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およびアニオン比色センサーの検討

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Academic year: 2022

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およびアニオン比色センサーの検討

著者 坂巻 勝

学位授与大学 東洋大学

取得学位 博士

学位の分野 工学

報告番号 32663甲第432号 学位授与年月日 2018‑03‑25

URL http://id.nii.ac.jp/1060/00010074/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

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氏   名( 本 籍 地 ) 坂 巻   勝(埼玉県)

学 位 の 種 類 博士(工学)

報 告・ 学 位 記 番 号 甲第432号(甲(工)第110号)

学 位 記 授 与 の 日 付 平成30年3月25日

学 位 記 授 与 の 要 件 本学学位規程第3条第1項該当

学 位 論 文 題 目 水溶性色素を用いた完全水溶媒系におけるカチオンおよ びアニオン比色センサーの検討

論 文 審 査 委 員 主査 教授 博士(理学) 福 島 康 正 副査 教授 工学博士 吉 田 泰 彦 副査 教授 工学博士 泉   克 幸 副査 元埼玉大学大学院教授

        理学博士 千 原 貞 次

【論文審査】

 金属イオン、アニオン、アミノ酸、核酸、タンパク質、糖、脂質、ホルモン等の生体中 に含まれている物質は、生体内で重要な役割を担っているため、それらを多くの混合物の 中から分離することなく簡便に認識し定量できるセンサーは、医療診断だけでなく、環境 計測にも利用できることから、その開発が期待されている。現在のところ、これらの物質 を正確に認識し定量できるものとして、酵素や抗体などを利用したバイオセンサーが活発 に研究開発され、いくつかのものは実用化されている。バイオセンサーは、酵素や抗体の 特徴を活かし、検出したい物質(標的物質)を厳密に認識し、高感度に定量できる利点が ある。しかし、酵素や抗体は不安定な材料であるため、バイオセンサーを利用できる条件 として、pH と塩濃度などの化学的環境や温度などの物理的環境に厳しい制限があり、条 件外での使用は感度や特異性の低下を引き起こす。また、使用までの保存条件にも制限が あり、使用期間の低下を招く場合も少なくない。さらに、酵素や抗体は高価であるため、

利用できる分野が限られたものとなっているなどの欠点がある。

 これらの欠点を克服できるものとして、化学的に安定で、安価な材料を利用した化学セ ンサーが注目を集めている。化学センサーの多くは、標的物質を認識し結合する部位と、

その物質が結合した時にシグナルを出力する部位から構成されている。その中でも、有機 分子を利用した化学センサーは分子認識を考慮した分子設計が可能であり、それぞれの標 的物質に対応したセンサー材料の作製が可能である。また、吸光特性や蛍光特性の変化を

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利用した光化学センサーは、安価な装置で測定が可能であり、かつ測定が簡便にできるな ど、シグナルの検出法としては優れた方法である。特に、目視で検出できる比色センサー は測定装置の必要がなく、比色を利用した化学センサーは多くの利点を有している。しか しながら、有機分子を利用した化学センサーでは、設計した有機分子を作製するために煩 雑な合成過程を必要とし、また合成された分子は水に不溶であることが多く、生体内物質 等の水溶液中に存在する物質を検出することには適さない等の課題がある。

 本論文では、上記の化学センサーの課題を克服するため、水溶性の市販有機分子を組み 合せることで、カチオンやアニオンを目視で検出できる比色センサーについて検討した。

比色センサーには発色のための色素が必須であり、そこに高分子電解質、金属キレート剤、

金属イオン等を組み合わせることによって、色素単独では得られない新規な比色センサー の作製に成功し、有機色素と種々の化合物を組み合わせることによって、新規なセンサー 機能を有する比色型化学センサーの創製の可能性を示すことができた。

 これらの内容を本学位論文では、以下のように全8章の構成でまとめている。

第1章 序論

 本章では、比色センサーの特徴を記述した後、本論文の標的物質である鉄イオン (Fe2+ と Fe3+)、コバルトイオン (Co2+)、鉛イオン (Pb2+)、亜鉛イオン (Zn2+)、シュウ酸イオン、

