‘不条理な数’または‘仮想的な数’として映ったためであると考えられる。
(カジョリ初等数学史 下 小倉金之助翻訳 p166-171)
デカルトの直交座標によって負の数が可視化されたことにより、量がなく、実際に見るこ とのできないという大きな問題を越えて、負の数が多くの数学者にも数として認められ るようになったのだと考えられる。
また西洋における、基点(原点)を定め、直線上の点を数と考えるという数概念を導入し たのはオイラー(1707-1783)であると言われている。
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大きさ、たとえば長さ、を対象とする限り、負数の説明は明快さを欠かざるを得ない(負 の長さは存在しないからである)。負数まで込めた数を説明するためには、基準点(原点)
を定めて、それに対する位置を数として把握しなければならない。簡単に言えば、「逆向 きの大きさ」は原点(不動の基点)を定めなければ、登場できないのである。
一方、オイラーはまた負まで含めた座標軸を導入したことで知られている。『代数学入 門』よりは前に出版された『無限解析入門』(1748)の冒頭には次のように数直線が説明 されている:
直線 ℓ の一部分APが定量を表す。(中略)直線 ℓ はAの双方向に限りなく伸びている ので正負の数が表現できる。
おそらくは、これが座標を説明した最初の文献であろう。同時に、数直線を明確に説明 した最初の文献ということにもなる。ここでは数というものが先験的に既知のものとされ ているが、むしろ負数というものを座標によって説明したほうが「数学を基礎から説明す る」というオイラーの抱負に沿ったのではないだろうか。
(http://www.adachi.sci.waseda.ac.jp/bookWriting.html参照)
とあるようにデカルトの直交座標が認められてから、オイラーなどの多くの数学者が負の 数を研究し、徐々に負の数が認められるようになった。
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4.問題開発
4.1問題開発以前の指導案
数学的活動 支援
<導入>
T:今まで習った計算方法はなにがあったか な?
S:足し算・引き算・掛け算・割り算
T:そのなかで割り算をいつでも計算できる ようにするために分数や小数をならったね。
T:じゃあ他に常には計算することができな いのはどれだろう?
S:引き算
T:そうです。今日の授業で、いままで常に はできなかった引き算をいつでもできるよ うにしていきましょう。
<活動A>
今までできなかった引き算の具体例をノー トに3つあげてみよう。
(例があがったら生徒を何人かあてて、黒板 にその具体例を書いてもらう。)
(ex) 2-5 6-7 5-10
T:では、今回は例にあがった 6-7 をつか
っていきます。
○もし適当な例があがらなかった場合は、こ ちらで計算できない仲間として具体的な例 をあげる。
15 T:今まで習ったやり方で
6-□ = ○
この式について、できる計算を全てノートに 書いてみよう。また気付いたことを書こう。
6-0 = 6 6-1 = 5 6-2 = 4 6-3 = 3 6-4 = 2 6-5 = 1 6-6 = 0
○減数は一ずつ増えている
○答えは一つずつ減っている
6-0 = 6 6-1 = 5 ↓
6-7 =□
6-8 =□
6-9 =□
6-10 =□
T:同じ1ずつ減っているからどんな数を準 備したらいいだろう?
S:0より1小さい数
T:では、引く数が8になったら?
S:0より2小さい数
T:そうですね。じゃあその新しい数に名前 をつけて表すことにします。
どんな名前が分かりやすいですか?
S:△1 △2 …
T:ではこれからそう呼ぶことにしましょう。
計算の減数の大きさをばらばらに書いてい る生徒には「引く数を小さい順に並べてみよ う」と助言する。
答えと減数の数の増え方と減り方の規則性 にいついて気付いている生徒に前で説明す るよう言う。
16 T:じゃあ新しい数ができたので、さっきノ ートに書いた計算を表せるよね。やってみよ う。
T:じゃあこれを数直線に直してみようか。
0 1 2 3 4 5…
…△4 △3 △2 △1 0 1 2 3 4 5…
…△4 △3 △2 △1 0 1 2 3 4 5…
<活動B>
数直線上での計算
(まず数直線上での計算を復習する。)
足し算 6+1=7
T:△1、△2…は数直線のどこに 表せるかな?
S:左側
T:目盛りの大きさは どうなっているかな?
S:同じ幅になっている
T:新しい数直線が作れましたね。
△1,△2…はどこに表せるかな?
メモリの大きさはどうなるかな?
6 1
7
17 引き算
7-6=1
今までできなかった引き算 6-7=□
今は6-7の計算をしたから6-8、6-9 というように引く数を増やしていってそれ
を数直線上で計算してみよう。 T::これで今までできなかった小さいものか ら大きいものをひく引き算ができるように なり、引き算が常にできるようになりまし た。
この指導案には生徒が問題視し、
解決の必要性を感じるような問題提示がなされていない。
問題を開発する必要がある。
7
6 1
6 1
7
18
4.2問題開発の過程
マイナス2℃とは?
