防災科学技術総合研究報告
第3i号 1973
614,841:550,346:ア11
市街地模型による延焼性状に関する実験的研究
高原栄重・関根孝
建設省建築研究所
Experimental Research ◎n the Spread of the Fire
ByH.Takahara and T.Sekine
Bω〃山仰8Rεsεαcん加sf〃ωε,〃加js〃ツol Coηs〃ωc oπ,τoκツo
Abstract
The present studyis a part of11Studies on Disa.ster Prevention in Cities at the Time of Great Earthquake11・In the present paper so叫e characteristics of the spread of the fire obtained by experiments with mode1s are reported.
The characteristics of the fire in dense1y popu1ated areas were examined by buming the mode1s of wooden crib−structure olユt in the fie1d.
工n the experiment the fo11owing problems are discussed:the rise of the name,the temperature of the hot p1ume and the speed of the fire spread.
The resu1ts are summarized as fo11ows:
{1〉 The fire spreading speeds for the mode!s are about2.7m/min for mode1A and
1m/minformode1B,respective1ゾ.
(2) The inc1ination of the fire−f1ame is about40degrees to the ground surface in case of the mean wind speed of3−5m/sec.The maximum height of the f1ame is about ten times those of the mode1s,name1y,60cm of mode1A and30cm for㎜ode1B.
(3〕 The distribution of vertica1p1ume temperature in the Leeward direction fr◎m the bumed mode1s was measured・The trajectory of the p1ume is shown in a figura of the presentpaper・
1.研究目的
密集市街地における大火の性状について研究す るため,野外において,この市街地に相当する木 材クリブ(Crib,木材を井げたにくんだ積み 木)に点火して市街地大火のモデルとし,その延 焼の速さ,生ずる熟気流の温度,炎の上りかた,
などを実験した.
建築研究所においては,この研究とは別に,市街 地の大地震大火対策としての}防災拠点 に関す る特別研究を昭和43年度以後実施中であるので.
これらの関連研究の結果もまじえつつ,ここに報
告する.
2.経 過
2・1総合研究開始以前のこと
建築研究所においては,昭和44年度から「近代 都市施設の防災技術」という特別研究を行なって いる.この内容は,密集市街地の都市計画的防災
対策に関するもので,その一項に実験的研究とし てr防災拠点」に関する事が含まれており,44 年度以後野外火災実験を行なってきた.これは本 総合研究と同よ う大地震時の市街地大火対策に関 するものであり,方法も大へん似ているところか
ら,昭和45年度に始まる本総合研究で当所が r市街地模型の延焼」という課題を分担すること になった.
もう少しさかのぼると,市街地大火に関しての やや大きい活動に当研究所が関与するようになっ たのは昭和43年度であった.すなわち43年度 に,経済企画庁国土総合開発事業調整費による
r東京江東地区防災拠点等防災都市建設調査」と いうのが起って,この調査費は建設省(住宅局)
より日本建築学会へ委託されたが,この中の一項 目にr防災拠点の大火上の安全性に関する火災実 験」があり,日本建築学会(の都市防災実験委員 会)と当所ほか数機関(東京消防庁,東京都材料
一一5一
人必時におけ考一仙1〃』災に関する研究 吻災科学技術総合研究報告
第31号 1973
検査所)が協力して大地店の同時多禿火災の模型 きつづき口本建築学会に対して調査委託があり,
実験が昭和44年3月25Hに付なわれた、つま 当所の特別研究も引きつづいてこれに協同する態 りこの時から当所は市街地大火の閉趣に改めてか 勢をとっている・(建築研究所年報 昭和45年 かオ)りあうようになったのである.上、記の調整費 度同46年度参照・)
はもう1年継統したため昭和44年度にも同じよ 本総合研死は45年度に始ったので,当所とし うな火災実験が行なわれ,これに当所の特別研究 ては分担した課題の実施を種々の都合上,上述の 毛歩調を合わせた.(これらに関する報告は, 防災拠点の実験と併せて実施してきた.