およびシステイン (Cys:アミノ酸 ) を検出する最近の化学センサーの動向に触れ、その上 で本研究の位置づけを明らかにし、論文の概要について述べている。

第2章 ピロガロールレッド、高分子電解質及び金属キレート剤による水溶液中の Fe2+

と Fe3+の比色検出

 本章では、比色色素としてピロガロールレッド (PR)、高分子電解質としてポリジアリ ルジメチルアンモニウムクロライド (PDADMAC)、金属キレート剤として

N-(2- ヒドロキ

シエチル ) エチレンジアミン -N,N',N'- 三酢酸 (HEDTA) の3種の化合物を組み合わせるこ とで、酸性条件下で鉄イオンを選択的に比色定量できる化学センサーについて評価した結 果が記述されている。PR はフェノール性の水酸基を3個とカルボニル基を1個有するア ニオン性の水溶性色素である。PR は酸性条件下で Al3+、Cu2+、Fe2+、Fe3+および Pb2+ 錯体を形成し変色するが、複数の金蔵イオンを認識するため、PR だけで鉄イオンを選択 的にセンシングすることはできない。そこに、金属キレート剤として作用する HEDTA を PR に加えると、すべての金属イオンが HEDTA と結合し、PR と錯体を形成しなくな ったため、いずれの金属イオンを添加しても PR は変色しなかった。さらに、PR と静電 的に相互作用するカチオン性の PDADMAC を加えると、鉄イオン (Fe2+と Fe3+) だけが HEDTA より PR と錯体形成し、その結果 PR は赤色から青色に変色した。これは、PR

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が PDADMAC と静電相互作用すると、PR が会合体を形成し鉄イオンに対する結合能が 増加した結果である。これらの結果から、PR、PDADMAC、および HEDTA の系が、鉄 イオンを選択的に検出できる比色センサーとなることが示された。また、PR と Fe2+およ び PR と Fe3+は共に2:1で錯体形成し、Fe2+と Fe3+の吸光計測での検出限界は、それぞ れ0.17 μ M および0.18 μ M となった。さらに、この3成分系センサーに添加する鉄イオ ン濃度を増加させると、Fe2+と Fe3+共に、最初は赤色で徐々に紫色、青色へと変化した。

これらの結果から、Fe2+と Fe3+の目視での検出限界は共に5 μ M であった。

 鉄イオンは血液中のヘモグロビンの中に存在し、酸素輸送、細胞内での種々の代謝反応、

さらに酵素基質反応に関係しているため、鉄量のバランスが崩れると病気を引き起こす。

体中に過剰な鉄が存在すると、活性酸素が発生し細胞障害を引き起こし、またパーキンソ ン病やアルツハイマー病などの神経系の病気と密接に関係していると言われている。逆に 鉄が欠乏すると、肝臓、腎臓および心臓に大きなダメージを与え、糖尿病や貧血を引き起 こす原因ともなっている。ヒト血清中および尿中の鉄イオンの基準値はそれぞれ10~30 μ M および1.0~2.5 μ M であり、吸光計測での検出限界がこれらの値より低く、吸光計 測で血清中および尿中の鉄イオン濃度を測定できることが示された。また、血清中の鉄イ オン濃度は目視でも測定可能であった。さらに、WHO が推奨する飲料水中の鉄の許容限 度は5.36 μ M であり、飲料水中の鉄イオン濃度も測定可能であることが示唆された。