⇒0℃より2℃低い温度
このことから0が一番小さい数ではない、0より小さい数があることに気づかせる。
次に数式にしてみる。
0℃より2℃低い。
⇒0-2=-2
分からなかったら違う減法の式で補足する。
10℃より3℃低い温度は7℃
⇒10-3=7
または数直線を使って説明する。数直線で説明したら 0 が正と負の基準になることが分か りやすいと思う。
□0 より 2℃低い温度が-2℃ということがわかったとしても、そのことを覚えただけにな
ってしまうのでは?
□「負の数」を正の数と同じように演算ができる「数」として認めたことにはならないの ではないか?
この問題については、負の数がでてくるということがわかっても、それを演算に結びつ けることができない。また、生徒自身が考えるような問題にしなければ生徒の本当の意 味での理解は得られない。
問題1.
-2℃について考えてみる。―2℃とはどのような温度か?
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ここで、「小さい数から大きい数を引くことはできないのでは?」と、生徒はそういうだろ う。そこで、具体的に
みかんを3個持っていて、友達2人にひとつずつあげたら残りはひとつで 3-2=1となる。では3-4でそれを考えるとどうなるか?
みかんは3個しか持っていないのに友達が4人いたら、3人にしか渡せない。
手元にはもう0個なのにもう一人にもあげようとしている。
これを式にしてみると、
3-4=3-3-1=0-1
□これではマイナスが出てきたのではなく、「ひく1」が残っただけになってしまう。
なので、このことから負の数を導入するのは不可能である。
ここで具体例を用いたときと同じように「3から4を引いた数」という認識にとどまって しまうのを防ぐために、5-6 や 2-3などでも同じ結果が得られることを示し、数 直線で説明する。
□扱う数字を変えたところで得られる結果は変わらないと考えられる。
このことから、マイナスを今までの数と同じように計算する(演算可能性)には、0から 1までの距離と0から-1までの距離が等しいことを示さなければならないのではないか?
これを示す上で、「絶対値」という概念が必要になってくるのではないのか?
⇒負の数を数直線上で扱うのならば絶対値の考え方は必要不可欠である。
最終的にみかんが手元に1個残っている場合はいいのだが、-1個残っているという のはどのように説明するつもりなのか?これは問題の設定がおかしい。そもそも-(マ イナス)とは人間が便宜上に考え出したものであり、自然界に-1というものが転がっ ているのかと考えたらわかりやすいであろう。
問題2.
3-2=1 3-3=0 では3-4は?
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→○に入る数を1ずつ減らしてゆけばよい。
では上の問題で△の数を1から10まで増やしていくとどうなるのか?
→7+0=7までは計算ができるけど、そこからの計算ができない。
□ここまでは○の数をひとつずつ減らしてゆけばよいことが上記の問題でわかったので、
0よりも1小さい数があれば計算ができるようになる。
→では、ここで0より1小さい数を適当に名前をつけて作ってみよう。
→(0より1小さい数)例えば△1
ここで生徒に今まで学習した数直線を書いてもらい、0 より左側に 0 より小さい△1、△2 と一つずつ書いていってもらい、気づいたことを発表してもらう。
→0から1までと、0から△1までの距離は同じ。
では、ここで7-8の計算を数直線上でやってみよう!
△+○=7で計算途中の○のにあたる数が負の数となるより、計算の結果が負の数にな るような問題のほうが計算で負の数が必要となることがわかりやすいと考えた。
それに加えて、生徒が負の数を必要とするような問題提示がなされていない。
問題がないと、生徒は問題解決をとおして負の数の必要性に気づくことはできない。
問題3.
△+○=7という問題を考えてみる。ここで△の数を1から7まで1ずつふ やしていき、その和が7となるにはどのようにしたらよいのか?
21
10+5-14 = 15-14 = 1
→この様に結合法則を用いて、大-小の形に直して解くと思われる。
・数が並んでいる順序どおりにはどうして解けないのか?
→小さい数から大きい数は引けないから
・今まで計算できなかったものはどんなものだろうか?
→(例)2-5、6-7、5-10など
例に挙がった6-7について考えてみる。
ここで、6-○=△で○と△にあてはまるものをすべてノートに書き記してみる。また書 いてみて気づいたことは?