r防災拠点における雄築物の配置形態と安全性に 以上が本総合研究開発に至るまでのおよその事 関する調査報告妻」,姓設榊二k宅局.昭和45年 情である・
3月,の中に含まれる.) 2・2市街地模型による延焼性状の実験 以上の火災実験では,人地震時の1司時多発火炎 本総合研究において,当所はr市街地模型に
のモデルとして,広く並べられたクリブに一どき よる延焼性状の{尖験的研究」を分担した.市街地 に点火する万法をとり,風ドには防火拠点の外周 模型としては,前述2.1で用いられたクリブをも に立つべき1耐火高層建物の模型として高さ1.5m ととし,昭和45年度には小規模の実験を,同46 程度のコソクリートの壁が立てられたことが特徴 年度ではやや規模を広くクリプをおいて実施した.
である. これは,大震火災として予想される密集木造市 上述のr防災拠点の防災」二の安全性、1について 街地の大火の延焼の基本的性状をしらべるもので,
は,45年度以後は東京都(首都整脚、、ジより引 延焼性状とは焼えすすみの仕方,温度分布,炎の
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(b)小型模里
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一一6一一
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市街地膜型による延焼性状に関する実験的研究一高原・関恨
立ち』二りかた などをさすものである、
3.研究方法
45年度46年度ともに木造密集市街地模型に は,rクリブ」と称する積み木を用いた.
3.1昭和45年度の実験
(1)模型の大きさ
便った模型はふたとおりあり,便宜上,大型
(または,mode1A),小型(または,mod−
e1B),という表壊を以ド用いる.
大型(mode1A二の方法は次のとおり.木材 のクリブ(1本の長さ2m,断面4㎝×4㎝.こ れを約12本並べたものを1段として数えて14 段(高さ60㎝)重ねたものを1単位とし,これ
を図一1(a)のように平面的に酉じ置した.風上 から3列目と4列目に巾30㎝の隙問をおき,も えうつりの状況をみた.点火は風上側の巾2mの クリブ1列に点火し,延焼させた.
小型(mode1B)は,クリブの長さ,重ね方 が上記の大型の1/2,すなわち1本の長さ1m,
(断面は同じ),7段重ね(高さ30㎝)とした ものである.これを図一・1(b)のように配置し,
風上から3列目と4列目の間に15㎝の隙間(大 型の1/2)をおき,点火は風上の1列とした.
観測は,大型小型とも,クリプ内に2本,クリ プの風下に1太,それぞれ高さ6mのポールに熟 電対をつけて温度分布を,またクリプの風上側で 風速をそれぞれ測ったほか,写真撮影を行なった.
(2)実験日時等
実験は,江東区有明町13号埋立地において次 のように実施された.
大型の実験 昭和44年2月4日,午前11時
40分点火.小型の実験 同日12時点火.なお,この日は 晴天,北風で,風はクリプの点火 列にほぼ直角に吹いた.
3.2昭和46年度の実験
(1)模型の大きさ
今年度の市街地模型に用いた材料も前年度と同 じく木材を組んだクリブで,その1本の寸法は2 m(断面46豚x4c概),これを7段に組んだもの
を1ケとし(木材数では約87本便用),これを 合計32ケつくり,図一2のように並べたものを 木造踏集市街地の模型とした.
この模型の最も風上に位置する1列に点火し,
それのもえすすみに伴なう炎,熱気流温度などを 観測するのが実験の趣旨である.但し実際には上 の趣旨は少しはずれて,溝火用の灯油があやまっ て2列まかれてしまったため,もえすすみは急激
になってしまったこと,および実験に予定した日 の前に急速に発達した低気圧が通って観測器材が 少々損傷したこと,によって今回の実験はやや欠 けるところがあった.
e)観測事項
熱気流温度はAC熱電対と記録計(12点式)
によった.観測のため高さ6mの鉄ポールに1m おきに上記熱電対を固定したものを7箇配置した・
したがって,計42点の温度のデータをとる予足 であったが前述の事情により完全にデータのとれ たものは4ポールの測点23点であった.