第3章 アニオン性ピリジルアゾ染料およびカチオン性高分子電解質による Co2+の比色 検出

 本章では、比色色素として2-(5- ブロモ -2- ピリジルアゾ )-5-(N- プロピル -N- サルファ プロピルアミノ ) フェノール (5-Br-PAPS)、高分子電解質として PDADMAC の2種の化 合物を組み合わせることで Co2+を選択的に比色定量できる化学センサーについて評価し た結果が記述されている。5-Br-PAPS はフェノール性水酸基の酸素と、アゾおよびピリ ジル基の窒素原子を有するアニオン性の水溶性色素であり、Cd2+、Co2+、Cu2+、Fe2+ Hg2+、Ni2+、Pb2+、Zn2+と水溶性の錯体を形成し黄色から赤色に変色する。しかし、5-Br- PAPS に PDADMAC を添加し、5-Br-PAPS が会合体を形成すると、Co2+ を添加した 時だけ黄色から青色への変色が観察され、この2成分系センサーが Co2+を選択的に検出 できる比色センサーとなることが示された。また、5-Br-PAPS と Co2+は2:1で錯体形 成し、吸光計測での検出限界は0.51 μ M となった。さらに、この2成分系センサーに添 加する Co2+濃度を増加させると、最初は黄色で徐々に緑色、青色へと変化し、目視での 検出限界は3 μ M であった。

 コバルトは人体に必須の遷移金属イオンであり、DNA やヘモグロビンの合成、神経系 の維持、鉄の代謝、体内の赤血球の形成など、様々な生理学的プロセスにおいて重要な役

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割を果たしている。また、ビタミン B12などの重要な成分でもある。過剰量のコバルトは 心筋症、血管拡張、肺疾患、皮膚炎、甲状腺腫脹などの様々な疾患の原因になり、血中お よび尿中コバルトの生物学的許容値はそれぞれ0.05 μ M および0.5~0.6 μ M と言われて いる。このセンサーの吸光計測での検出限界から、血中 Co2+濃度を計測することは困難 であるが、尿中 Co2+濃度の計測は可能であることが示された。

第4章 ピロガロールレッドおよびポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)を 利用した Zn2+の比色化学センサー

 本章では、比色色素として PR、高分子電解質として PDADMAC の2種の化合物を組 み合わせ、中性条件下で Zn2+を選択的に比色定量できる化学センサーについて評価した 結果が記述されている。PR は中性条件下で Al3+、Cu2+、Fe2+、Hg2+、Ni2+、Zn2+などと錯 体を形成するが大きな色の変化は見られず、PR だけで亜鉛イオンを選択的にセンシング することはできない。しかし、中性条件下で PR に PDADMAC を添加すると、PR が会 合体を形成し、Zn2+を添加した時だけ赤色から青色への変色が観察され、この2成分系 センサーが Zn2+を選択的に検出できる比色センサーとなることが示された。また、PR と Zn2+は1:1で錯体形成し、吸光計測での検出限界は87 nM となった。さらに、この2成分 系センサーに添加する Zn2+濃度を増加させると、最初は赤色で徐々に紫色、青色へと変 化し、目視での検出限界は10 μ M であった。

 亜鉛は、人体において鉄に次いで2番目に存在量の多い必須微量元素であり、細胞代謝、

脳活動、遺伝子転写、神経伝達、金属を含んだ酵素の調節などの多くの生物化学的反応に おいて重要な役割を果たしている。体内の Zn2+のバランスが崩れると、アルツハイマー病、

筋萎縮性側索硬化症、メンケス・アンドウィルソン病、パーキンソン病などの神経学的疾 患と密接に関連している。Zn2+が欠乏すると、小児の成長遅延および免疫機能不全を、

逆に Zn2+が過剰になると、甲状腺機能亢進症、総合失調症、貧血、腎不全などを引き起 こすと言われている。ヒト血清中および尿中の Zn2+の基準値はそれぞれ10~18 μ M お よび1.0~1.5 μ M であり、このセンサーの検出限界から血清中の Zn2+濃度は目視で、尿 中の Zn2+濃度は吸光計測で定量できることが示された。また、WHO が推奨する飲料水中 の Zn2+の許容限度は76 μ M であり、飲料水中の Zn2+濃度も目視での観察が可能である ことが示唆された。

第5章 カルミン酸を用いた水溶液中での Pb2+の比色定量

 本章では、比色色素としてカルミン酸 (CA) を用いて Pb2+を選択的に比色定量できる化 学センサーについて評価した結果が記述されている。CA はアントラキノン骨格に4つの ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびグリコシル部分が結合した抗腫瘍および抗生物