6-0 = 6 6-1 = 5 6-2 = 4 6-3 = 3 6-4 = 2 6-5 = 1 6-6 = 0
→減数は一ずつ増え、答えは一つずつ減っている。
気づいた生徒がいれば発表してもらう。
6-0 = 6 6-1 = 5 ↓
6-7 =□
6-8 =□
→6-7の計算をするためには0よ1小さい数を準備すればよいということになる。
・新しい数(0より小さい数)に名前をつけてもらう。
→よって、計算できなかったものが以下のようにあらわすことができることがわかる。
6-7 =△1 6-8 =△2
問題4.
10-14+5 この計算を解け。
22 ここで、数直線を用いて表す。
・△1、△2…は数直線のどこに表せるか?
→0の左側
・0から1までと0から-1までの目盛りの大きさはどうなっているかな?
→同じ幅になっている
これで新しい数直線ができ、数直線での計算ができる。
問題があり、それを教師がすべて説明するのではなく問題を考える上で生徒自身が自分 で新しい考え方を用いなければならないような問題を作らないと授業にならない。
問題の順序に従って式をたてると、このような計算が出てきてしまうような問題場面 を考え、それを問題とすべき。
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5.指導案作成
5.1問題案
問題場面を考えていくうちにこの二つの問題を考えつきこれについての指導案をそれぞれ 考えて作成した。
<問題案1>
計算式を書いてある通りに式に直すと…
5-7+3 = 1
という式になる。
答えは1℃であるが、計算の途中にできないはずの小-大の計算が含まれている。
<問題案2>
計算式を書いてある通りに式に直すと…
3-5+10 = 8
という式になる。
答えは8キロであるが、<問題案1>と同様に、計算の途中にできないはずの小-大の計 算が含まれている。
このことから今までできなかった小-大の問題について生徒に解決させ、引き算を常にで きるようにしようということを目標とする。
今回は<問題案1>を用いた指導案を作成した。
お昼の気温が5℃ありました。
夜になると昼より7℃下がりました。
でも朝になると夜より3℃上がりました。
さて、朝の気温は何度でしょう?
家からおじいさんの家までは西に2キロ進んだところにあります。
今、家の東にある病院に行こうと思って東に3キロ進んだところ で、
おじいさんの家に用事を思い出して5キロ西に引き返しました。
そして、おじいさんの家から東へ10キロ進んで病院に着きました。
家から病院までの距離は何キロでしょう?
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5.2指導案作成
数学的活動 支援
<問題提示>
<導入>
T:今まで習った計算方法はなにがあったか な?
S:足し算・引き算・掛け算・割り算
T:そのなかで割り算をいつでも計算できる ようにするために分数や小数をならったね。
T:じゃあ他に常には計算することができな いのはどれだろう?
S:引き算
T:そうです。今日の授業で、いままで常に はできなかった引き算をいつでもできるよ うにしていきましょう。
<活動A>
この日の気温が変化した通りに式を立てる とどのような式になるか書いてみよう。
5-7+3 = 1
順序どおりに式を立てるとどうしても途中 で小-大の計算がでてきてしまう。
↓↓
気温の変化のみに焦点をあてて考えると、途 中の夜の気温を考えずに1℃という答と導く ことができてしまう。
↓↓支援
夜の気温は何度になるでしょう?
順を追って考えてみましょう。
というような発問が必要となると考えられ る。
T:数が並んでいる順序どおりにはどうして 解けないのでしょうか。
S:小さい数から大きい数は引けないから お昼の気温が5℃ありました。
夜になると昼より7℃下がりました。
でも朝になると夜より3℃上がりました。
さて、朝の気温は何度でしょう?
25 今までできなかった引き算の具体例をノー トに3つあげてみよう。
(例があがったら生徒を何人かあてて、黒板 にその具体例を書いてもらう。)
(ex) 2-5 6-7 5-10
T:では、今回は例にあがった 6-7 をつか
っていきます。
T:今まで習ったやり方で
6-□ = ○
この式について、できる計算を全てノートに 書いてみよう。また気付いたことを書こう。
6-0 = 6 6-1 = 5 6-2 = 4 6-3 = 3 6-4 = 2 6-5 = 1 6-6 = 0
○減数は一ずつ増えている
○答えは一つずつ減っている
6-0 = 6 6-1 = 5 ↓
6-7 =□
6-8 =□
6-9 =□
6-10 =□
○計算の減数の大きさをばらばらに書いて いる生徒には「引く数を小さい順に並べてみ よう」と助言する。
○答えと減数の数の増え方と減り方の規則 性にいついて気付いている生徒に前で説明 するよう言う。
26 T:同じ1ずつ減っているからどんな数を準 備したらいいだろう?
S:0より1小さい数
T:では、引く数が8になったら?
S:0より2小さい数
T:そうですね。じゃあその新しい数に名前 をつけて表すことにします。
どんな名前が分かりやすいですか?