風向と風速
風上の風向はビラム型風速計によりよみとり,
風速は熟線風速計による.風下の風向は,森式風 向計(ウイジソエ業杜製)を地上60c㎜の高さに 固定し実験中自画せしめた.その他写真撮影など
を実施.
(3)実蜘の実施
昭和47年2月18日,午前10時52分点火.
なお今回の実験は,東京都より日本建築学会都市 防災実験委員会に委託された研究(防災拠点に関 する野外火災実験)とあわせて実施された、その 実験は風上にクリブをおき,数メートルおいて風 下にコソクリートの壁を立てて,風上の延焼の壁 による防御効果をしらべるのが目的であった.目 的は異なるが,内容として本文の研究に参考とす べきことが多いので,今回はそれらの実験のセッ ト3組と,・本文で延べる実験とを同時に点火して,
ほぼ同じ風向風速の下で実施された.
実鹸場所は江東区有明10号その2埋立地であ
る.
4.結 果
4,1 45年度実験の結果 (1)実験の状況および炎の立ち上り これを図一3〜12に掲げる.
小型模型の場合は,炎の立ち上がりは最高の高 さ2m(クリブ高さの約7倍),平均して1mぐ らいであり,点火後4分目,5分目における温度 分布は図一3のようである.最風下の測点B(ク
リブの風下の端からO.5mはなれた位置)では,
一一7一
鞄寓鑑批Q幽叶㊤寸尾聾 Nl区 大痕伽二おける舳1舳災に関する舳究 防災科学技術総合研究報告 第31号
1973
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同,点火後4分目 (クリブ後万から発 煙筒をたいている)
同,点火直後,主風同は写真の左から右
図一5
(大体北風)
図一4
大型模型(立った棒は温度測点用ポール 長さ6m)写真上端は小型模型のクリプ
図一3
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同,点火8分後(炎の立上りはこんな瞬 間がある)
図一7
同,点火6分後(全面的にもえすすんだ)
図一6
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図・8
小型模型, 点火後1分(クリプは7段) 図一9 同,点火後2分図一10同,点火後3分
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図一11同,一鳶、火後12分
図一12同,点火後15分(クリブは大半もえお わつている)
一11一
市街地偵型による延屍性状に関する実験的研究一高原・関根
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図一13昭和45年度実験の温度分布,点火後3〜7分
(燃焼最盛期)の平均温度鉛直分布一13一
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分布の因示
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⑧杓・循度
分布の圓示
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大震時における都市防災に関する研究 防災科掌技術総合研究報告
第31号 1973
最高温度は地上3mの位置(クリブ高さの約10 倍)で,温度は150℃程度である.
以上の実験のときのクリプの風上における風速は,
次の表のようであるから,ほぼ同じ風速とみてよ い,したがって,炎の上りかた,温度分布底どが 上のようにちがうのは,クリブの大きさ,つみ万 の差によるものと思われる.これらのクリブの延 焼速度は,大型でほぼ2.7m/min,小型でほぼ
1m/minであつた.
地上高さ
3m
2.5m 1,5m
表 実験時の平均風速
大型実験の時 小型実験の時 5.5呵/SeC 5.6m/SeC
5.3 5.3 4,4 4,5
(2)延焼地域(クリブの風上)および風下におけ る温度の状況
大型,小型の実験ともに,クリブの中(前掲の 図一1のW点とA点)および少し風下の位置(同 図のB点)に鉄のポール(長さ6m)を立て,こ
れの地上高さ各々6m,5m,4m,3m,2m,
1㎜,O,5m,O.1mに熱電対(A.C.)をとりつ けて温度を測った.(いずれも,ふく射をとくに 遮へいしていない温度で,いわゆるr火災温度」
である.)この結果の例を図一13に掲げる.