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質アントラサイクリン誘導体に属し、昆虫の卵や身体から抽出された天然の水溶性赤色色 素であり、コチニールとして知られている。CA は過酸化水素を共存させることで、オス ミウムイオンや亜硝酸塩を比色定量できることが報告されているが、CA 単独で Pb2+ 検出できるという報告はなかった。そこで、中性条件下での CA に種々の金属イオンを添 加してみると、Pb2+を添加した時だけ赤色から青色への変色が観察され、CA が Pb2+ 選択的に検出できる比色センサーとなることが示された。また、CA と Pb2+は1:2で錯 体形成し、吸光計測での検出限界は0.55 μ M となった。さらに、CA に添加する Pb2+ 度を増加させると、最初は赤色で徐々に赤紫色、青色へと変化し、目視での検出限界は 30 μ M であった。

 Pb2+は重大な臓器障害を引き起こす物質の1つであり、特に小児では低濃度でも蓄積す ると非分解性であるので、消化器系、腎臓系に重篤なダメージを与える。また、Pb2+ 長期間体内に存在すると、筋ジストロフィーや認知障害などの疾患を発症すると考えられ ている。ヒト血清中および尿中の Pb2+の正常上限値はそれぞれ2 μ M および0.4 μ M 程 度であり、このセンサーの検出限界から血清中の Pb2+濃度を吸光計測で定量できること が示された。

第6章 ピロガロールレッドと Cu2+錯体による水溶媒中のシュウ酸の比色定量

 本章では、比色色素である PR の Cu2+錯体 (PR-Cu2+) が酸性条件下でシュウ酸イオン を選択的に比色定量できる化学センサーについて評価した結果が記述されている。PR は 酸性条件下で Cu2+と1:1で錯体を形成し、橙色から紫色に変色する。PR-Cu2+錯体に種々 のアニオンを添加すると、シュウ酸イオンを添加した時だけ紫色から橙色へと変色し、

PR-Cu2+錯体がシュウ酸イオンを選択的に検出できる比色センサーとなることが示された。

これはシュウ酸イオンが PR-Cu2+錯体の Cu2+と結合し、PR が再生されたことを示して いる。シュウ酸と Cu2+は1:1で錯体形成し、吸光計測での検出限界は4.2 μ M となった。

さらに、PR-Cu2+錯体に添加するシュウ酸イオン濃度を増加させると、最初は紫色で徐々 に赤紫色、橙色へと変化し目視での検出限界は40 μ M であった。

 葉菜類の野菜、コーヒー、お茶などに多く含まれるシュウ酸は、Ca2+と高い親和性を もつため、体内の Ca2+と不溶性のシュウ酸カルシウムを形成する。従って、尿および血 漿中の Ca2+およびシュウ酸濃度が高くなると、膵臓の機能不全、心筋症、腎不全および 腎結石など多くの疾患を引き起こす。シュウ酸カルシウム形成は Ca2+濃度よりもシュウ 酸濃度に影響されるため、シュウ酸濃度の測定は高シュウ酸症の診断および医療管理にお いて非常に重要である。また、食物中のシュウ酸濃度が高いと、摂取シュウ酸量が多くな り、シュウ酸カルシウムが形成されやすくなるため、食物中のシュウ酸含量を測定するこ とも予防の観点から重要である。尿中シュウ酸排泄量の正常値はおおよそ100~450 μ M

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であり、このセンサーの検出限界から尿中のシュウ酸イオン量は吸光計測および目視で検 出できることが示唆された。

第7章 水溶液中のカルミン酸および Pb2+複合体を利用したシステインの選択的検出の ための比色定量センサー

 本章では、5章で記述した CA と Pb2+の1:2錯体 (CA-2Pb2+) を用いてシステイン (Cys) を定量検出できる比色センサーについて評価した結果が記述されている。CA-2Pb2+

錯体に種々のアミノ酸とグルタチオン (GSH) を添加すると、Cys を添加した時だけ青色 から赤色へと変色し、CA-2Pb2+錯体が Cys を選択的に検出できる比色センサーとなるこ とが示された。これは Cys が CA-2Pb2+錯体の Pb2+と結合し、CA が再生されたことを示 している。Cys と Pb2+は1:1で錯体形成し、吸光計測での検出限界は2.4 μ M となった。