S:△1 △2 …
T:ではこれからそう呼ぶことにしましょう。
T:じゃあ新しい数ができたので、さっきノ ートに書いた計算を表せるよね。やってみよ う。
T:じゃあこれを数直線に直してみようか。
0 1 2 3 4 5…
…△4 △3 △2 △1 0 1 2 3 4 5…
…△4 △3 △2 △1 0 1 2 3 4 5…
○はじめに、0の左側がない数直線を用意し、
黒板にそれを板書する。
↓
まず生徒に自分のノートで点を打ってみさ せる。
○生徒に問いかける。
T:△1、△2…は数直線のどこに 表せるかな?
S:左側
○生徒に問いかける。
T:目盛りの大きさは どうなっているかな?
△1,△2…はどこに表せるかな?
メモリの大きさはどうなるかな?
27
<活動B>
数直線上での計算
(まず数直線上での計算を復習する。)
足し算 6+1=7
引き算 7-6=1
今までできなかった引き算 6-7=□
今は6-7の計算をしたから6-8、6-9 というように引く数を増やしていってそれ を数直線上で計算してみよう。
S:同じ幅になっている
T:新しい数直線が作れましたね。
T::これで今までできなかった小さいものか ら大きいものをひく引き算ができるように
6 1
7
7
6 1
6 1
7
28
なり、引き算が常にできるようになりまし た。
29 6.感想
今まで実際に問題をつくって授業の計画を立てたことがなかったので、自分の好きな問 題を考えて授業をつくれるんだし、楽しそうだなと思っていました。しかし、今回の指導 設計で指導案や数学史を調べていくにつれて、自分には一つの授業をつくれるだけの授業 に関する知識も、負の数に対する理解もないんだな実感しました。
自分達が分かりやすいと思っても、生徒が自分で疑問に思って解決に至らないとただ覚 えただけになってしまい、負の数の必要性なんて感じられないということをいろいろな人 の指摘から知ることができました。
この授業を通して、知識がなければいいアイディアも本当に分かりやすい授業もできな いということがわかったので、これから自分一人でも生徒の理解を助けるような指導案が 作れるようにたくさん勉強していきたいです。
藤田綾
今回の指導設計で半年かけて指導案を作ってきましたが、こんなに大変なものだとは正 直思っていなかったです。生徒たちに数学を教えるということがどれだけ大変なものかを 改めて感じました。
指導案を作るのを進めるうちに、数学史を調べたり問題を考えることを通して、自分は 数学についてまだまだ勉強不足だということを痛感しました。また授業を作るにおいて、
先生がただ知識を教えるだけでは全く授業の意味がなく、生徒たちが活動を通して疑問に 思い、解決するような支援、授業をしていかないと負の数の必要性を分かってもらえるこ とができないことが授業を通して分かり、そのことを考慮して授業を作るのがとても大変 でした。しかし指導案を作っていくにつれて活動や支援、問題の大切さにも学ぶことがで きました。
今回の指導案作りを通して、自分が本当に数学を理解してないと生徒たちに分かりやす い授業が作れないことを実感しました。この授業の経験を生かしてよりよい指導案が作れ るように数学を知っていこうと思いました。
渡会亮介
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今回授業で指導案を作るにあたって、前期の授業で一回指導案を作っていたので、また 学習指導要領に基づいてつくればいいのかと軽い気持ちでいたのだが、実際やってみて一 つの授業を作るのにここまで大変なのかと驚いた。授業を作るためには、内容の理解を生 徒の何倍も分かっていないといけないし、授業では「ここがこうなるんだよ!」というよ うに教師が生徒に知識を押し付けるのではなくて、生徒自身に考えさせなければならない ので本当に難しかった。これを振り返ってみると、今まで自分自身がいい授業にあまり出 会ってこなかったのかなとも感じた。また今まで私が習ってきたものが授業なんだという 概念があり、それからなかなか抜け出せないせいで先生から何度も指摘を受けてきた。
これからもっともっと数学について研鑚を積み、ひとりで授業を作り上げられるように なりたいと感じました。
川添秀基
今までなぜ負の数が生まれたのか?また、負の数の必要性について深く考えずに当たり 前のように負の数を使っていたのは、大きな間違いでした。やはり、そういう意味で今ま での学習概念を壊さないといけないと感じました。
また、今回初めて指導案も書いてとても苦労しました。今回はグループで作成しました が、これを1人でやるとなると想像がつきません。先生たちが授業に臨むにあたって、こ んなにすることがあるとは思いませんでした。良い授業をする先生の中には、準備の段階 からしっかりしている先生のことであるとつうかんしました。
この講義を受けて吸収することが、たくさんありました。数学に対する興味もさらにわ き、数学の教師になりたいという気持ちも強くなりました。自分が教師になった際には、
学んだことを生かしていきたいです。
川畑 翔史