この図は,延焼が用意されたクリブ全面にすす んだとみられる時期(点火後3分目から7分目ま での4分間につ㌧、 ての各点温度の平均値を目盛っ たもの.気温(大体g℃)はさしひいてはいない・)
について示した.大勢の見当をっけるためである一 大型,小型両実験ともにクリブの真上(W点)
の地上6血の点の温度はかなり低い.大体主風向 にそって斜め上空へ炎,熱気流ともになびいた。
クリブの風下のB点についてだけ,温度の鉛直 分布を図示すると同図右のようである一温度の極 大は,B点の位置においてはクリプの積み上げ高
地 上 z
風句→
局Z÷10レーZ÷3んボー一
艮句→
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高
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図一14炎上クリプに比較的近い風下における火炎温度の鉛直方向への減衰(模式図)
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図一15炎上クリプから風下えの熱気流の移動状況
一14一
市街地槙型による延烏性状に関する実験的研究一高原・関根
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図_16大型模型の炎,点火後1分
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図一17大型模型の炎・点火後8分
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犬震時における都市防災に関†る研究 防災科掌技術燥合研究報告
第131号 1973
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図一18小型模型の炎,点火後30秒位
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図一19延焼中の熱気流と煙の挙動,大型模型
(風下のある点まで上昇,以後は蛇行している)
一16一
市街地槙型による延烏性状に関する実喰的研究一高原・関根
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図一20
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大震時における都市防災に関する研究 防災科掌技術総合研究報告 第31号
1973
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図一21
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(一)トー一>名ζm)
昭和46年度実験,点火後4分,5分,6
分における温度分布さ(h・o)の約3倍(3ho)のところに 大型小型とも出現した.これはこのと きの,その場の風速によるもの(この 実験のときは前述のように地上1.5m の高さでの風速が約4.5m/seC)と 思われるが,従来防災拠点の火炎実験 において行なってきた経験によると,
地面近くのその場の平均風速(大体地上 高さ1.2m,クリプの積み上げ高さ30
㎝,のとき)が,約1.2m/seC以上6m/
SeCまでにおいては,今のような傾向 一 風下へ斜め上方に熱気流は傾く 一 をとっている.
本実験における上述の傾向を改めて 図示すれば,図一14のようになる.
これはクリブの風下でクリブに近い
(つまり炎上市街地に比較的近い)場 所における性状である.
従来の野外実験の経験よりすれば,熱気 流の上昇状況は主風向の方向に関して図 一15のような傾向がみこめられてい る.(日太建築学会年次大会昭和46 年大会梗概集,計画系P.94)炎上す
るクリブ(っまり火源)から風下への 熱気流の上昇は同図のように,まず発 生した熱気流が十分の浮力をもつr第
1領域」とそれが少し冷却するととも にその場の大気の擾乱のために舞い下
り等不規則運動をするr第2領域」が ある.この傾向は風下に多少の障害物
(拠点の模型など)があっても,なく ても,余り変らない.
(3)燃えかた
なお,燃えかたに関して若干,記録 写真を付しておく.(図一16〜19)
図一19は,大型模型の炎上中の煙を とったものである.風下のある高さ迄 は太い直線状で上昇,以後乱れながら 蛇行している.(図一15も参照)
4,2 46年度実験の結果 (1)実験に供した木材の平均含水率
15.4%
⑫)実験中の平均風速3,9m/8㏄
(地上1.2mの高さ),風向NNE・
③)炎の形状
一18一
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市街地槙型による延焼性渕こ関する突喰的研究一高原・関根
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図一20に示す如くである.図中匂)は点火後30 seC,O)同2minである.
(4)熱気流の温度分布
点火後4分,5分,6分圓における火源の風下 の温度分布を図一21に示した.延焼の状況は前 唄にも記した理由で速く全面的に火がまわってし まい,はっき0と把めなかった.一万,風下の各 測点で温度が最大の点をつらねると図中の点線の 如くになる.風下方向へ点火約1分後に・設置し た火源(つま9クリプ32ケ)は図・20のよう にもえ拡がリ,風下万向への気流の温度(この温 度はふく射によるものも加った,いわゆる火炎温 度である)の拡がリを点火後4分,5分,6分に っいて示したのが図一21である.熟気流の上昇 の仕方は,昨年度の小規模実鹸の場合と大局的に は同様である.