さらに、CA-2Pb2+錯体に添加する Cys 濃度を増加させると、最初は青色で徐々に赤紫色、

赤色へと変化し、目視での検出限界は40 μ M であった。

 Cys、GSH およびホモシステイン (Hcy) などのチオール系アミノ酸やペプチドは、様々 な生理学的および病理学的プロセスにおいて必須の役割を担っている。特に、Cys はタン パク質の折りたたみ、解毒、代謝などの多くの重要な役割を果たしており、体内の Cys が欠乏すると、免疫不全症候群、アルツハイマー病、パーキンソン病、子供の発達遅延、

脱毛症、肝障害など様々な病気の原因となる。血清中の Cys の基準値は250~380 μ M と言われており、このセンサーの検出限界から吸光計測および目視で Cys 濃度を定量で きることが示唆された。

第8章 総括

 本章では、第2章から第7章で得られた水溶性比色センサーの結果を要約している。本 論文では、水溶性の市販有機分子を組み合わせることによって、6種類の標的物質を選択 的に定量検出できる比色センサーを作製し、そのセンシング性能の評価結果から、医療診 断や環境計測への応用の可能性を示した。

【審査結果】

 本論文は、吸光測定および目視により特異的かつ簡便に生体内物質を定量できる水溶性 比色センサーの創製を目的に、水溶性の市販有機分子を組み合わせることで簡便に作製し、

その生体内物質に対するセンサーとしての特性結果をまとめたものである。特に評価する 点は以下の通りである。

① PR、PDADMAC および HEDTA の3種混合物が、酸性条件下において Fe2+および Fe3+を選択的に検出できる定量比色センサーとなることを明らかにした。また、検

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出限界値より、吸光計測で血清中および尿中の鉄イオン濃度を、血清中の鉄イオン 濃度は目視でも定量可能であることを示した。さらに、飲料水中の鉄イオン濃度も 測定可能であることを示した。

② 5-Br-PAPS と PDADMAC の2種混合物が5-Br-PAPS 単独とは異なる金属イオン 認識能を示し、Co2+を選択的に検出できる定量比色センサーとなることを明らかに した。また、検出限界値より、吸光計測で尿中の Co2+濃度を定量できることを示 した。

③ PR と PDADMAC の2種混合物が、中性条件下において PR 単独とは異なる金属イ オン認識能を示し、Zn2+を選択的に検出できる定量比色センサーとなることを明ら かにした。また、検出限界値より、血清中の Zn2+濃度は目視で、尿中の Zn2+濃度 は吸光計測で定量できることを示した。さらに、飲料水中の Zn2+濃度も目視で定 量できることを示した。

④ CA が中性条件下において、Pb2+を選択的に検出できる定量比色センサーとなるこ とを明らかにした。また、検出限界値より、血清中の Pb2+濃度を吸光計測で定量 できることを示した。

⑤ PR-Cu2+錯体が酸性条件下においてシュウ酸イオンを選択的に検出できる定量比色 センサーとなることを明らかにした。また、検出限界値より、尿中のシュウ酸イオ ン濃度をは吸光計測および目視で定量できることを示した。

⑥ CA-2Pb2+錯体が、中性条件下において Cys を選択的に検出できる定量比色センサ ーとなることを明らかにした。また、検出限界値より、血清中の Cys 濃度を吸光計 測および目視で定量できることを示した。

 以上のように、坂巻勝氏の研究は、工学研究科(バイオ・応用化学専攻)の博士学位審 査基準に照らしても妥当な研究内容であると認められる。坂巻勝氏の博士後期課程在学中 における本研究に関連する業績としては、筆頭著者としての英文原著論文2編(全て査読 有)等がある。これらの業績はバイオ・応用化学専攻事前審査会において課程博士の学位 申請要件を満たしていることが確認された。さらに,続く3回の学位審査会において厳正 に審査した結果、博士論文としてふさわしいものであると判断され、バイオ・応用化学専 攻において承認された。

 従って、所定の試験結果と論文評価に基づき、本審査委員会は全員一致を持って坂巻勝 氏の博士学位請求論文は、本学博士学位を授与するに相応しいものと判断する。

参照

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