(5)地上の温贋
風上の地上,図一2のWに示す位置に示温板
(TEMP・PLATE,WAHLCORP・製)
をおいて,その地点の最大温度を指示せしめた.
この示温板は,受感温度範囲が(43。一48㌧
54o・60℃)のものと(6チー710−76o一
82℃)のものとふた通り同一地点においてみた 結果が図・22である.(火源に近いものはそれ 自身もえてしまった・)この図からは,地表面が 火炎から受ける総括的温度(ふく射も含む)が50
℃以下になるのは火源の風下9m以上であること が判る.
(6)地、上付近の風同
用いた風向計を図一23(a)に,実験中(燃焼中 を含む20分間)の風向の記録を,東端より順に φ),¢),O)に示した.セットした風力.計は10ケ であるが,うち1ケ(肌33)は焼失したので記 録は9ケしかのこっていない.
これらの風向は火源の風下端から5mの距離
のところで地上島さ60㎝に,簡易風向風力計に よった.これによれは,主風同が大体NNEであ ったので,図の右(東側)の肱28,29は火災 気流をあまりかぷらず,ふつうの地面上の気流に ちかい乱れかたであるが,κ30より西側の風向 計は熱気流をかぷり,上述の2点(κ28・29)に比ぺて風向,風力ともに変動が大きい.(この 記録は点火から20分目までの20分間の風向と 風力の変動の軌跡である・記録紙の黒いのは,高
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図・23(a)風下の地上60㎝においた風同風力計
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大震時における都市防災に関する研究 防災科学技術総合研究報告 第31号
1973
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熱のために焦げたのである..熱線風遼計を便えば より詳しい分析も可能だが,熱気流をかぷるため に無理と思い,かような万法によったのである.)
火炎の熱気流の影響は炎上区域から地上5mはな れても大きいことがわかる.火源から5mとは,
クリブの積上げ高さ(h。÷30㎝)をもとにすれ
ば,5m/ho÷17倍の地点である.温度も60
℃以上であるから,なんらかの不燃化がなされな いと,炎上区域の上空(この模型実験では地上5 mぐらいの高さ)まで危険である.なお,この実 験中(点火からは15分間)の一般風の平均風速
(地上1,2mの高さ)は3.9m/seCであった.
5.ま と め
(1)当所は本総合研究において,r市街地模型 による延焼性状の実験的研究」を分担した.
¢)市街地模型は木材(米ツガ材)をいげたに 組んだ,「クリプ」と称するものを便用した.
(図一1,3を参照)
点火はこれらクリブの最風上に主風向に直角な 線状に行なった.(これは大震火災で,市街地群 のある一角が一せいに出火する,という想定に対 応する模型である.)
e) 45年度は小規模模型を2回,46年度は やや大規模(広くクリブを並べる)の模型につき 1回,それぞれ江東区の埋立地において野外実験
をした.
¢)両年度の実険から,上述のような点火(出 火)をすると,延焼はかなり早く進行することが 認められた.その場の風速(この実験では地上
1.2m一一クリブの積み上げ高さh。の約4倍上 空一における,クリブのもえている時間(約15 分問)の平均風速をとった)が4〜5m/seC程 度であつたが,そういう風の場の下では,炎の立 ち上りは平均してクリブの積上高さ(ho)の5
〜6倍,最高では8〜10倍に達した.
(5) しかし,クリブの周辺には,とくに異常な 気流(旋風など)は認められなかった.(本研究 ではないが,従釆我々の研究所が関与した野外火 災実験で,旋風状の現象が認められたことが1回,
ある.それは,昭和44年3月25日に同じく埋 立地で行なった野外火災実験で,このときは,積
上高さ7段,1辺2mのクリブを南北に10列,
東西に10列,計10×10:100単位並べて,
すべてのクリブに殆んど同時に点火し炎上させた
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市街地模型による延焼性状に関する実験的研究一高原・関根
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図一24 実大家屋の火災実験(昭和45年12月)
(a)点火前.(左側の家屋に点火した)
Φ)点火後.(中間路上の車が炎上している)
周辺の観察者4,5人 が点火1分目にクリプ群の風下側に弱い たつま 一23一
大震時における都市防災に関する研究 防災科掌枝術総合研究報告
第31号 1973
き 状の気流を認めている.それは高さ5m,直 径20〜30㎝,と報告されている。
<日本建築学会関東支部第40回研究会梗慨集・
昭44・第4部会・P.277−280>このときの
平均風速は3m/seCである。ここに述べる延焼 実験時に比べると風速が全体として小さく,かつ 燃焼区域が大きいこと,が実験条件として本報告 の実験と異なっている.)(6)炎の傾き
本研究の両年度の延焼実験では,いずれも火源
(クリブ)から風下について斜め上方(地表よリ の仰角にして約40度位の方向)になびいた.
この傾向は,従釆の当所の特別研究(防災拠点)
で実施した十数回の野外実験と同じである.また 昭和45年12月,やはリ埋立地において実大2 階建家屋を5軒並べて行った火災実験(このとき の主目的は巾20mの道路に並んだ18台の自動 車に家崖火災が延焼するか否かを調べる実験で,
結果として家屋に点火後2分余りで自動軍に次々 ともえ移った一r大震火災時における路上自動車 の延焼に関する研究」東京理大・浜田稔,昭和46 年3月より引用,図一24(参考写真)を参鳳)
における炎の傾きとも一致する.その実験では平 均風速4.7m/SeCであ.った.
6.結 ぴ
(1)昭和45,46両年度の野外火災実験から,
密集木造市街地に大地震などが原因で発生する多 数火災による延焼は,少々の風があれば風下方向 に比較的速く進行し,せまい道路などでは阻止す ることが難しい.
大地震発生と同時に起こるであろう水道管等の 断絶およびガス配管などの損傷による火災原因の 累加を考慮すれぱ,延焼防止対策としては,かな り広い幅員の道路を必要とする.ここに行なった r実験」だけからいえぱ,木造家屋高さの20倍 以上の巾の道路がいるであろう.但し,そのさ い路ヒに可燃物が存在しないことを前提とする.
また一万,木造密集市街地は,できるだけ不燃 化し,かつ公園などの空地をとることが望ましい (2)ここに行なった野外模型火災実験では,特
に異常な現象(旋風の如き)は起らなかった.こ れは,実験のスケール ー 炎上区域や燃焼の持 続時間(火災の継続時閻など)一 と風速,地形 地物などのかねあい,と思われ将来の問題である。
いわゆる「火災実験」といっても,ある条件の下 におけるr実験」であり,決して実際の大火災
(大きな火事の0わざわい )を何分の1かに圧 縮して再現しているものではない.という認識が 必要である. 一
例えぱ,火災実験は,埋立地という土のある地 面にクリブを多数並べたものだが,現実の密集市 街地の道路はアスファルトなどで固められている.
そこに一吐いに火災がおきた場合には,生ずる熱 気や炎による地面近くの熱量のやりとりの仕方も ちがうはずである.
現在,火災のような高温気流と模型のスケール との関係 一 いわゆる相似律一は解っていな い.したがって,以上に述べた火災実験が,実際 の地震火災の市街地のスケールの何分の1に当る か,という議論は困難である.前項に述べた結論 も,模型実験としての結論である.
やぽり,大都市内ではいろいろな災書によって 悪い環境になっても,なお人々の行動(避難とか 救急とか)にrゆとり」のある市街地にすること
が終局的な対策の目漂であろう.
(研究従事者代表)
45年度・入沢 恒(前第1研究部長)
46年度・高原 栄重(都市防災研究室長)
関根 孝(設備計画研究室長)
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